Yearly Archives: 2014

2014年(その3) 赤い葉っぱ 黄色い葉っぱ(幼児~小学生)
2014年(その2) ある秋の日(幼児~小学生)
2014年(その1) あき いっぱい(小さい子)
11月おはなし会☆おすすめ本リスト
『ひみつの王国 評伝石井桃子』新潮社
基本図書を読む5『モモ』ミヒャエル・エンデ
H26年度8月「児童部会のキャラクター出来上がりました♪」
2014年(その3) ハロウィン(幼児~小学生)
H26年度8月「 第16回図書館総合展ポスターセッションに出展します♪」
2014年(その2) アフリカを楽しもう(幼児~小学生)
2014年(その1) あきだよ♪(小さい子)
子どもと本を繋ぐための本
10月のおはなし会✩おすすめ本リスト
基本図書を読む4『星の王子さま』サン=テグジュペリ
国際子ども図書館✩バーチャルツアー

2014年(その3) 赤い葉っぱ 黄色い葉っぱ(幼児~小学生)


春の桜前線が日本列島を南から順番に北上するのに対して、紅葉前線は北海道から始まって次第に南下していきます。合わせて高山では早く、頂上付近から麓へ降りてくるのですね。

 
さて、北海道大雪山系での紅葉の頼りが届きました。東京近郊の紅葉は11月中旬から12月にかけての頃でしょうか。今から紅葉の季節が楽しみです。こんなサイトもみつけました。→2014全国紅葉最前線
 
さて、3つめのおはなし会✩おすすめプランはその紅葉がテーマです。
 
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【赤い葉っぱ 黄色い葉っぱ】 幼児~小学低学年向け
 
絵本 『あかいはっぱ きいろいはっぱ』ロイス・エライト/阿部日奈子訳 福音館書店 3分
あかいはっぱきいろいはっぱ (かがくのほん)
ロイス エイラト
福音館書店
2002-11
 
表紙の紅葉・黄葉に圧倒されるような絵本です。カエデの葉の移り変わりを伝えてくれます。ただ、「サトウカエデ=メープル」の葉は日本では馴染みが薄いですね。この本を読んだあと、『落ち葉』あるいは『わたしのもみじ』からいくつか写真を見せて、身近な紅葉についておはなししてあげるといいでしょう。
本の紹介 『落ち葉』平山和子 福音館書店
落ち葉
平山 和子
福音館書店
2005-09-25
 
 
 
『わたしのもみじ』岩間史朗 ポプラ社
わたしのもみじ (シリーズ・自然 いのち ひと)
岩間 史朗
ポプラ社
2001-11
 
 
 
 
絵本 『秋は林をぬけて』 小泉るみ子 ポプラ社 6分
秋は林をぬけて (小泉るみ子四季のえほん)
小泉 るみ子
ポプラ社
2001-10
 
北海道の林を描いた絵本。今はこんなに豊かな秋の林に出会うことは少ないかもしれません。1ページ1ページから、秋の実り、紅葉、すべてが美しく立ち上り、こんなに豊かな自然の中で迎える季節の変化に感謝したくなります。雪虫が飛ぶと、雪が降り始めるといった表現も、北海道らしい描写です。
季節の変化を味わうように、ゆっくりと読んであげてください。
 
絵本 『マーシャとくま』 M・ブラトフ/内田莉莎子訳 福音館書店 8分
マーシャとくま―ロシア民話 (世界傑作絵本シリーズ―ロシアの絵本)
M・ブラトフ
福音館書店
1963-05-01
 
ロシアの昔話です。ページ数は少ないのですが、文字数が多く、聴き応えのするお話です。覚えて素話で語ってあげても良いと思います。かしこいマーシャと、対照的なとぼけた味のくまの様子に、子どもたちもわくわくしながら耳を傾けることでしょう。
(K・J)

2014年(その2) ある秋の日(幼児~小学生)


秋は静かなイメージもありますが、生きものたちが冬にそなえて、動いている季節でもあります。
そんな生き物の息遣いを感じられる本を中心に組み立ててみました。
秋も魅力がいっぱいです!
 
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【ある秋の日】 幼児から小学生向け
 
絵本 『ワイズ・ブラウンの詩の絵本』 
 
マーガレット・ワイズ ブラウン
フレーベル館
2006-02
 
世界中でよみつがれている絵本・児童書を、編集者・作家として、多く手がけたマーガレット・ワイズ・ブラウンの詩の絵本です。虫や魚、鳥など子どもたちにとって身近な生きものをうたった詩や、自然や季節を感じることができる詩が、たくさんあります。ユーモアがあって、楽しく優しい詩ばかりです。秋におすすめの詩は、「あき」「おちば」です。最後の詩「し」も、ぜひ子どもたちと味わってください。
 
絵本 『木はいいなあ』 3分
 
木はいいなあ
ジャニス=メイ=ユードリイ
偕成社
1976-04
 
木があると、木蔭でお昼寝できたり、ブランコができたり、落ち葉でたき火ができたりと、読み終えると、「木はいいなあ」と感じることができる1冊です。文章は簡潔でやさしく、絵はカラーと白黒のページが交互になっていて、余白をたっぷり味わうことができます。どうぞ素直に読んであげてください。しみじみと味わう子もいれば、「こんなこともできるよ!」と声をあげてくれる子もいると思います。
 
 
絵本 『どんぐり』 7分
 
どんぐり (かがくのとも傑作集 どきどき・しぜん)
 
