Yearly Archives: 2018

5月のおすすめ本リスト(2018)
おすすめ幼年童話12『ちびっこ大せんしゅ』シド・ホフ
小学校での読み聞かせ おすすめの本の紹介3月(再掲)
2018年4月(その2)ひとりでできるもん(幼児~小学生)
2018年4月(その1)このゆびとまれ!(小さい子)
2017年12月、2018年1月の新刊から
4月のおすすめ本リスト(2018)
おすすめ幼年童話11『火曜日のごちそうはヒキガエル』ラッセル・E.エリクソン
小学校での読み聞かせ おすすめの本の紹介2月(再掲)
29年度第5回児童部会(追加あり)
2018年3月(その2)一歩踏み出す(幼児~小学生)
訃報 アーシュラ・K・ル₌グウィンさん
2018年3月(その1)はな、いっぱい(小さい子)
世界のバリアフリー児童図書展 開催者募集のお知らせ  
3月のおはなし会☆おすすめ本リスト

5月のおすすめ本リスト(2018)


厳しかった冬も一気に解けてきています。河津桜の花便りも聞こえてきました。花木蓮の蕾も膨らんで開花まであと一息。

今冬、寒さが厳しかっただけに、春の訪れは嬉しいですね。

サイトの方では2か月前倒しで本のリストのUPや、おはなし会プランの更新をしています。3月は5月のおはなし会や展示で使える本をピックアップ。青い空に爽やかな風、目に染みる青葉の季節を思い浮かべながら、図書館や書店、そして家庭文庫をしている自宅の書架を眺めながら本を選んでいきました。2017年に出た絵本も追加しました。

おはなし会のプログラムを考える時や、展示コーナー作成の際の参考にしていただけるとうれしいです。

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5月のおはなし会おすすめ本リスト2018

 

おすすめ幼年童話12『ちびっこ大せんしゅ』シド・ホフ


 
 
連載12回めは『ちびっこ大せんしゅ』(シド・ホフ/文と絵 光吉夏弥/訳 大日本図書 2010)です。
 

 リトルリーグでも1番小さいハロルドは、試合にも出られず、いつもベンチを温めているだけでした。そんなハロルドにも、シーズン最後の試合でチャンスが訪れます。ピンチヒッターとしてバッターボックスに立ちました。ハロルドは目をつぶって力いっぱいバットをふると、なんと奇跡のホームラン! 

 チームは見事に勝利し、今までからかっていたチーム・メートも、この瞬間にハロルドと共に喜びを分かち合います。そして彼の努力は報われ、バットを振った勇気に感動してしまいます。最後に、試合の前日自宅に来て励ましてくれたコーチのロンバルトさんが、名言を残します。それは最高の誉め言葉で、読んでいる私たちに喜びと自信を与えてくれます。

 みんなで協力すれば喜びを分かち合うことができ、日々一生懸命練習すればハロルドのようにチャンスを掴むことが出来るよ、とストレートに伝えているのがこの物語の最大の魅力です。とくに、スポーツが好きな子はハロルドに共感でき、読み終わった後はきっと爽快な気分になるでしょう。絵本から読み物の移行期の小学校低学年向けですが、イラストも多いので読み聞かせにも向いています。読みやすく、読書が苦手なお子さんにも楽しめるので、読書感想文の本としてもおすすめです。

 作者のシド.ホフは、ニューヨーク生まれのマンガ家。ロングセラーの「ダニーと恐竜」など子どもの本も50冊ほど出していて、そのユーモラスな絵で大きな人気を集めています。野球の本も「魔女とネコと野球のバット」「野球ネズミ」などがあるので、ぜひあわせて読んでみてください。

(作成 29年度児童部会部員C・S)

 

第1回『おはようスーちゃん』→こちら
第2回『じゃんけんの好きな女の子』→こちら
第3回『こぶたのレーズン』→こちら
第4回『ちびっこタグボート』→こちら
第5回『スプーン王子のぼうけん』→こちら
第6回『プレゼントはお・ば・け』→こちら
7回『ちびねこグルのぼうけん』→こちら 
第8回『宇宙からきたかんづめ』→こちら
第9回『ごきげんいかが がちょうのおくさん』→こちら
第10回『ジェニーとキャットクラブ』→こちら
11回『火曜日のごちそうはヒキガエル』→こちら

 

 

小学校での読み聞かせ おすすめの本の紹介3月(再掲)


3月は、進級、卒業を控えて、学校の中も浮足立つ時期ですね。図書館へ来る回数も減るかもしれませんが、機会を作って読み聞かせをしてあげてください。春の匂いを感じる本を中心に選びました。

<低学年>

『いちごばたけのちいさなおばあさん』 わたりむつこさく 中谷千代子え 福音館書店 1983 6分

いちごばたけの ちいさなおばあさん (こどものとも傑作集)
わたり むつこ
福音館書店
1983-11-01
 
いちごばたけの土の中に住んでいるちいさなおばあさんの仕事は、いちごに色づけをすること。ある時、春がまだ先だというのに暖かい日が続いたので、いちごが色づくのはまだ先と思っていたおばあさんは大慌てです。おばあさんが一生懸命、いちごに色づけ終わると、寒の戻りで畑は一面雪景色に。三寒四温と気温が変化する春先に読んであげたい1冊です。
 

<中学年>

「梅の木村のおならじいさん」 15分 (『くしゃみくしゃみ天のめぐみ』 松岡享子作 寺島龍一画 福音館書店 1968 より)

くしゃみくしゃみ天のめぐみ (福音館創作童話シリーズ)
松岡 享子
福音館書店
1968-08-01

おじいさんの悩みの種は、食事時になると出てしまうおなら。音といい、においといい天下一品の代物です。ある冬の日、わなにかかったズーイグルッペという奇妙な生き物を助けます。するとお礼に、なんでも願い事を叶えてくれるというのです。おじいさんはおならが出るのを止めてもらうのですが、かえって体調が悪くなります。そこでもとに戻してもらうと、今度はお殿様の狩りのお供を頼まれてしまいます。殿様の前で粗相はできないからと、もう一度ズーイグルッペに頼み事をしに行きます。事情を知ったズーイグルッペがやった粋な計らいとは?覚えて語ってあげてもよいでしょう。

 

