おはなし会のいろは

おはなし会のいろは(その4)プログラムの作り方(再掲)
おはなし会のいろは(その3)おはなし会の会場設営・雰囲気作り(再掲)
おはなし会のいろは(その2)絵本の読み方 声の出し方(再掲)
おはなし会のいろは(その1)絵本の持ち方、めくり方(再掲)
おはなし会のいろは(その6)おはなし会終了後も大事です(フォローと記録)
おはなし会のいろは(その5) おはなし会でのこんなハプニング、あなたならどうする?

おはなし会のいろは(その4)プログラムの作り方(再掲)


昨年、児童サービス初心者向けにおはなし会開催についてのノウハウをお知らせするために連載した「おはなし会のいろは」を、再掲載いたします。

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「本のこまど」では、図書館の児童サービス担当のみなさんが図書館で「おはなし会」を実施するにあたって、これまでプログラムのおすすめプランや、おすすめの絵本リストなどの情報を中心にお届けしてきました。

そこで今回は「おはなし会」の実施方法(開催するための実際の下準備や声の出し方なども含む)について連載することにしました。6回にわけて掲載していきます。どうぞお楽しみに!

(その1) 絵本の持ち方、めくり方
(その2) 絵本の読み方 声の出し方
(その3) おはなし会の会場設営 雰囲気作り
(その4) プログラムの作り方
(その5) おはなし会でのこんなハプニング、あなたならどうする?
(その6) おはなし会終了後も大事です (フォローと記録)

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おはなし会のいろはの4回目は、おはなし会プログラムの作り方です。

ヴィアックス社員研修テキストの「おはなし会」の項目には、このように書いています。blog5

「おはなし会とは、おはなしや本の持つ豊かな世界を子どもたちに伝えるための児童サービス業務の重要な柱のひとつです。本来はおはなしを覚えて語るストーリーテリング(素話)を中心としたものを指していましたが、今はおはなしだけではなく絵本や紙芝居、わらべうたなどと組み合わせて行われることが多くなっています。選書やプログラム構成、おはなし会の運営は児童サービス担当の力量が問われるところです。本を手渡すための大切な業務であることを認識しましょう。」

このプログラムの作り方で、大切なのは
1. 選書(絵本の選び方、組み合わせ方)
2. プログラム構成(おはなし会の全体的な流れ、時間配分)
の2点です。

今回取り上げるおはなし会の運営やプログラムの作り方については、経験を重ねれば見えてくるのですが、集合研修では伝えきれない部分でもあるので、このように「おはなし会のいろは」で連載しています。頭だけで理解しようとすると、理解しにくいかもしれません。子どもたちの様子をみながら、修正をしていくとよいでしょう。

以前、ある図書館へ、館内研修の打合せに伺った時、「30分間、ずっと絵本を読むって大変です。子どもたちも途中から集中力が続かなくなって、飽きてきてしまう。そのために手遊びの研修をしてもらいたいと思っています。」と、言われて少し驚きました。実際にその図書館のおはなし会の記録ノートを見ると、毎回7冊~8冊の絵本を読んでいたようです。その後、ほかの図書館からも似たような研修の要望が寄せられることがあり、「本のこまど」できちんと書いておく必要があると感じていました。

 テキストには、選書、プロラム構成の順番で記していますが、ここでは全体的な流れをまず把握してから選書をしてほしいと考え、プログラム構成を先に記します。

 

1.プログラム構成(おはなし会の全体的な流れ、時間配分)

1)30分のおはなし会時間のうち、おはなしタイムは15分~20分

多くの図書館では、おはなし会の開催時間を10時~10時30分とか、15時~15時30分というように、だいたい30分間にしています。しかしこの30分間の中には子どもを迎えて、送り出すまでの時間も含まれています。

30分間、ずっと絵本を読み続けるということではありません。とくに年齢が低くなればなるほど、集中が続く時間は短くなります。子どもたちにとって立て続けに7.8冊読んでもらっている間、じっと静かにしておかなければならないというのは、逆にとても苦痛なことで、おはなし会を楽しみにすることができなくなってしまいます。時間配分について具体的に例をあげます。

ブログ用

【10:00~10:30のおはなし会の場合】

9:45~ 開場  始まる30分前には会場の設営を終えておきます。
        開場したら、おはなし会担当者は、入口で子どもたちを迎えます。
        初めて参加する子は大変緊張します。常連の子どもだけでなく、初めて参加する子どもたちにも気を配りましょう。

10:03~    小さな子どもたちを連れて時間通りに集まるというのはとても大変なことです。
         時間になってすく始めるのではなく、最初の2,3分は、注意事項を伝えるなどの時間として使います。

        *)緊急事態(天災発生など)の際の避難誘導について
          おはなし会の間は携帯電話の使用を控え、スマホなどでの撮影も遠慮いただくこと
          記録用として、図書館が写真撮影を行うが、顔など写らないように留意し、外へは出さないこと
          その他、必要事項を最初に伝えておきます。

10:05~ はじまりの儀式 おはなし会のはじまりの歌、手遊びなど
     *)ここからは「おはなし会」が始まったよ!と、子どもにもわかるように、はじまりと終わりの儀式(歌や手遊び)を決めておくとよいでしょう。

     絵本         1冊目は導入になるような絵本を

     わらべうた   (手遊びでもよいが、子どもたちの年齢に合ったもの、おはなしの世界からかけ離れないものにする)

     絵本   この日のプログラムのメインになる作品をもってくる

     わらべうた

     絵本

10:20  おわりの儀式
     *)これでおはなし会が終わりましたよ!と、子どもたちにもわかるようにおわりの儀式をして、会を閉じます。
      たとえば、おはなしのろうそく用いた場合は、灯火を吹き消すなどの儀式をする、あるいは“さよならあんころもち”のわらべうたなど

10:21~ この日、読んだ絵本の紹介
      出席カードなどへのスタンプ押しなどm-style99
      次回のご案内、その他館内のイベント案内など

10:30    退場  おはなし会の会場入口で見送ります。
     その際、ほかの利用者に配慮をするようにお伝えします。

2)終了後も大切

おはなし会をやってそれでおしまいではありません。まずは読んだ本以外にも関連するテーマの本を紹介するなどし、貸出に繋いでいきます。児童サービスの最終的な目的は、家庭で絵本を読んでもらうこと、家庭で保護者がお子さんに絵本を読んであげることです。もし、どのような絵本を読んであげたらよいかの相談を受けたら、図書館で作成しているリストなどを活用しておすすめの本を紹介してあげてください。「本のこまど」でも、毎月おすすめ本のリストを更新していますので、ご活用ください。
おすすめ本のリスト→こちら