木から落ちたどんぐりは、動物に食べられたり、さまざまな場所に埋められたりします。そして、ちょうどよい条件に恵まれたどんぐりが、再び芽を出し、大きな木になり、再び実をつけるのです。簡潔な文章と絵で、どんぐりの一生をたどることができる科学絵本です。保存方法が動物によって違うことや、埋められる深さによって芽を出せるかが決まるなど、発見することがたくさんあり、子どもたちも興味津々で聞いてくれます。
 
絵本『子リスのアール』 7分
 
子リスのアール
ドン フリーマン
BL出版
2006-11
子リスのアールは、初めて自分でドングリを見つけに行きますが、友達の女の子ジルに助けてもらってばかりで、お母さんにしかられてしまいます。そこでアールは夜中にこっそり起きて、自分一人でドングリを探しに出かけますが・・・。かわいい子リスの冒険物語です。雄ウシのコンラッドとやり合う場面は、子どもたちは熱中して聞いてくれます。モノクロの絵に赤いスカーフが引き立っていて、目でも楽しめる絵本です。
 
(T.S)

2014年(その1) あき いっぱい(小さい子)


小さい子のための11月のおはなし会✩おすすめプランです。

 
わらべうたと組み合わせながら、楽しい時間になるといいですね。
 
 
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【あき いっぱい】 小さい子向けプログラム
 
導入 わらべうた  「はなちゃん」
はなちゃん りんごをたべたいね でこちゃん
(遊び方)
はなちゃん→鼻のあたまを2回そっとつつく
りんごを  →ほっぺを2回そっとつつく
たべたいね →口元を2回そっとつつく
でこちゃん →おでこを2回そっとつつく
お母さんと赤ちゃんが向かい合わせになって、 お母さんが赤ちゃんの表情を見ながら遊びます。 

絵本 『りんごぼうや』 ディック・ブルーナ 松岡享子訳 福音館書店 2分
りんごぼうや (ブルーナの絵本)
ディック・ブルーナ
福音館書店
2012-04-04
 
 
りんごのぼうやは、羽根も足もないから自分で出かけていくことができないのですね。その悲しみを知ったかざみどりが、いろんなところに連れて行ってくれます。小さな子どももこうやって世界を広げていくのでしょうね。
 
わらべうた  「おーちた おちた」
おーちた おちた  なーにがおちた?**** りんごがおちた!
(遊び方)
りんご、柿、梨、くり、まつぼっくり、どんぐりなどを用意しておきます。
ひとつずつ手の中に隠して、わらべうたを歌い、****の部分で高く放り上げて手でキャッチします。
その間にそれが何だったか当ててもらうゲームです。大きいものから小さいものに移行させていきます。
秋の実りを実際に見ることが出来て、子どもたちも大喜びします。
   
絵本 『さわさわもみじ』 ひがしなおこ/きうちたつろう くもん出版 2分
さわさわ もみじ (はじめてであうえほんシリーズ)
ひがし なおこ
くもん出版
2013-09-09
 
 
秋の公園にさわさわと風が吹いて、あかいもみじさん、きいろいもみじさん、ちゃいろいもみじさん、あなあきももじさんが、さわんさわんと散っていきます。その落ち葉の上にぽとんことん、ぽとんことんとどんぐりも落ちて、秋がだんだん深まっていきます。ことばのリズムが心地よい絵本。
 
わらべうた  「おてぶしてぶし」
おてぶしてぶし てぶしのなかに
へーびのなまやけ かえるのさしみ
いっちょばこ やるから まるめておくれ
いーや  (大当たり! 大外れ!)
(遊び方)
両手の中に、どんぐりを隠して、このわらべうたを歌いながら動かします。歌い終わった時に片方の手で握ります。右手、左手、どっちの手に隠したかを当ててもらいます。 2、3回やって遊んでみましょう。
   
絵本 『くんくんふんふん』 オスターグレン晴子/エヴァ・エリクソン 福音館書店 2分
くんくん ふんふん (幼児絵本シリーズ)
オスターグレン 晴子
福音館書店
2008-09-10

子犬のポンテは好奇心たっぷり。くんくん、ふんふん、においを嗅ぎながら庭じゅう歩き回っています。へびの穴に鼻をつっこんでみたり、ハリネズミに驚いてみたり、かさこそ音を立てて舞いおどる枯葉に誘われてあちこち走り回ります。最後に大好きなにおいを見つけて!ポンテの可愛らしい姿に注目です。

(K・J)

 

11月おはなし会☆おすすめ本リスト


11 月のおはなし会で使える絵本のリストです。

 
昨年のリストを見直し、見落としていたものを追加したり、新たに出版されたものを加えました。
また、秋の本は9月・10月・11月を通して、使える本も多いため、重複して記載しています。

おはなし会の選書に、特集展示などの選書にご活用ください!
 
