Yearly Archives: 2018

訃報 宮川ひろさん
2018年11月、12月の新刊から
2019年(その2)すきすきすき(幼児~小学生)
冊子『ひとりでよみはじめた子たちへ』について
2019年(その1)だーるまさん(小さい子)
基本図書を読む9『アンデルセン―夢をさがしあてた詩人』(再掲)
2月のおはなし会☆おすすめ本リスト
おすすめの幼年童話21『しあわせのテントウムシ』アルフ・プリョイセン
2019年1月(その2)てぶくろあったかい!(幼児~小学生)
2018年10月、11月の新刊から
平成30年度第4回児童部会報告
2019年1月(その1)おめでとう(小さい子)
基本図書を読む8『太陽の戦士』 ローズマリ・サトクリフ(再掲)
訃報 もりひさしさん
1月のおはなし会☆おすすめ本リスト

訃報 宮川ひろさん


『びゅんびゅんごまがまわったら』など子ども達に親しまれる数多くの児童文学を送り出してきた作家宮川ひろさんが、12月29日に亡くなられました。95歳でした。(ニュース記事→こちら

小学校の先生をしていらしたので、学校を舞台にした作品がとても多く、子ども達の気持ちに寄り添った作風でした。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。

代表作
『びゅんびゅんごまがまわったら』宮川ひろ/作 林明子/絵 童心社 1982

 
 

 

『先生のつうしんぼ』宮川ひろ/作 小野かおる/挿絵 偕成社 1984

 
 
 

 

『しっぱいにかんぱい!』宮川ひろ/作 小泉るみ子/挿絵 童心社 2008

 
 
 
 
 
『天使のいる教室』宮川ひろ/作 ましませつこ/挿絵 童心社 2012
天使のいる教室
宮川 ひろ
童心社
2012-03-01
 
 
 
 
(作成K・J)

2018年11月、12月の新刊から


2018年11月、12月に出版された児童サービス向け出版物(絵本、児童書、ノンフィクション、YA向け、教育者・研究者向けなど)の中から、おすすめの絵本と幼年童話を紹介します。(一部、見落としていた10月の新刊も含まれます)

ここに紹介している本は、実際に手にして読み終えた中から選んでいます。出版されたすべての新刊本を購入して読むことはできませんが、毎月、教文館ナルニア国の新刊本コーナー、クレヨンハウス新刊本コーナー、茗荷谷てんしん書房、横浜日吉にあるともだち書店、代官山蔦屋書店児童書売り場など、信頼できる児童書の目利きのいる書店にある本から選書し、購入し、読んで記事にしています。

(なお、画像はブログ用Amazonアフィリエイトを使用しています。書誌事項は奥付の出版年月日にしており、Amazon入荷日とちがって表示されることがあります。ご了承ください。)

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【絵本】

『セリョージャとあそぼう!ロシアのこどものあそびとうたと』ナディア・コズリナ/作 まきのはらようこ/訳 カランダ-シ出版 2018/11/2 

セリョージャとあそぼう! ロシアのこどものあそびとうたと
ナディア コズリナ、 まきのは らようこ
カランダーシ
2018-11-02
 
灰色おおかみのセリョージャが、遊びながらロシアに伝わる子どもたちのための詩、わらべうた、鬼ごっこ、お菓子作り、一緒に遊べる布人形作りを紹介していきます。わらべうたは楽譜付き、ロシアの子どもたちの生活を思い浮かべながら楽しめる1冊です。作者のナディア・コズリナさんは1981年生まれのグラフィックデザイナーで、現在は東京で絵を描きながらロシアアートの歴史講義やロシア語教師をしています。カランダ-シ出版はロシア語絵本を専門に出版しているひとり出版社です。

 

『ねこのオーランド― たのしい日々』キャスリーン・ヘイル/作 こみやゆう/訳 好学社 2018/12/18

ねこのオーランドー たのしい日々
キャスリーン・ヘイル
好学社
2018-12-15
 
 
福音館書店の大型絵本『ねこのオーランド―』の姉妹版。ねこのオーランド―とグレイスの夫婦には3匹のこねこがいます。こねこたちを学校に行かせるために、オーランド―たちは、いろんなものを発明して学費を稼ぎます。しかしグレイスはこねこが巣立つことに寂しさを感じ、肝心のこねこたちは学校も行きたがりません。そこでこねこたちに習い事を始めさせます。大人の目線では、すごく人間臭いオーランド―とグレイスに親しみを覚えますが、子どもたちは無邪気なこねこたちの気持ちになっておはなしを楽しむことでしょう。両親の前で習い事の発表会をするこねこたちが、とにかく可愛らしく、心弾む絵本です。英国では1942年に初版が出版されていますが、親の気持ち、そして子どもたちの思いはいつの時代も変わらないんだなと改めて感じました。
 
 
 
 
児童書】
『ぼくはくまですよ』フランク・タシュリン/文・絵 小宮由/訳 大日本図書 2018/12/25

 
一頭のくまが冬眠から目覚めると、森だったところが眠っている間に切り拓かれて工場になっていました。工場の主任に仕事をさぼっていると思われたくまは必死で「ぼくはくまですよ」と訴えるのですが、「おまえは、くまじゃなく人間だ。それも毛皮のコートを着こんだ、ひげもそらない、とんちんかんだ。」と信じてくれません。主任は部長に、部長は常務に、常務は専務に、専務は副社長に、副社長は社長に訴え、そのたびに「ぼくはくまですよ」と必死で訴えるのですが、いつも答えは同じ。「おまえは、くまじゃなくて、人間だ。それも毛皮のコートを着こんだ、ひげもそらない、とんちんかんだ」が繰り返されます。そこで動物園のくまや、サーカスのくまのところへ連れていかれるのですが、そこでも答えは同じです。さてこのくま、一体どうなってしまうのでしょう。荒唐無稽のおはなしではありますが、この作品が作られたのが第二次世界大戦終戦の翌年と考えると、いろいろな意味を含んでいるとも思えます。しかし、こどもは純粋に、くまの気持ちになって最後まではらはらしながらおはなしを楽しむことができるでしょう。文字も大きく挿絵もたっぷりあるので、ひとりで読み始める小学校低学年におすすめです。
 
