教文館ナルニア国拡大版ブックトーク
『2011年に出た子どもの本』ノンフィクションの会には、参加することができませんでした。(当日は、私はJBBY・JPIC共催国際子どもの本の日記念子どもの本フェスティバルのイベントで司会をしておりました!)
というわけで、ナルニアスタッフの方々のブックトークは伺うことができませんでしたが、『2011年に出た子どもの本』には、選書の理由が詳しく書いてあるので、それをかいつまんで紹介したいと思います。
2011年に出た子どもの本販売元:教文館
(2012-03)
『きのこ―ふわり胞子の舞』 埴沙萌 作/写真 ポプラ社
きのこ ―ふわり胞子の舞 (ふしぎいっぱい写真絵本)販売元:ポプラ社
(2011-09-16)
『むしをたべるくさ』『ヘビのひみつ』などと同じ「ふしぎいっぱい写真絵本」シリーズの一作。きのこが奉仕を飛ばすということは知識で知っていても実際に飛ぶ様を見たことのある人は、ほとんどいないでしょう。この表紙のきのこから出ている白い筋。これが胞子。胞子を飛ばすことで子孫を増やすきのこ。胞子放出の様子は美しく神秘的です。動物でも植物でもない菌類に興味を持つ子ども達がひとりでも増えるといいですね。
『野球場の一日』いわた慎二郎 講談社
野球場の一日 (講談社の創作絵本)著者:いわた 慎二郎
販売元:講談社
(2011-06-29)
野球をするのが好きな人も、野球を観戦するのが好きな人も、野球場で働く人がどんなことをしているか、知っている人は少ないでしょう。本書では、朝から追って野球場での仕事を紹介しています。テレビの野球中継では知ることのできない、縁の下の力持ちたちの姿を知ると、野球の応援もまた一味違ってくるかもしれません。
『世界のカブトムシ』今森光彦 アリス館
世界のカブトムシ著者:今森 光彦
販売元:アリス館
(2011-07)
2000年に出版された『世界のクワガタムシ』の姉妹編。実物大標本写真158点は圧巻です。帯の宣伝文句に「これがカブトムシ美術館だ!」とあるように、虫好きはもちろん、そうでない人も思わず見入ってしまう魅力にあふれた本。カブトムシについて書かれた文章も読みごたえがあります。
『わがはいは中村春吉である。』横田順彌 くもん出版
わがはいは中村春吉である。―自転車で世界一周無銭旅行をした男 (くもんの児童文学)著者:横田 順彌
販売元:くもん出版
(2011-03)
明治時代、無謀としか思えない旅行を実行したのが、「中村春吉」です。「この目で、世界を見てやろう!」と決心した春吉は、1902(明治35)年2月23日、横浜港出航の「丹波丸」に乗船し、上海に向かいます。ここから春吉の奇想天外、波乱万丈な旅が始まります。今から110年前に自転車で世界一周旅行した春吉の度胸。子ども達もそこから何かを得てほしいとおもいます。
『少年民藝館』外村吉之介 筑摩書房
少年民藝館著者:外村 吉之介
販売元:筑摩書房
(2011-03-19)
1984年用美社刊の復刊。世界各地の風土から生まれ、受け継がれてきた暮らしの中の美しい道具や雑貨を紹介しています。「毎日いっしょにいるもの言わぬ友だちも、人に強く影響を与えますから、私どもは用心せねばなりません。もの言わぬ友だちというのは、毎日私たちといっしょにいる道具類のことです。」とはまえがきの言葉。「ものを見る眼」を養い、ものを大切にする視点を子ども達に伝えたいものです。
『鉄は魔法つかい』畠山重篤/スギヤマカナヨ 小学館
鉄は魔法つかい著者:畠山 重篤
販売元:小学館
(2011-06-01)
著者は「森は海の恋人」運動を23年、三陸・気仙沼で行ってきたカキやホタテの養殖漁師・畠山重篤さん。カキのえさである植物プランクトンが増えるためには鉄が必要で、それには川の上流の森が、海の生物に必要な鉄をつくる工場の役割をきちんと果たさないといけないのだそうです。この本の出版が決まった後、東日本大震災で被災されたそうですが、大津波から1カ月で生き物が戻ってきた海を見た畠山さんは津波で海が壊れたわけではなく、生き物を育む海はそのままあることを実感し、希望がわき、出版を決めたそうです。
『正しいパンツのたたみ方―新しい家庭科勉強法』南野忠晴 岩波書店
正しいパンツのたたみ方――新しい家庭科勉強法 (岩波ジュニア新書)著者:南野 忠晴
販売元:岩波書店
(2011-02-19)
タイトルに惹かれて私も読んでみました。「家庭科」というと家事を担う女性のものと、30年くらいまで考えられていました。男女共に家庭科が必修になったのは1994年のこと。大阪で初めて男性で家庭科の教師になった著者は訴えます。「僕たちの暮らしは、食生活、住環境、被服環境、家族関係をはじめとする人間関係、収入と支出という経済問題などが幾重にもつながりながら影響を与えあって成り立っているということです。どれかひとつでもバランスを欠いたりすると、暮らしはギクシャクします。そうなると、気持ちの安定を保つのも大変になります。」つまりは、学力も大切だけれど、「生活力」を持たなければいくら勉強ができても人としてバランスを欠くということ。そうした視点から家庭科を見ていくと、ほんとうに豊かな暮らしってなんだろうということを考えることができます。この本は、これから自立していく中高生だけではなく、親にもぜひ読んでほしい1冊です。
『なんいもないけどやってみた―ブラ子のアフリカボランティア日記』栗山さやか 岩波書店
なんにもないけどやってみた――プラ子のアフリカボランティア日記 (岩波ジュニア新書)著者:栗山 さやか
販売元:岩波書店
(2011-10-21)
ブラ子と呼ばれる著者は若い頃(今でも十分若いのですが)渋谷を席巻していた「ガングロ」ギャルでした。そんな彼女が1冊の本と出会うことによって、世界へと目が向けられます。世界放浪の末、アフリカの医療施設でHIVや末期がん、貧困に苦しむ女性たちに寄り添うボランティアとしての活動を始めます。その日々を綴ったのがこの1冊。飾らない文章はブラ子さんの人柄がにじみ出ていて親しみやすく、心にストレートに届きます。将来どのように生きていこうかと悩む中高生にぜひ読んでもらいたい1冊です。