Yearly Archives: 2015

2016年1月(その1)はじめての雪(小さい子)
1月のおはなし会☆おすすめ本リスト
基本図書を読む19『若草物語』ルイザ・メイ・オールコット
追悼 マーガレット・ブロイ・グレアム
訃報(速報) 舟崎克彦さん
「基本図書から学ぶ 第3回」報告
2015年(その3)たいせつな贈り物
2015年(その2)たのしいたのしいクリスマス♪
新米のおいしい季節にこの本を!
2015年(その1)あたたかいね!(小さい子向け)
12月のおはなし会☆おすすめ本リスト
第3回児童部会(2015.9.18)
児童サービスに関するeラーニング講座
小学館児童出版文化賞に『どろぼうのどろぼん』ほか
2015年8月、9月の新刊から

2016年1月(その1)はじめての雪(小さい子)


はじめて一面の雪を見たときの、幼い子どもたちの反応はほんとうに新鮮です。昔、南国シンガポール育ちで雪を見たことのなかった末っ子が、2才で一時帰国ではじめて雪を見た時の反応は今も目に焼きついています。一面の雪に目を真ん丸くして飛び出していったかと思うと、それがあまりにも冷たくてびっくりし、何が起きたかと表情を変えました。そんな反応を思い出しながら、小さい子向けのおはなし会プログラムを作成しました。

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導入 わらべうた 「ゆきこんこん あめこんこん」
    
あめこんこん ゆきこんこん おらえのまえさ たんとふれ
    あめこんこん ゆきこんこん おてらのまえさ ちっとふれ
    あめこんこん ゆきこんこん

絵本 『はじめてのゆき』中川李枝子/作 中川宗弥/絵 福音館書店 1996 2分

はじめてのゆき(こどものとも絵本)
なかがわ りえこ
福音館書店
1996-01-20

中川李枝子さんの文章に、妹の山脇百合子さんではなく夫の中川宗弥さんが絵をつけた絵本です。はじめての雪におおよろこびのとらたくん。ゆきだるまと一緒になって外で遊びます。はじめての雪だからこその味わいのあるお話です。ごく小さな赤ちゃんには少し長いかもしれませんが、2才くらいのお友達であれば楽しむことができるでしょう。
 

わらべうた 「おおさむこさむ」「おせよおせよ」「おしくらまんじゅう」「こどもかぜのこ」メドレー   

わらべうた 「おーさむこさむ」
    おーさむこさむ やまからこぞうがとんできた
    なーんといって とんできた
    さむいといって とんできた
わらべうた 「おせよ おせよ」
    おせよー おせよ さむいで おせよ
わらべうた 「おしくらまんじゅう」
    おしくらまんじゅう おされてなくな
    おしくらまんじゅう おされてなくな
わらべうた 「こどもかぜのこ」
    こども かぜのこ じじばば ひのこ
にほんのわらべうた〈1〉うめとさくら
近藤 信子
福音館書店
2001-04-10
 
『にほんのわらべうた』1~4は、わらべうたの遊び方とともに採譜もされており、CDもついています。ぜひ参考にしてください。なお、ヴィアックス社員向けにはeラーニングでわらべうた講座を見ることができます。今回のプランのわらべうたも紹介しています。 

絵本 『ゆきのひのうさこちゃん』ディック・ブルーナ/作 石井桃子/訳 福音館書店 1964 1分

ゆきのひのうさこちゃん (1才からのうさこちゃんの絵本セット1) (子どもがはじめてであう絵本)
ディック ブルーナ
福音館書店
1964-06-01

 「うさこちゃん」シリーズの中でも初期の1冊です。ゆきの中で遊ぶうさこちゃん。ことりが寒そうにしているのをみつけて、おうちを作ってあげます。“寒い”という経験をした年代だからこそ、またことりの気持ちもわかるのでしょう。

 

絵本 『ふゆのき』降矢なな こどものとも0・1・2 2011年12月号 福音館書店 2011 1分

『ゆきのひのうさこちゃん』でことりが出てきたので、こちらの絵本を選んでみました。葉っぱを全部落としてしまった冬の木に色とりどりのことりがやってきて止まります。「あかいとりが とんだきた」「あおいとりが とんできた」やさしい言葉でくりかえす絵本です。

 

手あそび 「二羽のことり」(マザーグースより)

指先にフェルトで作成した色違いのことりをはめて歌う手遊び唄です。♪とんでけ ちっち とんでけ ぴっぴ♪で、手を肩先後方に動かしながら、ことりを手の中に隠し、♪おかえり ちっち おかえり ぴっぴ♪で、また現れるというような動かし方をします。遊び方がわからない方(当社社員に限らせていただきます)はTS室に直接お問い合わせください。
なお、以下に採譜したものはK・Jが文庫活動の中で先輩に口承で教えてもらった歌です。マザーグースの「二羽のことり」には、ほかにもいろいろな節回しがあります。また歌ではなくおはなしとして語るやり方もあります。こちらでは、手遊び歌として採譜しましたので、参考にしてください。
二羽のことり(マザーグース)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(作成 K・J)

1月のおはなし会☆おすすめ本リスト


1月のおはなし会向けのおすすめ本リストを更新しました。一部、おはなし会向けというよりは展示やブックトーク向けの絵本も入っています。

おはなし会のプログラム作成だけではなく、展示やブックトーク、リスト作成などの参考にしてください。

おはなし会☆おすすめ本リスト1月2015

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基本図書を読む19『若草物語』ルイザ・メイ・オールコット


今回取り上げる『若草物語』は、1868年に発表された作品です。1868年という年号を聞いて、その時代背景を即座に思い浮かべることができる人はどれくらいいるでしょうか。もしかすると歴史小説や大河ドラマなどが大好きな人は、ああ、あの時代だと思い浮かべることができるでしょう。日本では1868年というと元号が慶応から明治と改められた年にあたります。

