Yearly Archives: 2015

2015年11月、12月の新刊から
基本図書を読む21『たのしいムーミン一家』トーベ・ヤンソン
小学校国語教科書に紹介されている絵本・児童書のリストを更新しました
2015(その3)もうすぐ・・・(幼児~小学生)
「子どもの本  この一年を振り返って2015」のご案内
「基本図書から学ぶ 第4回」報告
2015年(その2) まめ まめ まめ(幼児~小学生)
2015年(その1)だっこ、だいすき♪(小さい子)
2月のおはなし会☆おすすめ本リスト
第4回児童部会(2015.11.20)
基本図書を読む20『がんばれヘンリーくん』ベバリイ・クリアリー
アフリカ子どもの本プロジェクトのご紹介
2015年10月、11月の新刊から
2015年1月(その3)おはなししましょ!
2015年1月(その2)ゆかいなおさる(幼児~小学生)

2015年11月、12月の新刊から


 先月の新刊紹介で11月に出た本もいくつか紹介しましたが、見落としていた作品もありました。11月に出版された本も追加して新刊を紹介します。選書などの参考にしていただけるとありがたいです。 

絵本

『クリスマスイヴの木』デリア・ハディノ/文 エミリー・サットン/絵 三原泉/訳 BL出版 2015/11/1

デリア ハディ
BL出版
2015-11

 しっかりと植えられなかったために、曲がって大きくなれなかったモミの木は、クリスマスイブの夜になっても売れ残ったままでした。そのモミの木をもらった男の子は橋の下のねぐらへと持ち帰ります。その夜、ホームレス仲間のおじいさんがツリーのそばでバンドネオンを弾き鳴らし、そのまわりにクリスマスキャロルを歌う人の輪が出来上がります。きらびやかな家がなくても、豪華なご馳走がなくても、ささやかな喜びを分かち合う姿に心が温かくなります。その後、このモミの木は掃除のおじさんの機転で公園に植えられ大きく育っていくのですが、この男の子はその後どうなったかは描かれていません。男の子が幸せに育っていてほしいと願いつつこの絵本を閉じました。

 

『おもち!』石津ちひろ/作 村上康成/絵  小峰書店 2015/11/12

おもち! (にじいろえほん)
石津 ちひろ
小峰書店
2015-11-12

 ことば遊びの達人、石津ちひろさんのリズミカルで元気な言葉がお餅つきの情景を描き出します。村上康成さんのユーモラスな絵も、搗きたてで、よ~くのびるお餅にぴったり。昔はお正月を迎える準備にどこの家でも年末には臼と杵を出してきて餅つきをしたものですが、今では臼と杵で搗く餅つきは子どもたちには珍しいかもしれませんね。

 

『いちばんのなかよしさん』エリック・カール/作 アーサー・ビナード/訳 偕成社 2015/11

いちばんのなかよしさん
エリック・カール
偕成社
2015-11-18

 いつも何をするにも一緒だったお友達が、ある日突然いなくなってしまいます。やっぱり一緒がいい!と男の子は探しに出かけます。この絵本の裏見返しにエリック・カールの3歳の時の写真が載っています。当時仲良しだった女の子と、この絵本の表紙のようにぎゅ~っと抱きしめあっている写真です。エリックが幼少期を過ごしたニューヨークのお隣の女の子でした。でもエリックの家族はドイツへ引越し、長い年月が経つうちに相手の名前もわからなくなったままだったそうです。ところが、この絵本が出版されたことで写真に写っていた女の子のお嬢さんが気がつき、80年ぶりにお互いの存在がわかったそうです。素敵なおまけですね。

『かようびのドレス』ボニ・アッシュバーン/作 ジュリア・デーノス/絵 小川糸/訳 ほるぷ出版 2015/11/20

かようびのドレス (海外秀作絵本)
ボニ・アッシュバーン
ほるぷ出版
2015-11-20

先月、紹介した『おじいちゃんのコート』と同じように、大好きだった服がいつのまにか着古して小さくなるたびに、ほかのものに変身していくというおはなしの女の子版です。お気に入りのたくさんフリルのついたドレスが小さくなってしまった時、ママが「ぎゃくてんのはっそうがだいじ」といいながら、違うものに仕立て直してくれます。柔らかなパステルカラーで描かれた絵は、おしゃれが大好きな女の子の夢が詰まっているようにも見えます。

 

ユーゴ修道士と本をあいしすぎたクマ』ケイティ・ビービ/文 S.D.シンドラー/絵 千葉茂樹/訳 光村教育図書 2015/12/20

ケイティ ビービ
光村教育図書
2015-12-20
修道院の図書館から大事な経典を借りたまま返せなかったユーゴ修道士。それはクマに襲われた時にとっさに本を投げつけたからでしたが、クマはその味をしめてしまいます。ユーゴ修道士は別の修道院から経典を借り、仲間たちに助けてもらって写本を完成させます。そして経典を返しに行くのですが・・・本の味に目覚めたクマに出会わなきゃいいですね。この絵本を読んでいると中世の書物の作られる過程や、扱いについても興味を持つのではないでしょうか。中世フランスでほんとうにあったお話をベースに作られた絵本だそうです。

 

児童書

『どうぶつたちがはしっていく』長新太/作 子どもの未来社 2015/11/26

どうぶつたちがはしっていく 1 (長新太のおはなし絵本)
長 新太
子どもの未来社
2015-11-26

 「長新太のおはなし絵本」として『キャベツくんのおしゃべり』と2冊が同時に出版されました。絵本となっていますが、絵本から読み物へ移る幼稚園の年長さんくらいから小学校低学年の子どもたちにちょうどよい幼年童話です。「どうぶつたちがはしっていく」「ゾウのオネエサン」の2話が収録されています。とにかくおもしろい長新太ワールドが広がります。 

『キャベツくんのおしゃべり』長新太/作 子どもの未来社 2015/11/26

 こちらには「キャベツくんのおしゃべり」のほか、「ゾウのオジイサン」「こうえんのすなば」の3話が収録されています。長新太さんならではの、おかしくも、ちょっぴりシュールな世界が繰り広げられています。読んであげてもいいし、自分でも読める、そんな短いお話です。

『さかさ町』F・エマーソン・アンドリュース/作 ルイス・スロボドキン/絵 こみやゆう/訳 岩波書店 2015/12/17

さかさ町
F.エマーソン・アンドリュース
岩波書店
2015-12-18
 
リッキーとアンの兄妹は自分たちだけでランカスターに住むおじいちゃんを訪ねていくために汽車に乗っていました。ところが途中で橋が壊れて前に進めなくなり、「さかさ町」という見知らぬ町で一日待たされることになりました。この町はその名のとおり、なにもかもが逆さま。なんだかへんてこりんな町です。でも、読めばこんな町があればいいのになぁ~ときっと思うことでしょう。こちらも幼稚園年長さんくらいから小学生低学年向けの幼年童話です。
 
『ゆうかんな猫ミランダ』エレナー・エスティス/作 エドワード・アーディゾーニ/絵 津森優子/訳 岩波書店 2015/12/15
ゆうかんな猫ミランダ
エレナー・エスティス
岩波書店
2015-12-16
 
読み終わって感じたのは、どんな困難な時にも生命を生み育てる母性の強さでした。物語はうんと昔のローマの街。まだコロッセオでライオンのショーが行われていたような昔です。人間の家族に飼われていた母猫のミランダは、ある時蛮族が街を襲い火をつけたことから人間の家族と離れてしまい、迫り来る火と煙の中を子猫たちを連れて逃げていきます。途中で親猫からはぐれた子猫も一緒に・・・街外れのコロッセオに着いた頃には子猫の数は34匹。おまけに自分にも赤ちゃんが4匹生まれます。さあ、ミランダはどうやってたくさんの子猫たちを育て守っていくのでしょう。この物語の作者は『百まいのドレス』のエレナー・エスティス、そして繊細な絵はエドワード・アーディゾーニです。
 
『少年キム』ラドヤード・キプリング/作 三辺律子/訳  岩波少年文庫 岩波書店 2015/11/17
少年キム(上) (岩波少年文庫)
ラドヤード・キプリング
岩波書店
2015-11-18

