Yearly Archives: 2016

2016年(その2)木の実をひろって(幼児~小学生)
2016年(その1)とんぽろりん(小さい子)
訃報 ブライアン・ワイルドスミス
おはなし会☆おすすめ本リスト11月(2016)
基本図書を読む29『時の旅人』アリソン・アトリー
「広めよう!図書館を使った調べる学習~指導者育成のための体験講座~in 上野」のご案内
2016年(その2)おしゃれな秋(幼児~小学生)
「基本図書から学ぶ第2回」報告
2016年(その1)おやすみなさい(小さい子)
東京子ども図書館から『ブックトークのきほん―21の事例つき』が出版されました
速報:太田大八さんが亡くなられました
オバマ大統領のスピーチが本になりました
10月のおはなし会☆おすすめ本リスト2016(訂正・追加あり)
基本図書を読む28『注文の多い料理店』『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』宮沢賢治(8/4追記あり)
2016年6月、7月の新刊から

2016年(その2)木の実をひろって(幼児~小学生)


秋はたくさんの木の実が落ちる季節。どんぐりにまつぼっくり、栗にくるみ。実りの秋を実感しながら絵本を読んであげたいですね。
 
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導入 詩 「あきのそら」こねずみしゅん 『のはらうた5』(くどうなおこ/作 童話屋 2008)より 2分
 くぬぎばやしで
 どんぐりをだいていたら
 かぜがひゅうと
 とおりすぎました
 みあげると
 こえだをすかして
 あおいそらがみえました
  (中略)
 しんこきゅうしたら
 こころのなかまで
 そらいろにそまりました。
のはらうた〈5〉
くどう なおこ
童話屋
2008-07
 
 
 
 
絵本『もりのかくれんぼう』末吉暁子/作 林明子/絵 偕成社 1978 8分
 
今年5月28日にお亡くなりになった末吉暁子さんの作品です。公園からの帰り道、近道をしようと生垣の中を通り抜けると、そこは金色に染まる秋の森の中。そこでけいこは「もりのかくれんぼう」という不思議な男の子に出会います。かくれんぼうや動物たちと森の中でかくれんぼうをしていると・・・おはなしは約8分と長いのですが、不思議な森の中の情景に子どもたちは惹きつけられてあっという間に感じることでしょう。
 
 
絵本『くんちゃんはおおいそがし』ドロシー・マリノ/作 まさきるりこ/訳 ペンギン社 1983 4分
くんちゃんはおおいそがし
ドロシー・マリノ
ペンギン社
1983-01
 
好奇心たっぷりの子ども時代。一旦、なにかに夢中になると、時間が経つのも忘れて遊び込むもの。大人からすると取るに足らないことも、自分で興味を持つということが大切なのです。小石を拾うことも、くるみを集めることも、落ち葉をかき集めることも、ありの行列を追いかけることも、遊びになってしまいます。そして大人が意図しない遊びが、どれほど子どもの心を育てることでしょう。そんなくんちゃんの様子が生き生きと描かている1冊です。
 
 
絵本『くるくるくるみ』松岡達英/作・絵 そうえん社 2007 6分半
くるくるくるみ (そうえん社・日本のえほん)
松岡 達英
そうえん社
2007-09
 
 くるみが木になっているのを見たことがありますか?緑色でキウイフルーツのような形をしているということを、私はこの絵本に出会うまで知りませんでした。私たちが知っているくるみは、その緑の実の内側になる種だったのですね。この絵本は、田舎に住むおじいちゃんたちの家に遊びに行って、くるみについて初めていろいろ知る女の子が主人公です。くんちゃんも集めたくるみについて、一緒にいろいろ知っていきましょう。
 
絵本『びっくりまつぼっくり』多田多恵子/文 堀川理万子/絵 福音館書店 2010 2分半
びっくりまつぼっくり (幼児絵本ふしぎなたねシリーズ)
多田多恵子
福音館書店
2010-09-10
 
子どもたちの集中力がまだ続くようならば、もう一冊まつぼっくりの絵本を読んであげましょう。この絵本は、福音館書店月刊ちいさなかがくのとも2006年11月号がハードカバーになったものです。公園などに落ちているまつぼっくり。よーく乾いたまつぼっくりを振ると、中から薄羽のついた小さな種が落ちてくるのをご存知ですか?そんなまつぼっくりの不思議に迫る楽しい絵本です。
 
 
 (作成K・J) 

2016年(その1)とんぽろりん(小さい子)


日本語は擬音語、擬態語が、とても多く、表現の幅が大変豊かになっています。どんぐりが落ちる音が「とんぽろりん」、力を合わせて引っ張る時に「うんとこしょillust62_thumb どっこいしょ」などなど。これらの擬音語、擬態語は、フランス語の「オノマトペ」でひっくるめて呼ばれるようになっています。

今回、選んだ絵本はどれも「オノマトペ」が特徴的です。言葉のリズムを味わいながら、子どもたちと楽しんでほしいと思います。

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わらべうた どんぐりころちゃん

どんぐりころちゃん

 

 

 

 

 

 
絵本にもなっているわらべうたです。(『どんぐりころちゃん』みなみじゅんこ/作 アリス館 2013)「どんぐりころちゃん」で手をたたき、「あたまがとんがって」で頭の上に両手でとんがり帽子を作って、「おしりはぺっしゃんこ」でお尻をたたき、「どんぐりはちくり」で、両腕をぐるぐると回します。「しょ」で、ほっぺに両手を当てます。大きい子の時は、「しょ」でじゃんけんをする場合もあります。何度か歌ってやってみましょう。なお、今回は取り上げていませんが、2014年の10月のおはなし会プランで、この絵本を取り上げていますので、そちらも参考にしてみてください。(2014年10月【あきだよ♪】

絵本 『どんぐりとんぽろりん』武鹿悦子/作 柿本幸造/絵 ひさかたチャイルド 2008 2分

どんぐりとんぽろりん
武鹿 悦子
ひさかたチャイルド
2008-10-01
 
おおきなくまとちいさなりすが、どんぐりを拾います。「ぱらんこぽろんこ とんぽろりん」と、どんぐりの落ちる音が可愛らしい絵本です。 
 ほんわか優しい気持ちになれる絵本です。

 
絵本 『おおきなかぶ』A・トルストイ/作 内田莉莎子/訳 佐藤忠良/画 福音館書店 1966 2分
おおきなかぶ―ロシア民話(こどものとも絵本)
A.トルストイ
福音館書店
1966-06-20
 
長く読み継がれてきた『おおきなかぶ』。ストーリーのある絵本ですが、くり返しでリズミカルなお話は2歳児くらいから楽しむことができます。「うんとこしょ どっこいしょ」というところは、子どもたちが自然に体を動かして聞いてくれます。 
 
わらべうた いっちくたっちく78973d08
いっちくたっちく たいもんさん たいもはいくらで ごーわんす いっせんごりんでごーわんす
もうちっと もうちっと すからか まからか すってんどん
 
歌に合わせて、一本ずつ指をさわっていきます。「すってんどん」で、最後にさわった指を折り曲げます。すべての指を折り曲げたら、「ととけっこう」のわらべうたで、順番に起こしていきましょう。「いっちくたっちく」とは、茨城の方言で交互に並んだ状態を表す言葉だそうです。

