Yearly Archives: 2013

物語ること、生きること(上橋菜穂子著)
Merry Christmas✩
2013年(その3) 君にあいたくて(幼児~小学生)
2013年(その2) だいすき!ぎゅっ(小さい子)
2013年(その1) ふゆのふしぎ(幼児~小学生)
2月のおすすめ本✩リスト
ブックトーク事例 その2)
更新情報
新刊情報✩
2013年1月(その3) ぼくの、わたしのヒーロー(幼児~小学生)
2013年1月(その2) しょうがつてええもんだ(幼児~小学生)
2013年1月(その1) こどもは風の子(小さい子)
アジアの絵本展@大久保図書館
シャンティ国際ボランティア会との交流会
BIB金のりんご賞の絵本

物語ること、生きること(上橋菜穂子著)


2013年に出版されたYAのおすすめの本を紹介します。
「獣の奏者」、「守り人」シリーズの著者、上橋菜穂子さんが作家になるまでの道程が書かれた『物語ること、生きること』 です。
物語ること、生きること


「その気になりやすい子」で、おばあちゃんから昔話を聞いて、どっぷり物語の世界に入り込んだ子ども時代、少し体が弱かったため、強さに憧れた青春時代、我が身で現実を知りたいと文化人類学を選び、世界に飛び出していった大学時代、その間作家になりたいという想いを抱いて書き続け、上橋さんの作品が生まれてくるまでが、えがかれています。
上橋さんの作品は、別世界を舞台としたファンタジーがほとんどですが、この本を読むと、物語の根底に、上橋さんが体で感じてきたことが流れているのだとわかります。多くの子どもたち、大人が夢中になる、「獣の奏者」も「守り人」シリーズも、上橋さんの頭の中だけで作られたものではなく、上橋さんの歩みの中で、生まれ出たのだと感じます。もちろん、簡単に生まれ出たわけではなくて、ものすごく難産だったことも書かれていますが、「獣の奏者」を読んで語ってくれた小学生の女の子や、「守り人」シリーズの文庫版を電車で読んでいたおじさんを思い出すと、上橋さんがあきらめずに、形にして世に出てくれて、本当によかったと思います。

また、巻末にブックリスト~上橋菜穂子が読んだ本~(読んできた本すべてではなく、思い出に残っている本を中心に紹介)をがあります。読んできた本がその人を作ると言われますが、リストを眺めていると、上橋さんの歩んできた道を、さらに奥深く感じられます。遺跡の発掘を扱った『埋もれた世界』(A.T.ホワイト著 岩波少年文庫)、ローマ・ブリテン時代の歴史物語『第九軍団のワシ』(ローズマリ・サトクリフ著)、不思議なタイム・ファンタジー『グリーン・ノウの子どもたち』(ルーシー・М・ボストン著)、民族学関係の『忘れられた日本人』(宮本常一著)、『遠野物語・山の人生』(柳田國男著)など、10代に出会ってほしい骨太の作品ばかりです。上橋さんの作品が好きで、この本を読んだ中高生が、リストから気になる本を手に取って、自分の世界を広げていってくれると思うと楽しみです。児童担当としても読んでおきたい本ですので、ぜひ読んでみてください。

この本は、「どうやったら作家になれますか」という質問に答えるためには、物語を書くまでにたどってきた道を伝えなければならないという思いもあって作られたそうですが、「夢見る夢子さん」のままでいたくないと、勇気をもって一歩を踏み出し、自分の人生を歩んでいる上橋さんの言葉は、作家志望の人だけでなく、憧れをもって前へ進もうとする若い人たちも励ましてくれると思います。物語を紡ぐ作家から、自分自身の物語をえがこうとしている人への応援メッセージです。インタビューをまとめたもので読みやすいので、上橋ファンにも、そして、まだ上橋さんの作品を読んだことがない人にも、おすすめの1冊です。(T.S)


<上橋菜穂子さん作品(一部)>

精霊の守り人 (偕成社ワンダーランド)

獣の奏者 I 闘蛇編

<ブックリスト~上橋菜穂子が読んだ本~で紹介されている本(一部)>

第九軍団のワシ (岩波少年文庫 579)
ローズマリ サトクリフ
岩波書店
2007-04-17







グリーン・ノウの子どもたち (グリーン・ノウ物語 1)

忘れられた日本人 (岩波文庫)



遠野物語・山の人生 (岩波文庫)






Merry Christmas✩


クリスマス.jpg
週末は、どこの図書館も「冬のおはなし会」「クリスマスおはなし会」などの行事で忙しかったですね。

今年もあと一週間。体調を崩さないで仕事ができますように♪そして、図書館で一生懸命仕事をしているあなたのところへ、今宵素敵な贈り物が届きますように~


2013年(その3) 君にあいたくて(幼児~小学生)


人は、人との関係を絶って生きていくことは難しい存在です。それなのに、物心つく頃になると、人との関係づくりも本当にデリケートで難しい。
「いじめ」の問題も、結局は自己顕示欲と自己保身の狭間で起きる人間の弱さの現れなんだろうなって思います。自分が愛され必要とされていると確信できる子は、他を傷つけることはないと思います。まずは親が自分の子をぎゅっと抱きしめることが大事ですね。

2月はそんなことを思いながら、子どもたちに「君たちは愛されて生まれてきたんだよ」って伝えたいと思います。

2月のおはなし会✩おすすめプラン(その3)は【君にあいたくて】です。
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【君にあいたくて】 幼児・小学生向けプラン
 
導入  詩「あいたくて」  工藤直子 「あ・い・た・く・て」
                 工藤直子/佐野洋子 大日本図書より

     あいたくて
     だれかにあいたくて
     なにかにあいたくて
     生まれてきた ――――
     そんな気がするのだけれど
     
     それはだれなのかなになのか
     あえるのは いつなのか――――
     おつかいのとちゅうで
     迷ってしまった子どもみたい
     とほうにくれている
      (一部引用)    
あ・い・た・く・て (小さい詩集)
工藤 直子
大日本図書
1991-09
 
     
       
 
 
絵本 『しろねこくろねこ』きくちちき 学研
しろねこくろねこ (絵本単品)
きくち ちき
学研教育出版
2012-01-31
  
ほとんど黒一色の線で描かれた躍動的な絵。2013年ブラチスラヴァ国際絵本原画展で金のりんご賞を受賞したこの作品は、その人らしくいることの大切さを、伝えてくれる一冊です。子どもたちに読んで聞かせる時には、「間」を大事にしてください。特に後半の花畑のシーンだけ色とりどりの色彩にあふれる場面があります。そこは、子ども達に二匹の存在がわかるように、ゆっくり絵を見せながらページをめくってください。そうすると、最後の「しろねこはくろねこがすきでした。 くろねこもしろねこがすきでした。」というページが際立つと思います。

