作家に関する情報

今年のリンドグレーン児童文学賞が決まりました!
訃報 大岡信さん
訃報 まついのりこさん
訃報 ディック・ブルーナ氏
訃報 佐藤さとるさん
訃報 ブライアン・ワイルドスミス
速報:太田大八さんが亡くなられました
訃報 灰島かりさん
訃報 末吉暁子さん
訃報 井上洋介さん
追悼 マーガレット・ブロイ・グレアム
訃報(速報) 舟崎克彦さん
追悼 柳原良平さん
追悼 阿川弘之さん
追悼 梶山俊夫さん

今年のリンドグレーン児童文学賞が決まりました!


4月3日から6日までイタリア・ボローニャで開催されていたボローニャブックフェアにおいて、今年のリンドグレーン児童文学賞に『うんちしたのはだれよ!』の画家、ヴォルフ・エールブルッフ氏が選ばれたという知らせが入ってきました。

ヴォルフ・エールブルッフ氏は、それまでの功績が評価され2006年には国際アンデルセン賞画家賞を受賞しています。

リンドグレーン児童文学賞のページ→こちら(英文)

ロイター通信のサイト→こちら

『うんちしたのはだれよ!』ヴェルナー・ホルツヴァルト/文 ヴォルフ・エールブルッフ/絵 関口裕昭/訳 偕成社 1993

うんち したのは だれよ!
ヴェルナー ホルツヴァルト
偕成社
1993-11

 

 

ある日、もぐらの頭に空からだれかのうんちが落ちてきます。いったいだれの仕業かと、もぐらの犯人探しが始まります。はたして犯人はみるかるのか、なんとも、ユーモラスな絵本です。(偕成社の紹介サイト→こちら

ヴォルフ・エールブルックの邦訳されている作品は、このほかに『レオナルド』(うえのようこ/訳 BL出版 1996)や、『マイヤ―夫人のしんぱいのたねは?』(うえのようこ/訳 BL出版 1998)、『死神とアヒルさん』(三浦美紀子/訳 草土文化 2008)などをはじめとして、全部で9作あります。(絵本ナビサイト→著者詳細
 

『レオナルド』ヴォルフ・エールブルッフ/作 うえのようこ/訳 BL出版 1996

レオナルド
ヴォルフ・エァルブルッフ
ブックローン出版
1996-02

 

『マイヤ―夫人のしんぱいのたねは?』ヴォルフ・エールブルッフ/作 うえのようこ/訳 BL出版 1998

マイヤー夫人のしんぱいのたねは?
ヴォルフ エァルブルッフ
BL出版
1998-10
 
 
 
『死神さんとアヒルさん』ヴォルフ・エールブルッフ/作 三浦美紀子/訳 草土文化 2008
 
死神さんとアヒルさん
ヴォルフ エァルブルッフ
草土文化
2008-02
 
 
 
 
これを機会に、面出ししてはいかがでしょうか?
 
(作成K・J)

 

訃報 大岡信さん


詩人の大岡信さんが、本日4月5日に亡くなられたというニュースが入ってきました。86歳でした。(ニュース記事は→こちら

1979年1月25日から2007年3月31日まで朝日新聞紙上に掲載された、大岡信さんによる古今東西の詩歌の紹介は通算6762回に及びました。昨年は童話屋より、春夏秋冬に合わせた『折々のうた 春夏秋冬』が相次いで出版されました。詩を学ぶ子どもたちに相応しい装丁で、ブックトークなどにも使える作品となっていました。(私は教文館ナルニア国でサイン入り本を入手。今となっては貴重な宝物です。)

『折々のうた 春夏秋冬』大岡信/著 童話屋 2016

折々のうた 春夏秋冬・春
大岡信
童話屋
2016-06-23
 
 
 
 
折々のうた 春夏秋冬・夏
大岡信
童話屋
2016-06-23
 
 
 

折々のうた 春夏秋冬・秋
大岡信
童話屋
2016-09-30
 
 
 

折々のうた 春夏秋冬・冬
大岡信
童話屋
2016-09-30

 

 