また、おはなし会の後の振り返りもとても大切です。このあたりのことは、連載の6回目で詳しくお伝えします。

     

2.選書(絵本の選び方、組み合わせ方)  

1)対象年齢別

基本的には、まず対象年齢を考えて選びます。参加する子どもたちが未就園児(0~2歳)なのか、幼児(3~5歳)なのか、小学生なのか、中高生を含めた大人なのかで、違ってきます。とくに図書館で増えている未就園児の場合、集団の場では絵本に集中することは難しいことが多いです。この場合、おはなし会に参加する前の準備期間として、おとなの膝の上に座ってわらべうたなどで遊び、一緒に楽しい時間を過ごす体験をしていると割り切るとよいでしょう。赤ちゃん向けの絵本などは、実際には1.2分で読み終えてしまいますが、子どもたちの反応や表情を見ながらゆっくり読むようにします。短い絵本ばかりだからといって、何冊も続けざまに読むのでは、子どもの方が疲れてしまいます。小さい子どもたち対象の場合は、せいぜい2、3冊に留め、わらべうたなど親子でふれあい、周囲の人と笑顔で交流できる時間にすると良いと思います。

未就園児(0~2歳)・・・赤ちゃん向けの絵本の中から、季節的なテーマのものや、ことばあそび、モノの絵本など2、3冊バランスよく選びます。
幼児(3~5歳)  ・・・物語の楽しさがわかる年齢。耳から聞いて心地よい文章で、絵と文章のバランスの良い絵本を、3、4冊選びます。
          昔話と相性の良い年代でもあります。かがく絵本、ことばあそびの絵本なども、テーマに合わせて加えます。
小学生(6歳~)   ・・・耳から聞いて想像する力が身についてくる年齢の子どもたちには、ぜひストーリーテリング(素話)を取り入れましょう。
           また読むと10分以上かかる骨太の物語も集中して聞くことができます。
                               詩の鑑賞の際に復唱してもらったり、ことばあそび絵本では一緒に声に出すなどの読み方もやってみるとよいでしょう。

 子どもの発達と読書PDFファイルは→こちら 28年度児童サービス研修資料・子どもの発達と読書

 2)季節・暦に合わせて

 日本には、四季折々の変化があり、大切にしたい年中行事があります。そうしたものに触れる機会となるよう、おはなし会プログラムも意識するとよいでしょう。それらは、年度初めの年間業務計画の中で、館内の特集展示や児童室だよりのテーマと連動させるとよいでしょう。

 児童サービス年間業務計画PDFファイルは→こちら 児童サービス年間業務計画

 

3)組み合わせ方

おはなし会のテーマをまず決めましょう。その上で、そのテーマに沿った絵本をいくつか選びます。4冊読むとしたら、10冊くらい選んで声に出して読み比べ、その絵本がテーマに沿っているか、耳から聞いて心地がよいか、絵と文章のバランスがよいか、集団で読み聞かせをするのに向いているか(絵が細かすぎることはないか)等、検討をします。その上でメインにする本を選びます。年齢の高い子どもたち対象の場合は、メインにストーリーテリングにするとよいでしょう。

その上で導入に使える絵本、気分転換になる絵本(かがく絵本や、ことばあそび絵本など)と組み合わせていきます。その場合、コース料理を思い浮かべながら組み合わせるとよいでしょう。(前菜→スープ→メイン→デザートというように)

おはなし会担当者で、どの本を誰が決め、互いに声に出して読み合いながら、最終的に子どもたちにとって、どの順番で読んでもらうとよいか、確認をしましょう。

「本のこまど」では、2ヶ月前倒しで「おはなし会プラン」を小さい子向け、大きい子向けに2本紹介しています。ぜひご活用ください。

おはなし会プラン→こちら

なお、なぜ2ヶ月前倒しかというと、プログラムを作成するための最初の本の選定から、子どもたちの状況に合わせて最適な組み合わせにするのに、これぐらいの時間がかかると見ているからです。慣れてくると、準備の時間は短縮されますが、初めておはなし会を担当するという方は、2か月前から準備をはじめるようにしましょう。

 (作成K・J)

おはなし会のいろは(その3)おはなし会の会場設営・雰囲気作り(再掲)


昨年、児童サービス初心者向けにおはなし会開催についてのノウハウをお知らせするために連載した「おはなし会のいろは」を、再掲載いたします。

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「本のこまど」では、図書館の児童サービス担当のみなさんが図書館で「おはなし会」を実施するにあたって、これまでプログラムのおすすめプランや、おすすめの絵本リストなどの情報を中心にお届けしてきました。

そこで今回は「おはなし会」の実施方法(開催するための実際の下準備や声の出し方なども含む)について連載することにしました。6回にわけて掲載していきます。どうぞお楽しみに!

(その1) 絵本の持ち方、めくり方
(その2) 絵本の読み方 声の出し方
(その3) おはなし会の会場設営 雰囲気作り
(その4) プログラムの作り方
(その5) おはなし会でのこんなハプニング、あなたならどうする?
(その6) おはなし会終了後も大事です (フォローと記録)

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おはなし会のいろはの3回目は、おはなし会の会場設営と雰囲気作りです。

1回目では絵本の持ち方、めくり方を、2回目では絵本の読み方、声の出し方と、絵本を読む時の技術についてお伝えしてきました。今回は、子どもたちを迎えるための会場設営や雰囲気作りで気をつけるとよいポイントについてお伝えします。

会場設営

1)おはなしに集中できるかどうかを確認する
 子どもたちは目に入ってくる情報が多いと集中力を持続させることが難しくなります。おはなし会専用の小部屋などがない場合は、子どもたちが集中できる環境づくりを心がけましょう。児童室の小上がりや、児童室の一部を区切って行う場合は、おはなし会に参加しない利用者の動きが気になって集中を切らすことがあります。おはなし会スペースを区切るための衝立や、カーテンをつけるようにするとよいでしょう。また、書架が見えていると、子どもたちはそこにある本に気が逸れることがあります。読み手の後ろに書架がある場合などは、おはなし会の間、布をかけておくだけでも集中が違ってきます。
 会場が広すぎる場合も、子どもたちの注意は散漫になり、走り回ったりします。この場合も部屋を衝立やカーテンで仕切って、人数に見合った広さにするようにしましょう。

