Yearly Archives: 2017

2017年2月、3月の新刊から
2017年5月(その2)いってきます!(幼児~小学生向け)
「第6回児童部会(2017.3.17)」
2017年5月(その1)だっこして(小さい子)
5月のおはなし会☆おすすめ本リスト
『きゅうきゅうばこ』の新版が出ました。
基本図書を読む35『西遊記』呉承恩
訃報 まついのりこさん
小学校での読み聞かせ おすすめの本の紹介3月
訃報 ディック・ブルーナ氏
おはなし会のいろは(その6)おはなし会終了後も大事です(フォローと記録)
訃報 佐藤さとるさん
「子どもの本の日フェスティバル2017」のお知らせ
2017年4月(その2)とんでいこう(幼児~小学生)
2017年4月(その1)あったかくていいきもち(小さい子)

2017年2月、3月の新刊から


 

2017年2月、3月に出版された児童サービス向け出版物(絵本、児童書、ノンフィクション、YA向け、教育者・研究者向けなど)の中から、おすすめの本を紹介します。(一部2017年1月下旬発行のものあり)

また、ここに紹介している本は、実際に手にして読み終えた中から選んでいます。すべての新刊本を購入して読むことはできませんが、教文館ナルニア国の新刊本コーナー、クレヨンハウス新刊本コーナーなどにある本から選書し、購入し、読んで記事にしています。

 (なお、画像はブログ用Amazonアフィリエイトを使用しています。書誌事項は奥付の出版年月日にしており、Amazon入荷日とちがって表示されることがあります。ご了承ください。)

 **********************************

【絵本】

『あめ』イブ・スパング・オルセン/作 ひだにれいこ/訳 亜紀書房 2017/2/13

あめ
イブ・スパング・オルセン
亜紀書房
2017-01-26
 
 
 シャルロッテという少女、雨音で窓を開けてみると、雨つぶの精バラバラとボトボトと出会います。バラバラから聞いたぼうけん話は、そのまま水の循環や、天気のことについて理解を促します。自分で読むなら小学生以上ですが、読んであげるなら幼児でも興味をもつでしょう。『つきのぼうや』(やまのうちきよこ/訳 福音館書店 1975)などで有名な国際アンデルセン賞作家オルセンの1963年の作品です。昨年11月に同じく亜紀書房から『かぜ』が出版されています。

 

『よるのこどものあかるいゆめ』谷川俊太郎/詩 むらいさち/写真 マイクロマガジン社 2017/2/15

よるのこどものあかるいゆめ
谷川 俊太郎
マイクロマガジン社
2017-02-03
 
 子どもを寝かしつけるための催眠療法をそのまま絵本にして爆発的に売れた絵本が昨年ありました。あれは催眠術の手法なので眠くなるのは当たり前なのですが、絵本としてどうかなと考えさせられました。世の中、子どもも寝かしつける親もストレスフルなのでしょうか。「ねるまえに読む本」というコンセプトで出版が相次いでいます。こちらはそんな流行に乗っているようでもありますが、谷川俊太郎さんの詩が、凝り固まった心を解きほぐしてくれて、読んでいくうちに安らかな気持ちになっていきます。海の中を撮影した写真も水にたゆとうように気持ちよくなっていく、そんな絵本です。
 
 
『ぼくの草のなまえ』長尾玲子/作 福音館書店 2017/2/10
 
ぼくの草のなまえ (福音館の科学シリーズ)
長尾 玲子
福音館書店
2017-02-08
 
 太郎くんが丹精込めて育てたチューリップのプランターの中に、小さな白い花をつけた雑草をみつけます。雑草だからと抜いたりせずに「かわいい花だな」と思った太郎くんは、植物に詳しいおじいちゃんに電話をして聞きます。花の色だけでなく、茎の様子、葉の形や手ざわり、つき方を順番に聞いていくおじいちゃん。その雑草がハコベであることがわかりました。名前がわかれば、抜かれる運命の雑草としてではなく、固有の植物として愛着もわきますね。デンマークで刺繡を学んできた作者の、緻密で丁寧な刺繡による絵が、植物の特徴をよく捉えていて素敵です。同じ作者の『ざっそうの名前』(福音館書店 2013)もおすすめです。
 

 『みどりの町をつくろう 災害をのりこえて未来をめざす』アラン・ドラモンド/作 まつむらゆりこ/訳 福音館書店 2017/2/10

みどりの町をつくろう 災害をのりこえて未来をめざす (福音館の科学シリーズ)
アラン・ドラモンド
福音館書店
2017-02-08
 
2007年5月にアメリカはカンザス州グリーンズバーグを巨大な竜巻が襲いました。日本国内でもニュースに取り上げられましたから記憶にある方もいらっしゃるでしょう。人口1400人の集落の9割の建物が全壊し、死者も11名でた大きな災害でした。この絵本は何もかも失ったグリーンズバーグの人たちが失意の中から立ち上がり、自然環境に優しい緑の町づくりに取り組む過程を子どもたちにもわかりやすい絵と文章でつづった絵本です。アラン・ドラモンドはイギリス在住の絵本作家ですが、『風の島へようこそ―くりかえしつかえるエネルギー』(まつむらゆりこ/訳 福音館書店 2012)で、グリーンアース文学賞を得ています。夏休みの自由研究のきっかけにもなる作品です。
 
 
『ぼくのあかいボール』イブ・スパング・オルセン/作 ひしきあきらこ/訳 BL出版 2017/2/20 
ぼくのあかいボール
イブ・スパング・オルセン
ビーエル出版
2017-02-20

こちらも、デンマークの絵本作家オルセンの1983年の作品です。いつも遊んでいるお気に入りのぼくのあかいボールが、ある時ころころころがって、バスの中へ。運転手におこられたボールは、どんどんどんどん逃げていき公園の中へ。さて、ボールはもどってくるのでしょうか。今年は日本とデンマークの国交樹立から150周年の年、練馬区下石神井にあるちひろ美術館・東京では3月1日からデンマークの心 イブ・スパング・オルセンの絵本」を開催中です。(5月14日まで)そちらで、この絵本の原画を見ることもできます。機会があれば原画にも触れてみてください。
 

 
『くまさん』まど・みちお/詩 ましませつこ/絵 こぐま社 2017/2/25
 
くまさん
まど みちお
こぐま社
2017-02-17
 
「はるがきて めがさめて くまさん ぼんやり かんがえた」で始まるまど・みちおさんの詩が絵本になりました。寝ぼけたくまさん、水に映った自分の顔をみて、自分がくまだったことを思い出します。小学2年生の国語の教科書 (三省堂)にも掲載されており、音読の宿題で声に出して読んでいたのを思い出します。ましませつこさんの優しいタッチの絵が、長い冬眠から覚めて春の訪れを喜んでいるくまの気持ちを上手に表現しています。耳に心地よいリズムの詩です。小さな子どもたちにも読んであげるとよいでしょう。

 

『どのはな いちばん すきな はな?』(0.1.2えほん)いしげまりこ/文 わきさかかつじ/絵 福音館書店 2017/3/5

どのはな いちばん すきな はな? (0.1.2.えほん)
いしげ まりこ
福音館書店
2017-03-01
 
 福音館書店の月刊誌「こどものとも0.1.2」から2冊、ハードカバーになりました。1冊めは2012年3月号の『どのはな いちばん すきな はな?』です。見開き画面にぱあっと広がる原色の美しい花。春らしい明るい気持ちになります。デフォルメされた絵ですが、なんの花かわかります。小さな子どもたちに、美しい花に目を向けてもらうきっかけになる1冊です。
 
 

『ひよこさん』(0.1.2えほん)征矢清./作 林明子/絵 福音館書店 2017/3/5

ひよこさん (0.1.2.えほん)
征矢 清
福音館書店
2017-03-01
 
2冊目は 2013年3月号の征矢清・林明子夫妻による『ひよこさん』です。ひとりでおでかけひよこさん、暗くなって動けなくなりました。でも大丈夫。目を覚ますとおかあさんがそばにいてくれました。小さな子どもたちに安心感を与えてくれるお話です。 
 
 