少年キム(下) (岩波少年文庫)
ラドヤード・キプリング
岩波書店
2015-11-18
 
英国初史上最年少ノーベル文学賞受賞作家で『ジャングル・ブック』でも有名なラドヤード・キプリングの作品です。日本では『少年キムの冒険』(亀山竜樹/訳 世界名作全集 講談社 1960)、『少年キム』(斎藤兆史/訳 晶文社 1997)など既にほかの訳者によって発表されてきた作品ですが、この度若手翻訳家の三辺さんにより岩波少年文庫として出版されました。大英帝国が植民地としていた19世紀のインドを舞台に、13歳の孤児キムがチベットのラマ(高僧)と出会い、伝説の聖なる河を探す旅に出ます。当時ロシアもインドの覇権を狙っており、キムは英国側のスパイとしての活動もすることになります。利発なキムはスパイとして「大いなるゲーム」に加わりながらも、ラマの弟子としてその教えも彼の中に深く影響を与えていきます。多感な時期を懸命に生きるキムの姿から目が離せなくなります。三辺さんは今年5月には『ジャングル・ブック』を岩波少年文庫として訳していらっしゃいます。合わせて読んでほしいと思います。
 
 『お静かに、父が昼寝しております ユダヤの民話』母袋夏生/編訳 岩波少年文庫 岩波書店 2015/12/17
お静かに、父が昼寝しております――ユダヤの民話 (岩波少年文庫)
岩波書店
2015-12-17
 
紀元70年にローマ帝国がイスラエル王国を滅ぼして以来、世界中に散らばって生活を続けているユダヤ民族に伝わる昔話を集めて母袋さんが翻訳されました。世界各地に伝わる昔話が32編、旧約聖書の創世記の中から6編の合わせて38編が紹介されています。「あとがき」を読むと、これらの昔話は口承で伝えられ、記録されるようになったのは19世紀末になってからとのこと。20世紀以降中東問題の火種となり続けているイスラエル建国のことも含めて、ユダヤ民族が2000年もの間バラバラになりながらも伝えてきた文化、考え方に触れることができるのも、そのために多くの研究者の労があってのことと感じ入ります。どのお話も既知に富んだものばかりです。
 
その他
『10代のためのYAブックガイド150』金原瑞人、ひこ田中/監修 ポプラ社 2015/11/10
今すぐ読みたい! 10代のための YAブックガイド150!
ポプラ社
2015-11-11
 
金原瑞人さんとひこ田中さんが選んだYA世代向けのブックガイドです。この本の出版記念の金原さんのトークショーに行った際に、“ティーンエイジャーって、先生や親に隠れて本を読みたいわけで・・・ここに挙げているのはそんな本。決して良い本というわけではない。その世代って性のこととか、暴力とか、とにかく近づいちゃダメというものに近づきたい時代。そんな多感な時期に読んでほしい本を選んである”とおっしゃっていたのが、とても印象的でした。自分も親や先生に反抗してた時期がありました。その時の気持ちを思い出して、YA世代に本を手渡せるといいなと思います。
 
 
『司書が先生とつくる学校図書館』福岡淳子/作 玉川大学出版部 2015/11
司書と先生がつくる学校図書館
福岡 淳子
玉川大学出版部
2015-11-28
 
中野区で長く図書館指導員として学校図書館の仕事をしてこられた筆者が、学校教育の中でどのように司書教諭をはじめとして先生方と協働して、図書館を利用する教育を展開していったのか、学校司書としてそれにどのように関わってこられたのかを克明に書き綴った実践記録です。読書の支援だけではなく、どのように蔵書構成を作るのか、また学年別にどのように働きかけをすればよいのか、ということが具体的に書かれており、学校図書館現場で働く人の力強い味方になってくれる1冊です。
 
『石井桃子談話集 子どもに歯ごたえのある本を』石井桃子/著 河出書房新社 2015/12/9
子どもに歯ごたえのある本を
石井 桃子
河出書房新社
2015-12-09

 1965年から2007年までの雑誌や出版社から出される小冊子に残された石井桃子さんへのインタビュー記事、あるいは対談をまとめて「石井桃子談話集」としている本です。内容は今までの石井桃子さんのエッセイで読んだことのあるものなのですが、インタビュアーによって様々な聞き方、つっこみ方をしていて、石井桃子さんの素の姿が立ち現れてくるかのようです。たとえば詩人の吉原幸子さんは、そのものズバリ「ご家族はお持ちにならなかった。」「ずっとお一人でいらっしゃいます?」「たとえば、『ノンちゃん』に出てくる少年が戦争から帰ってこなかったように、密かに待ってた方が、帰っていらっしゃらなかったとか。」などと質問し、それに対して石井桃子さんが「「そりゃね、結婚しようかと思った人はありましたけどもね、とてもその頃はね。」などと答えていらっしゃり、人間味溢れる人物像が浮き上がります。タイトルになっている「子どもに歯ごたえのある本を」は、1996年8月の『文藝春秋』掲載の短いインタビュー記事です。他にも何編か、「子どもの本」について論じているものもありますが、それ以上に約40年強の時間の中から拾い上げられてまとめられた談話集であるにもかかわらず一貫して語られる子どもへの、創作への変わらぬ姿勢というものに敬服いたしました。

 (作成K・J)

基本図書を読む21『たのしいムーミン一家』トーベ・ヤンソン


テレビのアニメ番組も放映され多くの人に親しみを持たれているフィンランドの作家、トーベ・ヤンソンの「ムーミン」シリーズ。(日本では講談社より出版)2014年はトーベ・ヤンソン生誕100周年にあたり、今年は「ムーミン」シリーズの第1作『小さなトロールと大きな洪水』(冨原眞弓/訳 講談社 1992年)が1945年に書かれて70周年ということで、2014年~2015年にかけて全国各地で「ムーミン展」が行われました。

今回は、一連の作品の中で初めて英訳され、フィンランド以外の国で人気を博した作品、『たのしいムーミン一家』(原作1948年/ 日本版 山室静/訳 講談社 1968年)を紹介します。

新装版 たのしいムーミン一家 (講談社文庫)
トーベ・ヤンソン
講談社
2011-04-15
 
 
 
 
たのしいムーミン一家 (1978年) (講談社文庫)
トーベ ヤンソン
講談社
1978-04
 
 
 
 
たのしいムーミン一家 復刻版
トーベ・ヤンソン
講談社
2015-07-30

 

プロローグはムーミン谷に初雪が降ってくるところ。寒い北国にあるムーミン谷では11月にはみんな冬眠に入ってしまうのです。そしてある春の朝、早くにムーミントロールは長い眠りから目を覚まします。そして、隣に寝ていたはずのスナフキンが居ないことに気がついて、飛び起きるのでした。

冬眠から目覚めたムーミントロールとスナフキンは、友達のスニフを誘って山の方へ散歩に出かけます。そこで見つけたのは真っ黒なシルクハット。3人はこの帽子がどんな騒動を起こすかも知らずに家に持ち帰りました。それは、飛行おに(世界のはての高い山に住む魔物、第5章でスナフキンが語っている)が落とした不思議な力を持った帽子で、帽子の中に何かが入るとたちまち別のものに変身させてしまうのです。その帽子をめぐって、ムーミン谷では夏の間中、不思議なことが次々起こっていきます。個性豊かな登場人物たちが繰り広げるエピソードは、ユーモアがあって、ドキドキすることがあって、ぐいぐいと引き込まれてあっという間に読んでしまうことでしょう。

トーベ・ヤンソンは、この作品の前2作、『小さなトロールと大きな洪水』(原作1945年/  冨原眞弓/訳 1992年)、『ムーミン谷の彗星』(原作1946年/ 下村隆一/訳 1969年)では、戦争の暗い体験をベースに襲い来る自然の恐怖を描き、その中で家族の結びつきの大切さをテーマに書いていました。第3作めにあたる『たのしいムーミン一家』では、ムーミン谷の美しい自然の中で仲間たちがお互いを許容しあい、助け合う姿を描き、子どもたちにとって身近に感じられる作品として仕上げました。