クッションフロア

小上がりや絨毯敷のおはなしの小部屋ではない場合(会議室など)はクッションフロアを敷いて、くつろいで座れるようにしましょう。オモテ面とウラ面がわかるようにして、清潔に保つことも大事です。

2)危険がないかどうかを確認する
 「あかちゃんおはなし会」「おひざのうえのおはなし会」などと称して、小さい子ども対象のおはなし会をする図書館が増えてきました。ハイハイをする月齢の子どもの参加もあるでしょう。床に落ちた小さなゴミを口に入れてしまったり、絨毯に絡まったホッチキスの針などで指を怪我することもあります。また、歩き始めたばかりの子どもがクッションマットと床のわずか1cmの段差に躓いて転倒する、衝立の下の空間をくぐって向こう側に抜けるとか、つかまり立ちを始めた子どもが不安定な衝立を支えにして立ち上がろうとして衝立ごと倒れるなど、おとなでは思いも及ばないような動きをすることがあります。会場設営をする時は、目線を子どもの高さにして、危険がないかどうか、予め確認しておくことが大切です。

3)ほかの利用者にも配慮する
 おはなしの小部屋や、イベントに使える防音の部屋がない場合は、おはなし会での子どもたちの歓声が館内に響くなどして、騒音としてクレームが来ることがあります。子どもたちがおはなしの世界に入り込んで声をあげることは自然なことで、それを止めることはできません。したがって、おはなし会をしていることを、ほかの利用者に予め知らせるようなボードを、おはなし会会場の近くだけでなく、図書館の入口にも立てておきましょう。そうすることで、利用者の方は、「今日はおはなし会があって子どもたちが多く来ているんだな」という情報を得て、多少の声を寛大に受け止めたり、時間をずらして利用するなどの対応が取れます。
 なお、おはなし会終了後に、参加者の方に「会場を出たらほかの利用者の方に配慮をお願いします」と一声かけて、おはなし会のテンションをセーブするように伝えましょう。参加する親子も、ほかの利用者もお互いに気持ちよく過ごせると良いですね。

4)大きな災害に備えて
 私たちは2011年3月に未曾有の被害をもたらした東日本大震災を経験しました。おはなし会の最中に、再びそのような災害が起きないとは誰も予測できません。どのような災害が襲ってきた場合でも利用者、とりわけ小さな子どもたちの安全をどのように確保するかは、常日頃から考えておく必要があります。おはなし会の部屋で転倒してくるものはないかどうか、避難経路は確保されているかどうか、確認しておきましょう。また小上がりやクッションマットに靴を脱いで上がる場合、その靴をどのように置くかも確認しておきましょう。おはなしの小部屋などがあって靴箱がある場合はよいのですが、それがない場合、なにかあった時にすぐに靴を履いて逃げられるかどうか(地震の場合、裸足での避難は大変危険です)も考えておきましょう。
 参加者が少人数の場合は、親子の靴を揃えてマットや小上がりの脇に並べておけばよいのですが、人数が多いときはパニック状態になると靴が散逸する恐れがあります。あらかじめポリ袋などを配布し、靴を手元に置いてもらうような配慮も必要です。

 

雰囲気作り

1)温かく迎える準備
 子どもは小さければ小さいほど、はじめての場所への不安感があります。まずは出迎えるスタッフが笑顔でお母さんに接してあげてください。お母さんが穏やかでいれば、お子さんも安心することができます。それでも不安から泣いてしまうお子さんもいます。無理強いすることなく、入口の外からおはなし会の様子を伺えるようにして、大丈夫だったら途中からでも入れるようにしてあげましょう。
 なお、おはなし会の常連が増えていくと、ついつい常連の方と雑談などをして初めての参加者が疎外感を味わうことがあります。初めて参加した子どもたちに「はじめて来てくれたのね。ようこそ。お友達と一緒に楽しい時間を過ごしましょうね」などと声をかけ、初参加の子どもが気後れしないように、周囲の子達と馴染むように配慮してあげましょう。

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秋の実りをテーマにおはなし会をするときに、小道具としてどんぐりや栗、まつぼっくりなどを準備しておくとよいでしょう。

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当日、読む絵本以外にテーマに関連するものを集めておくと、おはなし会の終了後の貸出につなげられます。室内の装飾もシンプルで、明るい雰囲気になるようなものがおすすめです。

2)装飾や展示
 おはなしの世界に集中できる程度に、親しみやすい装飾をするとよいでしょう。しかし、子どもに人気のキャラクターなどがあると、そちらに気持ちが引っ張られるということがあるので注意しましょう。
 また、おはなし会のテーマにあったものを用意しておく、例えば秋の季節に「木の実」をテーマにおはなし会をする場合にどんぐりやまつぼっくり、栗などを用意して絵本とともに展示するのもよいでしょう。
 当日、読む絵本だけでなく、季節にあった絵本や関連するテーマの本なども、会場に展示しておくと、おはなし会のあとの貸出につなぐことができます。これらの展示は、入口あたりにしておくとよいでしょう。
 

 

 

 

くまさん

ミトンくまのそばに駆け寄る子どもたち。子どもたちにとって、くまの人形は友達として親しみを感じることができるため、初めての場所でも安心を得ることができます。

2)小道具を用意する
 人見知りをする月齢のお子さん(*)にとって、いきなり知らない人に話しかけられると不安から泣いてしまうことがあります。そのような不安を和らげる小道具がミトンくまなどの人形です。人形が介在することで、小さな子どもがぐっとおはなしの世界に近づいて来ることがあります。上手に小道具を活用しましょう。

 

(*)人見知りは、生後7ヶ月頃から始まります。終わりは個人差があり1歳過ぎに収まる場合もあれば、2歳過ぎまで続くことも。ただ怖がっているわけではなく、人への興味関心があり、近づきたいという気持ちとの葛藤だということです。→科学技術振興機構(JST)「赤ちゃんの「人見知り」行動 単なる怖がりではなく「近づきたいけど怖い」心の葛藤