 
 
『ジュリアが糸をつむいだ日』リンダ・スー・パーク/作 ないとうふみこ/訳 いちかわなつこ/絵 徳間書店 2018/12/31

ジュリアが糸をつむいだ日 (児童書)
リンダ・スー パーク
徳間書店
2018-12-11
 
韓国系アメリカ人の女の子ジュリアは7年生(中1)。引っ越していった先でパトリックと仲良くなり、一緒に楽農クラブに入会します。これは子どもたちに農業について教えてくれるサークルです。そこで子どもたちはテーマを決めて自由研究をすることになっています。ふたりが選んだテーマは、カイコを飼うこと。ジュリアのお母さんの提案でした。ふたりは自由研究に取り組む中で、韓国系移民の歴史について、そしてカイコのえさの桑の葉を栽培する黒人のディクソンさんと出会うことで、人種差別についても深く考えるようになっていきます。また、大事に育てたカイコから糸を取るためには、カイコを蛾の成虫になるまえに殺すことを知って葛藤するジュリアは、家畜の命についても深く考えます。ひとつの学びをきっかけにして、成長していくティーンズの姿は、読み終わってとても爽やかなものがありました。作者は、『モギ ちいさな焼き物師』(片岡しのぶ訳、あすなろ書房)で2002年度に米国最高の児童文学賞ニューベリー賞を受賞しています。
 
 
 
『風と行く者 守り人外伝』上橋菜穂子/作 佐竹美保/絵 偕成社 2018/12

 
 
 
 
 
 
「守り人シリーズ」の待望の外伝3作目です。タルシュ帝国との戦いが終わり、タンダと平穏な暮らしをしていたバルサは、久しぶりに草市に出かけます。そこでバルサが16歳だったころ、養父ジグロとともに護衛したことのあるサダン・タラム(風の楽人)一行と再会します。シャタ(流水琴)を奏で、異界エウロカ・ターン〈森の王の谷間〉への道を開くことのできるサダン・タラムのお頭は何者かに命を狙われます。再び、サダン・タラムの護衛をしてロタに旅立つことになったバルサは、氏族間の抗争が続くロタ北部の歴史の闇を覗くことになるのです。新しいお頭は、もしかしてジグロの忘れ形見なのか、それを知りたくて一気に読んでしまいました。



 
【詩】
『クリストファー・ロビンのうた』A・A・ミルン/作 E・H・シェパード/絵 小田島雄志・小田島若子/訳 河出書房新社 2018/10/18

クリストファー・ロビンのうた
A・A・ミルン
河出書房新社
2018-10-17



『クマのプーさんとぼく』A・A・ミルン/作 E・H・シェパード/絵 小田島雄志・小田島若子/訳 河出書房新社 2018/10/30

クマのプーさんとぼく
A・A・ミルン
河出書房新社
2018-10-17
 
晶文社から1978年に出版されたミルンの詩集『わたしたちがおさなかったころ』(When We Were Very Young,1924)を翻訳した『クリストファー・ロビンのうた』が10月18日に、1979年に出版された『いまわたしたちは六歳』(Now We Are Six,1927)を翻訳した『クマのぷーさんとぼく』が10月30日にそれぞれ新装復刊として河出書房新社から出ました。ミルンが子どもたちのために書いた詩には、子どもの自由な想像力、あそびや自然が描かれており、思わずくすりと笑ってしまいます。子どものこうした無邪気さを失いたくないと思いました。声に出して読んであげたいですね。
 
 
 
【ノンフィクション】
『NATIONAL GEOGRAPHIC ミッション・パンダ・レスキュー』キットソン・ジャジンカ/著 土居利光/監修 田中直樹/日本版企画監修 ハーバーコリンズ・ジャパン 2018/11/25

ミッション・パンダ・レスキュー (ナショナル ジオグラフィック キッズ)
キットソン ジャジンカ
ハーパーコリンズ・ ジャパン
2018-11-24
『NATIONAL GEOGRAPHIC ミッション・ライオン・レスキュー』アシュリー・ブラウン・ブリュエット/著 土居利光/監修 田中直樹/日本版企画監修 ハーバーコリンズ・ジャパン 2018/12/25

ミッション・ライオン・レスキュー (ナショナル ジオグラフィック キッズ)
アシュリー ブラウン・ブリュエット
ハーパーコリンズ・ ジャパン
2018-12-25
 
 
こちらの2冊は、購入したものではなく、出版社から贈呈されたものです。絶滅危惧種である動物たちについて詳細にその生態と生息環境について調べられた本です。情報量が大変多く、対象年齢は高学年以上と思われますが、もっと低学年の子どもにも、親子で読むことで関心をもってほしいとお笑い芸人ココリコの田中さんが日本語版の企画に携わっています。出版社の想定した対象年齢と、本の中身とのギャップに、ここで紹介すべきかと迷ったシリーズです。しかし世界の野生動物たちの現状を深く捉えたものとして評価出来ると思い、こちらの2冊を紹介します。
 
