本に関する情報

福音館書店がアジア最高出版社賞受賞!
角野栄子さん 国際アンデルセン賞作家賞受賞!
おすすめ幼年童話12『ちびっこ大せんしゅ』シド・ホフ
2017年12月、2018年1月の新刊から
おすすめ幼年童話11『火曜日のごちそうはヒキガエル』ラッセル・E.エリクソン
訃報 アーシュラ・K・ル₌グウィンさん
訃報 森山京さん
おすすめ幼年童話10『ジェニーとキャットクラブ』エスター・アベリル
2017年11月、12月の新刊から(追加あり)
訃報 児童文学翻訳家 上田真而子さん
おすすめ幼年童話9『ごきげんいかが がちょうおくさん』ミリアム・クラーク・ポター
2017年10月、11月の新刊から(追加あり)
訃報 島多代さん
訃報 パット・ハッチンスさん
おすすめ幼年童話8『宇宙からきたかんづめ』佐藤さとる

福音館書店がアジア最高出版社賞受賞!


JBBY(日本国際児童図書評議会)から、また嬉しいニュースが入りました。

 

2018年3月26日から29日までイタリア、ボローニャで開催されている「ボローニャ国際絵本原画展」(BOLOGNA CHILDREN’S BOOK FAIR)にてボローニャ・ラガッツイ最高出版社賞 アジア地域で福音館書店が受賞しました。(公式サイトの発表ページ→こちら

(福音館書店の公式サイト→こちら 英語版→こちら

「ボローニャ・ラガッツィ最高出版社賞」は、世界アフリカ、アジア、中南米、ヨーロッパ、北米、オセアニアの6地域に分け、各地域の最優秀出版社が選ばれます。2013年から始まり、2018年は第6回になります。
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福音館書店は1952年に設立され、その後児童図書出版社として月刊誌「母の友」「こどものとも」「かがくのとも」などで、児童図書出版を牽引してきました。

これらの月刊誌は、毎号ごとに2~3年の準備期間を持って編集されています。とくに「かがくのとも」「ちいさなかがくのとも」「たくさんのふしぎ」などは現地取材や実験などを重ね、手渡す先の子どもたちのことを考えつつ編集作業が行われるといいます。(福音館書店編集者の方々による講演にて伺いました)

特に1960年代から1970年代の月刊誌の中から『ぐりとぐら』や『おおきなかぶ』など、50年を超えて子どもたちに受け継がれているロングセラーもたくさん出ています。その福音館書店が世界的に高い評価を受けたということは、日本の読者としても嬉しいニュースだと思います。

(作成K・J)

角野栄子さん 国際アンデルセン賞作家賞受賞!


児童文学の世界のノーベル賞と言われる国際アンデルセン賞作家賞に角野栄子さんが選ばれたというニュースが伝わってきました。

作家賞では、1994年のまどみちおさん、2014年の上橋菜穂子さんに次いで3人目の快挙です。

(画家賞では、1980年に赤羽末吉さん、1984年に安野光雅さんが受賞されています。

今年1月17日に国際児童図書評議会(IBBY)で国際アンデルセン賞作家賞の最終候補者5名の中に角野栄子さんが選ばれており、期待は高まっていました。(→こちら)現在、イタリア・ボローニャで開催中の国際ブックフェアの中で受賞が決定しました。(IBBYの動画→こちら

 

角野栄子さんの作品は、『魔女の宅急便』をはじめ、多くの作品が海外の多言語に翻訳され、高い評価を得ています。(角野栄子公式サイト→こちら

 

 

 

 

魔女の宅急便 (福音館文庫 物語)
角野 栄子
福音館書店
2002-06-20
 
 
 
 
(作成K・J)

おすすめ幼年童話12『ちびっこ大せんしゅ』シド・ホフ


 
 
連載12回めは『ちびっこ大せんしゅ』(シド・ホフ/文と絵 光吉夏弥/訳 大日本図書 2010)です。
 

 リトルリーグでも1番小さいハロルドは、試合にも出られず、いつもベンチを温めているだけでした。そんなハロルドにも、シーズン最後の試合でチャンスが訪れます。ピンチヒッターとしてバッターボックスに立ちました。ハロルドは目をつぶって力いっぱいバットをふると、なんと奇跡のホームラン! 

 チームは見事に勝利し、今までからかっていたチーム・メートも、この瞬間にハロルドと共に喜びを分かち合います。そして彼の努力は報われ、バットを振った勇気に感動してしまいます。最後に、試合の前日自宅に来て励ましてくれたコーチのロンバルトさんが、名言を残します。それは最高の誉め言葉で、読んでいる私たちに喜びと自信を与えてくれます。

 みんなで協力すれば喜びを分かち合うことができ、日々一生懸命練習すればハロルドのようにチャンスを掴むことが出来るよ、とストレートに伝えているのがこの物語の最大の魅力です。とくに、スポーツが好きな子はハロルドに共感でき、読み終わった後はきっと爽快な気分になるでしょう。絵本から読み物の移行期の小学校低学年向けですが、イラストも多いので読み聞かせにも向いています。読みやすく、読書が苦手なお子さんにも楽しめるので、読書感想文の本としてもおすすめです。

 作者のシド.ホフは、ニューヨーク生まれのマンガ家。ロングセラーの「ダニーと恐竜」など子どもの本も50冊ほど出していて、そのユーモラスな絵で大きな人気を集めています。野球の本も「魔女とネコと野球のバット」「野球ネズミ」などがあるので、ぜひあわせて読んでみてください。

(作成 29年度児童部会部員C・S)

 

第1回『おはようスーちゃん』→こちら
第2回『じゃんけんの好きな女の子』→こちら
第3回『こぶたのレーズン』→こちら
第4回『ちびっこタグボート』→こちら
第5回『スプーン王子のぼうけん』→こちら
第6回『プレゼントはお・ば・け』→こちら
7回『ちびねこグルのぼうけん』→こちら 
第8回『宇宙からきたかんづめ』→こちら
第9回『ごきげんいかが がちょうのおくさん』→こちら
第10回『ジェニーとキャットクラブ』→こちら
11回『火曜日のごちそうはヒキガエル』→こちら

 

 

2017年12月、2018年1月の新刊から


2017年12月、2018年1月に出版された児童サービス向け出版物(絵本、児童書、ノンフィクション、YA向け、教育者・研究者向けなど)の中から、おすすめの本を紹介します。

ここに紹介している本は、実際に手にして読み終えた中から選んでいます。すべての新刊本を購入して読むことはできませんが、毎月、教文館ナルニア国の新刊本コーナー、クレヨンハウス新刊本コーナー、横浜日吉にあるともだち書店、代官山蔦屋書店児童書コーナーなどにある本から選書し、購入し、読んで記事にしています。

YA本の紹介まで、なかなか手が回らず心苦しいところですが、これはという本は、時間が少し経ってからでも紹介したいと思っています。


 (なお、画像はブログ用Amazonアフィリエイトを使用しています。書誌事項は奥付の出版年月日にしており、Amazon入荷日とちがって表示されることがあります。ご了承ください。)

 

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 【絵本】

『コウテイペンギン』ヨハンナ・ジョンストン/作 レナード・ワイスガード/絵 こみやゆう/訳 好学社 2017/12/18 

コウテイペンギン
ヨハンナ ジョンストン
好学社
2017-12-19

 コウテイペンギンの生態を描いた科学絵本です。この本は2015年にアメリカで出版されました。この本への感想を書いたサイトには「a nature documentary」という表現がありましたが(Books In My House→こちら)、まさに長編ドキュメンタリー映画を見たような充実感を読後に感じました。水族館では人気者のペンギンですが、実際にはこれほど過酷な自然の中で生きていること、ペンギンの両親が命がけで次の世代を育む様子が、レナード・ワイスガードの美しい絵(アートワークと表現されていますが、ステンシル技法でしょうか)で描かれています。科学絵本でありながら、芸術性も高い1冊です。こみやゆうさんの翻訳も、子どもたちに語りかけてくるようです。自分で読むには小学校低学年以上ですが、動物が好きな子に読んであげるのであれば、長いおはなしですが幼児でも十分に聞くことが出来るでしょう。

