Yearly Archives: 2018

『スロバキアのともだち・はなとゆろ おるすばんのぼうけん』BIBIANAから賞を贈られました!
2018年7月(その1)夏も元気だよ!(小さい子向け)
「お話(素話)を学ぶ第5回、第6回」報告
3月、4月の新刊から
7月のおすすめ本☆リスト2018(更新あり)
訃報 かこさとし(加古里子)さん だるまちゃん さようなら!
訃報 アリス・プロヴェンセンさん
おすすめ幼年童話14『オンネリとアンネリのおうち』マリヤッタ・クレンニエミ
2018年6月(その2)おへそにきをつけろ!(幼児~小学生)
第四次「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」が公表されました
基本図書を読む1 『エーミールと探偵たち』 エーリヒ・ケストナー(再掲)
2018年6月(その1)いっしょにはいろう(小さい子)
6月のおはなし会☆おすすめ本リスト(2018)(更新あり)
児童サービス年間業務計画、講演会・イベント等の工程表
おすすめ幼年童話13『こぶたのピクルス』小風さち

『スロバキアのともだち・はなとゆろ おるすばんのぼうけん』BIBIANAから賞を贈られました!


「2017年12月、2018年1月の新刊から」の記事(→こちら)で紹介した福井さと子さんの絵本『スロバキアのともだち・はなとゆろ おるすばんのぼうけん』が、スロバキア国内で「スロバキアの最も美しい絵本賞」の学生部門賞を受賞したというニュースが入ってきました。

これらの賞を主催しているのは、BIBIANAというブラティスラヴァ世界絵本原画展のためにつくられた文化機関で、日本におけるJBBY(日本国際児童図書評議会)と同じような役割を果たしているとのことです。(受賞を伝えるBIBIANAのサイト(スロバキア語→こちら

 

 

『スロバキアのともだち・はなとゆろ おるすばんのぼうけん』福井さとこ/作 JULA出版局 2017/12/25

おるすばんのぼうけん―スロバキアのともだち・はなとゆろ
福井 さとこ
JULA出版局
2017-12-25

 

プラチスラヴァ芸術大学版画学科大学院で、スロバキアの版画家で絵本作家ドゥシャン・カーライの下で版画と絵本製作について学んだ福井さんの卒業制作が、JULA出版局から出版されました。

3色刷りの版画で描かれているのは、福井さんがスロバキアでベビーシッターをしていた子ども達のの姿です。

お留守番をすることになったはなとゆろの兄妹。妹が寂しそうにしているので、お兄ちゃんのゆろは椅子に布をかけて「チャーリー マーリー フック!」と呪文を唱えると、椅子は馬になり、積木は村に、ソファは山に、観葉植物のベンジャミンとポトスは森に、そしてなんとハサミは空飛ぶ鳥になるのです。ふたりはからすが探すテントウムシを探す冒険へ出かけます。洗濯物たちはみんな動物になってふたりの冒険を助けてくれます。本はふくろうになります。

「チャーリー マーリー フック!」はスロバキアの子ども達が遊びの中で使う呪文の言葉。日本で言えば「ちちんぷい」みたいな感じでしょうか。折込にはスロバキアのわらべうたも楽譜入りで掲載されています。海の向こうの子どもたちの遊びに想いを馳せるのも素敵な経験になると思います。 

版画で描かれる子どもたちの空想の世界は、どの国の子どもたちも同じなんだなと感じます。

 

この機会に、まだ手にしていない方は読んでみてください。

注文などはJULA出版局まで(→こちら

(作成K・J)

2018年7月(その1)夏も元気だよ!(小さい子向け)


今年は春先から気温の高い日が多く(逆に気温が下がる時もあって変化が激しいですね)、今年の夏はいったいどうなるのかな、と今から心配です。それでも、子どもたちにとって夏は薄着になって、気持ちも開放的になる季節。

太陽の光を浴びて夏でも元気に過ごしてほしいなと思います。そんな思いをこめて、小さい子向けのおはなし会プランを作成しました。

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【夏も元気だよ!】

導入 わらべうた ととけっこう
ととけっこう

 

 

 

絵本『ちびすけどっこい』こばやしえみこ/案 ましませつこ/絵 こぐま社 2012 1分半

「ちびすけどっこい はだかでこい ふんどすかついで はだかでこい」7月は名古屋で大相撲七月場所も開催される季節。小さい子どもにとっては、薄着になって身軽に身体を動かせる季節です。わらべうたを歌いながら、お相撲遊びをしてみるのもいいですね。

 

わらべうた ちびすけどっこい

ちびすけどっこい 

 

 

 

おかあさんのおひざの上に向かい合って座り、リズムに合せておかあさんと両手のひらを合わせて押し合います。

 

絵本『ごぶごぶごぼごぼ』駒形克己/作 1999 1分

ごぶごぶ ごぼごぼ (0.1.2.えほん)
駒形 克己
福音館書店
1999-04-15

 3度ほど、駒形克己さんのお話を伺ったことがあります。この絵本はあかちゃんがお腹の中で聞いていた音を表現しているということでした。(娘さんが胎内記憶も持っていた2歳のお誕生日のころに「ママのお腹の中はこうだった」というおしゃべりを絵本で表現したとのこと)お誕生前のあかちゃんに読み聞かせると注視したり、泣き止んだり、笑顔になったりする絵本です。ごぶごぶごぼごぼはおかあさんのお腹の中で腸が動く音かしら。水が流れていく音にも似ていますね。

 

わらべうた うみだよやまだよ

うみだよかわだよ

 

 

 

 

 

ここ3年続けて7月のおはなし会プランで紹介しているわらべうたです。夏にこそ、歌ってあげたいわらべうたです。遊び方はYouTubeなどにあがっています。スパークハーフという断ち切りで端糸の出ない布などで遊ぶと楽しいでしょう。(遊び方動画→こちら

 

わらべうた おふねがぎっちらこ

おふねがぎっちらこ

 

 

 

おかあさんのおひざの上で向かい合わせに座り、両手をつないで前後に揺れながら舟を漕ぎます。

 