 
【その他】
『わたしはよろこんで歳をとりたい』イェルク・ツィンク/著 眞壁伍郎/訳 こぐま社 2018/10/25

わたしはよろこんで歳をとりたい
イェルク ツィンク
こぐま社
2018-10-18
 
児童書専門の出版社こぐま社の佐藤英和さんがどうしても出版したかったと願っていらしたドイツの神学者が自らの老いをみつめて語る「老い」をテーマにしたエッセイです。児童書ではありませんがぜひ紹介したいと思います。幼児と老人では人生の春と冬に例えられますが、深層心理学の世界では老人はまた幼児のころに戻っていく、世の中を捉える視点が生産性の高い青年・壮年の時とは変化し、感性の部分で両者は共通性をもっている、共感しあえる存在として捉えられています。「ツィンクが語る、わたしたちは秋の実のように大地にうもれながら、新しい春の芽生えをまっているという姿に、長年子どもたちと読書活動をしてきた、わたしの知人友人たちもまた、深い慰めと励ましを受けた」と訳者あとがきにあるように、子どもたちのそばにいる私たちにとって、人生を考え、また次の世代になにを手渡すべきかということも知らせてくれる、深い文章です。誰もが、一日、一日と老いに向かっています。ほんの少し歩みをとめて、老いていく人生の意味を考えてみるのもよいかもしれません。
 
 
 
『あふれでたのはやさしさだった 奈良少年刑務所 絵本と詩の教室』寮美千子/著 西日本出版社 2018/12/7

 
奈良に転居したのをきっかけに奈良少年刑務所で「物語の教室」を始められた作家の寮美千子さん。少年刑務所に通って、少年たちと詩や物語を学ぶうちに、彼らは凶暴な悪人ではなく、実は貧困の中で、あるいは親からの虐待を受け、心に傷を負っていることに気づいていきます。そうした中で彼らが詠んだ詩は、2011年に『空が青いから白をえらんだのです―奈良少年刑務所詩集』として新潮社から出版されました。この本は、少年刑務所の中で起きた数々の奇跡の記録です。人が人として生きていくために、一番大切なものは何なのか、私たちにその問いを突き付けてくる1冊です。詩集と一緒に紹介してほしいと思います。
 
 
『本・子ども・絵本』中川李枝子/著 山脇百合子/絵 文春文庫 文藝春秋 2018/12/10

本・子ども・絵本 (文春文庫)
中川 李枝子
文藝春秋
2018-12-04
 
1997年に大和書房から出版された『ぐりとぐら』の作者中川李枝子さんのエッセイが、文庫版になって戻ってきました。カラーの撮りおろし写真のページも加わり、その上軽くていつでも通勤のバッグの中に忍ばせておけます。「生まれてきてよかった」とすべての子どもたちに思ってほしい。絵本の世界で豊かな経験をした子どもは人生に希望と自信をもって進むことができるという中川李枝子さんのメッセージを、今子育てしている若いご両親にもぜひ届けたいと思います。



 
『暴力を受けていい人はひとりもいない CAP(子どもへの暴力防止)とデートDV予防ワークショップで出会った子どもたちが教えてくれたこと』阿部真紀/著 高文研 2018/12/10

 
『あふれでたのはやさしさだった』では犯罪を犯してしまった少年たちが、幼少期に何らかの暴力(ことばの暴力も含む)を受けていると指摘していました。しかし、CAP(子どもへの暴力防止)とデートDV予防ワークショップの活動を続けてきた認定NPO法人エンパワメントかながわの阿部真紀さんは、「その暴力を受けていい人は誰ひとりいないのだ」と明言します。さまざまな暴力を他人事ではなく、自分のこととして捉えられるようにするには、子どもの時から繰り返しそのことを伝えていくしかありません。ここに記された活動の記録は、憲法に保障された基本的人権を守る活動でもあります。子どもたちが未来に向かって、自信をもって生きていけるために、目をそらさず、自分事として受け止めたい。そして、子どもに関わる多くの人に読んでほしいと感じた1冊です。



(作成K・J)
 

2019年(その2)すきすきすき(幼児~小学生)


2月はSt.バレンタインデーがあって、昔は女の子が男の子に告白してもいいよ、っていう日でしたが、今は友達同士で手作りお菓子を交換する日になっているみたいですね。

いずれにせよ、だれかに好きってことは、この日でなくてもちゃんと伝えたほうがいいですね。

そんなわけで大きい子向けのおはなし会のテーマは「すきすきすき」です。

 

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【すきすきすき】

導入 詩「すきすきすき」阪田寛夫 『きつねうどん』(阪田寛夫 童話屋 2011)より 1分

きつねうどん
阪田 寛夫
童話屋
2011-03
 
「ようちえんで まちがえた せんせいのこと おかあさん、てよんじゃった
(中略)
おうちで まちがえた おかあさんのこと せんせい、てよんじゃった (中略)
せんせいは せんせい おかあさんは おかあさん
おなじじゃないけど すきすきすき!」
大好きなおかあさん、大好きな幼稚園の先生、子どもにとってはどっちがどっちなんて決められないですよね。だって全然違う存在なのですから。そんな正直な気持ちを詠んだ詩です。おはなし会に参加している子どもたちと一緒に声に出して読みながら、そんな気持ちを味わってみましょう。
 
 
素話「ホットケーキ」(ノルウェーの昔話)『ホットケーキ 愛蔵版おはなしのろうそく9』(東京子ども図書館 2009)より  9分

 
七人の子どもがいるおかあさんが、ある日子どもたちのためにホットケーキを焼きました。「ねえ、だいすきなおかあさん」「ねえ、やさしくてだいすきなおかあさん」「ねえ、きれいで、やさしくて、だいすきなおかあさん」…一時も早く食べたい子どもたちは口々におかあさんをほめてねだります。七人目の子どもが「ねえ、世界でいちばん頭がよくて、新設で、きれいで、やさしくて、だいすきなおかあさん」と声をかけた時、おかあさんは言い間違えてしまうのです。「ちょっとお待ち、もう少ししたら、ひっくりかえるから」。それを聞いたホットケーキは、焼けたと同時にフライパンから飛び出してしまいます。さてさてホットケーキはどこまでころがっていくのやら。小さな子どもでも、繰り返しとホットケーキが口にする変わった名前が面白くて、集中して聞けるおはなしです。
 