『スロバキアのともだち・はなとゆろ おるすばんのぼうけん』福井さとこ/作 JULA出版局 2017/12/25

おるすばんのぼうけん―スロバキアのともだち・はなとゆろ
福井 さとこ
JULA出版局
2017-12-25

 

プラチスラヴァ芸術大学版画学科大学院で、スロバキアの版画家で絵本作家ドゥシャン・カーライの下で版画と絵本製作について学んだ福井さんの卒業制作が、JULA出版局から出版されました。福井さんがスロバキアでベビーシッターをした時の子どもたちの様子を絵本にしたものだそうです。お留守番をすることになった幼い兄妹が空想の世界に遊びに出かけます。子どもらしい想像の広がる世界に読んでもらう子どもたちにもすっと入っていけることでしょう。折込にはスロバキアのわらべうたも楽譜入りで掲載されています。海の向こうの子どもたちの遊びに想いを馳せるのも素敵な経験になると思います。 

 

『巨人の花よめ スウェーデン・サーメのむかしばなし』菱木晃子/文 平澤朋子/絵 BL出版 2018/1/1 

スカンジナビア半島の北部ラップランドに住んでいる先住民族サーメの人たちに伝わる昔話が、美しい絵本になりました。あとがきに菱木さんが「サーメのむかしばなしにたびたびでてくる巨人は、ときに容赦なく人々の命やくらしをおびやかす存在という意味で、自然の脅威の象徴ととらえることができます。」と記しています。厳しい自然の中で暮らしてきた人々の想いが伝わってくるようです。画家の平澤さんは厳冬のラップランドを訪れて描かれた絵も臨場感に溢れて素晴らしいです。とくに北の大地に春が訪れるシーンはそのままタブロー画として飾っておきたいほどです。

 

『だるまちゃんとかまどんちゃん』加古里子/作 福音館書店 2018/1/15

 だるまちゃんシリーズに新年3冊が仲間入りしました。91歳の加古里子さんがこれらの作品にこめた想いを受け取りたいと思います。子どもたちには、そんなことはあまり関係ないでしょう。新しい仲間をどう受け取るかは子どもたち次第。心優しいかまどんちゃんに懐かしい想いを抱くのは親世代、あるいは祖父母世代かもしれません。子どもたちにも、温かい想いは伝わることでしょう。

『だるまちゃんとはやたちゃん』加古里子/作 福音館書店 2018/1/15

 豊かな自然と共に生きてきた東北の人々の生活に想いを寄せる作品です。おばけ大会に集まるたくさんのおばけたちは、どこかかわいらしくてユーモラス。子どもたちは、そんなたくさんのおばけをみて、面白がることでしょう。


『だるまちゃんとキジムナちゃん』加古里子/作 福音館書店 2018/1/15

 沖縄の子どもが登場する絵本です。加古里子さんは琉球の伝統への敬意と、戦中戦後の沖縄の人々の苦労を偲んでこの作品を描いたということです。大きなハブにつかまってしまっただるまどんを、キジムナちゃんの機転で助けます。子どもたちもドキドキしながら作品を楽しんでくれるといいなと思います。

かこさとし公式webサイトからは、この作品にかける加古里子さんの想いや、NHKワールドニュースでこの3作が取り上げられた動画を見ることができます。→かこさとし公式webサイト

 

『スプーンちゃん』小西英子/作 0.1.2えほん 福音館書店 2018/1/15

スプーンちゃん (0.1.2.えほん)
小西 英子
福音館書店
2018-01-10

「こどものとも0.1.2」の2012年6月号がハードカバーになりました。小さな子どもたちにとって、美味しい食べ物を口に運んでくれるスプーンって、とても身近な存在。そんなスプーンがプリンにメロン、いろんな美味しいものを次々にすくっていきます。自分で食べる練習を始めた小さなお友達に喜ばれそうな1冊です。


『にゃんにゃん』せなけいこ/作 福音館書店 2018/1/15 

にゃん にゃん (幼児絵本シリーズ)
せな けいこ
福音館書店
2018-01-11
 
 「こどものとも年少版」1977年11月号がハードカバーになりました。せなけいこさんの貼り絵によるねこたちの表情が、なんとも愛らしいです。最後の見開きページで母さんねこにおっぱいをもらって満足するこねこたちの表情は、そのまま読んでもらった子どもたちの笑顔につながる、そんな1冊です。

 

 【児童書】

『ハックルベリー・フィンの冒険』上・下 マーク・トウェイン/作 千葉茂樹/訳 岩波少年文庫 岩波書店 2018/1/25

 

ハックルベリー・フィンの冒険(下) (岩波少年文庫)
マーク・トウェイン
岩波書店
2018-01-26
 
岩波少年文庫にこれまで『ハックルベリー・フィンの冒険』が入ってなかった?と思わず思ってしまいました。創元社の世界少年少女文学全集(吉田甲子太郎/訳)をはじめとして、岩波文庫(西田実/訳)、福音館書店の古典童話シリーズ(大塚勇三/訳)など多くの訳本が出ており、この作品のファンも多いと思います。同じくマーク・トウェインの代表作『トム・ソーヤ―の冒険』の続編ともいうべき、この作品では金に目のくらんだ実の父親が登場したり、南北戦争時代の前という時代背景からワトソン家の黒人使用人ジムとの逃走が描かれ、より社会的な問題を提起する作品になっています。ハックが、その時代的な善悪の判断ではなく、自分自身を深くみつめ葛藤し、良心による判断をしていくという彼の精神的な成長の過程が、読む者の心をつかみます。今回、翻訳を担当した千葉さんは、方言の表現にこだわらずに訳した事、「nigger」という差別用語の扱いについて他の訳者が注釈を入れて「くろんぼ」等としたところは、そのようには訳さなかったということです。この冒険の物語をわくわくしながら読む子どもたちにそうした差別用語を覚えてほしくないという訳者のたっての願いだったそうです。安心して子どもたちに手渡せますね。
 
 
 
『バレエ・シューズ』ノエル・ストレトフィールド/著 中村妙子/訳 教文館 2018/1/31
 
バレエ・シューズ
中村妙子
教文館
2018-01-01

 ノエル・ストレトフィールドが1936年に書いた『バレエ・シューズ』は、これまでも村岡花子の訳(講談社マスコット文庫 1967)で出版されたり、中村妙子の訳では1979年にすぐ書房から出版されています。中村さんご自身がお連れ合いの海外赴任でアメリカに住んでいた時に図書館で出合ったのがイギリスの作家ストレトフィールドの「劇場シリーズ」の作品だっだそうです。「劇場シリーズ」の新訳が教文館から2014年に『ふたりのエアリエル』が、昨年秋に『ふたりのスケーター』が出版され、この作品は3作目になります。赤ちゃんの時にそれぞれの事情で両親と死に別れた3人の女の子が、ひとつの家で姉妹のように育てられるおはなしです。考古学者のマシュー大おじさんは出かける先々で孤児を託されて自宅に連れて帰りますが、自分はまた研究の旅へ。世話をするのは姪のシルヴィアと留守を守る家政婦たちでした。3人の女の子たちはシルヴィアたちが自分たちを育てるのに苦労をしているのを知って、自分たちの才能でなんとか収入を得ようとします。健気な少女たちの成長の姿は、自立へと向かう思春期の子どもたちに勇気を与えてくれるはずです。

 