また、大岡信さんは何冊かの海外の絵本の翻訳もされています。詩人らしく、とても素敵な訳文になっています。ぜひこちらの作品もこれを機会に手にしてみてください。

『みつけたぞ ぼくのにじ』ドン・フリーマン/作 大岡信/訳 岩波書店 1977

みつけたぞぼくのにじ (岩波の子どもの本)
ドン・フリーマン
岩波書店
1977-06-24
 
 
 
 

 

『まっくろけのまよなかネコよおはいり』J・ワーグナー/作 R・ブルッグス/絵 大岡信/訳 岩波書店 1978

 

 

 

『おふろばをそらいろにぬりたいな』ルース・クラウス/作 モーリス・センダック/絵 大岡信/訳 岩波書店 1979

 

 

 

『星の林に月の船 声で楽しむ和歌・俳句』大岡信/編著 岩波少年文庫 岩波書店 2005


 

心より哀悼の誠を捧げます。

(作成K・J)

訃報 まついのりこさん


今月、また子どもの本の作り手の訃報が飛び込んできました。絵本&紙芝居作家のまついのりこさんが、2017年2月12日に亡くなられたとのこと。82歳だったそうです。(ニュース記事→こちら

2011年5月にクレヨンハウスでまついのりこさんの講演を聞きました。その時のお話が今も胸に残っています。

じゃあじゃあびりびり (まついのりこのあかちゃんのほん)
まつい のりこ
偕成社
2001-08
 
 
 

 

その講演のことを綴った日記にこんなことを記していました。
「まついさんは1934年生まれの77歳。1931年に日本は15年戦争に突入し、45年まついさんが9歳の時に終戦を迎えています。まさに子ども時代がすっぽりと戦時中に重なっているのです。子ども心に覚えているのは、色彩のない世界。美しいもの、きれいなもの、本物が圧殺され、「生きる意味」を問う文化というもの、本物の文化を創ろうとする人を弾圧していた時代と重なっていたのです。
 まついさんのお父様は、経済学者でいらしたのですが、まついさんが小4の時に治安維持法により逮捕、抑留されるという経験もなさっています。弾圧されていた時代に子ども時代を過ごされていたので、27歳の時、上のお子さんの子育て中に福音館書店の月刊こどものとも、かこさとし作『だむのおじさんたち』(1959年発行)と出会った、大きな衝撃を受けたというのです。絵本というものが持つ文化の光、本物が放つ光を、そこに感じたのだそうです。
 まついさんのすごいところは、絵本の持つ力を感じたことで、自分も絵本を描きたい、絵本を作りたいと思ったということ。子育てをしながら、28歳で武蔵野美術大学に入学し、絵を描くということを一から学ばれたのでした。当時は、今のように社会人入学という制度もなく、ましてや子育てをしながらの大学での学びは、容易ではなかったはずですが、子ども時代に文化というものから隔離されていたという渇望が、まついさんをそこまで突き動かしたでした。
 32歳で美大を卒業された後、さて絵本を作ろうと思ったものの、デッサンや油絵を美大で学んだものの、自分は絵本の作り方は学んでこなかったと、戸惑ったそうです。しかし卒業した年に次女が生まれ、「私はこの子に対して絵本を描こう」と決意されたのです。
 生まれ出た人間の子は、人間になりたいという本能を持っている。“生きるとはなにか”その意味を知りたいという欲求を持っている。そういう知的好奇心を持って生まれた我が子が喜ぶ絵本を作ろうと決意され、我が子のために何作も作ってこられました。それらは、子どもが心の底から喜ぶもの、奥底から光ってくるものを描いてこられたのです。36歳の時、最初にお子さんに作った絵本が、『じゃあじゃあびりびり』でした。」

子どもたちが楽しみながら理解できるよう工夫がされた行事の絵本や、数字・ひらがななどの知識の絵本もたくさん作られました。

『ひらがなのほん』まついのりこ/作 福音館書店 かがくのとも傑作集 1971

ひらがなのほん (かがくのとも傑作集―わくわくにんげん)
まつい のりこ
福音館書店
 
 
 
 
 
『とけいのほん1』まついのりこ/作 福音館書店 1993
とけいのほん1 (幼児絵本シリーズ)
まつい のりこ
福音館書店
1993-03-15
 
 
 