絵本『かわいいあひるのあかちゃん』 モニカ・ウェリントン/作 たがきょうこ/訳 徳間書店 1994 2分

かわいいあひるのあかちゃん
モニカ ウェリントン
徳間書店
1994-07-01

かわいいあひるのあかちゃんの一日を描いた絵本です。好奇心いっぱいのあかちゃんは、見るもの、すべてが気になります。でもそうやってひとつひとつのことを覚えていくのですね。そうして最後はおかあさんの羽の下にみんな集まって安心して休みます。ちゃんと見守ってくれる存在があるからこそ、小さな子どもはいろんなことに触れて成長していけるのですね。水の色が涼しげで、楽しい絵本です。 

 

 絵本『ひまわり』和歌山静子/作 福音館書店 2005 1分

ひまわり (幼児絵本シリーズ)
和歌山 静子
福音館書店
2006-06-15
 
最後の1冊は元気よく芽を出し、伸びていくひまわりの絵本です。「どんどこ どんどこ」の繰り返しが単調にならないよう、読み方に工夫しましょう。読み終わったら子どもたちも一緒にひまわりになって、最初は小さくかがみ、少しずつ手と体をだんだん上に伸ばしていって、最後は頭上で手を広げてひまわりのように開く動作をやってみてもよいでしょう。
 
わらべうた さよならあんころもち
 
(作成K・J)
 

「お話(素話)を学ぶ第5回、第6回」報告


 29年度児童部会第5回(30年1月19日)と、第6回(3月16日)では、29年5月から学んできた「お話(素話)を学ぶ」の集大成として、各自が覚えたお話を部員たちの前で語りました。

 すでに図書館のおはなし会で語りをしている部員と、29年度の部会でお話を語ることの意義を学んでお話を覚え、人前で初めてお話を語る部員とがいて、それぞれがお互いの語りから多くのことを学び取りました。

 お話を語ってもらうことの楽しさ、耳から聴く読書が想像の世界を深めてくれることを身をもって体験したことは部員たちにとって大きな収穫であったと思います。

 文字をもたない太古の昔から、人々はさまざまな知恵や物語を語り継いできました。そうした耳から聴くことの醍醐味を子どもたちにも伝えていけるよう、図書館のおはなし会で積極的に「お話(素話)」を取り入れてほしいと思います。

 第5回の報告書提出が遅れたため、先に提出された第6回の報告書をUP出来ませんでした。今回まとめて2回分をここに公開いたします。illust1892_thumb

 

第5回児童部会報告書

第6回児童部会報告書

 

部会の様子は、第5回(→こちら)と第6回(→こちら)を参照ください。プログラムもそちらで公開しています。

(報告書作成 第5回B区M・N 第6回K区R・M)

3月、4月の新刊から


 2018年3月、4月に出版された児童サービス向け出版物(絵本、児童書、ノンフィクション、YA向け、教育者・研究者向けなど)の中から、おすすめの本を紹介します。(一部、見落としていた2月に出版された本も含まれています)

ここに紹介している本は、実際に手にして読み終えた中から選んでいます。出版されたすべての新刊本を購入して読むことはできませんが、毎月、教文館ナルニア国の新刊本コーナー、クレヨンハウス新刊本コーナー、横浜日吉にあるともだち書店、代官山蔦屋書店児童書コーナー、茗荷谷てんしん書房など、信頼できる児童書の目利きのいる書店にある本から選書し、購入し、読んで記事にしています。

 (なお、画像はブログ用Amazonアフィリエイトを使用しています。書誌事項は奥付の出版年月日にしており、Amazon入荷日とちがって表示されることがあります。ご了承ください。)

 

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【絵本】 

『ほうまん池のカッパ』椋鳩十/文 赤羽末吉/絵 BL出版 2018/2/1

ほうまん池のカッパ
椋 鳩十
ビーエル出版
2018-01-26
 
種子島に伝わる昔話です。島一番の力持ちで、釣も腕も島一番といつも自慢するとらまつですが、ある日地面の下から伸びてきた手につかまり獲った魚を奪われてしまいます。カッパの仕業で、ほうまん池には十匹ものカッパが棲んでいるのでした。とらまつはカッパを捕まえようと待ち受けますが、カッパのほうがどうやら一枚上手のようです。さてさてこの勝負、いったいどうなることでしょう。再話は椋鳩十、絵は赤羽末吉で、1975年に銀河社から出版されて長く絶版になっていたものが、BL出版から復刊されました。

 

『大根はエライ』久住昌之/文・絵 たくさんのふしぎ傑作集 福音館書店 2018/2/25

大根はエライ (たくさんのふしぎ傑作集)
久住 昌之
福音館書店
2018-01-10

月刊「たくさんのふしぎ」2003年9月号が、今年ハードカバーになりました。『孤独のグルメ』などの作品がある漫画家久住昌之氏の初の絵本作品です。大根おろしや刺身のつまとして他の食品の味を引き立てたり、おでんや煮物で一緒に煮るものによって美味しさがかわったりと、脇役でいながら無くてはならない存在の大根を、それこそ味わい尽くす1冊です。ユーモアたっぷりでいながら大根に関する知識が増す、まさに大根のような味わい深い1冊です。(銀座・教文館ナルニア国でバージニア・リー・バートン展に合せた久住氏のトークイベントに参加してきました。『せいめいのれきし』に大きな影響を受けてきたとのことでした。)

 

『おひさまでたよ』北村人/作 絵本館 2018/3

おひさまでたよ
北村 人
絵本館
2018-03-15

暖かい色のクレヨンの線で描いた小さい子向けの可愛らしい判型の絵本。「ぽかぽか ぽかぽか いいきもち」、「ぽかっぽかっ ふあーあ いいきもち」、ページをめくると動物たちがおひさまの温かい陽射しの中でのーんびりしています。のーんびりすること、これが出来そうでいて、なかなか出来ないからこそ、そんな時間を大事にしたいなと思います。

 

『黄金りゅうと天女』代田昇/文 赤羽末吉/絵 BL出版 2018/3/20

黄金りゅうと天女
代田 昇
ビーエル出版
2018-03-15

沖縄慶良間諸島に伝わる昔話です。1974年に銀河社から出版されていましたが、この度BL出版から復刊されました。昔、沖縄の武士と百姓の娘が身分違いの恋に落ち、天女のお告げの通りに慶留間島に渡ります。そこで生まれた可愛(かな)という娘は、賢く育ちます。しかし七才になった朝、可愛は「天にいかねばならない」と言ってオタキ山へ登っていき、阿嘉島オタフキ山にいた黄金の竜の背に乗って天に昇って行ってしまったのです。人々が可愛のことを話題にしなくなった頃、島へ大和民族の海賊が襲ってきました。村々は略奪されますが、そこに黄金の竜が現れるのです。沖縄の昔話も大切に語り継いでいきたいですね。