この作品は英訳されイギリスを始め、多くの国で人気を博します。その後、「ムーミン」シリーズは、『ムーミンパパの思い出』(原作1950年/  小野寺百合子/訳 1969年)、『ムーミン谷の夏まつり』(原作1954年/ 下村隆一/訳 1968年)、『ムーミン谷の冬』(原作1957年/  山室静/訳 1969年)、『ムーミン谷の仲間たち』(原作1962年/ 山室静/訳 1969年)、『ムーミンパパ海へいく』(原作1965年/ 小野寺百合子/訳 1968年)、『ムーミン谷の十一月』(原作1970年/ 鈴木徹郎/訳 1977年)(注・日本での出版年は講談社トーベ・ヤンソン全集の初出版年にしています)と続きます。フィンランドの豊かな自然を背景に、ムーミン谷に生きる仲間たちを愛情たっぷりに描いたシリーズは全世界で愛され、1966年には児童文学界のノーベル賞といわれる国際アンデルセン賞作家賞をIBBY(国際児童図書評議会)より授与されています。また人生哲学のようなことばが作品の中に散りばめられており、大人たちの間にも根強いファンが多いのも特徴です。

ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソン
トゥーラ カルヤライネン
河出書房新社
2014-09-25

 

昨年、出版されたトーベ・ヤンソンの評伝『ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソン』(トゥーラ・カルヤライネン/著 セルボ貴子・五十嵐淳/訳 河出書房新社)には、トーベ・ヤンソンの両親の出会いから始まり、幼少期から彼女の創作に影響を与えたさまざまな出会いや別れ、出来事などが整理しつつ詳述されており、トーベ・ヤンソンその人の残した作品について深く知ることができます。

もう1冊、『小さいトロールと大きな洪水』を翻訳した冨原眞弓氏が実際に交流のあったトーベ・ヤンソンの実像に迫った『ムーミンを生んだ芸術家トーヴェ・ヤンソン』(芸術新潮編集部 新潮社)も昨年出版されました。こちらも合わせてぜひ読んでみてください。

ムーミンを生んだ芸術家 トーヴェ・ヤンソン
冨原 眞弓
新潮社
2014-04-16
 
 
 

ところで今年6月に飯能市にムーミンのテーマパークが2017年に出来るというニュースが流れたことを記憶されている方もいるでしょう。飯能市にある宮沢湖畔に民間会社がオープンさせる「Mestsa」(メッツァ フィンランド語で森を意味する)というテーマパークです。

あけぼの子どもの森公園実は、飯能市にはもうひとつ市が運営する「ムーミン公園」として親しまれている「あけぼの子どもの森公園」があります。こちらは横浜市にある村山建築設計事務所が園内のムーミン屋敷や森の家などを設計しました。1997年のオープン当時、この事務所に勤めていた大学の先輩に、フィンランドのトーベ・ヤンソンさんと公園や建物のコンセプトについてやり取りをしていたことを聞かされていました。訪れる人の想像力をかきたててくれる公園です。また園内の森あけぼの子どもの森公園2の家の2階は小さな図書室になっています。機会があればぜひ訪れてみてほしい場所です。(画像は2011年秋にあけぼの子どもの森公園に訪れた時に撮影したものです。)
(作成K・J)

小学校国語教科書に紹介されている絵本・児童書のリストを更新しました


小学校国語教科書に紹介されている絵本・児童書のリストを、大幅に見直し、更新しました。

リストはこちら ↓

小学校国語教科書に紹介されている絵本・児童書のリスト2015

 

これまでのリストは、主要5社の教科書会社別に掲載および紹介されている本をそのままリスト化したもので、同じ本が複数の学年や教科書会社にわたって紹介されている場合には何度も重複してリストに出てきていました。それを整理し、学年別におすすめの本を探したり、団体貸出本を選定するのに使いやすいリストにしました。

東京都立多摩図書館の教科書リストに準じて、絵本(日本・外国)、物語(日本、外国)、昔話(日本・外国)、ノンフィクション(分野別に23項目)、ことば(言語・詩歌・ことば遊び)に分類しています。

また1年生から6年生までまとめてリスト化していますので、同じ本が学年をまたいで紹介され推薦されている状況も見えやすくなっています。詳しいリストの見方は、リストの冒頭に記してありますので、そちらをご参照ください。

このリストの改訂には、どのようなリストにすれば図書館の児童サービスで活用しやすいかどうか試行錯誤をしながら作業をし、約3ヶ月の時間を要しました。

利用者から、「うちの子、○年生だけど、どんな本がおすすめですか?」と聞かれた時には、各教科書会社が教科書の中で「読んでみよう」とおすすめしているこのリストは使いやすいと思います。また団体貸出用に本を選ぶ場合も、読み物以外の広いジャンルにわたっておすすめの本が選ばれているので、選書の助けとなってくれることと思います。

重複していた本をひとつにまとめたために、リストのページ数も46ページに減りました。プリントアウトしてファイリングし、ご活用ください。

なお、平成27年度に小学校の教科書が改訂されており、そちらで加えられている本を今後追加していく予定です。

 

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2015(その3)もうすぐ・・・(幼児~小学生)


もうすぐ来るのはだれ?何?だれかさんを待って、季節の移り変わりを待って・・・冷たい季節を過ごしたいですね。

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【もうすぐ・・・】(幼児~小学生)

詩 「つもった雪」 金子みすゞ 『おどる詩あそぶ詩きこえる詩』(はせみつこ/編 飯野和好/絵 冨山房インターナショナル 2015)より 1分

おどる詩 あそぶ詩 きこえる詩
冨山房インターナショナル
2015-04-19

金子みすゞが書いた短い詩です。

積もった雪の気持ちになって、描いているところがみすゞらしい詩です。短いので、子どもと一緒に復唱して、詩を味わってみましょう。


絵本 『ゆき』きくちちき/作 ほるぷ出版 2015  2分

ゆき (ほるぷ創作絵本)
きくちちき
ほるぷ出版
2015-11-20

 雪が降り始めて積もるまでの森の様子を描いています。舞台は北海道なので実際には初冬に読むのがふさわしいのかもしれませんが、本州では2月の雪の多い時期に読んであげてもよいでしょう。雪が降り始め、“もうすぐ”一面が真っ白になっていく、その様子が描かれています。冷たい雪なのに、暖色が使われ、温かさを感じる絵本です。文字は大きくて少ないので、ゆっくりと絵を味わいながら読むとよいでしょう。 

 

絵本 『いちばんのなかよしさん』エリック・カール/作 アーサー・ビナード/訳 偕成社 2015 3分半

いちばんのなかよしさん

エリック・カール
偕成社
2015-11-18

「「なかよし」って、ひとりじゃなくてふたりからはじまるんだ。」という言葉で始まるエリック・カールさんの最新作です。何をするのも一緒だったふたり。でもある時なかよしさんの姿が見えなくなってしまいました。ぼくはなかよしさんを探して、ずんずんずんずん・・・さてふたりは会えたかな?結末はバレンタインデーにふさわしいシーンで終わっています。2月に読んであげたい1冊です。

絵本 『つららがぽーっとん』小野寺悦子/文 藤枝つう/絵 福音館書店 2009 2分半

冷たい冷たい風に、窓の外のつららが伸びています。でも晴れた日には、つららの先から「ぽーっとん」としずくが落ちていきます。その音が、外の寒さに合わせて変わっていきます。「ぽーっとん」から「ぽっとんぽっとん」「ぽっととととととと」。寒い寒い冬のあとには必ず春がやってきます。その訪れは“もうすぐ”・・・一緒に春を待っていたい。そんな気持ちを共有できる絵本です。
(作成 K・J)

「子どもの本  この一年を振り返って2015」のご案内


2015年に出版された子どもの本を振り返り、紹介する「子どもの本 この1年を振り返って2015」の案内が、公益財団法人図書館振興財団から届きました。

日時:2016年3月7日(月)、8日(火) どちらも同じプログラム
         第1部 10:00~15:10 発表!2015年の子どもの本
         第2部 15:30~16:30 読んで調べて旅して楽しむ-『レ・ミゼラブル』の舞台を訪ねて-illust3573thumb
                        池田茂都枝(大正大学 非常勤講師)
会場:株式会社 図書館流通センター 地下1階 大ホール
参加費:会員2000円/日 非会員3000円/日(第1部のみ、第2部のみの参加でも参加費はかわりません)
定員:各日90名

