おすすめ幼年童話8『宇宙からきたかんづめ』佐藤さとる


連載第8回は『宇宙からきたかんづめ』(佐藤さとる/作 岡本順/絵 ゴブリン書房 2011)です。

宇宙からきたかんづめ
佐藤 さとる
ゴブリン書房
2011-11

 

 

 

物語は、ぼくがスーパーマーケットで不思議なかんづめと出会うシーンからはじまります。いちごのジャムを買ってくるようにとたのまれて行ったのに、ぼくが手にしたのは、なんと、おしゃべりをする宇宙から来たかんづめだったのです!

 お金を払って、不思議なかんづめを家に持ち帰り、缶切りのついたナイフで空けてみようとしたそのとき、「やめろ!」頭の中に声が響きました。「いったいだれなんだ」と問うと、かんづめはしばらくだまっていましたが、「宇宙のはてからきたんだ。地球がどういう星か、調べているだけだ」と答えてくれました。

そこから、遠い宇宙からきた不思議なかんづめとぼくとの生活がはじまります。

 ぼくは、「タイムマシンは、本当にできるものですか?」「宇宙のはしへいったら、どうなりますか?」など、不思議に思ったことをかんづめに聞くと、そのたびに面白い話を聞かせてくれるのです。そんなかんづめが語る話が5話、収録されています。(①タイムマシンは川に落ちた、②タツオの戸だな、③いなくなったどろぼう、④おしゃべりなカビ、⑤とんがりぼうしの高い塔)

 かんづめに聞いた話③「いなくなったどろぼう」の中に、光を当てると物が小さくなる懐中電灯が登場します。あれ?どこかで見たことがあると思ったら、ドラえもんに出てくるスモールライトそっくりです。実はこの作品が最初に出版されたのは1967年で、「ドラえもん」が小学館の学習雑誌に連載されるようになったのは1969年なので、ドラえもんより先なのです。出版されてから半世紀、おもしろいお話は、何年たっても色褪せることはありませんね。ファンタジー文学の第一人者「コロボックルシリーズ」の佐藤さとるが描く少し不思議なSFストーリーです。漢字にはふりがなもふってあり、お話の展開にスピード感があるので、小学校低学年の子どもたちから読むことができるでしょう。

 (作成29年度児童部会部員 M・N)

 

第1回『おはようスーちゃん』→こちら
第2回『じゃんけんの好きな女の子』→こちら
第3回『こぶたのレーズン』→こちら
第4回『ちびっこタグボート』→こちら
第5回『スプーン王子のぼうけん』→こちら
第6回『プレゼントはお・ば・け』→こちら
7回『ちびねこグルのぼうけん』→こちら