絵本 『なんでも見える鏡』 フィツォフスキ/内田莉莎子訳/スズキコージ絵 福音館書店
なんでも見える鏡―ジプシーの昔話 (日本傑作絵本シリーズ)
イェジー フィツォフスキ
福音館書店
1989-11-25
 
 
 ジプシーの昔話です。心優しいジプシーの若者が、王女に課せられた「かくれんぼ」を今まで助けた者たちの恩義によって切り抜けていきます。王女は、その若者の本質を見抜いたようで、彼に会いたいと願うのです。情熱的なストーリーですが、子どもたちは昔話としてさらっと聞くことができるでしょう。『しろねこくろねこ』がモノトーンの創作絵本なのに対して、こちらはスズキコージさんの絵で、2冊は比べてみても対照的。それぞれの良さを引き立ててくれることでしょう。

絵本 『だるまちゃんとうさぎちゃん』 加古里子 福音館書店
だるまちゃんとうさぎちゃん(こどものとも絵本)
加古 里子
福音館書店
1977-04-01
  
2冊、テーマ性の強い絵本が続いたので、最後は少し気分転換ので出来る絵本を。おはなしの中で「ゆきうさぎ」や「てぶくろにんぎょう」「りんごうさぎ」などの作り方も載っていて、おはなしと共に楽しめることでしょう。雪降る季節にぜひ読んであげたい1冊です。
(作成K・J)

2013年(その2) だいすき!ぎゅっ(小さい子)


2月といえばバレンタインデー♡。日本にこの日が定着したのは1970年代後半。しかもお菓子業界が牽引するキャンペーンの側面が強い行事です。

昔は、女性のほうからチョコレートを添えて男性に愛を告白できる日でしたが、(ということは、それ以前は自分から愛の告白をする女性ははしたないと思われたのかしらん?)今の主流は友チョコ・・・友情の印に女の子同士が手作りチョコを渡し合うようですね。

さて、それはともかく、小さな子どもたちにとって、全幅の信頼をおける家族とのスキンシップは、心の健やかな発達のためにも、とっても大事。寒い冬に、ぎゅっと近づきましょう^^

というわけで、2月の小さい子のためのおはなし会プランは【だいすき!ぎゅっ】です。

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【だいすき!ぎゅっ】(小さい子のためのプラン)
 
導入  わらべうた 「このこどこのこ」
     このこ どこのこ かっちんこ
     このこ どこのこ かっちんこ
     
     「ぼうず ぼうず」
     ぼうず ぼうず
     かわいときゃ かわいけど
     にくいときゃ ぺしょん!
    
絵本 『くっついた』 三浦太郎 こぐま社
くっついた
三浦 太郎
こぐま社
2005-08
 
 
 
 
 
「くっついた」・・・その繰り返しですが、そのたびに心がほんわかしてきます。最後のページでママとパパにはさまれて、一番の笑顔に。赤ちゃんのときの、その記憶があれば、親も子もその先の大変な子育て期間をなんとか乗り越えていけるのです。
この絵本を読んでいるときに、聞いている親子が「ぎゅっ」っと顔を寄せ合っているのを見ると、こちらがまた嬉しくなってきます^^
 
絵本 『ちゅっ ちゅっ』 MAYAMAXX 福音館書店
ちゅっちゅっ (0・1・2・えほん)
MAYA MAXX
福音館書店
2008-05-15
 
 
 
 
 
 
「ちゅっ」って口づけ。一番の愛情表現ですね。いろいろ調べていると「フィレマトロジー」というキスの歴史を研究する学問もあるのだとか。それはともかく、大好きなおかあさんにほっぺに「ちゅっ」、子どもたちにとっては一番幸せな時間ですね♪この絵本は赤一色で描かれています。それがまた何とも温かい味を出しています。
 
絵本 『はぐ』 佐々木マキ 福音館書店
はぐ (幼児絵本シリーズ)
佐々木 マキ
福音館書店
2013-09-04


『やっぱりおおかみ』や『おばけがぞろぞろ』『ぶたのたね』など、一風変わった、でも子どもの心を捉える絵本を描いている佐々木マキさんの2011年秋に月刊絵本としてでた絵本が、この秋単行本になりました。「あいたかったよー」「はぐしていい?」「あえてよかったね」ということばを海岸で交わす動物たち。大震災と津波を受けて描かれたのでしょうか。会いたい人と会えること、当たり前のことが、いかに大切なことなのか、あの震災は教えてくれました。今、あなたの大切な人と「はぐ」しておいてくださいね。
 

もう1冊、絵本を読むなら・・・

絵本 『このゆきだるまだーれ』中川李枝子/山脇百合子 福音館書店


寒い季節、それでも子どもたちは外であそびたい。特に雪の日には!もみちゃんと動物たちがそり遊び。ところが雪の中を転がって、みんな雪だるまに!雪の日も外でいっぱい遊ぶ子どもの姿は微笑ましいですね。絵本のサイズは小さいので、大勢への読み聞かせには向かないかもしれませんが、リズミカルな文章と、白地にはっきりと描かれた絵なので、子どもたちにもわかりやすい1冊です。

(K・J)

2013年(その1) ふゆのふしぎ(幼児~小学生)


舞い降りて積もった雪、枯草の下にある霜柱、凍った水たまり、冬の景色は美しく、不思議なものがたくさんあります。
今回は、冬の不思議に触れられる、科学の本を中心に組み立ててみました。
 
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2月のおはなし会☆おすすめプラン(その1)
 
【ふゆのふしぎ】(大きい子向け)
 
導入 わらべうた 「あめこんこん ゆきこんこん」
 
あめこんこん ゆきこんこん
おらえのまえさ たんとふれ
おてらのまえさ ちっとふれ
あめこんこん ゆきこんこん
 
2拍ずつ輪唱することができます。
雪がしんしんと降ってくるように、きれいに響きます。
 
『にほんのわらべうた(1) うめとさくら』(近藤信子著)より
 
にほんのわらべうた〈1〉うめとさくら
近藤 信子
福音館書店
2001-04-10
 
 
 
 
絵本『ゆきのうえ ゆきのした』
ゆきのうえ ゆきのした (世界傑作絵本シリーズ)
ケイト・メスナー
福音館書店
2013-10-02
 
 雪景色の森をスキーですべっていくと、雪の上は真っ白なのに、雪の下では生き物のたちの不思議な世界が広がっています。うとうとしている白足ネズミや、こおったトンネルを歩くハタネズミ、貯めている食糧を食べるシマリス、さまざまな生き物の暮らしをみることができます。巻末に、登場する動物のくわしい解説があることも、伝えてあげてください。絵もかわいらしい本です。
 