 
絵本 『りんご』松野正子/文 鎌田暢子/絵 童心社 1984 1分
りんご (母と子のえほん)
松野 正子
童心社
1984-01-20

 とても柔らかい色彩で、りんごが瑞々しく描かれています。赤いりんご、黄色いりんご、ピンクのりんご。どれも美味しそう。そしてお母さんが剥いてくれるのが、子どもには嬉しいですね。みんなで「いただきます」と食べてもよいでしょう。 

 

(作成K・J)

訃報 ブライアン・ワイルドスミス


イギリス人の絵本作家でフランス在住のブライアン・ワイルドスミス(1930年生まれ)が8月31日に亡くなったというニュースが入ってきました。(→こちら

ブライアン・ワイルドスミスは、1950年代オックスフォード大学出版局と専属契約を結びラ・フォンテーヌの寓話に絵をつけるなど作品を発表、1962年には『ワイルドスミスのABC』でケイト・グリナウェイ賞を受賞しています。

『ワイルドスミスのABC』ブライアン・ワイルドスミス/作 らくだ出版

ワイルドスミスのABC (ブライアン・ワイルドスミス作品選)
ブライアン・ワイルドスミス
らくだ出版
1962-01
 
 
 
 
日本では、俳優の石坂浩二さんがワイルドスミスの翻訳に多く携わり、伊豆高原にあるワイルドスミス絵本美術館(現在、休館中)は石坂浩二さんが館長を勤めています。
クリスマスシーズンに、よく読まれる『クリスマスの12にち』(石坂浩二/訳 講談社 1997)は、イギリスで古くから歌われているクリスマスキャロルに「色彩の魔術師」と呼ばれたワイルドスミスが描いた絵の色彩の美しさに心惹かれます。

『クリスマスの12日』ブライアン・ワイルドスミス/作 石坂浩二/訳 講談社 1997
クリスマスの12にち (世界の絵本(新))
ブライアン・ワイルドスミス
講談社
1997-10-29

 
1971年に家族でフランスに移住したワイルドスミスは、4人の子ども、3人の孫、そしてひとりのひ孫に恵まれました。昨年、妻のオーレリーを天国に見送ったとのこと。今頃、天国で再会しているでしょうか。
 
ラ・フォンテーヌの寓話に絵をつけた『きたかぜとたいよう』や『うさぎとかめ』、『ライオンとネズミ』(いずれも渡辺茂男/訳 らくだ出版)など素晴らしい作品の多くが現在品切れになっているのは、とても残念です。図書館にはあると思いますので、ぜひ展示してこの機会に手に取ってもらえるとよいでしょう。
 
参考:ブライアン・ワイルドスミス インタビュー記事(amu 2011年5月)
 
『きたかぜとたいよう』ラ・フォンテーヌ/作 ブライアン・ワイルドスミス/絵 らくだ出版 1962
きたかぜとたいよう
ラ・フォンテーヌ
らくだ出版
1962-01-01
 
 
 
 
『うさぎとかめ』ラ・フォンテーヌ/作 ブライアン・ワイルドスミス/絵 らくだ出版 1969
 
 
 
 
『ライオンとネズミ』ラ・フォンテーヌ/作 ブライアン・ワイルドスミス/絵 らくだ出版 1982
ライオンとネズミ
ラ・フォンテーヌ
らくだ出版
1982-01
 
 
 
(作成K・J)
 

基本図書を読む29『時の旅人』アリソン・アトリー


 イギリスの児童文学者アリソン・アトリーは「グレイ・ラビット」シリーズ、「チム・ラビット」シリーズや「サム・ピッグ」シリーズなど動物が主人公の動物ファンタジーの妙手です。これらの作品は、自分で物語が読めるようになった子どもたちの気持ちに寄り添うもの作品で、今も幼年文学として読み継がれています。(児童部会「基本図書から学ぶ第2回」報告を参照)

 今回はそんなアトリーの作品の中でも、タイム・ファンタジーと呼ばれ、ヤングアダルト向けとされる『時の旅人』(イギリスでは1939年刊)を取り上げてみたいと思います。 

時の旅人 (評論社の児童図書館・文学の部屋)
アリスン・アトリー
評論社
1980-12-20
 
 
 
 
 
時の旅人 (岩波少年文庫)
アリソン アトリー
岩波書店
2000-11-17
 
 
 

「夢か、現か、幻か」・・・読み終えて、浮かんだ言葉でした。

 少女ペネロピーは病気療養のために、兄姉とともにイングランド中部ダービシャー地方にある大叔母ティッシーとその弟バーナバスの住むサッカーズ農場を訪れます。もともと、ほかの家族には見えない亡霊をみる不思議な能力を持っていたペネロピーは、サッカーズ農場を舞台にかつてこの地で生活をしていたバビントン家の人々と350年の時を越えて交流するようになります。

 ペネロピーたちが生活をはじめたサッカーズ農場の屋敷には、350年以上も前に住んでいたバビントン一家の残したものがそこかしこにありました。到着した二日後のこと、ペネロピーは出かける前に2階へひざ掛けを取りに上がり、ドアを開けるとそこに16世紀の衣装を身にまとった貴婦人たちを見ます。そしてティッシーおばさんから、バビントン家の人々と歴史に刻まれているバビントン事件のことを聞かされます。

 その数日後、ペネロピーはまた着替えを取りに2階にかけあがり、ドアを開けた途端に階段をころげ落ちます。気がつくとそこは16世紀のバビントン屋敷の中でした。そこでティッシーおばさんにそっくりのシスリーおばさんに出会います。350年の時間を遡っているにもかかわらず、彼女の姪「ペネロピー・タバナー」として受け入れられ、そこでしばらくの時間を過ごすのです。ところが、門の木戸を抜けると元の時間に戻ってきていたのでした。

 “「すぐもどってきた!」と私はそっと同じことばをくり返しました。何時間も、いえ、何日にも思えるほど、よそに行っていたのに、大きな柱時計の針は私のいないあいだに少しも動いていませんでした。時間と空間を消滅させてしまって、一瞬のうちに何年間も、世界の果てまでも、旅のできる夢のように、私は別の時代に入りこんで、そこで暮らして、柱時計の振り子が半球レンズのうしろで一振りする前に、もとのところへもどってきていました。私はべつの時代のよろこびと不安を味わいました。べつの時代の暮らしの中をしずかに動き、庭を歩き、話をし、あちこちして、そしてまたたくうちに、もどってきたのでした。夢を見たのでもなく、眠っていたのでもなく、私のしたこの旅は、澄みきった空中を通りぬけ、時間を逆もどりした旅でした。たぶん、私はあの時間のかけら― 一瞬間 ―死んで、私の亡霊が年月を飛び越えていったのでしょう。” (岩波少年文庫版『時の旅人』松野正子/訳 p125~126)

 ペネロピーはその後も、時間を飛び越えて過去のバビントン家と関わりを持ち、また元の世界へ戻ってくることを繰り返します。まさにその時代は、イギリスはエリザベス1世統治の世であり、スコットランド女王メアリー・スチュアートとの覇権争いの中、ペネロピーが出会ったバビントン家の跡取りアンソニーは、物語の後半でバビントン事件(エリザベス1世に幽閉されているメアリー女王の脱出を企てるも失敗に終わり、1586年にエリザベス1世暗殺を計画したとして処刑された事件)に関わっていきます。