絵本、フィクション、ノンフィクション、ヤングアダルトの分野別に、図書館員や児童図書研究グループのメンバーが2015年に話題になった本、おすすめの本を紹介します。
申し込みは、図書館振興財団のホームページ→こちらからお申込ください。

なお、このイベントは自己研鑽として自分の時間とお金を使って参加するもので、TS室の外部研修ではありません。

「基本図書から学ぶ 第4回」報告


平成27年11月20日に開催された児童部会で、「第4回 基本図書から学ぶ」を行いました。

今回はノンフィクションの本をテーマに、課題として読んできた知識絵本について話し合い、

ノンフィクションの本を評価する際の視点を学びました。

詳細は、以下の報告書と資料をご覧ください。

第4回「基本図書から学ぶ」報告書

● 配布資料

(1)児童部会「基本図書から学ぶ4 ノンフィクションの本について①」

(2)児童部会「基本図書から学ぶ4 ノンフィクションの本について① グループワークシート」 

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2015年(その2) まめ まめ まめ(幼児~小学生)


節分と言えば、豆まき!ということで、今回は豆をテーマにプログラムを組み立ててみました。

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【まめ まめ まめ】(幼児~小学生)

導入 わらべうた「まめっちょ」

まめちょ まめちょ

いったまめ ぼりぼり

いんねまめ なまぐせ

すずめらも まわっから

おれらも まわりましょ

 

歌うだけでもよいですが、両手をそろえてお椀のかたちをつくり、左右にふりながら歌ってもよいでしょう。 

参考:『まめっちょ1』 ゴダーイ芸術教育研究所変 全音楽譜出版社 1998 P31

わらべうた・カノン曲集 まめっちょ(1)
コダーイ芸術教育研究所
全音楽譜出版社
1998-12-10

 

 

 絵本『まめ』 平山和子/さく 福音館書店 1981 約5分

まめ (かがくのとも絵本)
平山 和子
福音館書店
1981-02-02

様々な豆の種類の紹介からはじまって、どのようにさやに包まれているか、種である豆がどのように芽をだし成長を支えているのかなど、豆について簡単な言葉と写実的な絵でわかりやすく説明されています。絵を見るだけで豆の様子がわかりますので、じっくり見せてあげてください。豆のなかに生命力がぎゅっとつまっていることが自然に伝わってきます。

 

絵本『しょうたとなっとう』 星川ひろ子・星川治夫写真/文 小泉武夫/原案・監修 ポプラ社 2003 9分

納豆嫌いのしょうたが、おじいさんと一緒に畑に豆をまいて、育て、収穫して、納豆になるまでを描いた写真絵本です。鮮明な写真で、畑の様子や納豆を作る作業がよくわかります。おじいさんとしょうたの顔の表情から二人のあたたかな交流も伝わってきます。子どもたちは身近な納豆ができるまでの様子が興味深いようで、読み聞かせをすると集中して聞いてくれます。納豆が食べたくなる1冊です。

絵本『いっすんぼうし』 いしいももこ/ぶん あきのふく/え 福音館書店 1965 12分

いっすんぼうし (日本傑作絵本シリーズ)
いしい ももこ
福音館書店
1965-12-01
 
「いっすんぼうし」は有名な日本の昔話で、再話した絵本が多数出版されていますが、その中でも秀逸の作品です、美しい響きの日本語と平安時代を思わせる華やかでやさしい絵で、物語を鮮やかに描きだしています。京に出るまでの冒険、鬼退治など子どもたちをひきつける場面も多くあり、最後の打ち出の小槌で「ずん ずん ずん!」と大きくなるところは、驚きながらもとても嬉しそうな表情を見せてくれます。
 
☆他にも豆が出てくるお話があります。差し替えてもよいでしょう。
 
お話「まめたろう」(『愛蔵版おはなしのろうそく10』 東京子ども図書館編 東京子ども図書館 2010) 12分 
 
 
イランの昔話です。子どものいないおじいさんとおばあさんが、豆を同じくらい小さくてよいから子どもを授けてほしいと祈ったところ、豆のスープから一粒の豆が飛び出して、まめたろうになりました。こんなに小さくては家の頼めないとがっかりしたおじいさんとおばあさんでしたが、まめたろうは「ぼくは、体は小さくても、心臓は大きいんだよ」と言って、仲間になった火、川、キツネを心臓に入れてピンチのときに助けてもらい、見事王様からお金をとりたてます。まめたろうのピンとした元気さが爽快なお話です。
 
☆合わせて紹介してもよいと思います。
 
絵本『あつめた・そだてた ぼくのマメ図鑑』 盛口満絵・文 岩崎書店 2015
 
ちしきのぽけっと (21) あつめた・そだてたぼくのマメ図鑑
盛口 満
岩崎書店
2015-10-27
 
2015年11月出版の新刊です。ダイズ、インゲンマメ、アンコに使われるマメ、八百屋さんにならぶ豆、ジャングルの豆など、様々な豆が細密画で紹介されています。豆を食べる虫やマメ科の花も紹介されていて、眺めていて飽きない一冊です。
 
(作成T.S)
 

2015年(その1)だっこ、だいすき♪(小さい子)


小さい時にたくさん抱っこしてもらった体験は、その後の成長の確固たる根っこになって子どもたちは自立へと一歩ずつ前進できるようになります。街で赤ちゃん連れのお母さんがスマillust942_thumbホにお守りをさせているのをよく見かけます。赤ちゃんはほんとうはスキンシップを求めているのにな・・・と思います。
図書館に赤ちゃんを連れてくる親子連れに、「お膝に乗ってくる時期、抱っこを求めてくる時期は、長い子育て期間のほんのわずかな時期なので、たっぷり抱っこしてあげてください。それが思春期をも支える大きな心の柱になりますよ。」と、ぜひ伝えてあげてください。

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【だっこ、だいすき♪】(小さい子)

導入 わらべうた 「このこどこのこかっちんこ」
このこどこのこ

 

 

 

 

しっかりと赤ちゃんをお膝に抱いて、お母さんの方が左右に揺れます。それだけでも赤ちゃんは嬉しいものです。ただし決して赤ちゃんを左右に揺らさないように気をつけましょう。

 

絵本 『だっこだっこ だーいすき』かみじょうゆみこ/文 100%ORANGE/絵 012えほん 福音館書店 2015

だっこ だっこ だーいすき (0.1.2.えほん)
かみじょう ゆみこ
福音館書店
2015-02-04
月刊誌「こどものとも012」の2008年4月号が、単行本になりました。チンパンジーの家族と赤ちゃんの、なんとも幸せな気分のなれる絵本です。「だっこだっこ だーいすき ○○ だっこ」と赤ちゃんがおねだりすると、「よしよし おいで」と抱っこしてもらう、その繰り返しです。無条件に受け入れられる安心感にみんなが笑顔になれる絵本です。
 
 
 
わらべうた 「ぼうずぼうず」
ぼうずぼうず
 
 
 
 
 
 
 
 
 
どんなに可愛い我が子でも、子育てはほんとうに大変。とくに主に子育てを担当するお母さんは自分の時間も持てずにイライラもたまりがち。そんな時は、このわらべうたを歌ってストレスを解消しましょう!ただし、最後の「ペション!」は叩くふり。ほんとうには叩かないでくださいね。
 
  
 
絵本 『むすんだそのてをひらいてみせて』安部賢司/作 こどものとも012 2010年3月号 福音館書店
209353
 
月刊誌「こどものとも012」2010年3月号です。手の中から何が出てくるかな?最後は、「おおきなて ちいさなて」やっぱり手をつなぐって、とっても大事ですね。わらべうた「にーぎりぱっちり」と組み合わせて遊んでもよいでしょう。
 
 
 
 
わらべうた 「にーぎりぱっちり」
にぎりぱっちり
 
 
 
 
 
 
 
てのひらの中に、小さく丸めたシフォン布(スパークハーフ)を入れて左右に揺すりながら歌います。「ひよこ」のあとに、「ピヨピヨピヨピヨ」と言いながら、手を開きます。中からふわ~っとシフォン布(黄色だとベスト)が広がり、まるでひよこが生まれてきたように見えます。
 
 
 