 『熊とにんげん』ライナー・チムニク/作・絵 上田真而子/訳 徳間書店 2018/1/31

熊とにんげん (児童書)
ライナー チムニク
徳間書店
2018-01-20
 
昨年12月に亡くなられたドイツ文学者で翻訳家の上田真而子さんが、ご自身で翻訳した作品の中で一番のお気に入りだったという『熊とにんげん』がこのほど復刊されました。おどる熊を連れて町から町へとあるく旅芸人のおじさんは、熊のことばがわかりました。おじさんと熊は、お互いに信頼し、訪れる町で人々を喜ばせていました。この作品はポーランド領生れのチムニクが24歳の時のデビュー作です。上田さんは訳者あとがきに「寓意をこめた後の作品とはちがって、ここにはやはり、ナイーヴな、純な、ういういしさがあると思います。それでいて、世の中を、人生を鋭く見透している眼があり、それはある意味で宮沢賢治の世界に重なるのではないかとも思いました。」と書いています。信仰深く誠実な生き方をした熊おじさんと、熊の、長い年月を辿る友情は、心の中に温かな風を送ってくれます。
 

 【研究書・エッセイ】

『チェコの十二カ月―おとぎの国に暮らす―』出久根育/文・絵 理論社 2017/12/1

 チェコの首都プラハに住む画家で絵本画家でもある出久根育さんの初めてのエッセイ集です。チェコの四季折々の風物や、自然の営みを、またチェコで出会った素朴でいて心優しい人々の暮らしを、静謐な筆致で丁寧に描き出しています。またところどころに散りばめられた出久根さんの描くチェコの街角や自然の風景は、そのまま新しい物語が始まりそうな予感に満ちています。

 

『大草原のローラ物語 パイオニアガール』ローラ・インガルス・ワイルダー/著 パメラ・スミス・ヒル/解説・注釈 谷口由美子/訳 大修館書店 2018/1/10

大草原のローラ物語―パイオニア・ガール[解説・注釈つき]
ローラ・インガルス・ワイルダー
大修館書店
2017-12-16

アメリカ開拓時代の少女ローラと家族の物語は、福音館書店から恩地三保子の訳でシリーズが出版され、またテレビドラマなどにもなって多くの人たちに親しまれています。また岩波少年文庫からは谷口由美子の訳で『長い冬』、『大草原の小さな町』などが出版されています。今回の作品は、ローラが作品を書く前に書き留めていた注釈付きの自伝『パイオニア・ガール』を谷口さんが訳したものです。単なる物語というのではなく、ローラが執筆した時代について、実に細かい注釈と資料、当時の様子を伝える貴重な写真などがついており、ローラ・インガルス・ワイルダーという作家について、あるいは作品についての研究書という趣になっています。昨年2017年はローラ生誕150周年でした。時代は違いますが、どんな逆境にも常に勇気と愛と希望をもって前向きに乗り越えようとしていた家族の姿から、読む者もまた勇気や愛を取り戻せるような気がします。(出版関連のイベント情報→こちら)現在、銀座教文館ナルニア国のナルニアホールにて『大草原のローラ物語パイオニア・ガール』刊行記念展実施中です。3月18日(日)まで。(ナルニア国イベントページ→こちら

(作成K・J)

おすすめ幼年童話11『火曜日のごちそうはヒキガエル』ラッセル・E.エリクソン


連載第11回は、『火曜日のごちそうはヒキガエル』(ラッセル・E.エリクソン/作 ローレンス・ディ・フィオリ/絵 佐藤涼子/訳 2008)です。

火曜日のごちそうはヒキガエル―ヒキガエルとんだ大冒険〈1〉 (児童図書館・文学の部屋)
ラッセル・E. エリクソン
評論社
2008-02-01

 

 

  この本は、「ヒキガエルとんだ大冒険」シリーズの第1巻です。仲のよいヒキガエルの兄弟、掃除が大好きなウォートンと料理が大好きなモートンのハラハラドキドキさせるお話が7巻まで続きます。

 1巻は、ある冬の夜、モートンが作ったケーキをトゥーリアおばあさんに届けたいとウォートンが思い立ったところから物語が始まります。おばあさんは谷間を越えた先に住んでいます。その谷間は深い雪におおわれ、その上たちのわるいミミズクが住んでいて、とても危険な場所です。しかし、おいしいケーキをどうしても届けたいと、ウォートンは手作りのスキーを履いて、厚着をして出かけます。

 ウォートンは途中で雪に埋もれたシロアシネズミを助けてあげますが、その直後ミミズクに捕まってしまいました。ミミズクの家に連れていかれたウォートンは、ミミズクに「おまえは来週の火曜日のごちそうだ」と告げられます。6日後のその日はミミズクの誕生日だったのです。

 運命の日まで、ウォートンはどうやって過ごしたのでしょう。ミミズクの出かけた隙に逃げることは難しそうだとわかると気を取り直してミミズクの散らかっていた部屋の掃除をし、夜はミミズに美味しいお茶をすすめ、お互いの話をするようになるのです。

 でもウォートンは食べられるのはいやです。ミミズクのいない間にセーターを解いて脱出のためのはしごを作っていました。それをミミズクにみつかってしまいます。誕生日の前の夜は、気まずくて一言も話さずに過ごしました。

 誕生日の朝、助けたシロアシネズミの仲間がウォートンを救出に来てくれました。木の中の抜け穴を通って、外に出たウォートンを待っていたのは100匹のシロアシネズミ。みんなが一斉にスキーで谷間を滑り降りていく様子はすごくワクワクします。ところがその途中でミミズクがきつねに襲われているのを見て、ウォートンは迷うことなくシロアシネズミと協力して、きつねを追い払うのでした。

 ミミズクはウォートンと友だちになろうとして、ウォートンが好きなネズの実を取りにでかけてきつねに襲われたのでした。ウォートンは感激しました。ミミズクも、これからはヒキガエルもネズミも食べないと約束してくれました。

 最初は、食べる側と食べられる側という力関係だった二匹。でも陽気なウォートンとお茶を飲みながらおしゃべりするうちに、ミミズクの気持ちは友情へとかわっていったのです。

 この作品は1982年に出版され長く愛されてきました。小学校中学年の子どもたちに出合ってほしい1冊です。

(作成 29年度児童部会部員M・R)

第1回『おはようスーちゃん』→こちら
第2回『じゃんけんの好きな女の子』→こちら
第3回『こぶたのレーズン』→こちら
第4回『ちびっこタグボート』→こちら
第5回『スプーン王子のぼうけん』→こちら
第6回『プレゼントはお・ば・け』→こちら
第7回『ちびねこグルのぼうけん』→こちら 
第8回『宇宙からきたかんづめ』→こちら
第9回『ごきげんいかが がちょうのおくさん』→こちら
第10回『ジェニーとキャットクラブ』→こちら

 

訃報 アーシュラ・K・ル₌グウィンさん


アメリカのSF作家・ファンタジー作家のアーシュラ・K・ル₌グウィンさん(1929/10/21生れ)が22日にアメリカオレゴン州ポートランドのご自宅で亡くなられたというニュースが入ってきました。88歳だったそうです。(ニュース記事→こちら

『影との戦い』(清水眞砂子/訳 岩波書店)をはじめとする「ゲド戦記」シリーズは、多島海アースシーを舞台に、天才魔法使いゲドが若さゆえ驕りと嫉妬から来る失敗で死の影を呼び出し、それに対峙することからに始まり、ゲドが大賢人として円熟し、世界の均衡を回復しようと活躍する長編のファンタジーです。(「基本図書を読む23『影との戦い』→こちら

私たちが普段意識しない人間の負の部分を露わにし、それと対峙することで成長していく過程を丁寧に描写しており、思春期を迎えた子どもたちがこの本からたくさんの気づきを得ていくのを何度も見てきました。

トールキンの『指輪物語』と並んで、後世のファンタジー作家に影響を与えてきた作品ともいえるでしょう。

ゲド戦記 1 影との戦い (ソフトカバー版)
アーシュラ・K. ル・グウィン
岩波書店
2006-04-07


 

ゲド戦記(6点6冊セット) (岩波少年文庫)
アーシュラ・K. ル=グウィン
岩波書店
2009-03-01

 

