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2018年3月(その2)一歩踏み出す(幼児~小学生)

2018年3月(その2)一歩踏み出す(幼児~小学生)


3月のおはなし会プランは、イギリスの昔話「三びきのこぶた」を中心に組み立てました。誰もが知っている昔話ですが、実はイギリスで再話された昔話ではなくて甘く改変されたものしか、知らないという人も多いようです。

この昔話は、こぶたたちが母ぶたの家から巣立って自立していくことがテーマになっています。自分の足で人生を切り拓く時に必要なのは安易な道を選ぶのではなく、知恵を使って権力と対峙し、自分で困難の多い人生を歩んでいくことなのだというメッセージが込められています。わらで家を作ったこぶたが木の家を作ったこぶたの家に逃げ込み、またその二匹ともがレンガで家を作ったこぶたの家に逃げ込むのでは、そうしたメッセージが伝わりません。また、おおかみとの知恵比べもないままにおおかみが煙突から侵入し、火傷を負うだけで逃げていくとしたら、自分の生命を脅かす悪意のある力に対して勝ったことにはなりません。ずる賢いおおかみを出し抜き、その上で怒り狂ったおおかみが煙突から侵入してきたのを煮て食べてこそ、悪への勝利、弱者が強者へ打ち勝つというカタルシスを引き出すのです。

権力を持つものによって虐げられてきた庶民が伝え語り継いできた昔話は、改変せず、語ってあげたいものです。

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【一歩踏み出す】

導入 詩「ある日の菜の花」『地球パラダイス』(工藤直子/詩、石井聖岳/絵 偕成社 2012)より 1分

地球パラダイス
偕成社
2012-09-12
 
春のまぶしい陽射しの中で、菜の花が揺れると、つられてモンシロチョウもカマキリもミミズも動き出します。小さな虫たちも新しい季節を謳歌しています。そんなみずみずしい詩です。石井聖岳さんの描く菜の花畑も生命力にあふれています。詩の朗読のあとに、ぜひ絵も子どもたちに見せてあげてください。
 
 

素話 「三びきのこぶた」『イギリスとアイルランドの昔話』(石井桃子/編・訳 J・D・バトン/画 福音館書店 1981)より 12分

イギリスとアイルランドの昔話 (福音館文庫 昔話)
福音館書店
2002-06-20
 
「三びきのこぶた」の再話では瀬田貞二の訳のものもありますが、ここでは石井桃子訳を選びました。どちらもリズミカルで覚えやすいテキストです。石井桃子訳ではこぶたは「いやだよ、いやだよ、そんなこと、とん、とん、とんでもないよ」、おおかみは「そんなら、おれはフッとふいて、プッとふいて、この家、ふきたおしちゃうぞ!」というセリフですが、瀬田貞二訳では「だめ、だめ、だめ。めっそうもない」「そいじゃ、ひとつ、ふうふうのふうで、この家、ふきとばしちまうぞ」となっています。子どものころ、どちらで聞いたでしょうか。どちらも味わい深いので、覚えやすいほうで覚えるとよいでしょう。瀬田貞二版のテキストは次の2点です。
 
『金のがちょうのほん-四つのむかしばなし-』より「三びきのこぶた」 レズリー・ブルック/文・画 瀬田貞二/訳 福音館書店 1980
金のがちょうのほん (世界傑作童話シリーズ)
レズリー・ブルック
福音館書店
1980-11-25
 
 
 
 
『三びきのこぶた』イギリス昔話 瀬田貞二/訳 山田三郎/画 福音館書店 1960
三びきのこぶた
山田 三郎
福音館書店
1967-04-01


 

絵本『つくし』甲斐信枝/作 福音館書店 1997 4分半

つくし (かがくのとも傑作集 どきどき・しぜん)
甲斐 信枝
福音館書店
1997-02-15

 

春先の野原に顔を出すつくし。都会ではあまり見る機会がないかもしれませんが、皇居のお堀端や、総武線沿線の土手、江戸川、荒川、多摩川などの土手などで見つけることができます。土を押し上げ出てくるつくしには、「さあ、伸びるぞ!」と元気がもらえるような気がします。小さい子プランにも入れているわらべうた「ずくぼんじょ」を歌ってもよいでしょう。

 

わらべうた ずくぼんじょ

ずっくぼんじょ

 

 

 

 

 

 

「ずくぼんじょ」は「つくし」の方言です。頭の上に両手を合わせて頭巾を作って、左右に揺れながら「ででこらさい」と歌ったあとで、「にょき!」っと上に伸びます。何度か繰り返し歌ってずんずん高くしていきます。最初は座って始めて、最後にうんと背伸びしてもよいでしょう。 

 

絵本『たくさんのドア』アリスン・マギー/文 ユ・テウン/絵 なかがわちひろ/訳 主婦の友社 2010 3分

たくさんのドア
アリスン・マギー
主婦の友社
2010-11-17

 

しばらく品切れになっていた作品ですが、1月下旬に増刷されました。
子どもたちが歩んでいく先で出合うさまざまな経験、それをたくさんのドアになぞらえて、ひとりひとりの歩みにエールを送る絵本です。「きょうも あしたも あなたは たくさんの ドアを あけていく そのむこうに たくさんの あたらしいことが まっている」、それは時にはおどろくことであったり、たのしいことであったり、よろこびであったりする。困難なときも、あなたは守られている、だから進んでいけという力強いエールです。ひとつ学年をあげたり、進級していく子どもたちにぜひ読んであげたい1冊です。

(作成K・J)

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