絵本『あんな雪 こんな氷』 高橋喜平文・写真
 
あんな雪こんな氷 (ちいさなたんけんたい)
 
 
 
 雪は、ただ平たく真っ白に積もるだけではありません。冠のような雪、ヘビのようにうねっている雪、のっぽのつららどなど面白い形をした雪や氷の写真がたくさんあります。写真をじっくり見せながら、読んであげてください小さい子が多い場合は、そのまま読むのではなく、かみくだいて説明してあげてもよいと思います。
 
絵本『しもばしら』
 
しもばしら (かがくのとも傑作集―どきどき・しぜん)
野坂 勇作
福音館書店
2004-11-20

 寒い冬の朝、はーちゃんは畑で、地面からはえている霜柱をみつけます。「しもばしらって どうして できるの?」 しもばしら探検に出たはーちゃんは、いろいろな場所に、さまざまな形の、しもばしらを見つけます。しもばしらのでき方を観察と実験をとおして、わかりやすく説明している絵本です。しもばしらの作り方も紹介されています。
 
 
<合わせて紹介もおすすめ>
『雪の結晶ノート』
 
雪の結晶ノート
マーク カッシーノ
あすなろ書房
2009-11
 
 
 
 
 雪の結晶のでき方や、雪の結晶の種類、どうして六角形になるかなど、雪の結晶について、わかりやすく解説しています。結晶の写真も、細かいところまで写っていて、複雑な形がよくわかります。雪の結晶の観察の仕方も書いてあるので、ぜひ紹介してみてください。挑戦する子がきっといるはず!
 
(T.S)
 
 
 
 
 

2月のおすすめ本✩リスト


12月になりました。街はクリスマスイルミネーションできらきら輝いています。4時半には暗くなるこの時期、明るい灯りにほっとします。

 
図書館では、クリスマスや年末年始に向けて、イベントや展示の準備で忙しいことでしょう。館内も乾燥する時期です。お互いに風邪をひかないように、体調管理に気をつけてお過ごしください。

さて、2月のおはなし会向けのおすすめ絵本のリストを更新しました。昨年、見落としていたロングセラー本や、新刊の冬の絵本などを追加しました。

おはなし会やブックトーク、展示などの参考にしてください。
 
 
 
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ブックトーク事例 その2)


 初級研修・児童サービス基本編で実演したブックトークのシナリオをUPします。

 先日(2013年11月21日)の研修でも実演しましたが、みなさまに聞いていただいて、手を入れたいところがたくさん出てきました。
 これで完璧!というわけではないので、参考としてご覧になってください。
 季節や対象者の年齢によって、本を入れ替えたり、新たに紹介したい本を発見して加えたりと、アレンジしていくのも、ブックトークの醍醐味の一つです。ぜひ、みなさまも自分の好きなテーマを見つけて、大切に育ててほしいなと思っています。ブックトークは、たくさんの本を読み、選んだ本を読み込んで原稿を書きと大変ですが、それだけに見返りも大きい! ぜひ挑戦してみてください。
 
*シナリオにはありませんが、学校で行う際は、図書館の案内も重要です。
 図書館がすぐ近くにないような学校の場合は、学校図書館に蔵書があるか調べたり、団体貸出を検討したりするなど、紹介した本を子どもたちが手にとることができるようにしてください。書誌情報を書いたプリントも忘れずに配布して、あとから探せるようにしてください。
 
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テーマ【てがみはすてきなおくりもの】 対象:中学1年 30分
 
導入:
 
 みなさん、こんにちは。

 〇〇図書館の☓☓です。

 今日はブックトークといって、テーマにそって、おすすめの本何冊か紹介します。

 私は、毎日郵便受けを見て、手紙が入っているか確かめるのを楽しみにしています。たいていは、広告だけなのですが、たまに知り合いから手紙が届くと、とても嬉しくなります。先日もしばらく会っていない友達から、今こんなことをしているよ、と近況を知らせてくれる手紙が届いて、励まされました。

 最近は、メールですませてしまうことも多いかもしれませんが、みなさんも手紙を書いたり、もらったりしたことがありますよね。そのときは、はがきか、このような封筒で送ったと思うのですが、郵便屋さんは、このような封筒だけではなく、こんなものを届けてくれるのです。

ブックトーク 郵便物.jpg

 

 ・紙皿の郵便物を紹介

 ・貝がらの郵便物を紹介

 これらの郵便物は、この本を参考に作りました。

 
本の紹介:『てがみはすてきなおくりもの』 スギヤマカナヨ 講談社 2003
 
 
 
の本には、もらった人がびっくりするような、楽しい郵便物がたくさん載っています。

 (紹介)

 P4.5 葉っぱ

 P9 貝殻(ひろい読み)

 P20.21 切手の活用

 P38 郵便物のきまり

 ぜひ、この本からアイデアをもらって、もらった人が思わず笑顔になるような、楽しい郵便物を作ってください。

 今日は、「てがみはすてきなおくりもの」というテーマで本を紹介します。

 
 

 次に紹介するのは、王に宛てた重要な手紙を託された少年の物語です

本の紹介:『王への手紙 上・下』 トンケ・ドラフト作 岩波書店 2005 (岩波少年文庫)

トンケ・ドラフト
岩波書店
2005-11-17

 

 

トンケ・ドラフト
岩波書店
2005-11-17

 

 

物語の舞台は、こちらの2つの王国です。

(地図をみせる)

 ダホナウト王国とウナーヴェン王国。それぞれの国は、王様がおさめ、王の騎士たちが国の平和を守るために活躍した時代です。

 主人公の名前はティウリ。16歳のダホナウト王国の見習い騎士です。

 明日、正式な騎士になるために、こちらの小さな礼拝堂で、一晩中、飲まず食わずで、寝ないで騎士になる最後の覚悟を固める儀式の最中でした。物音一つしない、静かな闇の中、ティウリは同じ見習い騎士の友人たちと並んでじっと座っていました。このまま朝まで座っていれば、明日には騎士になれる。そんなときです。礼拝堂のドアをたたく音がして、「神の御名において、ドアを開けよ!」という声がきこえたのです。その場面を読んでみます。

 

うしてティウリは規則をやぶってドアを開けますが、そこには修道服に身をつつんだ男がたっていました。男は、ティウリに隣のウナーヴェン国王へ宛てた重要な手紙を、森の宿イカルヴァラにいる白い盾の黒い騎士に届けるよう頼みます。

 手紙を引き受けたティウリは、森の宿、イカルヴァラに向かいますが、白い盾の騎士はそこにはおらず、ようやく探しあてたときには、卑怯な手段で襲われ、深く傷ついていました。白い盾の騎士は、自分がおそわれる原因となった、国王への手紙を届けるという任務をティウリにたくし、息をひきとります。ティウリは、手紙に何が書いてあるのか知らぬまま、手紙を無事に国王のもとに届けることを誓うのです。