 その悲劇の結末を知りつつ、過去の時代の人々と関わり、アンソニーの弟フランシスと惹かれあうペネロピー。読み進めるうちに、読者はこの特異な二人の出会いと決して結ばれることがないにもかかわらず確実に心を交わしあう関係に引き込まれていきます。 

 イギリスの児童文学でタイムファンタジーの双璧と呼ばれるフィリパ・ピアスの『トムは真夜中の庭で』(1958)(基本図書を読む㉒参照)では、時計が13時を打つことが過去の時間への入口として明確に描かれていますが、『時の旅人』では過去への明確な入口はありません。読み進んでいるうちにいつの間にかペネロピーが過去の時間に移動し、また現代に戻ってきており、周囲の登場人物からペネロピーが今どの時代にいるのかを類推することになります。

 このことについて、佐久間良子氏は、『現代英米児童文学評伝叢書6 アリソン・アトリー』(KTC中央出版 2007)の中で「このタイム・ファンタジーを成り立たせているのは、いくつもの時間が重なり合って共に存在し、古い家にかつて住んでいた人たちが、そのまま影となってそこに生き続けるという、アトリーの時間についての考えである。そしてアトリーが実際に見た夢を記録し、それについて解説している『夢の材料』では、この時間の概念が、夢と結びつけて語られている。主人公ペネロピ(原文ママ)の時間を越えた旅には、アトリーの語る夢の特質が顕著に表れていて、すべてを夢と考えることができる。しかし、アトリーにとって夢はもうひとつの現実であり、この作品における主人公の時間旅行をすべて夢と解釈しても、主人公の体験の真実性が失われることはない。」とし、アトリーの描き出す世界観の巧さを指摘しています。


 

 それは、この作品のまえがきにアトリー自身が記しているように、舞台となったサッカーズ農場が、アトリーが子ども時代を過ごしたキャッスル・トップ農場の記憶と重なっていたこと、その農場の近くにバビントン家の治めていた土地や館があり、その土地で語り継がれるバビントン家の物語をアトリー自身が聞いて育ったことと関係があるようです。だからこそ物語にリアリティが感じられ、読者はその世界へと惹きつけられていくのだと思います。

 この物語の魅力をまとめてみると第一に、農場を取り巻く季節や花や草などの自然や、古い屋敷の調度品などの細部が丁寧に描き込まれていることです。第3章の「ハーブガーデン」(岩波少年文庫版、評論社版では「薬草園」と訳されている)などは、花の香りまで漂ってきそうです。

 第二に、中世のイギリス史をベースに物語が描かれていることです。ペネロピーが迷い込んだ過去は、イギリス宗教改革を断行したヘンリー8世のあとのエリザベス1世と、スコットランド女王メアリー・スチュアートとの覇権争いの時代でした。二人はヘンリー8世をめぐる血縁関係にあるが故に複雑な王位継承権がからみイギリス国教会を支持するエリザベス1世と、カトリック信者であるメアリー女王は対立します。メアリー女王は長く幽閉された後、エリザベス女王の手によって処刑されるという悲劇的な結末は、イギリス中世史への興味を引き起こします。16世紀後半といえば、日本では安土桃山時代。メアリー女王側についたバビントン家はさながら豊臣側についた真田家だろうかなどと、想像しながら読み進むことができました。

 第三に、この物語の重要なキーワードとなっている「Greensleeves」という歌の存在です。16世紀頃から歌い継がれているこの歌は、恋しい人を想う歌であり、シェイクスピアが喜劇「ウィンザーの陽気な女房たち」の中で触れたり、現代ではオリビア・ニュートン・ジョンなどがカバーして歌っており、また曲はクリスマスキャロル(賛美歌216番)となっているので、耳にしたことのある人は多いでしょう。この歌が過去と現代を結ぶ鍵になっています。ペネロピーがある日、礼拝用の緑のドレスを着たまま過去へ行くと、フランシスがロンドンで今流行っている歌だと言って、聞かせてくれるのでした。この歌は過去の時代でも現代でも物語の中で何度か歌われますが、一番切なく心を打つのは物語の最終盤、ペネロピーが雪の中に佇みながら、ほんの一瞬姿を見せた過去の世界でフランシスが歌う声を聞くシーンでした。ペネロピーはフランシスの歌声をたしかに聞きながらも、生きて過去へ行きフランシスに会うのはこれが最後だと悟るのです。 

 「グリーンスリーブスよ、いざ、さらば!
 神の恵、君が上にあらんことを。
 われ、今も君を愛す。
 ふたたび来りてわれを愛せ。」(岩波少年文庫版 p437)

 

 第四に、旧約聖書・創世記37~50章に描かれた「ヨセフの夢」を、アンソニーの妻、バビントン家の奥方が刺繍していたというエピソードです。「ヨセフの夢」とは、イスラエル民族の始祖アブラハムのひ孫にあたるヨセフが、少年時代に見た夢です。異母兄弟たちが年少の自分にひれ伏すという夢を麦の穂にたとえて話し、嫉妬にかられた兄たちに奴隷として売り飛ばされエジプトへ行くのですが、そこで能力が買われ宰相にまで上り詰めます。後にイスラエルの地に飢饉が起き、兄たちが売り飛ばした弟ヨセフと知らずに援助を請いに来た時に、ヨセフがその兄たちを許し、受け入れるという物語です。血縁関係にある王家の人々の権力争いに夫が巻き込まれようとしている時にバビントン夫人が「ヨセフの夢」を刺繍し、そしてその刺繍したタペストリーの端切が350年以上時を隔てて、客用の寝室でキルトの一部分になってみつかるという手の込んだアトリーの表現に、深い思いを感じ取りました。

  『時の旅人』については、先に取り上げた『現代英米児童文学評伝叢書6 アリソン・アトリー』(谷本生剛/原昌/三宅興子/吉田新一/編  佐久間良子/著  KTC中央出版 2007)や、『作品を読んで考えるイギリス児童文学講座4 花ひらくファンタジー』(中野節子/水井雅子/吉井紀子/著 JULA出版局 2012)に詳しく論じられています。 


 

 また、アリソン・アトリーの伝記『物語の紡ぎ手 アリソン・アトリー』(デニス・ジャッド/著 中野節子/訳 JULA出版局 2006)には、サッカーズ農場の舞台になったダービシャーの美しい風景や建物を収めた写真や、故郷の地図など豊富な資料があり、『時の旅人』の世界を垣間見ることが出来ます。

物語の紡ぎ手 アリソン・アトリーの生涯
デニス ジャッド
JULA出版局
2006-04

 

 なお、私は若い頃に評論社版(小野章/訳 1980)で読みましたが、今回は岩波少年文庫版(松野正子/訳 1998)と両方を読み比べてみました。個人的には慣れ親しんだ評論社版の本が好きなのですが、今の子どもたちには、現代使われている言葉(例えばハッカ草→レモンバーム、水ハッカ→ミント、オランダガラシ→クレソン)で翻訳され、またイギリスで1978年に出版されたパフィン版の挿絵がふんだんに使われている岩波少年文庫版が手渡しやすいでしょう。今回、久しぶりに読んで、深く掘り下げてみましたが、初めて読む子どもたちには、時を飛び越えるロマンティックな物語として、楽しめるのではないでしょうか。

