Yearly Archives: 2017

1月のおはなし会☆おすすめ本リスト
訃報 パット・ハッチンス
おすすめ幼年童話8『宇宙からきたかんづめ』佐藤さとる
小学校での読み聞かせ おすすめの本の紹介 11月(再掲)
2017年9月、10月の新刊から
訃報 毛利子来さん
2017年(その2)北風にむかって(幼児~小学生)
2017年(その1)ぎゅっぎゅっぎゅっ(小さい子)
12月のおはなし会☆おすすめ本リスト
おすすめ幼年童話7『ちびねこグルのぼうけん』アン・ピートリ
小学校での読み聞かせ おすすめの本の紹介 10月(再掲)
2017年8月、9月の新刊から
「お話(素話)から学ぶ第3回」報告
29年度第3回児童部会
2017年(その2)木枯らし吹いて(幼児~小学生)

1月のおはなし会☆おすすめ本リスト


11月も半ばに入ると、とたんに忘年会の話題が上るようになり、今年もあとわずかであることを自覚させられます。

1月のおはなし会や、展示特集などで使えるおすすめ本のリストは、新刊本はもちろんのこと、今まで見落としていた絵本や、2018年の干支であるいぬの絵本なども加えて更新しました。i-inu136

ぜひ業務に役立ててください。

1月のおはなし会☆おすすめ本リスト(2017)

訃報 パット・ハッチンス


『ロージーのおさんぽ』(わたなべしげお/訳 偕成社 1975)、『おやすみみみずく』(わたなべしげお/訳 偕成社 1977)、『ぶかぶかティッチ』(いしいももこ/訳 福音館書店 1984)や『おまたせクッキー』(乾侑美子/訳 偕成社 1987)など、子どもたちが大好きな作品があるイギリスの絵本作家パット・ハッチンス女史が11月7日にロンドンのご自宅で亡くなったというニュースが入ってきました。(→Publishers Weekly)85歳でした。

1942年生まれのパットは、イギリスはヨークシャーに生まれました。1968年に『ロージーのおさんぽ』でデビュー、1974年には『風がふいたら』(田村隆一/訳 評論社 1981 *現在絶版*)でケイト・グリーナウェイ賞を受賞しました。

パット・ハッチンスの作る絵本は、様式化された明るい色彩の絵、繰り返しのあるリズミカルな文章で、子どもたちが日常の暮らしの中で出合うユーモラスな展開が特徴的です。それは時代の変化に流されない普遍的なユーモアで、今の子どもたちでも十分に楽しむことができます。ぜひ紹介してあげましょう。

『ロージーのお散歩』パット・ハッチンス/作 わたなべしげお/訳 偕成社 1975

ロージーのおさんぽ (ハッチンスの絵本)
パット=ハッチンス
偕成社
1975-08-01

 

『おやすみみみずく』パット・ハッチンス/作 わたなべしげお/訳 偕成社 1977

おやすみ みみずく (ハッチンスの絵本)
パット=ハッチンス
偕成社
1977-07-01
 
 
 
 
『ぶかぶかティッチ』パット・ハッチンス/作 いしいももこ/訳 福音館書店 1984) 

 

 

 

『おまたせクッキー』パット・ハッチンス/作 乾侑美子/訳 偕成社 1987

おまたせクッキー
パット ハッチンス
偕成社
1987-09-01
 
 

『ピクニックにいこう!』パット・ハッチンス/作 たなかあきこ/訳 徳間書店 2003
ピクニックにいこう!
パット ハッチンス
徳間書店
2003-04


(作成K・J)

おすすめ幼年童話8『宇宙からきたかんづめ』佐藤さとる


連載第8回は『宇宙からきたかんづめ』(佐藤さとる/作 岡本順/絵 ゴブリン書房 2011)です。

宇宙からきたかんづめ
佐藤 さとる
ゴブリン書房
2011-11

 

 

 

物語は、ぼくがスーパーマーケットで不思議なかんづめと出会うシーンからはじまります。いちごのジャムを買ってくるようにとたのまれて行ったのに、ぼくが手にしたのは、なんと、おしゃべりをする宇宙から来たかんづめだったのです!

 お金を払って、不思議なかんづめを家に持ち帰り、缶切りのついたナイフで空けてみようとしたそのとき、「やめろ!」頭の中に声が響きました。「いったいだれなんだ」と問うと、かんづめはしばらくだまっていましたが、「宇宙のはてからきたんだ。地球がどういう星か、調べているだけだ」と答えてくれました。

そこから、遠い宇宙からきた不思議なかんづめとぼくとの生活がはじまります。

 ぼくは、「タイムマシンは、本当にできるものですか?」「宇宙のはしへいったら、どうなりますか?」など、不思議に思ったことをかんづめに聞くと、そのたびに面白い話を聞かせてくれるのです。そんなかんづめが語る話が5話、収録されています。(①タイムマシンは川に落ちた、②タツオの戸だな、③いなくなったどろぼう、④おしゃべりなカビ、⑤とんがりぼうしの高い塔)

 かんづめに聞いた話③「いなくなったどろぼう」の中に、光を当てると物が小さくなる懐中電灯が登場します。あれ?どこかで見たことがあると思ったら、ドラえもんに出てくるスモールライトそっくりです。実はこの作品が最初に出版されたのは1967年で、「ドラえもん」が小学館の学習雑誌に連載されるようになったのは1969年なので、ドラえもんより先なのです。出版されてから半世紀、おもしろいお話は、何年たっても色褪せることはありませんね。ファンタジー文学の第一人者「コロボックルシリーズ」の佐藤さとるが描く少し不思議なSFストーリーです。漢字にはふりがなもふってあり、お話の展開にスピード感があるので、小学校低学年の子どもたちから読むことができるでしょう。

 (作成29年度児童部会部員 M・N)

 

第1回『おはようスーちゃん』→こちら
第2回『じゃんけんの好きな女の子』→こちら
第3回『こぶたのレーズン』→こちら
第4回『ちびっこタグボート』→こちら
第5回『スプーン王子のぼうけん』→こちら
第6回『プレゼントはお・ば・け』→こちら
7回『ちびねこグルのぼうけん』→こちら 

小学校での読み聞かせ おすすめの本の紹介 11月(再掲)


11月になって気温が下がり、これから葉も色づいてきそうで楽しみですね。そんな11月は落ち葉の本を中心におすすめの本を紹介します。

「楽しい落ち葉があったら、図書室に持ってきてね」と声をかけて、図書室でミニ落ち葉博物館を作るのも楽しそうですね。

<低学年>

『くんちゃんはおおいそがし』 ドロシー・マリノさく まさきるりこやく ペンギン社 1983 4分

くんちゃんはおおいそがし
ドロシー・マリノ
ペンギン社
1983-01

 くんちゃんの何気ない秋の1日を描いています。朝から何をすればよいのかわからなくて退屈していたくんちゃんですが、外にでてみると、木切れを船のように川に浮かべたり、りすのようにくるみを集めたり、落ち葉で山を作ってもぐりこんだりと大忙し! 秋らしい茜色が美しい絵本です。子どもたちはくんちゃんになって、秋の日を楽しんでくれます。