<高学年>

『ルピナスさん』 バーバラ・クーニーさく かけがわやすこやく ほるぷ出版 1987 10分

ルピナスさん―小さなおばあさんのお話
バーバラ クーニー
ほるぷ出版
1987-10-15
 
 アリスは、小さい時におじいさんと3つの約束をします。それは、「大きくなったら、遠くへ行くこと。おばあさんになったら、海のそばの町に住むこと。そして、世の中を美しくするために 何かすること。」 大人になったアリスは、ミス・ランフィスと呼ばれるようになり、本当に世界中を旅して、海を見下ろす丘にある小さな家に住み、素敵な思いつきをして、一番難しい3つめの約束を果たすのです。その素敵な思いつきのおかげでみんなからはルピナスさんと呼ばれるようになります。時代ごとに色調が変化して描かれ、ひとりの女性の人生のを象徴しているかのようです。
 

卒業する6年生には、2014年(その4)卒業おめでとう!(小学生・中学生)で紹介されている本もおすすめです。

 

<知識の本>

『さくら』 長谷川摂子文 矢間芳子絵・構成 福音館書店 2010 5分

さくら (かがくのとも絵本)
長谷川 摂子
福音館書店
2010-02-10
 
 さくらの花は満開の季節だけが注目されるのですが、実は季節とともにさまざまな姿を見せてくれます。青葉の季節、小さな実がなる季節、秋には紅葉して、冬には裸の木に。でも冷たい風の中、しっかりと次の花芽を育てているのです。「かがくのとも」シリーズの1冊。さくらの季節の前に読んであげるとよいでしょう。 
 
 

『はるにれ』 姉崎一馬写真 福音館書店 1979

はるにれ (日本傑作絵本シリーズ)
福音館書店
1981-11-10

文字のない写真絵本です。北の国の草原にたつ1本のはるにれ。落葉高木のはるにれの四季折々の姿をさまざまな表情で映し出しています。霧の中にたたずむ姿、一面の雪原にたたずむ姿、若葉が萌え出ずる姿などを、じっと見つめていると、木からのメッセージが聞こえてきそうです。余計な声をかけずに1ページ、1ページしっかりと見せてあげてください。

 

 

<気軽に読める本>

『これはおひさま』 谷川俊太郎作 大橋歩絵 福音館書店 1990 3分

これはおひさま (幼児絵本シリーズ)
谷川 俊太郎
福音館書店
1990-04-10

谷川俊太郎さんの『これはのみのぴこ』と同様に、こちらも積み重ねの言葉遊び絵本です。「おひさま」から始まって「おひさま」にまた帰ってくるまでに、どんなものが出てくるか、楽しみながら読めます。大橋歩さんのよるコラージュ手法を使った絵も味わい深いことでしょう。
 

(選書T・I 作成K・J)

2018年4月(その2)ひとりでできるもん(幼児~小学生)


 子どもたちが成長していくということは、ひとりで出来ることが増えることです。ひとりで出来ることが増えて、自分で考えて自分で判断できるようになっていくと、いずれ親から自立していきます。学校へ通うということは、その第一歩。

日本の学校のシステムは、4月に一斉に入学して、同じようにランドセルを背負って、同じ進度で学習を進める一斉方式。海外では特に入学式も無く、子どもたちそれぞれの進度に応じて飛び級もあり、クラスの中に様々な年齢の子がいることも普通です。ひとクラスの人数も少なくて、ひとりひとりに合った教育が可能であるのは制度の違いもあるからです。今回紹介する絵本『くんちゃんのはじめてのがっこう』は、そんな海外の学校を描いていて、なんだか日本の入学とは違うなあと思うでしょう。でも、はじめての学校生活で感じる子どもたちの不安や喜びは、どこも同じなのではと思って選びました。素話は、巣立ちの練習をする「こすずめのぼうけん」です。

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【ひとりでできるもん】

導入 詩「たんぽぽ」川崎洋/作 1分
 『声で読む日本の詩歌166 おーいぽぽんた』(茨城のり子・大岡信・川崎洋・岸田衿子・谷川俊太郎/編 柚木沙弥郎/画 福音館書店 2001)より

川崎洋の「たんぽぽ」には、この詩集のタイトルにもなった「おーい ぽぽんた」という言葉が出てきます。子どもたちと、その言葉の面白さを味わいながら、一緒に声に出して読んでみるといいでしょう。こちらが最初に読んで、復唱してもらうと、子どもたちも一緒に詩を味わうことが出来ます。
 

素話「こすずめのぼうけん」エインズワース/作 石井桃子/訳 (『おはなしのろうそく13』東京子ども図書館/刊 より)7分

おはなしのろうそく 13
東京子ども図書館
2001-05-01

絵本もありますが、素話で語ってあげるとまた味わいが違います。「いいえ、ぼく、ちゅん、ちゅん、ちゅんってきり いえないんです」の繰り返しに、子どもたちも我が事のようにおはなしの中に入り込み、最後に「あなたのおかあさんじゃないの」っていう言葉でホッと表情が緩むのがわかります。

 
 

絵本『くんちゃんのはじめてのがっこう』ドロシー・マリノ/作 まさきるりこ/訳 ペンギン社 7分

くんちゃんのはじめてのがっこう
ドロシー・マリノ
ペンギン社
1982-04
 
 はじめて学校へ行った日、くんちゃんは上級生がどんどん勉強するのをみて不安に思います。先生が新入生に声をかけ、前に出てくるようにいった隙に、くんちゃんは教室から飛び出します。でも中が気になって窓から覗いていたくんちゃんは、ちゃんと先生の問いかけに答えます。先生に受け入れてもらって安心したくんちゃんの様子に、聞いている子どもたちもほっと和むことでしょう。
 
 
絵本『せんをたどってがっこうへいこう』ローラ・ユングヴィスト/作 ふしみみさを/訳 講談社 2012 3分
せんをたどって がっこうへいこう (講談社の翻訳絵本)
ローラ・ユンクヴィスト
講談社
2012-02-28
 
一筆書きの文字をたどって、学校の教室を移動していきます。学校での学びはわくわくすることがいっぱい。図書室に行ったり、理科室へ行ったり、音楽室に行ったり!子どもたちに新学期を前向きに迎えてほしいなと思います。各ページに子どもたちに問いかける文章が下部にありますが、集団の読み聞かせの際は、本文だけを読んであげればよいでしょう。
 
(作成K・J)

 

2018年4月(その1)このゆびとまれ!(小さい子)


 立春を過ぎて、陽射しは春らしくなってきました。私にとって春のイメージはというと、賑やかな笑い声を響かせながら子どもたちが一斉に外に飛び出して遊びに夢中になっている様子が浮かびます。
そんな姿を思い浮かべながら、4月の小さい子向けおはなし会プランを作りました。