 

日本では「ゲド戦記」が有名ですが、両性具有の異星人と地球人の接触を描いた『闇の左手』でヒューゴー賞、ネビュラ賞を受賞するなどSF作家としての知名度も高い作家です。彼女のSF作品も、読んでみたいと思います。

心から哀悼の誠を捧げます。

(作成K・J)

訃報 森山京さん


「きつねの子」シリーズなど、幼年童話の世界で活躍してこられた児童文学作家 森山京(もりやまみやこ)さんが1月7日にお亡くなりになりました。88歳でした。(ニュース記事→こちら

1989年に「きつねの子」(土田義晴/絵 あかね書房)シリーズで路傍の石幼少年文学賞を、1996年には『まねやのオイラ 旅ねこ道中』(小田桐昭/絵 講談社 1996)で野間児童文芸賞を受賞しています。(NDLオンライン→森山京

『きいろいばけつ きつねの子シリーズ1』(森山京/文 土田義晴/絵 あかね書房 1985)

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きいろいばけつ (あかね幼年どうわ (33))
もりやま みやこ
あかね書房
1985-04-25

 

 


『まねやのオイラ旅ねこ道中』(森山京/文 小田桐昭/絵 講談社 1996)


 

私が森山京さんの作品で印象に残っているのは、絵本では『ねこのしゃしんかん』(林静一/絵 講談社 1983)、『虫めづる姫ぎみ』(村上豊/絵 ポプラ社 2003)、『おべんともって』(片山健/絵 偕成社 2004)、『みずたまり』(松成真理子/絵 偕成社 2011)、幼年童話では『森のゆうびんや』(井上洋介/絵 フレーベル館 1976)、2015年の読書感想文課題図書にもなった『あしたあさってしあさって』(はたこうしろう/絵 小峰書店 2014)などです。森山さんの作品は、挿絵画家で印象が変わりますが、読むと「ああ、森山さんの文体だ」と感じました。

心より哀悼の意を捧げます。

『ねこのしゃしんかん』(森山京/文 林静一/絵 講談社 1983)

ねこのしゃしんかん
森山 京
講談社
1983-12



『虫めづる姫ぎみ』(森山京/文 村上豊/絵 ポプラ社 2003)


 

『おべんともって』(森山京/文 片山健/絵 偕成社 2004)

おべんともって
森山 京
偕成社
2004-09-01

 

 

『みずたまり』(森山京/文 松成真理子/絵 偕成社 2011)

みずたまり
森山 京
偕成社
2011-05-11
 
 
 
 
『森のゆうびんや』(森山京/文 井上洋介/絵 フレーベル館 1976)

森のゆうびんや (おはなしひろば)
森山 京
フレーベル館
2002-09-01
 
 
 
 
『あした あさって しあさって』(森山京/文 はたこうしろう/絵 小峰書店 2014)
 
あした あさって しあさって (おはなしだいすき)
もりやま みやこ
小峰書店
2014-10-24
 
 
 
 
(作成K・J)

おすすめ幼年童話10『ジェニーとキャットクラブ』エスター・アベリル


 連載第10回は、『ジェニーとキャットクラブ 黒ネコジェニーのおはなし1』(エスター・アベリル/作・絵 松岡享子、張替惠子/共訳 福音館書店 2011)です。


 

 黒ネコのジェニーは、はにかみやで引っ込み思案の女の子。飼い主のキャプテン・ティンカーさんと一緒に暮らしています。ティンカーさんの家の庭には、近所のネコたちが集まる「キャットクラブ」という集まりがありました。ジェニーも「キャットクラブ」に入りたいと思いますが、特技のない自分に自信が持てず、一歩踏み出す勇気が持せん。初めは落ち込むジェニーでしたが、ティンカーさんに後押しされ、自分なりの方法で殻を打ち破ります。(「ジェニーがキャットクラブにはいるはなし」」

 この本には全部で3つのお話が入っています。「ジェニーがネコの学校にいくはなし」では、小さいジェニーを車で追いかけまわすしょうぼうねこのピックルズが登場したり、「ジェニーがはじめてネコのパーティーにいくはなし」では、ジェニーを赤ちゃん扱いするネコが現れたりと、それぞれの話の中で、ジェニーの前には様々な困難が立ちはだかります。初めは弱気になるジェニーですが、勇気を奮い起こし前進していく彼女の姿に読み手の子どもたちは共感したり、元気をもらったりしながら読み進めることができるでしょう。 

 黄色い装丁が目を惹くおしゃれな挿絵は作者エスターアベリル自らが描いたもの。ユーモラスで可愛らしく、個性的なキャットクラブの面々が生き生きと描かれています。 

 続編の『ジェニーのぼうけん』『ジェニーときょうだい』では、キャットクラブの仲間や兄弟のために奔走する、より成長したジェニーの姿を見ることができます。また、本作より前に出版された同作者の『しょうぼうねこ』も併せて読んでみると、新たな発見があるかもしれませんよ。

 

(作成 28年度児童部会部員M.N) 

第1回『おはようスーちゃん』→こちら
第2回『じゃんけんの好きな女の子』→こちら
第3回『こぶたのレーズン』→こちら
第4回『ちびっこタグボート』→こちら
第5回『スプーン王子のぼうけん』→こちら
第6回『プレゼントはお・ば・け』→こちら
第7回『ちびねこグルのぼうけん』→こちら 
第8回『宇宙からきたかんづめ』→こちら
第9回『ごきげんいかが がちょうのおくさん』→こちら

2017年11月、12月の新刊から(追加あり)


2017年11月、12月に出版された児童サービス向け出版物(絵本、児童書、ノンフィクション、YA向け、教育者・研究者向けなど)の中から、おすすめの本を紹介します。(一部、9月、10月に見逃していた本もあり)

今年一年も、この新刊紹介コーナーを愛読していただきありがとうございました。ここに紹介している本は、実際に手にして読み終えた中から選んでいます。すべての新刊本を購入して読むことはできませんが、毎月、教文館ナルニア国の新刊本コーナー、クレヨンハウス新刊本コーナー、横浜日吉にあるともだち書店、代官山蔦屋書店児童書コーナーなどにある本から選書し、購入し、読んで記事にしています。

本来ならばYA向けの読物もたくさん紹介したいと思いながらも、ひとりで1か月で読める本が限られてしまい、購入しても積読になって、紹介が遅れることもありました。それでもこれからも少しずつ新刊の紹介を続けていきたいと思います。

いつも新しい本の情報を提供し、アドバイスしてくださる上記の書店の新刊担当の方々にこの場をお借りしてお礼申し上げます。


 (なお、画像はブログ用Amazonアフィリエイトを使用しています。書誌事項は奥付の出版年月日にしており、Amazon入荷日とちがって表示されることがあります。ご了承ください。)

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【絵本】

『ハッピー・ハンター』ロジャー・デュボアザン/作 安藤紀子/訳 ロクリン社 2017/9/29 

ハッピーハンター
ロジャー デュボアザン
ロクリン社
2017-09-29

 

1961年に出版されたロジャー・デュボアザンの初邦訳です。ハンターの格好にあこがれたポピンさん。でも、ハンターの格好はしても、心優しいポピンさんは動物たちを打ち殺すなんて出来ません。そんなポピンさんと森の動物たちとの心温まるお話です。

 

『ふるいせんろのかたすみで』チャールズ・キーピング/作 ふしみみさを/訳 ロクリン社 2017/10/31

ふるいせんろのかたすみで
チャールズ・キーピング
ロクリン社
2017-10-31

 

1983年にらくだ出版から出ていた『たそがれえきのひとびと』の新装新訳版です。古い線路沿いに長屋が六軒、軒を連ねて建っていました。そこに住むのは貧しいお年寄りたち。彼らは毎週10ペンスずつ出し合ってサッカーくじを買っていました。ある日、そのくじが大当たり。突然舞い降りた幸運、その賞金でみんなが何をするのでしょうか。最後まで読んで、ああこんなふうにお金って使いたいなと思いました。