 

『さとやまさん』工藤直子/文 今森光彦/写真 アリス館 2018/4/5

さとやまさん
工藤 直子
アリス館
2018-03-23

写真家今森光彦さんは滋賀県大津市の里山で暮し、四季折々の自然の変化を観察し、そこに集う蝶を始めとする虫たちとの生活を大切にしてこられました。そうした里山の動植物や生活はこれまでも写真絵本やNHKの番組「オーレリアンの庭-今森光彦 四季を楽しむ里山暮らし」で紹介されてきました。この度は里山で撮影された夥しい数の写真の中から、厳選された春夏秋冬の表情が切り取られ、それに工藤直子さんが詩をつけました。またその詩に新沢としひこさんが曲をつけて、出版記念トークイベントで披露されました。人々の暮らしを豊かに彩る里山が、過疎化によって各地で放置されているというニュースも聞きます。里山の存在価値が見直されてほしいと願います。

 

『ぐるぐるちゃん かくれんぼ』長江青/文・絵 菊地敦己/ブックデザイン 福音館書店 2018/4/5

ぐるぐるちゃん かくれんぼ (福音館あかちゃんの絵本)
長江 青
福音館書店
2018-04-04
 
福音館書店のあかちゃんの絵本で、こりすのぐるぐるちゃんが活躍する『ぐるぐるちゃん』、『ぐるぐるちゃんとふわふわちゃん』に続く3冊目です。ぐるぐるちゃんはある日おとうさんといっしょにさんぽに出かけ、かくれんぼをします。ぐるぐるちゃんがあまりに上手にかくれたので、おとうさんはみつけられません。さてさて、どうなるかしら。小さな子どもの心に寄り添う可愛らしい絵本です。
 
 
『パンダのあかちゃん おっとっと』まつもとさとみ/作 うしろよしあき/文 わたなべさとこ/絵 KADOKAWA 2018/4/26
 
パンダのあかちゃん おっとっと
まつもと さとみ
KADOKAWA
2018-04-26
 
あかちゃんと絵本について研究をされたいる後路好章さんが文章を書き、2015年にボローニャ国際絵本原画展で入選した渡邊智子さんが絵を描いたパンダのあかちゃんが愛らしい絵本です。パンダの絵本は、シャンシャン効果もあって、たくさん出ていますが、小さな子どもたちが喜ぶ耳心地のよさがあり、この作品を手に取ってみました。
 
 

『村じゅうみんなで』ヒラリー・ロダム・クリントン/文 マーラ・フレイジー/絵 落合恵子/訳 徳間書店 2018/4/30 

村じゅう みんなで (児童書)
ヒラリー・ロダム・クリントン
徳間書店
2018-04-25
 
3年前のアメリカ大統領選でトランプ大統領と競ったヒラリーさんが文章を書いた絵本です。「子どもを育てるには村中みんなの力が必要だ」というアフリカのことわざを、ヒラリーさんは信念としてきました。この絵本では、子どもが望む「こんな公園があったらいいな」を、おとなもこどもも、自分の出来ることを分担し合って、一緒に作り上げていきます。おとなは子どもの持っている良さを信じ、また家族という狭い枠だけでなく社会とのかかわりの中で育てていくことの大切さを、ヒラリーさん自身が子育ての中で、また政治活動の中で感じてきたといいます。マーラ・フレイジーの描く絵も、あちこちから子どもやおとなたちの声が聞こえそうなほど生き生きとしています。

 

『花ばあば』クォン・ユンドク/絵・文 桑畑優香/訳 ころから 2018/4/29

花ばぁば
クォン・ユンドク
ころから株式会社
2018-05-02
 
当初、童心社から10冊出ている日中韓平和絵本として出版される予定だった絵本です。日中韓平和絵本は戦争を体験した絵本作家浜田桂子さん、和歌山静子さん、田島征三さんたちが韓国、中国の絵本作家との交流を通して、次の世代へ平和な時代を手渡したいと、歴史と向き合い、日中韓双方の国で出版することを前提に、参加した絵本作家が作成しました。ところがクォン・ユンドクさんの描く日本軍慰安婦をテーマにした絵本だけは、このシリーズから出すことが出来ませんでした。韓国では出版されて版を重ねているこの美しい絵本を、なんとかして日本でも出版したいと、田島征三さんがクラウドファンディングで呼びかけ、多くの人の支援を受けて、この度新興の小さな出版社から出版されました。
 昨年は#MeToo運動が世界的に広がりをみせ、また世界各地でイスラム過激派による女子学生襲撃事件も繰り返されており、若い女性には関心のあるテーマです。日本人としてデリケートな問題を含んでいますが、この問題を正面から直視することは大切です。近年、ナチスドイツによるホロコーストをテーマに扱った児童書がたくさん出ています。それはドイツが第二次世界大戦後に自分たちの犯した過ちをきちんと受け止め総括しているからともいえます。一方で日本ではこの問題を無かったかのように扱う勢力があって、過去の清算が中途半端に終わっています。ユンドクさんの来日に合わせた講演会に参加してきました。日本を責めるものではなく客観的な事実に基づいて文章が練られ、戦争というものの愚かさを伝えています。絵は柔らかくとても美しい絵本です。YA世代にぜひ手渡していきたい1冊と考えています。
 
 
 
【児童書】

『石井桃子 子どもたちに本を読む喜びを(伝記を読もう)』竹内美紀/文 立花まこと/絵 あかね書房 2018/4/5
石井桃子: 子どもたちに本を読む喜びを (伝記を読もう)
竹内 美紀
あかね書房
2018-04-25
 
子どもの本の翻訳家として、作家として、戦後日本の児童書黄金時代を支えてこられた石井桃子さんについて描かれた伝記が出ました。作者は博士論文を『石井桃子の翻訳はなぜ子どもをひきつけるのか:「声を訳す」文体の秘密』(ミネルヴァ書房 2014)としてまとめ出版された竹内美紀さんです。前作は研究者の立場から書いた専門書ですが、この作品は子どもにわかりやすく石井桃子さんの生い立ちや遺した功績を伝えてくれています。あかね書房の「伝記を読もう」のシリーズは第1期で10冊第2期はこの本を含めて5冊出ています。