 
 
 
絵本『ゆきむすめ』今江祥智/文 赤羽末吉/絵 偕成社 1981(2018復刊)8分

 
今江 祥智
偕成社
1981-12
こちらは今江祥智さんの昔話風の創作です。むかし、ゆきおんなは次々村の男のもとに嫁ぎ、姿がばれると男を凍らせてしまっていたのです。村の女の人はこのままでは村の男が減ってしまうと、火を燃やしてゆきおんなを追い払います。ある時、やさしい心をもったゆきむすめは、のんびりとした若者に一目ぼれ。他のゆきおんなたちに見つからないように若者を守ります。最後は自分だけが犠牲になって溶けていくゆきむすめ。命がけで大切な人を守ったゆきむすめの愛情は、小さな子どもたちにどこまで理解できるかわかりませんが、この季節に読んであげたいなと思います。
 
 
 
絵本『あさがくるまえに』ジョイス・シドマン/文 ベス・クロムス/絵 さくまゆみこ/訳 岩波書店 2017 3分

あさがくるまえに
ジョイス・シドマン
岩波書店
2017-12-14
家路を急ぐ母子の姿が、文字のない最初の数ページに描かれています。家事をしているのはお父さん。お母さんは、制服に着替えて夕飯が終わったら出勤します。絵を見ているとどうやらお母さんはパイロットのようです。途中から絵とは別に、祈りのような詩が綴られていきます。夜中に雪が降り始め、深く降り積もり、フライトは欠航になってお母さんは急いで家路につきます。明け方、帰宅したお母さんに抱き着いて迎える小さな子ども。その後、一家でそり遊びをする姿が描かれ、詩の願いと絵が終盤で一致します。絵と詩がバラバラに見えていたものが、実はこの子どもの願いだったと気がつくことは、一度読んでもらっただけでは気がつかないかもしれません。この絵本の主題である願うことばの力、そして親子の愛情が伝わればいいかなと思って選んだ1冊です。文字だけ読めば1分で読めてしまいますが、文字のないページもじっくり子どもたちに見せてください。きっと絵を読むことができるはずです。文字のあるページでも、ゆっくり絵を見せてあげてください。
 
 
 
本の紹介『雪の結晶ノート』マーク・カッシーノ、ジョン・ネルソン/作 千葉茂樹/訳 あすなろ書房  

雪の結晶ノート
マーク カッシーノ
あすなろ書房
2009-11-01
 
雪の結晶のでき方や、形について、わかりやすく解説している1冊です。六花と呼ばれる美しい雪の結晶の写真もふんだんに使われており、雪の絵本のあとに紹介するとよいでしょう。巻末に雪の結晶の観察方法も丁寧に記されています。借りていって親子で観察してくれるとよいですね。
 
 
 
(作成K・J)

冊子『ひとりでよみはじめた子たちへ』について


 この度児童部会で、『ひとりでよみはじめた子たちへ』という冊子を作成し、受託図書館に配布しました。
 この冊子は「ひとりでよんでみたい!」という5歳~10歳くらいの子たちに、児童部会員がおすすめの本を18冊選んで、紹介しています。
「おすすめの本な~い?」と聞かれたときや、展示やおたよりで紹介する本を選ぶときなどに活用することができます。

冊子『ひとりでよみはじめた子たちへ』

 ヴィアックス児童部会は、平成22年に発足以来、自信をもって子どもたちに本を手渡せるようになるために、様々な学びをしています。(児童部会ページ→こちら
 平成28年度は絵本から読み物へ移行する時期に出合ってほしい本について学び、まとめとしておすすめの本を選んで紹介文を作成しました。紹介文は、「本のこまど」の「本に関する情報」にある「おすすめの幼年童話」(→こちら)に掲載してきましたが、この度より広く知ってもらえるよう冊子にしました。

 紹介している18冊は、自信をもっておすすめできる本ばかりです。子どもたちが「楽しい!」という本に出会えるよう、各図書館でご活用ください。
(受託図書館以外への配布は行っておりませんが、ぜひ「本のこまど」でご覧になってください)

(作成 T.I)

2019年(その1)だーるまさん(小さい子)


寒い季節、着ぶくれした小さい子どもたちは、まるでだるまさんみたいですね。子どもたちにとって、だるまさんの姿かたちは自分に似ていて親しみを覚えるのでしょう。

2月の小さい子向けおはなし会プランは、12月、1月とプログラムに組み込んできた童心社の「わらべうたでひろがるあかちゃん絵本」シリーズの中の『へっこぷっとたれた』を中心に組んでみました。

(なお、このおはなし会プランに掲載しているわらべうたの楽譜は、中国地方で育ったK・Jが覚えているわらべうたを採譜したものです。市販のわらべうたの楽譜とは音程や、速度が違う場合があります。予め、ご了承ください。)

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【だーるまさん】

導入 わらべうた このこどこのこ

 

 

 

 

おかあさんのおひざにお子さんを乗せて、おかあさんがそお~っと揺れます。「〇〇ちゃん」というところは、自分のお子さんの名前を入れて呼びます。最後に「ぎゅーっ」と言いながら、お子さんを抱きしめます。参加者が数人の時は、順番にひとりひとりの名前を呼んであげてもよいでしょう。

 

わらべうた  だるまさんだるまさん

 

 

 

 

お子さんと目と目を合わせて遊びます。小さなお子さんはまだ「にらめっこ」の意味がわからないかもしれませんが、お母さんが目をじっと見つけて笑いかけてくれることを喜びます。

 

 