わらべうた 「せんべせんべ やけた」
  せんべせんべ やけた どのせんべ やけた このせんべ やけた
 
絵本 『せんべ せんべ やけた』小林衛己子/案 真島節子/絵 こぐま社 2006
せんべせんべやけた (わらべうたえほんシリーズ)
こばやし えみこ
こぐま社
2006-10
 
わらべうた「せんべせんべやけた」を歌いながら読んでいくわらべうた絵本です。絵本の裏表紙にわらべうたの採譜が載っています。
 
*ヴィアックスのスタッフの方は、社員用eラーニングサイトから、わらべうたの遊び方動画を見ることが出来ます。ぜひアクセスしてみてください。*
(K・J)

 

 

第4回児童部会(2015.11.20)


第4回児童部会も、「基本図書から学ぶ」と「情報共有の時間」の2部構成で行いました。

 

「基本図書から学ぶ」では、ノンフィクションの本をテーマに学びました。

『センス・オブ・ワンダー』(レイチェル・L・カーソン/著 新潮社 1996)を切り口にノンフィクションの本について考え、グループワークでは課題図書10冊を検討しました。

詳細は、後日報告書を掲載いたしますので、お待ちください。

IMGP4559 

 

 「情報共有の時間」では、7名が各図書館の取り組みについて発表を行いました。

以下、紹介された取組みです。(図書館名は発表者の所属図書館です。)

「図書館員がおすすめする夏休みに読みたい本」(北区立神谷図書館)

「廃材を使って にんぎょう えんぴつたて などを作ろう」(北区立神谷図書館)

「大人にすすめる絵本」(杉並区立永福図書館)

「手作りブックスタンド」(杉並区立永福図書館)

「夏休みクイズラリー」(千代田区立神田まちかど図書館)

「クリスマスツリー」(千代田区立神田まちかど図書館)

「図書館福袋」(千代田区立神田まちかど図書館)

「アンケート『おしえて!きみのすきなほんなあに?』」(文京区立水道端図書館)

「展示(アンケート結果)『おともだちのおすすめのほんをよんでみよう!』」(文京区立水道端図書館)

「ミステリークエスト」(立川市上砂図書館)

「年齢別主人公展示」(立川市上砂図書館)

「本と給食のコラボレーション」(学校支援についての発表)

(作成T.S)

基本図書を読む20『がんばれヘンリーくん』ベバリイ・クリアリー


 
 「ゆかいなヘンリーくん」シリーズは、1950年に第1作『がんばれヘンリーくん』が出版されて以来、60年以上子どもたちが親しんでいる全14巻のシリーズです。作者ベバリイ・クリアリーは、アメリカのオレゴン州で生まれ、大学で図書館学を勉強したあと、児童図書館員として働きました。そして長年子どもたちに本を手渡すなかで、ふつうの子どもたちの生活をえがいたゆかいな物語が少ないと感じていたクリアリーは、普段子どもたちに接してきた豊富な経験を生かして、『がんばれヘンリーくん』を書きあげます。この作品はたちまち子どもたちの人気を集め、主人公はヘンリーくんの友達ビーザスの妹ラモーナへとバトンタッチしていきますが、約半世紀にわたってこの一連のシリーズは書き続けられることになります。
 
 第1作目『がんばれヘンリーくん』は、オレゴン州クリッキタット通りに住む小学校3年生のヘンリー・ハギンズの毎日が書かれています。街角でやせこけた犬を見つけたので、バスに乗せて家まで連れて帰ろうとしたら大騒ぎになったこと、ペットショップでグッピーをひとつがい買ったら、何百匹にも増えてしまい世話が大変になったこと、友達の大切なボールを失くしてしまい弁償するために、釣りの餌に使うミミズを1319匹つかまえたことなど、ヘンリーくんの周りでおこるちょっとした事件をユーモラスに描いています。この本を手にとる子どもたちも、自分と同じ年ごろのヘンリーくんのゆかいな事件を読んでいくうちに、クリキタット通りで起こることが身近に感じるようで、笑いながら読んでいました。
 
がんばれヘンリーくん (ゆかいなヘンリーくん 1)
ベバリイ クリアリー
学習研究社
2007-06-15

 

 

 シリーズ後半の主人公ラモーナは、初登場は3歳くらいで、好奇心いっぱいのやんちゃな女の子でしたが、最後の巻では親友に出会ったり気になる男の子ができたりと、思春期の入り口にさしかかります。何をするかわからないラモーナが起こす事件もおもしろく愉快ですが、シリーズを通して成長していく様子がみられるのも魅力的です。10歳の誕生日を迎えたラモーナは、こう叫びます。

「あたし、おとなになる可能性をもってるんだからねーっ!」 (『ラモーナ、明日へ』P284)

 泣いたり笑ったり、存分に子ども時代を生きて、明日へ向かっていく姿は力強く、読んでいるこちらも励まされます。

ラモーナ、明日へ
ベバリイ クリアリー
学習研究社
2006-01

 

 

 訳者である松岡享子氏は、アメリカで児童図書館員として働きはじめたときにヘンリーくんに出会ったそうですが、『がんばれヘンリーくん』のあとがきで次のように書いています。

「図書館では、よく読まれる本は、複本といって、同じ本を何冊もそろえるのですが、ヘンリーくんのシリーズの本は、複本がたくさん用意されていました。のちにわたしが配属された小さな街中の分館にも、ヘンリーくんの本は複本でそろえてありました。そして、それらの本は、棚の上でゆっくり休んでいる暇はありませんでした。つぎからつぎへと借り出されていったからです。子どもたちに負けずに、私もつぎつぎにこのシリーズを読みました。夜、アパートの古い安楽いすにからだを沈めてページをくりながら、何度声をたてて笑ったことでしょう!  図書館へやってくる子どもたちと少しも違わない、元気で、くったくのない子どもたちが、本のなかからもわたしに話かけ、わたしをクリッキタット通りの住民にしてくれました。」(『がんばれヘンリーくん』 P226 )

 劇で変な役をしたくなかったり、お姉さんと比べられて嫌だったり、誕生日が楽しみだったり、ごく当たり前の生活の中で、ヘンリーくん、ビーザス、ラモーナがしていることは、今の子どもたちも同じように嬉しかったり悩んだりしていることでしょう。そんな自分と同じような気持ちになる物語を読んで大笑いすることは、スカッとしますし元気になれると思います。読んで愉快、親しみがわいてあたたかい、めいっぱい味わってほしいシリーズです。改訂新版は、版型は小さくなっていますが活字は大きく読みやすくなっています。ぜひ、シリーズの中に出てくるおもしろい事件を紹介して、ヘンリーくんたちに出会うきっかけを作ってあげてください。

≪ゆかいなヘンリーくんシリーズ≫ ベバリィー・クリアリー作 松岡享子訳

第1巻『がんばれヘンリーくん』 改訂新版 2007, 第2巻『ヘンリーくんとアバラー』 改訂新版 2007, 第3巻『ヘンリーくんとビーザス』 改訂新版 2009, 第4巻『ビーザスといたずらラモーナ』 改訂新版 2009, 第5巻『ヘンリーくんと新聞配達』 改訂新版 2013, 第6巻『ヘンリーくんと秘密クラブ』 改訂新版 2013, 第7巻『アバラーのぼうけん』 改訂新版 改訂新版 2008, 第8巻『ラモーナは豆台風』 改訂新版 2012, 第9巻『ゆうかんな女の子ラモーナ』 改訂新版 2013, 第10巻『ラモーナとおとうさん』 改訂新版 2001, 第11巻『ラモーナとおかあさん』 改訂新版 2001, 第12巻『ラモーナ、八歳になる』 2001, 第13巻『ラモーナとあたらしい家族』 2002, 第14巻『ラモーナ、明日へ』 2006

(作成 T.S)

 

アフリカ子どもの本プロジェクトのご紹介


児童文学翻訳者のさくまゆみこさんや、さくまゆみこさんと共に『エンザロ村のかまど』(「たくさんのふしぎ」2004年2月号 福音館書店、2009年に「たくさんのふしぎ傑作集」として単行アフリカ子どもの本プロジェクト本化)というノンフィクション絵本を作られた沢田としきさん(2010年に51歳の若さで死去)が中心となって立ち上げた「アフリカ子どもの本プロジェクト」についてご紹介します。