『若草物語』は、私K・Jが小3の時に初めて読んだ長編であり、その時の感動が本好きになる契機となった作品なのですが、今まさにNHKで放映中の大河ドラマ「花燃ゆ」や、朝の連続テレビ小説「あさが来た」のヒロイン達と同じ時代に生きたアメリカの少女たちの姿だと思うと、子ども時代にこの作品を読んだ時に感じた印象とは違ってみえました。

若草物語(上) (岩波少年文庫)
ルイザ・メイ・オルコット
岩波書店
2013-08-30

 

 

若草物語(下) (岩波少年文庫)
ルイザ・メイ・オルコット
岩波書店
2013-08-30

 

この物語は父親が南北戦争に従軍している留守家庭の、マーチ家の聡明で優しい母親と四人の姉妹のある年のクリスマスから、次の年のクリスマスまでの一年間を描いています。長女メグは16歳。優しく美しい女の子ですが、虚栄心の強い部分もあります。物語の後半では初めての恋に心をときめかす姿を見せます。背の高い次女ジョーはさっぱりとした性格の活発な15歳。想像力もたくましく文章力にも長けています。13歳の三女のベスは内気で臆病な性格ですが、とても繊細でピアノを弾くのが上手な女の子です。そして末っ子のエイミーはお茶目で甘えん坊の12歳。絵を描いたり、物を作るのが得意な芸術的センスの持ち主です。

父親が従軍牧師として赴任し、清貧を旨とする両親の考えで家族は慎ましい生活を送っています。お手伝いのハンナが母娘を助けていますが、母親もそして上の二人の娘も家庭教師などをして家計を助けています。贅沢をせず、自分たちよりも貧しい人々へ援助の手を差し伸べる母親のマーチ夫人の姿には、当時の清教徒らしい良識を感じます。アメリカを建国した清教徒たちの流れは建国から100年経ったこの時代にも、古き良き伝統として受け継がれ、家父長制のもと、女性には慎み深さや謙虚な姿勢、従順であることがよしとされていた時代です。マーチ夫人の娘たちへの言葉や、気難しい大叔母の言動にもそのような時代の空気を感じさせます。

そのような古き時代を背景にした物語だとしても、四人の姉妹が互いを思い合い、時にはぶつかり合いながらも、大人の女性として成長していく手前の少女時代を懸命に生きている姿は、今の子どもたちにもいろいろなことを示唆してくれることでしょう。

そのことについて、2013年に岩波少年文庫版『若草物語』を訳出した海都洋子氏は、「あとがき」にこのように記しています。

「『普遍的』という言葉があります。いつの時代にも変わらず、すべてのこと、すべての人にあてはまる・・・・というような意味です。人間が(この物語では少女たちが)それぞれ成長していく過程で、悩んだり、喜んだり、考え込んだりすることは、時代が古くても新しくても同じ、つまり普遍的なことなのです。この物語が世界各国の言葉に翻訳され、永く読み継がれてきたのは、まさに、その内容が普遍的で、書かれていることが、読者にとっては、まるで自分のことのように、あるいは、きょうだいや近しい人のことのように読めるからです。」(下巻p292)

多感な時期に他人と比較して落ち込んでみたり、見栄を張って失敗してみたり、ちょっとしたことで自信を取り戻したりする10代の子どもたちにとって、150年前の四姉妹も同じように感じながら、それを懸命に乗り越えていった姿に共感を覚えるのだと思います。

作者自身が『若草物語』の校正ゲラが届いた日の日記に、「(1868年)八月二十六日―全ページの校正ゲラが届いた。案外いい作品だと思う。ぜんぜんセンセイショナルではなくて、素朴で真実味がある。それもそのはず、わたしたちはほとんどこのとおりの人生を送ってきたのだから。この作品が成功するとしたら、それは実際にあった話だからだろう。(中略)すでに原稿を読んだお嬢さんたちが「素晴らしい!」といってくれたそうだ。少女向けに書いた作品なので、少女が最高の批評家。だからわたしは満足。」(『ルイーザ・メイ・オールコットの日記-もうひとつの若草物語-』ジョーエル・マイヤースン、ダニエル・シーリー/編 宮木陽子/訳 西村書店 2008 ,p224)と記しているとおり、描かれているのは等身大の10代の姿であり、その年代の少女たちがぶつかる課題も普遍的であるということでしょう。

ルイーザ・メイ・オールコットの日記―もうひとつの若草物語
西村書店
2008-07
 
 
 
 

この作品の原題は『Little Women』です。日本では1906年に『小婦人』(北田秋圃/抄訳・画 彩雲閣)という書名で、初めて紹介され、その後も多くの人の訳で出版されてきました。なぜ邦訳で『若草物語』という題名になったのかについても、海都洋子氏はあとがきに書いています。

「それから100年以上、日本だけでも、この物語は何十回も訳し直され読みつづけられてきました。書名も『四少女』『四人の姉妹』など、いくつかあります。いちばん有名な『若草物語』になったのは、1933年にアメリカで映画化されて翌年日本で公開される際につけられたタイトルが、あまりにぴったりだったので、以後、この『若草物語』が多く使われるようになったのだと言われています。」(下巻p291)

四姉妹と隣に住むローレンス家の孫ローリーが親しくなる場面で、「そして、たのしいことが次から次に起こり、まるで春の若草が萌え出すように新しい友情が芽生え、ぐんぐん育っていった。」(上巻p146)と、たったそこだけに「若草」という表現が出てくるのですが、『若草物語』というタイトルは10代の活力や、未来に向って伸びていこうとする前向きな気持ちを的確に表していると感じます。

 
岩波少年文庫版は、新しく訳されたこともあり、長く読み継がれてきた福音館書店の古典童話シリーズ(矢川澄子訳 1985)と比べて読むと、会話文なども今の子どもたちにスっと入り込みやすくなっています。
若草物語 (福音館古典童話シリーズ (25))
ルイザ・メイ・オルコット
福音館書店
1985-02-20