ミトンくまなどのパペットのキットは「保育と人形の会」で購入することが出来ます。ボア布の周囲が縫ってあります。裏返して綿を詰め、目鼻と尻尾を縫い付けると出来上がります。→「保育と人形の会」サイト内「ミトン人形

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スパークハーフという種類の布。透ける素材です。切りっぱなしでも端がほつれず、速乾性なので洗濯も簡単で扱いやすいです。

 「じぃーじぃーばあ」や、「にぎりぱっちり」、「ちゅっちゅこっこ」など布を使って遊ぶわらべうたをおはなし会でする際には、スパークハーフという布を用意します。この布は切りっぱなしでも端がほつれることがなく、洗濯も簡単ですぐに乾くので扱いやすいです。

 

最後に
 おはなし会は、児童サービス業務の重要な柱のひとつです。児童室に並べられている本がどんな内容で、本の中にどのような楽しい世界が広がっているかを、子どもたちに伝えていく大切な機会です。また、家庭でこそ子どもたちをお膝に乗せて本を読んでもらいたい、そのためにお母さんをはじめとする保護者の方に絵本を一緒に楽しむことの素晴らしさを伝える場でもあります。

 絵本を上手に読むという技術面に走りがちですが、その背景にある「おはなし会」の意義と目的についてもしっかり確認をしたいと思います。

(作成K・J)

おはなし会のいろは(その2)絵本の読み方 声の出し方(再掲)


昨年、児童サービス初心者向けにおはなし会開催についてのノウハウをお知らせするために連載した「おはなし会のいろは」を、再掲載いたします。

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「本のこまど」では、図書館の児童サービス担当のみなさんが図書館で「おはなし会」を実施するにあたって、これまでプログラムのおすすめプランや、おすすめの絵本リストなどの情報を中心にお届けしてきました。

そこで今回は「おはなし会」の実施方法(開催するための実際の下準備や声の出し方なども含む)について連載することにしました。6回にわけて掲載していきます。どうぞお楽しみに!

(その1) 絵本の持ち方、めくり方
(その2) 絵本の読み方 声の出し方
(その3) おはなし会の会場設営 雰囲気作り
(その4) プログラムの作り方
(その5) おはなし会でのこんなハプニング、あなたならどうする?
(その6) おはなし会終了後も大事です (フォローと記録)

 

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連載1回目の「絵本の持ち方 めくり方」は多くの方に見ていただき、「いいね」もたくさん押していただきありがとうございました。

2回目は「絵本の読み方 声の出し方」です。前回も書きましたが、これは図書館や学校など大勢の子どもたちに向けておはなし会を開催する場合を想定しています。ご家庭で自分のお子さんのために読むときは、どんな読み方をしてもOKです。大好きな親や祖父母がそばで自分のために読んでくれる!というだけで嬉しいのです。読み方にこだわることはありませんので、利用者から質問があった場合はそのようにお伝えください。

【絵本の読み方】7042d4ba

①導入 

 初めておはなし会を担当する時は、子どもたちの視線が一斉に自分に集まり、また後方で見ている保護者の方々も視界に入ってきて緊張すると思います。読み始める前に、ゆっくりと深呼吸をして、息を整えましょう。また子どもたちを一回り見渡して、「最初に読む絵本は、これだよ。」「次はどんなお話かな?聞いてね」など、少し会話をしてみると、子どもたちとの距離が縮まって緊張を解くことが出来ます。

 おはなし会は、図書館スタッフが一方的に子どもに本を読むショーではありません。読み手と聞き手が一緒におはなしを楽しみ、その場の雰囲気を作っていくものです。読み手が交代したり、次の絵本に移行するときに、無言のままやっているおはなし会に出くわしたことがあります。聞き手にも緊張感が伝わり、雰囲気がとても硬くなっていました。ほんの一言声をかけると場が和むものです。

 

②表紙の読み方

 読み始める前に、本の表紙をしっかりと見せて、タイトルと作者名、画家名、翻訳者名などを読み上げます。ただし1回目でも書きましたが、おはなし会の対象が小さなお子さんの場合はタイトルだけで良いでしょう。幼稚園の年長児や小学生を対象に読むときは、作者名など本を作った人への意識が高まり、特定の作家、画家のファンになったりします。

表紙は、子どもたちにとって別世界への扉です。これからどんなおはなしが始まるのか、期待を膨らませることでしょう。

 

③見返し

 見返しもすべてゆっくりとめくっていきます。作品によっては、見返しに描かれた絵から物語が始まっていたり、伏線になっていることがあります。お芝居で開幕のブザーが鳴って緞帳が上がっていく時のような期待感を高めることとなります。

 

④声の表情と、間の取り方

 おはなし会の研修などでよく質問を受けるのが、登場人物などを声音を変えて読むかどうかということです。子どもたちが物語の世界をイメージし、その世界に入り込んでいくのを邪魔しないために読み手は出来るだけ淡々と読むのが良いという主張もあります。(読み手は黒子に徹するという意味で「黒子説」と呼ばれています。)

その一方で、絵本を読んでもらうことに慣れていない子や、普段アニメーションばかり見ている子にとっては淡々と読まれていると、面白さがわかる前に飽きてしまうので、臨場感溢れるように声音を変え、身体的動作やBGMなども時には使ってドラマティックに読んだほうが良いと主張もあります。(読み手のパフォーマンスに依るということで「パフォーマンス説」と呼ばれています。)

そのどちらが正しいとは断言できない問題だと私は思います。つまり、それは作品によって違うと考えるからです。たとえば、マリー・ホール・エッツの『もりのなか』(まさきるりこ/訳 福音館書店)や、ユリー・シュルヴィッツの『よあけ』(瀬田貞二/訳 福音館書店)などは、静かに淡々と読んであげたほうが、子どもたちはすっとこの作品の世界に入り込んでいけます。

もりのなか (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)
マリー・ホール・エッツ
福音館書店
1963-12-20
 
 
 
 
よあけ (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)
ユリー・シュルヴィッツ
福音館書店
1977-06-25
  

 

 

逆に、ドラマティックに場面が展開していく 『三びきのやぎのがらがらどん』(マーシャ・ブラウン/作 瀬田貞二/訳 福音館書店)では、大きながらがらどんが登場する場面は、それまでの小さながらがらどんや、中くらいのがらがらどんよりも大きなしわがれた声で「おれだ!おおきなやぎのがらがらどんだ」と読まないと、この作品の面白さは伝わりにくいでしょう。(フォントも大きくなっています)