 困難な仕事がはじました。任務を秘密にしながら、できるだけ早く、山脈をこえて、国王のいるウナーヴェン市にいかなければならない。手紙をねらっている敵がいる。武器もお金も馬もない。さらには、白い盾の騎士を殺した者と誤解され、追われることになります。追い詰められそうになるティウリですが、「ひとつのことだけを考えればいい。手紙を届けることだ。それを、あの騎士に約束したんだ」と言いきかせ、山脈をこえるのを手伝ってくれるであろう隠者メナウレスさまのもとへと向かいます。途中、ブラウン修道院で助けをえたり、ミストリナウト城では監禁されたりしながらも、メナウレスの小屋にたどりついたティウリは、メナウレスのもとにいた少年ピアックを道案内に、大山脈をこえ、ウナーヴェン王国に入ります。ピアックはティウリより1つ年下で、山で育ち、山のことがよくわかっている少年です。大山脈の外に出たことがなく、ティウリへの道案内も山を越えるまでの約束でしたが、山脈の外の世界を見てみたいという思いと、ティウリがひとりで何かを抱えていることを感じ取り、一緒に旅を続けたいと言ってくれるのです。ティウリは、力強い仲間をえて、ウナーヴェン王国へ入ります。

 ちょうどここで上巻が終わりますが、下巻のウナーヴェン王国でも、裏切りものの市長が治めるダングリアでとらえられたり、お金を支払わなければわたれない橋で足止めされたりと、困難はたえません。そして、スルーポルという残酷な男が、すぐそばまで追ってきているというのです。誰が敵なのか味方なのかわからない、任務を秘密にしなければならないため、信頼もしてもらえないなかで、ティウリは、騎士としての使命を果たすことを胸に、いつしか「ぼくの任務は、きみの任務でもある」と言えるほど信頼できる友だちとなったピアックとともに、王のいるウナーヴェン市をめざして、旅を続けるのです。はたしてティウリは無事に手紙を届けることができるのでしょうか? そして、重要な手紙の中身とは、何なのでしょうか? たった1ヵ月半の冒険がこの上・下巻に描かれていますが、このなかでティウリは多くの緊迫した場面をのりこえていきます。ぜひティウリの冒険を、最後までみとどけてください。

 

 ティウリは手紙を届けるのに大変な困難を強いられましたが、次に紹介するのは、なんと宛て名のない手紙を届けた郵便屋さんのお話です。

本の紹介:『郵便屋さんの話』カレル・チャペック作 フェリシモ 2008

カレル・チャペック
フェリシモ
2008-03
 

 郵便屋さんの名前はコルババさんです。毎日歩いては配達する、自分のお仕事に、ちょっと嫌気がさしておりました。コルババさんは、あるとき郵便局で夜中までぐっすり眠り込んでしまいます。ピタピタと不思議な物音で目を覚まし、ネズミかな?と思ってあたりをみまわしたコルババさんは、なんとリスくらいの、あごにはまっ白いひげをふさふさはやし、郵便屋さんと同じ格好をした、郵便局の妖精をみつけたのです。コルババさんがそっとみていると、妖精たちは、郵便物の確認の仕事を終えると、手紙をカードにしてトランプをはじめました。どうやら大富豪ゲームのようなものをしているようです。どうして、数字も書いていない手紙で、トランプできるのか不思議に思ったコルババさんが、気をつけて出ていって聞いてみると、妖精たちは、手紙の中身で、強いカード、弱いカードを決めているというのです。郵便局の妖精は、ちょっと上から触ってみただけで、心のこもっていない手紙はつめたくて、愛がこもっているほど手紙は、あたたかいといった具合に、手紙の中身がわかり、ひたいにあてれば、書いてあることをそっくりそのまま読むことができるのだと教えてくれます。

 郵便局の妖精と一夜を過ごしたコルババさんは、妖精のことは郵便局のみんなには内緒にしていましたが、それからは、「この手紙はなまぬるい」などと言いながら、郵便配達の仕事を前より楽しむようになりました。

 そんなある日、コルババさんは「切手もなければ、宛て名もない手紙」を手にします。勝手にあけるわけにはいかないし、届けられるはずがありません。けれども、さわってみると、ばかにあたたかい手紙なので 気になってしかたないコルババさんは、もう一度、郵便局にまた泊り込んで、郵便局の妖精に中身を読んでもらいます。手紙はこのようなものでした。

(手紙を読む―P32)

なんと、その手紙は、結婚を申し込む大切な手紙だったのです。コルババさんは、決意します。「たとえ1年歩きまわるとも、世界じゅうを走りまわるとも、娘さんを探しだしましょう」さあコルババさんは、どうやってマジェンカを探し出し手紙を届けるのでしょうか? ぜひ読んでみてください。

 

次の本には、郵便局の妖精たちが触ったら、間違いなく強いカードだと言われる手紙が出てきます。

本の紹介:『父さんの手紙はぜんぶおぼえた』 タミ・シェム=トヴ 岩波書店 2011 

タミ・シェム=トヴ
岩波書店
2011-10-19
 
 
 
 
 
 
 

(手紙を見せながら)その手紙とは、このような小型の本の形に綴じた手紙で、オランダ語で書かれています。

 絵といっしょにおしゃべりとあるのですが、イラストもたくさん書かれているのです。 オランダ語が読めないのが残念ですが、訳されていますので、読んでみますね。

(手紙を読む)

この手紙は、父親から10歳の少女リーネケに送られたものです。1943年というと、今から70年も前になりますが、この手紙は、リーネケが読んだら、すぐに処分されてしまう運命でした。こんなに他愛無い手紙なのに、決して他の人に見られてはいけないものだったのです。また、リーネケという名前も実は本当の名前ではありません。

 この手紙の秘密は、第二次世界大戦中のユダヤ人の迫害に関係しています。リーネケの家族は、ユダヤ人で、獣医学の学者のお父さん、お母さん、お兄さん、お姉さん2人の6人のユダヤ人家族で、オランダでくらしていました。オランダがドイツ軍に占領されると、お父さんは大学の仕事を追われ、無理やり連行されそうになったので、リーネケ家族は身を隠すためにバラバラになりました。このときに、母さんから、戦争が終わるまで、それぞれが別の名前になる危険なゲームをはじめると言われ、リーネケという名前になります。そして、リーネケは、お父さんの知り合いのお医者さん、ドクターコーリーにあずけられ、デンハム村というところで、ユダヤ人であることを隠し、暮らすことになります。コーリー氏は、誠実な人柄でしたし、奥さんのフォネットも朗らかで明るい人だったので、リーネケはあたたかく身守られながら生活します。学校にも行き、友達もでき、勉強ができたので飛級もして、みんなに喜ばれます。苦しいことばかりではありませんでしたが、それでも、ユダヤ人だとわかってしまったらどうしようという不安はたえずありましたし、せっかくできた友達も、本当のことを隠しているので、本当の友達になれないと感じていました。そんなリーネケを支えてくれたのが、こっそり父さんから届けられた手紙でした。