 また、福音館書店版の絵はターシャ・テューダーで、岩波書店文庫はバーバラ・クーニーです。それぞれの絵に味わいがあります。どちらを読むかはお好み次第ですが、今の子どもたちには岩波少年文庫版が手渡しやすいでしょう。「あさ」と同じ時代を生きたアメリカの少女たちにも出会ってほしいと思います。

(作成 K・J)

追悼 マーガレット・ブロイ・グレアム


『どろんこハリー』(ジーン・ジオン/文 渡辺茂男/訳 福音館書店 1964)や、『はちうえはぼくにまかせて』(ジーン・ジオン/文 森比左志/訳 ペンギン社 1981)の絵を描いたマーガレット・ブロイ・グレアムが今年1月22日に亡くなられていたことがわかりました。→(訃報を伝える’The New York Times’の記事
マーガレット・ブロイ・グレアムの日本で未発表の絵本を翻訳してくださった絵本編集者で翻訳家のこみやゆうさんが、Facebookで知らせてくださいました。

どろんこハリー (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)
ジーン・ジオン/マーガレット・ブロイ・グレアム
福音館書店
1964-03-15

 

 

はちうえはぼくにまかせて (世界こども図書館A)
ジーン・ジオン/マーガレット・ブロイ・グレアム
ペンギン社
1981-08
 
 
 
 
また、1951年に出版した『あっおちてくるふってくる』(ジーン・ジオン/文 まさきるりこ/訳 あすなろ書房)と、1952年に出版した『あらしのひ』(シャーロット・ゾロトウ/文 松井るり子/訳 ほるぷ出版)で、コールデコット・オナー賞を受賞しています。

あっおちてくるふってくる
ジーン ジオン/マーガレット・ブロイ・グレアム
あすなろ書房
2005-01-30

 

 

 
シャーロット・S. ゾロトウ/マーガレット・ブロイ・グレアム
ほるぷ出版
1995-10
 
 
 
こみやゆうさんが編集された絵本はこちら。
ジェフィのパーティー (このよろこびをあのこにブックス)
ジーン ジオン/マーガレット・ブロイ・グレアム
新風舎
2004-06-10
 
 
 

あっおちてくるふってくる
ジーン ジオン/マーガレット・ブロイ・グレアム
あすなろ書房
2005-01-30

 
さとうねずみのケーキ
ジーン ジオン/マーガレット・ブロイ・グレアム
アリス館
2006-01-20
 
 
 

ベンジーとおうむのティリー
マーガレット・ブロイ グレアム
アリス館
2006-05




 
ベンジーとはずかしがりやのフィフィ
マーガレット・ブロイ グレアム
アリス館
2006-08




ベンジーのいぬごや
マーガレット・ブロイ グレアム
アリス館
2006-11
 
 
 
2015年11月に『ハリーとうたうおとなりさん』(ジーン・ジオン/文 マーガレット・ブロイ・グレアム/絵 こみやゆう/訳 大日本図書)も出版されます。温かみのある作品を子どもたちにこれからも手渡していければと思います。 
 (作成K・J)

訃報(速報) 舟崎克彦さん


10月23日(金)に、児童文学者の寮美千子さんが「訃報/舟崎克彦氏」としてtwitter上に、『ほっぺん先生』のシリーズなど多くの絵本および児童文学作品を世に生み出された舟崎克彦先生が亡くなられたことを伝えておられます。

「本のこまど」では、その他の公式発表の有無を確認しましたが、現在この情報は寮美千子さんの記事だけです。児童文学者のお仲間のひとりとして受け取られた情報と思われます。新聞等の公式な発表がわかり次第、こちらでもお知らせいたします。

舟崎克彦訃報

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

舟崎克彦先生の作品→絵本ナビサイト

ぽっぺん先生の日曜日
舟崎 克彦
筑摩書房
1973-01


 (作成K・J)

「基本図書から学ぶ 第3回」報告


平成27年9月18日に開催された児童部会で、「第3回 基本図書から学ぶ」を行いました。

今回は、昔話絵本をテーマに、昔話絵本の読み比べをしました。

詳細は、以下の報告書と資料をご覧ください。

第3回「基本図書から学ぶ」報告書

● 配布資料

児童部会「基本図書から学ぶ3 昔話について」

児童部会「基本図書から学ぶ3 昔話絵本について グループワークシート」

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2015年(その3)たいせつな贈り物


クリスマスっていうと、「プレゼント」をもらえる日,、だから嬉しい日ですね。では、なぜクリスマスにプレゼントし合うか、知っていますか?

ひとつには、クリスマスはイエス・キリストの誕生を祝う日(聖書には誕生日がいつであったかはどこにも記されていません。キリスト教がヨーロッパに広がるにつれて、太陽神を祀るミトラス教などの影響を受けて冬至の頃に祝うようになり、宗教会議で定められました。)であり、救い主としてのイエス・キリストは人類への神様からの贈り物と考えられていました。それで人々も互いにプレゼントを贈りあったという説。

もうひとつは、聖書の中にイエス・キリストの誕生を知って東の国の三賢者が、黄金、乳香、没薬といった当時とても貴重だった宝物を携え、はるばる旅をして贈り物を届けたということから、イエス・キリストの誕生を祝って互いにプレゼントを贈りあったという説もあります。いずれにしても、キリスト教徒ではない日本でこの風習が広がったのは、高度成長期のデパートや玩具メーカーの商戦が見事に当たったということでしょう。

日本人にはなじみの薄いクリスマスの由来が『クリスマスってなあに?』(ジョーン・G・ロビンソン/文・絵  こみやゆう/訳 岩波書店 2012)に書かれています。集団での読み聞かせには向かない絵本ですが、ご家庭でクリスマスの行事の由来を子どもたちにわかりやすく伝えることのできる1冊です。図書館で質問されたら、ぜひお薦めしてみてください。