 『生きる』谷川俊太郎/詩 岡本よしろう/絵 2017/3/5

生きる (日本傑作絵本シリーズ)
谷川 俊太郎
福音館書店
2017-03-01
 
 月刊たくさんのふしぎ2013年9月号として出版された谷川俊太郎の詩「生きる」の絵本が、この度ハードカバーになりました。月刊誌の別刷付録「ふしぎ新聞」に、谷川俊太郎が「〈いま〉は物理的に一瞬でありながら、心理的には一瞬にとどまらないひろがりをもっています。(中略)〈いま〉を止めることは誰にも出来ませんが、〈いま〉を意識することが、逆に流れ止まない時間を意識することにつながることがある。」と、この詩の背景にある思いをつづっています。イラストレーターの岡本よしろうが描く何気ない家族の夏の一日が、そうした日常にこそ「生きる」実感があることを伝えてくれています。手渡すなら小学生中学年くらいから。
 

 『いのちのひろがり』中村桂子/文 松岡達英/絵 福音館書店 2017/3/5

いのちのひろがり (たくさんのふしぎ傑作集)
中村 桂子
福音館書店
2017-03-01

 こちらも月刊たくさんのふしぎ2015年4月号がハードカバーになりました。JT生命誌研究館館長、中村桂子氏が生命誌の考え方から地球上に生命が発生してからの38億年の歴史を、子どもたちにもわかりやすく説明してくれています。庭にいるアリも、魚も、草も木も人間も、地球上にいるすべての生命は38億年前に発生したひとつの細胞から始まっているという発見は、驚きとともに子どもたちに生命あることの感動を伝えることができると思います。自然科学絵本を得意とする松岡達英の絵も、子どもたちには親しみやすいでしょう。

 

 『だいち』谷川俊太郎/詩 山口マオ/絵 岩崎書店 2017/3/20

詩の絵本 教科書にでてくる詩人たち (5) だいち (詩の絵本―教科書にでてくる詩人たち)
谷川 俊太郎
岩崎書店
2017-03-08
 
 今回紹介する新刊本の中で3冊目の谷川俊太郎作品です。教科書に出てくる詩人たちの作品を絵本として出版しているシリーズの5作目です。この詩の初出は、詩集『いち』(佐野洋子/絵 国土社 1989)でした。「だいちのうえに くさがはえ/ だいちのうえに
 はながさき / だいちのうえに きはしげり / だいちのうえに あめはふる(後略)」と、大地の上で営まれる人々の暮らしを描く詩を、山口マオの力強い版画が際立たせます。読んであげることで、幼稚園の子どもたちにもこの詩の世界が理解できることでしょう。
 

 
『ドームがたり』アーサー・ビナード/作 スズキコージ/画 玉川大学出版部  2017/3/20

ドームがたり (未来への記憶)
アーサー・ビナード
玉川大学出版部
2017-03-11
 
 原爆ドームが主人公のこの絵本は、読む者にさまざまな思いを引き出してくれます。まずはまっさらな気持ちでこの絵本に向き合ってみるとよいでしょう。アメリカで生まれ育ったアーサー・ビナードは、来日するまで「原爆は必要だった」という歴史教科書の記述を疑いもしなかったそうです。しかし、29歳で初めて広島の原爆ドームの前に立った時、ほんとうにそうなのだろうかを疑問を持ちます。その思いを胸に書かれた作品です。スズキコージの絵もまた私たちに何かを訴えかけてくれます。先日、皇太子ご息女愛子さまが中学を卒業するのを機に公表された作文も原爆ドームを訪れた時の強烈な印象が素直に書かれていました。その作文を思い出しながら、ぜひこの絵本も読んでほしいと思います。
 

 【児童書】

サンタクロースのはるやすみ』ロジャー・デュボアザン/文・絵 小宮由/訳 大日本図書  2017/2/20

ロジャー デュボアザン
大日本図書
2017-02-22

 クリスマスにしか町へいかないサンタクロースは、春の訪れに誘われて町へ出かけていきます。変装して出かけたのに、立派なひげと赤い鼻をみて、サンタクロースからそれらを盗んだと疑われてしまいます。本物のサンタクロースだと、町の人たちにわかってもらうためにどうしたと思います?サンタクロースがイースターの町にいるなんて、素敵ですね。原題は「EASTER TREAT」です。『しろいゆきあかるいゆき』でコルでコット賞を受賞したロジャー・デュボアザンの作品で、翻訳は小宮由です。

 

『水の森の秘密』(こそあどの森の物語)岡田淳/作 理論社 2017/2 
 

1994年に『ふしぎな木の実の料理法』で始まった「の森でもなければ、の森でもない の森でもなけれな、の森でもない」「こそあどの森」で繰り広げられるスキッパーやポットさん、トマトさん、トワイエさんをはじめとする森の住人たちの物語が、12冊目のこの作品で完結となります。ある時、こそあどの森のあちこちに水がわき出し、湖のようになってしまいます。その原因をさぐるためスキッパーたちは、調査をはじめます。その意外な原因は!初期の「こそあどの森の物語」シリーズを読んできた世代ももう30代になろうとしています。12巻目が出たことで、最初のころの本も読み返そうとする子どもたちもいることでしょう。親子二代で読む子もいるのではないでしょうか。ぜひ、既出のシリーズと一緒に手渡してほしいと思います。 

 

『小さな赤いめんどり』アリソン・アトリ―/作 神宮輝夫/訳 小池アミイゴ/絵 こぐま社 2017/3/10
小さな赤いめんどり (こぐまのどんどんぶんこ)
アリソン アトリー
こぐま社
2017-02-27
 
 1969年に大日本図書から油野誠一の絵で出版されていたこの作品が、『とうだい』(斉藤倫/作 福音館書店 2016)を描いた小池アミイゴさんの絵でこぐま社の「こぐまのどんどんぶんこ」としてよみがえりました。油野誠一の絵で親しんでいた人には、イメージが違って見えることでしょう。ひとりで暮らすおばあさんのところにある夜、訪ねてきた小さな赤いめんどりは、実はふしぎな力を持っているのでした。絵本から読み物へ移行する時期の子どもたちに手渡したい作品です。
 

『たんけん倶楽部 シークレット・スリー』ミルドレッド・マイリック/文 アーノルド・ローベル/絵 小宮由/訳 大日本図書 2017/3/15

たんけんクラブ シークレット・スリー (こころのほんばこ)
ミルドレッド マイリック
大日本図書
2017-03-17

 今回、紹介した『サンタクロースのはるやすみ』と同じ大日本図書の「こころのほんばこ」シリーズの1冊です。小宮由が絵本から読み物へ移行する時期の子どもたちに手渡す本として厳選して翻訳しているラインナップです。海辺に住むビリーは友だちのマークと一緒に手紙の入っているビンを拾いました。その手紙には「たんけんクラブをつくろう」と書いてありました。それは沖にあるちいさな島の灯台にすむトムという男の子からのものでした。3人はビンに手紙を入れて海を隔ててやり取りをします。同年代の男の子がワクワクするお話です。

 


『メリーメリー おとまりにでかける』ジョーン・G・ロビンソン/作・絵 小宮由/訳 岩波書店 2017/3/17
メリーメリー おとまりにでかける
ジョーン・G.ロビンソン
岩波書店
2017-03-18

『テディ・ロビンソン』や『思い出のマーニー』などの作品があるロビンソンの新しく翻訳された幼年童話です。1957年に書かれたものですが、今の子どもたちが読んでも楽しいお話です。5人兄弟の末っ子のメリーメリーは、いつもおにいちゃんやおねえちゃんにじゃまもの扱いされています。そんなことにめげないメリーメリーのゆかいなお話が5話入っています。自分で読むなら小学校低学年から。小さなお子さんには読んであげてほしい作品です。こちらも小宮由の翻訳です。

 

【その他】

乳幼児おはなし会とわらべうた』落合美知子/作 児童図書館研究会 2017/2/25

長年、図書館司書として、あるいは文庫活動を通して、「親子でたのしむ絵本とわらべうた」の活動を続けてこられた落合美知子さんの活動をまとめたものです。小さな子どもになぜわらべうたなのか、理論的なところもわかりやすくまとめてあります。わらべうたの実践事例や、資料なども豊富です。図書館などで乳幼児おはなし会、わらべうたの会を実施しようとしている図書館司書にとって、貴重なテキストといえるでしょう。ぜひ業務の際に手元に置いて参考にしてほしいと思います。詳しくは児童図書館研究会のサイト(→こちら)をご覧ください。

 (作成K・J)