絵本『へっこぷっとたれた』こがようこ/文 降矢なな/絵 童心社 2018 1分

 
「おいっちにー おいっちにー」と最初に出てくるのは・・・きのこちゃん。それからあひるちゃんも。そしてみんな「へっこぷっとたれた」と飛び上がります。リズミカルで楽しい繰り返しの絵本です。

 

わらべうた おいっちにーのだるまさん

 

 

 

 

 

 

絵本の中で歌ったわらべうたをもう一度やってみます。おかあさんのお膝のうえに座って歌ってもらいながら「へっこぷっと」の「ぷっ」ところで、体を持ち上げてもらいます。何度か繰り返してやってみましょう。

 

絵本『だるまさんが』かがくいひろし/作 ブロンズ新社 2008 2分

だるまさんが
かがくい ひろし
ブロンズ新社
2008-01-01
 

かがくいひろしさんの「だるまさんが・・・」、ころぶばかりでなく、つぎつぎに面白い動作が出てきて、その度に子どもたちも一緒に身体を揺らして満面の笑みになっていきます。弾むように、みんなで声を出してみるとよいでしょう。大型絵本も出ています。参加者が多いおはなし会では、大型絵本を使うとよいでしょう。

 

わらべうた あがりめさがりめ

 

 

 

 

おかあさんが、お子さんの顔(目じり)を触りながら遊びます。

 

絵本『わたしのねこちゃん』かんなりまさこ/文 荒井良二/絵 福音館書店 2005 2分

わたしの ねこちゃん (幼児絵本シリーズ)
かんなり まさこ
福音館書店
2005-09-15
 
 
「あがりめさがりめ」でねこが出てきたので、今度はねこの絵本です。雪の日、外で遊ぼうとねこを誘ったのに知らん顔のねこ。でもね、最後は一緒に遊びます。楽しい雪の日を描いた絵本です。
 
 
わらべうた さよならあんころもち
 
(作成K・J)

基本図書を読む9『アンデルセン―夢をさがしあてた詩人』(再掲)


2014年12月に公開されていた連載’基本図書を読む’9『アンデルセン―夢をさがしあてた詩人』を再掲載します。

伝記は、自分の生き方ついて深く考えたり、今後の進路について考えるようになる小学校高学年から中高生に手渡したいジャンルです。

この時期の子どもたちは、身近な大人、親や教師には反抗的になるものです。だからこそ、本の中に描かれている人が、同様に葛藤したり、失敗を積み重ねたりしながら夢をかなえるという道程を、本を読むことで共感でき、それが自分の生き方への指標ともなっていくのです。

クリスマスにまつわる童話も数多く残したハンス・クリスチャン・アンデルセンの伝記も、この時期手渡したい1冊です。(追記K・J)

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 世界中で愛されているデンマークの童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの伝記です。アンデルセンの子ども向けの伝記は、多数出版されていますが、アンデルセンを理想化して描いたものも少なくありません。その中でも、イギリスの作家ルーマー・ゴッテンは、類いまれなる才能を持ち名声を得ながら、鋭敏な感受性のため苦しんでいた、一人の人間としてのアンデルセンを描き出しています。

 
アンデルセン―夢をさがしあてた詩人
ルーマ ゴッデン
偕成社
1994-04


 アンデルセンは、くつ職人の息子として、オーデンセの貧しい家に生まれました。幼いころから、精神異常の祖父の影響で、自分もそうなるのでと怯える一方で、有名になれることを頑なに信じ込んでいるといった複雑な面を持っていました。教育もほとんど受けませんでしたが、14歳のとき俳優になるために首都コペルハーゲンに向かいます。そして、理解ある人たちから助けを得ながら、文学の才能を開花させ、作家として認められていくのです。
 28歳のときにイタリアを舞台にした自伝的要素が強い『即興詩人』を発表し、好評をえます。また、この年には、はじめて書いた童話の4編がおさめられた『子どものための童話集』第一集が刊行されます。批判されると堪え切れず泣き出してしまうといったこともありましたが、アンデルセンの童話は、瞬く間に世界中の子どもたちの間に広まり、愛されるようになります。
 
 ゴッテンは、アンデルセンの作品が愛される理由として、ほかの作家にみられない”完成された形式”があることや、それぞれの物語に詩情が流れていることをあげています。同じ童話作家のペローやグリムなら、「子どもたちは、馬車に乗りこんだ。そして、出発した」といでも書いたであろうところを、アンデルセンなら、「みんなは、馬車に乗りこんだ。かあちゃん、いってきます。とうちゃん、いってきます。ピシリッ、むちが鳴る。ガラガラ、馬車は走り去る。いそげ! いそげ!」と書くだろうと指摘し、この生命、文体のはつらつさこそが彼の特徴なのだと述べています。
 「聖書では、神様が土ぼこりで人間をおつくりになり、その鼻の穴に息を吹きこまれました・・・・・・それで、人間は生命が与えられた、と語られています。アンデルセンの創作にも同じようことが言えるといっても、けっして失礼ということにはならないでしょう。彼も土ぼこりのなかから物語をつくったのですから。ヒナギク、古い街灯、縫い針、カブトムシなどに生命を吹きこみました。アンデルセンが吹きこんだ息は独特のものでした。それは、知恵と、詩と、ユーモアと、清純の錬金術のようなものでした」(P259)
 
 本書は、実際の作品や、手紙、日記を紹介しながら、アンデルセンの内面や不思議な魅力に迫っています。また、人々の肖像画や風景の写真、物語の挿絵が掲載されていて、時代の雰囲気や交流した人たちの様子が伝わってきます。デンマークやヨーロッパの地図もあり、巻末には発表した作品や交流関係を記した年表もあるので、出来事を整理することができます。充実した資料と、作家ゴッテンの的確な洞察と表現が、見事に生きている伝記です。これまで、アンデルセンの作品に親しんできた子にも、名前は知っていたけれどもじっくりと作品を読んだことがない子にも、アンデルセンの人となりに触れ、改めて作品を深く味わうきっかけとなってくれる本でしょう。
 