なにはともあれ、子どもたちにとっては楽しみにしているクリスマスプレゼント。それをテーマにおはなし会プログラムを作成してみました。

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導入 詩 「サンタクローズにプレゼント」 佐藤義美 『佐藤義美童謡集 ともだちシンフォニー』(JULA出版局 1990)より 1分
  サンタクローズに トラックをあげたい 
  1トン2トントラックじゃだめだ
  100トンぐらいのトラックをあげたい。
  100トントラックじゃ、連結トラック、
  それに うんとこさと いい物つんで
  世界中の子どもにプレゼント。
      (中略)
  もらうばかりじゃ わるいから
  サンタクローズに プレゼントしたい。

サンタクロースにプレゼントばかりもらっていては申し訳ないと、100トン分のプレゼントを載せられる連結トラックをあげたい!という、なんとも豪快で、楽しい詩です。一度目は読んであげて、二度目は子どもたちに復唱してもらって、詩の面白さを味わえるといいですね。
 

絵本 『アンナの赤いオーバー』ハリエット・ジィーフェルト/作 アニタ・ローベル/絵 松川真弓/訳 評論社 1990 9分

アンナの赤いオーバー (児童図書館・絵本の部屋)
ハリエット ジィーフェルト
評論社
1990-12

第二次世界大戦後の物資の乏しい時代にあった事実をもとにした絵本です。アンナのオーバーは擦り切れてちんちくりんに。戦争が終わったら新しいコートを買いましょうとお母さんは約束してくれていました。でも戦争が終わっても、物不足は続いています。お母さんはどうやって新しいオーバーを手に入れてくれるのでしょう?羊を飼っているお百姓さんに頼みに行ってからちょうど1年後に、アンナの新しいオーバーは出来上がりました。さあ、クリスマスの日にはオーバー作りに関わってくれた人をみんなご招待です。なんでもお金を出せば手に入る今の子どもたちにも、ぜひ伝えてあげたいお話です。 

 

絵本 『くんちゃんとふゆのパーティー』ドロシー・マリノ/作 あらいゆうこ/訳 ペンギン社 1981 7分

くんちゃんとふゆのパーティー

ドロシー・マリノ
ペンギン社
1981-11

こぐまのくんちゃんは、好奇心旺盛です。寒い冬がやってきて、くまたちはそろそろ冬ごもりをする季節。早々に冬ごもりをしてしまうと、雪を見るチャンスがありません。この冬は雪を見てからにしようと、おとうさんもおかあさんも、くんちゃんの願いに寄り添ってくれます。初めて見る雪に興奮するくんちゃんですが、雪に覆われた様子を見て、あることを思いつきます。さて、それはいったいどんなことでしょう。“くんちゃん”シリーズは、子どもの好奇心に寄り添い、干渉しすぎずに、その思いを遂げられるようにとサポートする親の姿がとても素敵な絵本です。長く読み継がれた絵本ですが、今の子どもたちもこのくんちゃんの気持ちに自分を重ねて読むことでしょう。

 

絵本 『クリスマスのふしぎな箱』長谷川摂子/作 斉藤俊行/絵 福音館書店 2008  3分

クリスマスの ふしぎな はこ (幼児絵本)
長谷川 摂子
福音館書店
2008-10-10

クリスマスの朝、ゴミ捨て場で拾ってきた箱を覗いてみると・・・なんとサンタクロースは今頃何をしているのか、その様子が見えるのです。箱を覗くたびに、サンタさんはぼくの家に近づいているとわかります。クリスマスの日のわくわくドキドキする気持ちが上手に描かれている1冊です。

この絵本は、子どもたちの状況を見て読んであげてください。『アンナの赤いオーバー』と『くんちゃんとふゆのパーティー』どちらも長いので、2冊で終えても良いし、小さい子が多ければ『アンナの赤いオーバー』と差し替えてもよいでしょう。クリスマスの雰囲気を盛り上げるために、ブラックパネルシアターの「メリークリスマス(赤鼻のトナカイ)」などをプログラムに取り込むのも一案です。

ブラックパネルシアター―光いっぱい夢いっぱい
古宇田 亮順
アイ企画
1995-07-01

 

型紙付きのブラックパネルシアターの本です。演じ方もわかりやすく書いてあるので、ブラックパネルシアター用の舞台やライトを持っている館は挑戦してみてもよいでしょう。あくまでもおはなし会は、おはなしや絵本が中心ですが、クリスマスのような時に目先を変えるのも面白いと思います。

(作成 K・J) 

2015年(その2)たのしいたのしいクリスマス♪


クリスマスは子どもにとってもわくわくする楽しい行事です。

今回は、たくさんある愉快なクリスマスの絵本を中心にプログラムを組み立ててみました。

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 『ゆうぐれ』 ユリ・シュルヴィッツ著 さくまゆみこ訳 2014 4分

ゆうぐれ
ユリ シュルヴィッツ
あすなろ書房
2014-10-24

 冬の夕暮れどき、犬をつれた男の子とおじいさんが散歩にでかけました。おひさまが沈んで、あたりが暗くなり始めると、町に光がともります。クリスマス前の忙しいけれど楽しそうな町の人々の様子が、あたたかい絵で描かれています。文字は少ないので、じっくり絵を見せてあげてください。

『たのしいおまつり―ナイジェリアのクリスマス―』 イフェオマ・オニェフル作写真 さくまゆみこ訳 2007 7分

たのしいおまつり―ナイジェリアのクリスマス
イフェオマ オニェフル
偕成社
2007-03

ナイジェリアのイボ地方のクリスマスを迎える人々を映しだした写真絵本です。ナイジェリアの男の子アファムが住む地域のクリスマスは、伝統のお祭りにでてくる精霊〈モー〉があらわれて、踊り歩きます。アファムも仮装をしてモーになることに決めますが、モーになるにはうちわ、布、段ボール、ひも、つえ、羽などいろいろな材料が必要です。そこで、アファムは様々な人の協力をえて材料を集めていくのですが、その様子を通して、村の人々の生活が伝わってきます。チンチン、シェロフ・ライス、フライドチキンなどのクリスマスのごちそうはとても美味しそうです。