 
 
読み手と聞き手が一緒に楽しめる紙芝居作品をたくさん作られました。
 
『おおきくおおきくおおきくなあれ』まついのりこ/作 童心社 1983
『みんなでぽん!』まついのりこ/作 童心社 1987
 
また、日本独自の文化である紙芝居を世界各地へ普及しようとして、「紙芝居文化の会」代表も長く務められました。紙芝居の演じ方の本も何冊か出されています。
 
『紙芝居の演じ方Q&A』まついのりこ/作 童心社 2006
紙芝居の演じ方 Q&A (単行本図書)
まつい のりこ
童心社
2006-10-31
 
 
 
 
心より冥福をお祈り申し上げます。

(作成K・J)

訃報 ディック・ブルーナ氏


昨日、佐藤さとるさんの訃報をお知らせしましたが、日付が変わる頃に今度はオランダから『ちいさなうさこちゃん』でおなじみのディック・ブルーナさんの訃報が届きました。16日にオランダ・ユトレヒトで89歳の生涯を閉じたということです。 ニュース第一報→こちら

ちいさなうさこちゃん (1才からのうさこちゃんの絵本セット1) (子どもがはじめてであう絵本)
ディック ブルーナ
福音館書店
2000-12-01

この絵本の原作「nijntje」は1955年にオランダで出版され、日本では1964年に石井桃子さんの翻訳で福音館書店から出版されました。

この絵本は日本の赤ちゃん絵本の草分けといっていいのではないでしょうか。今の50代、40代にとってのファーストブックで、それは代々受け継がれてきました。

講談社版では「ミッフィー」という英語版の名前が用いられました、テレビアニメでも「ミッフィーちゃん」と呼ばれ、「うさこちゃん」というよりも「ミッフィー」のほうがしっくり来るという人も多いでしょう。やっぱり石井桃子さん訳(その後翻訳は松岡享子さんに受け継がれました)の「うさこちゃん」が親しみがあるという人も、どちらにしろ世界中の多くの子どもたちに愛されてきた絵本です。

2015年には「生60周年記念 ミッフィー展」が日本国内を巡回しました。その時にお元気そうなビデオメッセージが見られたのに・・・と思います。

きっとブルーナさんも、天国から世界中の子どもたちの幸せを願いながら見守ってくださっていると思います。

(作成K・J)

訃報 佐藤さとるさん


『だれも知らない小さな国』(コロボックル物語1 村上勉/絵 講談社 1959)で知られる児童文学作家の佐藤さとるさんが、2月9日に亡くなられたという知らせが入ってきました。88歳だったそうです。→朝日新聞記事
コロボックル物語は、生まれて58年。子ども時代に読んだという人が、親になり、今は祖父母になる世代です。このシリーズも親子三世代が読み継ぐことのできる作品です。戦争体験し、高度成長期の自然破壊を見てきた佐藤さんの作品は、ファンタジーではありますが、注意深く読むとさまざまなことを教えてくれるものでした。もっともそうしたことに気づいたのは、大人になって読み返してからでしたが。

コロボックル物語 全6巻
佐藤 さとる
講談社
2000-04-04

 

 

 このシリーズには思い入れがあり、「基本図書を読む」の連載の15回目に記事も書いています。→基本図書を読む15『だれも知らない小さな国』

絵本も子どもらしい視点で描かれており、私自身がほんとうに大好きでした。またわが子と何度も読んだ思い出の絵本でもあります。

『おおきなきがほしい』佐藤さとる/作 村上勉/絵 偕成社 1971

 

 

『ふしぎなふしぎなながぐつ』佐藤さとる/作 村上勉/絵 偕成社 1972

 

 

 

『おばあさんのひこうき』佐藤さとる/作 村上勉/絵  小峰書店 1973

おばあさんのひこうき (創作幼年童話選 4)
佐藤 さとる
小峰書店
1973-02-28
 
 
 
 

昨年の3月には自伝小説『コロボックルに出会うまで サットルと『豆の木』』を偕成社から出版され、東京新聞でインタビューに答えていらっしゃいました。(2016年5月1日→こちら