2017年5月(その2)いってきます!(幼児~小学生向け)


 5月のおはなし会プランのメインは、素話を勉強する人が取り組みやすい「エパミナンダス」というおはなしです。無邪気なエパミナンダスの行動を、聞き手と一緒にいっしょに楽しめるといいですね。

「のはらうた」の中から詩を一編、それに日本昔話から『ももたろう』、そして写真絵本を1冊組み合わせてみました。約25分のプログラムです。

どれも、主人公が元気よく出かけていくで、テーマは「いってきます!」としました。

***************************

【いってきます!】

導入 詩「さんぽのおと」こやぎようたろう 『のはらうた2』(くどうなおこ/作 童話屋 1985) より 3分

のはらうた 2
工藤 直子
童話屋
1985-05

 くどうなおこさんが、春を迎えて心弾むこやぎの気持ちを詩に表現しました。

 

「さんぽの おとは なんのおと?
 おや あしおとだ
 とんとんとん
 さっさっさ
   すたぱた すたぱた ととらたと
 こつこつ からころ ぱったんこ
 ここらで ちょっと ひとやすみ」(一部抜粋)

「さんぽの おとは なんのおと?」の後に、「おや いしころだ」、「おや みずたまり」、「おや かぜがふく」、「おや はながさく」、「おや ちょうがとぶ」、「おや おひさまだ」と、詩は繰り返し続きます。それぞれの音を表現するオノマトペ(擬音語)が耳に心地よい詩です。リズムよく読んであげましょう。

 

素話「エパミナンダス」  『愛蔵版 おはなしのろうそく1』(東京子ども図書館/編・刊)より 7分

エパミナンダス 1
東京子ども図書館
1997-12

 エパミナンダスはおかあさんに頼まれておばさんのところにおつかいに出かけます。そのたびにおばさんは「おかあさんにおみやげですよ」と、なにかを託してくれるのですが・・・無邪気なエパミナンダスの失敗に子どもたちもハラハラドキドキしながら聞いてくれることでしょう。 

 

 

絵本『ももたろう』まついただし/再話 赤羽末吉/画 福音館書店 1965 7分

ももたろう (日本傑作絵本シリーズ)
まつい ただし
福音館書店
1965-02-20
 
 携帯電話のCMで日本昔話の主人公たちが大活躍し、人気を博しています。これをチャンスとして、子どもたちに昔話を読んであげましょう。「ももたろう」も多くの再話あり、絵もさまざまな画家が描いていますが、福音館書店版の『ももたろう』は、赤羽末吉の描くももたろうの表情が、まっすぐと子どもに届き、心を動かすことでしょう。 

 

絵本『どこにいるの?シャクトリムシ』新開孝/写真・文 ポプラ社 2007 5分

 最後の1冊は、写真絵本です。シャクトリムシの動きや、擬態を、子どもたちが興味を持つように切り取って見せてくれています。身近な自然に目をむけてみるきっかけになることでしょう。

 

しめくくりのわらべうた さよならあんころもち 

 

(作成K・J) 

「第6回児童部会(2017.3.17)」


今年度最後となる第6回児童部会を3月17日(金)に開催しました。

IMG_5856

各自が2002年以降に出版され、東京子ども図書館の「こどもとしょかん」に選定された幼年童話の中から1冊選んで紹介文を作成し、発表をしました。

前半は、今年度続けてきた「基本図書から学ぶ」の集大成として、各部員がおすすめの幼年児童文学を選んで紹介文を作成し、その作品のブックトークをしました。

昨年度の「基本図書から学ぶ」は、絵本を読み比べることを通して、作品を評価する基準について学びました。今年度は、絵本から読み物へ移行する時期の子どもたちに手渡したい本を選び、作品の特徴や本質を捉え、対象者に向けて相応しい紹介文を書くことを目標に、レビュースリップの書き方、書評や紹介文の書き方について学んできました。

第6回は、この一年の学びのまとめとして2002年以降に出版された幼年向けの児童文学のうち、東京子ども図書館の「こどもとしょかん」に選定されている作品の中から、各自が1作品を選び、紹介文を作成しました。

IMG_5877

当日は部員と事務局合わせて17冊の本の紹介がありました。これまで読む機会がなかった作品について、みなさんが「ぜひ読みたい」と感じることができ、こうした紹介を図書館でしていくことの重要性にも気がつきました。

当日の発表を受けて、「作品のよいところを捉えて紹介してもらうと、まだ読んだことのない作品も読みたくなる」、「図書館に新刊を購入して配架するだけではなく、その作品を届けたい子どもたちに向けて紹介していくことが大切だと思う」、「紹介文を作成する際、紹介する人によって着眼点が違っていることが面白いと感じる。どんな切り口で紹介すれば、子どもに届くのか、考えるきっかけになった」などの感想が寄せられました。

 

IMG_5894

情報共有と懇談の時間

年間、2000点以上の児童書が出版されますが、児童サービス担当者が、すべてを手に取って選書するには時間が限られており、今回のように部員同士でおすすめの本を紹介していく機会は、とても貴重であるという声も多く聞かれました。第6回で発表した作品の紹介文については、手直しをしたうえで、4月より「本のこまど」上で公開していく予定です。

 

後半は、懇談の時を持ちました。それぞれが、別々の図書館で児童サービスを担う中で、2か月に1回集まって、アイディアを共有したり、共通の課題に一緒に取り組むという児童部会の活動が、それぞれの図書館でのサービスに活かされていることも大変うれしく思いました。

(作成K・J)

2017年5月(その1)だっこして(小さい子)


小さな子どもたちは、親の保護があってこそ安心して育つことができます。

2歳半ごろまでは「母子未分化」といって自己と他の関係が未分化で、親への依存度が高い時期です。成長とともに、自分ひとりで出来ることが増えると、自立の第一歩。親と子が別の存在だと自覚し、自分でなんでもやりたがる時期です。それでも、なにかあったら「だっこして」と駆け寄ってきます。しっかり抱きしめてもらうことで、安心してまた一歩踏み出すことができます。

「だっこして」を受け止めてもらえることが、信頼関係を築く第一歩。小さい子向けのおはなし会のテーマも「だっこして」にしました。

**********************

【だっこして】

導入 わらべうた このこどこのこ 

このこどこのこ

 お子さんをお膝にのせて、大人が左右にゆっくりと揺れます。 激しく動き過ぎないように注意しましょう。最後のところは、各自が自分のお子さんの名前を呼びます。そして、お膝のお子さんをぎゅーっと抱きしめます。 

 

 

絵本『だっこして』にしまきかやこ/作 こぐま社 1995

だっこして (にしまきかやこ あかちゃんの本)
西巻 茅子
こぐま社
 
 「だっこして」とあかちゃんがいうと、「はい だっこ よしよし」と言ってだっこしてくれるおかあさん。「だっこして」と、わが子たちがいつまで言っていたかしらと思うと、せいぜい小学校に入る前くらいまで。長い子どもの人生の中で最初のほんの数年のことなんですね。しっかりぎゅ~っと抱きしめてあげてほしいと思います。「だっこして」といって、すぐに応えてもらった経験が、親子の信頼関係に繋がります。そんな思いをこめて読んであげましょう。
 
 
 
わらべうた とうきょうとにほんばし

とうきょうとにほんばし

 
 「とうきょうと」で一本指で手のひらをなぞり、「日本橋」で二本指でなぞります。「がりがりやまの」で手のひらをがりがりと引っかき、「パン屋さんと」で手のひらを軽くたたきます。「つねこさんと」で手のひらを軽くつねり、「階段のぼって」で二本指で腕を辿るように上って行って、「こちょこちょ」で首元をくすぐります。
  
 
わらべうた とっちんかっちん

とっちんかっちん

  
お子さんをお膝にのせて遊びます。「とっちんかっちんかじやのこ あわててとびだす」までは、膝の上にのせて膝を上下に動かします。「いしやのこ ドッシーン」と言いながら、おとなが膝を開いて間にすとんと落とします。 2番は「とっちんかっちんかじやのこ はだかでとびだす ふろやのこ ザッバーン」と歌って、最後は上に持ち上げて「たかいたかい」をします。
  