(2014年9月5日
 
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『ひみつの王国 評伝石井桃子』新潮社


2014年6月末に出版された『ひみつの王国 評伝石井桃子』(新潮社)は、新聞書評などにも取り上げられ、話題になっています。
ひみつの王国: 評伝 石井桃子
尾崎 真理子
新潮社
2014-06-30

 
8月22日に教文館子どもの本のみせナルニア国で開催された『ひみつの王国 評伝石井桃子』刊行記念 尾崎真理子氏講演会、”石井桃子とは誰だったのか”に参加してきました。

講演の冒頭に、「石井桃子さんのよい読者であった方こそ、この本を読んでざわつく思いがあったのでは?」と投げかけられました。

子ども時代から本に親しんできた人や子どもに本を手渡して来た人たちにとっては、「石井桃子」という名前は特別な存在だからです。石井桃子さんがいなければ、日本の児童文学はどうなっていただろうというくらい大きな影響を与え、その確立に尽力された方でした。『くまのプーさん』をはじめとする海外の優れた児童文学や絵本を日本に翻訳、紹介するとともに、岩波こどもの本、岩波少年文庫などのシリーズを編集し、『ノンちゃん雲にのる』などの創作児童文学や、多くの絵本を遺しました。その石井桃子さんの知られざる側面が、この評伝を通して明らかにされたからでした。

この本の帯には「菊池寛に編集を学び、太宰治に恋され、「プーさん」を訳し、「ノンちゃん」を生み出した。」「200時間におよぶインタビューと膨大な書簡をもとに仕事、生活、戦争秘話まで101年の稀有な生涯を描き尽くす。児童文学の巨星、初にして決定版評伝!」とあります。

この評伝を書いた尾崎真理子さんご自身も、子ども時代に石井桃子さんの編集された岩波子どもの本や、翻訳された本に親しんで育ってきた世代でした。その後、新聞社の文化部記者として文芸欄に書評や作家のインタビュー記事などを書いてこられました。そして石井桃子さんの評伝を書こうと思ったきっかけが、1994年に発行された長編『幻の朱い実』に出会ったことであったとを、この本の冒頭に書いておられます。

「あの『いしいももこ』と同じ人物なのだろうか。
 一九九四年春。計千六百枚の長編『幻の朱い実』を読み終えた時から、私はどこかで、石井桃子の評伝を構想し始めたのかもしれなかった。物心つかない頃から友人のように親しんできた児童文学者はそのとき、八十七歳を迎えてなお健在で、こんなに馥郁たる大輪の花のような小説を書く大人の作家だった!それを知った驚きは、喜びと争うほど大きく、ならばどうしてこのような本格小説が今まで書かれなかったのか?文芸担当の記者になったばかりの私は、以来二十年、石井桃子という人への消すことのできない執心にとらえられ続けてきた。」(『ひみつの王国 評伝石井桃子』p7)

この評伝は、石井桃子さんの101年の生涯をインタビューなどを通して取材し、とても丁寧にに描いているのですが、なぜそのタイトルが「ひみつの王国」なのかを順に追ってお話してくださいました。その「ひみつ」の中心になっているのが、『幻の朱い実』に描かれた石井桃子さんの若かりし頃の人間模様、そしてもう一つの「ひみつ」が戦争をめぐる時代の生き方と、なぜ戦前に『くまのプーさん』を翻訳出版できたのか、という石井桃子さんが児童文学へと向かう核心部分です。この部分は、ほんとうに読んでいて面白く、分厚い本もあっという間に読み進めることができます。

尾崎さんが講演の後半に、あの当時女子大を卒業した高学歴女性にとって、職業婦人として生きることが出来たのが唯一出版界であったこと、そしてもう一つは戦時中に時代の流れとはいえ、戦争に加担してしまったという悔いがあったからこそ、戦後の彼女の活動には次世代の子どもたちが騙されないようにするために、よい本を子どもたちに手渡すのだという信念があったということをおっしゃいました。

そのような背景を、評伝を通して読むと、石井桃子さんが100歳のお誕生日を前に遺された言葉、「本は一生の友だち」という以下の一文の重みを、しっかりと受け止めることが出来ます。

「本は友だち。一生の友だち。子ども時代に友だちになる本。
そして大人になって友だちになる本。本の友だちは一生その人と共にある。
こうして生涯話しあえる本と出会えた人はしあわせである。」(2007年2月8日)

児童サービス担当でなくても、この本は評伝としても、大変優れており、石井桃子さんの作品を頭に描きながら読みすすめていくことができるので、ぜひ読んでくださることをおすすめします。(K・J)

基本図書を読む5『モモ』ミヒャエル・エンデ


 「小さなモモにできたこと、それはほかでもありません。あいての話を聞くことでした。なあんだ、そんなこと、とみなさんは言うでしょうね。話を聞くなんて、だれにだってできるじゃないかって。

 でもそれはまちがいです。ほんとうに聞くことのできる人は、めったにいないものです。そしてこの点でモモは、それこそほかには例のないすばらしい才能をもっていたのです。」 p22
モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)
ミヒャエル・エンデ
岩波書店
1976-09-24
 
大きな都会のはずれにある廃墟となった円形劇場に住み着いた身寄りのない女の子、モモ。モモは「人の話を聞く」ことによって、多くの友達を得ていました。いや、そうではなく町の人々がモモの存在に支えられていたのです。
 
「モモに話をきいてもらっていると、どうしてよいかわからずに思いまよっていた人は、きゅうにじぶんの意思がはっきりします。ひっこみ思案のひとには、きゅうに目の前がひらけ、勇気が出てきます。不幸な人、なやみのある人には、希望とあかるさがわいてきます。たとえば、こう考えている人がいたとします。おれの人生は失敗で、なんの意味もない、おれはなん千万もの人間の中のケチな一人で、死んだところでこわれたつぼとおんなじだ、べつのつぼがすぐにおれの場所をふさぐだけさ、生きていようと死んでしまおうと、どうってちがいはありゃしない。この人がモモのところに出かけていって、その考えをうちあけたとします。するとしゃべっているうちに、ふしぎなことにじぶんがまちがっていたことがわかってくるのです。いや、おれはおれなんだ、世界じゅうの人間の中で、おれという人間はひとりしかいない。だからおれはおれなりに、この世の中でたいせつな存在なんだ。
 こういうふうにモモは人の話が聞けたのです!」 p22
 