『サンタクロースって ほんとうにいるの?』 てるおかいつこ文 すぎうらはんも絵 福音館書店 1981 4分

サンタクロースってほんとにいるの? (かがくのとも傑作集―わくわくにんげん)
てるおか いつこ
福音館書店
1982-10-01
 
 サンタクロースってほんとにいるの?、どうやって家に入ってくるのだろう?、どうやって一晩で世界中を周るのだろう?、一度は考えたことがあるたくさんの質問に、楽しく優しく答えてくれます。最後はやっぱりサンタはいるかもしれないなという気持ちにさせてくれる、イラストも愉快な絵本です。 

『ペチューニアのクリスマス』 ロジャー・デュボワザン作絵 ふしみみさを訳 復刊ドットコム 2012 10分

ペチューニアのクリスマス
作・絵:ロジャー・デュポワザン 訳:伏見 操
復刊ドットコム
2012-11-09
  
 少しおばかさんのガチョウ、ペチューニアの愉快なお話です。ペチューニアは、近くの農場にいるハンサムなチャールズにひとめぼれします。けれどもチャールズはクリスマスには食べられてしまうのです。チャールズを逃がすため、ペチューニアは、絵の具を体中にぬって怪物に変装して脅かしたり、サンタの格好をして寄付金を集めたり、様々な方法を考えますが・・・。少し長い物語ですが、展開が早く勢いがあるので、少し大きい子であれば面白く聞けると思います。
 
少ししっとりした物語がよい場合はこちらもおすすめです。差し替えてもよいでしょう。
 
『クリスマスのちいさなおくりもの』 アリソン・アトリー作 上条由美子訳 山内ふじ江絵 福音館書店 2010 10分
 
クリスマスのちいさなおくりもの (こどものとも絵本)
アリソン・アトリー
福音館書店
2010-10-15
 
 おかみさんが病気でクリスマスのお祝いのしたくができていない家の、ねことねずみが協力して準備をします(クリスマスイブの夜はみんなが仲良くする夜ということで)。ミンスパイを作ったり、クリスマスケーキを作ったり、お部屋をクモが飾りつけをしてくれたりして素敵なしたくができたとき、サンタクロースがやってきました! 優しくあたたかい気持ちになれる絵本です。
 
素敵なクリスマスを!
 
(作成T.S)

新米のおいしい季節にこの本を!


10月に入って、あちこちで稲刈りが行われ、新米のおいしい季節が訪れました。日本人にとって、炊きたての白いご飯はなによりのご馳走なのではないでしょうか。

そんな季節におすすめの1冊です。

『稲と日本人』甲斐信枝/作 佐藤洋一郎/監修 福音館書店 2015/9/5

稲と日本人 (福音館の科学シリーズ)
甲斐 信枝
福音館書店
2015-09-02

 

 

福音館書店の『稲と日本人』についての詳細ページは→こちら

科学絵本『たねがとぶ』や『雑草のくらし あき地の五年間』など、植物について丁寧に観察して描く作品を多く手がけてきた甲斐信枝さん、85歳での渾身の作です。私たち、日本人の生活や文化は二千数百年という稲作農業と切っても切れない関係があります。 

そのことを歴史的な背景から、わかりやすく解き明かしてくれる1冊です。絵本なのに、読み終えると、新書本1冊読み終えたような気分になります。小学生の調べ学習の導入としても手渡してあげたいと思います。

2015年(その1)あたたかいね!(小さい子向け)


2歳以下の子どもたちのためのクリスマスの絵本は、良いものが限られていて既に何度かプランを公表しています。ぜひ過去の投稿を参考にしてください。

今年の小さい子向けのテーマは「あたたかいね!」。寒い冬を迎えると、親子で温かいお湯に浸かって会話が弾むお風呂タイムはとても楽しみな時間です。そんな時間に寄り添える絵本を選んでみました。

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導入 わらべうた 「おおさむこさむ」「おしくらまんじゅう」「こどもかぜのこ」メドレー

絵本 『おおさむこさむ』松谷みよ子/作 遠藤てるよ/絵 童心社 1979

おおさむ こさむ (あかちゃんのわらべうた( 6))
松谷 みよ子
偕成社
1979-11
 
この絵本は、下のわらべうたを歌いながらページをめくっていきます。 
 

おおさむこさむ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おしくらまんじゅう

 

親子で身体を押し合います。ごく小さな赤ちゃんの場合は、身体を優しくこすってあげます。

 

 

こどもかぜのこ

 

“こどもかぜのこ”では、拳を力強く前に交互に突き出し、“じじばばひのこ”では、縮こまって身体をこする動作をします。

 

 

 

絵本 『おふろでちゃぷちゃぷ』松谷みよ子/作 いわさきちひろ/絵 童心社 1970

おふろでちゃぷちゃぷ (松谷みよ子あかちゃんの本)
松谷 みよ子
童心社
1970-05-05
 
「まってまって いま せーたー ぬいだとこ」「まってまって いま ズボン ぬいだとこ」の繰り返しが、楽しい絵本です。
 
 
わらべうた 「とっちん かっちん」
とっちんかっちん
 
 
 
 
 
  
 
2番は“とっちん かっちん かじやのこ はだかでとびだす ふろやのこ”と歌います。赤ちゃんをお膝の上に乗せて、膝を上下させて揺らします。“いしやのこ”の後に「ドッシーン!」と言いながら、足を開いて赤ちゃんを膝と膝の間に落とします。2番では、“ふろやのこ”の後に「ジャッバーン!」と言いながら、赤ちゃんを高く持ち上げます。
 