 

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【このゆびとまれ!】

導入 わらべうた おすわりやす
おかあさんのおひざ、ある時はおとうさんのおひざでも、はたまたおじいちゃんやおばあちゃんのおひざも、小さな子どもにとってはなによりも安心できる場所です。十分におひざの上に座っておはなし会を楽しんでもらいましょう。
おすわりやす

 

 

 

 

 

 

わらべうた ととけっこう
起こし遊びのわらべうたです。もし図書館にマスコットの人形などがあれば、この歌を歌って起こしてあげましょう。指さしながらこのわらべうたを歌います。「もう起きたかな?」と言って、人形に耳を近づけると「グー、グー」いびきをかいています。起きるまで2、3回繰り返します。起きてきたら人形も一緒におはなし会に参加してもらいましょう。
ととけっこう

 

 

 

 

絵本『あいうえおはよう』にしまきかやこ/作 こぐま社 2003 1分

あいうえおはよう
西巻 茅子
こぐま社
2003-03-01

 「あいうえおはよう かきくけこぶた・・・」と五十音順で、おはなしがリズミカルに進んでいきます。アップリケと刺繍で描かれた絵も味わい深く素敵です。

 

 わらべうた ちゅーりっぷしゃーりっぷ

ちゅーりっぷしゃーりっぷ

 

 

 

 

ひとりが輪の中に入り、他の人は輪になって手をつないで歌いながら回ります。輪の中にいる人にお名前を呼ばれたら交代して輪の中に入り繰り返し遊ぶわらべうたです。おはなし会の会場によっては、実際に立って動くことが無理な場合があるでしょう。そんな時は掌を合わせてチューリップの花を作り左右に揺らしながら歌い、名前を呼ぶところで参加者ひとりひとりの名前を入れて呼んであげてもよいでしょう。

 

絵本『このゆびとまれ』平出衛/作 福音館書店 2003 1分半

女の子が「いっしょにあそぶもの、このゆびとまれ」というと、つぎつぎ動物たちが寄ってきて、最後にゆびさきに止まったのは・・・小型絵本ですが余白が広くとってあるので、女の子の表情も子どもたちに伝わると思います。
 

わらべうた じぃーじぃーばあ
じいじいばあ

 

 

 

 

 

ハンカチやシフォン布(スパークハーフ)を使って遊びます。「じぃーじぃー」でハンカチや布で顔を隠し、「ばあ」で顔を出します。「ちりんぽろんと」でハンカチや布を左右に振って、「とんでったー」で高く上に飛ばします。なんどか繰り返しやってみましょう。

 

絵本『みんなみーつけた』岸田衿子/作 山脇百合子/絵 福音館書店 1999 2分

みんな みーつけた (幼児絵本シリーズ)
きしだ えりこ
福音館書店
1999-08-31

子どもたちってかくれんぼが大好き。男の子と動物たちがかくれんぼします。さいごまで隠れていたのはだれかな。かくれんぼで声を掛け合う 「もういいかい」「もういいよ~」「みーつけた」も、お互いの存在を確かめ合う素敵な言葉ですね。

 

わらべうた さよならあんころもち

さいごはみんなで「さよならあんころもち」を歌って会を閉じます。

 

(作成K・J)

 

2017年12月、2018年1月の新刊から


2017年12月、2018年1月に出版された児童サービス向け出版物(絵本、児童書、ノンフィクション、YA向け、教育者・研究者向けなど)の中から、おすすめの本を紹介します。

ここに紹介している本は、実際に手にして読み終えた中から選んでいます。すべての新刊本を購入して読むことはできませんが、毎月、教文館ナルニア国の新刊本コーナー、クレヨンハウス新刊本コーナー、横浜日吉にあるともだち書店、代官山蔦屋書店児童書コーナーなどにある本から選書し、購入し、読んで記事にしています。

YA本の紹介まで、なかなか手が回らず心苦しいところですが、これはという本は、時間が少し経ってからでも紹介したいと思っています。


 (なお、画像はブログ用Amazonアフィリエイトを使用しています。書誌事項は奥付の出版年月日にしており、Amazon入荷日とちがって表示されることがあります。ご了承ください。)

 

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 【絵本】

『コウテイペンギン』ヨハンナ・ジョンストン/作 レナード・ワイスガード/絵 こみやゆう/訳 好学社 2017/12/18 

コウテイペンギン
ヨハンナ ジョンストン
好学社
2017-12-19

 コウテイペンギンの生態を描いた科学絵本です。この本は2015年にアメリカで出版されました。この本への感想を書いたサイトには「a nature documentary」という表現がありましたが(Books In My House→こちら)、まさに長編ドキュメンタリー映画を見たような充実感を読後に感じました。水族館では人気者のペンギンですが、実際にはこれほど過酷な自然の中で生きていること、ペンギンの両親が命がけで次の世代を育む様子が、レナード・ワイスガードの美しい絵(アートワークと表現されていますが、ステンシル技法でしょうか)で描かれています。科学絵本でありながら、芸術性も高い1冊です。こみやゆうさんの翻訳も、子どもたちに語りかけてくるようです。自分で読むには小学校低学年以上ですが、動物が好きな子に読んであげるのであれば、長いおはなしですが幼児でも十分に聞くことが出来るでしょう。

『スロバキアのともだち・はなとゆろ おるすばんのぼうけん』福井さとこ/作 JULA出版局 2017/12/25

おるすばんのぼうけん―スロバキアのともだち・はなとゆろ
福井 さとこ
JULA出版局
2017-12-25

 

プラチスラヴァ芸術大学版画学科大学院で、スロバキアの版画家で絵本作家ドゥシャン・カーライの下で版画と絵本製作について学んだ福井さんの卒業制作が、JULA出版局から出版されました。福井さんがスロバキアでベビーシッターをした時の子どもたちの様子を絵本にしたものだそうです。お留守番をすることになった幼い兄妹が空想の世界に遊びに出かけます。子どもらしい想像の広がる世界に読んでもらう子どもたちにもすっと入っていけることでしょう。折込にはスロバキアのわらべうたも楽譜入りで掲載されています。海の向こうの子どもたちの遊びに想いを馳せるのも素敵な経験になると思います。 

 