モモと一緒に円形劇場で遊ぶ子どもたちは、想像のつばさを思い切り広げ、じぶんたちが色々なものになりきって、思う存分遊んでいました。おとなも子どももモモが大好きでした。
 
ところが、あるときモモのところに誰も来なくなってしまいます。それは、灰色の男たちが暗躍を始めたからでした。
 
灰色の男は、時間を節約して時間銀行に貯蓄しようと人々を説得していきます。たとえば、床屋のフージーにはこんなふうに話します。
 
「仕事をさっさとやって、よけいなことはすっかりやめちまうんですよ。ひとりのお客に一時間もかけないで、十五分ですます。むだなおしゃべりはやめる。年よりのお母さんとすごす時間は半分にする。いちばんいいのは、安くていい養老院に入れてしまうことですな。そうすれば一日にまる一時間は節約できる。それに、役立たずのボタンインコを飼うのなんか、おやめなさい!ダリア嬢の訪問は、どうしてもというのなら、せめて二週間に一度にすればいい。寝るまえに十五分もその日のことを考えるのもやめる。とりわけ、歌だの本だの、ましていわゆる友だちづきあいだのに、貴重な時間をこんなにつかうのはいけませんね。ついでにおすすめしておきますが、店の中に正確な大きい時計をかけるといいですね。それで使用人の仕事ぶりをよく監督するんですな。」 p88~89
 
しかし実際には、灰色の男たちがその時間を盗んでいたのです。そんな訳で、時間泥棒に時間をぬすまれた町の人々は、常に不機嫌で、ギスギスした関係になっていきます。

灰色の男はモモのところへもやってきます。しかしモモと話をしているうちに、不思議なことに自分たちの正体の秘密までしゃべってしまいます。モモは灰色の男たちの陰謀を知って、この町の人々を救おうと立ち上がります。灰色の男たちは、モモを捕まえようとします。
 
時間を司るマイスター・ホラに遣わされたカメのカシオペイアに導かれ、モモはホラに出会い、時間の根源的な意味を知ります。そしてカシオペイアとともに人々を救うための闘いに乗り出すのです。
 
目には見えない「時間」を取り戻すという闘いは、まさに経済優先社会がもたらす人間性の歪み、破綻から、解き放つという意味があります。人間らしさとは、どういうことなのか。生きるというはどういうことなのか。人間が生きていく上で切っても切れない時間、そしていずれ誰もが迎える死について、この物語はファンタジーという手法を取りながらも、読むものに鋭く問いかけてきます。
 
もちろんファンタジーとしての展開も面白く、読み始めると夢中になってしまった子どもたちを何人も知っています。そして、モモがただ寄り添って聞くだけだったように、この本も読んでくれる子どもたちの心に寄り添い、その後の成長過程において彼らに答えてくれることでしょう。
 
ミヒャエル・エンデ(1929‐95 ドイツ)は、この作品で児童文学作家としての地位を確立します。もうひとつの代表作である『はてしない物語』をはじめとして彼の絵本や戯曲などの作品は、単に子どもたちのための「ファンタジー」というだけでなく、人間の存在を見つめ社会に対する鋭い洞察が含まれており、大人にも広く読んでほしい作品です。
 
エンデの作品を深く理解するためには、いくつかの対談集が出ています。こちらも合わせて読むとよいでしょう。(K・J)
三つの鏡―ミヒャエル・エンデとの対話  エンデと語る―作品・半生・世界観 (朝日選書)  ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと: 時間・お金・ファンタジー (とんぼの本)
『三つの鏡 ミヒャエル・エンデとの対話』 ミヒャエル・エンデ、安野光雅、井上ひさし、河合隼雄、子安美知子 朝日新聞社 1989
『エンデと語る 作品・半生・世界観』 子安美知子 朝日新聞社 1986
『ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと 時間・お金・ファンタジー』 池内紀、小林エリカ 子安美知子 新潮社 2013
 

H26年度8月「児童部会のキャラクター出来上がりました♪」


第16回図書館総合展ポスターセッションに参加するのを機に、児童部会のキャラクターイメージを募集し、その案をたたき台にヴィアックスのデザイナーSさんにキャラクター作成をしていただきました。

ポスターや児童部会の名刺、バッジなどで活用していきたいと思います♪

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これらの画像の著作権は、(株)ヴィアックス アウトソーシング事業本部に帰属します。
 

2014年(その3) ハロウィン(幼児~小学生)


10月31日は、ハロウィンです。もともとはケルト民族の秋の収穫を祝い、悪霊を追い出す宗教的な儀礼でした。アメリカに広まって、いつしか宗教的な意味がなくなり、子どもたちにとって「Trick or Treat!」と、変装して練り歩き、美味しいお菓子をたくさんもらえる楽しいお祭りになっています。

日本でも1990年代後半から、ポピュラーになってきました。2010年にもハロウィンをテーマにおすすめプランを作りましたが、また違う絵本の組み合わせで作ってみました。

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【ハロウィン】 幼児~小学生向け

絵本  『きんいろのとき ゆたかな秋のものがたり』アルビン・トレッセルト/ロジャー・デュボアザン ほるぷ出版 8分
きんいろのとき―ゆたかな秋のものがたり
アルビン トレッセルト
ほるぷ出版
1999-09
 