 
『四人のヤッコ』西内ミナミ/作 はたこうしろう/絵 すずき出版 2018/4/20

四人のヤッコ (おはなしのくに)
西内 ミナミ
鈴木出版
2018-04-16
 
 ヤッコは一人っ子です。ピアノの練習や学校の宿題で忙しい日々に、自分にそっくりな子がいればいいのになあと思います。ところがその願いがある日叶ってしまいます。ピアノを上手に弾くヤッコ、勉強をどんどん進めてくれるヤッコ、友達と楽しく遊ぶヤッコとほんとうのヤッコの四人になってしまったのです。最初は喜んだのもつかの間、ヤッコはなんだか浮かない顔です。『ぐるんぱのようちえん』などの作品がある西内ミナミさんは1979年に『四人のヤッコと半分のアッコ』(絵童話 山口みねやす/絵)を日本教文社から出しています。この度、はたこうしろうさんの絵でまったく新しい版として出ました。子どもたちにとっても身近なテーマで、楽しんで読めることでしょう。
 
 
 
【その他】
 
『子どもの人権をまもるために』木村草太/編 晶文社 2018/2/10
子どもの人権をまもるために (犀の教室)
木村草太
晶文社
2018-02-08
 
私たちが本を手渡そうとしている子どもたちの権利はどのように扱われているのか、第1部家庭、第2部学校、第3部法律・制度とわけて、今子どもたちが置かれている状況を伝えてくれている1冊ですこの本を読むと、現代の子どもたちを取り巻く状況は虐待や貧困、保育の不足など、報道等で知る以上に厳しい現実があることも見えてくる。こうした事実に目を向けることは、図書館の児童サービスをどのように地域の子どもたちに届けられるかを検討する上でも大切だと思います。ぜひ通読しておくことをお薦めします。

 
『13歳からの絵本ガイド YAのための100冊』金原瑞人、ひこ・田中/監修 西村書店 2018/4/18

13歳からの絵本ガイド YAのための100冊
金原 瑞人
西村書店
2018-04-18
 
絵本は文章と絵が互いに引き立て合って、独自の世界を表現したものです。芸術性の高い作品や、人生の深い機微に鋭く切り込んだ優れた作品も多く出ています。ところが絵本は幼い子どものためのものという先入観が強いせいか、小学生高学年や中高生にこそ読んでほしいという作品がなかなかその世代に手に取られてないということがありました。この絵本ガイドは、十代の子どもたちに手にしてほしい絵本の情報をぎゅっとひとまとめにしています。ここにある絵本は、YAコーナーで展示してみるとよいと思います。
 
(作成K・J)

7月のおすすめ本☆リスト2018(更新あり)


7月のおはなし会やブックトーク、特集展示などで使える本のリストを更新しました。2017年、2018年に出版された本も追加しました。

プリントアウトしてファイリングしたり、利用者からの問い合わせにもご活用ください。

7月のおはなし会おすすめほんリスト2018

5月15日に3冊追加して更新しました。

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訃報 かこさとし(加古里子)さん だるまちゃん さようなら!


『だるまちゃん』シリーズに『海』『地球』『宇宙』などの福音館の科学シリーズ(福音館書店)や、『どろぼうがっこう』、『からすのぱんやさん』(偕成社)など3世代にわたる多くの子どもたちに愛されてきた作品があるかこさとし(加古里子)さんが、5月2日に92歳で亡くなられたというニュースが入ってきました。(第一報→こちら)(続報→NewsPass

だるまちゃんとてんぐちゃん
加古 里子
福音館書店
1967-11-20
 
 

海 (福音館の科学シリーズ)
加古 里子
福音館書店
1969-07-25
 
 
 
 
地球 (福音館の科学シリーズ)
加古 里子
福音館書店
1975-01-20
 
 
 
 

ここ数年、ロングセラーのシリーズに新作を書き加えていらしたかこさん。

先月の「新刊本・話題の本」本として、『過去六年間を顧みてかこさとし小学校卒業のときの絵日記』(偕成社)を紹介したばかりでした。

かこさんの作品は、紹介しきれないほどたくさんあります。そしてそれぞれに思い出の1冊があることでしょう。

過去六年間を顧みて かこさとし 小学校卒業のときの絵日記
かこ さとし
偕成社
2018-03-14
 
 
 

 

かこさんは、戦前の教育の中で戦争を美化する思想を刷り込まれたことを、戦後とても悔いていらして、子どもたちに平和な未来を手渡すために、なんとしても戦争は放棄すべきであると訴えてこられました。民主主義の大切さも、ずっと訴えて来られていました。

未来のだるまちゃんへ (文春文庫)
かこ さとし
文藝春秋
2016-12-01
 

子どもたちに本を手渡す者の一員として、その想いを胸に深く刻んでいこうと思います。心より冥福をお祈り申し上げます。

かこさとし公式サイト→こちら

(作成K・J)

訃報 アリス・プロヴェンセンさん


1984年に『The Glorious Flight』でコルデコット賞を夫マーティンと共に受賞したアリス・プロヴェンセンさんが4月23日に亡くなりました。1918年8月14日生まれで、100歳まであと4カ月足らずという99歳でした。(訃報を知らせるPublisher Weeklyの記事→こちら

この作品は1986年に『パパの大飛行』(脇明子/訳 福音館書店)として出版され、その後2009年に『栄光への大飛行』(今江祥智/訳 BL出版)として出版されました。

パパの大飛行 (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)
アリス プロヴェンセン
福音館書店
1986-02-28

 

栄光への大飛行
アリス プロヴェンセン
BL出版
2009-03
 
 
 

図書館では『かえでがおか農場のいちねん』(岸田衿子/訳 ほるぷ出版 1980)、『みみずくと3びきのこねこ-かえでがおか農場シリーズ』(岸田衿子/訳 ほるぷ出版 1985)、『かえでがおか農場のなかまたち』(乾侑美子/訳 童話館出版 1998)や、『動物げきじょう21幕』(乾侑美子/訳 童話館出版 1997)、『たまごってふしぎ』(こみやゆう/訳 講談社 2012)などの作品が馴染み深いことでしょう。『かえでがおか農場シリーズ』の絵本は、ニューヨーク州北部にプロヴェンセン夫妻が購入して住んだMaple Hill Farmの描写で、動物や自然への温かい眼差しを感じます。