「アンデルセンは王である。なぜなら、生命あるものと生命ないものの魂のなかに、誰も彼のようにはいりこむことはできなかったからである。」
(『本・子ども・大人』 ポール・アザール著 紀伊國屋書店 1957 P143)
 
本・子ども・大人
ポール アザール
紀伊國屋書店
1957-01
 
フランスの文学史家によって書かれた、60年近く読み継がれている児童文学論の古典的名著です。少し難しい内容ですが、子どもと本の本質が、美しい表現で書かれています。ぜひ一読したい1冊です。アンデルセンについても「童話の王様アンデルセン」として、論じられています。

(T.S)

2月のおはなし会☆おすすめ本リスト


2月のおはなし会や展示に使える絵本のリストを作成しました。ご活用ください。

2018年に出た新刊本も追加しています。

 

2月のおはなし会おすすめ本リスト2019

ヴィアックスが受託する図書館には、TS室だより第115号”本のこまど活用術”でお知らせしたとおり、オープンデータを希望の館にはお渡ししています。

それを活用して、各館独自のリスト作成に活かすことができるでしょう。

必要な場合は、ヴィアックス図書館事業本部運営支援部までご連絡ください。

(作成K・J)

おすすめの幼年童話21『しあわせのテントウムシ』アルフ・プリョイセン


今回はアルフ・プリョイセン作の『しあわせのテントウムシ』を紹介します。

しあわせのテントウムシ (せかいのどうわシリーズ)
アルフ プリョイセン
岩波書店
1992-03-06
 
 
 
 

不思議で楽しくてあたたかい6つの物語が入った短編集です。

こんなことがあったらいいな、こんなふうになったらいいな、という子どもの気持ちを満たしてくれるお話ばかりです。

表題作の「しあわせのテントウムシ」は、”テントウムシが自分の指先からとんでいくときに願いごとをすると、願いがかなう”と信じている女の子が、願いをかけようとしてうまくいかなかったのに、最後はちゃんとよいことが起こるというお話です。10ページしかない素朴なお話ですが、とても嬉しい気持ちになれます。

昔話がベースとなっているお話もあります。「おはなしの男の子」は、物語の主人公のよう竜退治に出かけて、木のかぶ(竜)を見事にやっつけますし、「王さまにおかゆのたべかたをおしえたむすめ」には王さまが登場します。昔話に親しんでいる年齢の子たちにぴったりです。

日常の世界から自然に不思議な出来事が起こる世界に連れて行ってくれるので、本当に起こりそうな気持ちになってきます。子どもたちはのびやかに広がる空想の世界を楽しむことができるでしょう。

表紙は落ち着いた色合いで、挿絵も白黒で少なめですのです。子どもによっては地味に感じてしまうかもしれませんので、ぜひおすすめしてあげてください。「大工のアンデルセンとクリスマス小人」「ちいさな男の子とクリスマス小人の列車」はクリスマスのお話ですので、この季節に読んであげてもいいですね。

作者のアルフ・プリョイセンは、ノルウェーの作家です。代表作に、ある日突然スプーンのように小さくなってしまう「スプーンおばさん」を主人公にしたお話があります。やはり明るくのびやかなお話で、不思議な出来事を楽しく読むことができます。

小さなスプーンおばさん (新しい世界の童話シリーズ)
アルフ・プリョイセン
学研プラス
1966-04-01

 

 
(作成 T.I)

 

2019年1月(その2)てぶくろあったかい!(幼児~小学生)


1月のおはなし会プラン(その2)は、亥年にちなんでロシア民話「てぶくろ」の絵本をメインに組み立ててみました。この絵本に出てくるきばもちいのししは、存在感があって幼心にとても印象深かったものです。

そして素話は、長野県に伝わる昔話「猪と亀」を合わせてみました。どうして亀は手足が甲羅の中に縮こまっているのか、猪の首は太く短くなってぺちゃ鼻なのかわかる短いお話です。

 

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【てぶくろあったかい!】

導入 詩「てぶくろ」神沢利子 『幼い子どものための詩の本 おめでとうがいっぱい』(神沢利子/詩 西巻茅子/絵 のら書店 1991)より 1分

おめでとうが いっぱい (幼い子どものための詩の本)
神沢 利子
のら書店
1991-12-01
 
「てぶくろのひも だあれが つけた
かたっぽさんと かたっぽさんが
まいごになんか ならないように 
かあさんが つけてくれたのよ(後略)」
繰り返しで出てくる「てぶくろのひも だあれがつけた」、リズミカルで楽しい詩です。最初は一通り読んであげて、次は一行ずつ復唱してもらうとよいでしょう。
 
 
 
絵本『てぶくろ』ウクライナ民話 エウゲーニ―・M・ラチョフ/絵 内田莉莎子/訳 福音館書店 1965 4分

てぶくろ (世界傑作絵本シリーズ)
福音館書店
1965-11-01
 
おじいさんが森の中で片方落としたてぶくろをネズミがみつけて住み始めると、つぎつぎに「わたしもいれて」とやってくる動物たち。増えるたびにてぶくろが膨らんでいきます。大きなきばもちいのししが登場すると、子どもたちは「もう無理~」と心の中ではらはらするのではないでしょうか。さらに一回り大きなくまもやってきて・・・何度読んでもらっても、摩訶不思議な世界に引き込まれます。
 
 
 
 
素話「猪と亀」 『昔話十二か月 1月の巻』(松谷みよ子/編 講談社文庫 1986)より 3分

 
 
長野県に伝わる昔話です。昔、猪は首が長かったし、亀も手足が長かったのですが、ある時力比べをすることになり・・・猪と亀の容姿の由来がわかる愉快なおはなしです。3分と短めです。小さな子どもたちでも聞くことができるでしょう。
 