ユダヤ人を匿ったというだけで命の危険があった当時、証拠となるような父さんの手紙を、ドクターコーリーは、リーネケが読んだあと、すぐ自分の元に返させていました。けれども、この愛情いっぱいの美しい手紙を捨てることができなかったのでしょう。箱に入れて、その箱を庭に深くうめて、保管します。そして、戦争が終わって、リーネケが父さんのもとに帰れるようになったとき、返してくれたのです。処分されてしまったと思っていた手紙を再び手にしたとき、リーネケは手紙をすべて暗記していて、絵も1つ1つもおぼえていることに気がつきます。リーネケは、手紙を心の中に焼きつけ、戦争中何度も何度も思い出していたので、すっかり覚えていたのです。

 この本は、残された父さんの9通の手紙と、今はおばあさんになったリーネケから聞いた話をもとに、書かれています。当時の緊迫した状況の中でも、コーリー夫妻をはじめ、明るさと思いやりを忘れずに暮らしていた人たちがいたことが、リーネケの目を通して伝わってきます。ぜひ父さんからの手紙をじっくり眺めながら、リーネケの物語を読んでみてください。

 
 

 リーネケは大好きなお父さんから手紙を受けとりましたが、次は天から降ってきた雪を手紙として受け取った人を紹介します。

本の紹介:『雪は天からの手紙―中谷宇吉郎エッセイ集』中谷宇吉郎 岩波書店 2002

 
 中谷宇吉郎さんは、主に北海道で雪や氷の研究をし、世界で初めて人工的に雪を作ることに成功した人です。学的な論文だけでなく、身近なものを科学の目でみたエッセイもたくさん書いています。『雪は天からの手紙』には、多く残されたエッセイの中から、21編がおさめられています。この表紙の絵は、中谷先生が作成した雪の結晶の分類図の一部ですが、本当に雪の結晶は、いろいろな種類があるのですね。中谷先生は、この結晶を観察すれば、天から地上に落ちてきた雪が、どのような環境で大きくなったのかわかるのではないかと考え、研究をします。

この本のなかに「雪を作る話」というエッセイがあるのですが、みなさんだったら、道具は用意するので、この部屋で雪の結晶を作ってみてくださいと言われたら、どのようなことをしますか?

 谷先生も、始めは、銅板でできた1メートルくらいの丸い筒を冷やして、上から水蒸気を吹き込んでみたそうですが。これでは雪は降らなかったそうです。そのあとは、もっと装置を小さくして、内側から冷やしたらどうなるだろう、など、あれこれ試して、4年がかりで雪の結晶を作っています。中谷先生がどのように雪の結晶を作ったのか、知りたい人は、たった6ページの文章ですので、「雪を作る話」を読んでみてください。少し難しいところもあるのですが、丁寧に読んでいくと、なるほどと思うことができると思います。雪を作るヒントは、自然と同じ条件にすればよいということだそうです。

 この本には、他にも、雪の研究のために行った「十勝岳の話」など、雪に関するエッセイがあります。中谷先生が、どのように天からの手紙を読み解こうとしたのか、ぜひ読んでみてください。


 

 今日は「てがみはすてきなおくりもの」というテーマで本を紹介しました。最後に詩を一つ紹介して終わりにします。

詩の朗読:「手紙」鈴木敏史 (『詩の本みんなでうたおう』岸田今日子編 岩波書店 2001)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
詩「手紙」を朗読
 
 
終わり:
 
今日紹介した本は、
①『てがみはすてきなおくりもの』
②『王への手紙 上・下』
こちらは『白い盾の少年騎士 上・下』という続編があります。少し大人になったティウリとピアックの冒険もぜひ読んでみたください。恋の話もちょこっと、出てきます。
③『郵便屋さんの話』
このお話は、『長い長いお医者さんの話』にも入っています。この本は「郵便屋さんの話」以外にも、少し変わった短い物語が他にもありますので、ぜひ読んでみたください。
④『父さんの手紙はぜんぶおぼえた』
⑤『雪は天からの手紙』
⑥最後の詩は、『みんなでうたおう 詩の本3』より紹介しました。
 
 紹介した本は、これから配るプリントに書いてあります。すべて図書館で借りられますので、読んでみたい!と思った本を、ぜひ借りにきてください。これで、ブックトークを終わりにします。
 
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(T.S)
 
 
 
 
 
 

更新情報


2014年7月以降の更新情報



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新刊情報✩


いよいよ11月も今週を残すのみとなりましたね。

図書館ではクリスマスシーズンのイベントに向けて忙しくしていることと思います。

さて、書店にも新しいクリスマス絵本が出揃いました。

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2013年に出たクリスマス絵本も、それぞれに特徴があって素敵です。

特に、こみやゆう氏が翻訳した『あくたれラルフのクリスマス』(ジャック・ガントス/ニコール・ルーベル/こみやゆう訳 PHP研究所 2013/11/11)は、子どもたちが誰もが抱くやきもちを、ラルフの姿を通して代弁してくれていて、それでいてやっぱり愛されるべき存在だと確認できた時の喜びをうまく表現しています。


モミの木
ハンス・クリスチャン アンデルセン/サンナ・アンヌッカ/こみやゆう訳
アノニマスタジオ
2013-11





こちらの絵本は、世界中で愛されているアンデルセン童話の『モミの木』を、フィンランドの人気ブランド、マリメッコのデザイナー、サンナ・アンヌッカによるイラストで、翻訳はこみやゆう氏。大人のかたに喜ばれるおしゃれな1冊です。

わたしのすてきなクリスマスツリー
ダーロフ イプカー/やましたはるお訳
BL出版
2013-10

こちらもクリスマスツリーのおはなし。雪景色の中に立つもみの木に森の動物たちがやってきます。たくさんの動物たちが集まって、それはそれは素敵なクリスマスツリーになるのです。詩のような美しい文章と、しっとりとした絵。静かに読みたい1冊です。


もう一冊は、クリスマス絵本ではないのですが、これからの季節に読んであげたい『こうさぎと4ほんのマフラー』(わたりむつこ/できねいく のら書店 2013/12/5)です。12月5日発行ですが、書店に並び始めました。

『もりのおとぶくろ』の続編です。雪の降り積もる森にこうさぎたちの歓声が聞こえてきそうです。

図書館では、クリスマスの絵本が展示され始めた頃ですね。利用者の方々がそれぞれのクリスマスの絵本に出会えますように♪


2013年1月(その3) ぼくの、わたしのヒーロー(幼児~小学生)


あなたにとってのヒーローは?