かえでがおか農場のいちねん
アリス・プロベンセン
ほるぷ出版
1980-06-01
 
 
 


かえでがおか農場のなかまたち
アリス プロベンセン
童話館出版
1998-04-01
 
 
 

動物げきじょう〈21幕〉
アリス プロベンセン
童話館出版
1997-11-01
 
 
 
 
たまごって ふしぎ (講談社の翻訳絵本)
アリス・プロベンセン
講談社
2012-01-21

 

 

アリスは1918年にシカゴで生まれ育ち、シカゴ美術学校とUCLAで絵を学び、ニューヨークの the Art Students Leagueで訓練を受けました。その後カリフォルニアに移り、日本でも馴染みのある「Woody Woodpecker cartoons」等で有名なWalter Lantz Studiosで仕事をします。夫マーティンもディズニー映画でダンボやファンタジアの制作に関わります。その後マーティンは海軍に所属し戦争関連フィルムの制作に携わっている時にWalter Lantz Studiosで二人は出会って結婚します。

第二次世界大戦終結後は、二人で絵本の制作するようになり、そこから30年以上にわたって共同で作品を作り続けました。夫マーティンは1987年に70歳で亡くなっています。

これを機会に、またプロヴェンセン夫妻の絵本を子どもたちに紹介してみてください。

 (作成K・J)

おすすめ幼年童話14『オンネリとアンネリのおうち』マリヤッタ・クレンニエミ


連載14回めは『オンネリとアンネリのおうち』(マリヤッタ・クレンニエミ/作 マイヤ・カルヤ/絵 渡部翠/訳 福音館書店 2015)です。フィンランドの児童文学の定番で、1975年に大日本図書から出版され、自立をテーマにしたこの作品は多くの子どもたちの心を捉えました。その後プチグラパブリッシングから復刊されましたが品切れとなっていました。2015年に福音館書店から出版され、再び子どもたちの手に届くようになったのは嬉しいことです。

今年6月9日より、映画となって劇場公開されます。作品が映画の中でどのように描かれているか楽しみです。(映画「オンネリとアンネリのおうち」公式サイト→こちら)映画公開に合わせて、図書館でも続編『オンネリとアンネリのふゆ』と共に面だし展示してみてください。

 

オンネリとアンネリのおうち (世界傑作童話シリーズ)
マリヤッタ・クレンニエミ
福音館書店
2015-10-25
 
 
 
 

小学生の女の子、オンネリとアンネリは大親友。オンネリは九人兄弟の真ん中で、家ではいつもなんとなくひとりぼっち。両親とたくさんのきょうだいたちと一緒にひとつのお部屋で暮らしています。アンネリには大学教授のお父さんと趣味に忙しいお母さんがいますが、その両親は別居中。お手伝いさんが二人いて生活には不自由しませんが、お父さんの家でもお母さんの家でも何だか居場所がありません。ちょっと複雑な家庭環境の女の子たちです。

 夏休みのある日、二人はひょんなことから「ふたりの小さな女の子が住むのにちょうどいいおうち」を手に入れます。真っ白いレースカーテンのかかった客間、かわいい二羽の小鳥がさえずる鳥かご、きれいな色のお皿も冷蔵庫も食料も全部そろったドールハウスのような台所、そして今まで見たこともないような素敵な遊び部屋! 女の子の憧れ満載のお城のようなおうちで、二人は大人たちに邪魔されずに暮らすことにします。

子どもの頃、「自分だけの素敵なお部屋があったらいいなぁ」と空想したことは誰でもあるのではないでしょうか。このお話にはそんな夢がそこかしこに溢れています。二人が家の中を探検して素敵なお部屋を発見していく描写には、子どもも大人も垣根を越えて胸がわくわくすることでしょう。

また、この夢のようなおうちで、オンネリとアンネリがきちんと地に足の着いた生活を営んでいく様子も魅力的です。自分たちで食事の支度をし、片づけもして、ご近所さんにご挨拶をしてお客様としてきちんともてなします。個性豊かなご近所さんとのやり取りが描かれながら、お話はハッピーエンドへ向かっていきます。

オンネリとアンネリは二人だけの家で楽しく過ごしながらも、両親に構ってもらえずに少しさみしい思いも抱えていました。そこで二人はオンネリの誕生日パーティを企画し、家族も含めたたくさんの人たちを招待します。パーティにやってきた両親とお互いの気持ちを伝えあい、家族の愛情を確認し、そして改めて二人の家で暮らしたいと宣言します。「わたし、わたしたち、この夏はしあわせだったと思うわ」(p.172)という台詞のとおり、オンネリとアンネリも、二人の家族も、ご近所さんたちも、もちろん読者も、幸せな気持ちが広がっていくフィンランド生まれの楽しい夏の物語です。

 

(作成:29年度児童部会部員A.K)

 

第1回『おはようスーちゃん』→こちら
第2回『じゃんけんの好きな女の子』→こちら
第3回『こぶたのレーズン』→こちら
第4回『ちびっこタグボート』→こちら
第5回『スプーン王子のぼうけん』→こちら
第6回『プレゼントはお・ば・け』→こちら
第7回『ちびねこグルのぼうけん』→こちら 
第8回『宇宙からきたかんづめ』→こちら
第9回『ごきげんいかが がちょうのおくさん』→こちら
第10回『ジェニーとキャットクラブ』→こちら
第11回『火曜日のごちそうはヒキガエル』→こちら
第12回『ちびっこ大せんしゅ』→こちら
第13回『こぶたのピクルス』→こちら

 

2018年6月(その2)おへそにきをつけろ!(幼児~小学生)


6月は梅雨の季節。今年は春先の高温の状況などから2013年と同様の猛暑になるという予報で、集中豪雨も懸念されるとのこと。雨はすべての植物、動物にとっては天の恵みであり、降らないのは困りますが、過ぎたるは猶及ばざるが如し、被害の出ないことを祈ります。

さて、今回は素話「ヤギとライオン」と、絵本『へそとりごろべえ』を中心にプログラムを立てました。昨年末、長い間品切れだった赤羽末吉の『へそとりごろべえ』(1978年刊 童心社)が、改訂新版として復刊されました。赤羽末吉のユーモアあふれるこの作品は、私の友人が学童クラブで読んだところ、どの子も夢中になって聞いていたと聞きました。