コロボックルに出会うまで 自伝小説 サットルと『豆の木』
佐藤 さとる
偕成社
2016-03-15
 
 
 
 
この本を読み返して、佐藤さとるさんの想いをもう一度胸に刻みたいと思います。

 
(作成K・J)

訃報 ブライアン・ワイルドスミス


イギリス人の絵本作家でフランス在住のブライアン・ワイルドスミス(1930年生まれ)が8月31日に亡くなったというニュースが入ってきました。(→こちら

ブライアン・ワイルドスミスは、1950年代オックスフォード大学出版局と専属契約を結びラ・フォンテーヌの寓話に絵をつけるなど作品を発表、1962年には『ワイルドスミスのABC』でケイト・グリナウェイ賞を受賞しています。

『ワイルドスミスのABC』ブライアン・ワイルドスミス/作 らくだ出版

ワイルドスミスのABC (ブライアン・ワイルドスミス作品選)
ブライアン・ワイルドスミス
らくだ出版
1962-01
 
 
 
 
日本では、俳優の石坂浩二さんがワイルドスミスの翻訳に多く携わり、伊豆高原にあるワイルドスミス絵本美術館(現在、休館中)は石坂浩二さんが館長を勤めています。
クリスマスシーズンに、よく読まれる『クリスマスの12にち』(石坂浩二/訳 講談社 1997)は、イギリスで古くから歌われているクリスマスキャロルに「色彩の魔術師」と呼ばれたワイルドスミスが描いた絵の色彩の美しさに心惹かれます。

『クリスマスの12日』ブライアン・ワイルドスミス/作 石坂浩二/訳 講談社 1997
クリスマスの12にち (世界の絵本(新))
ブライアン・ワイルドスミス
講談社
1997-10-29

 
1971年に家族でフランスに移住したワイルドスミスは、4人の子ども、3人の孫、そしてひとりのひ孫に恵まれました。昨年、妻のオーレリーを天国に見送ったとのこと。今頃、天国で再会しているでしょうか。
 
ラ・フォンテーヌの寓話に絵をつけた『きたかぜとたいよう』や『うさぎとかめ』、『ライオンとネズミ』(いずれも渡辺茂男/訳 らくだ出版)など素晴らしい作品の多くが現在品切れになっているのは、とても残念です。図書館にはあると思いますので、ぜひ展示してこの機会に手に取ってもらえるとよいでしょう。
 
参考:ブライアン・ワイルドスミス インタビュー記事(amu 2011年5月)
 
『きたかぜとたいよう』ラ・フォンテーヌ/作 ブライアン・ワイルドスミス/絵 らくだ出版 1962
きたかぜとたいよう
ラ・フォンテーヌ
らくだ出版
1962-01-01
 
 
 
 
『うさぎとかめ』ラ・フォンテーヌ/作 ブライアン・ワイルドスミス/絵 らくだ出版 1969
 
 
 
 
『ライオンとネズミ』ラ・フォンテーヌ/作 ブライアン・ワイルドスミス/絵 らくだ出版 1982
ライオンとネズミ
ラ・フォンテーヌ
らくだ出版
1982-01
 
 
 
(作成K・J)
 

速報:太田大八さんが亡くなられました


またお一人、子どもの本の世界で活躍され、たくさんの優れた作品を残された太田大八さんが8月2日に亡くなられたとの情報を得ました。97歳でいらしたそうです。

JBBY(日本国際児童図書評議会)からの情報なので速報としてお伝えします。また、本日絵本学会からも「太田大八さんのご逝去を悼んで」という声明が発表されました。(→こちら

太田大八さんは、1949年『うさぎときつねのちえくらべ』(羽田書店)で、絵本作家デビューし、130作の創作絵本と230作品の児童書の挿絵を手がけきました。

太田大八さんの絵本作りに関するインタビューが、「KUMONがうた・読み聞かせを応援 mi:te(ミーテ)」サイトに掲載されています。(→こちら

また絵本学会第7回大会の時のインタビュー「太田大八に聞く:なぜ絵本にこだわるか」は、絵本学会のサイトから読むことができます。(→こちら

代表作
『かさ』太田大八 文研出版 1975

この作品では、第18回児童福祉文化賞ほかを受賞しました。

 