(作成K・J)

「広めよう!図書館を使った調べる学習~指導者育成のための体験講座~in 上野」のご案内


公益財団法人図書館振興財団、国立国会図書館国際子ども図書館共催で、「広めよう!図書館を使った調べる学習~指導者育成のための体験講座~in上野」が開催されます。

「図書館を使った調べる学習コンクール」に参加する自治体も多くなり、夏休みはたくさんのレファレンスがあったのではないでしょうか。

この体験講座では、実際にテーマを決めて、調べまとめるワークショップ形式で行われ、「図書館を使った調べる学習」がどのように学校の授業で行われているのか実際に体験することができるそうです。また、今年2月に開室した国際子ども図書館の「調べものの部屋」で実施されるということで、多彩な蔵書からも学ぶことができると思います。

興味、関心のある方は、参加をご検討下さい。なお、この講座は自己研鑽のための外部研修となりますので、勤務外となり、交通費等の支給はありません。

日 時:2016年10月3日(月) 10:00~16:50(受付開始9:45)

会 場:東京都 国立国会図書館 国際子ども図書館 2階調べものの部屋 (http://www.kodomo.go.jp/

講 師:蔵元和子(読書活動研究家)、丸山光枝(元清泉女子大学講師)、調べる学習の指導経験豊富なサポーターの皆さま

教材費:友の会「図書館の学校」会員2000円 / 一般3000円

申込、詳細は、こちらのホームページをご覧ください。→図書館振興財団 イベント情報

(作成 T.I)

 

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2016年(その2)おしゃれな秋(幼児~小学生)


秋、涼しくなってくるとオシャレをしたくなりますね。気温と湿度が快適で、空気が澄んで色彩が際立つからなのでしょう。そんなおしゃれな秋を絵本の世界で味わってみましょう。

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【おしゃれな秋】

導入 詩 「カバがんばる」工藤直子 『おどる詩あそぶ詩きこえる詩』(はせみつこ/編 飯野和好/絵 冨山房インターナショナル 2015より) 2分

おどる詩 あそぶ詩 きこえる詩
冨山房インターナショナル
2015-04-19
 
この詩集に収められている工藤直子さんの詩は、おしゃれして好きな子に愛の告白をしようとするカバの気持ちを歌っています。リズミカルなことばを楽しんでみてください。
 
 
 
「朝日をあびて おめかしして
きょうこそ あのこに うちあけよう!と
カバ がんばる
(中略)
でも やっぱりな どうしても
あのこの えがおが みたいもんななあ・・・と
カバ うなだれる
そうさ あしたまた がんばれば いいさ
まるい おしりを 夕日にむけて うちにかえり
カバ ゆめみる」
 
絵本 『まあちゃんのながいかみ』たかどのほうこ/作 福音館書店 1989 4分

 おかっぱ髪のまあちゃんは、ながい髪のともだち二人に自慢されて、いつかもっともっと長い髪に伸ばすんだからと、言い返します。その長さと言ったら髪の毛で釣りができたり、カウボーイのように牛を捕まえられたりできるほど!奇想天外なまあちゃんの長い髪の活用法は、突き抜けていてとても面白いです。

 

絵本 『かようびのドレス』ボニ・アッシュバーン/文 ジュリア・デーノス/絵 小川糸/訳 ほるぷ出版 2015 5分 

ボニ・アッシュバーン
ほるぷ出版
2015-11-20

 

お気に入りのたくさんフリルのついたドレスが小さくなってしまった時、ママが「ぎゃくてんのはっそうがだいじ」といいながら、違うものに仕立て直してくれます。この絵本はユダヤ民族に伝わるイディッシュ語の民謡をもとにした『ヨセフのだいじなコート』(シムズ・タバック/作 木坂涼/訳 フレーベル館 2001)や『おじいちゃんのコート』(ジム・エイルズワース/文 バーバラ・マクリントック/絵 福本友美子/訳 ほるぷ出版 2015)とテーマは同じです。しかしパステルカラーで描かれた躍動感のある絵と表現は、違った印象を受けることでしょう。おしゃれが大好きな女の子の夢が詰まっている絵本です。

 

絵本 『たべられるきのみ』菅原久夫/作 高森登志夫/絵 福音館書店 2004 6分

 おしゃれをするのは、人間だけではありません。秋に色づく木の実たちは、「今が一番おいしい時ですよ」と美しい色で告げています。そんな木の実たちのことを科学の視点で読み物にした絵本です。都会に住んでいると、なかなかお目にかかれない木の実ですが、秋の行楽で野山に出かけた時に、意識的に探してみようと思ってくれるといいですね。真ん中あたりに見開きの絵だけのページがあります。秋の実りの彩りの美しさをじっくりと時間をかけて見せてあげてください。

 

本の紹介 『きのこはともだち―さがす・みつける・たべる』松岡達英/構成 下田智美/絵と文 偕成社 2001 3分

木の実と同様に森や山に生えているきのこは、また綺麗な色をしているものがたくさんあります。この絵本は物語のように文章になっているページと、図鑑のようにひとつひとつのきのこを説明するページとが交互に配置されています。文章になっているところは読みながら、説明ページは簡単に説明をするとよいでしょう。こちらも、都会の生活にはなじみが薄いものですが、身近な公園の茂みの中に小さなきのこを発見することもあります。秋に色づく自然への関心を引き出すためにも、ぜひ紹介したい1冊です。

(作成K・J)

「基本図書から学ぶ第2回」報告


平成28年7月14日に開催された児童部会で、「第2回 基本図書から学ぶ」を行いました。 IMGP5164

今年度は、①基本図書についての知識を深め本を評価する基準をもつ、②本の特徴や特質をとらえ紹介文を書く、という2つの目標を掲げて取り組んでいます。

今回は、『チム・ラビットのぼうけん』(アリソン・アトリー作 石井桃子訳 中川宗弥画 童心社 1967)と『くまの子ウーフ』(神沢利子作 井上洋介絵 ポプラ社 1969 )を課題図書とし、それぞれの本の魅力について話し合い、各部員が作成してきた紹介文の検討を行いました。

詳細は、以下の報告書をご覧ください。

第2回「基本図書から学ぶ」報告書

 

2016年(その1)おやすみなさい(小さい子)


10月の小さい子向けおはなし会プランのテーマは「おやすみなさい」です。10月、秋たけなわ。幼い子どもたちには戸外でたっぷり体を使って遊んで、夜は暖かいお布団に包まって絵本を読んでもらいながら眠りにつく・・・それが一番幸せな一日の過ごし方だと思います。そんな子どもの一日を思い浮かべながら、このプランを作成しました。

なお、このサイトでUPしているわらべうたの楽譜は、ヴィアックスTS室員が耳から覚えて採譜したものです。わらべうたは、地域によって歌詞や音程、速さが違っています。それぞれが歌い継いでいるわらべうたを大切にしてくだされば良いと思います。わらべうたを聴いて育たなかった若い世代の方々のために、参考までに楽譜をUPしています。なお、わらべうたの遊び方も楽譜に書き込んでいますが、子どもの年齢に合わせて無理のない遊び方に変更してください。