雷のへそとりごろべえ、「ごーろごろーのぴーかぴか」と、雷を鳴らしてはいろんな動物や人物のへそを取って集めます。判型は小さいのですが、赤羽末吉らしい上等のユーモア絵本で、滑らかに口が回る節回しと、表情豊かな絵が、子どもたちを惹きつけるようです。おとなも子どもも一緒に楽しみたい絵本です。

 

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おへそにきをつけろ!】

導入 詩「あめ」山田今次/作 『おどる詩あそぶ詩きこえる詩』(はせみつこ/編 飯野和好/絵 冨山房インターナショナル 2015)より (p76~77)1分

おどる詩 あそぶ詩 きこえる詩
冨山房インターナショナル
2015-04-19
 
 
「あめ あめ あめ あめ
 あめ あめ あめ あめ
あめはぼくらを ざんざか たたく (後略)」
雨音を表現する擬音には「ぴちぴちぱちゃぱちゃ」「ぽつんぽつん」「ぱらぱら」「ざあざあ」など、様々ありますが、この詩で「ざんざか」「ざかざか」「ざかざん」と擬音が使われており、まさに集中豪雨の表現です。雨の降り方を表す擬音にもいろいろあることを、耳から聴きながら感じてほしいなと思います。
 
 
絵本『あめじょあじょあ』イ・ミエ/文 田島征三/絵 おおたけきよみ/訳 光村教育図書 2009 3分半

あめ じょあじょあ
イ ミエ
光村教育図書
2009-06

「雨はどうして降るのかな?」という疑問に答えてくれる絵本はいくつかありますが、今回選んだのは韓国の詩人で児童文学作家のイ・ミエさんの文章に田島征三さんが絵を描いた作品です。この絵本でも雨の擬音表現はさまざまで、「じょあじょあ」という響きも面白いですね。雨の降り方の違いにも触れていて、導入で使った詩の「ざんざか」降る雨はどうしてか、子どもたちが聞いていてわかるようになっています。
 
 
 
素話「ヤギとライオン」(内田莉莎子/訳 トリニダード・トバゴの昔話)『子どもに聞かせる世界の民話』(矢崎源九郎/編 実業之日本社 1988)より(p8~10)7分

子どもに聞かせる世界の民話
実業之日本社
1988-05-01
 
ヤギが夕立に遭い、誘われるままにライオンの家で雨宿りをすると、ライオンがヴァイオリンを出して歌を歌います。その歌詞に震えあがったヤギは機転を利かせて咄嗟に歌を作って応酬します。このお話は、この歌の応酬がポイントとなります。自分で節をつけて歌えるとよいのですが、どのように歌ってよいかわからない人はこぐま社刊『おはなし会ガイドブック―小学生向きのプログラムを中心に』(茨木啓子・平田美恵子・湯沢朱実/編著 2003)の巻末に平田美恵子さん作曲の譜面が付いているので参考にするとよいでしょう。
 
 低学年向けのおすすめの素話、中高学年向けのおすすめの素話がリストアップされています。また語る時に気をつけるとよいことや、一緒に組み合わせるとよい絵本なども紹介されています。おはなし会で素話を取り入れようとする時の心強い味方になるガイドブックです。
 
 
 
絵本『へそとりごろべえ』赤羽末吉/作 童心社 2017 3分半

へそとり ごろべえ (復刊傑作絵本 ことばと詩のえほん)
赤羽 末吉
童心社
2017-12-07
 
とにかく語呂のいいことばがリズミカルに続いていきます。おへそを取る時に出る音も、面白く、滑らかに口を突いて出るように練習をして臨みましょう。赤羽末吉画の絵本『ももたろう』の登場人物も出てきて、とにかく最後まで息つく暇もないほどです。この作品の面白さが伝えるためにも、何度も読み込んでおくことをおすすめします。
 
 
 
わらべうた きゃーろのめだまに
きゃーろのめだまに
 
 
 
 
 
 
 
 
 
唱え歌です。折り紙などで作ったカエルを上下に動かしながら歌ってみましょう。
 
 
 
絵本『あしたのてんきははれ?くもり?あめ?』野坂勇作/作 根本順吉/監修 かがくのとも傑作集 福音館書店 1993 5分

あしたのてんきは はれ? くもり? あめ? (かがくのとも絵本)
野坂 勇作
福音館書店
1997-05-31

最後の1冊は科学絵本です。雲の形や朝露、星の瞬き方で、翌日のお天気がわかることを13場面の劇場仕立てで教えてくれる絵本です。身近なことでお天気がわかると、ちょっとお友達にも自慢したくなることでしょう。こうした”センス・オブ・ワンダー”を子どもたちに伝えていきたいですね。

(作成K・J)

第四次「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」が公表されました


文部科学省より、「第四次子どもの読書活動に関する基本的な計画」が、4月20日に公表されました。

「子どもの読書活動の推進に関する法律」に基づいて策定されたもので、現在の子どもたちの現状を知ったり、これからのサービスを考えていくうえで重要な計画になります。
詳細は下記のウェブサイトよりご覧ください。
 

第四次「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」について 

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/04/1403863.htm

 

3月20日から4月2日にかけて実施していた同案へのパブリック・コメントの結果も公開されています。

「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画(第四次)」(案)に関するパブリックコメント(意見公募手続)の結果について

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000968&Mode=2

(作成 T.I)

 
  
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基本図書を読む1 『エーミールと探偵たち』 エーリヒ・ケストナー(再掲)


26年度~27年度と24カ月に渡って連載していた「基本図書を読む」は、連載当時たくさんの反響をいただきました。サイトで「本に関する情報」→「基本図書を読む」と辿っていただければ過去記事を読んでいただくことは出来ますが、もう一度多くの方に読んでいただくべく、今月より毎月連載をいたします。基本的に26年度~27年度の記事をそのまま公開日時を変更して再掲しますが、加筆修正する場合もあります。

「基本図書」を読んでいくことは、新しい本の評価の基準を持つことに繋がっていきます。児童サービス担当の方々には忙しい業務の時間を縫ってでも「基本図書」は読んでおくことをお勧めします。(2018/4/19記す)

 

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(以下、2014年4月18日公開記事)

