『うみべのまちで』がケイト・グリナウェイ賞を受賞しました!


2018年のケイト・グリナウェイ賞(*)に輝いたのは、カナダの絵本『うみべのまちで』(原題「TOWN IS BY THE SEA」、ジョアン・シュウォーツ/文 シドニー・スミス/絵 いわじょうよしひと/訳 BL出版 2017/7/15)です。

*ケイト・グリナウェイ賞*
イギリスの絵本作家ケイト・グリナウェイにちなんで1955年に英国図書館協会によって設立された賞。1年間にイギリスで発行された絵本のうちで特に優れたものの画家に対して贈られる。

 

受賞を知らせるサイト→The Canadian Children’s Book Centre 「TOWN IS BY THE SEA wins Kate Greenaway Medl

 

この作品は、昨年産経児童文化出版賞翻訳賞も受賞しています。

昨年、この本が出版された時に教文館ナルニア国で読んで、紹介文を書いているのに、なぜか昨年の新刊情報から抜け落ちていました。(ノートから書き起こす時に、ページを飛ばしてしまった模様)

改めてこの機会に紹介します。

うみべのまちで
ジョアン・シュウォーツ
ビーエル出版
2017-07-11
 
 
“舞台は、カナダ、ノヴァ・スコシア州、ケープ・プレトン島。1950年頃の炭鉱のある町の様子を、炭鉱夫の息子の視点から描きます。うちの窓から、あるいは町のあちこちから見渡せる穏やかな海。その海の下に坑道があり、そこで父さんたちが働いている。美しい島の景色と対照的にところどころで挟み込まれる地下の坑道の様子。黒い地面が重苦しくそこで働く人々の上にのしかかるように描かれ、町の繁栄が暗い坑道で働く人々によってもたらされていることを語りかけている。
文章として書かれてはいないけれど、「そのころ、とうさんは、うみのした。くらいトンネルで せきたんを ほっている。」という繰り返される地下坑道の場面3,4枚目では落盤事故の様子が描かれる。地上ではやはり炭鉱夫だったおじいちゃんのお墓に行って花を捧げる少年。次のシーンでは父さんが疲れて帰ってくるとシャワーを浴びて、家族で食事をし、ベランダで家族4人並んで海をみつめるシーンへと続く。「いつかぼくも そこではたらく。」最後は暗い海辺の町を海上から引いてみるアングルから描き「ぼくは、たんこうではたらく とうさんのむすこ。」「ぼくのまちでは、みんな そうやっていきてきた。」というセリフで終わる。”
 
カナダ人のイラストレーター、シドニー・スミスはノヴァ・スコシア州出身の38歳で、ノヴァ・スコシア美術デザイン学校の出身です。彼は、光の表現が非常に上手く、美しいのです。その抑えた光のきらめきが、人々が親から子へと連綿と受け継いできた生活を静かに指し示してくれます。またまばゆいような少年の一日と、暗い坑道の様子と対比、少年の住む家の中の様子を描くかと思うと、次のページでは俯瞰して広い大海原を見せるという視点の移動など、絵を通して私たちに豊かに語りかけてきます。
 
シドニー・スミスの手がけた絵本で、ほかに日本で出版されているものに、文字のない絵本『おはなをあげる』(ポプラ社 2016)があります。

おはなをあげる (ポプラせかいの絵本)
ジョナルノ ローソン
ポプラ社
2016-04-04
 
この作品ではカナダ総督文学賞(児童書部門)。ニューヨークタイムズ・ベストイラスト賞なども受賞しています。
 
 
ぜひこの機会に手に取って読んでほしいと思います。
 
(作成K・J)