 
絵本『おかあさんといっしょ』薮内正幸/作 福音館書店 1985
おかあさんといっしょ (福音館の幼児絵本)
薮内 正幸
福音館書店
1985-03-30
 
 こちらも動物の母と子を描いた絵本です。先ほどの絵本と違って、こちらは薮内正幸さんの写実的な絵で、おかあさんといっしょに遊ぶ動物たちの表情が大変豊かで、小さな子どもたちにも安心感を与えます。 
 
 
わらべうた  ここはとうちゃんにんどころ 

ここはとうちゃん

 
「にんどころ」とは似ているところという意味です。「とうちゃんにんどころ」で右の頬、「かあちゃんにんどころ」で左の頬、「じいちゃんにんどころ」で額、「ばあちゃんにんどころ」で顎、「ねんちゃんにんどころ」で鼻をさわり、「だいどーだいどー」で顔全体をぐるっとさわって、最後はこちょこちょをします。
 
 
絵本『いちご』平山和子/作 福音館書店 1989
いちご (幼児絵本シリーズ)
平山 和子
福音館書店
1989-04-15
 
今はハウス栽培で、一年中食べることのできるいちごですが、 露地で栽培するいちごの旬は5月です。寒い冬を通り越して4月に花を咲かせ、5月には真っ赤で甘い実になります。読んでもらう子どもたちも笑顔になります。 
 
(作成K・J)

5月のおはなし会☆おすすめ本リスト


陽ざしが日に日に伸びて、春らしい光が降り注ぐようになりました。朝夕は、まだ冬の寒さですが、着実に春を迎えつつあるのを実感します。

さて、5月のおはなし会や館内展示で使えるブックリストを更新しました。業務の参考にしていただければと思います。

illust114_thumb

5月のおはなし会☆おすすめ本リスト2017
(3月15日更新)

 

『きゅうきゅうばこ』の新版が出ました。


福音館書店のかがくのとも傑作集として1989年に出版された『かがくのとも版 きゅうきゅうばこ』(山田真/文 柳生弦一郎/絵)が、当時とけがの処置法が大きく変わってきたことを受けて、書き直され『かがくのともの きゅきゅうばこ 新版』としてリニューアルされました。

1989年出版の『かがくのとも版 きゅうきゅうばこ』

かがくのとも版 きゅうきゅうばこ (かがくのとも絵本)
山田 真
福音館書店
1989-03-25
 
 
 
 
この度、出版された新版『かがくのともの きゅうきゅうばこ』
きゅうきゅうばこ 新版 かがくのともの (かがくのとも絵本)
やまだ まこと
福音館書店
2017-02-01

 

 

2冊を並べて読み比べてみると、やけどの処置では、旧版は「みずぶくれは だんだん ちいさくなって なおることもあるし、やぶれることもある。やぶれたら うむといけないので、びょういんへいこう。」というところが、新版では「みずぶくれになっていたら、やぶって ひふくざいを はっておく。」に書き換えられています。

すりきずの処置では、旧版は「すいどうで よく あらいながしておこう。そのあと しょうどくして きれいな ガーゼをあてておけばいい。」、「すりきずは、たいしたことがないように みえても、けっこう なおりにくい。じくじく うんできたら、びょういんへ いこう。こうせいぶっしつの ついた ガーゼみたいなもので てあてしてもらえるでしょう。」というところが、新版では「すいどうで よく あらいながしておこう。そのあと ひふくざいか ラップを きずぐちに はっておけばいい。」、「すりきずは、たいしたことがないように みえても、けっこう なおりにくい。なんにちかして いたくなったら、うんだのかもしれないから びょういんへ いこう。」となっています。

それ以外にも巻末の「いえにおきたいきゅうきゅうセット」の内容が、旧版では「布ばんそうこう サージカルテープ 帯状ばんそうこう 殺菌消毒剤つきガーゼ 滅菌ガーゼ 殺菌消毒剤 粘着ほうたい 伸縮ほうたい 抗ヒスタミン剤 外傷殺菌消毒剤 副腎皮質ホルモン剤」となっていることろが、新版では「帯状ばんそうこう サージカルテープ 粘着ほうたい 伸縮ほうたい ハイドロコロイド被覆副腎皮質ホルモン剤 抗ヒスタミン剤 ペーパータオル 食品包装用ラップ タオル ハサミ 体温計 ペットボトルの水(傷口の汚れを流す)」となっており、この28年の間にずいぶん家庭での応急処置方法が変化してきたことがわかります。

後ろ見開きページに、この絵本の文章を書いた小児科医の山田真さんが、傷口を消毒しないで乾かさない治療法「うるおい療法」について、丁寧に説明をしてくださっています。

時代の変化に合わせて、絵も新たに描きなおされています。

知識の本は、新しい知見が出てきたときには、それに基づいた改訂が必要になります。2015年には『せいめいのれきし』(バージニア・リー・バートン/作 石井桃子/訳 岩波書店)が、科学者の監修のもと、改訂されています。(本のこまどでの紹介記事→こちら

長く都立多摩図書館などで児童図書館員として勤められた杉山きく子さんは、著書『がんばれ!児童図書館員』(本作り空Sola 2014、この著作は2016年東京子ども図書館から再刊されています)の中で、「ノンフィクションは、書かれた時点でもっとも新しい事実や知見をとりあげているのは当然だが、たいせつなのは対象に対する著者の姿勢や情熱である。最先端の知識を羅列しただけの新しい本よりも、内容は最先端でなくても、テーマに対する著者の愛情や情熱を感じられる本こそが、子どもにはふさわしい。また、学問は常に新しい研究によって進歩発展していることを示唆する姿勢も必要である。」(第2章 子どもの本をしるために 「ノンフィクション 知識の本」の項目より p65)と、述べられています。
 

がんばれ!児童図書館員
杉山 きく子
東京子ども図書館
2016-05-30
 
 
 

 

今回のこの改訂には、作者である山田真さんと柳生弦一郎さんの新しい知見を子どもたちへ伝えたいという思いを感じることができます。子どもたちに人気の著作だからこその、新版の意味を受け止めながら、図書館でも差し替えてあげてください。なお、旧版も廃棄せずに、子どもたちが比較して読めるようにしておくのもよいでしょう。

(作成K・J)

基本図書を読む35『西遊記』呉承恩


今月の基本図書は、呉承恩作『西遊記』です。岩波少年文庫(伊藤貴麿/訳 1955)と、読み比べた上で、君島久子が翻訳した福音館書店の本で紹介します。(今回は福音館文庫で読みました)

『西遊記(上)』呉承恩/作 君島久子/訳 瀬川康男/画 福音館書店 1975

西遊記(上) (福音館古典童話シリーズ (15))
呉 承恩
福音館書店
1975-07-15
 
 
 

『西遊記(下)』呉承恩/作 君島久子/訳 瀬川康男/画 福音館書店 1976

 

 

花果山の頂きにあった仙石から孵った石猿は、知恵も力も優れていたので、猿の群れの王座につき美猴王と名乗るようになります。そうやって五百年が経ったころ、仙人になろうとして斉天大聖となり、孫悟空という名前をいただきます。しかし仙力が強いことをよいことにやりたい放題。天宮を大いに騒がせ、お釈迦様に五行山の下に閉じ込められます。そのまた五百年後に縁があって三蔵法師に出会い、取経の旅に猪八戒、沙悟浄とともに同行することになります。物語は、西天目指して幾山河越えていく4人に、次々と困難が襲ってくる様が描かれています。これでもか、これでもかと次々襲いかかる妖怪変化の群れを、悟空たちが知恵と力を使って倒し、八十一の災厄艱難を切り抜け、ついには目的地にたどり着き、無事に経典をいただくまでが、百回の物語にまとめられています。

如意金箍棒を片手に觔斗雲に乗って、ひとっ飛びで十万八千里を越えることの出来る孫悟空の姿は、本だけではなく、映画やアニメーション、ゲームにもなっていて、知らない人はいないでしょう。妖術あり、心躍る冒険あり、唐の皇帝太宗や仏典を求めてインドへ旅をした玄奘など歴史上の人物も登場する壮大なファンタジー物語は、読む人の心を惹きつける魅力があります。乱暴者の孫悟空が健気にも三蔵を必死で守る姿や、食い意地がはって欲得に溺れて道を踏み外すけれども愛嬌のある猪八戒、一途に三蔵に仕える沙悟浄と、三蔵法師を守る三人の個性豊かなお供にも親しみがわきます。