『巨人の花よめ スウェーデン・サーメのむかしばなし』菱木晃子/文 平澤朋子/絵 BL出版 2018/1/1 

スカンジナビア半島の北部ラップランドに住んでいる先住民族サーメの人たちに伝わる昔話が、美しい絵本になりました。あとがきに菱木さんが「サーメのむかしばなしにたびたびでてくる巨人は、ときに容赦なく人々の命やくらしをおびやかす存在という意味で、自然の脅威の象徴ととらえることができます。」と記しています。厳しい自然の中で暮らしてきた人々の想いが伝わってくるようです。画家の平澤さんは厳冬のラップランドを訪れて描かれた絵も臨場感に溢れて素晴らしいです。とくに北の大地に春が訪れるシーンはそのままタブロー画として飾っておきたいほどです。

 

『だるまちゃんとかまどんちゃん』加古里子/作 福音館書店 2018/1/15

 だるまちゃんシリーズに新年3冊が仲間入りしました。91歳の加古里子さんがこれらの作品にこめた想いを受け取りたいと思います。子どもたちには、そんなことはあまり関係ないでしょう。新しい仲間をどう受け取るかは子どもたち次第。心優しいかまどんちゃんに懐かしい想いを抱くのは親世代、あるいは祖父母世代かもしれません。子どもたちにも、温かい想いは伝わることでしょう。

『だるまちゃんとはやたちゃん』加古里子/作 福音館書店 2018/1/15

 豊かな自然と共に生きてきた東北の人々の生活に想いを寄せる作品です。おばけ大会に集まるたくさんのおばけたちは、どこかかわいらしくてユーモラス。子どもたちは、そんなたくさんのおばけをみて、面白がることでしょう。


『だるまちゃんとキジムナちゃん』加古里子/作 福音館書店 2018/1/15

 沖縄の子どもが登場する絵本です。加古里子さんは琉球の伝統への敬意と、戦中戦後の沖縄の人々の苦労を偲んでこの作品を描いたということです。大きなハブにつかまってしまっただるまどんを、キジムナちゃんの機転で助けます。子どもたちもドキドキしながら作品を楽しんでくれるといいなと思います。

かこさとし公式webサイトからは、この作品にかける加古里子さんの想いや、NHKワールドニュースでこの3作が取り上げられた動画を見ることができます。→かこさとし公式webサイト

 

『スプーンちゃん』小西英子/作 0.1.2えほん 福音館書店 2018/1/15

スプーンちゃん (0.1.2.えほん)
小西 英子
福音館書店
2018-01-10

「こどものとも0.1.2」の2012年6月号がハードカバーになりました。小さな子どもたちにとって、美味しい食べ物を口に運んでくれるスプーンって、とても身近な存在。そんなスプーンがプリンにメロン、いろんな美味しいものを次々にすくっていきます。自分で食べる練習を始めた小さなお友達に喜ばれそうな1冊です。


『にゃんにゃん』せなけいこ/作 福音館書店 2018/1/15 

にゃん にゃん (幼児絵本シリーズ)
せな けいこ
福音館書店
2018-01-11
 
 「こどものとも年少版」1977年11月号がハードカバーになりました。せなけいこさんの貼り絵によるねこたちの表情が、なんとも愛らしいです。最後の見開きページで母さんねこにおっぱいをもらって満足するこねこたちの表情は、そのまま読んでもらった子どもたちの笑顔につながる、そんな1冊です。

 

 【児童書】

『ハックルベリー・フィンの冒険』上・下 マーク・トウェイン/作 千葉茂樹/訳 岩波少年文庫 岩波書店 2018/1/25

 

ハックルベリー・フィンの冒険(下) (岩波少年文庫)
マーク・トウェイン
岩波書店
2018-01-26
 
岩波少年文庫にこれまで『ハックルベリー・フィンの冒険』が入ってなかった?と思わず思ってしまいました。創元社の世界少年少女文学全集(吉田甲子太郎/訳)をはじめとして、岩波文庫(西田実/訳)、福音館書店の古典童話シリーズ(大塚勇三/訳)など多くの訳本が出ており、この作品のファンも多いと思います。同じくマーク・トウェインの代表作『トム・ソーヤ―の冒険』の続編ともいうべき、この作品では金に目のくらんだ実の父親が登場したり、南北戦争時代の前という時代背景からワトソン家の黒人使用人ジムとの逃走が描かれ、より社会的な問題を提起する作品になっています。ハックが、その時代的な善悪の判断ではなく、自分自身を深くみつめ葛藤し、良心による判断をしていくという彼の精神的な成長の過程が、読む者の心をつかみます。今回、翻訳を担当した千葉さんは、方言の表現にこだわらずに訳した事、「nigger」という差別用語の扱いについて他の訳者が注釈を入れて「くろんぼ」等としたところは、そのようには訳さなかったということです。この冒険の物語をわくわくしながら読む子どもたちにそうした差別用語を覚えてほしくないという訳者のたっての願いだったそうです。安心して子どもたちに手渡せますね。
 
 
 
『バレエ・シューズ』ノエル・ストレトフィールド/著 中村妙子/訳 教文館 2018/1/31
 
バレエ・シューズ
中村妙子
教文館
2018-01-01

 ノエル・ストレトフィールドが1936年に書いた『バレエ・シューズ』は、これまでも村岡花子の訳(講談社マスコット文庫 1967)で出版されたり、中村妙子の訳では1979年にすぐ書房から出版されています。中村さんご自身がお連れ合いの海外赴任でアメリカに住んでいた時に図書館で出合ったのがイギリスの作家ストレトフィールドの「劇場シリーズ」の作品だっだそうです。「劇場シリーズ」の新訳が教文館から2014年に『ふたりのエアリエル』が、昨年秋に『ふたりのスケーター』が出版され、この作品は3作目になります。赤ちゃんの時にそれぞれの事情で両親と死に別れた3人の女の子が、ひとつの家で姉妹のように育てられるおはなしです。考古学者のマシュー大おじさんは出かける先々で孤児を託されて自宅に連れて帰りますが、自分はまた研究の旅へ。世話をするのは姪のシルヴィアと留守を守る家政婦たちでした。3人の女の子たちはシルヴィアたちが自分たちを育てるのに苦労をしているのを知って、自分たちの才能でなんとか収入を得ようとします。健気な少女たちの成長の姿は、自立へと向かう思春期の子どもたちに勇気を与えてくれるはずです。

 