 
 
絵本『なぞなぞな~に ふゆのまき』いまきみち/作 福音館書店 1995  2分

 
子どもたちとやりとりをしながら読んでいくなぞなぞ絵本です。表紙の絵に答えのヒントがあるので、表紙をゆっくり見せてから読んでいくとよいでしょう。子どもたちとのやりとりをする時間を含めると所要時間はもう少しかかると思います。
 
 
 
絵本『ゆき』文部省唱歌 はたこうしろう/絵 ひさかたチャイルド 2018 1分半

ゆき
ひさかたチャイルド
2018-11-21
 
2018年11月に出たばかりの絵本です。文部省唱歌の「ゆき」に合わせてはたこうしろうさんの絵がついています。真っ白な雪の原に女の子の赤い帽子にコートが映えます。2番で描かれる、子どもたちが集まって雪だるまを作ったり、雪合戦をしているページは賑やかな歓声も聞こえてきそうです。巻末に楽譜もついています。歌をゆっくり歌いながらページをめくっていくとよいでしょう。

 

(作成K・J)

2018年10月、11月の新刊から


2018年10月、11月に出版された児童サービス向け出版物(絵本、児童書、ノンフィクション、YA向け、教育者・研究者向けなど)の中から、おすすめの絵本と幼年童話を紹介します。(一部、見落としていた9月刊行のものが含まれています)

ここに紹介している本は、実際に手にして読み終えた中から選んでいます。出版されたすべての新刊本を購入して読むことはできませんが、毎月、教文館ナルニア国の新刊本コーナー、クレヨンハウス新刊本コーナー、茗荷谷てんしん書房、横浜日吉にあるともだち書店、代官山蔦屋書店児童書売り場など、信頼できる児童書の目利きのいる書店にある本から選書し、購入し、読んで記事にしています。

(なお、画像はブログ用Amazonアフィリエイトを使用しています。書誌事項は奥付の出版年月日にしており、Amazon入荷日とちがって表示されることがあります。ご了承ください。)

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【絵本】

『ジャーニー国境をこえて』フェランチェスカ・サンナ/作 青山真知子/訳 きじとら出版 2018/9/15

ジャーニー 国境をこえて
フランチェスカ・サンナ
きじとら出版
2018-09-03

イタリアに生まれた20代の作家Francesca Sannaの作品です。イタリアの難民センターで出会った二人の女の子の話がきっかけで、地中海を命がけで渡ってくる人々のことを絵本にしたいと思い、スイスのルツェルン応用科学芸術大学でイラストレーションを学び、この作品が生まれました。2016年にイギリスで作品が発表されると、ケイト・グリーナウェイ賞候補から選ばれるアムネスティCILIP特別賞やさまざまな賞を受賞しました。日本語版は、板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催いたばし国際絵本翻訳大賞〈英語部門〉で最優秀大賞を受賞して翻訳、出版されました。この絵本を題材にして人権を学ぶワークシート(アムネスティ・インターナショナル英国支部作成)をきじとら出版のホームページからダウンロードできるようになっています。(→こちら)世界中で、難民の問題がクローズアップされている今、子どもたちとも一緒に考えてみたいテーマです。

 

『おほしさまのちいさなおうち』渡辺鉄太/文 加藤チャコ/絵 瑞雲舎 2018/10/1

おほしさまの ちいさなおうち
渡辺 鉄太
瑞雲舎
2018-09-16

おもちゃであそぶのも、絵本を読むのも飽きてしまった男の子がおかあさんになにか楽しい遊びを教えてと頼みます。するとおかあさんは「おほしさまは、よぞらにすんでいるだけじゃないのよ。 とびらも まどもない ちいさな あかい おうちにも すんでいるの」といって、そのおうちを探す探検を提案するのです。果たしてその「とびらもまどもない ちいさなあかいおうち」は、どこにあるのでしょう。「おほしさまのちいさなおうち」はアメリカ、イギリス、オーストラリアなどの英語圏でリンゴの季節になると語られるおはなしだそうです。それを題材にしてオーストラリア在住の児童文学者渡辺鉄太さんが文章におこし、連れ合いの絵本作家加藤チャコさんが絵を描いた夫婦合作絵本です。

 

『鹿踊りのはじまり』宮沢賢治/作 ミロコマチコ/絵 三起商行(ミキハウス) 2018/10/11

 
宮沢 賢治
三起商行
2018-10-01

鹿たちが見たことのない手拭いの正体をめぐっておどおどと、でも興味津々に近づいていくという滑稽で躍動感のある宮沢賢治の作品「鹿踊りのはじまり」に、勢いのある筆致で伸びやかな動物たちを描いて国の内外で評価の高いミロコマチコさんが絵をつけました。方言とミロコマチコさんの絵が相まってなんとも言い難い魅力の詰まった作品になっています。足にけがをして湯治をしようと山奥の温泉に向かう百姓の嘉十は、途中で食べた栃の実団子を鹿のためにと残していくのです。しばらく行ってから手拭いを忘れてきたことに気づいて戻ってみると、手拭いのまわりに六匹の鹿が集まっているではありませんか。不思議なことに、嘉十の耳がきいんと鳴って鹿のことばが聞こえるようになり、鹿たちが手拭いの正体をおっかなびっくり確かめようとしていることを知ります。そのやりとりの滑稽さと、手拭いが何も害を及ぼさない「干からびたなめくじ」とわかって踊りだす様子も、そして思わず飛び出していった嘉十に驚いて鹿たちが逃げて行った後に、銀色に輝くすすきの原の様子なども、躍動感溢れる筆使いで描かれています。1924年(大正13年)の作品ですが、ミロコマチコさんが絵を描くことで、今の子どもたちにも手にしてもらえるのではと思います。