エンザロ村のかまど (たくさんのふしぎ傑作集)
さくま ゆみこ
福音館書店
2009-06-20

 

 

 

このプロジェクトでは、次の3つを目的として活動をしています。12190858_1623683791226881_2429149708973258152_n
1)アフリカに設立したドリーム・ライブラリーを継続的に支える
2)識字や楽しみのための本を必要としているアフリカの子どもたちがいれば、そこに本を届ける
3)日本の子どもたちに、アフリカの文化やアフリカの子どもたちのことを伝える

現在、プロジェクトでは「アフリカを読む、知る、楽しむ 子どもの本」展用の、おすすめの児童書や展示パネルをセットにして貸出をしています。この貸出にかかる費用は、アフリカのドリーム・ライブラリー(エンザロ村などに設立した小さな図書館)の支援に使われます。 → 詳しくはこちら 

IMG_9321次年度、図書館で多文化共生などのテーマで特別展示などを企画している館があれば、ぜひおすすめしたい展示セットです。→「アフリカ子どもの本プロジェクト」Facebookページから展示の様子なども見ることができます。 → こちら

先日、中央区築地社会教育会館で行われた「子どもに本の楽しみを~ケニアのドリーム・ライブラリーを訪ねて~」という報告会に参加してきました。ドリーム・ライブラリーがあるエンザロ村、そしてシャンダ村はアフリカ、ケニアの中でも電気・水道も無いような特に貧しい地域です。そこで子供たちが本に出会うことによって、文字を学び、文化を学び、自分たちの将来に希望を抱くことができるのです。「本」の持つ力を改めて感じることが出来ました。その際に展示も見てきました。子どもたちや、子どもに本を手渡す人にとっても興味深い内容でした。(K・J)IMG_9325

2015年10月、11月の新刊から


2015年10月、11月に出版された児童サービス向け出版物(絵本、児童書、ノンフィクション、YA向け、教育者・研究者向けなど)の中から、おすすめの本を紹介します。

絵本

『スワン アンナ・パブロワのゆめ』ローレル・スナイダー/文 ジュリー・モースタッド/絵 石津ちひろ/訳 BL出版 2015/10/20
ローレル スナイダー
BL出版
2015-10
 
20世紀の初めに活躍した ロシアの伝説的なバレリーナ、アンナ・パブロワを題材にした絵本。「ひん死の白鳥」で世界的に有名になったパブロワが、貧しかった子ども時代を思い出して小さな村にまで出かけて行って踊ったことなどが描かれています。絵がとても美しい絵本ですが、パブロワの一生を描くという点では、終わり方が少し中途半端な気がします。それでもバレリーナを題材にした絵本が少ないので、バレエに興味を持つ子どもたちに手渡してあげてもよいでしょう。またこの絵本から、今年6月に出版された『夢へ翔けて 戦争孤児から世界的バレリーナへ』(ミケーラ・デプリンス、エレーン・デプリンス/文 田中奈津子/訳 ポプラ社 2015/06)につなげてあげるとよいでしょう。
 
『子どものためのラ・フォンテーヌのおはなし』マーガレット・ワイズ・ブラウン/再話 アンドレ・エレ/絵 あべきみこ/訳 こぐま社 2015/10/24
子どものためのラ・フォンテーヌのおはなし
マーガレット・ワイズ ブラウン
こぐま社
2015-10-24
 
イソップの物語を17世紀のフランスの詩人ジャン・ド・フォンテーヌ(1621-1695)が寓話集にしたものを、マーガレット・ワイズ・ブラウンが再話したものです。「コオロギとアリ」「キツネとぶどう」「オオカミとヤギと子ヤギ」など、読めばどこかで聞いたことのあるおはなしばかり13話が収められています。アンドレ・エレの絵もはっきりとしてわかりやすく想像をかきたてます。 
 
『おじいちゃんのコート』ジム・エイルズワース/文 バーバラ・マクリントック/絵 ほるぷ出版 2015/10/28
おじいちゃんのコート (海外秀作絵本)
ジム エイルズワース
ほるぷ出版
2015-10-28
 
イディッシュ語(東ヨーロッパなどで使用されるユダヤ人の言語)の民謡が元になっているおはなしです。同じ民謡を元にした絵本に『おじいさんならできる』(フィービ・ギルマン/作 芦田ルリ/訳 福音館書店 1998)や、コールデコット賞受賞作の『ヨセフのだいじなコート』(シムズ・タバック/作 木坂涼/訳 フレーベル館 2001)があります。それぞれの作品は、最初が赤ちゃんの時におじいさんに贈られたブランケットだったり、すりきれた古いコートだったりするのですが、この作品では仕立て屋だったおじいちゃんが結婚する時に自分で仕立てたコートがはじまりです。古くなってすりきれるたびに上着やベスト、ネクタイと変化していくところは同じですが、最後には孫のためのねずみのおもちゃになるのです。『ないしょのおともだち』(ビバリー・ドノフリオ/作 ほるぷ出版 2009)などの作品があるバーバラ・マクリントックの絵は、品があり、家族の暖かさを伝えてくれます。並べて展示をしても面白いと思います。  
 
『わいわいきのこの おいわいかい』レーマ・ペトルシャーンスカヤ/文 タチヤーナ・マーヴリナ/絵 まきのはらようこ/訳 保坂健太郎/きのこ監修 カランダーシ 2015/11/2
わいわいきのこのおいわいかい きのこ解説つき
レーマ・ペトルシャーンスカヤ
カランダーシ
2015-11-02
 
 ロシアの絵本を専門に出版しているひとり出版社カランダーシ(K・Jの大学の同級生がやっています)から新しい絵本が出ました。国際アンデルセン賞受賞画家タチヤーナ・マーヴリナの描くきのこのにぎやかな声が聞こえてきそうな楽しい絵本です。おはなしの中でも、さまざまなきのこの特徴が描かれていますが、絵本の末尾に国立科学博物館 植物研究部 菌類・藻類研究グループ研究員の保坂健太郎氏によるカラー写真付のきのこの解説もあり、一層おはなしに親しみがもてることでしょう。
 
 『ゆき』きくちちき ほるぷ出版 2015/11/20
ゆき (ほるぷ創作絵本)
きくちちき
ほるぷ出版
2015-11-20
 
2013年にブラティスラヴァ世界絵本原画展で見事「金のりんご」賞を受賞されたきくちちきさんの最新作が出版されました。パリの古本屋さんでブーテ・ド・モンヴェルの絵本に出会い、衝撃を受けて100年以上読み継がれる絵本を作りたいと絵本を創り始められたきくちちきさんですが、一作ごとに絵本の表現も磨かれていっています。きくちさんが生まれ育った北海道の大地を舞台に晩秋の森に雪が降り始め、やがて一面の雪に閉ざされるまでをダイナミックな筆使いで描いた作品です。動物や子どもたちの息遣いも聞こえてきそうです。  

『おうさまのくつ』ヘレン・ビル/文 ルイス・スロボドキン/絵 こみやゆう/訳 瑞雲舎 2015/11/24
おうさまのくつ
ヘレン ビル
瑞雲舎
2015-11-24
 
うぬぼれやのくつが、自分たちこそお城に住むのにふさわしいと、はりきってお城へ出かけていくのですが、どしゃぶりの雨にふられてしまいます。そしてお城中に泥まみれの足あとをつけて、追い返されるはめに・・・お城の中でのやり放題なくつにはハラハラドキドキするでしょう。しかし、その後くつがどのようになったかの結末は子どもたちにとってもホッとするものです。 
 
 
児童書

『クリスマスの森』ルイーズ・ファティオ/文 ロジャー・デュボアザン/絵 つちやきょうこ/訳 福音館書店 2015/10/7

クリスマスの森 (世界傑作絵本シリーズ)
ルイーズ・ファティオ
福音館書店
2015-10-07
 
プレゼントの準備に忙しくて寝不足のまま、トナカイたちと飛び立ったサンタクロースは、プレゼントを配り始める前に一休み。おくさんが作ってくれたコーヒーを飲んでサンドイッチを食べると睡魔が襲ってきて眠り込んでしまいます。このままではプレゼントがみんなのところに届きません。そこで森の動物たちが大活躍。デュボアザンの絵も温かい雰囲気を醸し、ほのぼのとした物語です。 
 