子ども時代は、テレビ番組の中に颯爽と現れるヒーローになりきってみたり、かと思えば夜寝るときにいつもそばにいてくれるくまのぬいぐるみが自分にとってヒーローだと感じたり・・・子どもたちにとってヒーローは憧れの存在でもあり、心の拠り所でもあると思います。

 
子どもたちにとってのヒーローは、強いばかりではなく、自分たちに寄り添ってくれる、そのような存在。今月のおはなし会おすすめプラン(その3)は【ぼくの、わたしのヒーロー】です。
 
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【ぼくの、わたしのヒーロー】
 
導入  詩「ぼくはぼく」 からすえいぞう
           『のはらうたⅣ』くどうなおこ 童話屋
     ときどき  ぼくは
     ほんのすこし
     いろつきの はねが ほしいな と
     おもったりする
     ほんのすこし
     いいこえで うたえたらな と
     おもったりする
      (一部引用)
のはらうた〈4〉
くどう なおこ
童話屋
2000-11
 
まっ黒なからすの羽根を「濡れ羽色」とも言います。しっとりと艶のある黒色のこと。それなのに、この詩のからすはカラフルな色にたまにはなってみたいな~と思います。でも、やっぱり「ぼくはぼく」と自分に言い聞かせるのです。外にヒーローを求めてしまいがちな私たち。でも自分の中の「ほんとうの自分」に気がつく時、そこにヒーローがいるのかも・・・
 
絵本 『ん』 長田弘/山村浩二 講談社
ん (講談社の創作絵本シリーズ)
長田 弘
講談社
2013-09-21  
 
五十音の中で「ん」にスポットを当てた絵本は今までなかった。しりとりでは「ん」のつく言葉を言ったら負け。一番しんがりについて、「ん」で始まる言葉って、ほとんど無い。(広辞苑を紐解くと、助詞や助動詞の変形として5つばかり説明が)そんな「ん」が主人公の長田さんの詩に世界的なアニメーション作家でもあり、絵本画家でもある山村さんが絵を描いた絵本。「ん」にもたくさんの表情があることがわかる絵本。「ん」がないと、言葉も成り立たない・・・そんな「ん」は、影のヒーローなのですね。
 
絵本 『ラチとらいおん』マレーク・ベロニカ 徳永康元訳 福音館書店
ラチとらいおん (世界傑作絵本シリーズ―ハンガリーの絵本)
マレーク・ベロニカ
福音館書店
1965-07-14
 
 
弱虫のラチのところにやってきた赤くて小さならいおん。らいおんの指南で怖がり屋の自分を克服していくラチ。子どもたちが成長していく途中で自分を支えてくれる存在の大きさを教えてくれています。でも成長するにつれて、それを乗り越えていくのも子ども。ヒーローに夢中になるのも成長の過程なのかもしれません。
 
絵本 『すてきな三にんぐみ』トミー・ウンゲラー 今江祥智 偕成社
すてきな三にんぐみ
トミー=アンゲラー
偕成社
1969-12-16
 
目に鮮やかな青。ギロりとにらみつけてくる表紙の目。黒い帽子に黒い帽子。そして武器は大まさかりに胡椒ふきつけ、空気銃。この三人に襲われたらどんな人もお手上げ。ある日、三人組が襲いかかったのは、孤児のティファニーちゃん。可愛らしい彼女を連れて帰った三人組は集めた金銀財宝を子どもたちのために使うことに・・・子どもたちのヒーローになる急展開がなんとも小気味よく、世界中の子どもたちに愛されている1冊です。
 
絵本 『しょうぼうじどうしゃじぷた』渡辺茂男/山元忠敬 福音館書店
しょうぼうじどうしゃじぷた(こどものとも絵本)
渡辺 茂男
福音館書店
1966-06-10
 
小さな消防自動車じぷたは、ポンプ車やはしご車の活躍の陰でひっそり。いつかは自分も活躍したいと夢見ています。後半の小さなじぷたが懸命に活躍する場面に、子どもたちも自分を重ねていくのですね。絵は1960年代のままで、いま活躍中の消防自動車とずいぶん違ってきてはいますが、物語の本質は変わらず、ずっと子どもたちに愛され続けている絵本です。 (K✩J)

2013年1月(その2) しょうがつてええもんだ(幼児~小学生)


1月、子どもたちは新しい年をむかえて、わくわくしていると思います。
冬休み中、普段と違う体験をした子も多いはず。
年始のお話会、希望いっぱいの楽しいものにしたいですね!
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【しょうがつてええもんだ】(幼児向け)
 
導入 わらべうた
 
しょうがつて ええもんだ
あかいべべきて じょじょはいて
ゆずりはみたいな もちくって
ゆきのような ままくって
こっぱのような どどくって
しょうがつて ええもんだ
 
『いっしょにあそぼう わらべうた 0・1・2歳児クラス編』 (ゴダーイ芸術教育研究所)より
 
コダーイ芸術教育研究所
明治図書出版
1998-07
 
 
 
 
絵本『おしょうがつさん』 谷川俊太郎文
谷川 俊太郎
福音館書店
1990-11-15
 
お正月にまつわるものを、美しい切り絵とリズミカルな文で紹介しています。新鮮な気持ちで1年初めのお話会をスタートするのに、おすすめの本です。
 
 
 
お話「おししのくびは なぜあかい」
『おそばのくきは なぜあかい』 石井桃子文 より
 
お正月に日本の昔話はいかがでしょうか? この本には、「おそばのくきはなぜあかい」「おししのくびは なぜあかい」「うみのみずはなぜからい」の3つの由来譚がおさめられています。絵は幻想的で美しく、どこかユーモラスです。
「おししのくびは なぜあかい」は、おししとおさるの知恵比べのお話です。びっくりの結末ですが、さらりと読んでみてください。最後のページで、次のお話の題名が見えてしまいますので、紙で隠したほうがいいかもしれません。読み聞かせだけではなく、語りでも楽しめるお話です。
 
 
絵本『どんぶら どんぶら 七福神』 みき つきみ文
みき つきみ
こぐま社
2011-11
 
どんぶらどんぶら波わけて、やってきたのは宝船。乗っているのは七福人。調子のよい数え唄と明るく朗らかな絵で、七福神を紹介しためでたい本です。調子よく読んでみてください。
 
 
 
絵本『ぐりとぐらのうたうた12つき』 なかがわえりことやまわきゆりこ
なかがわ りえこ
福音館書店
2003-10-10
 
ぐりとぐらの12か月を楽しい詩と絵で紹介しています。2月は雪のワルツを踊り、6月は雨やどり、7月は七夕飾りを作り・・・・、季節感いっぱいの本で、1年が楽しみになります♪
 
