おすすめ幼年童話9『ごきげんいかが がちょうおくさん』ミリアム・クラーク・ポター


連載第9回は、『ごきげんいかが がちょうおくさん』(ミリアム・クラーク・ポター/作 松岡享子/訳 こうもとさちこ/絵 福音館書店 2004)です。


ごきげんいかが がちょうおくさん (世界傑作童話シリーズ)

ミリアム・クラーク ポター
福音館書店
2004-06-30

どうぶつ村に住むがちょうおくさんは、とてもそそっかしく失敗ばかりしています。

どんな失敗かというと、たとえば自転車旅行の計画をたてた時も、はいていくスラックスばかり心配して、肝心の自転車の手配を忘れたのを出発の瞬間に気づいてしまうとか、朝に玉ねぎの種をまいたら、昼には芽が出ないと騒いで、種の目を覚まさせようと畑に向かって鐘を鳴らして大騒ぎをしてしまったり。そんなドタバタやっているがちょうおくさんと、あきれながらも仲良く付き合っているぶたさん、りすおくさんなどとのやり取りが、ユーモラスです。どうぶつ村の住人はだれもが個性的で、とても人間臭いのです。

たとえば、ふくろうの老婦人は賢いけれど少し遊び心が足りません。屋根の上で食事をしているがちょうおくさんから一緒に食べようと誘われる場面があります。彼女は屋根の上でものを食べる必要があるのかと問いただし、十分な理由がないなら登らないと言います。

利発なりすおくさんも、がちょうおくさんの思いつきを聞かされたときなどは、内心では何か失敗するはずと思います。それでも口には出しません。そしてがちょうおくさんの行動に冷静なツッコミをしたりします。こんなやりとりは私たちの普段の人間関係を思い起こしてニヤリとしてしまいます。おとなが読んでも、とても面白い作品です。

短い6つの物語で構成されていて小学校の低学年から読むことができます。こうもとさちこさんの描く挿絵もやわらかく朗らかで、ほのぼのとした雰囲気を醸し出しています。

6つめの物語「クリスマスまであけないで」は、がちょうおくさんが村のみんなのためにクリスマスを用意するお話です。ここでもがちょうおくさんはやらかしてくれますよ。そんながちょうおくさんを囲んで村中のみんなが楽しそうにクリスマスをお祝いしているシーンが、最後の見開きページに描かれています。冬休みの読書におすすめしてもいいですね。

続編に『おっとあぶない がちょうおくさん』(2004)があります。

(作成 29年度児童部会部員M・Y)