ブックトーク事例 その2)


 初級研修・児童サービス基本編で実演したブックトークのシナリオをUPします。

 先日(2013年11月21日)の研修でも実演しましたが、みなさまに聞いていただいて、手を入れたいところがたくさん出てきました。
 これで完璧!というわけではないので、参考としてご覧になってください。
 季節や対象者の年齢によって、本を入れ替えたり、新たに紹介したい本を発見して加えたりと、アレンジしていくのも、ブックトークの醍醐味の一つです。ぜひ、みなさまも自分の好きなテーマを見つけて、大切に育ててほしいなと思っています。ブックトークは、たくさんの本を読み、選んだ本を読み込んで原稿を書きと大変ですが、それだけに見返りも大きい! ぜひ挑戦してみてください。
 
*シナリオにはありませんが、学校で行う際は、図書館の案内も重要です。
 図書館がすぐ近くにないような学校の場合は、学校図書館に蔵書があるか調べたり、団体貸出を検討したりするなど、紹介した本を子どもたちが手にとることができるようにしてください。書誌情報を書いたプリントも忘れずに配布して、あとから探せるようにしてください。
 
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テーマ【てがみはすてきなおくりもの】 対象:中学1年 30分
 
導入:
 
 みなさん、こんにちは。

 〇〇図書館の☓☓です。

 今日はブックトークといって、テーマにそって、おすすめの本何冊か紹介します。

 私は、毎日郵便受けを見て、手紙が入っているか確かめるのを楽しみにしています。たいていは、広告だけなのですが、たまに知り合いから手紙が届くと、とても嬉しくなります。先日もしばらく会っていない友達から、今こんなことをしているよ、と近況を知らせてくれる手紙が届いて、励まされました。

 最近は、メールですませてしまうことも多いかもしれませんが、みなさんも手紙を書いたり、もらったりしたことがありますよね。そのときは、はがきか、このような封筒で送ったと思うのですが、郵便屋さんは、このような封筒だけではなく、こんなものを届けてくれるのです。

ブックトーク 郵便物.jpg

 

 ・紙皿の郵便物を紹介

 ・貝がらの郵便物を紹介

 これらの郵便物は、この本を参考に作りました。

 
本の紹介:『てがみはすてきなおくりもの』 スギヤマカナヨ 講談社 2003
 
 
 
の本には、もらった人がびっくりするような、楽しい郵便物がたくさん載っています。

 (紹介)

 P4.5 葉っぱ

 P9 貝殻(ひろい読み)

 P20.21 切手の活用

 P38 郵便物のきまり

 ぜひ、この本からアイデアをもらって、もらった人が思わず笑顔になるような、楽しい郵便物を作ってください。

 今日は、「てがみはすてきなおくりもの」というテーマで本を紹介します。

 
 

 次に紹介するのは、王に宛てた重要な手紙を託された少年の物語です

本の紹介:『王への手紙 上・下』 トンケ・ドラフト作 岩波書店 2005 (岩波少年文庫)

トンケ・ドラフト
岩波書店
2005-11-17

 

 

トンケ・ドラフト
岩波書店
2005-11-17

 

 

物語の舞台は、こちらの2つの王国です。

(地図をみせる)

 ダホナウト王国とウナーヴェン王国。それぞれの国は、王様がおさめ、王の騎士たちが国の平和を守るために活躍した時代です。

 主人公の名前はティウリ。16歳のダホナウト王国の見習い騎士です。

 明日、正式な騎士になるために、こちらの小さな礼拝堂で、一晩中、飲まず食わずで、寝ないで騎士になる最後の覚悟を固める儀式の最中でした。物音一つしない、静かな闇の中、ティウリは同じ見習い騎士の友人たちと並んでじっと座っていました。このまま朝まで座っていれば、明日には騎士になれる。そんなときです。礼拝堂のドアをたたく音がして、「神の御名において、ドアを開けよ!」という声がきこえたのです。その場面を読んでみます。

 