 

<中学年>

『わたしのもみじ』 岩間史朗写真・文 ポプラ社 2001 7分

わたしのもみじ (シリーズ・自然 いのち ひと)
岩間 史朗
ポプラ社
2001-11
 
1本の大きなもみじの木に魅力されたぼく(岩間史朗氏)の映した、四季さまざまの美しい写真がまとめられています。初夏秋冬の変化を同じアングルから映した写真や、新芽や花の写真、夏に集まる虫たちの写真などがあり、1枚1枚の作品から、1本の木がもつ命の力強さが伝わってきます。10月4日から11月7日まで、次第に葉が色づき散っていく様子を映した一連の写真もありますので、ぜひ紹介してあげてください。 
 
<高学年>

『かえでの葉っぱ』 D・ムラースコヴァー文 関沢朋子訳 出久根育絵 理論社 2012 12分

かえでの葉っぱ
デイジー・ムラースコヴァー
理論社
2012-11-20
旅する1枚の葉っぱの物語です。ある日、木からふわりとはなれた葉っばは、風にのって遠くまでいくつもりが、大きな石のあいだにはさまってしまいます。そこをある少年に助けられて、長い旅が始まるのです。丘をこえ、サフランやすてきな草原を通り、水に浮かんで流れていき・・・、やがて季節は冬になり、がきて白い模様の世界になり、葉っぱの上には霜がおります。春になったとき、葉っぱはもう灰色のクモの巣のような骨だけになっていました。そして再び自分を助けてくれた少年のもとに行きつくことになるのです。生きていくとはどういうことが、葉っぱの一生から静かに伝わってきます。
 この本はチェコの画家でもあり作家でもあるムラースコヴァーの作品に、日本の出久根育さんが絵をつけたものです。一枚一枚が丁寧に描かれていて、絵画のような仕上がりです。ぜひ絵もじっくり見せてあげてください。
 
<科学の本>
 
『おちばのしたをのぞいてみたら』 皆越ようせい写真・文 ポプラ社 2000 4分
おちばのしたをのぞいてみたら… (はっけんたんけんえほん)
皆越 ようせい
ポプラ社
2000-08
落ち葉の下にいる虫たちをクローズアップでみせる写真絵本です。1㎜以下のダニの仲間から、5㎝くらいのダンゴムシやオオゲジまで様々な生きものが紹介されていて、落ち葉の下の豊かな世界をみることができます。最後は生き物たちのうんちが土になり、土から木が育って、やがて落ち葉になって、虫たちに食べられる・・・といったいのちのつながりをさりげなく伝えています。落ち葉の下をのぞいてみたくなる1冊です。
 
『落ち葉』 平山和子文と絵 平山英三構成と写真 福音館書店 2005 8分
落ち葉
平山 和子
福音館書店
2005-09-25
 
画家の平山和子さんが、落ち葉の美しい姿を残しておきたいと1枚1枚丁寧に描いた作品を集めた「落ち葉の美術館」です。色づき始めたものから、虫や風雨にさらされて、穴だらけになったり色あせたものまでありますが、どの落ち葉もハッとさせられる美しさがあります。著者のものを愛情をもって丁寧に見つめるまなざしから、自然のもつ美しさに気がつかされる1冊です。すべて読まずに、絵を見せながら紹介をしてあげてもよいと思います。 
 
<詩の本>
『てんぷらぴりぴり』 まどみちお作 杉田豊画 大日本図書 1968
てんぷらぴりぴり (子ども図書館)
まど みちお
大日本図書
 
まとみちおさんの59歳のときの初めての詩集で、まどさんの小さいものたちへの優しいまなざしを感じることができる詩がぎゅっとつまっています。「てんぷら ぴりぴり」は思わず口ずさみたく、響きの心地よい詩です。何度かくりかえし読むと子どもたちも覚えて、一緒に暗唱してくれます。ぜひ他にもご自分の好きな詩を選んで読んであげてください。大らかな絵もゆったりとして味わい深いです。 

(作成 T.I) 

2017年9月、10月の新刊から


2017年9月、10月に出版された児童サービス向け出版物(絵本、児童書、ノンフィクション、YA向け、教育者・研究者向けなど)の中から、おすすめの本を紹介します。(一部、見逃していた6月、8月に出版された本もあり)

また、ここに紹介している本は、実際に手にして読み終えた中から選んでいます。すべての新刊本を購入して読むことはできませんが、教文館ナルニア国の新刊本コーナー、クレヨンハウス新刊本コーナー、代官山蔦屋書店児童書部門、横浜日吉にあるともだち書店などにある本から選書し、購入し、読んで記事にしています。


 (なお、画像はブログ用Amazonアフィリエイトを使用しています。書誌事項は奥付の出版年月日にしており、Amazon入荷日とちがって表示されることがあります。ご了承ください。)

***********************************

絵本】

 『はくぶつかんのよる』イザベル・シムレール/文 石津ちひろ/訳 岩波書店 2017/6/27

はくぶつかんのよる
イザベル・シムレール
岩波書店
2017-06-28

 昨年出版されその美しさで話題を呼んだあおのじかんのイザベル・シムレールの描く夜の博物館です。何も動かずひっそりとした展示室の一角、蝶の標本箱から黄色い一匹の蝶が優雅に飛び立ちます。その翅のはばたきに誘われるかのように博物館の中がにわかに賑やかになるのです。どんな賑わいだったのかは、ぜひ本を手にしてお楽しみください。幻想的で美しい世界が広がっています。

 

『エンリケタ、えほんをつくる』リニエルス/作 宇野和美/訳 ほるぷ出版 2017/8/25

エンリケタ、えほんをつくる
リカルド・シリ=リニエルス
ほるぷ出版
2017-08-25

ママに色鉛筆をプレゼントしてもらったエンリケタ。それで絵本を創ろうと、描き始めます。題して「3つあたまと2つのぼうしのモンスター」。夜になるとクローゼットの中から変な物音がしてくるという設定です。さて、どんなお話をエンリケタは描くのでしょう。アルゼンチンで国民的人気を誇る漫画家リニエルスの作品を、宇野和美さんが翻訳されました。これが日本での初翻訳本だそうです。表紙見返しの部分でエンリケタが、飼い猫に「ほんはもちはこべるうちゅうだね」と語っている部分もとても気に入りました。

『カランポーのオオカミ王』ウィリアム・グリル/作 千葉茂樹/訳 岩波書店 2017/9/7

カランポーのオオカミ王
ウィリアム・グリル
岩波書店
2017-10-19

昨年秋に南極探検に出かけたエンデュアランス号の漂流を題材してシャクルトンの大漂流がデビュー作だったウィリアム・グリル。そのデビュー作でケイト・グリーナウェイ賞を最年少で受賞しました。そのグリルの2作目は「シートン動物記」の中でも、多くの子どもたちの心をつかむ「オオカミ王ロボ」を絵本にした『カランポーのオオカミ王』です。この作品ではボローニャ・ラガッツィ賞(ノンフィクション部門)の最優秀賞を受賞しています。こちらでも色鉛筆で描く細かい描写がとても美しく、西部開拓時代のシートンとロボとの駆け引き、そしてロボと出会ったことでシートンが動物保護へと考え方を変えていく様が丁寧に描かれています。