「何か楽しい本ない?」と聞かれたとき、ブックトークを作成するとき、新刊図書の購入を検討するときなど、業務を行ううえで、本を選ぶ場面はたくさんあります。資料を選択するためには、その資料を評価しなければならず、資料を選ぶ判断基準が必要になってきます。判断基準をつくるには、とにかくたくさん本を読むことですが、とりわけ基本図書とよばれている本を読むことは、大きな力となってくれます。

基本図書とは、長い間子どもに愛され、読み継がれてきた本を言います。時の試練を経ても色あせることがない、読書の喜びを与えてくれる本で、図書館の蔵書の核となっています。基本図書を読むことで、子どもたちが本質的にどんなものを求めているのか、質の高い作品とはどのようなものなのか、図書館員としてどのようなものを手渡していくべきかが、自ずとみえてきます。

26年度「本のこまど」では、「基本図書を読む」というテーマで、毎月1冊の本を紹介する予定です。大人になっても楽しめる作品ばかりですが、子どもたちはどんなふうに読んでいるのだろうという視点も持って、味わってみてください。12冊の中から、みなさまにとっても、心に残る大切な1冊が見つかり、仕事をしていくうえで力になってくれればと思っています。

 

『エーミールと探偵たち』

4月は、ドイツの作家エーリヒ―・ケストナーの『エーミールと探偵たち』を紹介します。

エーミールと探偵たち (ケストナー少年文学全集 1)

エーリヒ・ケストナー著 高橋健二訳
岩波書店
1962-07-18

                                   

 

 

 エーミール少年は、母さんと二人で暮らしています。おばあさんの家まで一人旅をすることになりますが、列車の中で居眠りをし、母さんが懸命にためたお金を盗まれてしまいます。エーミールは、同じボックス席に座っていた怪しい男を追って、途中の駅でおり、知らない大きな町で、たった一人で尾行することにします。そこに、グスタフという少年があらわれ、協力してくれる町の仲間を呼び集めてくれるのです。少年たちは、資金を集め、状況がわかるように電話センターをつくるなど、綿密な計画をたて、行動を開始します。タクシーでの尾行、スパイとしてホテルに侵入、最後は新聞社が取材にくるような大騒動となりますが、少年たちは、盗んでいないと主張する犯人を追いつめ、見事につかまえるのです。

 真面目で母親思いのエーミール、行動的でガキ大将のようなグスタフ、賢い”教授くん”など親しみを感じる子どもたちが登場し、生き生きと活躍する様子は、読んでいて楽しく爽やかな気持ちになれます。

者は、ドイツの児童文学作家で、詩人、小説家、脚本家、評論家としても活躍し、1960年には国際アンデルセン賞を受賞しています。ナチスの時代には、執筆を禁止されながらも、作家として時代の目撃者であろうと、亡命せずにドイツに留まりました。本書のほか、『二人のロッテ』や『飛ぶ教室』などの代表作があり、いずれも筋立ては面白く、子どもの感じていることを大切にえがいています。子どもたちに敬意をもち、人生の明るい面も暗い面も描き出し、そしてユーモアを忘れないケストナーの作品は、本当の勇気をもらえます。

 

 

ケストナー―ナチスに抵抗し続けた作家
クラウス コードン
偕成社
1999-12

 

 

 

 

ケストナーの伝記に、クラウス・コードン著『ケストナー ナチスに抵抗し続けた作家』があります。欠点も含め、作家として一時代を生きたケストナーの姿が描かれている伝記です。写真も豊富で、小学校高学年くらいから読むことができますので、ケストナーの作品に親しんだ子どもに手渡すと、自分が愛読した作家の人となりを知ることができます。

(作成T.S
)  

2018年6月(その1)いっしょにはいろう(小さい子)


 小さな子どもたちは、どのくらいから他者への関わりを自分から持つようになるのだろうと考えると、生育環境や一人一人の資質にも寄りますが、2才半過ぎるころから、同年代の子どもへの愛着を示し、おとなの介在なしに遊ぶことができるようになってきます。そのような社会性が身につくためには、親がモデルになって、様々な体験を重ねていく必要があります。独り占めではなく「一緒に」何かを共有したり、「一緒に」体験することを繰り返して、子どもたちは社会性を身につけていくわけです。

なんだか、とても小難しいことを書いてしまいましたが、絵本を読んでもらう体験も同じ絵本を「一緒に」楽しむ、そんな経験だということを伝えたかったのです。図書館に集まってくる小さな子どもたちと、楽しい時間を「一緒に」共有できるおはなし会に関われる喜びを感じながら、おはなし会の準備をしましょう。

「かさ」をさしてあげるという行為も、まさに「一緒に」。6月のおはなし会プランを『かささしてあげるね』の絵本を中心に組み立ててみました。

 

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【いっしょにはいろう】

 導入 わらべうた このこどこのこ

このこ どこのこ かっちんこ
このこ どこのこ 〇〇ちゃん
遊び方 お膝の上に赤ちゃんをのせて、お母さんがそうっと揺れます。
「〇〇ちゃん」というところで、子どもの名前を呼びます)


わらべうた あめあめやんどくれ
あめあめ やんどくれ
あしたのばんに ふっとくれ

あめあめやんどくれ

 

 

 

 

遊び方 もともとは靴を投げて その裏表で天気をうらなう遊びです。
 ここでは、歌に合わせて お膝を上下に揺らします)

 

絵本『ぴっちゃんぽっちゃん』accototo(ふくだとしお+あきこ)/作・絵 大日本図書 2008 1分半

 

「ぴっちゃんぽっちゃん みずのおと きょうはあめがふってるね」といいながら、こねこが雨宿りしているありやちょうちょ、かたつむりで出会っていきます。

 

わらべうた でんでんむしでんでんむし

でんでんむし


 

うたいながら、おかあさんの指でお子さんの指先から腕をたどって登っていきます。はやく歌ったり、ゆっくり歌ったり、テンポを変えてやってみましょう。右の画像のように、長細く切った色画用紙をくるくる巻いてつくった「かたつむり」をひとつずつ保護者に方に手渡して、ゆびに「かたつむり」をはめて、お子さんの腕を登っていくようにしてもとても喜ばれます。

 