 

『ひょうたんめん』神沢利子/文 赤羽末吉/画 復刊ドットコム 2017/11/25

ひょうたんめん
神沢 利子
復刊ドットコム
2017-11-25

 

鹿児島県種子島に伝わる妖怪「ひょうたんめん」を神沢利子が再話し、赤羽末吉が絵を描いた昔話絵本です。1984年に偕成社から出版されていましたが、長く絶版が続いていましたが、この度復刊ドットコムから新装復刊されました。ひょうたんめんは、塩も馬も食ってしまうという恐ろしい妖怪で、村人を困らせていました。ある日、馬をひいて塩を買いに行った「おとじろうまごじろう」は帰りが遅くなり、びくびくしながら山道に差し掛かります。するとやっぱり後ろからひょうたんめんの呼び止める声が!ひょうたんめんと、おとじろうまごじろうの攻防やいかに。赤羽末吉の描くひょうたんめんの飄々とした風貌にも注目です。

 

 

『へそとりごろべえ』赤羽末吉/詩・画 童心社 2017/12/7

へそとり ごろべえ
赤羽 末吉
童心社
2017-12-07

 

かみなりのごろべえは、おへそが大好物。たぬきにねずみ、ライオン、そして鬼や大仏のおへそまで「くりんくりんの シューすっぽん」と取ってまわります。しまいには自分のへそも気になって・・・抱腹絶倒の結末におとなも子どもも一緒に楽しめると思います。この度1976年に出版されていた童心社が創業60周年を記念して「ことばと詩のえほん」シリーズの3冊がこの度改訂新版として復刊しました。どれも40年経っていますが、今の子どもたちにとっても新鮮な面白さとして伝わると思います。

 

『あいうえどうぶつえん』小林純一/詩 和田誠/画 童心社 2017/12/7

あいうえどうぶつえん
小林 純一
童心社
2017-12-07

 

童心社「ことばと詩のえほん」シリーズの1冊です。見開き2ページの右側が詩(ことば)、左側が動物の絵になっています。詩は「ひるのあかちゃん けまでいって、 わぎをぬぐら ぷろんとって、 よぎのけいこで あいうえお」と、各行のはじまりがあ行~わ行で始まっていて、リズミカルで楽しい絵本です。

 

 

『かぜにもらったゆめ』佐藤さとる/詩 村上勉/画 童心社 2017/12/7

かぜにもらったゆめ
佐藤 さとる
童心社
2017-12-07

童心社「ことばと詩のえほん」シリーズの3作目は、今年2月に亡くなった佐藤さとるの作品です。眠りにつこうとして、布団の中で、春の夜に吹く風の音に、いたちが来たのか?ロケットが墜落したのか?雷様が落ちたのかも?と、どんどん妄想を膨らませていく男の子。「トントン」「トントントトン」「トトントントン」。短い詩の後に続く擬音が、その空想の世界をさらに広げていくようです。春先にぜひ読んであげたい1冊です。

 

【児童書】

『図書館につづく道』草谷桂子/作 いしいつとむ/挿絵 子どもの未来社 2017/12/18

図書館につづく道
草谷佳子/著
子どもの未来社
2017-12-22

 

山あいの図書館に集まってくる子どもから大人までの10人の、図書館に行き着くまでの物語が、やがてひとつの物語へと編まれていきます。作者の草谷さんは、ご自身でも家庭文庫を主宰し、静岡図書館友の会で活躍されている方だそうです。図書館の思わぬ魅力や、地域での役割が見えてくる、まさに図書館で働く人におすすめしたい1冊です。

 

【研究書】

『えほんのせかい こどものせかい』松岡享子/著 文春文庫 文藝春秋 2017/10/10

 

1987年に日本エディタースクールから刊行されていた松岡享子さんの『えほんのせかい こどものせかい』が、文春文庫になりました。内容は、単行本のそのままですが、巻頭に東京子ども図書館での松岡さんの語りの様子や、館内の様子などを映し出した美しいカラー写真のページが加わりました。121pからの「グループの子どもたちに 絵本を読み聞かせるために」(~144p)は、図書館や学校の朝読の時間など、集団に向けて絵本を読んであげる場合の選書や準備について、初心者向けにわかりやすく書かれています。文庫版になった上に、フォントは単行本の時よりも大きくて読みやすいので、おはなし会に関わる人々の座右の書になると思います。

 

『紙芝居百科』紙芝居文化の会/企画・制作 童心社 2017/11/20

紙芝居百科 (単行本図書)
童心社
2017-11-20
 
日本独自の文化である「紙芝居」の魅力をもっと多くの人に伝えたい、海外の人へも伝えたいと研究と活動を続けてきた「紙芝居文化の会」が紙芝居に関する情報をまとめました。紙芝居の魅力や演じ方や、絵本との違いについてわかりやすくまとめられています。「紙芝居の選び方」として、おすすめの紙芝居が分野別に分類されてリストになっていますので、おはなし会で紙芝居を演じてみようとする時の助けになります。
 
 
『保育に活かす おはなしテクニック~3分で語れるオリジナル35話つき~』こがようこ/著 小学館 2017/12/20
保育に活かす おはなしテクニック: ~3分で語れるオリジナル35話つき~ (教育単行本)
こが ようこ
小学館
2017-12-15
 
今年度、児童部会では「お話(素話)を覚えて語ることを目標にして、「おはなし」とは何なのか、「おはなし」を聞く子どもたちの反応はどうなのか、について研究してきました。この本は保育の現場で長い間、子どもたちにおはなしを届けて来た作者が、幼い子どもたちにおはなしを語る意味をわかりやすく伝えてくれます。またオリジナルの短いおはなしは、今の子どもたちにとってもわかりやすく楽しい展開になっています。幼い子どもたちへの語りについて試行錯誤している方は、ぜひこちらも参考にしてみるとよいでしょう。
 

 

(作成K・J)

訃報 児童文学翻訳家 上田真而子さん


ドイツ文学者で児童文学作品の翻訳を多数手がけられた翻訳家の上田真而子さんが、12月17日午後、京都バプテスト病院のホスピスでお亡くなりになりました。1930年生れの87歳でした。

1982年にはミヒャエル・エンデの『はてしない物語』(佐藤真理子/共訳 岩波書店 1982)で日本翻訳文化賞を、1988年には『あの年の春は早くきた』(クリスティーネ・ネストリンガー/著 岩波書店 1984)で国際アンデルセン賞国内賞を受賞されています。

ミヒャエル・エンデ『はてしない物語』佐藤真理子/共訳 岩波書店 1982

はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー)
ミヒャエル・エンデ
岩波書店
1982-06-07
 
 
 
 
クリスティーネ・ネストリンガー『あの年の春は早くきた』岩波書店 1984
 
あの年の春は早くきた (1984年)
クリスティーネ ネストリンガー
岩波書店
1984-05-14
 
 
 

 

その他にもたくさんのドイツ語圏の絵本や児童文学を翻訳し、日本の子どもたちに紹介してくださいました。(NDLサーチ→上田真而子

以下は主な作品。

ハンス・ペーター・リヒター『あのころはフリードリヒがいた』岩波少年文庫 1977

あのころはフリードリヒがいた (岩波少年文庫 3100)
ハンス・ペーター・リヒター
岩波書店
 
 
 
 
 
 
ペーター=ヘルトリング『ヨーンじいちゃん』偕成社 1985
 
ヨーンじいちゃん (現代の翻訳文学(28))
ペーター=ヘルトリング
偕成社
 
 
 
 
 
 
ヴィルヘルム・ブッシュ『黒いお姫さま ドイツの昔話』福音館書店 1991
 
黒いお姫さま (福音館文庫 昔話)
ヴィルヘルム・ブッシュ
福音館書店
2015-01-10
 
 
 