『やまなしもぎ』平野直/再話 太田大八/画 福音館書店 1977

やまなしもぎ (日本傑作絵本シリーズ)
平野 直
福音館書店
1977-11-10
 
 この作品は、1977年国際アンデルセン賞優良作品に選定されています。
 

『ながさきくんち』太田大八 童心社 1980

ながさきくんち (日本のお祭り絵本)
太田 大八
童心社
2007-07
 
 この作品は、第12回講談社出版文化賞を受賞しました。
 

 

『だいちゃんとうみ』太田大八 福音館書店 1992 

この作品で、第15回絵本にっぽん賞を受賞しています。
(作成K・J)

訃報 灰島かりさん


2016年6月14日午前4時過ぎに児童文学翻訳家で研究者の灰島かりさんがお亡くなりになりました。お連れ合いの鈴木晶氏がブログで公表しました。(→こちら

「2016年4月、5月の新刊から」で取り上げた『疾走した画家 ランドルフ・コールデコット』(レナード・S・マーカス著 BL出版)が遺作となりました。コールデコットの伝記として読みやすく、また美しいこの本の翻訳は、闘病と重なっていたのだと思うと、胸に迫るものがあります。

訳者あとがきに「翻訳出版にあたっては、訳者の都合で翻訳が長びいてしまった。村田真由美氏にはアシスタントとして活躍していただいた。また編集者である内田広実氏の忍耐なくしては、刊行は不可能だったことを記して感謝したい。」とあり、出版が間に合ってほんとうに良かったと思います。

心より哀悼の意を捧げます。

『疾走した画家 ランドルフ・コールデコット』レナード・Sマーカス/著 灰島かり/訳 BL出版 2016/5/1

レナード・S. マーカス
BL出版
2016-05
 
 
 
 
 
 
灰島かりさんの主な作品
 
 
絵本翻訳教室へようこそ
灰島 かり
研究社
2005-05
 
 
 

猫語のノート (ちくま文庫)
ポール ギャリコ
筑摩書房
2016-05-10
 
 
 
 
 
 

びくびくビリー (児童図書館・絵本の部屋)
アンソニー ブラウン
評論社
2006-09
 
 
 

とけいのあおくん (こどものとも絵本)
エリザベス・ロバーツ
福音館書店
2014-03-05
 

大森林の少年
キャスリン ラスキー
あすなろ書房
1999-11
 
 
 

 
 
 

絵本の絵を読む
ジェーン・ドゥーナン
玉川大学出版部
2013-03-14
 
 
 

メリサンド姫: むてきの算数! (おはなしメリーゴーラウンド)
E. ネズビット
小峰書店
2014-02-21
 
 
 
(作成K・J)

訃報 末吉暁子さん


児童文学作家の末吉暁子さんが5月28日にお亡くなりになりました。73歳だったそうです。(ニュース記事→こちら

私にとっては末吉暁子さんといえば『もりのかくれんぼう』(林明子/絵 偕成社 1978)の絵本、というくらいこの作品が大好きで、2011年5月に日本国際児童図書評議会(JBBY)からJBBY賞(画家賞)を林明子さんが受賞された際のパーティーでお二人が寄り添っていらしたことも、つい昨日のことのように思い出されます。

もりのかくれんぼう (日本の絵本)
末吉 暁子
偕成社
1978-11

 



また、多くの方にとっては、NHK教育放送(Eテレ)で放送されていた「ざわざわ森のがんこちゃん」が印象に残っているのではと思います。こちらの脚本も子ども向けの読物になっています。

ざわざわ森のがんこちゃん 学校へいくのいや
末吉 暁子
講談社
1998-02-19

 



『ぞくぞく村のおばけ』シリーズ(垂石真子/絵 あかね書房)は1989年から刊行がはじまり、昨年7月に刊行された『ぞくぞく村のランプの精ジンジン』が最新刊で、26年間で全18冊になっています。このシリーズは小学低学年の子にとても読みやすいシリーズですが、私が最も印象に残っているのは、このシリーズを末吉さんがペープサート人形劇に仕立てていらしたことでした。JBBYが主催する大崎での子どもの本の日フェスティバルで、ご自身が魔女の格好をして演じてくださったり、被災地を精力的に回って子どもたちに笑いを届けてくださっていました。