『さるとかに』神沢利子/文 赤羽末吉/絵 BL出版 2017/10/1

さるとかに
神沢利子
ビーエル出版
2017-10-01

1974年に銀河社から出版されていた神沢利子と赤羽末吉による『さるとかに』がこのほどBL出版より復刊されました。この昔話を絵本にしたものでは、岩波書店から出版されて読み継がれているかにむかし(木下順二/文 清水崑/絵 岩波書店 1976)が有名ですが、こちらの絵本もまた味わい深いです。赤羽末吉のダイナミックな筆致で描かれた木の上から青柿を投げるさるや、火の玉のように熱くなった栗が顔に当たってびっくりするさるの表情が素晴らしいです。

 

『インドの昔話 あおいジャッカル』マーシャ・ブラウン/作 こみやゆう/訳 瑞雲舎 2017/10/1

あおいジャッカル
マーシャ・ブラウン
瑞雲舎
2017-10-01

 1979年に瀬田貞二の訳で佑学社から出版されていたあおいやまいぬ(のちに1995年に瑞雲舎より復刊)を、こみやゆうさんが新たに翻訳しなおし、再度瑞雲舎から出版されました。タイトルも原題の「The Blue Jackal」に合わせて『あおいジャッカル』となりました。紙の色が白から薄いベージュ色になり、マーシャ・ブラウンの版画絵が色合いも鮮やかに蘇っています。より原書の初版の色に近づいたということです。また、瀬田貞二版では「ですます調」だった訳が「である調」になっており、一層力強い印象があります。もとのお話は、世界最古の寓話集と言われるインドの「パンチャタントラ」で、その中の一話をマーシャ・ブラウンが再話して絵本にしたのです。こみやゆうさんはマーシャ・ブラウンをアメリカ、ロサンゼルス郊外へ訪ねており、その際に「やまいぬ」を「ジャッカル」と改めることを約束されていたそうです。また、瀬田版では、最後のページもお話の続きとして翻訳されていましたが、これは本文とは別の「パンチャタントラ」の各話についている格言ということで、フォントを変えて格言とわかるような表現になっています。図書館で『あおいやまいぬ』と並べて展示をしてみても面白いですね。

 

『わたしたちのたねまきーたねをめぐる いのちたちのおはなしー』キャスリン・O・ガルブレイス/作 ウェンディ・アンダスン・ハルパリン/絵 梨木香歩/訳 のら書店 2017/10/10

わたしたちのたねまき: たねをめぐるいのちたちのおはなし
キャスリン・O. ガルブレイス
のら書店
2017-10-05

庭に母子が野菜の種を蒔いているシーンから絵本は始まります。しかし、太古の昔から植物は人の手を借りなくても、命をつないでいたのです。風や鳥、太陽の光によって自ら弾けることによって、あるいは雨に流されたり、動物の身体にくっついて遠くへ運ばれたりしながら、次の世代へと命を引き継いできたことが、柔らかいタッチの絵でわかりやすく描かれています。親子で読みながら、命のつながりを一緒に考えられたら素敵ですね。


『ざしき童子のはなし』宮沢賢治/作 岡田千晶/絵 三起商行 2017/10/17

ミキハウスから出版されている宮沢賢治の絵本シリーズの29冊目です。今回絵を描いたのは『ぬいぐるみおとまりかい』(風木一人/作 岩崎書店 2014)や『あかり』(林木林/作 光村教育図書 2014)などを描いている岡田千晶さんです。柔らかいタッチの色鉛筆画で、賢治が語るざしき童子の不思議な雰囲気を余すことなく表現しています。絵本の中から子どもたちのさんざめく声が聞こえてきそうです。

 

『りんごとけんだま』鈴木康広/作 ブロンズ新社 2017/10/25

りんごとけんだま
鈴木康広
ブロンズ新社
2017-10-19

アーティストとして先端技術と融合させたさせた作品などのある鈴木康広さんの2作目の絵本。普段何気なく見ているものが視点を変えることで、別の意味をもったものに見えてくるという鈴木さんのお話はとても面白いので、ぜひ名前をクリックして公式サイトに行ってみてください。鈴木さんは14歳の時にけん玉の「灯台」という技をクラスで一番に完成させて以来、けん玉はもはや自分の分身なんだそうです。りんごのけん玉(玉の部分がりんご型)を24歳の時に制作し、地球の引力と自分をつなぐ道具としてのけん玉を通してニュートンに想いを馳せたそうです。それが今回絵本という形となりました。代官山蔦屋書店児童書部門では11月4日に鈴木康広さんと東京大学先端科学技術研究センター中邑賢龍教授とのトークショーも行われます。(→こちら

『ル・コルビュジエ 建築家の仕事』フランシーヌ・ブッシェ、ミッシェル・コーアン/作 ミッシェル・ラビ/絵 小野塚昭三郎/訳 現代企画室 2017/10/31

ル・コルビュジエ: 建築家の仕事 (末盛千枝子ブックス)
フランシーヌ ブッシェ
現代企画室
2017-10-16

1987年にスイスで出版された「CORBU COMME LE CORBUSIER」が、1999年にすえもりブックスから翻訳されて出版されましたが、しばらく絶版となっていました。2017年に原書の出版30周年を記念してスイスで新装版が出版されたのを機に、日本語版も復刊されました。本の装丁もとても斬新で美しいものとなっています。「あとがき」に建築家の原広司さんが書かれたル・コルビュジエが考えた家や都市への考え方の解説を読むと、彼の遺したものがいかに大きなものであったかがよくわかります。この絵本に出会った子どもたちの中から、都市をデザインできる第2のル・コルビュジエが誕生するといいなと思います。

【児童書】

『クリスマスがちかづくと』斉藤倫/作 くりはらたかし/絵 福音館書店 2017/10/5

『どろぼうのどろぼん』(福音館書店 2014)で児童書デビューした斉藤倫さんの最新作です。セロは10歳の男の子。クリスマスが近づくと街は賑やかになるのに、セロは気持ちが晴れません。それは両親がともにその時期は忙しく、かまってくれないからです。「クリスマスなんてだいきらい」とセロは思っていました。ところが、実はおとうさんがサンタクロースなので、クリスマスはとても忙しいということを知ります。半信半疑のセロですが、ある真夜中、サンタクロースとして準備をしているおとうさんをみつけます。セロは自分がクリスマスにどれだけ寂しい想いをしていたかを訴えます。それを聞いたおとうさんの答えは意外なものでした。小さな子どもの思いに寄り添う、とても素敵なお話です。小学校中学年くらいからおすすめです。

 