 
 
『まほうつかいのでし ゲーテのバラードによる』福音館書店 1995
 
まほうつかいのでし―ゲーテのバラードによる (日本傑作絵本シリーズ)
上田 真而子
福音館書店
1995-08-20
 
 
 
 
ホフマン『クルミわりとネズミの王さま』岩波少年文庫 2000
  
クルミわりとネズミの王さま (岩波少年文庫)
E.T.A. ホフマン
岩波書店
2000-11-17
 
 
 
 
 
ヨハンナ・シュピリ『ハイジ』岩波少年文庫  2003
 
ハイジ 上 (岩波少年文庫)
ヨハンナ・シュピリ
岩波書店
2017-04-20

ハイジ (下) (岩波少年文庫 (107))
ヨハンナ・シュピリ
岩波書店
2003-04-18
 
 
 
 
 
フェーリクス・ザルテン『バンビ 森の、ある一生の物語』岩波少年文庫  2010
 
 
 

 

 (作成K・J)

おすすめ幼年童話9『ごきげんいかが がちょうおくさん』ミリアム・クラーク・ポター


連載第9回は、『ごきげんいかが がちょうおくさん』(ミリアム・クラーク・ポター/作 松岡享子/訳 こうもとさちこ/絵 福音館書店 2004)です。


ごきげんいかが がちょうおくさん (世界傑作童話シリーズ)

ミリアム・クラーク ポター
福音館書店
2004-06-30

どうぶつ村に住むがちょうおくさんは、とてもそそっかしく失敗ばかりしています。

どんな失敗かというと、たとえば自転車旅行の計画をたてた時も、はいていくスラックスばかり心配して、肝心の自転車の手配を忘れたのを出発の瞬間に気づいてしまうとか、朝に玉ねぎの種をまいたら、昼には芽が出ないと騒いで、種の目を覚まさせようと畑に向かって鐘を鳴らして大騒ぎをしてしまったり。そんなドタバタやっているがちょうおくさんと、あきれながらも仲良く付き合っているぶたさん、りすおくさんなどとのやり取りが、ユーモラスです。どうぶつ村の住人はだれもが個性的で、とても人間臭いのです。

たとえば、ふくろうの老婦人は賢いけれど少し遊び心が足りません。屋根の上で食事をしているがちょうおくさんから一緒に食べようと誘われる場面があります。彼女は屋根の上でものを食べる必要があるのかと問いただし、十分な理由がないなら登らないと言います。

利発なりすおくさんも、がちょうおくさんの思いつきを聞かされたときなどは、内心では何か失敗するはずと思います。それでも口には出しません。そしてがちょうおくさんの行動に冷静なツッコミをしたりします。こんなやりとりは私たちの普段の人間関係を思い起こしてニヤリとしてしまいます。おとなが読んでも、とても面白い作品です。

短い6つの物語で構成されていて小学校の低学年から読むことができます。こうもとさちこさんの描く挿絵もやわらかく朗らかで、ほのぼのとした雰囲気を醸し出しています。

6つめの物語「クリスマスまであけないで」は、がちょうおくさんが村のみんなのためにクリスマスを用意するお話です。ここでもがちょうおくさんはやらかしてくれますよ。そんながちょうおくさんを囲んで村中のみんなが楽しそうにクリスマスをお祝いしているシーンが、最後の見開きページに描かれています。冬休みの読書におすすめしてもいいですね。

続編に『おっとあぶない がちょうおくさん』(2004)があります。

(作成 29年度児童部会部員M・Y)

第1回『おはようスーちゃん』→こちら
第2回『じゃんけんの好きな女の子』→こちら
第3回『こぶたのレーズン』→こちら
第4回『ちびっこタグボート』→こちら
第5回『スプーン王子のぼうけん』→こちら
第6回『プレゼントはお・ば・け』→こちら
7回『ちびねこグルのぼうけん』→こちら 
第8回『宇宙からきたかんづめ』→こちら

2017年10月、11月の新刊から(追加あり)


2017年10月、11月に出版された児童サービス向け出版物(絵本、児童書、ノンフィクション、YA向け、教育者・研究者向けなど)の中から、おすすめの本を紹介します。

また、ここに紹介している本は、実際に手にして読み終えた中から選んでいます。すべての新刊本を購入して読むことはできませんが、教文館ナルニア国の新刊本コーナー、クレヨンハウス新刊本コーナー、代官山蔦屋書店児童書部門、横浜日吉にあるともだち書店などにある本から選書し、購入し、読んで記事にしています。


 (なお、画像はブログ用Amazonアフィリエイトを使用しています。書誌事項は奥付の出版年月日にしており、Amazon入荷日とちがって表示されることがあります。ご了承ください。)

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【絵本】

『やもじろうとはりきち』降矢なな/作 佼成出版社 2017/10/10

やもじろうとはりきち
降矢 なな
佼成出版社
2017-10-06

ヤモリのやもじろうとハリネズミのはりきちは、あかちゃんのころからの仲良しです。なんにでも積極的なやもじろうと、おとなしくて慎重な性格のはりきちは、成長するにつれて少しずつ離れていくのですが・・・降矢ななさんが作・絵を手掛けるオリジナル絵本です。

 

『ようこそロイドホテルへ』野坂悦子/作 牡丹靖佳/画 玉川大学出版部 2017/10/20 

ようこそロイドホテルへ (未来への記憶)
野坂 悦子
玉川大学出版部
2017-10-24

 

オランダ語翻訳者の野坂悦子の創作絵本です。野坂さんには毎年オランダへ行くたびに惹かれる建物があって、それがこの絵本のテーマになっているロイドホテルなのだそうです。1921年にまずは南米移民のための宿泊施設としてスタートしたこのホテルは、その後難民滞在施設、刑務所、少年院、芸術家のアトリエと時代と共に役割を変えてきました。歴史の変遷の中に人間の生の縮図を見たという野坂さんが、ロイドホテルを通して伝えたいことが絵本に結実しています。 

 

『今、世界はあぶないのか? 争いと戦争』ルイーズ・スピルズベリー/文 ハナネ・カイ/絵 大山泉/訳 佐藤学/解説 評論社 2017/10/20

争いと戦争 (児童図書館・絵本の部屋)
ルイーズ スピルズベリー
評論社
2017-10-10

 

冒頭は世界人権宣言の第一条で始まっています。「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない」しかし現実の世界からは争いは消えず、今、また世界が一触即発の危機に面しています。なぜ争いが消えないのか、そのためにどうすればよいのか、子どもたちに問いかけて一緒に考えてみることができる1冊です。争いは、相手への無理解からもたらされる意見の対立から引き起こされるのです。さまざまな考え方の人がいるということを前提に、親子で、クラスでおとなと子どもが一緒に読んで、話し合うきっかけにできるといいですね。小学校中学年から。「今、世界はあぶないのか?」のシリーズには他に『難民と移民』、『貧困と飢餓』、『差別と偏見』の3冊があります。

 

『とてもとてもサーカスなフロラ』ジャック・センダック/文 モーリス・センダック/絵 江國香織/訳 集英社 2017/10/31

とてもとてもサーカスなフロラ
ジャック・センダック
集英社
2017-10-26
 
 モーリス・センダックが『かいじゅうたちのいるところ』でコールデコット賞を取るよりも7年も前に、実兄のジャックと作った絵本がこの度邦訳されました。訳者は江國香織さんです。サーカス団の中で生まれ育ったフロラは、毎晩サーカスを見に来てくれる観客たちが普段はどんな生活をしているのか知りません。スポットライトの向こうに座っている観客はステージから見るとどの人もみんな同じ顔をしているようで、悪夢まで見るようになってしまいます。自分の不安を取り除くためにフロラは初めてひとりで村まで出かけていきます。フロラの不安な気持ちは、人々が自分と同じだとわかったとき、解けていきました。他人を理解するということがどういうことか、そっと伝えてくれる作品です。文字が小さくて文字数も多めです。小学校中学年から。 
 