 
絵本 『ぽっかぽか だいすき おさるさん』福田幸広/写真・文 ポプラ社 2002
ぽっかぽかだいすきおさるさん (親と子の写真絵本)
福田 幸広
ポプラ社
2002-01
温泉に浸かるおさるさんの親子がとても可愛らしい写真絵本です。来年の干支は申。大きい子に読むときは、そのことも付け加えて伝えてもよいでしょう。
 
絵本 『ゆめにこにこ』柳原良平/作 こぐま社 1998
ゆめ にこにこ
柳原 良平
こぐま社
1998-02
 
“じゃぶじゃぶ”、“ごぶごぶ”など、子どもの身近で使う擬音語の絵本です。前半は子どもの表情や生活、後半は自然のうつろいを音で表しています。お風呂に入って、身体があったまったら、きっといい夢みれますね。
(作成K・J)

12月のおはなし会☆おすすめ本リスト


2014年と2015年に出版された絵本なども加えて、更新しました。一部、読み聞かせではなくブックトークや特集展示で紹介してほしい本も加えています。
おはなし会や、ブックトーク、特集展示などの業務にお役立てください。

おはなし会☆おすすめ本リスト12月2015

 (最終更新日2015/12/22)

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第3回児童部会(2015.9.18)


9月18日(木)に第3回児童部会が開催されました。

第3回も、「基本図書から学ぶ」と「情報共有の時間」の2部構成で行いました。

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「基本図書から学ぶ」では、昔話絵本をテーマに学びました。

『昔話は残酷か―グリム昔話をめぐって』(野村泫/著 東京子ども図書館 1997)を読んでの感想を話し合った後、

「三びきのこぶた」5冊と「つるにょうぼう」「つるのおんがえし」8冊の昔話絵本の読み比べ行い、昔話の特徴や昔話絵本について考えました。

詳細は、後日報告書を掲載いたしますので、お待ちください。

 

「情報共有の時間」では、8名が各図書館の取組みについて発表を行いました。

夏休み中の取組みなど、参考になる取組みが紹介されました。

以下、発表された取組みです。(図書館名は発表者の所属図書館です。)

 「毎年恒例!夏休み宿題応援 3大展示」(北区立浮間図書館)

「児童展示コーナーのポスター、ポップ作成について」(北区立浮間図書館)

「洋書について」(新宿区立大久保図書館)

「夏休みに実施した区内2館協同でのスタンプラリーについて」(杉並区立永福図書館)

「オススメ本で花を咲かせよう」(千代田区立昌平まちかど図書館)

「読書ビンゴ」(練馬区立稲荷山図書館)

「夏休みかがくあそび」(所沢市立所沢図書館所沢分館)

「クリスマス工作会とプレゼント」(所沢市立所沢図書館所沢分館)

「夏のおたのしみスタンプラリー」(所沢市立所沢図書館椿峰分館)

「読書ビンゴ」(所沢市立所沢図書館富岡分館)

(記事作成 T.S)

児童サービスに関するeラーニング講座


ヴィアックス社員向けのeラーニングでは、児童サービスに関する講座を配信しています。

社員の方は、各図書館に配布されているIDとパスワードを使って動画を見ながら学ぶことが出来ます。
ぜひeラーニングで学んで、業務にご活用ください。

児童サービスに関する講座

・ブックトーク講座
・ブックトーク デモンストレーション
・わらべうた講座
・わらべうた講座2(大きい子向け)

なおeラーニングのURL、およびIDとパスワードがわからない場合は、各図書館の責任者にお問い合わせください。

eラーニング

 

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小学館児童出版文化賞に『どろぼうのどろぼん』ほか


今年度の小学館児童出版文化賞に、『どろぼうのどろぼん』(斉藤倫/作 牡丹靖佳/イラスト 福音館書店 2014/9)が、写真絵本『オオサンショウウオ』(福田幸広/写真 ゆうきえつこ/文 そうえん社 2014/7)とともに決定いたしました。→小学館のプレスリリース

特に『どろぼうのどろぼん』は、詩人の斉藤倫さんの美しい文章が印象的な作品です。「子どもというには年をとりすぎているけど、おじいさんというには若すぎる。背はのっぽというには低すぎるけど、ちびというには高すぎる」という、特徴のないどろぼうのどろぼんは、声なきモノの声が聞こえる不思議な能力を持っていて、持ち主がその存在さえ忘れてしまったモノを盗み出し(救い出し)ているのです。

そんなどろぼんにある雨の日に刑事であるぼくは出会います。そのシーンは、「あじさいの小さな花びらのひとつひとつに雨つぶが包まれるように当たって、そのささやかな音がたくさん集まって冷たい空気をふるわせていた。あじさいにはじかれた雨つぶは、さらに小さくくだけて紫色の煙幕になり、むせかえるようにあたりをかすませていた。それがどろぼんと、ぼくの出会いだった。」(p6)と、心の襞の中にじんわりと染み込むような文章で描かれています。

どろぼんは、事情聴取で、刑事たちに、それまでの盗みについて打ち明けます。ぼくをはじめとして、聴取にかかわった人々はどろぼんの不思議な話にどんどん引き込まれていきます。読む者もいっしょになって、その不思議なお話に魅了されることでしょう。

そのどろぼんがある夏の夜に、あるものの声を聞き、そのものとの関係を築く中で、能力が失われていくのです。その時にどろぼんは自分の生き方を見つめ直します。読み終わったあとに、まるでどろぼんがそうであるように、その特徴を言い表せないようなふんわりと温かい気持ちになっている、そんな作品です。

大きな事件や心躍る冒険があるわけでもなく、私たちの日常のすぐそばにあるそんな物語ですが、モノと人との関係や、人と命あるものとの関係など、さまざまなことを考えさせてくれる作品です。図書館の棚の中に、もし目立たずに眠っていたら、ぜひ面出しをして光をあててあげてほしいと思います。