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【おやすみなさい】

導入 わらべうた ととけっこう

 

ととけっこう

起こし遊びです。リズムに合わせて人差し指でお子さんの体のあちこちをつついてみましょう。

 

 

 

 

 

絵本 『みんなおおあくび』薮内正幸/作 福音館書店 2003 1分

みんなおおあくび (幼児絵本シリーズ)
薮内 正幸
福音館書店
2003-03-20

 朝です。みんなまだまだ眠くて大あくび。動物たちのあくびの表情が続いたあとに、赤ちゃんの大あくびの表情。さあ、一日の始まりですよ。

 

ここから、一日の遊びを想定してわらべうたのメドレーです。親子でたっぷりと楽しめるように、何度か繰り返しながら遊びます。 

わらべうた あしあしあひる

あしあしあひる

自分で歩くことのできるお子さんの場合は、おとなの足の甲の上に乗せて、歌に合わせて足踏みをします。小さな赤ちゃんの場合は、お膝の上で赤ちゃんの足をもって左右交互に動かします。

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わらべうた きーりすちょん

きーりすちょん

スペースがあれば、大人がお子さんを抱っこして反時計回りに歩き、「ちょん」のところで飛び上がります。だんだんテンポを速めて遊びます。 小さな赤ちゃんの場合は、お膝に乗せて、上下に膝をゆらします。

 

 

 

 

 

 

 

わらべうた なこうかとぼうか

なこうかとぼうか

赤ちゃんを仰向けに寝かせて、両足を揃えて持ち、左右に動かします。「ひっとべー」で足を体の方へぐっと押し出します。

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わらべうた とっちんかっちん

とっちんかっちん

子どもを膝の上に乗せて、上下に動かします。「いしやのこ」と歌い終わったところで、膝を開いて間に「ドッシーン」と落とします。 2番は、「とっちんかっちん かじやのこ はだかでとびだす ふろやのこ ザッバーン」で、今度は子どもを高く持ち上げます。

 

 

 

 

 

 

 

絵本 『ゆめにこにこ』柳原良平/作 こぐま社 1998 1分

ゆめ にこにこ
柳原 良平
こぐま社
1998-02

 

いろんな表情が出てきます。小さい子ほど、顔の絵を喜びます。それは視覚の発達と密接な関係があります。自分を保護してくれる存在として「(^ー^)」顔の表情をまず見分けるようになるのです。(赤ちゃんの顔の認知)だからこの絵本のいろんな顔の表情に赤ちゃんも大喜びします。

一日を過ごして、休む時、赤ちゃんの脳の中ではフル回転。その日、初めて体験したこと、見たことを、赤ちゃんがぐっすり眠っている間に記憶として刻みつけていくのです。楽しかったこと、嬉しかったことをたくさん思い出してくれる、そんな一日であってほしいと願います。

 

わらべうた おやゆびねむれ

おやゆびねむれ

「おやゆびねむれ~こゆびみな」までは、親指から小指まで順番に触って寝かしていきます。「ねんねしな ねんねしな ねんねしな」では、全部の指を優しく撫でます。

 

絵本 『おやすみ』なかがわりえこ/作 やまわきゆりこ/絵 グランまま社 1986 1分

おやすみ
なかがわ りえこ
グランまま社
1997-03

 

『ぐりとぐら』の姉妹ペアの小さい子向けの絵本です。「あしたは なにして あそぼうか おやすみ おやすみ・・・」明日も楽しい一日が迎えられるように、ゆっくり丁寧に読んであげましょう。

(作成K・J)

 

東京子ども図書館から『ブックトークのきほん―21の事例つき』が出版されました


東京子ども図書館から『ブックトークの基本―21の事例つき』が出版されました。

近年ブックトークは、子どもたちに本を手渡す方法として、学校や公共図書館でさかんに行われるようになってきました。

すでに子どもたちの前で実践している方、これから取組みたいなと思っている方も多いのではないでしょうか。

この本では、「ブックトークの意義とその効果的方法」「ブックトークの歴史と実践のためのアドバイス」の2つの記事と、21の実践事例が掲載されていますので、

基本とおさえると同時に、ブックトークから広がる世界をたっぷり味わうことができます。ぜひ参考にしてみてください。

http://www.tcl.or.jp/pdf/invite/invite292.pdf (東京子ども図書館のホームページより

(作成T・I)

 

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速報:太田大八さんが亡くなられました


またお一人、子どもの本の世界で活躍され、たくさんの優れた作品を残された太田大八さんが8月2日に亡くなられたとの情報を得ました。97歳でいらしたそうです。

JBBY(日本国際児童図書評議会)からの情報なので速報としてお伝えします。また、本日絵本学会からも「太田大八さんのご逝去を悼んで」という声明が発表されました。(→こちら

太田大八さんは、1949年『うさぎときつねのちえくらべ』(羽田書店)で、絵本作家デビューし、130作の創作絵本と230作品の児童書の挿絵を手がけきました。

太田大八さんの絵本作りに関するインタビューが、「KUMONがうた・読み聞かせを応援 mi:te(ミーテ)」サイトに掲載されています。(→こちら

また絵本学会第7回大会の時のインタビュー「太田大八に聞く:なぜ絵本にこだわるか」は、絵本学会のサイトから読むことができます。(→こちら

代表作
『かさ』太田大八 文研出版 1975

この作品では、第18回児童福祉文化賞ほかを受賞しました。

 

『やまなしもぎ』平野直/再話 太田大八/画 福音館書店 1977

やまなしもぎ (日本傑作絵本シリーズ)
平野 直
福音館書店
1977-11-10
 
 この作品は、1977年国際アンデルセン賞優良作品に選定されています。
 

『ながさきくんち』太田大八 童心社 1980

ながさきくんち (日本のお祭り絵本)
太田 大八
童心社
2007-07
 
 この作品は、第12回講談社出版文化賞を受賞しました。
 

 

『だいちゃんとうみ』太田大八 福音館書店 1992 

この作品で、第15回絵本にっぽん賞を受賞しています。
(作成K・J)

オバマ大統領のスピーチが本になりました


2016年5月27日(金)に広島平和記念公園で語られたオバマ大統領のスピーチが、一冊の本になりポプラ社から出版されました。7月20日に出版されたこの本は、わずか1週間で第2刷になっています。

『オバマ大統領がヒロシマを訪れた日』広島テレビ放送/編 ポプラ社 2016/7/20

オバマ大統領がヒロシマを訪れた日[DVD付]
広島テレビ放送
ポプラ社
2016-07-20
 
 
 
 
歴史的にも大きな意味を持つ、現役のアメリカ大統領の訪問と、そこで語られた演説を記録し、後世に伝えていくためにと、広島テレビ放送が書籍化し、その映像のDVDとともに、こんなに早くに出版に漕ぎ着けられたということには、戦後71年が経ち、オバマ大統領が演説でも述べていたように「Someday the voice of the hibakusha will no longer be with us to bear witness. But the memory of August 6th,1945 must never fade. いつか、被爆者の声を聞けなく日がきます。しかし、1945年8月6日の朝の記憶を決して風化させてはなりません。」、つまり記録し、記憶に残すことの重要性の表れでしょう。 
オバマ大統領の演説を全文翻訳されたのは、広島市で一人出版社である「きじとら出版」の代表、小島明子さんです。小島さんは、オバマ大統領が若い世代に日本語で語りかけるならば、どのような言葉を選ぶだろうかと想像しながら、子どもたちに理解できる翻訳を心がけたとのことです。左ページに英語、右ページに日本語の対訳になっています。
 