 
『貨物船のはなし』柳原良平/作 福音館書店 たくさんのふしぎ傑作集 2017/11/5
貨物船のはなし (たくさんのふしぎ傑作集)
柳原 良平
福音館書店
2017-11-01
 
世界を物が行き来するために欠かせないのが貨物船です。帆船の頃からの貨物船の歴史や、たくさんの荷物を積んでもなぜ沈まないのか構造的な説明もとてもわかりやすいです。また、かつては海外に行くのに使われていた旅客船が飛行機の普及で亡くなった代わりに、滞在型のクルーズ客船ができたことなど、この1冊を読むと船に関するさまざまな知識を得ることができます。調べ学習の導入にも使える1冊です。なお、作者の柳原良平さんは2015年8月に亡くなられています。(→「本のこまど」記事) この絵本は亡くなられる前年に月刊誌「たくさんのふしぎ」4月号として出版されたものを単行本にしたものです。
 
 
『テオのふしぎなクリスマス』キャサリン・ランデル/文 エミリー・サットン/絵 越智典子/訳 ゴブリン書房 2017/11

テオのふしぎなクリスマス
キャサリン ランデル
ゴブリン書房
2017-10-01

 1987年英国生れのキャサリン・ランデルと、2008年にエジンバラ芸術大学を卒業したエミリー・サットンの若い作家コンビの絵本です。絵本の形態をしていますが、しっかりと読みでのある物語になっており絵本から読み物へと橋渡しとして、あるいは親が読んであげるお話としておすすめの1冊です。両親が忙しく、ベビーシッターも居眠りをしてしまっているクリスマスイブ。テオはクリスマスツリーの飾りつけをしながら「だれか、いっしょにいてください。ひとりぼっちじゃなく、いられますように」と祈ります。するとクリスマス飾りの天使や木馬、こまどりに太鼓をたたいているブリキの兵隊たちが、テオに声をかけてきたのです。クリスマスイブに起こる不思議な冒険が、サットンの色鮮やかで繊細な絵で表現されていきます。サットンのちいさなちいさなめにみえないびせいぶつのせかい(二コラ・デイビス/文 越智典子/訳 ゴブリン書房 2015)、いろいろいっぱい ちきゅうのさまざまないきもの(二コラ・デイビス/文 越智典子/訳 ゴブリン書房 2017)も好評でした。

 

 『ジングルベル』キャサリン・N・デイリー/作 J・P・ミラー/絵 こみやゆう/訳 PHP研究所 2017/11/1

ジングルベル (おひざにおいで)
キャサリン・N・デイリー
PHP研究所
2017-10-19
 
クリスマスシーズンになると、あちこちで聞こえてくる「ジングルベル」の歌。耳になじみ過ぎて誰もが口ずさむことができるクリスマスキャロルの定番になっています。1964年にその歌詞をベースに作られたこの絵本は、クリスマスの楽しい雰囲気が暖かい色調で表現されています。PHP研究所の「おひざにおいで」シリーズの1冊です。おひざに子どもをのせて、一緒に歌いながら絵本を楽しめるといいですね。

 

『IMAGINE イマジン〈想像〉』ジョン・レノン/詩 ジャン・ジュリアン/絵 ヨーコ・オノ・レノン/序文 岩崎夏海/訳 岩崎書店 2017/11/30

IMAGINE イマジン 〈想像〉
ジョン・レノン
岩崎書店
2017-11-09

ジョン・レノンが世界の平和を願って歌った「イマジン」が絵本になりました。鳥の目から見たらどこにも国境の線はひかれておらず、人々は国を超え、人種を超えて平和に生きることができると、オリーブの枝をくわえた一羽のハトが象徴的に使われています。他人の立場にたって想像してみること、想像力をつかって他人を理解しようとするその行為こそが、平和を創り出すんだという「イマジン」の精神を子どもたちにも伝えていきたいですね。

 

 『ろうそくぱっ』みなみじゅんこ アリス館 2017/11/30

ろうそく ぱっ
みなみ じゅんこ
アリス館
2017-11-22


おはなし会の始まりと終わりに歌う手遊び「ろうそくぱっ」が絵本になりました。作者は『どんぐりころちゃん』のみなみじゅんこさんです。ろうそくをつけていくと、クリスマスツリーに灯がともります。またツリーのろうそくを消すと「よぞらにキラキラおほしさま」が輝きます。この絵本を読むタイミングは、クリスマスの時期だけという行事絵本です。クリスマスシーズンのおはなし会にぜひ取り入れてみてください。私も早速あるおはなし会でやってみました。普段通りに手遊びをする大人がいて、その隣で絵本をめくります。子どもたちは、自分の指の灯りが、クリスマスの飾りになっていると感じたようで、とても喜んでいました。

 

【児童書】

『グリムのむかしばなし Ⅱ』ワンダ・ガアグ/編・絵 松岡享子/訳 のら書店 2017/11/10

『100まんびきのねこ』などの作品があるワンダ・ガアグはミネソタ州ニューアルム生まれですが、ガアグの父はボヘミア(チェコ)出身 で、ニューアルムの町にはドイツ、オーストリア出身者が多く集まっていました。子ども時代に、父や周囲の大人からグリムの昔話をドイツ語で聞いて育ちます。子ども時代にたっぷり聞いたグリムの昔話を、生き生きとした言葉で再話しました。7月に出版された第1巻につづく第2巻です。こちらには「ブレーメンの音楽隊」、「ラプンツェル」、「三人兄弟」、「雪白とバラ紅」など9つのおはなしが入っています。よき語り手だったガアグの再話を、よき語り手である松岡享子さんが翻訳されました。他の再話と比較してみてください。そしてぜひガアグのグリムを子どもたちに読んで聞かせてほしいと思います。

 

『ふたりのスケーター』ノエル・ストレトフィールド/著 中村妙子/訳 教文館 2017/11/20

ふたりのスケーター
ノエル ストレトフィールド
教文館
2017-11-15

 舞台は第2次世界大戦前のイギリスです。ジョンソン一家の4人兄弟のたったひとりの女の子、ハリエットは10才です。しばらく体調を崩していましたが、お医者さんに体力をつけるためにスケートを勧められます。初めて行ったスケートリンクで、有名なスケート選手の忘れ形見で将来を有望視されているララと、運命的な出会いをします。ララは一人っ子で、しかも英才教育を受けるために学校には通っていなかったのです。ララにとっては初めて出来た同年代の友達ハリエットの存在は、互いに切磋琢磨していくかけがえのない存在へとなっていきます。その過程では嫉妬をしたり、誤解を解こうとして苦悩したり。10代の女の子の心の機微が丁寧に描かれていて、現代の子どもたちにも十分に通じることでしょう。小学校高学年から。

 

【研究書】

『絵本を深く読む』灰島かり/著 玉川大学出版部 2017/11/15

絵本を深く読む
灰島 かり
玉川大学出版部
2017-11-14

昨年6月に66歳の若さで亡くなった翻訳者で子どもの本の研究者の灰島かりさんの『日本児童文学』等の雑誌に連載した評論を、本人が亡くなる前に加筆、修正したいたものが、このほど出版されました。「絵本を深く読む」というタイトルの通り、作品を読み比べ、語句と絵を丁寧に読んで分析しています。現在、大人向け絵本の出版がとても盛んでし、子ども向けの絵本もさまざまなタイプのものが増えてきています。そのような中で、「絵本とは何か」というまっすぐな問いを、読み手に投げかけてくる、そんな1冊です。

 

【その他】

『ネコの時間』日髙敏隆/著 平凡社 2017/10/11

カエルの目玉(大野八生/絵 福音館書店 2011)という子ども向きの作品もある動物行動学の第一人者、日髙敏隆さんのエッセーです。タイトルになった「ネコの時間」以外にも「チョウという昆虫」、「ホタルの光」、「ドジョウは何を食べている?」、「水面を走るアメンボ忍者」など人間の周りにいる動物や昆虫の不思議な生態について綴られたエッセーが30ほど収められています。ちょっとした空き時間に、ひとつひとつを読むのが、ちょっとした楽しみになる1冊です。