『命の水 チェコの民話集』カレル・ヤロミール・エルベン/編 出久根育/絵 阿部賢一/訳 西村書店 2017/10/5

「チェコのグリム」と呼ばれたカレル・ヤロミール・エルベン(1811~1870)の生誕200周年を記念して刊行されたアンソロジーを全訳した民話集です。グリム兄弟より約四半世紀後に生まれたエルベンですが、グリム兄弟がドイツでしたのと同じように、19世紀のボヘミア地方(現在のチェコ共和国)に伝わるチェコ語の民話や民謡を収集し、まとめました。20ほどの民話や詩、童謡などが収められています。この民話集の絵はチェコの首都プラハ在住の出久根育さんが手がけられました。テンペラ画の技法で描かれた絵はどれも美しく、物語の世界へ誘ってくれます。グリム童話とよく似たお話もいくつかあります。ヨーロッパ大陸の中で民族が移動しながら、庶民が口伝えで語り継いできたのだなと改めて思いました。

 

『ごはんはおいしい』ぱく きょんみ/文 鈴木理策/写真 福音館書店 2017/10/15

ごはんは おいしい (日本傑作絵本シリーズ)
ぱく きょんみ
福音館書店
2017-10-11

「ごはんは おいしい ごはんは あったかい」で始まる、写真絵本です。78ページあるので、児童書として紹介します。詩人のぱくさんが、おばあちゃんが孫によびかけるような優しいことばで、ごはんの一粒は、稲の実一粒。それを春にたんぼに植えて、稲穂が実り、刈入れをし、お米を炊いてほかほかのごはんになるまでを語りかけます。鈴木さんの写真のアングルも、科学絵本とは違って、とても美しく、こうした水田のある日本に生まれて良かったなと感じます。読むと4分半。収穫感謝のおはなし会などで読んであげると良いでしょう。

 

【その他】

『子どもはハテナでぐんぐん育つ―図書館で調べ学習をやってみよう!―指導法と実践例』調べ学習研究会「調之森」/編著 しまだいさお/イラスト 岩崎書店 2017/10/31

 小学生(低学年~高学年)から中学生、高校生、そして生涯学習としての大人の調べ学習まで、発達に応じて年齢別に、理系分野から社会科分野、国語分野まで、幅広い実践例を通して、調べ学習の進め方、指導法をわかりやすく伝えてくれる1冊です。編著者は、1999年に発足した研究会「調之森」です。メンバーは小・中・高の教師、学校図書館司書、公共図書館司書、ボランティア、地域の教育機関の主事、公益財団法人図書館振興財団調べる学習コンクール関係者、大学の非常勤講師などで構成されています。調べ学習を牽引してこられた蔵元和子さんや片岡則夫さんの名前もありました。巻末付録として、コピーして使える「ドーナツチャート」と「記録カード」が付いているのが嬉しいです。

(作成k・J)

 

訃報 毛利子来さん


たぬき先生で親しまれた小児科医の毛利子来さんが10月26日に亡くなられました。87歳でした。(ヤフーニュース記事→こちら

私が子育てをしている頃(30年近く前ですが)、『赤ちゃんのいる暮し』(筑摩書房 1983)、『幼い子のいる暮し』(筑摩書房 1984)の2冊には大変お世話になりました。30年以上経ち、子育ての常識も今は変化していると思いますが、子どもの側に立った目線で子育てを考えることが出来た本でした。

また、2度ほど講演会でお話を伺いました。「育児の考え方は時代により、また親たちが育った環境でも、それぞれに違いがある。子どももそれぞれ違った個性を持っている。それぞれの個性に合わせて試行錯誤しながらやっていくのがいい。正解はないので、マニュアルに捉われないことが大事」、「孤独な子育てで追い込まれていく母親を地域でサポートすることの大切さ」、「身体が発する自然な反応をよくみて病気に対応することの大切さ」などを、実例とともに楽しくお話してくださいました。

毛利先生は、小児科医という立場から病気に関する科学絵本も執筆されています。どれも、子ども自身が自分の身体に起こる変化(病気)がなぜなのかを理解して、それを予防するにはどうしたらよいか、わかりやすく伝えてくれています。

『ねびえ』毛利子来/作 堀内誠一/絵 かがくのとも 福音館書店 1982
現在こちらは絶版になっています。図書館では所蔵している館も多いと思います。(→国立国会図書館サーチ こちら


『ゲーとピー たぬきせんせいのびょうきのほん』毛利子来/作 なかのひろたか/絵 福音館書店 1998

ゲーとピー (かがくのとも絵本)
毛利 子来
福音館書店
1998-11-10

 

 

『カユイ カユイ たぬきせんせいのびょうきのほん』毛利子来/作  なかのひろたか/絵 福音館書店 1998

カユイ カユイ (かがくのとも絵本)
毛利 子来
福音館書店
1998-11-20

 

 

また、雑誌ちいさい おおきい よわい つよい(ジャパンマシニスト社 1993年創刊)の編集者としても、長く活躍されました。大きいこと、強いことが良いとされる中で、小さくても、弱くても自分らしく生きていくことの大切さをこの雑誌では伝えてくださいました。

心より哀悼の意をお捧げします。

(作成K・J)

 

2017年(その2)北風にむかって(幼児~小学生)


来年のカレンダーを買いました。ああ、もう今年も残りのほうが少ないんだなと改めて思いました。12月の幼児~小学生向けのおはなし会プランは、北風吹く冬をテーマに、クリスマスから年越まで欲張ってみました。テーマは素話にちなんで【北風にむかって】です。

***************************
【北風にむかって】

絵本『クレメンタインの冬じたく』ケイト・スポーン/作 木坂涼/訳 セーラー出版 1995 3分

クレメンタインの冬じたく
ケイト スポーン
セーラー出版
1995-12

 

日に日に寒くなってきて、ひとつずつ着るものが増えていく季節。ねこのクレメンタインはとってもおしゃれ。おはなし会の導入に使える絵本です。

 

素話「北風をたずねていった男の子」(ノルウェーの昔話)『子どもに語る北欧の昔話』(福井信子・湯沢朱実/編訳 こぐま社 2001)より 12分

大切な粉を北風に吹き飛ばされてしまった貧しい家の男の子が、粉を取り戻そうと北風のところへ訪ねていきます。北風は呪文を唱えるとごちそうが出てくるテーブルかけをくれるのですが・・・テンポよく語れるお話です。男の子の気持ちになって生き生きと語りましょう。

 

 

絵本『クリスマスのちいさなおくりもの』アリスン・アトリ―/作 上條由美子/訳 山内ふじ江/絵 福音館書店 2010 13分

クリスマスのちいさなおくりもの (こどものとも絵本)
アリソン・アトリー
福音館書店
2010-10-15

『グレイ・ラビットのおはなし』や『チム・ラビットのぼうけん』など小動物を主人公にした作品を残したアリソン・アトリ―のやはり小動物が活躍するクリスマスのお話です。お母さんが入院中でクリスマスの準備が出来ていないおうちで、飼い猫とねずみ、そして小さな蜘蛛たちが協力して子どもたちに素敵なクリスマスの朝をプレゼントします。

 