夏から秋へ移りゆく畑の風景。典型的なアメリカの農村風景です。美しい色合いの絵本で、収穫の秋の喜びを伝えてくれます。
2010年にも紹介した1冊ですが、今回もこの本を導入に持ってきました。同じように収穫の喜びを伝える絵本には『にぐるまをひいて』(ドナルド・ホール/バーバラ・クーニー ほるぷ出版)がありますが、『きいいろのとき』のほうが、感謝祭までの秋の情景を描いており、文章量的にもこちらが読みやすいと思います。

 
絵本 『魔女たちのあさ』エドリアン・アダムズ 奥田継夫訳 アリス館 3分
魔女たち.jpg
エドリアン・アダムズ
アリス館
1977-05
 
魔女とハロウィンの出てくる絵本を、いろいろ手にとってみましたが、やはりこの1冊に叶うものはないと思いました。ただし残念なことに絶版になっています。リズミカルで楽しい文章と、想像力を掻き立てる絵。図書館でしか手に取ることができません。除籍にしないように気をつけてくださいね。
 
 
絵本 『パンプキン』ケビン・ロビンズ 千葉茂樹訳 BL出版 7分
パンプキン
ケン ロビンズ
BL出版
2007-10
 
写真絵本です。昨年10月にカリフォルニアに行った時に、実際にかぼちゃの品評会会場を見てきましたが、オレンジ色の大きなかぼちゃがたくさん並んでいました。この絵本はそんなアメリカの品評会の様子、かぼちゃをくり抜くジャッコーランタンの作り方などが紹介されている絵本です。
 
絵本 『しゃっくりがいこつ』マージェリー・カイラー/S・D・シンドラー 黒宮純子 セーラー出版 3分
しゃっくりがいこつ
マージェリー カイラー
セーラー出版
2004-10
 
最後の1冊は、ちょっととぼけたがいこつの絵本。この絵本を読むコツは、「ヒック ヒック ヒック・・・」というしゃっくりをどう表現するかです。上手にやると、聞いている子どもたちが「どうしたらしゃっくりを止められるかなぁ・・・」と真剣な心配して、ぐいぐい引き込まれていきます。ナンセンス絵本ですが、たっぷり練習をして臨みたいですね。
(K・J)
 

H26年度8月「 第16回図書館総合展ポスターセッションに出展します♪」


ヴィアックス児童部会は、2014年11月5日~7日にパシフィコ横浜で開催される第16回図書館総合展ポスターセッションに出展します。

 
それに合わせて新しいコンテンツを作りました。「第16回図書館総合展ポスターセッション」にクリックしていただくと、各研究班が公開するリストやモデルプランを見ていただけるように、これから準備をしていきます。
 
また、各研究班が創意工夫を重ねたポスター作成の準備を始めています。どうぞ図書館総合展会期中に会場に足を運んでポスターを見に来てください♪


ポスターセッションのテーマなどは以下の通りです。
(大会のプログラムに掲載されるのと同じ内容です)
 
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つながり、学び合う場 ― ヴィアックス児童部会
 
現場の声から生まれた児童サービスのヒント、発信します!
 
児童部会は、ヴィアックスが受託する各図書館での取り組みや情報を共有することを通して、児童サービスの充実を図るため2009年秋に発足しました。部員は現場のニーズに合わせて学び合うと共に、自己研鑽を積んできました。2013年からは、さらに専門性を高めるために、6つの研究班に分かれて調査研究を進めています。
 ポスターセッションでは、その成果として現場で活用できるリストやモデルプランを発表します。”今すぐ試したくなる”、そんな情報が盛りだくさんです。ぜひご覧ください。
 
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2014年(その2) アフリカを楽しもう(幼児~小学生)


さまざまな国や地域の文化を知るよいきっかけとして、絵本や昔話があります。
その国の雰囲気をよく表わした絵や、語り伝えられてきた物語から、どんなことを大切にして生きているのか、人々のくらしや生き方を、自然と受け取ることができます。
さまざまな文化を楽しみながら受け入れられるよう、ぜひ絵本や昔話を紹介してみてください。
今回は、【アフリカを楽しもう】というテーマで、アフリカの本を紹介します。
  
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【アフリカを楽しもう】(幼児~小学生向け)
 
絵本『アフリカの音』 3分
 
アフリカの音 (講談社の創作絵本)
沢田 としき
講談社
1996-03-08
 
グン ゴド パ グン ゴド パ
グン ゴド パ グン ゴド パ
西アフリカの空の下、タイコの音がひびき、みんなはおどります。いのちのつながり、生きるよろこびが、ゆったりした絵と言葉から伝わってくる絵本です。タイコやダンスの文化が、いかに周りの自然や暮らしと結びつき、人々の心に影響しているのか、アフリカの豊かさを味わうことができます。絵には、民族衣装や人々の生活の様子も、丁寧に描かれています。
 
絵本『エチオピアのむかしばなし むらの英雄』 5分
 
むらの英雄 (エチオピアのむかしばなし)
 
昔、12人の男たちが町にいった帰り道、仲間がそろっているか数えてみました。ところが、自分を数えるのを忘れてしまったので、11人しかいません。「たいへんだ!だれかが いないぞ!」 男たちは、いなくなった1人を惜しみながら、村に帰りますが・・・アフリカの朗らかさが伝わってくる愉快な昔話です。
 
絵本『おとうとは 青がすき―アフリカの色のお話』 6分
 
おとうとは青がすき―アフリカの色のお話 (世界の絵本)
 