 
『ハリーとうたうおとなりさん』ジーン・ジオン/文 マーガレット・ブロイ・グレアム/絵 こみやゆう/訳 大日本図書 2015/11/25
ジーン ジオン
大日本図書
2015-11
 
どろんこハリー』(福音館書店 1964) などの絵本でハリーのファンになった子どもたちに読んでほしい幼年童話です。ハリーの家のとなりに住む歌手のおばさんは、いつも高く大きな声で歌の練習をしています。ハリーにはそれがとても不快でした。なんとか歌うのをやめさせようとするのですが・・・ハリーにとっても歌手のおとなりさんにとってもハッピーな解決方法はあるのかしら。今年1月に亡くなられたマーガレット・ブロイ・グレアムの最新邦訳の1冊です。
 
 
 『雪の女王』ハンス・クリスチャンセン・アンデルセン/作 サンナ・アンヌッカ/絵 こみやゆう/訳 中央出版(アノニマスタジオ) 2015/11/6
雪の女王
ハンス・クリスチャン アンデルセン
KTC中央出版
2015-11-06
 
フィンランドのファッションブランド、マリメッコのデザイナー サンナ・アンヌッカが絵と装丁を手がけた美しい本です。児童室に置くには字体も小さいので迷うかもしれません。それでもこみやゆう氏による翻訳は読みやすく、おしゃれに敏感なYA世代には手にとってもらえるのではないかと思います。同じくサンナ・アンヌッカが描き、こみやゆう氏が翻訳したの『もみの木』(ハンス・クリスチャン・アンデルセン/作 サンナ・アンヌッカ/絵 こみやゆう/訳 中央出版(アノニマスタジオ) 2013)と合わせて、アンデルセン童話の真髄を伝える試みも面白いと思います。 
 
『北風のうしろの国』上・下 ジョージ・マクドナルド/作 脇明子./訳 岩波少年文庫 岩波書店 2015/1016
北風のうしろの国(上) (岩波少年文庫)
ジョージ・マクドナルド
岩波書店
2015-10-17

北風のうしろの国(下) (岩波少年文庫)
ジョージ・マクドナルド
岩波書店
2015-10-17
 
 19世紀のイギリスを代表する児童文学作家のジョージ・マクドナルドの作品で、1868年から69年にかけて『Good Words for the Young」という雑誌に連載されていた物語が1871年に単行本化された作品です。当時、イギリスは産業革命を成し遂げ、日本は1968年に明治維新が起きています。ダイヤモンドという主人公の男の子は、美しい北風と出会い、北風のうしろの国へ行ってきます。そこはとても美しく平和で、誰もが穏やかに過ごしていました。そこから戻ってきてからのダイヤモンドは、人の痛みに寄り添い、素晴らしい働きをします。どの時代にも貧富の差があり、貧しいながらも高潔な気持ちを保ちながら懸命に生きていた子どもたちがいたのだということ感じました。1977年に田谷多枝子訳で太平出版から出され、2005年にはハヤカワ文庫として中村妙子訳が出版されています。この度岩波少年文庫となり、現代の子どもたちに手渡されることになりました。脇明子さんの翻訳も子どもたちにとって、読みやすいでしょう。
 
『だれもが知ってる小さな国』有川浩/作 村上勉/絵 講談社 2015/10/28
だれもが知ってる小さな国
有川 浩
講談社
2015-10-28
 
 子ども時代に佐藤さとるの『だれも知らない小さな国』をはじめとするコロボックル物語シリーズを愛読していた有川浩さんが、その続きの物語を完成され、出版されました。昨年、『コロボックル絵物語』(村上勉/絵 講談社)を出版された時から、単行本の出版を予告されており楽しみにしていました。(講談社「コロボックル物語」特設ページは→こちら)この本の語り手は「ヒコ」という男の子。養蜂家の両親に連れられて日本中を転々とする生活をしています。そのヒコが、ある時小人のハリー(ハリエンジュノヒコ=ハヤタ)と出会います。お話の舞台も主役も違っていますが、佐藤さとるさんのコロボックルの世界観をしっかりと引き継いで、物語が展開していきます。佐藤さとるさんの作品も青い鳥文庫や講談社文庫で手に入ります。合わせて読んでもらえるような展示ができるとよいでしょう。(連載「基本図書を読む⑮『だれも知らない小さな国』の記事は→こちら
 
『森のプレゼント』ローラ・インガルス・ワイルダー/作 安野光雅/絵・訳 朝日出版社 2015/11/20 
森のプレゼント
ローラ・インガルス・ワイルダー
朝日出版社
2015-11-20
 
『大草原の小さな家』の作家、ローラ・インガルス・ワイルダーの子ども時代のあるクリスマスの数日が描かれた美しい本です。普段は離れた場所で生活をしているおじさん一家がやってくるので、両親も準備に忙しくしています。そして久しぶりのいとこ同士の再会のシーンもとても心温まります。家族がお互いを想い合って手作りのプレゼントを作ったり、クリスマスプレゼントにもらったキャンデーを大切にするなど、今のクリスマスの風景とは随分違っています。安野光雅さんの描く絵も優しく美しく、私たちの心を温めてくれる、そんな1冊です。
 
 
ノンフィクション
『世界でいちばん貧しい大統領からきみへ』くさばよしみ/編 田口実千代/絵 汐文社 2015/10/9
世界でいちばん貧しい大統領からきみへ
くさば よしみ
汐文社
2015-10-09

 2014年3月に出版されて話題になった絵本『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』(くさばよしみ/編 中川学/絵 汐文社 2014)を受けて出版された南米・ウルグアイのホセ・ムヒカ前大統領へのインタビューを小学生でも読みやすいようにまとめたものです。「いちばん大切なものは命なんだ。お金で命を買うことはできないんだよ。命は奇跡なんだ。」という語りかけは、前大統領の信念でもあり、その生き方は多くのことを私たちに教えてくれます。世界が憎しみに憎しみで報復しようとしている今だからこそ、子どもたちに読んでほしいと思います。 

 

その他

『読む力・聴く力』河合隼雄 立花隆 谷川俊太郎 岩波現代文庫 岩波書店 2015/10/17

読む力・聴く力 (岩波現代文庫)
河合 隼雄
岩波書店
2015-10-17
 
2005年11月20日に小樽市民会館で行われた絵本・児童文学研究センター主催の第10回文化セミナー「読む 聞く」を一冊にまとめた本です。2006年に岩波書店から単行本として出版(現在、品切れ中)されたものが、このほど岩波現代文庫として出版されました。2007年に79歳で亡くなられた河合隼雄氏の「読むこと・聴くこと・生きること」と、立花隆氏の「人間の未来と読むこと・聴くこと」、そして詩人の谷川俊太郎氏がコーディネーターになってのシンポジウムとどれも示唆に富む内容です。
 
 『「エルマーのぼうけん」をかいた女性 ルース・S・ガーネット』前沢明枝 福音館書店 2015/11/18
「エルマーのぼうけん」をかいた女性 ルース・S・ガネット (福音館の単行本)
前沢 明枝
福音館書店
2015-11-18
 
『エルマーのぼうけん』の著者、ルース・S・ガーネットさんが2010年に来日した時に通訳した児童文学の翻訳者前沢さんが、その後渡米してルースにインタビューをして書いた人物記です。書評家だったルースの父親の友人に『100まんびきのねこ』の作者、ワンダ・ガアグがいて、父親はルースがワンダ・ガアグと結婚するのではないかと思っていたというエピソードや、父親の再婚相手で継母は『ミス・ヒッコリーと森の仲間たち』(キャロライン・シャーウィンベイリー/作 福音館文庫 2005)でも絵を描いている画家で、ルースが『エルマーのぼうけん』(原題は「ぼくのおとうさんのりゅう」)の物語を書いた時に、その世界観を描いてくれる画家を探していた時に継母が一番それにふさわしい絵を描いてくれたというエピソードなどが盛り込まれています。絵本から読み物へ移行するときに、だれもが一度は手にする『エルマーのぼうけん』がどのように誕生したかがわかる1冊です。
 
(作成K・J)

2015年1月(その3)おはなししましょ!