詩「ちきゅうをまわす」矢崎節夫 『矢崎節夫童謡集 きらり きーん』(矢崎節夫/著 JULA出版局 2015)より 1分

きらり きーん―矢崎節夫童謡集 (JULAの童謡集シリーズ)
矢崎 節夫
JULA出版局
2016-03-01

時間が過ぎていって、カレンダーの残りが少なくなって、そしてとうとう最後は新しい年へと変わっていきます。その時の流れは途切れることなく続いていることを詩の朗読を通して伝えてあげたいと思います。そうして日々、大きく成長していることを喜びたいですね。

゛(前半 略)

カレンダー えらいな
ちきゅうを まわす
きょうから
あしたへ
あさってへ
まいにち ぐるーん
おおきく ぐるーん
いちねんかけて
ちきゅうを まわす” (『きらり きーん』p121より)
          
(作成K・J)

2017年(その1)ぎゅっぎゅっぎゅっ(小さい子)


小さな子どもたちと一緒にわらべうたで遊んでいると、子どもたちってぎゅっと抱きしめてもらった時に、ほんとうに嬉しそうな笑顔になるんだなって思います。12月の小さい子向けおはなし会プランは、そんな笑顔を思い浮かべながら作りました。

****************************
【ぎゅっぎゅっぎゅっ】

オープニングは、例年と同じわらべうたメドレーです。

導入  わらべうたメドレー(おおさむこさむ → おしくらまんじゅう → こどもかぜのこ) 
 (社員の方はeラーニングサイトで遊び方を見ることができます)
おおさむこさむ
 「おおさむこさむ」両腕をこする動作
 「やまからこぞうがとんできた」遠くのほうを指さす
 「なんといってとんできた」耳に手をあてる
 「さむいといってとんだきた」また両腕をこする動作
 少し大げさなくらいに動作をするとよいでしょう。
 
 
 
 
 
 
   
 
 
おしくらまんじゅう
 お母さんといっしょにおしくらまんじゅうをします。
 
 
 
 
 
 
 
こどもかぜのこ
 「こどもかぜのこ」両手でこぶしを作り、左右交互に前に突き出す
 「じじばばひのこ」体を縮めて、両腕をさする動作
 
 
 
絵本『おしくらまんじゅう』かがくいひろし ブロンズ新社 2009
おしくら・まんじゅう
かがくい ひろし
ブロンズ新社
2009-04-01
 
 
 
わらべうた このこどこのこ
このこどこのこ
「このこどこのこかっちんこ」お膝に乗せた子どもを軽く抱きしめながら、おとなが左右に軽く揺れます。
「こののどこのこ〇〇ちゃん」お子さんの名前を入れて歌って、ぎゅーっと抱きしめます。
 
 
絵本『だっこして』西巻茅子 こぐま社 1995
だっこして (にしまきかやこ あかちゃんの本)
西巻 茅子
こぐま社
1995-05-01
 
12月のおすすめ本リストには入れていませんが、ぎゅっと抱きしめてもらう絵本として西巻茅子さんの絵本を選びました。クリスマスのプレゼントには高価な玩具よりも、「だっこして」って子どもに求められたら、きちんと応えて、ぎゅーっと抱きしめてあげることが大事ですね。
 
 
絵本『さんかくサンタ』tupera tupara  絵本館 2011
さんかくサンタ
tupera tupera
絵本館
2011-10-25

最後の1冊は、季節に合わせてクリスマスの絵本を1冊選びました。
「さんさんさんかく さんかくサンタ まんまるふくろを せなかにしょって しかくいおうちに はいっていった」とても耳心地のよいことばと三角、丸、四角とわかりやすい造形の絵で子どもたちを引きつける絵本です。
 
(作成K・J)

おすすめ幼年童話7『ちびねこグルのぼうけん』アン・ピートリ


連載第7回は『ちびねこグルのぼうけん』(アン・ピートリ/作 古川博已・黒沢優子/訳 大社玲子/絵 福音館書店 2003)です。

 

 

 

主人公は、灰色の毛並みで、グルルル、グルルルとのどを鳴らすことから、グルと呼ばれるようになった子ねこです。しっぽが短くて、そして気までも短い主人公のグルは、お母さんや兄弟といっしょに納屋に住んでいましたが、ある日家族のもとから離れて、ドラッグストアを経営する人間のおじさんの家にもらわれて行きます。

最初は、話し相手も遊ぶ相手もいないグルでしたが、隣の家に住む男の子ピーターや、金色のステッキをもって毎朝散歩するおじいさんのスミスさんなどネコのことばがわかる人たちと友達になり、世界が広がり始めます。

グルにとっては、毎日の出来事が冒険そのもの。短気で怒りっぽいグルが起こす事件に、子どもたちは驚いたり、または応援したりしながら、お話の中にいつしか引き込まれていることでしょう。もといた納屋に連れ戻されちゃう? やんちゃなグルが巻き起こす冒険の展開に、ハラハラドキドキしながらも読み終わった後には、幸せな安心感で胸が満たされます。

作者のアン・ピートリは、アメリカの黒人作家です。1946年に黒人母子家庭の悲劇を描いた『街路』で、ホートン・ミフリン文学賞(*)を受けました。1949年に出版されたこの作品は、子ども向けに初めて書いたお話です。物語が何より好きな姪に読んでもらいたいと書いたそうです。

絵は『おはなしのろうそく』などの挿し絵で有名な大社玲子さん。優しいタッチの挿し絵が、幼い読み手の想像力をより豊かなものにしてくれます。やさしく、読みやすい文章なので、小学校低学年の子どもたちが楽しんで読める一冊です。

学校図書館で、表紙を見せてディスプレイしていたら、小学2年生の女の子が手に取ってくれて、すぐに借りていってくれました。表紙の絵の持つ魅力の大きさを感じた瞬間でもありました。愛らしいグルと一緒に、冒険の世界を楽しんでほしいと思います。

 (* アメリカの出版社が主催する文学賞)

(作成29年度児童部会部員H・Y)

 

第1回『おはようスーちゃん』→こちら
第2回『じゃんけんの好きな女の子』→こちら
第3回『こぶたのレーズン』→こちら
第4回『ちびっこタグボート』→こちら
第5回『スプーン王子のぼうけん』→こちら
第6回『プレゼントはお・ば・け』→こちら

 

小学校での読み聞かせ おすすめの本の紹介 10月(再掲)


昨年の投稿を再掲載いたします。
**********************************


10月31日はハロウィンです。町のいたるところでハロウィンの飾りを見かけるようになりました。

実はハロウィンは、もともとはケルト民族の秋の収穫を祝い、悪霊を追い出す宗教行事がキリスト教に取り入れられたものです。今では魔女やおばけに仮装した子どもたちが「Trick or Treat!」( 「お菓子をくれないといたずらするよ」)と唱えて、美味しいお菓子をたくさんもらえる楽しいお祭りになっています。