また、小学校2年生の時に被爆した森重昭さんの手記も掲載されています。この方は、その後の生涯をかけて被爆者について調査を続けられました。とくに被爆して亡くなったアメリカ兵捕虜について調査をすすめ、ホワイトハウスにその事実を伝えてこられました。オバマ大統領の広島訪問の際に森さんを抱き寄せる姿は、ニュースを見た人々に感銘を与えました。
 
また外交ジャーナリストの手島龍一氏による解説も掲載されています。こちらは、テロリズムが横行し、また自国の利益だけを追求するナショナリズムの考え方が台頭している現在、このオバマ大統領のスピーチの持つ意味をわかりやすく解説してくれています。

ぜひ、小学校高学年からYA世代、また広く全ての年代の方に読んでいただきたい本として、ここで紹介いたします。

 

10月のおはなし会☆おすすめ本リスト2016(訂正・追加あり)


10月のおはなし会☆おすすめ本リスト2016年版をUPします。

新しく「おしゃれ」「おやすみなさいの本」をキーワードに加えました。おはなし会や特集展示の参考にしてください。

(8/10一部、訳者名に間違いがありましたので、リストを訂正しました。8/22 「おしゃれ」および「おやすみなさいの本」のテーマで見落としていた本を追加しました。)

10月のおはなし会☆おすすめ本リスト2016(改訂三版)

 

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基本図書を読む28『注文の多い料理店』『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』宮沢賢治(8/4追記あり)


今年2016年が、宮沢賢治生誕120年であることを書き落としていましたので、追記します。宮沢賢治は1896年8月27日に岩手県花巻市で生まれました。花巻では宮沢賢治生誕120年記念事業として、ステントグラスのライトアップや花火、特別展など様々な催しが開かれるようです。   

宮沢賢治生誕120年ホームページ <http://www.kenji120.jp/index.html>

各地でも生誕120年を記念してイベントが開かれていますので、ぜひ図書館でも特集展示などを組んでみてはいかがでしょうか。

宮沢賢治は岩手県花巻市で生まれた詩人・童話作家です。その作品は教科書の教材としても多く扱われていますので、ほとんどの人がその名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。賢治は、37歳の若さで亡くなり、生前に出版されたのは、詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』のみですが、死後評価され、その作品が広められました。農学校の教師を務めたり、「羅須地人協会」(らすちじんきょうかい)を設立して地域文化活動を試みたりもした人で、作品とともにその生き方や価値観も多くに人をひきつけています。賢治の作品は様々な形で出版されていますが、今回は岩波少年文庫の3冊『注文の多い料理店』『銀河鉄道の夜』『風の又三郎』を中心に紹介します。

初の童話集『注文の多い料理店』の全作品と詩11編が収められています。山奥で迷った狩人が不思議な料理店に入り込む「注文の多い料理店」、一郎のもとに山ねこからどんぐりの裁判に来てくださいという手紙がくる「どんぐりと山ねこ」、でんしんばしらの軍隊が月夜に行進する「月夜のでんしんばしら」など、小学生でも楽しく読みながら独特の世界を味わえる作品が多くあります。賢治の描いた独特の挿絵も掲載されています。

銀河鉄道の夜 (岩波少年文庫(012))
宮沢 賢治
岩波書店
2000-12-18

 銀河鉄道にのって少年ジョバンニがカンパネラと天空を旅しながら様々なことを感じる「銀河鉄道の夜」、鳥の子を助けたうさぎのホモイが貝の火という美しい玉を手に入れますが、美しいままで持っていることができなかった「貝の火」など、幻想性に富んだ作品を中心に7編が収められています。

 

風の又三郎 (岩波少年文庫(011))
宮沢 賢治
岩波書店
2000-11-17

 9月の風の強い日に不思議な転校生がやってくる「風の又三郎」、雪の凍った日にきつねの小学校の幻燈会によばれる「雪渡り」、上手ではないセロ弾きのゴーシュのもとに動物たちがやってくる「セロ弾きのゴーシュ」など、岩手の郷土が豊かに描かれているものを中心に10編が収められています。

 

賢治の作品を読むと、自己犠牲の精神や独特の宗教観なども感じられ、よくわからないな、というところもありますが、不思議にその世界にひきこまれます。空に光る星々、野山で生活する動物たち、農村で暮らしている人々、ざしき童や山男などの普段は見えないもの、そういったものたちの営みがユーモアをもって描かれていて、その息遣いを感じることができます。その作品は、感性豊かな子ども時代に触れてほしいものであると同時に、大人になって読み返すと、また新たな不思議を味わえるような深みのあるものです。 

言葉の響きも独特で味わいがあります。「どっどど どどうど どどうど どどう」(「風の又三郎」)、「赤いしゃっぽのカンカラカンのカアン。(「かしわばやしの夜」)、など思わず声に出して読みたくなります。作品の中に、詩や歌が取り入れられているともあり、言葉で楽しさも味わうことができます。

また多くの画家が賢治の作品の挿絵を描いています。文章だけではイメージしにくいという子も、挿絵があることで親しみやすくなると思います。ぜひ賢治の作品の一つ一つと丁寧に向き合って描いたものを選んで手渡してあげてください。『セロひきゴーシュ』(茂田井武画 福音館書店 1966)、『雪わたり』(堀内誠一画 福音館書店 1969)、『水仙月の四日』(赤羽末吉画 福音館書店 1969)、などは、同じ作家の作品でもここまで風合いが違うのかと驚きますが、それぞれ作品世界の雰囲気を見事に描き出しています。

 

 

雪わたり (福音館創作童話シリーズ)
宮沢 賢治
福音館書店
1969-12-20
 
 
 
 
水仙月の四日
宮沢 賢治
創風社
1997-08
 
 
 

賢治は童話集『注文の多い料理店』の「序」に次のように記しており、賢治がどのようなことを考えて作品を描いたのか伝わってきます。

「 これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹や月あかりからもらってきたのです。

 ほんとうに、かしわばやしの青い夕方を、ひとりで通りかかったり、十一月の山の風のなかに、ふるえながら立ったりしますと、もうどうしてもこんな気がしてしかたないのです。ほんとうにもう、どうしてもこんなことがあるようでしかたないということを、わたくしはそのとおりに書いたまでです。

 ですから、これらのなかには、あなたのためになるところもあるでしょうし、ただそれっきりのところもあるでしょうが、わたくしには、そのみわけがよくつきません。なんのことだが、わけのわからないところもあるでしょうが、そんなところは、わたくしにもまた、わけがわからないのです。

 けれども、わたくしは、これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりません。」

(『注文の多い料理店 イーハトーブ童話集』  岩波書店 2000 P9~10)

