おすすめ幼年童話11『火曜日のごちそうはヒキガエル』ラッセル・E.エリクソン


連載第11回は、『火曜日のごちそうはヒキガエル』(ラッセル・E.エリクソン/作 ローレンス・ディ・フィオリ/絵 佐藤涼子/訳 2008)です。

火曜日のごちそうはヒキガエル―ヒキガエルとんだ大冒険〈1〉 (児童図書館・文学の部屋)
ラッセル・E. エリクソン
評論社
2008-02-01

 

 

  この本は、「ヒキガエルとんだ大冒険」シリーズの第1巻です。仲のよいヒキガエルの兄弟、掃除が大好きなウォートンと料理が大好きなモートンのハラハラドキドキさせるお話が7巻まで続きます。

 1巻は、ある冬の夜、モートンが作ったケーキをトゥーリアおばあさんに届けたいとウォートンが思い立ったところから物語が始まります。おばあさんは谷間を越えた先に住んでいます。その谷間は深い雪におおわれ、その上たちのわるいミミズクが住んでいて、とても危険な場所です。しかし、おいしいケーキをどうしても届けたいと、ウォートンは手作りのスキーを履いて、厚着をして出かけます。

 ウォートンは途中で雪に埋もれたシロアシネズミを助けてあげますが、その直後ミミズクに捕まってしまいました。ミミズクの家に連れていかれたウォートンは、ミミズクに「おまえは来週の火曜日のごちそうだ」と告げられます。6日後のその日はミミズクの誕生日だったのです。

 運命の日まで、ウォートンはどうやって過ごしたのでしょう。ミミズクの出かけた隙に逃げることは難しそうだとわかると気を取り直してミミズクの散らかっていた部屋の掃除をし、夜はミミズに美味しいお茶をすすめ、お互いの話をするようになるのです。

 でもウォートンは食べられるのはいやです。ミミズクのいない間にセーターを解いて脱出のためのはしごを作っていました。それをミミズクにみつかってしまいます。誕生日の前の夜は、気まずくて一言も話さずに過ごしました。

 誕生日の朝、助けたシロアシネズミの仲間がウォートンを救出に来てくれました。木の中の抜け穴を通って、外に出たウォートンを待っていたのは100匹のシロアシネズミ。みんなが一斉にスキーで谷間を滑り降りていく様子はすごくワクワクします。ところがその途中でミミズクがきつねに襲われているのを見て、ウォートンは迷うことなくシロアシネズミと協力して、きつねを追い払うのでした。

 ミミズクはウォートンと友だちになろうとして、ウォートンが好きなネズの実を取りにでかけてきつねに襲われたのでした。ウォートンは感激しました。ミミズクも、これからはヒキガエルもネズミも食べないと約束してくれました。

 最初は、食べる側と食べられる側という力関係だった二匹。でも陽気なウォートンとお茶を飲みながらおしゃべりするうちに、ミミズクの気持ちは友情へとかわっていったのです。

 この作品は1982年に出版され長く愛されてきました。小学校中学年の子どもたちに出合ってほしい1冊です。

(29年度児童部会部員M・R)

第1回『おはようスーちゃん』→こちら
第2回『じゃんけんの好きな女の子』→こちら
第3回『こぶたのレーズン』→こちら
第4回『ちびっこタグボート』→こちら
第5回『スプーン王子のぼうけん』→こちら
第6回『プレゼントはお・ば・け』→こちら
7回『ちびねこグルのぼうけん』→こちら 
第8回『宇宙からきたかんづめ』→こちら
第9回『ごきげんいかが がちょうのおくさん』→こちら
第10回『ジェニーとキャットクラブ』→こちら