10月はハロウィンの時期におすすめの本を選んでみました。

<低学年>

『おばけのジョージー』 ロバート・ブライトさく  光吉夏弥やく  福音館書店 1978 6分

ホイッティカーさんの家に住むおばけのジョージーは、階段をみしりといわせたり、ドアをぎーといわせたりして、夜の時間を知らせていました。ところが、ホイッティカーさんが階段とドアを調整したために音がしなくなり、時間を知らせることができなくなってしまいます。ジョージーは、おばけが住むのによい他の家を探すことにするのですが…。かわいらしいおばけのお話で、子どもたちは親しみをもって聞いてくれます。

*関連本

おばけのジョージーシリーズ  ロバート・ブライト作/絵  なかがわちひろ訳  徳間書店

新・おばけのジョージーセット(全5巻)
ロバート・ブライト
徳間書店

おばけのジョージーが登場するお話が、全5巻のシリーズで出版されています。絵本ではありませんが、全ページに挿絵があり、やさしい文章で書かれていますので、そろそろ自分で読んでみたいという子にもおすすめです。『おばけのジョージーおおてがら』『おばけのジョージーともだちをたすける』『おばけのジョージーのハロウィーン』『おばけのジョージーてじなをする』『おばけのジョージーとさわがしいゆうれい』があります。

 

 <中学年>

『おばけリンゴ』 ヤーノシュさく やがわ・すみこやく  福音館書店 1969 8分

びんぼうな男の人ワルターは、リンゴの木を持っていましたが、1つも実をつけたことがありません。心から願い続けると、1つだけ花が咲き、実がなりました。取り入れどきになりましたが、ワルターは惜しくてそのままにして置きました。リンゴは日ましに大きくなっていくのですが・・・。奇妙な感覚が残る不思議なお話で、子どもたちはどうなるのか引き込まれて聞いてくれます。

<高学年>

 『地獄の使いをよぶ呪文 悪魔と魔女の13の話』  オイフリート・プロイスラー作 佐々木田鶴子訳 スズキコージ絵 小峰書店 2003 (プロイスラーの昔話)

有名な児童文学作家のプロイスラーが、ドイツやそのまわりの地域で語り伝えられてきた昔話から、おもしろいもの選んで、語り直した昔話集です。この本には、悪魔と魔女の話が13篇おさめられています。1篇1篇は短いので朗読にもむいています。第1話目「ここにサインを!」は、ゲーテも題材にしたドイツの魔術師ファウスト博士の話ですが、子どもたちに朗読したところ、ファウストと悪魔の駆け引きにこわばった顔をして聞いていました。3巻のシリーズになっていて、他に『魂をはこぶ船―幽霊の13の話』『真夜中の鐘がなるとき―宝さがしの13の話』があります。合わせて紹介すると、怖い話が読みたい!という子たちが手に取ってくれます。

<科学の本>

『ほね』 堀内誠一さく 福音館書店 1981 3分

ほね (かがくのとも絵本)
堀内 誠一
福音館書店
1981-02-02

骨のしくみと働きが、絵と文でわかりやすく紹介されています。骨がどんなふうになっているのか、ゆっくり確認しながら、読んであげてください。

 

 『ホネホネたんけんたい』 松田素子ぶん 大西成明しゃしん 西澤真樹子監修・解説 アリス館 2008 10分

ホネホネたんけんたい
松田 素子
アリス館
2008-02
ヘビ、カメ、リスなど子どもたちがよく知っている動物を中心に、30種類以上の動物の骨が紹介されています。ジャンプするウサギの後ろ足の骨は太かったり、、しのび足のキツネの骨は細かったりと、普段には目には見えない骨から、その動物の特徴がよくわかります。上記の『ほね』と合わせて紹介すると楽しいと思います。
 

 <気軽に読める本>

『しゃっくりがいこつ』 マージェリー・カイラー作 S.D.シンドラー絵 黒宮純子訳 セーラー出版 2004 2分

しゃっくりがいこつ
マージェリー カイラー
セーラー出版
2004-10

しゃくりがとまらないガイコツの話です。がいこつがハロウィーンのランタンをつくったり、落ち葉かきをしたりします。さて、どうやって、しゃっくりをとめたのでしょう?

 

(作成 T.I)

2017年8月、9月の新刊から


2017年8月、9月に出版された児童サービス向け出版物(絵本、児童書、ノンフィクション、YA向け、教育者・研究者向けなど)の中から、おすすめの本を紹介します。(一部7月出版の本もあり)

また、ここに紹介している本は、実際に手にして読み終えた中から選んでいます。すべての新刊本を購入して読むことはできませんが、教文館ナルニア国の新刊本コーナー、クレヨンハウス新刊本コーナー、横浜日吉にあるともだち書店などにある本から選書し、購入し、読んで記事にしています。


 (なお、画像はブログ用Amazonアフィリエイトを使用しています。書誌事項は奥付の出版年月日にしており、Amazon入荷日とちがって表示されることがあります。ご了承ください。)

*****************************

【絵本】

『うたのえほん 1ぽんでもにんじん』長野ヒデ子/構成・絵 のら書店 2017/7

前田利博/作詞、佐瀬寿一/作曲の童謡「いっぽんでもニンジン」が、長野ヒデ子さんの楽しい絵で絵本になりました。絵本を読みながら歌いたくなります。歌詞カードが付録で付いています。図書館で装備する時に、後ろ見返しに紛失しないように固定できるといいでしょう。

 

『マスターさんとどうぶつえん』アーノルド・ローベル/作 こみやゆう/訳 好学社 2017/8/26

マスターさんとどうぶつえん
アーノルド ローベル
好学社
2017-09-11

 岩波子どもの本どうぶつえんのピクニック(舟崎克彦/訳 岩波書店 1978)の前に描かれた絵本がこちらです。どうしてマスターさんがどうぶつえんの飼育係になったのか、『マスターさんとどうぶつえん』を読むとわかります。こんなにどうぶつたちに愛されるマスターさんは、子どもたちにも受け入れられることでしょう。2冊いっしょに展示してあげるといいですね。


『なきたろう』松野正子/作・絵 赤羽末吉/絵 復刊ドットコム 2017/8/24

なきたろう
松野 正子
復刊ドットコム
2017-08-30

 1974年に文研出版から出ていた絵本が復刊されました。松野正子さんの民話風の創作に赤羽末吉さんが絵をつけたものです。泣いて泣いて泣いて、なきたろうのその泣き声は村中に迷惑をかけてしまいます。そこで山へ修行に出かけることになるのです。なきたろうは、ある時ぐっと泣くのを我慢する出来事に出会います。それを乗り越えようと成長していく姿がとても頼もしいです。

 

『きみはライオン たのしいヨガのポーズ』ユ・テウン/作・絵 竹下文子/訳 偕成社 2017/9

きみは ライオン!
ユ・テウン
偕成社
2017-08-24

韓国出身でアメリカでイラストレーターとして確約するユ・テウンさんの新作です。子どもたちが金色の朝陽を浴びながら、庭に集まってきました。朝のヨガの時間です。「きちんとすわって りょうてをひざに おおきくくちをあけ したをだす!」、するとそれはライオンのポーズ。ほかにもちょうちょや、いぬ、へび、かえるなど様々な動物に変身です。「みんなおはよう きょうもいいひになりますように」朝の時間に読んであげたい1冊です。