子どもたちには賢治作品の楽しいところをたっぷり味わってもらうとともに、作品に触れることで、宮沢賢治という100年以上前に生まれた一人の人間に出会ってもらえればと思います。

(作成 I.S)

2016年6月、7月の新刊から


 6月、7月に出版された児童サービス向け出版物(絵本、児童書、ノンフィクション、YA向け、教育者・研究者向けなど)の中から、おすすめの本いくつかを紹介します。また、ここに紹介している本は、実際に手にして読み終えた中から選んでいます。すべての新刊本を購入して読むことはできませんが、教文館ナルニア国の新刊本コーナーにある本から選書し、購入し、読んで記事にしています。

 (なお、画像はブログ用Amazonアフィリエイトを使用しています。奥付の出版年月日とAmazon入荷日とちがって表示されることがあります。ご了承ください。)

 

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絵本

『みちくさしようよ!』はたこうしろう/作 奥山英治/作 ほるぷ出版 2016/6/24

はた こうしろう”
ほるぷ出版
2016-06-24
 
 2013年7月刊『むしとりにいこうよ!』(はたこうしろう/作)、2014年10月刊『ふゆのむしとり?!』(はたこうしろう/奥山英治共著)、2015年7月刊『いそあそびしようよ!』(はたこうしろう/奥山英治共著)に続く4冊目。おにいちゃんとの学校の帰り道。ほんの少しだけみちくさ、それは小さな冒険です。通学路の脇の畑で蝶の幼虫をみつけたり、桑の実を味わってみたり、アリの行列に驚嘆してみたり、神社の境内では葉っぱでひこうきを飛ばしたり・・・身近な自然の中に「!」をみつける目の大切さ、「?」と思う心の大切さを教えてくれます。ポケモンGOもいいけれど、身近な場所でちいさな発見をGet!できるといいですね。

 

『かぁかぁ もうもう』丹治匠/作 こぐま社 2016/6/24 

かぁかぁ もうもう
丹治 匠
こぐま社
2016-06-24
 
からすとうしが鳴き声自慢。お互いに自分のほうが上だといばってるうちは、どんどん大声になってとうとう喧嘩腰に。でもお互いの美しい声に耳を澄ますと・・・ことばは少ないけれど、鳴きわけしながら(!?)テンポよく、元気に読んであげたい1冊。最後はホッとして笑顔になれるおはなしです。

 

『あおのじかん』イザベル・シムレール/文・絵 石津ちひろ/訳 岩波書店 2016/6/28  

あおのじかん
イザベル・シムレール
岩波書店
2016-06-29
 
 一口に「あお」色といっても、実に多様だということを教えてくれる美しい絵本です。「おひさまがしずみ よるが やってくるまでの ひととき あたりは あおい いろに そまる―それが あおの じかん」。夜の闇が迫って来るまでの世界各地、山や湖、草原、海・・・いろいろな場所で息づく生き物たちを詩のように味わい深く、繊細な色彩と線で描き出しています。表紙見返しには32色の「あお」色が・・・「ふじいろ」、「ラベンダーいろ」、「あいいろ」はなんとなくわかりますが、「こなゆきいろ」「みずたまりいろ」「ふかいうみのいろ」など、初めて出会う「あお」色に、想像力をかきたてられます。
 
 
『セラフィナせんちょうになる』ロラン・ド・ブリュノフ/作 石津ちひろ/訳 BL出版 2016/6

ロラン・ド ブリュノフ
BL出版
2016-06

 とても洒落た色使いだと思ったらフランスの『ぞうのババール』の作者、ジャン・ド・ブリュノフの長男の作品です。ロランは、早世した父親のあとを継いで、ババールの作画を手がけていました。今回の作品は、昨年7月に出版された『キリンのセラフィナ』の続編です。1作目では夏休みにおばあちゃんのところへ出かけて行き、ともだちとおばあちゃんのためにケーキを焼こうとしていろんな失敗をしてしまうお話でしたが、今度はおばあちゃんちからヨットに乗ってともだちと一緒に家に帰っていく設定です。船長はセラフィナ。順調に航海していたと思ったら、いろんなハプニングが次々に起こって最後までドキドキしてしまいます。でも最後はホッと安心できる、そんなお話です。 

 

 『こうさぎとほしのどうくつ』わたりむつこ/作 でくねいく/絵 のら書店 2016/7

27863438_1こうさぎとほしのどうくつ [大型本]

わたり むつこ
のら書店
2016-07
 
わたりむつこさんの文章に出久根育さんが絵を描いた 『もりのおとぶくろ』(2010年4月刊)、そして『こうさぎと4ほんのマフラー』(2013年12月刊)に続く3冊目の絵本です。おばあちゃん思いのやさしい4ひきのうさぎのきょうだい。ともだちに誘われて、森の奥にあるどうくつ探検に出かけます。明かりを落として真っ暗になったとき、そこに見えたのは!・・・夏休みにちょうど読んであげたい、素敵な作品です。  
 

 『日本の川 あらかわ・すみだがわ』村松昭/作 偕成社 2016/7/7

 東京都の東部を流れる荒川そして隅田川。その源流から東京湾へ流れ込むまでを鳥瞰図で描きながら、沿岸の地勢の様子や名所などを案内してくれる作品です。この「日本の川」シリーズは、2008年1月発行の『たまがわ』にはじまり、『ちくごがわ』、『ちくまがわ・しなのがわ』、『よしのがわ』、『いしかりがわ』、『よどがわ』と続き、この本が7冊目となります。今回、この絵本を手に、Google MapとGoogle Earthで源流から東京湾まで辿ってみました。(本当は実地へ行って源流から歩いてみたいのですが・・・)そうすると、この絵本が正確であるだけでなく、子どもたちが興味を持つようなトピックスを取り上げていることがよくわかります。 

 
『なんでもないなつの日 「夏の夕ぐれ」』ウォルター・デ・ラ・メア/詩 カロリーナ・ラベイ/絵 海後礼子/訳 岩崎書店 2016/7/8
 
なんでもない なつの日 「夏の夕ぐれ」
ウォルター・デ・ラ・メア
岩崎書店
2016-07-08
 
 イギリスの詩人で児童文学作家、怪奇小説家でも知られているウォルター・デ・ラ・メアの短い詩が美しい絵本になりました。夏の太陽が傾き、夕日色にそまる農場の様子、家族は屋外で食卓を囲み、家畜たちもそれぞれに餌を食む・・・穏やかで静かなひとときを、心に残る色彩で描いてくれました。『ハロウィーンの星めぐり「夜に飛ぶものたち」』、『ホワイトクリスマス「雪」』に続くコンビの絵本です。 

 

『船を見にいく』アントニオ・コック/作 ルーカ・カインミ/絵 なかのじゅんこ/訳 きじとら出版 2016/7/11

船を見にいく
アントニオ・コック
きじとら出版
2016-07-11

 力のある海外の作品を精力的に出版している一人出版社きじとら出版の最新刊です。大型客船を造っている造船所へ、毎晩見に行く少年の目を通して、完成に向けて変化していく大型船の様子と、そこで働く人々の息吹を伝えてくれます。この絵本は、いたばしボローニャ子ども絵本館主催の第22回いたばし国際絵本翻訳大賞(イタリア語部門)受賞作品です。

 