 何度もしつこく言うようですが、しっかりと下読みをする中で、どんな読み方がその作品の世界観を子どもたちに伝えられるか、感じ取ることが大切です。

自分ひとりで判断できない場合は、一緒におはなし会を担当する同僚とリハーサルを重ねながら検討していくとよいでしょう。お互いに読む作品を声に出して読み合う中で、声の出し方やめくるタイミングなども合わせてアドバイスをお互いにしましょう。

なお、無理に声音を作る必要はありません。ゆっくり読む、早口で読む、あるいは声の大きさを変えるだけで、物語の雰囲気をより深く伝えていくことが出来ます。(おじいさんやおばあさんはゆっくり読む、小さな子どもは早口で読むだけでも雰囲気が伝わります)
 

 それと合わせて、ページをめくる速さや間も大切にしましょう。文章を読み終わった後もじっくりと絵を見せておきたい場面と、さっと次のページに移行したほうが、子どもたちがその世界に入り込める場合とがあります。どのように読めば、その物語の世界をより子どもたちに伝えられるか、あらかじめ何度も読んでみて考えておく必要があるでしょう。十分な下読みをし、また誰かに聞いてもらっておくことをおすすめします。

 長新太の『キャベツくん』(文研出版)を例にあげてみます。

キャベツくん (ぽっぽライブラリ みるみる絵本)
長 新太
文研出版
2005-02

 

キャベツくんが「こうなる!」といいました。” で見開きのページが終わり、次のページの冒頭では “「ブキャ!」ブタヤマさんは そらをみて びっくりしてしまいました。” と受けるのが繰り返されます。この場合、ページはサッとめくらないとそれこそ「間」が抜けてしまいます。また、「ブキャ!」の部分は、平坦に読むよりも、ほんとうに驚いた感じが伝わるように大げさなくらいに大きな声で読むほうが、この作品の面白さがより伝わります。

かいじゅうたちのいるところ
モーリス・センダック
冨山房
1975-12-05

  モーリス・センダックの『かいじゅうたちのいるところ』(神宮輝男/訳 冨山房)には、見開きで3シーン、字のないページが続きます。ここは主人公マックスとかいじゅうたちが繰り広げるかいじゅうおどりを子どもたちに堪能してもらうために、じっくりと絵を見せます。ご家庭ではいろいろな擬音を作ってかいじゅうおどりの様子を表現して遊ぶ親子もいると聞きますが、図書館など集団の場で読む場合は、こちらから特に働きかけずに、子どもたちが思い思いにその世界に入り込めるよう、みんなに見えるようにじっくり絵を見せながら、十分な間を置いて次のページへとめくっていくとよいでしょう。

 

⑤オノマトペ(擬音語、擬態語)絵本の読み方

 

 

がたん ごとん がたん ごとん (福音館 あかちゃんの絵本)
安西 水丸
福音館書店
1987-06-30

 

 

オノマトペの絵本は読み方がとても難しいですね。2010年にフェリス女学院大学で開催された絵本学会で、谷川俊太郎さんがオノマトペ絵本について語られました。(「ことばと絵」 →絵本学会会報No.40参照)谷川俊太郎さんご自身が『もこもこもこ』を表情豊かに、抑揚をつけ、楽しそうに読んでくださいました。「もこっ・・・も~こ~も~~こ~~~」と大げさなほどでしたが、「もこもこもこ」と平易に読んでいては伝わらない「大きく膨らんでいく様子」の描写が音から伝わってきて、どんどん引き込まれていきました。谷川さんは講演の中で「文字で読むのと声を出すのでは全然違うものになる。音声化する場合にはオーバーにやらないと面白くないと思うんです。」とおっしゃいました。

『がたんごとんがたんごとん』も平易に読むよりは、電車が来る本当の音のように抑揚をつけて読むと小さな子どもたちも大喜びします。もちろん、無理やり抑揚をつける必要はありませんが、谷川さんの発言は参考になると思います。

 

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背中が曲がっていると、声帯が圧迫されて声が通りにくくなります。椅子に座る場合は浅くかけて、背筋を伸ばしましょう

【声の出し方】

 声の出し方については、専門家のボイストレーニングを一度受けることができれば一番良いのですが、それができない場合の基本的なアドバイスをいくつか書いておきます。

①姿勢を正し

 姿勢が悪いと声がまっすぐに前に向かって出ません。まずは姿勢を正しくすることを心がけましょう。背中が曲がっていると、喉が圧迫されて、声帯をきれいに震わせることが出来ません。そうするとはっきりと発音が出来ず、聞き取りにくくなります。また、必要以上に声帯にに負担がかかり、喉を痛めてしまいます。
 姿勢を保つためには、筋力が必要です。「おはなし会に筋力?」と意外に思うでしょうが、正しい姿勢を保つために腹筋、背筋に意識し、普段からストレッチをするように心がけましょう。

 

 

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立つ場合も同じです。猫背にならないようにします。

②呼吸法

 腹式呼吸を心がけます。息を吐くときにお腹をへこませ、吸うときにお腹を膨らませます。そのことを意識しながら、ゆっくりと呼吸をします。うまくできないときは、仰向けに横になり、おへその下あたりに手を置いてやってみましょう。腹式呼吸で発声をすると、喉に負担をかけることなく、しっかりとした声を出すことが出来ます。大きな会場などで読み聞かせをする時などは、この発声の仕方を覚えておくと良いでしょう。インターネットで「発声法 腹式呼吸」で検索すると自宅でできるボイストレーニングのサイトや動画がたくさん出てきます。参考にしてみてください。

 

③滑舌をよくする 

  滑舌が悪いと明瞭な発声ができません。演劇などの練習に使われる口を動かす練習をしておきましょう。まずは口角の動きに意識して、母音を発声してみます。

 「あ」は大きく口を開く、「い」は口角を耳元に引き上げるように気持ちで横に伸ばす、「う」は唇をすぼめて前に出す、「え」は口を横に大きく開きながら舌を下歯茎につける、「お」は口の中に大きな空間をつくる感じで声を出します。この口角を意識して動かすエクササイズは小顔効果もあるそうですよ。その上で、口の形を意識しながら、演劇の練習などでも使われる発声練習をします。