『いっぽんのせんとマヌエル』マリア・ホセ・フェラーダ/作 パトリシオ・メナ/絵 星野由美/訳 偕成社 2017/9

いっぽんのせんとマヌエル
マリア・ホセ・フェラーダ
偕成社
2017-08-29

著者のマリアさんが、線の好きな自閉症の男の子と出会ったことで生まれた絵本です。自閉症の子どもたちは、世の中のことを認識するのに、それぞれの子どもたち特有のやり方があります。マヌエルくんは線が好きで、目に見えるものから線を探して、それで身の回りのことを認識しているのです。また、この絵本にはピクトグラム(絵文字)も付いています。障害のある子どもたちに読んであげるときに、子どもたちがおはなしを理解する助けになることでしょう。9月上旬には作者が来日し、トークショーも行われました。


『こどもってね・・・・・』ベアトリーチェ・アレマーニャ/作 みやがわえりこ/訳 きじとら出版 2017/9/25

こどもってね……
ベアトリーチェ・アレマーニャ
きじとら出版
2017-09-05

いたばし国際絵本翻訳大賞〈イタリア語部門〉受賞作品です。アレマーニャはイタリア・アンデルセン賞最優秀画家賞などを受賞しており、この作品は10か国以上で翻訳されています。この絵本に登場するひとりひとりの子どもたちの表情も豊かで素敵です。子ども時代は、おとなに見守られて子どもらしく生活できる保障がどの子にも平等に与えられるようにと願います。どんな国に生まれようとも、どんな家庭に生まれようとも、その子が成長する可能性は同じように大切です。子ども時代って、いつか終わってしまうけれど、子ども時代の輝きが未来への希望へとつながるからです。そんなことを想いながら読みました。

 

【児童書】

『メリーメリーへんしんする』ジョーン・G・ロビンソン/作・絵 小宮由/訳 岩波書店 2017/9/14

メリーメリー へんしんする
ジョーン・G.ロビンソン
岩波書店
2017-09-15
 
メリーメリーおとまりにでかける(2017/3刊)、メリーメリーのびっくりプレゼント(2017/6刊)に続く「メリーメリーシリーズ」全3冊が、これですべて揃いました。メリーメリーは5人兄姉の末っ子です。お兄ちゃん、お姉ちゃんたちはメリーメリーのことをまだ何もできない半人前だと思っていて、時には邪魔もの扱いをします。でもメリーメリーはそんなことにはめげません。そして周りがアッというようなことをやって、逆にお兄ちゃん、お姉ちゃんたちの鼻を明かすこともたびたびなのです。そんな楽しいエピソードのつまったお話が5つ、入っています。自分で読むなら小学校中学年くらい向けですが、これは小さな子どもたちに読んであげてほしいなと思います。
 

 『アイスクリームが溶けてしまう前に 家族のハロウィーンのための連作)』 小澤健二と日米恐怖学会 福音館書店 2017/0/10

 日本でもここ10年くらいの間に若い人たちの間で浸透してきたハロウィーンですが、アメリカでは家族ぐるみで楽しむもの。10月に入ると町のあちこちにジャック・オー・ランタンのためのおおきなカボチャの市がたったり、家をおどろおどろしく飾り立てたりします。この本の作者は昔話研究者の小澤俊夫さんの息子さんで、アメリカ在住のミュージシャンオザケンです。もともとはケルト民族のお祭りが、アメリカで今のような形になっていた理由や、アメリカにいる家族がどんな風に楽しんでいるか、子どもたちにわかりやすく、面白く伝えてくれています。なぜハロウィーンなのに題名が『アイスクリームが溶けてしまう前に』となっているのも気になりますね。その意味がわかると、余計に親子で楽しむハロウィーンが魅力的にみえてきます。ぜひ多くの人に読んでほしい1冊です。こちらのサイトもぜひどうぞ→福音館書店「アイスクリームが溶けてしまう前に」特設サイト

 

 
【詩歌】

 『ポケットのはらうた』工藤直子/詩 保手浜孝/画 2017/5/5

ポケットのはらうた
くどうなおこ
童話屋
2017-05-26

 今年5月に出版されていたのに見落としていました。現在教文館ナルニア国ナルニアホールにて”のはらうた”完結記念 わーいはなまるにじゅうまる「ポケットのはらうた原画展が開催されています。(2017/9/1~10/17)『のはらうた1』が出版されて今年で33年。多くの人が子ども時代に親しんだ詩がたくさんあるでしょう。「のはらうた」シリーズの最終巻になる『ポケットのはらうた』は、これまでの作品の350篇の中から選りすぐりの26篇を保手浜さんの版画/画と共にまとめたものです。永久保存版として手元に置いておきたい1冊です。

 【研究書】 

 『ヨーロッパの昔話ーその形と本質』マックス・リュティ/著 小澤俊夫/訳 岩波文庫 岩波書店 2017/8/18

ヨーロッパの昔話――その形と本質 (岩波文庫)
マックス・リュティ
岩波書店
2017-08-19

昔話を学術的に研究し、学問体系にしたマックス・リュティの『ヨーロッパの昔話』が岩波文庫として再版されました。これまで昔話について学ぼうとすると図書館の閉架書庫から1969年に岩崎美術社から出版された『ヨーロッパの昔話ーその形式と本質』(小澤訳)を借りて紐解くしかありませんでした。この度文庫化するにあたり翻訳者の小澤俊夫さんが、読みやすさに考慮して改行を加えたりと手を入れています。昔話について学ぶ人は、一度は読んでおくとよい本です。小澤さんはドイツ語を学ぶ中でグリム童話に魅せられメルヒェン(昔話)の研究を始められます。その研究の中で出会ったのが昔話の口承文芸論をまとめたリュティでした。出会った当時、リュティは高校の国語教師だったそうですが、その研究の功績が認められて、その後チューリヒ大学の民俗学の教授になったということも小澤さんが語っています。(→こちら 小澤俊夫昔話へのご招待ポッドキャスト=提供絵本の店あっぷっぷ)小澤さんの「昔ばなし大学」のサイトは→こちら
 

【その他】

『森のノート』酒井駒子/作 筑摩書房 2017/9/10

森のノート (単行本)
酒井 駒子
筑摩書房
2017-09-04
 
 東京と森の中にある家を行ったり来たりしているという絵本作家、酒井駒子さんの画文集です。森の中で過ごす日々で見つけた小さな発見を、それはたとえば高原に立ち込める霧だったり、森に響くキツツキの木をつつく音だったりするのですが、見開きページに400字弱の短い文章で綴り、その小文にひとつづつ子どもや小動物の絵が並べられています。その静かな、それでいて確かな森の息遣いを感じる文章と、静謐でいて温かさを感じる絵は、忙しく時間に追われている日々に差し出されるご褒美のように受け取りました。(担当編集者のことば→こちら「ほんのひきだし
 