 『えのでんタンコロ』倉部今日子/作 偕成社 2016/7/14

えのでん タンコロ
倉部 今日子
偕成社
2016-07-14

鎌倉を訪れたことのある人は一度は乗ったことのある「江ノ電」。この絵本では、孫のしょうちゃんと一緒に江ノ電に乗っていたおじいちゃんが、子どもの頃に江ノ電で活躍していた1両編成の100形電車「タンコロ」の思い出を語り始めます。昭和30年代の沿線の様子が描かれ、絵本でタイムスリップできてしまいます。作者は、鎌倉、江ノ電沿線にお住まいなんだとか。電車好きな子どもにも、昔を懐かしむ大人にもおすすめの1冊です。
 

児童書

 『モンスーンの贈りもの』ミタリ・バーキンス/作 永瀬比奈/訳 今井ちひろ/挿画 鈴木出版 2016/6/24

 アメリカ、バークレーに住む15歳の高校生のジャスミンは、夏休みの間、家族とともにインド・ムンバイに滞在することになります。目的は、社会運動家である母親が、ムンバイにある孤児院に妊婦さん向けのクリニックを立ち上げるのを、手伝うためでした。カースト制の考え方が色濃く残り、貧しい女性の生き方が限定されがちなインドという異文化に身を置く中で、自分をみつめ、そこで自分がどのように人の役に立てるのか、懸命に考えるジャスミンの姿はとても力強くて爽やかです。また、高校生が起業して自分で必要なもののためにお金を稼ぐ姿や、貧しい人でも起業できるようにする金利0のリボルビング・ローンの活用など、センチメンタルなだけでではない物語の展開は、現実を生きる若い世代の共感を呼ぶのではないでしょうか。

 

『アウシュヴィッツの図書係』アントニオ・G・イトゥルベ/著 小原京子/訳 集英社 2016/7/5 

アウシュヴィッツの図書係
アントニオ G イトゥルベ
集英社
2016-07-05

 人権剥奪の象徴のようなアウシュヴィッツ・ユダヤ人強制収容所の中に子どもたちを集めた学校があり、またその中に図書館があったなんて驚きです。戦後、生きて収容所を出ることができた図書係の少女に取材して書かれた作品です。本を持っているということが見つかれば射殺されかねないという過酷な環境の中で、8冊の「本」(どれもボロボロであったにもかかわらず)と、6冊の「生きた本」(先生たちが口述して伝える物語など)が、そこで生きる人々の希望の光となったというのです。「ディタは黙ったまま、今までに何本のマッチに火を点けてきただろうと思いめぐらした。(中略)ときには真っ暗闇のひどく辛い状況の中でも、本を開き、その世界に入り込むと灯りが灯った。彼女のちいさな図書館はマッチ箱だ。」(p312)主人公の少女ディタは、14歳。子ども時代に「本」の世界の持つ豊かさに出会っていたので、図書係という任務をやりとげることができたのです。ページを開くとびっしりと書かれた文字にひるみ、また強制収容所の酷い状況に読んでいて戦慄を覚えるのですが、ひたむきなディタの姿に希望を見出し、一気に読む進めることが出来ました。

 

 『もりモリさまの森』田島征三/作 さとうなおゆき/絵 理論社 2016/7

もりモリさまの森
田島 征三
理論社
2016-07

『やまからにげてきた・ゴミをぽいぽい』(童心社 1993)や、『たすけて』(宮入芳雄、さとうあきら/写真 童心社 1995)などの絵本で、環境問題について子ども達に投げかけてきた田島征三さんの初の童話です。理論社の編集者さんから、ぜひ読んでほしいとご案内をいただきました。「作者が20年かけて書き上げた初めての童話、人間の暮らしや行動をケモノの視点から見つめた視点が新鮮な作品」のとのことです。なお、田島征三さんのトーク&サイン会が8月30日(火)19:30~ジュンク堂池袋本店で、刊行記念講演会が8月31日(水)14:00~銀座・教文館ナルニア国ナルニアホールにて開催されます。

  

ノンフィクション

『宇宙人っているの?』長沼毅/著 吉田尚令/絵 金の星社 2016/6/21 

宇宙人っているの?
長沼 毅
金の星社
2016-06-21

 「ひとつの銀河は、およそ2000おく個の星でできているんだよ。宇宙には、その銀河が1000おく個いじょうあるんだ。」というプロローグから、おとうさんと子どもたちの会話が始まります。地球の環境から始まって太陽系、そしてその外へと次第に目線を広げながら、宇宙に存在する可能性がある生命体について、「この星に、もし宇宙人がいるとしたら、どんなすがたをしているだろう?」と、想像が広がっていきます。著者の長沼毅氏は広島大学大学院生物圏科学研究科の教授で、専門は深海生物学、微生物生態学、系統地理学です。その知識に裏付けられた想像上の宇宙生命体は、宇宙の広がりに興味を持つ子ども達に新鮮に映ることでしょう。50ページほどの絵本になっているので、低学年にもおすすめできそうです。

 

 その他

『あたらしい憲法草案のはなし』自民党の憲法改正草案を爆発的にひろめる有志連合 太郎次郎社エディタス 2016/6/22

あたらしい憲法草案のはなし
自民党の憲法改正草案を爆発的にひろめる有志連合
太郎次郎社エディタス
2016-07-02
 
2001年に童話屋から復刻出版された『あたらしい憲法のはなし』(童話屋編集部 2001)と比較しながら読めるように、装丁などを似せて出版された冊子です。今年から18歳選挙も始まり、参院選では改憲を肯定的に進めようとしている勢力が3分の2を超え、日本国憲法をこれからどうしていくのか、考えていく時期に入ってきました。改憲への考え方も、各党さまざまです。賛成するにしても、反対するにしても、今の憲法と、改正案とをしっかり比較研究することが大切です。とくにこれからこの国を担う若い世代に、関心をもってほしいと思います。『あたらしい憲法のはなし』といっしょに並べて、若い世代にぜひ手に取って欲しいなと思います。

 

『ねないこはわたし』せなけいこ/著 文藝春秋 2016/7/13

せな けいこ
文藝春秋
2016-07-13

 累計200万部と言われている『ねないこだれだ』(福音館書店 1969)の作者、せなけいこさんのエッセイです。『ねないこだれだ』と『にんじん』、『もじゃもじゃ』、『いやだいやだ』4冊でデビューしたせなさんは当時37才、2児のお母さん。『ねないこだれだ』は子どもを寝かしつけるしつけの絵本と誤解する向きもあるが、実はそうではないという告白からはじまるこの本には、せなワールドそのものが表現されています。また今まで公開されてこなかったデビュー作の原画もふんだんに紹介されています。小さい時にだれもが一度は読んでもらったこの絵本、最後はおばけになって飛んでいっちゃうというのでトラウマになったという話も聞きますが、このエッセイを読むとまた違った魅力を発見できるかもです。なお、8月31日まで銀座・教文館子どものほんの店ナルニア国の店内にてミニ原画展を開催中です。店内にはせなさんの画材道具などの展示もあります。また貼り絵で構成された原画は、絵本で見るのとは違った印象を受けます。ぜひお時間を作ってナルニア国へ行ってみてくださいね。 

 (作成K・J)

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