今年1月に出版された『子どもの本のよあけー瀬田貞二伝』(荒木田隆子/著 福音館書店)には、瀬田貞二さんがインタビューに答えて「ぼくは『西遊記』って小学校三年のとき読んで、それでそれ以来なんべん読んだかわからないです。大好きなもののひとつですね」と答えている箇所があります。(『子どもの本のよあけー瀬田貞二伝』p323)

子どもの本のよあけ―瀬田貞二伝 (福音館の単行本)
荒木田 隆子
福音館書店
2017-01-11
 
 
 
 

『王さまと九人のきょうだい』(君島久子/訳 赤羽末吉/画 岩波書店 1969)という中国昔話絵本の翻訳でも知られる君島久子さんによる福音館書店版『西遊記』は、声に出して読むとますます滑らかに物語が進み、その面白さを倍増させます。

 

たとえば、「なんじは妖怪か魔物か。我をたぶらかしにやって来たのか。我は公明正大の僧、大唐の勅命を奉じて、西天へ経を求めに行く者。三人の弟子があり、いずれも降竜伏虎の豪傑、妖魔を除く壮士。かれらに見つかれば、その身はみじんに砕かれるであろうぞ。」(第三十七回)、「なんだと。知らざあ言ってきかせよう。我々は、東土大唐より勅命にて、西天へ取経に行く聖僧の弟子だ。(中略)耳をそろえてそっくり返せば、命だけはかんべんしてやる」(第四十七回)という言葉は、目で追って読むよりも、実際に声に出して読んでみると、味わい深いものがあります。

西遊記〈上〉 (福音館文庫 古典童話)
呉 承恩
福音館書店
2004-01-20
 
 

 

西遊記〈中〉 (福音館文庫 古典童話)
呉 承恩
福音館書店
2004-01-20

 

 

西遊記〈下〉 (福音館文庫 古典童話)
呉 承恩
福音館書店
2004-01-20


 

福音館書店版は、「現存する「西遊記」のテキストとして最も古いものの一つ、明代(14~17世紀)に刊行された金陵世徳堂本を底本として、清代(17世紀~20世紀)に出された六種の刻本により校訂を行ない、北京人民文学出版社より刊行した「西遊記」に拠って訳したもの」(「はじめに」より)をもとにして訳出されています。

あとがきには、「作者は呉承恩(1500年~1583年)といっても、明代や清代の古い「西遊記」には作者の署名がなく、呉承恩が書いたという確かな証拠があるわけではありません。あるいは、この物語をまとめ、すぐれた文学作品に仕上げたのが呉承恩であったのかも知れません。」(「訳者あとがき」より)として、南宋時代に著された「大唐三蔵取経詩話」以降、多くの民衆に語り継がれ、「西遊記」という壮大なファンタジーになっていったのではと記されています。

また、福音館書店版は瀬川康男さんの挿し絵がとても目を引きます。この作品に取り掛かっている時、瀬田貞二さんと一緒に宋や明の時代の絵入り古版本を見ており、そうした絵の伝統も受け継いだ作品として仕上がっていると、先の『子どもの本のよあけ』にも記されています。(『子どもの本のよあけ』p324)

「王さまと九人の兄弟」の世界
君島 久子
岩波書店
2009-07-03
 
 
 

君島久子さんは、エッセイ『「王さまと九人の兄弟」の世界』(岩波書店 2009)の中で、孫悟空が刀や斧で切りつけられても死なず、八卦炉の中で錬成されても無事でるのは『王さまと九人のきょうだい』に出てくる「きってくれ」「ぶってくれ」などとの相似しており、天上の話から地獄の音まで聞き分ける聴力はリー族に伝わる「五人兄弟」に出てくる「千里耳」と相似しているなど、中国のさまざまな民族に伝わる多兄弟の昔話との関連を、「このように『西遊記』では、孫悟空が一人で、「九人兄弟」や「十人兄弟」のあらゆる超能力をそなえており、三面六臂の活躍を演じています。どんなに恐ろしく強大な相手にも負けないスーパーヒーロー孫悟空と、「九人兄弟」や「十人兄弟」には、どちらにも、大きな権力に屈しまいとする民衆の願いがこめられているように思われてなりません。」(p105「『西遊記』孫悟空の超能力」)と述べています。

三蔵法師のモデルとなった玄奘(602年~664年)は、隋王朝から唐王朝に代わった629年、太宗の時代に、仏教の研究のために原典を求めようと、西域を抜け、西トルキスタン、サマルカンドを通って、インドのガンダーラに到着、ナーランダ学院で仏典の研究を行い、645年に長安に戻ってきます。その後、「大唐西域記」を著しますが、彼の壮挙はその後広く語り伝えられるようになります。宋代(10世紀~13世紀)にすでに語り物として流行し、「大唐三蔵取経詩話」が書かれていたと、『西遊記』の「はじめに」にも記されています。元の時代には、「西遊記」として芝居として演じられるようになり、物語が次第に膨らんでいったようです。君島久子さんが書いているように、王朝が次々に変わっていく中国の歴史に翻弄される民衆が、語り伝えながら逞しい想像力で練り上げていった物語であり、だからこそ読む者を惹きつけるのだと思います。

今の子どもたちは自分で読むのは難しいかもしれませんが、ひとつひとつの回は短いので、ご家庭でぜひ読み聞かせをしてほしいと思います。「さて、次はどのようになるのでしょうか。次回をお楽しみに。」という言葉に促されて、きっと楽しみに聞くことでしょう。

(作成K・J) 

訃報 まついのりこさん


今月、また子どもの本の作り手の訃報が飛び込んできました。絵本&紙芝居作家のまついのりこさんが、2017年2月12日に亡くなられたとのこと。82歳だったそうです。(ニュース記事→こちら

2011年5月にクレヨンハウスでまついのりこさんの講演を聞きました。その時のお話が今も胸に残っています。

じゃあじゃあびりびり (まついのりこのあかちゃんのほん)
まつい のりこ
偕成社
2001-08
 
 
 

 

その講演のことを綴った日記にこんなことを記していました。
「まついさんは1934年生まれの77歳。1931年に日本は15年戦争に突入し、45年まついさんが9歳の時に終戦を迎えています。まさに子ども時代がすっぽりと戦時中に重なっているのです。子ども心に覚えているのは、色彩のない世界。美しいもの、きれいなもの、本物が圧殺され、「生きる意味」を問う文化というもの、本物の文化を創ろうとする人を弾圧していた時代と重なっていたのです。
 まついさんのお父様は、経済学者でいらしたのですが、まついさんが小4の時に治安維持法により逮捕、抑留されるという経験もなさっています。弾圧されていた時代に子ども時代を過ごされていたので、27歳の時、上のお子さんの子育て中に福音館書店の月刊こどものとも、かこさとし作『だむのおじさんたち』(1959年発行)と出会った、大きな衝撃を受けたというのです。絵本というものが持つ文化の光、本物が放つ光を、そこに感じたのだそうです。
 まついさんのすごいところは、絵本の持つ力を感じたことで、自分も絵本を描きたい、絵本を作りたいと思ったということ。子育てをしながら、28歳で武蔵野美術大学に入学し、絵を描くということを一から学ばれたのでした。当時は、今のように社会人入学という制度もなく、ましてや子育てをしながらの大学での学びは、容易ではなかったはずですが、子ども時代に文化というものから隔離されていたという渇望が、まついさんをそこまで突き動かしたでした。
 32歳で美大を卒業された後、さて絵本を作ろうと思ったものの、デッサンや油絵を美大で学んだものの、自分は絵本の作り方は学んでこなかったと、戸惑ったそうです。しかし卒業した年に次女が生まれ、「私はこの子に対して絵本を描こう」と決意されたのです。
 生まれ出た人間の子は、人間になりたいという本能を持っている。“生きるとはなにか”その意味を知りたいという欲求を持っている。そういう知的好奇心を持って生まれた我が子が喜ぶ絵本を作ろうと決意され、我が子のために何作も作ってこられました。それらは、子どもが心の底から喜ぶもの、奥底から光ってくるものを描いてこられたのです。36歳の時、最初にお子さんに作った絵本が、『じゃあじゃあびりびり』でした。」

