おすすめ幼年童話7『ちびねこグルのぼうけん』アン・ピートリ


連載第7回は『ちびねこグルのぼうけん』(アン・ピートリ/作 古川博已・黒沢優子/訳 大社玲子/絵 福音館書店 2003)です。

 

 

 

主人公は、灰色の毛並みで、グルルル、グルルルとのどを鳴らすことから、グルと呼ばれるようになった子ねこです。しっぽが短くて、そして気までも短い主人公のグルは、お母さんや兄弟といっしょに納屋に住んでいましたが、ある日家族のもとから離れて、ドラッグストアを経営する人間のおじさんの家にもらわれて行きます。

最初は、話し相手も遊ぶ相手もいないグルでしたが、隣の家に住む男の子ピーターや、金色のステッキをもって毎朝散歩するおじいさんのスミスさんなどネコのことばがわかる人たちと友達になり、世界が広がり始めます。

グルにとっては、毎日の出来事が冒険そのもの。短気で怒りっぽいグルが起こす事件に、子どもたちは驚いたり、または応援したりしながら、お話の中にいつしか引き込まれていることでしょう。もといた納屋に連れ戻されちゃう? やんちゃなグルが巻き起こす冒険の展開に、ハラハラドキドキしながらも読み終わった後には、幸せな安心感で胸が満たされます。

作者のアン・ピートリは、アメリカの黒人作家です。1946年に黒人母子家庭の悲劇を描いた『街路』で、ホートン・ミフリン文学賞(*)を受けました。1949年に出版されたこの作品は、子ども向けに初めて書いたお話です。物語が何より好きな姪に読んでもらいたいと書いたそうです。

絵は『おはなしのろうそく』などの挿し絵で有名な大社玲子さん。優しいタッチの挿し絵が、幼い読み手の想像力をより豊かなものにしてくれます。やさしく、読みやすい文章なので、小学校低学年の子どもたちが楽しんで読める一冊です。

学校図書館で、表紙を見せてディスプレイしていたら、小学2年生の女の子が手に取ってくれて、すぐに借りていってくれました。表紙の絵の持つ魅力の大きさを感じた瞬間でもありました。愛らしいグルと一緒に、冒険の世界を楽しんでほしいと思います。

 (* アメリカの出版社が主催する文学賞)

(作成29年度児童部会部員H・Y)

 

第1回『おはようスーちゃん』→こちら
第2回『じゃんけんの好きな女の子』→こちら
第3回『こぶたのレーズン』→こちら
第4回『ちびっこタグボート』→こちら
第5回『スプーン王子のぼうけん』→こちら
第6回『プレゼントはお・ば・け』→こちら