(作成K・J)

訃報 島多代さん


1998年から2002年まで国際児童図書評議会(IBBY)の会長を務められた絵本研究家の島多代さんが11月27日に80歳で亡くなられました。(ニュース記事

以下、日本国際児童図書評議会(JBBY)のFacebookページからの引用です。(******で囲った範囲)

****************************
謹んでお知らせ致します。
IBBY会長、JBBY会長を務められた、JBBYの名誉会員・島多代さんが11月27日に帰天されました。享年80歳でした。
島さんは、長い間JBBYだけでなく、IBBYの国際理事、会長としてもご尽力くださり、世界の子どもたちと子どもの本に関わる人たちのために働いてこられました。
感謝と共に、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
☆島さんとJBBY・IBBY☆
1986年 東京で開催したIBBY世界大会に参加
1987年~2002年 JBBY理事
1990年~1992年 IBBY理事
1992年~1994年 IBBY副会長
1998年~2002年 IBBY会長(アジアから初めての選出)
2002年 スイス・バーゼルにて、IBBY創立50周年記念大会をIBBY会長として開催
2009年~2011年 JBBY会長(ご病気のため退任)
2011年~2013年 JBBY理事
在任中は皆様から多大なご協力、ご厚情を賜りました。
ありがとうございました。
    一般社団法人 日本国際児童図書評議会

****************************

島さんは、IBBY、JBBYの仕事をされながら、子どもの本についての著作もいくつか出されました。(→島多代さん著作 NDLサーチ)
また、ご自宅では私設図書館ミュゼ・イマジネールの活動も続けていらっしゃいました。

2014年4月23日~5月27日の間、銀座・教文館ウェンライトホールにて、「ミュゼ・イマジネール」の本などを展示する島多代の本棚から 絵本は子どもたちへの伝言特別展も開催されました。その際には、島多代さんの聖心女子大学の先輩にあたる美知子皇后さまもお出かけになりました。
私も会期中に3回、特別展に足を運びましたが、島さんが集められた世界中の貴重な絵本が並べられており、特に第二次世界大戦前の貴重なロシアの絵本などは、見るものを圧倒するものがありました。

2004年(平成16年)には社会貢献支援財団から功労賞を授与されています。

心より哀悼の意を表します。

 
『センダックの絵本論』モーリス・センダック著 脇明子、島多代/訳 岩波書店 1990
センダックの絵本論
モーリス センダック
岩波書店
1990-05-25

 

 

 

『ソビエトの絵本 1920‐1930』ジェームズ・フレーザー、島多代/共編 リブロポート 1991

 

 

『ちいさなもののいのり』エリナー・ファージョン/文 エリザベス・オートンジョーンズ/絵 島多代/訳 新教出版社 2010

ちいさなもののいのり
エリナー ファージョン
新教出版社
2010-10


 

(作成K・J)

訃報 パット・ハッチンスさん


『ロージーのおさんぽ』(わたなべしげお/訳 偕成社 1975)、『おやすみみみずく』(わたなべしげお/訳 偕成社 1977)、『ぶかぶかティッチ』(いしいももこ/訳 福音館書店 1984)や『おまたせクッキー』(乾侑美子/訳 偕成社 1987)など、子どもたちが大好きな作品があるイギリスの絵本作家パット・ハッチンス女史が11月7日にロンドンのご自宅で亡くなったというニュースが入ってきました。(→Publishers Weekly)85歳でした。

1942年生まれのパットは、イギリスはヨークシャーに生まれました。1968年に『ロージーのおさんぽ』でデビュー、1974年には『風がふいたら』(田村隆一/訳 評論社 1981 *現在絶版*)でケイト・グリーナウェイ賞を受賞しました。

パット・ハッチンスの作る絵本は、様式化された明るい色彩の絵、繰り返しのあるリズミカルな文章で、子どもたちが日常の暮らしの中で出合うユーモラスな展開が特徴的です。それは時代の変化に流されない普遍的なユーモアで、今の子どもたちでも十分に楽しむことができます。ぜひ紹介してあげましょう。

『ロージーのお散歩』パット・ハッチンス/作 わたなべしげお/訳 偕成社 1975

ロージーのおさんぽ (ハッチンスの絵本)
パット=ハッチンス
偕成社
1975-08-01

 

『おやすみみみずく』パット・ハッチンス/作 わたなべしげお/訳 偕成社 1977

おやすみ みみずく (ハッチンスの絵本)
パット=ハッチンス
偕成社
1977-07-01
 
 
 
 
『ぶかぶかティッチ』パット・ハッチンス/作 いしいももこ/訳 福音館書店 1984)  

 

 

『おまたせクッキー』パット・ハッチンス/作 乾侑美子/訳 偕成社 1987

おまたせクッキー
パット ハッチンス
偕成社
1987-09-01
 
 

『ピクニックにいこう!』パット・ハッチンス/作 たなかあきこ/訳 徳間書店 2003
ピクニックにいこう!
パット ハッチンス
徳間書店
2003-04


(作成K・J)

おすすめ幼年童話8『宇宙からきたかんづめ』佐藤さとる


連載第8回は『宇宙からきたかんづめ』(佐藤さとる/作 岡本順/絵 ゴブリン書房 2011)です。

宇宙からきたかんづめ
佐藤 さとる
ゴブリン書房
2011-11

 

 

 

物語は、ぼくがスーパーマーケットで不思議なかんづめと出会うシーンからはじまります。いちごのジャムを買ってくるようにとたのまれて行ったのに、ぼくが手にしたのは、なんと、おしゃべりをする宇宙から来たかんづめだったのです!

 お金を払って、不思議なかんづめを家に持ち帰り、缶切りのついたナイフで空けてみようとしたそのとき、「やめろ!」頭の中に声が響きました。「いったいだれなんだ」と問うと、かんづめはしばらくだまっていましたが、「宇宙のはてからきたんだ。地球がどういう星か、調べているだけだ」と答えてくれました。

そこから、遠い宇宙からきた不思議なかんづめとぼくとの生活がはじまります。

 ぼくは、「タイムマシンは、本当にできるものですか?」「宇宙のはしへいったら、どうなりますか?」など、不思議に思ったことをかんづめに聞くと、そのたびに面白い話を聞かせてくれるのです。そんなかんづめが語る話が5話、収録されています。(①タイムマシンは川に落ちた、②タツオの戸だな、③いなくなったどろぼう、④おしゃべりなカビ、⑤とんがりぼうしの高い塔)

 かんづめに聞いた話③「いなくなったどろぼう」の中に、光を当てると物が小さくなる懐中電灯が登場します。あれ?どこかで見たことがあると思ったら、ドラえもんに出てくるスモールライトそっくりです。実はこの作品が最初に出版されたのは1967年で、「ドラえもん」が小学館の学習雑誌に連載されるようになったのは1969年なので、ドラえもんより先なのです。出版されてから半世紀、おもしろいお話は、何年たっても色褪せることはありませんね。ファンタジー文学の第一人者「コロボックルシリーズ」の佐藤さとるが描く少し不思議なSFストーリーです。漢字にはふりがなもふってあり、お話の展開にスピード感があるので、小学校低学年の子どもたちから読むことができるでしょう。

 (作成29年度児童部会部員 M・N)

 

第1回『おはようスーちゃん』→こちら
第2回『じゃんけんの好きな女の子』→こちら
第3回『こぶたのレーズン』→こちら
第4回『ちびっこタグボート』→こちら
第5回『スプーン王子のぼうけん』→こちら
第6回『プレゼントはお・ば・け』→こちら
7回『ちびねこグルのぼうけん』→こちら 

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