子どもたちが楽しみながら理解できるよう工夫がされた行事の絵本や、数字・ひらがななどの知識の絵本もたくさん作られました。

『ひらがなのほん』まついのりこ/作 福音館書店 かがくのとも傑作集 1971

ひらがなのほん (かがくのとも傑作集―わくわくにんげん)
まつい のりこ
福音館書店
 
 
 
 
 
『とけいのほん1』まついのりこ/作 福音館書店 1993
とけいのほん1 (幼児絵本シリーズ)
まつい のりこ
福音館書店
1993-03-15
 
 
 
 
 
読み手と聞き手が一緒に楽しめる紙芝居作品をたくさん作られました。
 
『おおきくおおきくおおきくなあれ』まついのりこ/作 童心社 1983
『みんなでぽん!』まついのりこ/作 童心社 1987
 
また、日本独自の文化である紙芝居を世界各地へ普及しようとして、「紙芝居文化の会」代表も長く務められました。紙芝居の演じ方の本も何冊か出されています。
 
『紙芝居の演じ方Q&A』まついのりこ/作 童心社 2006
紙芝居の演じ方 Q&A (単行本図書)
まつい のりこ
童心社
2006-10-31
 
 
 
 
心より冥福をお祈り申し上げます。

(作成K・J)

小学校での読み聞かせ おすすめの本の紹介3月


3月は、進級、卒業を控えて、学校の中も浮足立つ時期ですね。図書館へ来る回数も減るかもしれませんが、機会を作って読み聞かせをしてあげてください。春の匂いを感じる本を中心に選びました。(3月は学年末で、授業日数も少ないので、早めにUPします)

<低学年>

『いちごばたけのちいさなおばあさん』 わたりむつこさく 中谷千代子え 福音館書店 1983 6分

いちごばたけの ちいさなおばあさん (こどものとも傑作集)
わたり むつこ
福音館書店
1983-11-01
 
いちごばたけの土の中に住んでいるちいさなおばあさんの仕事は、いちごに色づけをすること。ある時、春がまだ先だというのに暖かい日が続いたので、いちごが色づくのはまだ先と思っていたおばあさんは大慌てです。おばあさんが一生懸命、いちごに色づけ終わると、寒の戻りで畑は一面雪景色に。三寒四温と気温が変化する春先に読んであげたい1冊です。
 

<中学年>

「梅の木村のおならじいさん」 15分 (『くしゃみくしゃみ天のめぐみ』 松岡享子作 寺島龍一画 福音館書店 1968 より)

くしゃみくしゃみ天のめぐみ (福音館創作童話シリーズ)
松岡 享子
福音館書店
1968-08-01

おじいさんの悩みの種は、食事時になると出てしまうおなら。音といい、においといい天下一品の代物です。ある冬の日、わなにかかったズーイグルッペという奇妙な生き物を助けます。するとお礼に、なんでも願い事を叶えてくれるというのです。おじいさんはおならが出るのを止めてもらうのですが、かえって体調が悪くなります。そこでもとに戻してもらうと、今度はお殿様の狩りのお供を頼まれてしまいます。殿様の前で粗相はできないからと、もう一度ズーイグルッペに頼み事をしに行きます。事情を知ったズーイグルッペがやった粋な計らいとは?覚えて語ってあげてもよいでしょう。

 

<高学年>

『ルピナスさん』 バーバラ・クーニーさく かけがわやすこやく ほるぷ出版 1987 10分

ルピナスさん―小さなおばあさんのお話
バーバラ クーニー
ほるぷ出版
1987-10-15
 
 アリスは、小さい時におじいさんと3つの約束をします。それは、「大きくなったら、遠くへ行くこと。おばあさんになったら、海のそばの町に住むこと。そして、世の中を美しくするために 何かすること。」 大人になったアリスは、ミス・ランフィスと呼ばれるようになり、本当に世界中を旅して、海を見下ろす丘にある小さな家に住み、素敵な思いつきをして、一番難しい3つめの約束を果たすのです。その素敵な思いつきのおかげでみんなからはルピナスさんと呼ばれるようになります。時代ごとに色調が変化して描かれ、ひとりの女性の人生のを象徴しているかのようです。
 

卒業する6年生には、2014年(その4)卒業おめでとう!(小学生・中学生)で紹介されている本もおすすめです。

 

<知識の本>

『さくら』 長谷川摂子文 矢間芳子絵・構成 福音館書店 2010 5分

さくら (かがくのとも絵本)
長谷川 摂子
福音館書店
2010-02-10
 
 さくらの花は満開の季節だけが注目されるのですが、実は季節とともにさまざまな姿を見せてくれます。青葉の季節、小さな実がなる季節、秋には紅葉して、冬には裸の木に。でも冷たい風の中、しっかりと次の花芽を育てているのです。「かがくのとも」シリーズの1冊。さくらの季節の前に読んであげるとよいでしょう。 
 
 

『はるにれ』 姉崎一馬写真 福音館書店 1979

はるにれ (日本傑作絵本シリーズ)
福音館書店
1981-11-10

文字のない写真絵本です。北の国の草原にたつ1本のはるにれ。落葉高木のはるにれの四季折々の姿をさまざまな表情で映し出しています。霧の中にたたずむ姿、一面の雪原にたたずむ姿、若葉が萌え出ずる姿などを、じっと見つめていると、木からのメッセージが聞こえてきそうです。余計な声をかけずに1ページ、1ページしっかりと見せてあげてください。

 

 

<気軽に読める本>

『これはおひさま』 谷川俊太郎作 大橋歩絵 福音館書店 1990 3分

これはおひさま (幼児絵本シリーズ)
谷川 俊太郎
福音館書店
1990-04-10

谷川俊太郎さんの『これはのみのぴこ』と同様に、こちらも積み重ねの言葉遊び絵本です。「おひさま」から始まって「おひさま」にまた帰ってくるまでに、どんなものが出てくるか、楽しみながら読めます。大橋歩さんのよるコラージュ手法を使った絵も味わい深いことでしょう。
 

(選書T・I 作成K・J)

訃報 ディック・ブルーナ氏


昨日、佐藤さとるさんの訃報をお知らせしましたが、日付が変わる頃に今度はオランダから『ちいさなうさこちゃん』でおなじみのディック・ブルーナさんの訃報が届きました。16日にオランダ・ユトレヒトで89歳の生涯を閉じたということです。 ニュース第一報→こちら

ちいさなうさこちゃん (1才からのうさこちゃんの絵本セット1) (子どもがはじめてであう絵本)
ディック ブルーナ
福音館書店
2000-12-01

この絵本の原作「nijntje」は1955年にオランダで出版され、日本では1964年に石井桃子さんの翻訳で福音館書店から出版されました。

この絵本は日本の赤ちゃん絵本の草分けといっていいのではないでしょうか。今の50代、40代にとってのファーストブックで、それは代々受け継がれてきました。

講談社版では「ミッフィー」という英語版の名前が用いられました、テレビアニメでも「ミッフィーちゃん」と呼ばれ、「うさこちゃん」というよりも「ミッフィー」のほうがしっくり来るという人も多いでしょう。やっぱり石井桃子さん訳(その後翻訳は松岡享子さんに受け継がれました)の「うさこちゃん」が親しみがあるという人も、どちらにしろ世界中の多くの子どもたちに愛されてきた絵本です。

2015年には「生60周年記念 ミッフィー展」が日本国内を巡回しました。その時にお元気そうなビデオメッセージが見られたのに・・・と思います。

きっとブルーナさんも、天国から世界中の子どもたちの幸せを願いながら見守ってくださっていると思います。

(作成K・J)

おはなし会のいろは(その6)おはなし会終了後も大事です(フォローと記録)


「おはなし会のいろは」の6回目は、「おはなし会終了後も大事です(フォローと記録)」です。

絵本の持ち方もめくり方も、声の出し方もマスターしました。おはなし会の会場作りにも気を配れるようになり、プログラムの立て方も理解が進んだことと思います。

実際におはなし会を実施してみて、ハプニングが起きても、冷静に対処も出来るようになったことでしょう。児童サービスの重要な柱であるおはなし会の運営がスムーズに出来るようになれば、児童担当として自信になりますね。