お姉ちゃんのンネカが弟のチディに色の名前を教えます。大おじさんのぼうしの色は、赤色。ヤシの葉っぱは、緑色。ヒョウタンの実の器は、クリーム色。身近な色を通して、アフリカのくらしや文化を知ることができる写真絵本です。同じ作者の本に『たのしい おまつり』『いっしょにあそぼう』『AはアフリカのA』『おばあちゃんにおみあげを』もあります。
 
たのしいおまつり―ナイジェリアのクリスマス
イフェオマ オニェフル
偕成社
2007-03

AはアフリカのA―アルファベットでたどるアフリカのくらし (世界の絵本)
 
 
 
おばあちゃんにおみやげを―アフリカの数のお話
イフェオマ オニェフル
偕成社
2000-10
 
 
 
絵本『ダチョウのくびは なぜながい? アフリカのむかしばなし』 7分
 
ある日、ワニが虫歯をぬいてもらおうと、動物たちに声をかけますが、みんな怖がってにげてしまいます。
お人好しのダチョウは、ワニがかわいそうになって、ワニの口の中に頭をいれて、虫歯をみてやろうとしますが・・・。クーズー、ウミウシ、オウム、ヒヒ、ゾウ、フラミンゴなど、アフリカのさまざまな動物が登場する愉快な昔話です。
 
(T.S)
 
 

2014年(その1) あきだよ♪(小さい子)


台風一過、今日はまた暑さが戻っています。

 
でも気持ちは涼しい秋へ。10月のおはなし会✩おすすめプランの一つ目は、小さい子向けのプログラムです。
 
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【あきだよ♪】(小さい子のためのプラン)
 
導入 わらべうた きーりすちょん
 きーりすちょん こどもにとられて 
 あほらし ちょん
 (遊び方:大きい子の時は、立ち上がって時計回りに歩きながら
      ”ちょん”で飛び上がります。
      小さい子の時は、赤ちゃんの腕や足に沿ってお母さんが指でなぞりながら
      ”ちょん”のところで、指で赤ちゃんをつつきます。)
 
絵本 『ばったくん』五味太郎 福音館書店 (2分)
ばったくん (幼児絵本シリーズ)
五味 太郎
福音館書店
1989-02-01
 
ばったくんのおさんぽ。「ぴょん ぴょん ぴょん ちょん ちょん どきっ」、「ぴょん ぴょん ぴょ ぴょ ぴょ」、「ぴょーん ぴょーん ぽょーん ぽょーん」、ばったくんの行く先で飛び跳ねる時の微妙なことばの違って、それがまた面白いリズムを作り出しています。
 
絵本 『どんぐりころちゃん』みなみじゅんこ アリス館 (1分30秒)
どんぐりころちゃん
みなみ じゅんこ
アリス館
2013-09-11
 
昨年出版された可愛らしいわらべうたの絵本。絵本の末尾にわらべうたが採譜されているので、歌いながら読んでいくとよいでしょう。
その後、お母さんといっしょに赤ちゃんの頭とおしりを触りながら、もう一度わらべうたを楽しみます。
 
わらべうた どんぐりころちゃん
  どんぐりころちゃん あたまはとんがって
  おしりはぺっちゃんこ どんぐりはちくりしょ
 
絵本 『どんぐりころころ』しぜんにタッチ! 片野隆司 ひさかたチャイルド (3分)
どんぐりころころ (しぜんにタッチ!)
片野 隆司
ひさかたチャイルド
2007-09-01
 
小さい子どもたちが公園などでどんぐりを拾う機会も多い秋。この絵本は、小さな子どもたちにもわかりやすく「どんぐり」のことを伝えてくれます。ことばのリズムも心地よい1冊です。子どもたちにとって一番大切なことは実体験することです。小さい子向けのプログラムでも、写真絵本などを積極的に紹介していきましょう。
 
絵本 『くまとりすのおやつ』きしだえりこ/ほりうちせいいち・もみこ 福音館書店 (2分)
くまとりすの おやつ (幼児絵本シリーズ)
きしだ えりこ
福音館書店
2008-02-20
 
くまとりすがきいちごをさがしに出かけます。おいしいきいちご、みつかるかな?お腹いっぱいになるかな?リズミカルなやさしい絵本です。
 
 
 
 
(作成K・J)

子どもと本を繋ぐための本


この夏、子どもと本を繋ぐための本が、2冊出版されました。

まず最初に紹介したいのが、脇明子さんの『読む力が未来をひらく ― 小学生への読書支援』(岩波書店、2014年7月30日)です。
読む力が未来をひらく――小学生への読書支援
脇 明子
岩波書店
2014-07-31


2005年に出版された『読む力は生きる力』、2008年に出版された『物語が生きる力を育てる』に続くシリーズの完結編です。

子どもたちを巡る新しいメディアの変化や、子ども自身が「読書」というものに敷居の高さを感じ、「読書離れ」が顕著になっていく中で、脇明子さんや、脇さんの教え子たちの現場実践で得た確かな手応えと、しっかりとした理論に基づき、「小学生への読書支援」をどのように捉えていくのかが、わかりやすく書かれています。

この本は、シリーズの前作2点と、脇明子さんや教え子の教育実践をまとめた『子どもの育ちを支える絵本』(岩波書店、2011年5月25日)、『自分を育てる読書のために』(小幡章子/共著、岩波書店、2011年6月29日)と合わせて読むことをおすすめします。

「物語」を読むことが、子どもの成長に、とりわけ想像力や心の成長にどのように関わっていくのかが、理解できることと思います。


もう一冊が、赤木かん子さんの『子どもを本嫌いにしない本』(大修館書店、2014年6月20日)です。
子どもを本嫌いにしない本
赤木かん子
大修館書店
2014-06-14