 『熊とにんげん』ライナー・チムニク/作・絵 上田真而子/訳 徳間書店 2018/1/31

熊とにんげん (児童書)
ライナー チムニク
徳間書店
2018-01-20
 
昨年12月に亡くなられたドイツ文学者で翻訳家の上田真而子さんが、ご自身で翻訳した作品の中で一番のお気に入りだったという『熊とにんげん』がこのほど復刊されました。おどる熊を連れて町から町へとあるく旅芸人のおじさんは、熊のことばがわかりました。おじさんと熊は、お互いに信頼し、訪れる町で人々を喜ばせていました。この作品はポーランド領生れのチムニクが24歳の時のデビュー作です。上田さんは訳者あとがきに「寓意をこめた後の作品とはちがって、ここにはやはり、ナイーヴな、純な、ういういしさがあると思います。それでいて、世の中を、人生を鋭く見透している眼があり、それはある意味で宮沢賢治の世界に重なるのではないかとも思いました。」と書いています。信仰深く誠実な生き方をした熊おじさんと、熊の、長い年月を辿る友情は、心の中に温かな風を送ってくれます。
 

 【研究書・エッセイ】

『チェコの十二カ月―おとぎの国に暮らす―』出久根育/文・絵 理論社 2017/12/1

 チェコの首都プラハに住む画家で絵本画家でもある出久根育さんの初めてのエッセイ集です。チェコの四季折々の風物や、自然の営みを、またチェコで出会った素朴でいて心優しい人々の暮らしを、静謐な筆致で丁寧に描き出しています。またところどころに散りばめられた出久根さんの描くチェコの街角や自然の風景は、そのまま新しい物語が始まりそうな予感に満ちています。

 

『大草原のローラ物語 パイオニアガール』ローラ・インガルス・ワイルダー/著 パメラ・スミス・ヒル/解説・注釈 谷口由美子/訳 大修館書店 2018/1/10

大草原のローラ物語―パイオニア・ガール[解説・注釈つき]
ローラ・インガルス・ワイルダー
大修館書店
2017-12-16

アメリカ開拓時代の少女ローラと家族の物語は、福音館書店から恩地三保子の訳でシリーズが出版され、またテレビドラマなどにもなって多くの人たちに親しまれています。また岩波少年文庫からは谷口由美子の訳で『長い冬』、『大草原の小さな町』などが出版されています。今回の作品は、ローラが作品を書く前に書き留めていた注釈付きの自伝『パイオニア・ガール』を谷口さんが訳したものです。単なる物語というのではなく、ローラが執筆した時代について、実に細かい注釈と資料、当時の様子を伝える貴重な写真などがついており、ローラ・インガルス・ワイルダーという作家について、あるいは作品についての研究書という趣になっています。昨年2017年はローラ生誕150周年でした。時代は違いますが、どんな逆境にも常に勇気と愛と希望をもって前向きに乗り越えようとしていた家族の姿から、読む者もまた勇気や愛を取り戻せるような気がします。(出版関連のイベント情報→こちら)現在、銀座教文館ナルニア国のナルニアホールにて『大草原のローラ物語パイオニア・ガール』刊行記念展実施中です。3月18日(日)まで。(ナルニア国イベントページ→こちら

(作成K・J)

4月のおすすめ本リスト(2018)


今年の冬は、全国的に寒さが厳しい日が続いています。ここ何年か真冬でも全面的に凍ることが少なくなったという長野県諏訪湖も5年ぶりに厚い氷に覆われ、御神渡り(湖面に一部氷が盛り上がった氷堤が出来る現象)が起きたと今朝のニュースで言っていました。

寒さはまだこの先も続きますが、暦の上では立春を迎え、日に日に陽射しも伸びて、冬芽も膨らんできました。

春を待ちながら、4月のおはなし会おすすめ本リストを更新しました。おはなし会だけでなく、特集展示やブックトークの準備に役立ててください。

4月のおはなし会おすすめ本リスト2018illust565_thumb (1)

(作成K・J)

おすすめ幼年童話11『火曜日のごちそうはヒキガエル』ラッセル・E.エリクソン


連載第11回は、『火曜日のごちそうはヒキガエル』(ラッセル・E.エリクソン/作 ローレンス・ディ・フィオリ/絵 佐藤涼子/訳 2008)です。

火曜日のごちそうはヒキガエル―ヒキガエルとんだ大冒険〈1〉 (児童図書館・文学の部屋)
ラッセル・E. エリクソン
評論社
2008-02-01

 

 

  この本は、「ヒキガエルとんだ大冒険」シリーズの第1巻です。仲のよいヒキガエルの兄弟、掃除が大好きなウォートンと料理が大好きなモートンのハラハラドキドキさせるお話が7巻まで続きます。

 1巻は、ある冬の夜、モートンが作ったケーキをトゥーリアおばあさんに届けたいとウォートンが思い立ったところから物語が始まります。おばあさんは谷間を越えた先に住んでいます。その谷間は深い雪におおわれ、その上たちのわるいミミズクが住んでいて、とても危険な場所です。しかし、おいしいケーキをどうしても届けたいと、ウォートンは手作りのスキーを履いて、厚着をして出かけます。

 ウォートンは途中で雪に埋もれたシロアシネズミを助けてあげますが、その直後ミミズクに捕まってしまいました。ミミズクの家に連れていかれたウォートンは、ミミズクに「おまえは来週の火曜日のごちそうだ」と告げられます。6日後のその日はミミズクの誕生日だったのです。

 運命の日まで、ウォートンはどうやって過ごしたのでしょう。ミミズクの出かけた隙に逃げることは難しそうだとわかると気を取り直してミミズクの散らかっていた部屋の掃除をし、夜はミミズに美味しいお茶をすすめ、お互いの話をするようになるのです。

 でもウォートンは食べられるのはいやです。ミミズクのいない間にセーターを解いて脱出のためのはしごを作っていました。それをミミズクにみつかってしまいます。誕生日の前の夜は、気まずくて一言も話さずに過ごしました。

 誕生日の朝、助けたシロアシネズミの仲間がウォートンを救出に来てくれました。木の中の抜け穴を通って、外に出たウォートンを待っていたのは100匹のシロアシネズミ。みんなが一斉にスキーで谷間を滑り降りていく様子はすごくワクワクします。ところがその途中でミミズクがきつねに襲われているのを見て、ウォートンは迷うことなくシロアシネズミと協力して、きつねを追い払うのでした。

 ミミズクはウォートンと友だちになろうとして、ウォートンが好きなネズの実を取りにでかけてきつねに襲われたのでした。ウォートンは感激しました。ミミズクも、これからはヒキガエルもネズミも食べないと約束してくれました。

 最初は、食べる側と食べられる側という力関係だった二匹。でも陽気なウォートンとお茶を飲みながらおしゃべりするうちに、ミミズクの気持ちは友情へとかわっていったのです。