 

 

 

また、昨年7月に出版されたYA向けの作品『波のそこにも』(佐竹美保/挿絵 偕成社)は、平家物語をモチーフにした作品で、2008年に羽衣伝説をベースに書かれた作品『水のしろたえ』(丹地陽子/画 理論社)に続く歴史ファンタジーとして、読み応えのある作品でした。

波のそこにも
末吉 暁子
偕成社
2015-07-15


 多くの作品を残してくださった末吉暁子さんに心より哀悼の意をお捧げいたします。

(作成K・J)

訃報 井上洋介さん


神沢利子さんの『くまの子ウーフ』の絵で知られる絵本作家の井上洋介さんが、2016年2月3日の夜、亡くなられたというニュースが入ってきました。→こちら

84歳だったそうです。

井上さんは『くまの子ウーフ』以外にも、子どもたちに親しまれる絵本をたくさん残してくださいました。
長谷川摂子さんの文章に絵を描いた『ふしぎなやどや』(長谷川摂子/文 井上洋介/画 福音館書店1990)や、オリジナル作品では『ふりむけばねこ』(架空社 1994)、『まがればまがりみち』(福音館書店 1999)、最近の絵本では『つきよのふたり』(小峰書店 2015)など、約140作品があります。(絵本ナビいのうえようすけ作品→こちら

ちょっとシュールで、不思議で、それでいて温かい眼差しを感じる作品ばかりでした。

特に昨年10月に出版された『つきよのふたり』は、すでに闘病されていることを聞いていたので、不思議な月夜の世界に意外なものの組み合わせで「なかよし」とくり返して書かれていることに、井上さんのメッセージを感じ取っていました。

心より哀悼の意を捧げます。




ふしぎなやどや (日本傑作絵本シリーズ)
はせがわ せつこ
福音館書店
1990-06-15

 

 




 

つきよのふたり (にじいろえほん)
井上 洋介
小峰書店
2015-10-14


 

 

追悼 マーガレット・ブロイ・グレアム


『どろんこハリー』(ジーン・ジオン/文 渡辺茂男/訳 福音館書店 1964)や、『はちうえはぼくにまかせて』(ジーン・ジオン/文 森比左志/訳 ペンギン社 1981)の絵を描いたマーガレット・ブロイ・グレアムが今年1月22日に亡くなられていたことがわかりました。→(訃報を伝える’The New York Times’の記事
マーガレット・ブロイ・グレアムの日本で未発表の絵本を翻訳してくださった絵本編集者で翻訳家のこみやゆうさんが、Facebookで知らせてくださいました。

どろんこハリー (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)
ジーン・ジオン/マーガレット・ブロイ・グレアム
福音館書店
1964-03-15

 

 

はちうえはぼくにまかせて (世界こども図書館A)
ジーン・ジオン/マーガレット・ブロイ・グレアム
ペンギン社
1981-08
 
 
 
 
また、1951年に出版した『あっおちてくるふってくる』(ジーン・ジオン/文 まさきるりこ/訳 あすなろ書房)と、1952年に出版した『あらしのひ』(シャーロット・ゾロトウ/文 松井るり子/訳 ほるぷ出版)で、コールデコット・オナー賞を受賞しています。

あっおちてくるふってくる
ジーン ジオン/マーガレット・ブロイ・グレアム
あすなろ書房
2005-01-30

 

 

 
シャーロット・S. ゾロトウ/マーガレット・ブロイ・グレアム
ほるぷ出版
1995-10
 
 
 
こみやゆうさんが編集された絵本はこちら。
ジェフィのパーティー (このよろこびをあのこにブックス)
ジーン ジオン/マーガレット・ブロイ・グレアム
新風舎
2004-06-10
 
 
 

あっおちてくるふってくる
ジーン ジオン/マーガレット・ブロイ・グレアム
あすなろ書房
2005-01-30

 
さとうねずみのケーキ
ジーン ジオン/マーガレット・ブロイ・グレアム
アリス館
2006-01-20
 
 
 

