おすすめ幼年童話6『プレゼントはお・ば・け』西内ミナミ


連載第5回は『プレゼントはお・ば・け』(西内ミナミ/作 西川おさむ/絵 フレーベル館 2010 新装版)です。

プレゼントはお・ば・け
西内 ミナミ
フレーベル館
2010-08-01

 

 

タイトルを見ると「えっ。なんだ?」と気になってしまうこの本。好奇心旺盛な子は、「おばけがプレゼントなんてほんと? 見てみたい!」、怖がりな子は、「こわいよ!そんなプレゼント欲しくない。」と思うかもしれません。どちらにせよ、思わず手に取って読みたくなってしまいます。

リュウはもうすぐ7歳。ひとりっ子の弱虫な男の子です。口では、すごく勇ましいことを言いますが、サッカーのボールが飛んでくると、思わず目をつぶってしまうし、夜に1人でトイレに行くこともできません。でも、「おばけだってこわくないもん。」と強がりばかり言っています。しまいには「ぼくはへいきだよ。ねえ、おかあさん、ためしにおばけをうちにつれてきてごらん。」と言い放つのです。おかあさんはにやっと笑って、リュウの誕生日に、おばけをプレゼントに連れてくると言いました。本当は、おばけがこわくてしかたないリュウは、気が気ではありません。

誕生日当日、お母さんはリュウがこわくないと言ったオバケたちを、工夫をこらして用意しました。ひとつ目こぞうのおばけは、ぬい針といったぐあいです。お父さんも最後にとっておきのおばけをつれてきてくれますが、こちらもユーモアたっぷりです。

強がりを言ってしまう息子を、楽しく愛情豊かに優しく見守る両親の姿は読んでいて安心します。怖いものにドキドキしながらも向き合おうとするリュウに幼い読者たちは、自分を重ね一体感を感じるでしょう。大人も、読むと思わずにっこりしてしまいます。「うちの子は弱虫で心配だ」なんていうお父さんとお母さんも、このお話を読むと、こんな返し方もあったのね!と楽しくなります。

親子で一緒に読んでほしい作品ですが、文章はやさしく、文字も大きく、ページ毎に挿絵があるので1人で本を読み始めた子どもにも、ぴったりの物語です。 

作者の西内ミナミさんは、広告会社にコピーライターとして勤務後、児童文学の創作に専念され地域で子どもの読書推進運動にも関わっていらっしゃいます。絵本『ぐるんぱのようちえん』(福音館書店)など多くの作品が子どもたちに親しまれています。 

(作成M・G)