 この作品は1982年に出版され長く愛されてきました。小学校中学年の子どもたちに出合ってほしい1冊です。

(作成 29年度児童部会部員M・R)

第1回『おはようスーちゃん』→こちら
第2回『じゃんけんの好きな女の子』→こちら
第3回『こぶたのレーズン』→こちら
第4回『ちびっこタグボート』→こちら
第5回『スプーン王子のぼうけん』→こちら
第6回『プレゼントはお・ば・け』→こちら
第7回『ちびねこグルのぼうけん』→こちら 
第8回『宇宙からきたかんづめ』→こちら
第9回『ごきげんいかが がちょうのおくさん』→こちら
第10回『ジェニーとキャットクラブ』→こちら

 

小学校での読み聞かせ おすすめの本の紹介2月(再掲)


まもなく節分です。この時期に読んで聞かせてあげたい絵本を紹介いたします。

<低学年>

『こぶじいさま』  松居直作 赤羽末吉絵 福音館書店 1980 6分

こぶじいさま
松居 直
福音館書店
1980-07-01
 
ひたいに大きなこぶのあるじいさまが、山のお堂に泊まっていると夜中に鬼がやってきました。日本の昔話では頬に大きなこぶがある再話も多いのですが、こちらでは額にこぶ。赤羽末吉の迫力のある鬼どもが怖くもあり、ユーモラスでもあります。鬼が歌うところではリズミカルに読んであげましょう。
 

『ゼラルダと人喰い鬼』 トミー・ウンゲラー作絵 田村隆一 麻生九美訳 評論社 1977 9分

ゼラルダと人喰い鬼 (評論社の児童図書館・絵本の部屋)
トミー・ウンゲラー
評論社
1977-09

 

日本の鬼ばかりなので、気分を変えたいときに読みました。(T・I)

出だしはとても怖いお話に感じますが、お料理の上手なゼラルダが人喰い鬼に美味しいご馳走をたくさん作って食べさせたので、それからは鬼たちが子どもを襲うことがなくなったというストーリーです。ご馳走の名前はとてもユニーク。よどみなく言えるようにしましょう。

 

<中学年>

『いっすんぼうし』 いしいももこぶん あきのふくえ 福音館書店 1965 12分 

 

親指ほどの大きさだから、いっすんぼうしと名付けられた男の子。お椀の舟で都に上り、ある名高い大臣の屋敷に仕えることに。ある日、姫のお供で清水寺へお参りに行く途中、三匹の鬼が襲ってきました。針の刀で果敢に戦ういっすんぼうし。打出の小槌でいっすんぼうしが大きくなるシーンは子どもたちも惹きつけられます。誰もが知っている昔話と思っていると、意外にも最近の子どもたちは知らないこともあります。機会をとらえてぜひ読んであげましょう。

 

<高学年>

『鬼のうで』 赤羽末吉作絵 偕成社 1976 10分

鬼のうで (赤羽末吉の絵本)
赤羽 末吉
偕成社
1976-12

 

羅生門の鬼退治伝説を、赤羽末吉が絵本にしました。丹波は大江山からやってきて都を荒らす酒呑童子という名の鬼を、源頼光の家来、渡辺の綱が退治しようと腕を取ってきます。しかしそれだけでは済まないのが、この物語の面白さ。鬼と人間の知恵比べ、力比べは、物語にぐいぐい引き込みます。

 

<知識の本>

『だいず えだまめ まめもやし』 こうやすすむ作 なかじまむつこ絵 福音館書店 2004 5分

だいず えだまめ まめもやし (かがくのとも特製版)
こうや すすむ
福音館書店
2004-01

 

だいず、えだまめ、もやしが同じ豆だということを、知らない子どもたちもいて、この絵本を読むと目をみはって驚きます。この季節にぜひ読んであげたい科学絵本です。

 

『鬼が出た』 大西廣文 梶川俊夫ほか絵 福音館書店 1987

鬼が出た (たくさんのふしぎ傑作集)
大西 広
福音館書店
1989-11-08
 
節分の鬼、鬼ごっこの鬼、鬼に関するさまざまな知識を、わかりやすい図版で示しながら伝えてくれる1冊です。鬼とは、死や、自然の脅威にたいして人々が想像し、作り上げてきたものだということもわかります。鬼を生み出してきた私たちの先祖の思いにも触れることができます。一冊読むというより、内容について紹介してあげてもよいでしょう。
 
(選書:T・I 作成:K・J)

29年度第5回児童部会(追加あり)


1月19日(金)に平成29年度第5回児童部会を開催しました。

前半は、お話(素話)発表会の第1回目として、事務局をふくめ10人が素話を披露しました。また、部員以外にも各図書館の館長、チーフクラスの方々に見学のご案内を出したところ、2名の方が見学に来てくださいました。IMG_0247

半数の部員は、人前で素話を語るのが初めての経験でした。語る順番が来るまでは緊張の面持ちでしたが、語り終わるとホッとしている様子が印象的でした。また終了後に約45分、お互いの語りの良いところを伝えあい、また改善点などについてもアドバイスし合いました。

当日のプログラムについては、こちらです。(→29年度児童部会お話発表会プログラム1(本のこまど用)

 

発表会の後は、情報共有の時間を持ちました。秋の読書週間や、クリスマス子ども会、中学生の職場体験でのPOP作りなどについての発表が行われました。

・「クリスマス子ども会」(文京区立根津図書室)ほんのふくろう-9

・「中学校職場体験 POP作り」(北区立浮間図書館)

・「読書週間スタンプラリー)(文京区学校支援)

・「ちょっぴりこわいおばけの会」(所沢市立図書館椿峰分館)

(作成K・J)

2018年3月(その2)一歩踏み出す(幼児~小学生)


3月のおはなし会プランは、イギリスの昔話「三びきのこぶた」を中心に組み立てました。誰もが知っている昔話ですが、実はイギリスで再話された昔話ではなくて甘く改変されたものしか、知らないという人も多いようです。

この昔話は、こぶたたちが母ぶたの家から巣立って自立していくことがテーマになっています。自分の足で人生を切り拓く時に必要なのは安易な道を選ぶのではなく、知恵を使って権力と対峙し、自分で困難の多い人生を歩んでいくことなのだというメッセージが込められています。わらで家を作ったこぶたが木の家を作ったこぶたの家に逃げ込み、またその二匹ともがレンガで家を作ったこぶたの家に逃げ込むのでは、そうしたメッセージが伝わりません。また、おおかみとの知恵比べもないままにおおかみが煙突から侵入し、火傷を負うだけで逃げていくとしたら、自分の生命を脅かす悪意のある力に対して勝ったことにはなりません。ずる賢いおおかみを出し抜き、その上で怒り狂ったおおかみが煙突から侵入してきたのを煮て食べてこそ、悪への勝利、弱者が強者へ打ち勝つというカタルシスを引き出すのです。