 あえいうえおあお かけきくけこかこ させしすせそさそ たてちつてとたと なねにぬねのなの はへひふへほはほ まめみむめもまも やえいゆえよやよ 

 られりるれろらろ わえいうえをわを がげぎぐげごがご ざぜじずぜぞざそ だでぢづでどだど ばべびぶべぼばぼ ぱぺぴぷぺぽぱぽ

 その他にも、北原白秋の「五十音」(あめんぼあかいなあいうえお・・・ではじまる詩)や、外郎売の口上、早口言葉などで滑舌の練習を普段からしておくとよいでしょう。

(作成K・J) 

おはなし会のいろは(その1)絵本の持ち方、めくり方(再掲)


新年度、異動などで児童サービス担当になった方もいると思います。昨年、児童サービス初心者向けにおはなし会開催についてのノウハウをお知らせするために連載した「おはなし会のいろは」を、再掲載いたします。

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「本のこまど」では、図書館の児童サービス担当のみなさんが図書館で「おはなし会」を実施するにあたって、これまでプログラムのおすすめプランや、おすすめの絵本リストなどの情報を中心にお届けしてきました。

そこで今回は「おはなし会」の実施方法(開催するための実際の下準備や声の出し方なども含む)について連載することにしました。6回にわけて掲載していきます。どうぞお楽しみに!

(その1) 絵本の持ち方、めくり方
(その2) 絵本の読み方 声の出し方
(その3) おはなし会の会場設営 雰囲気作り
(その4) プログラムの作り方
(その5) おはなし会でのこんなハプニング、あなたならどうする?
(その6) おはなし会終了後も大事です (フォローと記録)

 また今年度中に社員向けeラーニングに動画も配信していく予定です。

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1回目は、初めての人が意外と知らない絵本の持ち方、めくり方についてです。ただし、これは図書館などでの集団への読み聞かせの場合です。ご家庭での読み聞かせについて、利用者から質問があった場合は、お子さんをお膝にのせるか、隣に座って同じ視線で読んであげるとよいとお伝えください。

では、福音館書店の『おおきなかぶ』を用いて、説明をしていきましょう。(画像使用については出版社の許諾を得ています。)
『おおきなかぶ』A・トルストイ/再話 内田莉莎子/訳 佐藤忠良/画 福音館書店

絵本の準備

開きグセをつける

①絵本の準備

まず絵本が開きやすいかどうかを確認します。とくに新しい絵本は、開きにくくなっています。真ん中あたりのページを開き、両手で綴じの部分を軽く押さえます。ページ数の多い絵本や、硬い紙質の絵本の場合は、いくつかのページで同じように綴じの部分を押さえておきます。こうすることで開きグセをつけることができ、読んでいる最中にページが浮いたり、戻ってしまうことを防ぐことができます。

 

 

 

②絵本の持ち方

絵本の持ち方

脇をしっかりと締めて持つ

絵本の持ち方3

親指と手のひらがしっかりと絵本を支える

文字が横書きで右開き(左綴じ)の絵本は、身体の右側で絵本を持つとめくりやすくなります。(縦書き、左開き(右綴じ)の絵本の場合は、逆に身体の左側で左手で絵本を持ちます。)

右手で絵本の「のど」(綴じの部分)をしっかりと持ちます。
手のひらと親指で後方から絵本を支え、手前に4本の指を揃えて添えます。これで絵本が安定して、グラグラと動くことがありません。
脇はしっかりと締めておくと、さらに安定します。

左は後方から絵本を持っているところを撮った写真です。
親指と手のひらがしっかりと絵本を支えていることがわかるでしょうか。

 

 

③ページのめくり方

絵本の持ち方2

『おおきなかぶ』A・トルストイ/再話 内田莉莎子/訳 佐藤忠良/画 福音館書店

絵本を読み始める時は、表紙の絵をしっかりと見せてからタイトル名を読み、見返しのページもタイトルのページも一枚ずつゆっくりとめくっていきます。見返しに何も書いてないからと、一度にタイトルのページまでめくるのではなく、劇場で緞帳が徐々に開いていくように見返しのページもゆっくりめくっていくことが大切です。読んでもらう子どもたちは、どんな物語に出会えるかワクワクしながら待つことが出来ます。タイトルページでは、もう一度タイトルを読みましょう。なお、作者名、画家名などについては乳幼児の場合は読まなくても構いませんが、小学生には読んであげると、絵本を作ってくれた人への意識や、教科書で紹介されている作家と同じだという発見が出来て、次の読書へ繋げることが出来ます。

ページをめくる時は、左手で手前を少し浮かせてから、自然に向こう側へ送るようにします。この時、のどを持っている4本の指も使って、ページの中央でページを受け取って送って行きます。この方法で絵本を持つと、ページをめくる時に描かれている絵を腕で邪魔することがありません。(ただし、もっと横長で大型の絵本の場合は、左手で向こう側へ送っていく必要が出てきます。)

 なお、縦書き、左開きの絵本の場合は、逆に身体の左側で左手で絵本を持ち、右手でページを浮かせて送るとよいでしょう。

 これらの持ち方は、絵本の字面を読む時の人の視線の動きにも合致しています。視点は手前から遠方に動かすよりも、遠方から手前に動かす方がピントが合いやすく、読み間違いをしにくいという利点もあります。

また文章を読み終わってすぐにページをめくるのではなく、ひと呼吸分、両端の子どもたちに絵を見せるつもりでほんの少し腰を左右に動かしてからめくります。(なお、作品によっては次のページにさっと移ったほうがお話の流れとして良い場合もあります。)

 はじめて児童サービス担当になって、図書館で「おはなし会」をすることになった場合、多くの方が家で声を出して一生懸命練習することでしょう。しかし大勢の人の前で読むというのは、広がって座っているどの子どもたちにも絵本の絵がよく見えるように絵本を持つことや、絵に見入っている子どもたちの邪魔にならないめくり方など、ほんの少しのコツが必要です。

 不特定多数の人の前で絵本を読むということは、慣れないと緊張するものです。練習をするときは、同僚や家族に聞いてもらいながら、実際にこれらの持ち方、めくり方で練習をしてみてください。

次回は、絵本を読むときの声の出し方についてです。お楽しみに! 
(作成K・J)

おはなし会のいろは(その6)おはなし会終了後も大事です(フォローと記録)