 (作成 K・J)

2015年8月、9月の新刊から


2015年8月、9月に出版された児童サービス向け出版物(絵本、児童書、ノンフィクション、YA向け、教育者・研究者向けなど)の中から、おすすめの本を紹介します。

絵本

『はね』 曹文軒/作 ホジェル・メロ/絵 濱野京子/訳 マイティブック 2015/8/31

曹 文軒
マイティブック
2015-08
2014年に上橋菜穂子さんと共に国際アンデルセン賞を受賞したブラジルの画家ホジェル・メロ氏の日本初の翻訳絵本です。文章は2016年のら国際アンデルセン賞に中国から推薦されている曹文軒氏。読んでもらった子は、自分はどこから来て、どこへ行くのかという根源的な問いを「はね」を通して考えるきっかけになることでしょう。大人の入口にいる子どもたちに読んでほしいと出版社は勧めていますが、ホジェル・メロ氏の美しい絵と濱野京子さんの美しい日本語の物語は、5、6歳の子どもでも読んで聞かせてもらえれば十分にその作品世界に入っていくことができます。この絵本を出版したマイティブックは一人出版社ですが、こうして国際アンデルセン賞受賞作家の絵本を日本で初出版してくれました。ぜひ図書館でも購入して、多くの子どもたちに手渡してほしいと願います。

 

『ゴリラのおとうちゃん』 三浦太郎/作 こぐま社 2015/9/1

ゴリラのおとうちゃん
三浦 太郎
こぐま社
2015-09
こちらは赤ちゃん絵本として人気のある『くっついた』『なーらんだ』などの作者、三浦太郎さんの新作絵本です。おとうとさんと子どもが身体を使って遊ぶ様子を、とても楽しく描いた絵本です。“おとうさんすべりだい”、“おとうちゃんひこうき”など、子どもたちが大好きな遊びが満載。こんな風に父と子が触れ合って遊べるのは子育ての中のほんの短い間だけです。いっぱい遊んでもらった子は、父性への信頼を深めることでしょう。そんな安心して読んでもらえる1冊です。

 

『戦争と平和を見つめる絵本 わたしの「やめて」』 自由と平和のための京大有志の会声明書【こども語訳】 塚本やすし/絵 朝日新聞出版 2015/9/11

戦争と平和を見つめる絵本 わたしの「やめて」
自由と平和のための京大有志の会
朝日新聞出版
2015-09-11
9月15日の朝日新聞朝刊「天声人語」でこの絵本が取り上げられました。この夏、終戦70年の節目の年に安保法案をめぐって国民の間でさまざまな意見が交わされました。そうした動きのひとつとして「自由と平和のための京大有志の会」が7月に出した声明を、子どもたちにわかりやすい形で埼玉県在住の塾講師山岡信幸さんが訳して会のホームページに載せました。それを見た絵本作家の塚本やすしさんが、多くの子どもたちに知ってほしいと、急いで絵を描き、緊急出版された絵本です。普通、絵本の絵は対象の子どもたちに合わせて、何度も検討がなされ、描き直されるものなのですが、この作品は日数をかけずに逆に勢いで描かれており、それが子どもたちに大切なことを訴える力にもなっています。その後多くのメディアでも紹介されました。子どもたちにいろいろなことを考えるきっかけを与えてくれる1冊になるでしょう。

 

児童書

『ルイージといじわるなへいたいさん』 ルイス・スロボドキン/作・絵 こみやゆう/訳 徳間書店 2015/9/10

ルイージといじわるなへいたいさん (児童書)

ルイス スロボドキン
徳間書店
2015-09-10
コールデコット賞受賞作家スロボドキンのユーモア溢れる幼年童話です。ルイージという小学生の男の子はイタリアの国境近くの小さな村に住んでいます。そして毎週土曜日にバスに乗ってスイスに住むバイオリンの先生のところへ通っています。いつもは国境警備隊の兵士はルイージのことを優しく見守るだけで、荷物を調べたりしません。ところがある日いじわるな兵隊さんがバスに乗り込んで、ルイージのお弁当箱まで開けさせて調べるようになります。それを知ったバイオリンのタリアティーニ先生は、その兵隊さんをこらしめてやろうと決心します。一体どんな風にしてこらしめるのでしょう?絵本を卒業する年齢の子どもたちに手渡したい1冊です。小さな子どもたちには読んで聞かせてあげましょう。 

 

『大きなたまご』 オリバー・バターワース/作 松岡享子/訳 岩波少年文庫 岩波書店 2015/8/19

大きなたまご (岩波少年文庫)
オリバー・バターワース
岩波書店
2015-08-19
この本は、1968年に学習研究社から出版されましたが、長く絶版になっていました。この度、岩波少年文庫として蘇りました。アメリカ、ニューハンプシャー州の小さな町、フリーダムに住むネイトの家で飼うめんどりが、とても大きな卵を産みます。それから6週間が過ぎた頃、そのたまごがとうとう孵ります。ネイトたちがそこに見たものは、なんと恐竜トリケラトプスの赤ん坊だったのです。さて、そこからが大変。6千万年前に絶滅したはずの恐竜が、化石ではなく生きた存在として生まれたのですから研究者を始め、多くの人が小さな町に押し寄せてきます。その一方でネイトがアンクル・ビーズレーと名付けたトリケラトプスを剥製にすべきだという国会議員まで現れます。さてさてどうなるのでしょう。50年前のアメリカの子どもたちに親しまれたこの物語、ぜひ今の子どもたちにも、楽しんでもらいたいと思います。

 

 『岸辺のヤービ』 梨木香歩/作 小沢さかえ/画 福音館書店 2015/9/9

岸辺のヤービ (福音館創作童話シリーズ)