(T.S)
 
 
 
 

2013年1月(その1) こどもは風の子(小さい子)


「こども風の子 じじばば火の子」・・・私の大好きなわらべうたです。基本的にこどもはおとなよりも体温が高く、冬でも元気に戸外を走り回って遊んでいるのが自然だと思うのですが、あまり外で遊んでいる子どもたちを見かけなくなりましたね。

余談ですが、雑踏の中で、あるいは電車やデパート、図書館などで泣いている赤ちゃんを見かけると「喉が渇いているのではないかしらん?」と思ってしまいます。おとなが必要以上に厚着をさせた上に水分補給を怠っていると、赤ちゃんはどんどん脱水症状になってしまいます。自分で喉の渇きを訴えられる子はいいのですが、まだおしゃべり出来ない小さな子は泣くしかないのです。

おしめも濡れていない、お腹も空いていない・・・原因がわからないときは、ほとんどが喉の渇きです。また母乳ではなく人工ミルクを飲んでいる場合は、これは食事であって水分ではないので、喉の渇きは癒えないのです。

そんな赤ちゃんを図書館内で見つけた場合は、そんなアドバイスをぜひしてあげてください。

さて・・・横道に逸れてしまいました!1月のおはなし会✩おすすめプランの(その1)小さな子向けのテーマは、「こどもは風の子」です。
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【こどもは風の子】(小さい子向け)
導入 わらべうた 「おおさむこさむ」
    おおさむこさむ  やまからこぞうが とんできた
    なんといって とんできた 
    さむいといって とんできた
絵本 『ごろんごゆきだるま』たむらしげる こどものとも0.1.2 福音館書店
ごろんご ゆきだるま (0.1.2えほん)
たむら しげる
福音館書店
2007-10-25
 
ごろごろ雪がころがって雪だるまに・・・たむらさんご自身が染めた布をアップリケした温か味のある絵本です。ことばのリズムも心地よく小さな赤ちゃんにもぴったりの1冊です。
 
 
絵本 『おしくら・まんじゅう』かがくいひろし ブロンズ新社
おしくら・まんじゅう
かがくい ひろし
ブロンズ新社
2009-04
 
とにかくリズムもよく、楽しい絵本。こどもたちと一緒にた~っぷり楽しんでほしい1冊です。
 
 
わらべうた 「おせよ おせよ」
    おせよ おせよ さむいで おせよ
    おせよ おせよ さむいで おせよ
わらべうた 「おしくらまんじゅう」
    おしくらまんじゅう おされて なくな
    おしくらまんじゅう おされて なくな
絵本 『ろくちゃんとはっくしょん』織茂恭子 福音館書店
ろくちゃんとはっくしょん (幼児絵本シリーズ)
織茂 恭子
福音館書店
1996-11-30
 
いっぱい厚着をしても風邪気味で「はっくしょん」くしゃみが止まらないろくちゃん。そこへ「はっくしょん」登場。意外性のある絵本ですが、こどもは風の子、厚着しないで元気に遊ぼうねっていうメッセージも。元気よく読んであげたい1冊です。
 
 
わらべうた 「こどもかぜのこ じじばばひのこ」
    こども かぜのこ じじばば ひのこ
     こども かぜのこ じじばば ひのこ
絵本 『ゆきのひ』エズラ・ジャック・キーツ 偕成社
ゆきのひ (偕成社の新訳えほん―キーツの絵本)
エズラ=ジャック=キーツ
偕成社
1969-12


今から15年前、当時南国シンガポールに住んでいましたが、当時2歳の次男がどうしても雪を見てみたいというのでわざわざ真冬に一時帰国をしました。そして生まれて初めて雪を見て、いきなりダイブ!スノウエンジェルをやっぱり作りました。想像していた以上に冷たくて泣いちゃうというおまけ付きでしたが・・・キーツが最初にアメリカで出版したのが1967年。45年もの間、世界中のこどもたちに読み継がれているロングセラーですが、今のこどもたちにも通じる初めて出会う「ゆき」への思いが表現されています。大事に大事に読み継いで行きたい1冊です。

 

アジアの絵本展@大久保図書館


10月11日から新宿区大久保図書館で開催中の特別展示「アジアの絵本70冊をあつめました-お国はどちら?地球です。~アジア編~ミャンマー・ラオス・カンボジア・アフガニスタン」を見てきました。

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図書館に入っていくと、すぐの柱に大きなポスターが!図書館のある大久保地域は駅までの道すがら日本語、韓国語、中国語だけではなくたくさんの国の言語が飛び交う多国籍の人々が集う場所。まさに「お国はどちら?地球です。」というコピーがぴったりです。

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展示はカウンターの横、一番利用者から目立つ場所にありました。

この展示は、公益財団法人シャンティ国際ボランティア会(SVA)の協力により実現しています。これらはSVAが出版した絵本なのです。

なかなか手にすることのできないアジアの絵本たち。ミャンマーの絵本はビルマ語やカレン語と2種類あり、アフガニスタンの絵本にもパシュトウン語とダリ語とそれぞれの民族の言葉で書かれています。

日本語に翻訳された文章は別紙で挟み込まれています。
その文章を読みながら絵本の世界に入っていくことができて、とても面白かったです。

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ミャンマーの絵本「子どもの権利条約の絵本』のこのページ。南極大陸を中心に描いた地球の周りをぐるりと手を繋いだ子どもたちが囲んでいる絵は、この展示を象徴しているなぁと、感じました。
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同じ絵本でも、ビルマ語とカレン語のそれぞれの文字で出版されています。

ミャンマー難民キャンプにはカレン語を話す少数民族の子どもたちがたくさんいるのです。
少数民族の子どもたちのためにも、きちんと翻訳されているということに心から敬意を表したいと思いました。
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展示の表示の中に「宇宙から見た地球は、たとえようもなく美しかった。国境の傷痕などは、どこにも見あたらなかった。」~ムハメッド・アーメッド・ファリス(宇宙船ソユーズTM-3号乗組員)の言葉~が書かれていました。


そのことを、すべての人が理解をすれば、この地球上から紛争は無くなるのではと思うのですが・・・心にずっしりと響くことばでした。

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この展示は13日まで行われています。

大久保図書館は平日(火~土)は夜9時45分まで開館しています。お仕事帰りにでも立ち寄ってみてください。

シャンティ国際ボランティア会との交流会


10月29日(火)の午後に、当社の研修センターにおいて公益財団法人シャンティ国際ボランティア会との交流会を開催しました。

シャンティ国際ボランティア会(SVA)は、1981年の設立以来、アジアで子どもたちの「教育には人生を変える力がある」と信じて教育支援や緊急支援を行っているNPO法人です。(詳しくは上記太字クリックして、SVAのHPをご覧下さい)