おはなし会の30分が終わってホッとしたいところですが、まだまだやることはあります。おはなし会の後にやるべき大切なことを2点取り上げます。

1)フォロー

e4f84cb2おはなし会のプログラムを最後まで終えれば、それで終わりではありません。まずは、その日に読んだ本をもう一度テーブルの上などに並べて紹介しましょう。読んでもらった絵本を借りて帰りたいという子どもたちのために、プログラムが決まった時点で複本を用意しておくと尚一層よいでしょう。当日は読まなかったけれど同じテーマで手渡したい本などがあれば、それも一緒に紹介しましょう。

子どもたちには、おはなし会にまた来てもらえるように、スタンプカードやシール帳を用意しておきます。図書館によってはスタンプのたまる数は8コ、10コなどさまざまですが、館の事情に合わせてそこは決定します。スタンプカードがいっぱいになったら、手作りのしおおはなし会ののいろは(スタンプカード)りや、折り紙で折ったメダルなどをプレゼントします。小さな子どもたちにとっては、それが励みになっておはなし会に参加する動機付けともなります。

おはなし会の部屋が、閲覧室とは別の場所にある場合は、終了後15~30分ほどは親子連れがしばらく談笑できるようにして、すぐに片づけをしないでおくことも一案です。おはなし会の余韻に浸りながら、絵本を仲立ちにして同年代の子どもをもつ親同士が交流する場として位置付けてもよいでしょう。図書館スタッフもその場にいて、家庭での読み聞かせについて相談にのったFullSizeRenderり、おすすめの絵本を手渡したりする機会を作れます。時には、保健師さんと協働してちょっとした子育て相談会などを実施しても喜ばれるでしょう。

なお、楽しいおはなし会のテンションのままで、閲覧室に親子連れが雪崩れ込むとクレームになることもあります。その3に記していますが、「会場を出たら、他の利用者の方々にもご配慮願います。」と一声かけましょう。

 

 

2)記録

おはなし会を実施しても、やりっぱなしでは意味がありません。おはなし会終了後に必ず担当者同士で簡単な振り返りをし、それを記録に残して蓄積することが大切です。

おはなし会の記録(本のこまど図書館)

おはなし会記録の見本 クリックすると拡大できます

対象年齢別に記録をファイリングし、いつでもその記録を見返すことが出来れば、よいでしょう。

どんなプログラムが喜ばれたか、子どもたちの反応はどうだったのかなど、読んだ本や、やったわらべうたなどの演目とともに記しておきます。

以前、研修で伺った図書館では記録は取ってあるものの、読んだ本の書名だけで書誌事項がまったく記されていないというものがありました。

昔話などは、同じタイトルで別の再話者で画家も違う絵本が何冊もあります。また、稀ですが版によって文章に手が入れられていて言葉遣いが変わっているという場合もあります。

タイトルはもちろんのこと、作者、翻訳者、画家、出版社、出版年などの書誌事項は面倒がらずに記入しておきましょう。

わらべうたや手遊びなどのうち、楽譜や遊び方など参照にできる書籍などがある場合は、それも記しておきます。その場合、ページまで漏らさずに記載しておくと、他の担当者が次に行う際の参考になります。

加えて、おはなし会プログラムを作成するときに候補にあがった他の本なども記しておきます。

図書館スタッフとボランティアさんとで組んでおはなし会を実施する場合も同様に一緒に振り返りと記録記入をしてください。

対話をする中で、ボランティアさんが長年積み上げてきた経験を伺うこともできるでしょうし、館内だけではわからない地域での子どもたちの姿を知ることもできるよい機会になります。

これらの記録は、ただ残せばよいのではなく、活用してこそ生きてきます。おすすめ本のリストを作成したり、次のプログラムを作成したりするときの参考にもなります。子どもたちの反応を書くことで、よりよいおはなし会の雰囲気作りにも生かしていくことができます。

 おはなし会の記録は、特別の用紙を準備しなくても、ノートに記入する形でも構いません。その場合は、必要事項が漏れなく記入できるように、表紙裏などに記入項目を添付しておくとよいでしょう。また自治体によっては、記録票が決まっている場合もあります。それを活用してください。

参考までにおはなし会の記録用紙(案)をPDFで取り出せるようにしておきます。

 〇〇図書館おはなし会記録(例)

 ******************************

さて、2016年4月から6回にわたって連載してきた「おはなし会のいろは」は、これで終了です。何もわからないまま児童担当になって、はじめておはなし会を担当しなければならない、という初心者向けに連載してきました。この6回の連載をじっくり読んでいけば、おはなし会のノウハウはある程度理解できると思います。

はじめて担当する時は緊張するものですが、コチコチになっていると、子どもたちに伝わってしまいます。まずは担当するみなさんが肩の力を抜いて、楽しむことが大切です。もしも読み間違えてしまっても、大丈夫です。子どもの心を傷つけるような本を選書しなければ、あとは少々失敗しても大丈夫です。本の中に広がっている豊かな世界が、その失敗をカバーしてくれます。

選書にしても、最初はうまく選べないかもしれません。何度も読んでいるうちに、子どもたちが集中している様子などを見て、わかってくると思います。ゆめゆめウケる本が良い絵本だと思わないでくださいね。とにかくたくさんの本を読む。児童担当にとって、それが何より大切です。たくさんの本を手にしているうちに、手渡したい子どもたちの顔が浮かんでくると思います。

また、(その3)にも記していますが、図書館のおはなし会を通して、ご家庭で子どもたちのために本を読んであげることの楽しさを、付き添ってきている親たちに伝えることが一番大切です。そのためにも、付き添いの大人の方も一緒に過ごせるような言葉がけをしてください。

図書館のおはなし会で、子どもも大人も、スタッフのみなさんも、たくさんの笑顔になれますように!

 おはなし会のいろは(その1)絵本の持ち方、めくり方
 おはなし会のいろは(その2)絵本の読み方 声の出し方
 おはなし会のいろは(その3)おはなし会の会場設営・雰囲気作り
 おはなし会のいろは(その4)プログラムの作り方
 おはなし会のいろは(その5)おはなし会でのこんなハプニング、あなたならどうする?

 (作成K・J)

訃報 佐藤さとるさん


『だれも知らない小さな国』(コロボックル物語1 村上勉/絵 講談社 1959)で知られる児童文学作家の佐藤さとるさんが、2月9日に亡くなられたという知らせが入ってきました。88歳だったそうです。→朝日新聞記事
コロボックル物語は、生まれて58年。子ども時代に読んだという人が、親になり、今は祖父母になる世代です。このシリーズも親子三世代が読み継ぐことのできる作品です。戦争体験し、高度成長期の自然破壊を見てきた佐藤さんの作品は、ファンタジーではありますが、注意深く読むとさまざまなことを教えてくれるものでした。もっともそうしたことに気づいたのは、大人になって読み返してからでしたが。

コロボックル物語 全6巻
佐藤 さとる
講談社
2000-04-04

 

 

 このシリーズには思い入れがあり、「基本図書を読む」の連載の15回目に記事も書いています。→基本図書を読む15『だれも知らない小さな国』

絵本も子どもらしい視点で描かれており、私自身がほんとうに大好きでした。またわが子と何度も読んだ思い出の絵本でもあります。

『おおきなきがほしい』佐藤さとる/作 村上勉/絵 偕成社 1971

 

 

『ふしぎなふしぎなながぐつ』佐藤さとる/作 村上勉/絵 偕成社 1972

 

 

 

『おばあさんのひこうき』佐藤さとる/作 村上勉/絵  小峰書店 1973

おばあさんのひこうき (創作幼年童話選 4)
佐藤 さとる
小峰書店
1973-02-28
 
 
 
 

昨年の3月には自伝小説『コロボックルに出会うまで サットルと『豆の木』』を偕成社から出版され、東京新聞でインタビューに答えていらっしゃいました。(2016年5月1日→こちら

コロボックルに出会うまで 自伝小説 サットルと『豆の木』
佐藤 さとる
偕成社
2016-03-15
 
 
 
 
この本を読み返して、佐藤さとるさんの想いをもう一度胸に刻みたいと思います。

 
(作成K・J)

「子どもの本の日フェスティバル2017」のお知らせ


VIAXが法人会員になっているJBBY(日本国際児童図書評議会)主催の「子どもの本の日フェスティバル2017」が、3月4日(土)、3月5日(日)の二日間にわたって大崎にあるゲートシティホールにて行われます。

4月2日は、「はだかの王様」や「みにくいあひるのこ」で知られるデンマークの童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの誕生日。「国際子どもの本の日」として、世界中でお祝いをしています。「子どもの本の日フェスティバル」もそれを記念して行われる行事です。