「おはなし会のいろは」の6回目は、「おはなし会終了後も大事です(フォローと記録)」です。

絵本の持ち方もめくり方も、声の出し方もマスターしました。おはなし会の会場作りにも気を配れるようになり、プログラムの立て方も理解が進んだことと思います。

実際におはなし会を実施してみて、ハプニングが起きても、冷静に対処も出来るようになったことでしょう。児童サービスの重要な柱であるおはなし会の運営がスムーズに出来るようになれば、児童担当として自信になりますね。

おはなし会の30分が終わってホッとしたいところですが、まだまだやることはあります。おはなし会の後にやるべき大切なことを2点取り上げます。

1)フォロー

e4f84cb2おはなし会のプログラムを最後まで終えれば、それで終わりではありません。まずは、その日に読んだ本をもう一度テーブルの上などに並べて紹介しましょう。読んでもらった絵本を借りて帰りたいという子どもたちのために、プログラムが決まった時点で複本を用意しておくと尚一層よいでしょう。当日は読まなかったけれど同じテーマで手渡したい本などがあれば、それも一緒に紹介しましょう。

子どもたちには、おはなし会にまた来てもらえるように、スタンプカードやシール帳を用意しておきます。図書館によってはスタンプのたまる数は8コ、10コなどさまざまですが、館の事情に合わせてそこは決定します。スタンプカードがいっぱいになったら、手作りのしおおはなし会ののいろは(スタンプカード)りや、折り紙で折ったメダルなどをプレゼントします。小さな子どもたちにとっては、それが励みになっておはなし会に参加する動機付けともなります。

おはなし会の部屋が、閲覧室とは別の場所にある場合は、終了後15~30分ほどは親子連れがしばらく談笑できるようにして、すぐに片づけをしないでおくことも一案です。おはなし会の余韻に浸りながら、絵本を仲立ちにして同年代の子どもをもつ親同士が交流する場として位置付けてもよいでしょう。図書館スタッフもその場にいて、家庭での読み聞かせについて相談にのったFullSizeRenderり、おすすめの絵本を手渡したりする機会を作れます。時には、保健師さんと協働してちょっとした子育て相談会などを実施しても喜ばれるでしょう。

なお、楽しいおはなし会のテンションのままで、閲覧室に親子連れが雪崩れ込むとクレームになることもあります。その3に記していますが、「会場を出たら、他の利用者の方々にもご配慮願います。」と一声かけましょう。

 

 

2)記録

おはなし会を実施しても、やりっぱなしでは意味がありません。おはなし会終了後に必ず担当者同士で簡単な振り返りをし、それを記録に残して蓄積することが大切です。

おはなし会の記録(本のこまど図書館)

おはなし会記録の見本 クリックすると拡大できます

対象年齢別に記録をファイリングし、いつでもその記録を見返すことが出来れば、よいでしょう。

どんなプログラムが喜ばれたか、子どもたちの反応はどうだったのかなど、読んだ本や、やったわらべうたなどの演目とともに記しておきます。

以前、研修で伺った図書館では記録は取ってあるものの、読んだ本の書名だけで書誌事項がまったく記されていないというものがありました。

昔話などは、同じタイトルで別の再話者で画家も違う絵本が何冊もあります。また、稀ですが版によって文章に手が入れられていて言葉遣いが変わっているという場合もあります。

タイトルはもちろんのこと、作者、翻訳者、画家、出版社、出版年などの書誌事項は面倒がらずに記入しておきましょう。

わらべうたや手遊びなどのうち、楽譜や遊び方など参照にできる書籍などがある場合は、それも記しておきます。その場合、ページまで漏らさずに記載しておくと、他の担当者が次に行う際の参考になります。

加えて、おはなし会プログラムを作成するときに候補にあがった他の本なども記しておきます。

図書館スタッフとボランティアさんとで組んでおはなし会を実施する場合も同様に一緒に振り返りと記録記入をしてください。

対話をする中で、ボランティアさんが長年積み上げてきた経験を伺うこともできるでしょうし、館内だけではわからない地域での子どもたちの姿を知ることもできるよい機会になります。

これらの記録は、ただ残せばよいのではなく、活用してこそ生きてきます。おすすめ本のリストを作成したり、次のプログラムを作成したりするときの参考にもなります。子どもたちの反応を書くことで、よりよいおはなし会の雰囲気作りにも生かしていくことができます。

 おはなし会の記録は、特別の用紙を準備しなくても、ノートに記入する形でも構いません。その場合は、必要事項が漏れなく記入できるように、表紙裏などに記入項目を添付しておくとよいでしょう。また自治体によっては、記録票が決まっている場合もあります。それを活用してください。

参考までにおはなし会の記録用紙(案)をPDFで取り出せるようにしておきます。

 〇〇図書館おはなし会記録(例)

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さて、2016年4月から6回にわたって連載してきた「おはなし会のいろは」は、これで終了です。何もわからないまま児童担当になって、はじめておはなし会を担当しなければならない、という初心者向けに連載してきました。この6回の連載をじっくり読んでいけば、おはなし会のノウハウはある程度理解できると思います。

はじめて担当する時は緊張するものですが、コチコチになっていると、子どもたちに伝わってしまいます。まずは担当するみなさんが肩の力を抜いて、楽しむことが大切です。もしも読み間違えてしまっても、大丈夫です。子どもの心を傷つけるような本を選書しなければ、あとは少々失敗しても大丈夫です。本の中に広がっている豊かな世界が、その失敗をカバーしてくれます。

選書にしても、最初はうまく選べないかもしれません。何度も読んでいるうちに、子どもたちが集中している様子などを見て、わかってくると思います。ゆめゆめウケる本が良い絵本だと思わないでくださいね。とにかくたくさんの本を読む。児童担当にとって、それが何より大切です。たくさんの本を手にしているうちに、手渡したい子どもたちの顔が浮かんでくると思います。

また、(その3)にも記していますが、図書館のおはなし会を通して、ご家庭で子どもたちのために本を読んであげることの楽しさを、付き添ってきている親たちに伝えることが一番大切です。そのためにも、付き添いの大人の方も一緒に過ごせるような言葉がけをしてください。

図書館のおはなし会で、子どもも大人も、スタッフのみなさんも、たくさんの笑顔になれますように!

