おすすめ幼年童話1『おはようスーちゃん』ジョーン・G・ロビンソン 


 

ヴィアックスには児童部会という部会活動があります。(詳しくはこちらを見てください。→児童部会のページほんのふくろう-9

児童部会では27年度、28年度の2年間「基本図書から学ぶ」をメインのテーマにして活動をしてきました。それは、毎年2000点を超える児童向け出版物の中から、子どもたちに自信をもって手渡していく本を選ぶ力を身につけていくための実践的な学びでした。

1年目の27年度は絵本の読み比べを通して、長く読み継がれてきた作品がどのように子どもたちに受け入れられてきたのか、文章と絵、またそれらが補完し合うことで生まれる相乗効果などについて学び、作品を評価する視点を養ってきました。28年度は絵本から読み物へ移行する時期の幼年期に出会ってほしい本とはどのようなものであるかについて、基本図書を読み込むことを通して学びました。加えて本の特徴や 本質を捉えてレビュースリップを作成し、それをもとに紹介文を書くことも課題として取り組みました。

そして1年間の学びのまとめとして、2002年以降に出版された幼年児童文学のうち、東京子ども図書館の「こどもとしょかん」で選定されている166作品の中から、絵本から読み物へ移行する時期の子どもたちに相応しく、これからも長く読み継がれていくであろう作品を部員たちが1冊ずつ選びました。

今年度は、部員たちが交代でおすすめの幼年童話を紹介していきます。どうぞお楽しみに!
(第1回目は、このサイトの管理人K・Jですが、第2回から交代での執筆になります。)

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連載の第1回目を飾るのは、『おはようスーちゃん』(ジョーン・G・ロビンソン/作・絵 中川李枝子/訳 アリス館 2007)です。

おはようスーちゃん
ジョーン・G. ロビンソン
アリス館
2007-09

 

 

 スーちゃんはとても好奇心旺盛な小さな女の子です。ちいさなおうちにパパとママと一緒に住んでいます。

 ある時、ままごとでお人形のセモリナのお誕生日パーティーをしようと、スーちゃんは庭の植木鉢を逆さまにしてケーキにし、その上ママが大切にしている食器や銀のナイフを勝手に使ってママを驚かせます。スーちゃんに悪気がないことを理解したパパとママは、頭ごなしに叱ったりはせずにスーちゃんのために砂場を作り、ままごとの食器を用意してあげました。(「1スーちゃんの砂場」)

 パパやママだけでなく、スーちゃんを取り巻くほかの大人たちも、子どもらしい発想で行動をするスーちゃんを、優しい眼差しで温かく見守っています。そんな中でのびのびと生活をするスーちゃんの姿に、読み手の子どもたちにも安堵感を与えることでしょう。

 この本には、無邪気で可愛らしいスーちゃんの日常を描いたお話が9つ入っています。

 ジョーン・G・ロビンソンはイギリス児童文学作家で、『テディ・ロビンソン』シリーズ(福音館書店)や『思い出のマーニー』(岩波書店)などの作品があり、子どもたちに長く親しまれています。翻訳は『ぐりとぐら』の中川李枝子さんです。

 この本はイギリスで1953年に出版されました。60年以上前の作品です。けれども、3、4歳頃の子どもの特性は昔と今とでも、さほど変わっていないことがわかります。今、読んでも「あるある、こういうこと」と思える子どもの姿です。ただ、今は情報が多すぎて子育て中の親はスーちゃんのパパやママのようにおおらかに見守ることが難しくなっているかもしれません。だからこそ、スーちゃんと同年代の子にはぜひ読んであげてほしいと思います。一人で読める子どもたちには、温かなユーモアを感じながら、幼いスーちゃんの様子を楽しんで読むことができると思います。 

(作成児童部会事務局K・J)