うしてティウリは規則をやぶってドアを開けますが、そこには修道服に身をつつんだ男がたっていました。男は、ティウリに隣のウナーヴェン国王へ宛てた重要な手紙を、森の宿イカルヴァラにいる白い盾の黒い騎士に届けるよう頼みます。

 手紙を引き受けたティウリは、森の宿、イカルヴァラに向かいますが、白い盾の騎士はそこにはおらず、ようやく探しあてたときには、卑怯な手段で襲われ、深く傷ついていました。白い盾の騎士は、自分がおそわれる原因となった、国王への手紙を届けるという任務をティウリにたくし、息をひきとります。ティウリは、手紙に何が書いてあるのか知らぬまま、手紙を無事に国王のもとに届けることを誓うのです。

 困難な仕事がはじました。任務を秘密にしながら、できるだけ早く、山脈をこえて、国王のいるウナーヴェン市にいかなければならない。手紙をねらっている敵がいる。武器もお金も馬もない。さらには、白い盾の騎士を殺した者と誤解され、追われることになります。追い詰められそうになるティウリですが、「ひとつのことだけを考えればいい。手紙を届けることだ。それを、あの騎士に約束したんだ」と言いきかせ、山脈をこえるのを手伝ってくれるであろう隠者メナウレスさまのもとへと向かいます。途中、ブラウン修道院で助けをえたり、ミストリナウト城では監禁されたりしながらも、メナウレスの小屋にたどりついたティウリは、メナウレスのもとにいた少年ピアックを道案内に、大山脈をこえ、ウナーヴェン王国に入ります。ピアックはティウリより1つ年下で、山で育ち、山のことがよくわかっている少年です。大山脈の外に出たことがなく、ティウリへの道案内も山を越えるまでの約束でしたが、山脈の外の世界を見てみたいという思いと、ティウリがひとりで何かを抱えていることを感じ取り、一緒に旅を続けたいと言ってくれるのです。ティウリは、力強い仲間をえて、ウナーヴェン王国へ入ります。

 ちょうどここで上巻が終わりますが、下巻のウナーヴェン王国でも、裏切りものの市長が治めるダングリアでとらえられたり、お金を支払わなければわたれない橋で足止めされたりと、困難はたえません。そして、スルーポルという残酷な男が、すぐそばまで追ってきているというのです。誰が敵なのか味方なのかわからない、任務を秘密にしなければならないため、信頼もしてもらえないなかで、ティウリは、騎士としての使命を果たすことを胸に、いつしか「ぼくの任務は、きみの任務でもある」と言えるほど信頼できる友だちとなったピアックとともに、王のいるウナーヴェン市をめざして、旅を続けるのです。はたしてティウリは無事に手紙を届けることができるのでしょうか? そして、重要な手紙の中身とは、何なのでしょうか? たった1ヵ月半の冒険がこの上・下巻に描かれていますが、このなかでティウリは多くの緊迫した場面をのりこえていきます。ぜひティウリの冒険を、最後までみとどけてください。

 

 ティウリは手紙を届けるのに大変な困難を強いられましたが、次に紹介するのは、なんと宛て名のない手紙を届けた郵便屋さんのお話です。

本の紹介:『郵便屋さんの話』カレル・チャペック作 フェリシモ 2008

カレル・チャペック
フェリシモ
2008-03
 

 郵便屋さんの名前はコルババさんです。毎日歩いては配達する、自分のお仕事に、ちょっと嫌気がさしておりました。コルババさんは、あるとき郵便局で夜中までぐっすり眠り込んでしまいます。ピタピタと不思議な物音で目を覚まし、ネズミかな?と思ってあたりをみまわしたコルババさんは、なんとリスくらいの、あごにはまっ白いひげをふさふさはやし、郵便屋さんと同じ格好をした、郵便局の妖精をみつけたのです。コルババさんがそっとみていると、妖精たちは、郵便物の確認の仕事を終えると、手紙をカードにしてトランプをはじめました。どうやら大富豪ゲームのようなものをしているようです。どうして、数字も書いていない手紙で、トランプできるのか不思議に思ったコルババさんが、気をつけて出ていって聞いてみると、妖精たちは、手紙の中身で、強いカード、弱いカードを決めているというのです。郵便局の妖精は、ちょっと上から触ってみただけで、心のこもっていない手紙はつめたくて、愛がこもっているほど手紙は、あたたかいといった具合に、手紙の中身がわかり、ひたいにあてれば、書いてあることをそっくりそのまま読むことができるのだと教えてくれます。