梨木 香歩
福音館書店
2015-09-09
梨木香歩さんが久々に小学高学年からの世代に親しめる美しくも楽しいファンタジー作品を生み出しました。この本は美しい箱入りです。そして箱の内側も見逃してほしくないのですが、図書館の本は箱を外して装備するので残念ですね・・・美しいのは装丁でけではなく、物語の流れもとても美しい 梨木さんの自然への思い、生きとし生けるものへの温かい眼差しを感じる物語です。この物語の舞台はマッドガイド・ウォーターという小さな三日月湖の岸辺です。その近くにある寄宿学校の教師である「わたし」が、湖に浮かべたボートの中で読書をしている時に、はりねずみのような姿をしているクーイ族の小さな男の子ヤービと出会うことで物語が始まります。読み終わって爽やかな一陣の風が吹き渡るような気持ちになりました。多くの子どもたちにもヤービに出会ってほしいと思います。

  
『ぼくたちに翼があったころ コルチャック先生と107人の子どもたち』 タミ・シェム=トヴ/作 樋口範子/訳 岡本よしろう/画 2015/9/16

ぼくたちに翼があったころ コルチャック先生と107人の子どもたち (世界傑作童話シリーズ)
タミ・シェム=トヴ
福音館書店
2015-09-16
ユダヤ系ポーランド人で医者であり、教育者であったヤヌシュ・コルチャックと、彼がその生涯を捧げた「孤児たちの家」の子どもたちとの生活を描いたノンフィクション・ノベルです。「かけこみ所」と呼ばれる孤児収容施設で虐待により足の骨を骨折した後、コルチャック先生のもとで生活を始めるヤネクという少年の目を通して、コルチャック先生の教育方針、つまり子どもたちの権利を尊重し、ひとりひとりの特質を見抜き、的確なアドバイスを与えて伸ばしていく、そのような「孤児たちの家」での様子を描きます。子どもたちはお互いの存在を認め、許し合い、信頼関係を築いていきます。それはまさに、次に紹介する『暴力は絶対だめ!』でリンドグレーンが訴えた教育を具現化したものでした。この物語は第二次世界大戦勃発の前の「孤児たちの家」の様子を描いて終わっています。その後、ナチス・ドイツによってコルチャック先生と子どもたちはワルシャワ・ゲットーに移され、自分だけは恩赦を受けられる機会があったのにコルチャック先生は子どもたちと共に強制収容所に行き、共にガス室で虐殺されてしまいます。この本は、多くのことを私たちに投げかけてくれています。小学校高学年くらいから読める作品です。なお、著者の前作『父さんの手紙はぜんぶおぼえた』(母袋夏生/訳 岩波書店 2011)もぜひ、子どもたちに手渡してほしいと思います。 
 
ノンフィクション

『暴力は絶対だめ!』 アストリッド・リンドグレーン/作 石井登志子/訳 荒井良二/挿画 岩波書店 2015/8/7

暴力は絶対だめ!
アストリッド・リンドグレーン
岩波書店
2015-08-07
1978年に行われたドイツ書店協会平和賞授賞式で、『長くつ下のピッピ』の作者、リンドグレーンが行ったスピーチがこの度一冊の本として刊行されました。当時のスウェーデンでは体罰についての白熱した議論が繰り広げられており、一部の大人は子どもを躾けるのに体罰が必要だと主張していました。それに呼応して世界の平和を望むのであれば、まず子どもたちが安心して育つ家庭が必要であること、親が子どもを暴力で支配するのではなく互いに敬意をもちながら、大人が規範を示していく必要があること、愛情たっぷり育てることは、放任を意味するのではなく、子どもたちが自分で考えて自分の行動に責任を持つことに繋がる、そしてそうして育てられた者は暴力と手を切ることができるとリンドグレーンは訴えています。それが世界を平和に導いていく第一歩であると。世界中に溢れている暴力、内戦のニュースに子どもたちも触れることの多い今、どうしたら本当の平和が訪れるのか、子ども達と一緒に読んでそれを考えるきっかけにしてほしいと思います。 

 
『自然のとびら』 ケイ・マグワイア/文 ダニエル・クロル/絵 さいとうみわ/訳 アノニマ・スタジオ 2015/8/21
自然のとびら
ケイ・マグワイア
アノニマ・スタジオ
2015-08-21 
 「自然は、わたしたちのそばにいます。ただそこに、背すじをただし、呼吸をし、生きています。」という文章ではじまる『自然のとびら』。四季折々の自然の変化を、“庭”、“野菜畑”、“森”、“農場”、“畑”、“池”、“果樹園”、“街”の8つの場面で追っていく図鑑のような美しい絵本です。私たちの身近な自然へ目を向けさせ、私たちが自然の一部であることや、自然からの恩恵をたくさん受けていることを伝えてくれます。子どもたちの“センス・オブ・ワンダー”、“何だろう?不思議だな”って感じる気持ちに答えてくれる宝石箱のような一冊です。
 
 
その他
 omura1982年に、子どもの本の出版社として出発したJULA出版局。その案内には「子どもの本の世界に新風を巻き起こすような、新しく独創的な本の出版をめざし、小さい出版社、JULA出版局の冒険ははじまりました。絵本、子どもと大人が一緒に読む詩集、子どものことをみんなで考えていこうとする本など、JULAは領域を広げ、子どもたちの明日に役立つ本の発行を志し、旅をつづけています。」とあります。そんな出版社がどのようにして生まれたのかを、代表の大村祐子さんが講演会で語りました。それをまとめた冊子がこのほど出来上がりました。とても薄い冊子ですが、「子どもに本を手渡すとはどういうことか」ということを問いかける内容はとても濃いのです。この冊子も大手の流通にはのらないと思いますが、ぜひ児童サービス担当の方々には手にとって読んでほしいと思います。申込方法は、こちらをご覧下さい。→JULA出版局サイト
 
(作成 K・J)  

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