ベンジーとおうむのティリー
マーガレット・ブロイ グレアム
アリス館
2006-05




 
ベンジーとはずかしがりやのフィフィ
マーガレット・ブロイ グレアム
アリス館
2006-08




ベンジーのいぬごや
マーガレット・ブロイ グレアム
アリス館
2006-11
 
 
 
2015年11月に『ハリーとうたうおとなりさん』(ジーン・ジオン/文 マーガレット・ブロイ・グレアム/絵 こみやゆう/訳 大日本図書)も出版されます。温かみのある作品を子どもたちにこれからも手渡していければと思います。 
 (作成K・J)

訃報(速報) 舟崎克彦さん


10月23日(金)に、児童文学者の寮美千子さんが「訃報/舟崎克彦氏」としてtwitter上に、『ほっぺん先生』のシリーズなど多くの絵本および児童文学作品を世に生み出された舟崎克彦先生が亡くなられたことを伝えておられます。

「本のこまど」では、その他の公式発表の有無を確認しましたが、現在この情報は寮美千子さんの記事だけです。児童文学者のお仲間のひとりとして受け取られた情報と思われます。新聞等の公式な発表がわかり次第、こちらでもお知らせいたします。

舟崎克彦訃報

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

舟崎克彦先生の作品→絵本ナビサイト

ぽっぺん先生の日曜日
舟崎 克彦
筑摩書房
1973-01


 (作成K・J)

追悼 柳原良平さん


またお一人、子どもたちが大好きな絵本を作ってくださった巨星が8月17日にこの世を去りました。84歳でした。イラストレーターとして「サントリー」のCMでも有名ですが、児童サービスに関わる私たちには『かおかお どんなかお』(こぐま社 1988)や、『このにおい なんのにおい』(こぐま社 1993)など小さな子に人気の絵本が印象的でしょう。

かお かお どんなかお
柳原 良平
こぐま社
1988-01

 

 

このにおいなんのにおい
柳原 良平
こぐま社
2004-04-15

 


私個人として一番の思い出の1冊は、『絵巻えほん 船』(こぐま社 1990 改訂新版は2004年)です。太古の丸木舟から始まる6000年の船の歴史が一枚の絵巻になっていて、我が子が夢中になって見ていたのを思い出します。

絵巻えほん 船
柳原 良平
こぐま社
2004-04-15
 
 
 

 

昨年、出版された『あのほし なんのほし』(みきつきみ/文 こぐま社 2014)は、星に興味を持ち始めた小さな子どもたちにぴったりの絵本です。 

あのほしなんのほし
みき つきみ/柳原良平
こぐま社
2014-05

後方の説明ページには星の解説が詳しく書かれており、科学絵本として子どもに手渡すことのできる1冊です。七夕の季節だけではなく、一年を通した星の見え方の違いが描かれており、どの季節にも読んであげることができます。柳原さんのシンプルな絵が、星座の特徴を際立たせています。

どんぶらどんぶら七福神
みき つきみ/柳原良平
こぐま社
2011-11

それまで子どもたちにあまりなじみのなかった「七福神」が、この絵本でぐっと身近になりました。日本の文化ですから、次の世代に伝えていきたいですね。
 

十二支のしんねんかい
みき つきみ/柳原良平
こぐま社
2012-11

十二支の絵本にはいろいろありますが、柳原さんのシンプルな絵がとても素敵で、小さな子ども達にはおすすめの一冊です。

 

ゆめ にこにこ
柳原 良平
こぐま社
1998-02

あかちゃん絵本としても定評のある3冊『ゆめ  にこにこ』『やさいだいすき』『むにゃむにゃ きゃっきゃっ』も、何度もおはなし会で使わせてもらいました。

 

やさいだいすき
柳原 良平
こぐま社
2004-06

 

 

むにゃむにゃ きゃっきゃっ
柳原 良平
こぐま社
2009-10

 

 

まほうつかいのでし
大石 真/柳原良平
学習研究社
2007-06
1969年に「こども音楽館12」として、フィルハーモニー交響楽団演奏の「魔法使いの弟子」(ゲーテの詩をもとにした交響曲)のレコード2枚とともに発売された柳原さんが絵を描いた絵本『まほうつかいのでし』が、2007年に絵本のみで復刊され、話題になりました。
 