赤木かん子さんは、かねてより「本は913に限らない。どうして大人は子どもに本を読めという時に、913、つまり物語ばかりを勧めたがるのか」と発言され、文学以外の本の魅力を紹介する活動を続けてこられています。

私自身が赤木かん子さんの講座を最初に聞いたのは、今を遡ること17年ほど前。『絵本・子どもの本総解説』の第三版が出版された頃のことでした。東京子ども図書館のリストに基本図書として掲載されている本は、もう今の子どもたちには古すぎる、古典でしかないこと、いつまでの「良書」にこだわっていては子どもたちの本離れはどんどん進んで行くことを力説されていました。

次にお話を伺ったのが、2006年。『調べ学習の基礎の基礎』(ポプラ社、2006年3月)を出版された時でした。もともと「物語」が好きで、「本の探偵」として活躍されていた赤木さんですが、このあたりから学校図書館に深く関わるようになっておられて、子どもの本について「ファンタジー系」と「リアル系」にわけて言及されるようになっていました。

2008年に出版された『子どもに本を買ってあげる前に読む本 ― 現代子どもの本事情』(2008年12月)では、そのあたりのことが明快に語られています。

脇明子さんの著書と読み比べると、相容れない部分があり、正反対の立場ではないかと当時は思っていました。


今回、もう一度赤木かん子さんの話を伺う機会があり、注意深く聞いていくと、「子どもたちにとって出会わせたい本は913の本に限らない」というスタンスでした。本好きな子は、放っておいても本を読む、ライトノベルから始まっても、必ず骨太の基本図書と呼ばれる本を手にする。そういう本でなければ、満足できないからだが、本を読もうとしない子をなんとか「本って面白い」と気づかせてあげたいとおっしゃる。そして、それらの本(913以外の本)に出会わせてあげると、それまで「物語」に見向きもしなかった子どもたちが本の魅力に気がつくのだというのです。そういう視点で、赤木かん子さんの話を聞くと、なるほどと思うことがたくさんありました。

特に、図書館児童室のノンフィクション・知識の書架を見ていくと、出版年が古く、新しい学説が一般化されているのにもかかわらずその本がそのまま置いてある、平成の大合併があったにもかかわらず、古い地名のままの本が調べ学習の棚に残されている、スペースシャトルはとっくに引退しているのに、それが最新技術であるかのように書いてある1990年代の本がある、など、913の書架以外にも目配りをしていかないと、本当の意味での子どもたちが知識に出会う場にならないという危機感も感じています。

そのような視点で、『子どもを本嫌いにしない本』を読んでいくと、赤ちゃんから高校生までの発達段階に応じた本との繋ぎ方や、どのような書架、蔵書構築をしていけばよいかという指針を与えてくれることでしょう。なお、自然科学系の子どもの本のリストとしては『自然とかがくの絵本 総解説』(自由國民社、2008年1月20日)が、とてもわかりやすく使いやすいです。

この2冊は真逆な雰囲気を持っていますが、図書館の児童担当として、そのどちらにも精通し、バランスを取っていくことが、子どもたちにとって魅力のある図書館を作っていくことになると思います。

ぜひ、この夏、この2冊を手にとって読んでみて欲しいと思います。(K・J)
読む力は生きる力物語が生きる力を育てる子どもの育ちを支える絵本自分を育てる読書のために

絵本・子どもの本総解説―読んでほしい読んであげたいいっしょに読みたい子どもの本調べ学習の基礎の基礎―だれでもできる赤木かん子の魔法の図書館学 子どもに本を買ってあげる前に読む本―現代子どもの本事情 自然とかがくの絵本 総解説

10月のおはなし会✩おすすめ本リスト


10月のおはなし会や展示コーナーに使える本のリストを作成しました。

 
おはなし会✩おすすめ本リスト10月2014年版.pdf
(8月11日更新)
 
ご活用ください♪
 
今回、リストに追加した『どんぐりころちゃん』は、わらべうたを絵本にしたものです。
小さい子のおはなし会で、わらべうたとともに紹介できると良いと思います。
どんぐりころちゃん
みなみ じゅんこ
アリス館
2013-09-11
 
 
 
 
 
 
また季節的にちょうど良いと思って、『クリスティーナとおおきなはこ』(パトリシア・リー・ゴーチ/文 ドリス・バーン/絵 偕成社)も追加しました。幼児~小学生低学年の”見立て遊び”が一番楽しい時期の子どもの様子を、丁寧に描ききっています。アメリカでは40年読み継がれてきた作品が、この夏邦訳されました。ぜひおはなし会などで読んであげてください。2014年上半期に出た絵本の中で、教文館ナルニア国選書担当者も一押しの1冊です。
クリスティーナとおおきなはこ
パトリシア・リー・ゴーチ文 ドリス・バーン絵 おびかゆうこ訳
偕成社
2014-07-09
 
 

基本図書を読む4『星の王子さま』サン=テグジュペリ


「大切なものは目に見えない」という有名なフレーズを残した『星の王子さま』は、第二次世界大戦が終わってまもなくの1946年にアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの遺作として、フランスで出版されました。サン=テグジュペリはその2年前にドイツ軍を飛行機で偵察中に地中海で撃墜され亡くなりました。

星の王子さま―オリジナル版
サン=テグジュペリ
岩波書店
2000-03-10
 
『星の王子さま』は、子ども向けの童話として書かれていますが、人間社会の矛盾や、虚栄心にとらわれた大人たちへの風刺が散りばめられており、多くの大人をも惹きつけてきた哲学的な作品です。
 
