「きょうの絵本 あしたの絵本」広松由希子さん講演会


10月5日(土) 14:00~16:00 @杉並区立永福図書館   

                       
絵本の評論、および執筆にご活躍中の広松由希子さんの講演会が永福図書館で行われ、朝から雨の降るあいにくのお天気でしたが、定員いっぱいの大勢の方が参加され、大盛況でした。
 
 講演のテーマは「きょうの絵本 あしたの絵本~新しい出会いを求めて~」

この講演のテーマは、広松さんが3月に出版された著書のタイトルでもあります。

 
会場には永福図書館の児童担当の方々が約1か月ほど前から準備をした著書で紹介されたすべての絵本262点(一部は杉並区に所蔵がなく広松さんがご持参されました)が実際に手に取ってみることができるように展示されていました。

広松さんは、ご自身が永福図書館の地元にお住まいで子ども時代からのユーザー。お母さまも長く地元で子どもたちのために家庭文庫の活動をなさっており、図書館との縁もとても深いのです。(今は福岡在住)講演を聴きに来られた方の中には、広松さんを子ども時代から知っている方や、高校の同級生という方もいらっしゃいました。

さて、ちひろ美術館での学芸員をなさったあと、絵本に関わるお仕事を続けて来られた広松さん。

もちろん長く長く読み継がれてきた絵本の持っている力を信じていらっしゃいますが、その一方でそのロングセラーの絵本にこだわり続けると後進の絵本作家、絵本画家が育たないのでは、ということを危惧しているということ。

今回、紹介された絵本は2001年から2012年までに出版された絵本たち。毎年、1500冊近く出版される絵本の中で生き残っていく絵本は、ほんのわずか。特に大手の出版社は、売れなくなると絶版にしてしまいます。たくさん出版するものの、版を重ねる絵本は少ないということ。

広松さんが『きょうの絵本 あしたの絵本』に取り上げた絵本の中にも、すでに絶版になっているものもあり、「どうしてこんなに素晴らしい絵本が?」と思うようなものもその中にはあるというのです。

そして、そのような絵本を絶版にせずに、子どもたちに手渡していく、またそうすることで若い絵本作家、絵本画家を育てていくことも大切であり、それは「今の子どもたち」の文化を創ることになるとおっしゃるのです。なるほど、と思いました。

図書館の子どもの本の選書をする時に、核となる基本蔵書(いわゆるロングセラー)を大事にしつつも、それを補い、今の子ども達にふさわしいスタンダードな絵本を選んでいくという選書眼はとても大切になります。その選書眼を養うのも、ロングセラーを知ったうえで、これから10年先の子どもたちにも手渡していきたいと思う本を選ぶ、今の子どもたちの姿を残していく本を選ぶ、今の子ども達に寄り添う本を選ぶという作業の中にあるのでしょう。

そのために広松さんは、自分が好きだと思った絵本を大事にする、意外な本、食わず嫌いなところに好きになる絵本が見つかること、子どもに媚びているのではなく、読者を信じてじんわり伝わる絵本を選ぶことを、ポイントとしてあげてくださいました。

親やおはなし会のボランティアの中には120%子どもにウケる本を選ばなければと思いがちだが、そんなウケることだけで選ぶこともないともおっしゃいました。

広松さんのおすすめの262冊を、講演終了後にじっくり見て回りましたが、どの絵本もまさに意外性があったり、じんわりと子どもたちに語りかけてくれるようなものばかりでした。

新しい文化を創る・・・そういう視点での選書はあまり意識していなかったので、これからの「本のこまど」の選書でもそのような点を意識しながら選んでいきたいなと思った講演会でした。

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