 郵便局の妖精と一夜を過ごしたコルババさんは、妖精のことは郵便局のみんなには内緒にしていましたが、それからは、「この手紙はなまぬるい」などと言いながら、郵便配達の仕事を前より楽しむようになりました。

 そんなある日、コルババさんは「切手もなければ、宛て名もない手紙」を手にします。勝手にあけるわけにはいかないし、届けられるはずがありません。けれども、さわってみると、ばかにあたたかい手紙なので 気になってしかたないコルババさんは、もう一度、郵便局にまた泊り込んで、郵便局の妖精に中身を読んでもらいます。手紙はこのようなものでした。

(手紙を読む―P32)

なんと、その手紙は、結婚を申し込む大切な手紙だったのです。コルババさんは、決意します。「たとえ1年歩きまわるとも、世界じゅうを走りまわるとも、娘さんを探しだしましょう」さあコルババさんは、どうやってマジェンカを探し出し手紙を届けるのでしょうか? ぜひ読んでみてください。

 

次の本には、郵便局の妖精たちが触ったら、間違いなく強いカードだと言われる手紙が出てきます。

本の紹介:『父さんの手紙はぜんぶおぼえた』 タミ・シェム=トヴ 岩波書店 2011 

タミ・シェム=トヴ
岩波書店
2011-10-19
 
 
 
 
 
 
 

(手紙を見せながら)その手紙とは、このような小型の本の形に綴じた手紙で、オランダ語で書かれています。

 絵といっしょにおしゃべりとあるのですが、イラストもたくさん書かれているのです。 オランダ語が読めないのが残念ですが、訳されていますので、読んでみますね。

(手紙を読む)

この手紙は、父親から10歳の少女リーネケに送られたものです。1943年というと、今から70年も前になりますが、この手紙は、リーネケが読んだら、すぐに処分されてしまう運命でした。こんなに他愛無い手紙なのに、決して他の人に見られてはいけないものだったのです。また、リーネケという名前も実は本当の名前ではありません。

 この手紙の秘密は、第二次世界大戦中のユダヤ人の迫害に関係しています。リーネケの家族は、ユダヤ人で、獣医学の学者のお父さん、お母さん、お兄さん、お姉さん2人の6人のユダヤ人家族で、オランダでくらしていました。オランダがドイツ軍に占領されると、お父さんは大学の仕事を追われ、無理やり連行されそうになったので、リーネケ家族は身を隠すためにバラバラになりました。このときに、母さんから、戦争が終わるまで、それぞれが別の名前になる危険なゲームをはじめると言われ、リーネケという名前になります。そして、リーネケは、お父さんの知り合いのお医者さん、ドクターコーリーにあずけられ、デンハム村というところで、ユダヤ人であることを隠し、暮らすことになります。コーリー氏は、誠実な人柄でしたし、奥さんのフォネットも朗らかで明るい人だったので、リーネケはあたたかく身守られながら生活します。学校にも行き、友達もでき、勉強ができたので飛級もして、みんなに喜ばれます。苦しいことばかりではありませんでしたが、それでも、ユダヤ人だとわかってしまったらどうしようという不安はたえずありましたし、せっかくできた友達も、本当のことを隠しているので、本当の友達になれないと感じていました。そんなリーネケを支えてくれたのが、こっそり父さんから届けられた手紙でした。