絵本『かささしてあげるね』長谷川摂子/文 西巻茅子/絵 福音館書店 0.1.2えほん 1998 1分

かさ さしてあげるね (0.1.2.えほん)
はせがわ せつこ
福音館書店
1998-04-15

男の子が出会ったどうぶつたちに「かささしてあげるね」と、傘をさしかけます。ぞうには大きな傘、きりんには絵の長い傘。一緒に傘に入るって、子どもたちにとってもきっと楽しい経験でしょう。リズミカルで楽しい絵本です。

 

絵本『パパおふろ』きくちちき/作 文溪堂 2017 1分

パパおふろ
きくち ちき
文溪堂
2017-06-07

こちらはお風呂に「一緒にはいろう」という絵本です。1月のおはなし会プランでも登場しました。6月は父の日もあるため、再登場です。パパと一緒にお風呂に入るって、幼い時ならではの楽しい時間ですね。作者のきくちちきさんも一児のパパ。実体験が絵本になっています。

わらべうた とっちんかっちん

とっちんかっちん

 

 

 

 

おひざの上に子どもをのせて、ひざを上下に揺らしながら遊びます。1番のおわり「いしやのこ」と歌った後に、「ドシーン!」と言いながら、足を開いてひざの間に子どもの身体をそっと落とします。2番は「とっちんかっちんかじやのこ はだかでとびだすふろやのこ」と歌い、「ザブーン」と言いながら子どもの脇をもって高く掲げます。なんどか繰り返して遊びましょう。

 

絵本『ぴょーん』(大型本)まつおかたつひで/作 ポプラ社 1分

ぴょーん (ポプラ社のよみきかせ大型絵本)
まつおか たつひで
ポプラ社
2004-03-01
 
最後の1冊は『ぴょーん』です。オリジナルは手のひらサイズですが、集団の読み聞かせ用に大型絵本も出ています。あれば大型本を読んであげてください。動きのある絵本なのでオリジナルサイズでも、子どもたちは喜びます。子どもたちは、絵本に出てくるものと一緒になって「ぴょーん」と飛び上がることでしょう。
 

 わらべうた さよならあんころもち

 

(作成K・J)

 

6月のおはなし会☆おすすめ本リスト(2018)(更新あり)


6月のおはなし会☆おすすめ本リストを更新しました。

2017年に出た絵本や、新しく設けた「雷」をテーマとした絵本などを追加しました。

おはなし会の立案や、ブックトークの選書、テーマ展示などでご活用ください。

 

6月のおはなし会おすすめ本リスト2018

2018年4月16日に見落としていた絵本を4冊追加しました。
2018年4月19日にもう1冊追加しました。
illust522_thumb

 

 

児童サービス年間業務計画、講演会・イベント等の工程表


新しい年度を迎えました。この4月から業務を開始した図書館もあれば、引き続き業務を継続する図書館で児童担当が交代したところもあるでしょう。

2013年10月に児童サービスの年間業務計画や講演会等を実施する際のガントチャート(工程表)を、「本のこまど」にUPしていますが、この度それぞれのファイルを更新しました。

今後の児童サービスの業務を俯瞰し、また講演会やイベントを実施する際の参考にしてください。illust565_thumb (1)

 

なお、これらの資料は29年度まで実施していた児童サービス中級研修3・児童向け行事・講座の企画の研修の中で配布していたものを基にして、作成しています。

児童サービス年間業務計画2018

年間業務計画です。図書館全体の年間業務計画とバランスを取りながら立案するように心がけましょう

 

児童サービスプロジェクトガントチャート2018(講演会等の工程表)

外部から講師を招聘して行う場合の、半年前からのガントチャート(工程表)です。外部講師を招聘しない場合でも、何かプロジェクトをする時にはすべてのスタッフが進行具合を把握できるように、プロジェクトガントチャートを作成し、可視化できるようおすすめいたします

 

児童サービスプロジェクトガントチャート2018(講演会当日の動き)

外部講師を招聘する場合の、講演会当日の動きをチャートにしたものです。講演会ではなく、科学遊びの会や工作会などにおいても当日の動きを工程表として可視化しておきましょう
 

おすすめ幼年童話13『こぶたのピクルス』小風さち


児童部会部員がおすすめする幼年童話の紹介も、2年目に突入です。連載13回目は、『こぶたのピクルス』(小風さち/文 夏目ちさ/絵 福音館書店 2015)です。


 

こぶたのピクルスは小学一年生の男の子。

「教科書、よし!

 ノート、よし! 

エンピツ、よし! 

ハンカチ、よし! 

わすれ物は、ひとつもなし!」

と、スキップしながら元気よく出かけたのに、途中で出会った牛乳屋さん、パン屋さん、新聞屋さんのそれぞれの配達の忘れ物を届けているうちに、自分の大事な用事を忘れてしまいます。

そんなピクルスの様子はほほえましく、両親に温かく見守られながら、ドキドキワクワクの毎日を送るピクルスに、読んでいる子どものだれもが自分を重ね合わせてしまうでしょう。

冒頭の「ピクルスのわすれ物」のほか、「ピクルスと卵」、「ピクルスの大ニュース」、「ピクルスの海水パンツ」の4話が収められています。

 作者は『わにわにのおふろ』などのわにわにシリーズや、『とべ!ちいさいプロペラき』を手がける小風さちさん。リズムよくうきうきする文章で、声に出して読むのも耳から聞くのもどちらも楽しく、読みきかせにも向いています。また、全ページに明るい色彩の大きな挿絵が入り、子どもたちがひとりで読み進める助けとなってくれます。絵本から物語へ移行する時期の子どもたちにぜひ手渡したい幼年童話です。

 続編の『ピクルスとふたごのいもうと』では、お兄ちゃんになったピクルスが成長した姿を見せてくれ、こちらもおすすめです。

 

(作成 29年度児童部会部員C・K)

 

第1回『おはようスーちゃん』→こちら
第2回『じゃんけんの好きな女の子』→こちら
第3回『こぶたのレーズン』→こちら
第4回『ちびっこタグボート』→こちら
第5回『スプーン王子のぼうけん』→こちら
第6回『プレゼントはお・ば・け』→こちら
7回『ちびねこグルのぼうけん』→こちら 
第8回『宇宙からきたかんづめ』→こちら
第9回『ごきげんいかが がちょうのおくさん』→こちら
第10回『ジェニーとキャットクラブ』→こちら
第11回『火曜日のごちそうはヒキガエル』→こちら
第12回『ちびっこ大せんしゅ』→こちら

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