権力を持つものによって虐げられてきた庶民が伝え語り継いできた昔話は、改変せず、語ってあげたいものです。

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【一歩踏み出す】

導入 詩「ある日の菜の花」『地球パラダイス』(工藤直子/詩、石井聖岳/絵 偕成社 2012)より 1分

地球パラダイス
偕成社
2012-09-12
 
春のまぶしい陽射しの中で、菜の花が揺れると、つられてモンシロチョウもカマキリもミミズも動き出します。小さな虫たちも新しい季節を謳歌しています。そんなみずみずしい詩です。石井聖岳さんの描く菜の花畑も生命力にあふれています。詩の朗読のあとに、ぜひ絵も子どもたちに見せてあげてください。
 
 

素話 「三びきのこぶた」『イギリスとアイルランドの昔話』(石井桃子/編・訳 J・D・バトン/画 福音館書店 1981)より 12分

イギリスとアイルランドの昔話 (福音館文庫 昔話)
福音館書店
2002-06-20
 
「三びきのこぶた」の再話では瀬田貞二の訳のものもありますが、ここでは石井桃子訳を選びました。どちらもリズミカルで覚えやすいテキストです。石井桃子訳ではこぶたは「いやだよ、いやだよ、そんなこと、とん、とん、とんでもないよ」、おおかみは「そんなら、おれはフッとふいて、プッとふいて、この家、ふきたおしちゃうぞ!」というセリフですが、瀬田貞二訳では「だめ、だめ、だめ。めっそうもない」「そいじゃ、ひとつ、ふうふうのふうで、この家、ふきとばしちまうぞ」となっています。子どものころ、どちらで聞いたでしょうか。どちらも味わい深いので、覚えやすいほうで覚えるとよいでしょう。瀬田貞二版のテキストは次の2点です。
 
『金のがちょうのほん-四つのむかしばなし-』より「三びきのこぶた」 レズリー・ブルック/文・画 瀬田貞二/訳 福音館書店 1980
金のがちょうのほん (世界傑作童話シリーズ)
レズリー・ブルック
福音館書店
1980-11-25
 
 
 
 
『三びきのこぶた』イギリス昔話 瀬田貞二/訳 山田三郎/画 福音館書店 1960
三びきのこぶた
山田 三郎
福音館書店
1967-04-01


 

絵本『つくし』甲斐信枝/作 福音館書店 1997 4分半

つくし (かがくのとも傑作集 どきどき・しぜん)
甲斐 信枝
福音館書店
1997-02-15

 

春先の野原に顔を出すつくし。都会ではあまり見る機会がないかもしれませんが、皇居のお堀端や、総武線沿線の土手、江戸川、荒川、多摩川などの土手などで見つけることができます。土を押し上げ出てくるつくしには、「さあ、伸びるぞ!」と元気がもらえるような気がします。小さい子プランにも入れているわらべうた「ずくぼんじょ」を歌ってもよいでしょう。

 

わらべうた ずくぼんじょ

ずっくぼんじょ

 

 

 

 

 

 

「ずくぼんじょ」は「つくし」の方言です。頭の上に両手を合わせて頭巾を作って、左右に揺れながら「ででこらさい」と歌ったあとで、「にょき!」っと上に伸びます。何度か繰り返し歌ってずんずん高くしていきます。最初は座って始めて、最後にうんと背伸びしてもよいでしょう。 

 

絵本『たくさんのドア』アリスン・マギー/文 ユ・テウン/絵 なかがわちひろ/訳 主婦の友社 2010 3分

たくさんのドア
アリスン・マギー
主婦の友社
2010-11-17

 

しばらく品切れになっていた作品ですが、1月下旬に増刷されました。
子どもたちが歩んでいく先で出合うさまざまな経験、それをたくさんのドアになぞらえて、ひとりひとりの歩みにエールを送る絵本です。「きょうも あしたも あなたは たくさんの ドアを あけていく そのむこうに たくさんの あたらしいことが まっている」、それは時にはおどろくことであったり、たのしいことであったり、よろこびであったりする。困難なときも、あなたは守られている、だから進んでいけという力強いエールです。ひとつ学年をあげたり、進級していく子どもたちにぜひ読んであげたい1冊です。

(作成K・J)

訃報 アーシュラ・K・ル₌グウィンさん


アメリカのSF作家・ファンタジー作家のアーシュラ・K・ル₌グウィンさん(1929/10/21生れ)が22日にアメリカオレゴン州ポートランドのご自宅で亡くなられたというニュースが入ってきました。88歳だったそうです。(ニュース記事→こちら

『影との戦い』(清水眞砂子/訳 岩波書店)をはじめとする「ゲド戦記」シリーズは、多島海アースシーを舞台に、天才魔法使いゲドが若さゆえ驕りと嫉妬から来る失敗で死の影を呼び出し、それに対峙することからに始まり、ゲドが大賢人として円熟し、世界の均衡を回復しようと活躍する長編のファンタジーです。(「基本図書を読む23『影との戦い』→こちら

私たちが普段意識しない人間の負の部分を露わにし、それと対峙することで成長していく過程を丁寧に描写しており、思春期を迎えた子どもたちがこの本からたくさんの気づきを得ていくのを何度も見てきました。

トールキンの『指輪物語』と並んで、後世のファンタジー作家に影響を与えてきた作品ともいえるでしょう。

ゲド戦記 1 影との戦い (ソフトカバー版)
アーシュラ・K. ル・グウィン
岩波書店
2006-04-07


 

ゲド戦記(6点6冊セット) (岩波少年文庫)
アーシュラ・K. ル=グウィン
岩波書店
2009-03-01

 

 

日本では「ゲド戦記」が有名ですが、両性具有の異星人と地球人の接触を描いた『闇の左手』でヒューゴー賞、ネビュラ賞を受賞するなどSF作家としての知名度も高い作家です。彼女のSF作品も、読んでみたいと思います。

心から哀悼の誠を捧げます。

(作成K・J)

2018年3月(その1)はな、いっぱい(小さい子)