 おはなし会のいろは(その1)絵本の持ち方、めくり方
 おはなし会のいろは(その2)絵本の読み方 声の出し方
 おはなし会のいろは(その3)おはなし会の会場設営・雰囲気作り
 おはなし会のいろは(その4)プログラムの作り方
 おはなし会のいろは(その5)おはなし会でのこんなハプニング、あなたならどうする?

 (作成K・J)

おはなし会のいろは(その5) おはなし会でのこんなハプニング、あなたならどうする?


2017年最初の投稿です。

新年あけましておめでとうございます。今年も図書館で児童サービスに携わる際に必要な情報を迅速にお伝えしていきたいと考えています。本年もどうぞよろしくお願いいたします。


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さて、「おはなし会のいろは」の5回目は、「おはなし会でのこんなハプニング、あなたならどうする?」です。

1回目から4回目まで、初めて児童サービスを担当する人が、いきなりおはなし会を担当することになっても、絵本の持ち方もわからない、読み方もわからない、またどんな準備が必要なのかも、どんな絵本を選んでよいかもわからない、ということがないようにと、ひとつひとつ丁寧に説明をしてきました。
 1回目 おはなし会のいろは(その1)絵本の持ち方、めくり方
 2回目 おはなし会のいろは(その2)絵本の読み方 声の出し方
 3回目 おはなし会のいろは(その3)おはなし会の会場設営・雰囲気作り
 4回目 おはなし会のいろは(その4)プログラムの作り方

 

今回は、実際におはなし会に携わった時に、子どもたちからの思わぬ反応に右往左往することがないように、おはなし会でよくあるハプニングとその対応方法についてQ&A方式でお伝えします。なお、これは2015年度まで使用していたヴィアックス「社員研修テキスト〈図書館業務 基礎編〉」(2013年)に「【よくある事例】(どう対応するのか)」というコラムで掲載されていましたが、テキスト改訂に合わせて削除したものです。今回は、それに加筆しています。

 

1)「これ知ってるよ!」、「もう読んだことある!」と言われたら

 「おもしろい本だったよね。もう一度みんなと一緒に楽しんでね。」と声をかけ、面白い本は何度読んでも面白いことや、みんなと一緒に楽しむことの大切さを伝えます。

 

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2)読んでいる最中に、あるいは語っている最中に子どもが話しかけてきたら

 声をかけてきた子に目を合わせて頷き、「あなたの話はきちんと聞こえているよ」という意思表示をします。しかしおはなしを中断せずに最後まで続けます。しつこいような場合は、「後でね」と小さな声で短く声をかけます。
 なお、読み終わったあと、あるいは語り終わったあとに、その子に必ず声をかけて話を聞いてあげましょう。

 また、昔話などで現代の子どもたちに馴染みのない道具などが出てきて、子どもたちが疑問を抱くだろうという場合は、あらかじめ説明をするか、「おはなしの中に、みんなが見たことのないものが出てくるけれど、終わった後に説明するから、最後まで聞いていてね。」と声をかけてもよいでしょう。

 

3)歌、鳴き声、方言などがある絵本は

 無理をしないで、自然に読んであげてください。歌の場合は、少し節をつけて読むだけでも、歌っているように聞こえます。絵本などで巻末に楽譜がついている場合は、それを覚えて歌ってあげましょう。もちろん、自分で曲をつけて歌ってもかまいませんが、毎回違うようでは、子どもたちも混乱します。
 

 

4)おはなしが抜けてしまったら

 緊張してしまって、絵本の1ページ読み飛ばしてしまう、おはなしの一段落が抜け落ちてしまうということはあるでしょう。気が付いた途端に、頭が真っ白になって、どこをどう読んでいるかわからなくなったりします。おはなしの進行に影響がない場合はそのまま読み進むこともありますが、前後が抜けて辻褄が合わないような時は、「1ページ抜けちゃったね。もう一度、ここから読み直すね。」と、声をかけて戻りましょう。
 そのようなことにならないためにも、普段から声に出して練習をしましょう。fuwari4

 

5)おはなしに集中できない子がいたら

 「おはなし会のいろは(その4)」で書いたように、子どもたちの、特に乳幼児の集中持続時間は大変短いのです。おはなし会が始まる前に、最後まで聞くことが苦痛に感じるならば、途中でその場を離れてもいいことを伝えてあげましょう。なお、おはなしの途中で、ぐずったり、周囲の子どもたちにも波及するようでしたら、他のスタッフがそばにいって、声をかけてその場を離れるようにします。

 また、おもちゃを持ってきていたり、書架にある絵本を引っ張り出したりと、子どもたちの注意を引くものがほかにあると、集中しづらくなります。おはなし会が始まる前に、会場内の子どもの注意を引くものを片付け(あるいは目隠しをし)、手にしているものは付き添いの保護者に預けるように促しておきましょう。(→「おはなし会のいろは(その3)」を参照)

 

6)他の子にちょっかいを出す子がいたら

 絵本を読む、あるいは語る人とは別のスタッフが対応します。そばに行って、「おはなしを聞こうね」と声をかけます。自分に関心が向くと、安心することがあります。そばに寄り添ってみて、それでも落ち着かない場合は、会場から離れたところで話を聞いてあげましょう。

 

7)付き添いの保護者の雑談が気になる場合

 広い会場などでは、子どもたちだけを前に座らせて、後ろに保護者の方々が分かれて座ることが多いと思います。そうすると、保護者同士の私語が、子どもたちの集中力を妨げることもあります。無題
 子どもたちにとって、親の姿は鏡です。保護者の方が一緒に楽しんでいると、安心しておはなしの世界に入っていくことができます。おはなし会が始まる前に、保護者の方も一緒に楽しんでもらうように伝えましょう。また、途中から入室してきた保護者にもわかるようにおはなし会の会場内にも同様の内容で掲示しておくとよいでしょう。

 

8)おはなし会終了後について

 おはなし会が終わった後、子どもたちも興奮してしまって、そのままのテンションで会場を出ていくことがあります。それがほかの利用者のクレームにつながることもあります。そちらの対応については、「Q&Aこんな時どうする?」の「おはなし会に参加するお母さんたちへの接し方」に詳しく書いてあります。こちらを参照にしてください。

 おはなし会に参加する子どもたちはもちろん保護者の方も、そしておはなし会を担当するスタッフも、みんなが「今日は楽しかったね」と満足できるような時間になるようといいですね。

(作成K・J) 

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