冒頭に、サン=テグジュペリの言葉として「そのおとなの人は、むかし、いちどは子どもだったのだから、わたしは、その子どもに、この本をささげたいと思う。」とあるように、この本は実は大人に向けて書かれていたともいえます。
 
物語は、一人の飛行士がサハラ砂漠に不時着し、そこで不思議な雰囲気の小さな子どもに出会うところから始まります。それは、小さな星からやってきた王子さまでした。物語は、王子さまが、自分の星でしていたことや、いくつかの星をめぐってたことを、順番に並べながら展開していきます。
 
王子さまの星はとても小さく、バオバブの木が生えないように、芽のうちから摘んでいること、小さな美しい花を育てていることなどが読んでいるうちにわかります。あるとき王子さまは、その大切な花に愛想をつかして自分の星を出てきたのです。
 
そのあとの星めぐりでは、支配権にこだわる王さま、ナルシストなうぬぼれ男、自己憐憫におぼれる呑み助、数字が増えることが自分の幸せだと錯覚している実業家、実際に現地を見もしないで空虚な机上だけの学問に自己満足する地理学者に王子さまは出会います。大人のもつエゴイズムを、それらの人々の中に描き出しています。
 
また、ある星ではガス燈をつけたり消したりする点燈夫に出会います。言われたことを忠実にこなす点燈夫は、働く喜びを感じることなく、どうしたら効率よくできるかという工夫もせず、ただただ働き続けています。ただ他に出会った人と違うことは、自己の欲望のためではなく、他のために働いているという点で、王子さまは点燈夫に好意を抱きます。
 
そして最後に王子さまは、地球にやってきたのでした。そしてキツネと出会い、友達になります。
 
そのキツネが「秘密のおくりもの」として王子さまに伝えるのが、「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目にみえないんだよ」という言葉でした。
 
この言葉と、『星の王子さま』の物語を十分に理解するためには、その背景にあるキリスト教の教えも知っておく必要があるでしょう。この「大切なものは目に見えない」というのは、新約聖書コリント信徒への手紙第二に由来しているのです。
 
コリント信徒への手紙第二4章16~18節
「だからわたしたちは落胆しません。たとえ、わたしたちの「外なる人」は衰えていくとしても、わたしたちの「内なる人」は日々新たにされていきます。わたしたちの一時の艱難は、比べものにならないほどの、恵みのある永遠の栄光をもたらしてくれます。わたしたちは、見えるものではなく、見えないものに目を注ぎます。見えるものは過ぎ去り、見えないものは永遠に存続します。」
 
この本の主題は、まさにこのキツネと王子さまとの対話の中にあると言ってよいでしょう。目に見える現象にとらわれがちな人間に、その本質を見抜き、対象に価値を与えるのは、私たち自身の心であり、目に見えない心の働きこそが重要であるということを、ここで明確に伝えてくれています。
 
王子さまは、やがて自分が星に置いてきた花への愛を思い出し、金色のヘビの力を借りて星へ戻っていきます。王子さまと出会ったことによって、飛行士は人間社会で身につけてきた地位や名誉、財産などといったうわべの虚飾にとらわれることなく、人間はなぜ生きるのか真剣に考えるようになります。そのことを忘れないようにと、王子さまとの出会いを物語に書いたと、綴っています。
 
この本は、こども時代に出会って読むときと、大人になって読むときとでは、受ける印象が違ってくることでしょう。何度でも読み返してほしい本です。社会的な経験が加わるにつれて、深い読み込みが出来るようになるからです。
 
小説家で詩人の池澤夏樹氏が、子どもにも是非読んでほしいと願って抄訳した絵本も出版されています。サン=テグジュペリの描いた絵が大きく中心に据えられていて、その絵の魅力に出会うことができます。しかし、省略された部分も多く、やはり本として子どもたちに出会ってほしいと思います。
絵本 星の王子さま
アントワーヌ・ド サンテグジュペリ
集英社
2006-10

 

 
また、2005年に著作権が消滅したのを機に、多くの新訳が出版され、そのうちの何冊かは、原題の『Le Petit Prince』にならって『小さな王子』というタイトルで出版されているものもあります。すべてを読み比べたわけではありませんが、岩波書店の内藤濯訳とは同じにならないよう意識して訳出されています。また岩波書店の本にある内藤濯氏の解説は、一読の価値があるでしょう。
この本の解説書として、おすすめの2冊を紹介します。哲学的な内容の『星の王子さま』を深く読み解くための、道しるべになることでしょう。(K・J)
星の王子さまの世界―読み方くらべへの招待 (中公新書 (638))
塚崎 幹夫
中央公論新社
1982-01
 
 
 
 
 
 
 

国際子ども図書館✩バーチャルツアー


国立国会図書館と、国際子ども図書館のGoogleストリートビューが公開されました。

 
国際子ども図書館の「子どものへや」、「第二資料室」、「ホール」などを見ることができます。国際子ども図書館へ行ってみたいけれど、なかなか忙しくて訪れるチャンスのない方、ストリートビューを使って、図書館のバーチャル見学ツアーに出かけてみませんか?
 
国立国会図書館の告知ページはこちら→

2014年7月18日 東京本館、国際子ども図書館のGoogleマップのストリートビュー画像が公開されました

国際子ども図書館のストリートビューは、こちらから→国際子ども図書館ストリートビュー
 
国際子ども図書館.jpg
 

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