『はじまりは愛着から 人を信じ、自分を信じる子どもに』佐々木正美 福音館書店  2017/9/10

はじまりは愛着から 人を信じ、自分を信じる子どもに (福音館の単行本)
佐々木 正美
福音館書店
2017-09-06
 
 雑誌「暮しの手帖」2010年2・3月号から2015年6・7月号に連載された児童精神科医佐々木正美さんの「母子の手帖」の原稿をあらたに編集しなおして1冊にまとめたものです。今年の6月に亡くなられた佐々木正美さんの遺作となりました。「あとがき」には「世の中のすべての子どもたちが、お母さん、お父さん、そして周囲の人々から愛され、人間関係に恵まれた人生を送れるよう、願ってやみません。」と記されています。(2017年4月吉日と日付があります)子どもたちが健全に育っていくために必要なこと、それは愛されているという実感なのだと、佐々木さんは一貫しておっしゃってきました。その一方で子育てにあたる親たちは、たくさんの情報があふれる中でさまざまなプレッシャーを感じていて、単純に我が子をそのまま受け入れて愛するということが難しくなっている現実があります。この本では、そんな親たちにも「大丈夫だよ」と救いの手を差しのべてくださっているように感じます。これから子育てをする若い人にも、子育てで苦労したと思う人にも、寄り添ってくれる1冊です。
 
(作成K・J)
 

「お話(素話)から学ぶ第3回」報告


平成29年9月15日に開催された児童部会で「お話(素話)から学ぶ 第3回」を行ないました。

東京子ども図書館刊のレクチャーブックス・おはなし会入門1『お話とは』(松岡享子/著 2009)をテキストにして、まずお話の意義について学んでいます。

すでに各図書館で語りを実践している部員もいますが、大半の部員はこれからお話を覚えて、部会の中で語る体験をし、子どもたちの前で語れるようにスキルアップしていきます。

IMG_8125

 

 

第2回の学びを報告書にまとめました。詳細はそちらをご覧ください。


第3回児童部報告書

(報告書作成S区N図書館 M・Y)

29年度第3回児童部会


9月15日(金)に平成29年度第3回児童部会を開催しました。19名が出席しました。(部員17名、事務局2名)

「お話(素話)を学ぶ」時間では、東京子ども図書館レクチャーブックス・お話入門1『お話とは』の第3章「お話のよさ」の後半58ページから76ページまでと、第4章「図書館でのお話」77ページから89ページを、各グループにわかれて精読していきました。

その上でここに書かれていることについて、その意味を話し合いつつ、それぞれ感想を述べ合いました。IMG_8115

学んだ内容は、別途報告書をUPしします。

 

 

IMG_8119また、E区の図書館スタッフが一番好きなお話として、「おいしいおかゆ」(東京子ども図書館『愛蔵版おはなしのろうそく1エパミナンダス』より)を、事務局のJが、東南アジア在住の頃より十八番にしている「なまくらトック」(東京子ども図書館『愛蔵版おはなしのろうそく2なまくらトック』より)を語りました。お話を聞いている部員が、ぐいぐいとお話の世界の中に引き込まれていく様子を語り手として感じることが出来ました。

 

 

 

情報共有の時間には、3名が夏休みに子どもたちに好評だった図書館の取組について発表しました。

・「読書チャレンジ2017 夏休みスタンプラリー」(杉並区立方南図書館)

・「スタンプラリー たべものスタンプを集めよう!」(所沢市立図書館吾妻分館)

・「アートバルーン工作会」(文京区立図書館本郷図書館)

 

(作成K・J)

2017年(その2)木枯らし吹いて(幼児~小学生)


色付いた木々の葉を振るい落としてしまう木枯らしが吹くと、いよいよ季節は晩秋から冬へと移っていくんだなあと感じます。大きい子向けのおはなし会はそのような季節に想いを馳せながら作りました。

なお、「本のこまど」に掲載しているわらべうたは、作成者が子ども時代から歌ってきたわらべうたを採譜しています。市販のわらべうたの楽譜と音程が違う場合があります。ご了承ください。

*****************************
【木枯らし吹いて】

導入 詩「てぶくろとぽけっと」『木いちごつみ―子どものための詩と絵の本』(岸田衿子/詩 山脇百合子/絵 福音館書店 1983)より 2分

木いちごつみ (日本傑作絵本シリーズ)
きしだ えりこ
福音館書店
1983-10-20

 

「くまのこどもにゃ てぶくろがない・・・」「りすのこどもにゃ ぽけっとがない・・・」子どもらしい視点の短い詩です。一度読んであげて、二度目は1行ずつ、子どもたちにも復唱してもらいましょう。

 

素話「マーシャとくま」『ロシアの昔話』(内田莉莎子/訳 福音館書店 2002)より 9分

ロシアの昔話 (福音館文庫 昔話)
福音館書店
2002-06-20
 
かしこいマーシャと、とぼけたくまの様子が面白く、子どもたちもよく聞いてくれるお話です。素話で語ってあげたあと、絵本(エウゲーニー・M・ラチョフ/画 内田莉莎子/訳 福音館書店 1963)の紹介もしてあげましょう。
 
 
 
マーシャとくま (世界傑作絵本シリーズ)
M・ブラトフ
福音館書店
1963-05-01
 
 
 
 
 
絵本『かぜのおまつり』いぬいとみこ/作 梶山俊夫/絵 福音館書店 1972 8分

 

ふうこは、ほいくえんの帰り道、バス停かたはひとりで家まで峠道を歩きます。秋もふかまり、道端にはあけびやきのこ、やまぶどうが生っています。ふうこが取ろうとすると「どうか ふうこちゃん とらないで こがらしこぞうの ひゅうすけが、かぜのおまつりにくるまでは」、「きたかぜこぞうの さぶろうが 、かぜのおまつりにくるまでは」などと木の実たちは頼んできます。「かぜのおまつり」って、いったい何なのでしょう。後半で絵のないページが見開き2枚分、続きます。さっとめくってしまわないで、ゆっくりと絵を子どもたちと味わってみましょう。

 

わらべうた おてぶしてぶし

おてぶしてぶし

手の中にちいさなどんぐりを一つ入れて、両手のひらを合わせて、左右に揺らしながら歌います。

 

最後に、左右どちらかの手に握って、両手を前に出します。どちらの手にどんぐりが隠れているかを、子どもたちに当ててもらう遊びです。当たれば「おおあたり」と歌ってあげましょう。

 

 

 

 

 

 

ブックトーク『落ち葉』平山和子/文・絵 平山英三/構成・写真 福音館書店 2005 5分

落ち葉 (福音館の単行本)
平山 和子
福音館書店
2005-09-25

作者のお二人が住む長野県黒姫山のふもとの秋の落ち葉をじっくり観察して、水彩絵の具で仕上げた科学絵本です。原寸大に描かれた落ち葉の繊細で美しいこと、どれひとつ同じものはない見事な落ち葉の様子を、ページをめくりながら、子どもたちと一緒に味わってほしいと思います。

 

わらべうた さよならあんころもち

(作成K・J)

 

トップページに戻る