冬の夜長にこそ、親子でたくさんおはなしをしてほしいな、と思います。絵本を読んであげるのもいいし、ボードゲームをしながら楽しく笑い合うのもいいし、こたつに足をつっこんでみかんを食べながら昼間にあったことを話すのもいいな、と思います。今はみんな忙しくてそんな時間は取れないのかもしれませんが、寒い冬だからこそ、身を寄せ合っておはなしをしましょう。

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導入 詩 「ペチカ」 北原白秋 『からたちの花がさいたよ』北原白秋 岩波書店 2015より
  雪の降る夜は 楽しいペチカ
  ペチカ燃えろよ おはなししましょ
  昔 昔よ 燃えろよ ペチカ

  雪の降る夜は 楽しいペチカ
  ペチカ燃えろよ 表は寒い
  くりやくりやと 呼びますペチカ(一部抜粋)

からたちの花がさいたよ――北原白秋童謡選 (岩波少年文庫)
北原 白秋
岩波書店
2015-03-18
与田準一が選んだ北原白秋の童謡集。挿絵は初山滋。全部で150編収められています。「ペチカ」は272pに掲載されています。
 
 
 
この道はいつか来た道
北原 白秋
童話屋
2009-01
童話屋からは北原白秋詩集として『この道はいつか来た道』と『かへろが鳴くからかぁへろ』の2冊があります。「ペチカ」は『この道はいつか来た道』の112pにも掲載されています。白秋の詩にはほかにも童謡として親しまれてきたものが多くあります。今の子どもたちは歌う機会も少なくなっています。ぜひ紹介してあげましょう。 

絵本 『おはなしのもうふ』フェリーダ・ウルフ、ハリエット・メイ・サヴィッツ/文 エレナ・オドリオゾーラ/絵 さくまゆみこ/訳 光村教育図書 2008 5分

おはなしのもうふ
フェリーダ ウルフ
光村教育図書
2008-11
 
村の子どもたちはザラおばあちゃんのおはなしを聞くのが大好きです。子どもたちが座っているのは「おはなしのもうふ」の上。ところがそのもうふはどんどん小さくなっていきます。その一方で村の人たちの所へは暖かいプレゼントが次々に届きます。ゆっったりとしたペースで読んであげたい絵本です。 
 
絵本 『なんげえはなしっこしかえがな』北彰介/作 太田大八/絵 銀河社 1979
 
東北弁で語る昔話が七話収録されています。どの話も「なんげえはなしっこしかえがな」=「長いお話、してあげようね」で始まります。七話のうちのいくつかを読んで、あとはおうちで読んでもらってね、と語りかけてもよいでしょう。「あとがき」に作者の北彰介さんが、「むかしは、ラジオもテレビもマンが本もありませんでした。」と書いていますが、今はどちらかというと子どもたちの時間を奪っているのは「ゲーム機にスマホ、塾通い」でしょうか。冬の夜長に囲炉裏端で祖父母や父母が子どもたちに語り聞かせたお話を、今は絵本という形であっても、子どもたちに伝えていきたいものです。東北弁で書かれていますが、自分なりのイントネーションで読んでくださいと、同じく「あとがき」に記されています。
 
 
絵本 『もりのてがみ』片山令子/作 片山健/絵 福音館書店 1990 5分

もりのてがみ (こどものとも傑作集)
片山 令子
福音館書店
2006-11-10

寒い冬、ひろこは森に住むともだち、りすやとかげ、うさぎに手紙を書きます。そして森の木につるすのです。森に冷たい雪が降り、森の木も真っ白に・・・その雪が解けたころにひろこは返事を受け取ります。寒い冬の向こうに春が待っている、そんな希望を感じられる1冊です。片山健さんの暖かな雰囲気の絵も素敵です。

詩 「こんこんこな雪ふる朝に」 三好達治  『雪』三好達治 童話屋 2010より
  こんこんこな雪ふる朝に
  梅が一輪さきました
  また水仙もさきました
  海にむかってさきました(一部抜粋)

雪
三好 達治
童話屋
2010-03

 

最後にもう一編、三好達治の詩を紹介します。「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ」の詩集の表題になっている「雪」が一番有名ですが「こんこんこな雪ふる朝に」は、『もりのてがみ』と同じように、厳しい冬も春に繋がっているという視点のある詩です。子どもたちにはそれがすぐに理解できなくとも、詩を耳から聴いて味わうという体験をたくさんさせてあげたいと思います。おはなし会の最後を引き締めてくれるでしょう。 

 (作成K・J)

2015年1月(その2)ゆかいなおさる(幼児~小学生)


平成28年は申年。ということで、さるをテーマにプログラムを組み立ててみました。

愉快なさる、ずる賢いさる、いろいろなさるがいますね!

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導入 詩「おおさむ こさむ」(『おおさむこさむ わらべうた』 瀬川康男絵 福音館書店 1972より) 

おおさむ こさむ ふゆのかぜ 
やまから こぞうが とんできた
なんといって とんできた
さむいといって とんできた
(一部引用)

おおさむこさむ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵本『がまどん さるどん』  大江和子文 太田大八絵 童話館出版 2010 5分

がまどんさるどん
大江 和子
童話館出版
2010-02

越後の昔話です。あるところに、がまどんとさるどんがいました。二匹は稲の穂から米を育てて、団子を作ることにしますが、さるどんは頭が痛い、手が痛い、体中が痛いといってちっとも働きません。やがて秋になり稲穂が実り、もちをつきますが、さるどんは独り占めしようとして・・・。再話はほどよい方言になっており、わかりやすく味わいがあります。類話の絵本に『さるとびっき』(武田正再話 梶山俊夫画 福音館書店 1982 5分)もあり、こちらはさるの顔とお尻が赤いわけがわかるなぜなぜ話になっています。

絵本『バナナのはなし』 伊沢尚子文 及川賢治絵 福音館書店 2013 4分

バナナのはなし (かがくのとも絵本)
伊沢 尚子
福音館書店
2013-03-06

さるの大好物、バナナのはなしです。バナナの花って知ってる? バナナの筋ってどんな役割があるの? などバナナについて詳しく知ることができます。ユーモラスな絵で簡単な説明なので、小さい子がから楽しむことができます。

 

絵本『おさるとぼうしうり』 エズフィール・スロボドキーナさく・え まつおかきょうこやく 福音館書店 1970 8分

おさるとぼうしうり (世界傑作絵本シリーズ―スウェーデンの絵本)
エズフィール スロボドキーナ
福音館書店
2000-11-15

頭のてっぺんにたくさんの帽子をのせた帽子売りのおじさんは、ひと休みに木に寄りかかって昼寝をします。目覚めてみると、頭の上の帽子がない! なんとサルたちがさるたちが盗んでしまったのです。木の上のさるたちから帽子を取り戻そうと、おじさんは必死で叫びますが・・・。子どもたちから笑いがおこる愉快なお話です。年齢によって帽子を順番に頭の上にのせていくのを楽しんだり、さるが帽子売りをからかうのを楽しんだり、様々な反応がかえってきます。反応をみながら、一つひとつの動作を丁寧に読んであげてください。

 

他にもおさるの本があります。差し替えても楽しめるでしょう。

絵本『さるとわに』 ポール・ガルドンさく きたむらよりはるやく ほるぷ出版 2004 10分

さるとわに (ほるぷ海外秀作絵本)
ポール ガルドン
ほるぷ出版
2004-07

インドの寓話集ジャータカ物語のお話で、さるとわにの知恵比べです。ある日一匹の若いワニが、誰よりもすばしっこい若いさるをつかまえようと決心します。果物がたくさんある島へ連れていくと言ったり、岩のふりをしたり・・・さるとわにのやりとりは、ユーモラスであると同時に緊張感があります。色彩も豊かで、さるとわにの表情も楽しめる絵本です。

 

絵本『ひとまねこざるときいろいぼうし』 H.A.レイ絵 光吉夏弥訳 1983  10分

アフリカのジャングルで暮らしていたじょーじは、黄色いぼうしのおじさんに連れられて大きな町に行きます。知りたがり屋でいたずら好きのじょーじは、町で電線を歩いたり、消防車を呼んでしまったり、さまざまな大騒動を引き起こします。好奇心たっぷりの子どもをひきつける愉快な絵本です。世界中で愛されているシリーズで全6冊です。

 

 (作成T.S)

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