ヴィアックスが受託している大久保図書館では多文化サービスの一環として「お国はどちらですか?地球です」(10月11日~11月13日)と題して、SVAが出版した絵本の展示も行なうなどの連携もしています。

この度、タイにあるミャンマー難民キャンプの図書館で仕事をしているセイラーさんとトーさんというおふたりの現地スタッフが来日。各地で交流会や報告会をなさいました。
その最終日に、当社で難民キャンプの図書館に来る子どもたちに、身近な素材を使って工作をしたり、おはなし会に集中してもらえるような工夫について知りたいというおふたりの要望に答える形で、交流会を開催しました。

最初に、難民キャンプで使われるカレン語にも翻訳して遊んでもいいし、日本語のままで歌ってもおもしろいわらべうたや英語の手遊びをまずは紹介しました。
紹介したわらべうた・・・もちっこやいて なかなかほい いちにっさんにのしのご おてぶしてぶし ここはてっくび

紹介した手遊び・・・One finger Two finger (いっぽんばし にほんばし) Rock Scissors paper (グーチョキパー)
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その後、リサイクル材を利用したおはなしをいくつか紹介。
紹介したおはなし・・・「ふしぎな家」「新聞ばなし」(こちらの2題は英語で語りました)「青い鳥」
紹介した絵本
・・・『みぎあしくんとひだりあしくん』針金を使って右足と左足くん作成
  『さつまのおいも』タイツを利用してお芋作成 (以上2点著作権許諾済)
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リサイクル材を利用した工作
かっぱのお面 いないいないばあ(紙を組み合わせて) びゅんびゅんごま など
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現地でマネジメントの役職についているセイラーさんは「図書館は子どもたちの生きる力を育む場所である」という信念のもと、活動を続けて来られました。図書館の児童サービス研修にかかわる私たちの持っている知識が、少しでも現地の子どもたちの「図書館大好き!」という思いにつながるといいな~と思いました。拙い英語を交えての交流会でしたが、お互いが童心にかえって一緒にわらべうたやおはなし、工作を楽しむことができ、素敵な時間となりました。

このような機会を作ってくださったSVAのスタッフのみなさまに心から感謝しております。20131029交流会.jpg
また、日本の図書館現場で子どもたちに向き合っているスタッフが、遠くの地で子どもたちに「図書館は生きる力を育む場所」と信じて頑張っている仲間がいることも覚えていてほしいと思い、「本のこまど」で紹介することにしました。
 
大久保図書館で11月13日まで開催されているSVAが出版したタイ・ミャンマーなどの絵本の展示も、この機会にご覧になってください。

BIB金のりんご賞の絵本


スロバキアで隔年行われるブラチスラヴァ国際絵本原画展で、今年日本の作品が2点、グランプリに次ぐ第2位にあたる「金のりんご賞」を受賞しました。すぐに「本のこまど」でお知らせすべきでしたのに、報告が大変遅くなってしまいました。

この連休の初日、長野県茅野市にある今井書店で行われた「きくちちきライブペインティング」に参加してきました。そしてきくちさんの持っている感性にも触れてきました。彼の絵本のもつ余白の美しさ、そこに子どもたちの想像の翼を広げる余地を残して引き込まれて行くのだろう、また躍動感のある伸びやかな線も心を開放してくれる力を持ってのだろうと改めてその魅力を感じてきました。

BIB金のりんご賞を受賞したのは、そのきくちちきさんが昨年出版された『しろねこくろねこ』です。
しろねこくろねこ (絵本単品)
きくち ちき
学研教育出版
2012-01-31



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今井書店の社長は、日本画の等伯を研究されていました。きくちちきさんの絵には、等伯に通じるものがあるということで、今回のイベントを企画されたとのこと。

子ども達に出会ってほしい絵本として、子どもに媚びてない作品、子どもたちが自分で想像を膨らませることのできる余白を持っている作品をと、考えていらしていて、『しろねこくろねこ』に出会ったとのことです。

そのような力を持った作品が日本の代表として選ばれ、それが国際絵本原画展で世界に認められたということは、とても嬉しいことです。


もうひとつの作品、『きこえる?』も、とてもシンプルで各ページ2色だけの静かな絵本です。

花の開く音、星の光る音、木の葉が揺れる音、騒音に溢れている子どもたちの生活の中で、そっとそっと耳を澄ませてごらん・・・と、静かに語りかけてくる絵本です。

これもまた余白に子どもたちが想像の翼を広げることのできる作品です。

きこえる? (日本傑作絵本シリーズ)
はいじま のぶひこ
福音館書店
2012-03-14





このような力のある作品をきちんと選書し、後世に伝えて行くことができる選書眼を持ち続けて行きたいと思います。

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JBBYホームページより、BIB世界絵本原画展の説明を引用しました。元のページは→こちら

*BIBとは
正式名称 Biennale of Illustrations in Bratislava
1967年に設立されました。以来隔年で開催される子どもの本のイラストレーションの分野では最も歴史が古く、最も権威があるとされている国際コンクールです。年は第24回にあたります。
1カ国から15名の画家しかエントリーできない狭き門で、国際審査員により、グランプリ1名、金のりんご賞5名、金牌5名が選出されます。013年は、日本人13名を含む、49カ国から362名の画家(原画2,344点)が参加しました。

○主催/スロバキア共和国文化省、スロバキアのユネスコ国内委員会、スロバキア国際児童芸術館(BIBIANA-International House of Art for Children)
○協力/IBBY(国際児童図書評議会)、ユネスコ

*「BIB2013」受賞者
・グランプリ
velyne Laube, Nina Wehrie(スイス)
・金のりんご賞
ong Yu(中国)
はいじまのぶひこ(日本)
きくちちき(日本)
In-kyung Noh(韓国)
Irma Bastida Herrena(メキシコ)
・金 牌
tella Dreis(ドイツ)
Renate Habinger(オーストリア)
Daniela Oleinikova(スロヴァキア)
Angela Cabrera Molina(スペイン)
Iraia Okina(スペイン)
・子ども審査員賞
i-hun Lee(韓国) 
・出版社特別賞
dle Talk, Faculty of Art and Design(Martin Raudensky)(チェコ)
Wins(Maria Christania)(インドネシア)
Amanuense(Wen Hsu-Chen)(コスタリカ)
Quilombo edicione(Maria de Los Angeles Vargas)(チリ)

* 「BIB2013」国際審査員
ustra Avotina(ラトビア)
Murti Bunanta(インドネシア)
Yusuf Gajah(マレーシア) 
Agnes Gyr(ルワンダ)
広松由希子(日本)
Eun Young Cho(韓国)
Svjetlan Junaković(クロアチア)
Arja Kanerva(フィンランド)
Igor Piačka(スロバキア)
Mingzhou Zhang(中国)

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