ユダヤ人を匿ったというだけで命の危険があった当時、証拠となるような父さんの手紙を、ドクターコーリーは、リーネケが読んだあと、すぐ自分の元に返させていました。けれども、この愛情いっぱいの美しい手紙を捨てることができなかったのでしょう。箱に入れて、その箱を庭に深くうめて、保管します。そして、戦争が終わって、リーネケが父さんのもとに帰れるようになったとき、返してくれたのです。処分されてしまったと思っていた手紙を再び手にしたとき、リーネケは手紙をすべて暗記していて、絵も1つ1つもおぼえていることに気がつきます。リーネケは、手紙を心の中に焼きつけ、戦争中何度も何度も思い出していたので、すっかり覚えていたのです。

 この本は、残された父さんの9通の手紙と、今はおばあさんになったリーネケから聞いた話をもとに、書かれています。当時の緊迫した状況の中でも、コーリー夫妻をはじめ、明るさと思いやりを忘れずに暮らしていた人たちがいたことが、リーネケの目を通して伝わってきます。ぜひ父さんからの手紙をじっくり眺めながら、リーネケの物語を読んでみてください。

 
 

 リーネケは大好きなお父さんから手紙を受けとりましたが、次は天から降ってきた雪を手紙として受け取った人を紹介します。

本の紹介:『雪は天からの手紙―中谷宇吉郎エッセイ集』中谷宇吉郎 岩波書店 2002

 
 中谷宇吉郎さんは、主に北海道で雪や氷の研究をし、世界で初めて人工的に雪を作ることに成功した人です。学的な論文だけでなく、身近なものを科学の目でみたエッセイもたくさん書いています。『雪は天からの手紙』には、多く残されたエッセイの中から、21編がおさめられています。この表紙の絵は、中谷先生が作成した雪の結晶の分類図の一部ですが、本当に雪の結晶は、いろいろな種類があるのですね。中谷先生は、この結晶を観察すれば、天から地上に落ちてきた雪が、どのような環境で大きくなったのかわかるのではないかと考え、研究をします。

この本のなかに「雪を作る話」というエッセイがあるのですが、みなさんだったら、道具は用意するので、この部屋で雪の結晶を作ってみてくださいと言われたら、どのようなことをしますか?

 谷先生も、始めは、銅板でできた1メートルくらいの丸い筒を冷やして、上から水蒸気を吹き込んでみたそうですが。これでは雪は降らなかったそうです。そのあとは、もっと装置を小さくして、内側から冷やしたらどうなるだろう、など、あれこれ試して、4年がかりで雪の結晶を作っています。中谷先生がどのように雪の結晶を作ったのか、知りたい人は、たった6ページの文章ですので、「雪を作る話」を読んでみてください。少し難しいところもあるのですが、丁寧に読んでいくと、なるほどと思うことができると思います。雪を作るヒントは、自然と同じ条件にすればよいということだそうです。

 この本には、他にも、雪の研究のために行った「十勝岳の話」など、雪に関するエッセイがあります。中谷先生が、どのように天からの手紙を読み解こうとしたのか、ぜひ読んでみてください。


 

 今日は「てがみはすてきなおくりもの」というテーマで本を紹介しました。最後に詩を一つ紹介して終わりにします。

詩の朗読:「手紙」鈴木敏史 (『詩の本みんなでうたおう』岸田今日子編 岩波書店 2001)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
詩「手紙」を朗読
 
 
終わり:
 
今日紹介した本は、
①『てがみはすてきなおくりもの』
②『王への手紙 上・下』
こちらは『白い盾の少年騎士 上・下』という続編があります。少し大人になったティウリとピアックの冒険もぜひ読んでみたください。恋の話もちょこっと、出てきます。
③『郵便屋さんの話』
このお話は、『長い長いお医者さんの話』にも入っています。この本は「郵便屋さんの話」以外にも、少し変わった短い物語が他にもありますので、ぜひ読んでみたください。
④『父さんの手紙はぜんぶおぼえた』
⑤『雪は天からの手紙』
⑥最後の詩は、『みんなでうたおう 詩の本3』より紹介しました。
 
 紹介した本は、これから配るプリントに書いてあります。すべて図書館で借りられますので、読んでみたい!と思った本を、ぜひ借りにきてください。これで、ブックトークを終わりにします。
 
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(T.S)
 
 
 
 
 
 

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