また、合わせて「世界の子どもの本展」も行われます。IBBYがすすめる世界の児童書が200冊以上勢ぞろいします。トークイベントなども併せて行われます。そちらは申し込みが必要となっています。

詳しい行事の内容は、JBBYの公式Facebookでご確認できます。→こちら

3月4日(土)、5日(日)10:00~17:00 大崎ゲートシティホール・アトリウム

Aワークショップ「布えほん ぱくぱくを作りましょう!」 *
  3月4日(土)10:30~11:30 講師:ぐるーぷ・もこもこ
Bワークショップ「ぼくの知らないじぶんの絵」  *    
  3月4日(土)13:00~16:00 講師:はたこうしろうさん
Cサイエンスショー「タマゴのサイエンス」とミニ工作   
  3月4日(土)10:30~12:00 講師:市川雅子さん+チームMs.サイエンス
Dアンデルセン落語会
  3月4日(土)14:00~15:00 演者:桂扇生師匠
E紙芝居
  3月5日(日)10:30~11:30 演者:中平順子さん
―「世界の子どもの本展」関連イベント―
Fトークイベント「子ども・本・世界」  *
  3月4日(土)10:30~12:30 コーディネーター:さくまゆみこさん・宇野和美さん
G布絵本と子どもたち 1)布絵本を読み合おう!
  3月4日(土)13:30~15:00
 2)講演とディスカッション  *
  3月4日(土)15:30~17:00 講師:林左和子さん
 
*印は要申込
申込、問い合わせはJBBY事務局へ kodomo2017@jbby.org

・イベント名・お名前・人数・住所・連絡先を明記して上記アドレスへ申込してください。
2月20日必着

16603074_1193922350729351_8151326252046480235_n

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

16427766_1193922380729348_3381798760092100490_n

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

15181572_1193928714062048_6754278372043975012_n

2017年4月(その2)とんでいこう(幼児~小学生)


4月は新しいことが始まる月。新しいクラス、新しい友達。春の陽ざしを受けて、新しい世界へと飛び立っていけるようにと願って、プランを考えました。また2017年度は、「耳から聞く読書」を子どもたちに手渡すために、素話(ストーリーテリング)のレパートリーを増やす活動に取り組む予定です。幼児~小学生向けのおはなし会プランには必ず一つ、素話を組み入れていきます。比較的短くて、初心者にも覚えやすい素話のテキストを選んでいきますので、これまで素話に挑戦してこなかった方にもぜひ取り組んでもらえればと思います。

******************************

【とんでいこう】

導入 詩「ちょうちょになって」田中美桜(千葉・4歳) 『おどる詩あそぶ詩きこえる詩』(はせみつこ/編 飯野和好/絵 冨山房インターナショナル 2015)より 2分

ままといっしょに
ちょうちょに なって
おそらを とびたいな
(以下 略)

おどる詩 あそぶ詩 きこえる詩
冨山房インターナショナル
2015-04-19


4歳の女の子の素直な感情がそのまま詩になっています。「ままといっしょに」というところが、まさに4歳児。小学生になったら、一緒に行きたいのは、ママではなく友達に変化しているでしょう。「ままといっしょに」行きたい場所も素敵です。子どもたちにも復唱してもらって、一緒に詩のことばを味わってもらいましょう。

 

絵本『ちょうちょ』江國香織/作 松田奈那子/絵 白泉社 2013 2分半

ちょうちょ (MOE BOOKS)
江國香織
白泉社
2013-09-20
 
評価の分かれる作品ですが、私はあえて今回選んでみました。春の陽ざしの中を自由に飛び回れる蝶の生命力を感じる絵です。「ちょうちょはどこにでもいかれる きのうをとびこえ きょうをくぐりぬける」。子どもたちの育っていこうとする力を、枠にはめずに、「どこへでも」飛んでいけるように見守る存在でありたいと思います。
 
 
素話「鳥のみじい」 『子どもに語る 日本の昔話2』(稲田和子・筒井悦子/著 こぐま社 1995)より 5分
子どもに語る日本の昔話〈2〉
稲田 和子
こぐま社
1995-12
 
「アヤチュウチュウ コヤチュウチュウ ニシキサラサラ ゴヨノサカズキ モッテマイロウカ ビビラビーン」とかわいらしい声でなく鳥を、愛でるあまりに飲み込んでしまったおじいさんのお話。紙芝居や、絵本にもなっている題材ですが、耳から聞く楽しさを味わってもらえたらと思います。鳴き声の繰り返しが多く、覚えやすいお話です。
 
 
絵本『のげしとおひさま』甲斐信枝/作 福音館書店 2015 2分


かがく絵本を1冊紹介します。こちらは月刊「ちいさなかがくのとも」2007年5月号がハードカバーになったものです。たんぽぽと比べると、認知度の低いのげしですが、道端にたくさん咲いていて子どもたちにも親しみのある花です。のげしが、綿毛を飛ばすページ、「のげしは はるかぜにのって、おおぞらを とびました。どこまでも どこまでも とびました。」という言葉が、つぎの生命への希望へとつながって、力強く感じます。
 
 
絵本『こぶたたんぽぽぽけっととんぼ』馬場のぼる/作 こぐま社 1990 2分

こぶたたんぽぽぽけっととんぼ
馬場 のぼる
こぐま社
1990-06

最後の絵本はことば遊び、しりとりの絵本です。ちょっととぼけた感じのこぶたとたぬきときつねとねこの春の一日を馬場のぼるさんのしりとり絵本で楽しみましょう。最後は疲れておんぶでさようならです。
 
しめくくりのわらべうた さよならあんころもち

(作成K・J)

2017年4月(その1)あったかくていいきもち(小さい子)


春はいろいろなものが芽吹き、成長する季節。その成長を見守ってくれる親や、大自然の恵み。そんなことを小さな子どもにことばで説明する必要はないけれど、こんな絵本を読んであげれば伝わるのではと思います。

春ってあったかくていいきもちだよ。ママの腕の中のようにね。おひさまに抱っこされているみたいだね…と。

************************

【あったかくていいきもち】

導入 わらべうた

たんぽぽ  

たんぽぽ

 

 

 

 

「たん」で手をたたき、「ぽぽ」で赤ちゃんの頬をそっとつつきます。「むこうやまへ」では両手をとって左右に揺らし、「とんでけー」で大きく横に振り切ります。小さい赤ちゃんの場合は腕が抜けないように、そおっと振ります。

 

このこどこのこ

このこどこのこ

 

 

 

 

 おひざに赤ちゃんをのせてしっかりと赤ちゃんを抱っこします。そして歌に合わせて赤ちゃんではなく、大人がゆっくりと軽く左右に揺れます。

 

絵本『ママだいすき』まど・みちお/作 ましませつこ/え こぐま社 2002 2分

ママだいすき
まど みちお
こぐま社
2002-02

小さな子どもにとってママがすべてです。乳児期にしっかりとママへの信頼を築くことができれば、2歳を過ぎて自我が出来ていく過程で、上手に親離れできます。それまでは「だいすき」としっかり受け止めてあげましょう。

 

絵本『いいきもち』ひぐちみちこ/作 こぐま社 2004 1分半

いいきもち
ひぐち みちこ
こぐま社
2004-03

 たねは土に抱かれていいきもち。お花は風に抱かれていいきもち。あかちゃんはお母さんに抱かれていいきもち。そしてみんなはおひさまの光に抱かれていいきもち。やさしく包んでくれる春の陽ざし。生かされているものの喜びにあふれているようです。

 

絵本『ちょうちょ はやくこないかな』甲斐信枝/作 福音館書店 1997 2分

小さな青い花をたくさんつけて咲くオオイヌノフグリが主人公の絵本です。いろいろなちょうちょが飛んでくるけれど、なかなか自分のところに止まりません。小さな花の気持ちになって、どきどきすることでしょう。この絵本を読んでもらったら、お散歩の途中で道端に咲いている小さな花にもきっと目が留まることでしょう。
 

わらべうた くまさんくまさん

くまさんくまさん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おはなし会の最後は「くまさんくまさん さようなら」でさよならをします。子どもたちが立ち上がって、歌に合わせて遊んでもいいし、ミトンくまさんを使って遊んでもよいでしょう。

(作成K・J)

トップページに戻る