春の訪れとともに、足元に小さな草花が自己主張をします。忙しさに紛れて見逃してしまいそうな小さな花も、よく見ると可憐です。そんな花を子どもたちが小さい時はゆっくりとお散歩しながら探して見つけたものです。

そんな早春の草花に幼い子どもたちの成長する力を感じながら、小さい子向けのおはなし会プランを作成しました。

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【はな、いっぱい】

 

導入 わらべうた このこどこのこ
このこどこのこ

 

 

 

 

おはなし会のはじまりに「このこどこのこ」を何度か繰り返し歌います。参加している子どもたちの愛称を聞いて順番に呼んであげてもいいですね。歌っているうちにおはなし会に遅れているお友達もきっと集まってくることでしょう。 

 

絵本『くまさん』まど・みちお/詩 ましませつこ/絵 こぐま社 2017 1分

くまさん

まど みちお
こぐま社
2017-02-17

 国語の教科書にも掲載されているまどみちおさんの可愛らしい詩です。たんぽぽの他にも春の野原にはつくしやすみれ、フキノトウも顔をのぞかせています。そよそよと吹く風も感じられそうです。

 

わらべうた たんぽぽ
たんぽぽ

 

 

 

 

 

 絵本の中に出てきた「たんぽぽ」のわらべうたです。次の「ずっくぼんじょ」と合せて、絵本の絵を見せてから歌いましょう。

 

わらべうた ずくぼんじょ
ずっくぼんじょ

 

 

 

 

 

 

  絵本の中に出てきた「つくし」のことだよ、と声をかけてあげるといいでしょう。頭の上に両手を合わせて頭巾を作って、左右に揺れながら「ででこらさい」と歌ったあとで、「にょき!」っと上に伸びます。何度か繰り返し歌ってずんずん高くしていきます。最初は座って始めて、最後にうんと背伸びしてもよいでしょう。 

 

絵本『どのはないちばんすきなはな?』いしげまりこ/文 わきさかかつじ/絵 0.1.2えほん 福音館書店 2017

どのはな いちばん すきな はな? (0.1.2.えほん)
いしげ まりこ
福音館書店
2017-03-05

春先に咲く草花たちの明るさに目を惹かれます。ぐんぐんのびる花、風にそよぐ花、そんな花たちを小さな子どもたちと一緒に探したくなる絵本です。 

 

 

絵本『ママのて』やまもとゆうこ/作 こぐま社 2017 1分

ママのて
やまもと ゆうこ
こぐま社
2017-04-04

 おにぎりにぎるママの手、折り紙折ってくれるママの手、ママの温かい手は子どもにとって何よりも安心できるもの。ぎゅっと握る手と手のぬくもりを感じながら聞いてくれるといいですね。

 

わらべうた いちりにりさんり
いちりにり 

 

 

 

 

ママの手にこちょこちょしてもらうわらべうたです。小さな子どもたちをママのおひざの上に仰向けに寝てもらって、「いちり」で足の指、「にり」で足首、「さんり」でひざを左右に揺すり、「しりしりしり」で腰の周りを揺すりながらこちょこちょします。

 

わらべうた くまさんくまさん
くまさんくまさん

 

くまさん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初に紹介した『くまさん』の絵本に合わせて、おしまいは「くまさんくまさん」のわらべうたを歌います。ミトンくまさんを使ってもよいでしょう。

(作成K・J) 

世界のバリアフリー児童図書展 開催者募集のお知らせ  


図書館では、次年度の年間計画を策定している時期だと思います。児童サービスに関連する展示を企画したいと思っているなら、JBBYの「世界のバリアフリー児童図書展」の開催をしてみませんか。

ヴィアックスも法人会員になっている日本国際児童図書評議会の世界のバリアフリー児童図書展実行委員会が企画した展示で、世界中の子どもたちに向けたさまざまなバリアフリーの視点で作られた本が、展示用のパネルなどと共にセットで送られてきます。図書館では、それを展示し利用者のみなさんに見ていただけるようにするだけです。ヴィアックス受託の図書館でも数館、実施の実績があります。

2016年4月に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が施行され、2020年にはパラリンピックが開催されます。バリアフリーへの機運が高まっている今でからこそ展示する意義もあると思います。ぜひご検討ください。なお、以下の案内文にあるように開始時期は6月以降になるとのことです。

以下に、主催者側の案内文を掲載します。

***********************

世界のバリアフリー児童図書展
 ―― IBBY選定バリアフリー児童図書2017 ――

 主催:日本国際児童図書評議会(JBBY)
 企画:国際児童図書評議会(IBBY) JBBY世界のバリアフリー児童図書展実行委員会

今回から慣れ親しんだ「世界のバリアフリー絵本展」のタイトル名を改称いたしました。TU700974pm00
読み物の増加に伴う変更です。よろしくご理解ください。
開催要項(募集要項)を、添付します。

世界のバリアフリー児童図書展・募集要項(HP用)

実は、IBBYにお願いしていた時期よりもセットの日本への到着が遅れることになりました。
準備の関係で、巡回開始は6月くらいからと予定しています。
恒例の国際子どもの本の日フェスティバル(今年は3月24,25日 於ゲートシティ大崎)での
立ち上げ展も、間に合うかが危うい状況です。

それでも現在、6月7月8月と、仮予約が入ってきていますので、
開催を考えてくださる方は、仮でかまいませんので日程希望をご連絡ください。

2003年に巡回を始めてから15年たちました。
開催者の皆様のお力で進化しつづけ、
様々な工夫を加えられ、開催が繰り広げられてきました。
IBBYからの貸し出し可能期間の関係で、巡回期間の差もありますし、
一部のみの開催などもありましたので、毎版同じような条件ではないのですが、

IBBY50周年記念版45カ所 
2005年版17カ所 
2007年版12カ所 
2009年版27カ所 
2011年版25カ所 
2013年版23カ所
2015年版19カ所
計168カ所の開催をいただいてきました。

開催者の皆さまに感謝あるのみです。
リピートくださっている開催場所には、もう安心して手渡せます。
2017年版もどうぞバリアフリー本を知って、楽しんで、進めていっていただくために、
各地での皆様の開催を心よりお待ちしております。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

3月のおはなし会☆おすすめ本リスト


3月のおはなし会で使える絵本のリストを更新しました。「ひなまつり 桜 春 いちご さんぽ・おでかけ・ピクニック 卒業 旅立ち・引越し 成長」などのテーマでピックアップしました。

おはなし会だけではなく、ブックトークや展示やブックリストなどの作成にもお役立てください。

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3月のおはなし会☆おすすめ本リスト

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