柳原さんの残してくださった作品を紹介しながら、追悼の意を表したいと思います。(K・J)

追悼 阿川弘之さん


8月3日に作家の阿川弘之さんが94歳で亡くなられました。老衰だったそうです。

文化勲章受賞者でもある阿川弘之さんが、児童サービスにどんなかかわりがあるの?と、思われるかもしれません。ロングセラーとして親しまれてきた『きかんしゃやえもん』の作者であり、またグレアム・グリーン作、エドワード・アーディゾーニ絵の『小さなきかんしゃ』(文化出版局 1975)のシリーズの翻訳者でもあるのです。また、阿川弘之さんのお子さんである阿川尚之さん(慶応大学教授)、阿川佐和子さん(エッセイスト)は、幼少期に石井桃子さんの「かつら文庫」に通っていらしたことは、『石井桃子さんがはじめた小さな子ども図書室 かつら文庫の50年』(季刊「こどもとしょかん」別冊 東京子ども図書館 2008)に記されています。

阿川さんの数少ない児童書を紹介して、哀悼の意を表したいと思います。

『きかんしゃやえもん』阿川弘之/作 岡部冬彦/絵 岩波書店 1959

きかんしゃやえもん (岩波の子どもの本)
阿川 弘之
岩波書店
1959-12-05
 
 


 『小さなきかんしゃ』グレアム・グリーン/作 エドワード・アーディゾーニ/絵 阿川弘之/訳 文化出版局 1975

小さなきかんしゃ (グレアム・グリーンの乗りもの絵本)
グレアム・グリーン
文化出版局
1975-01-20
 
 
『小さなしょうぼうしゃ』グレアム・グリーン/作 エドワード・アーディゾーニ/絵 阿川弘之/訳 文化出版局 1975

 

『小さなローラー』グレアム・グリーン/作 エドワード・アーディゾーニ/絵 阿川弘之/訳 文化出版局 1976

小さなローラー (グレアム・グリーンの乗りもの絵本)
グレアム・グリーン
文化出版局
1976-03-15
 
 

『小さな乗合い馬車』グレアム・グリーン/作 エドワード・アーディゾーニ/絵 阿川弘之/訳 文化出版局 1976

小さな乗合い馬車 (グレアム・グリーンの乗りもの絵本)
グレアム・グリーン
文化出版局
1976-03-15

追悼 梶山俊夫さん


『ごろはちだいみょうじん』や『さんまいのおふだ』などの作品のある絵本作家梶山俊夫さんが、6月16日に亡くなられました。79歳でした。
絵本ナビの作品一覧はこちら→梶山俊夫作品一覧

ごろはちだいみょうじん(こどものとも絵本)
中川 正文/梶山俊夫
福音館書店
1969-08-01

大阪国際児童文学館の解題は→こちら「日本の子どもの本100選
 

さんまいのおふだ (こどものとも傑作集)
水沢 謙一/梶山俊夫
福音館書店
1985-02-15
 
 
 
 
2014年に復刊された『かぜのおまつり』は、1972年に「こどものとも10月号」として出版され、1977年にハードカバーになった絵本ですが、1973年のブラチスラヴァ国際絵本原画展にて「金のりんご賞」を受賞しています。

かぜのおまつり (こどものとも700号記念コレクション20)
いぬい とみこ/梶山俊夫
福音館書店
1972-10
 
 
 
 
その他にもたくさんの昔話絵本や創作絵本の絵を描いておられ、流れるような筆使いは登場人物の心の動きや、季節の変化を絶妙に捉えて、子どもたちを作品の世界へと引き込んでいくものばかりでした。私が個人的に好きだったのは、『島ひきおに』、『鬼が出た』、『やんすけとやんすけとやんすけと』でした。(K・J)
島ひきおに (絵本・日本むかし話)
山下 明生/梶山俊夫
偕成社
1973-02
 
 
 
 
鬼が出た (たくさんのふしぎ傑作集)
大西 広/梶山俊夫
福音館書店
1989-11-08
 
 
 
 
 

 

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