 

『どんぐり 語りかけ絵本』こがようこ/文・絵 大日本図書 2018/10/10

どんぐり (語りかけ絵本)
大日本図書
2018-10-18

語りを大事にしてこられた絵本作家こがようこさんが、小さな赤ちゃんに語りかけるようにと作られた絵本です。パネルシアターで使うPペーパーにどんぐりをいくつも描いて、それをコラージュしているので、どんぐりが立体的に見えて、摘まめるかのようです。この絵本についてインタビュー記事が絵本ナビのサイトで公開されています。(→こちら)作者の思いを汲みながら、小さい子向けのおはなし会でぜひ読んであげてください。

 

 

『もみじのてがみ』きくちちき/文・絵 小峰書店 2018/10/11

もみじのてがみ
きくち ちき
小峰書店
2018-10-26

つぐみが持ってきた真っ赤なもみじの葉っぱ。ねずみはもみじの葉っぱを探しに出かけます。赤いものを見るたびに「みつけた」と喜びますが、赤いものはきのこだったり、つばきの花だったり、がまずみの実だったりと、なかなかもみじに行き当たりません。次々森の仲間も加わってやっとみつけたところは、一面真っ赤な絨毯を敷き詰めたようなもみじの林でした。「もみじのてがみ ありがとう ゆきじたく ゆきじたく」紅葉が散ると、いよいよ森は雪の季節を迎えます。このまま、きくちちきさんの『ゆき』(ほるぷ出版 2015)に繋がっていく世界観です。

 

『ロシアのお話 雪の花』セルゲイ・コズロフ/原作 オリガ・ファジェーエヴァ/絵 田中友子/訳 偕成社 2018/11

雪の花 (世界のお話傑作選)
セルゲイ コズロフ
偕成社
2018-10-24

ハリネズミくんともりのともだち』(S.オストロフ/絵 岩波書店 2000)や、『きりのなかのはりねずみ』(F.ヤールブソワ/絵 福音館書店 2000)など「ハリネズミと森の仲間達」シリーズが人気のロシアの児童文学作家コズロフの戯曲「雪の花」をもとにした絵本です。(偕成社のサイト→こちら)オリガ・ファジェーエヴァの絵は、この作品のための描きおろしで、彼女の作品が日本で出版されるのも今回が初めてです。大みそかの夜、どうぶつたちはモミの木を飾って新年を祝おうとしますが、ろうそくを持ってくるはずのクマの姿が見当たりません。訪ねていくとクマは高熱を出していました。そのクマのために、ハリネズミは医者のいう「雪の花」を探しに出かけるのです。日本ではモミの木を飾るのはクリスマスだというイメージがありますが、もともとヨーロッパではキリスト教に関係なく常緑樹のモミの木を生命の象徴として新年に飾っていました。ちょうど日本でも古くから門松を飾るのと同じです。そんなことも一緒に子どもたちに伝えられるといいですね。


『そらはあおくて』シャーロット・ゾロトウ/文 なかがわちひろ/訳 杉浦さやか/絵 あすなろ書房 2018/10/30 

そらはあおくて
シャーロット・ゾロトウ
あすなろ書房
2018-10-29
 
ある時、女の子は1冊の古いアルバムを開いておかあさんに尋ねます。「このこ、おかあさんなの?」子ども時代のおかあさんの服装や家の中の様子は今とは違って見えます。でもおかあさんはこう答えるのです。「たいせつなことは すこしも かわっていない。そらは あおくて、くさは みどり。ゆきは しろくて つめたくて、おひさまは まぶしく あたたかい。いまと おんなじだったのよ」と。おばあちゃん、ひいおばあちゃんのアルバムも順番に見ていく女の子。時代が変わっても、変わらない大切なものがあることを、おかあさんとの会話の中でみつけます。おかあさんは、そこで終わりではなく、いつかそれを自分の子どもたちに伝えてあげてほしいと語るのです。原書は1963年の「THE SKY WAS BLUE」で、それにはガース・ウィリアムズが絵を付けていました。今回、絵を描いた杉浦さんは、この絵本に出てくるのと同じ年頃の女の子を持つお母さんです。2018年の女の子から1980年代の母、1950年代の祖母、1920年代の曾祖母の子ども時代の様子を様々な資料で調べたとのこと。アルバムの中に描かれる風景や小物にも注目です。
 
 
 

『ゆき』はたこうしろう/絵 ひさかたチャイルド 2018/11

ゆき
ひさかたチャイルド
2018-11-21
 
文部省唱歌の「ゆき」がはたこうしろうさんの素敵な絵で1冊の絵本になりました。「ゆきやこんこ あられやこんこ・・・」一面の真っ白な雪原に真っ赤な帽子とコートの女の子が鮮やかに描かれ、雪にはしゃぐ表情もとても生き生きとしていて、思わず歌いだしてしまいます。図書館でのおはなし会でも子どもたちと一緒に歌ってもいいですね。

 

 

【クリスマスの本】

この秋に出版されたクリスマス関連の本を3冊紹介します。

『くるみ割り人形』E.T.A.ホフマン/作 サンナ・アンヌッカ/絵 小宮由/訳 アノニマスタジオ 2018/10/25

くるみ割り人形

E.T.A.ホフマン
アノニマ・スタジオ
2018-11-01

アノニマスタジオから出版されるマリメッコのデザイナーSANNA ANNUKKAによる本は、2013年のモミの木』、2015年の『雪の女王』に続いてこれが3作目。縦長で金箔押しの装丁で、文字も小さくぎっしり。子どもが自分で読む本というよりは、YA世代向けのおしゃれな本というイメージです。こみやゆうさんの翻訳はとても読みやすいので、クリスマスの季節、YA世代に手に取ってほしいなと思います。

 

『クリスマスのおかいもの』ルー・ピーコック/文 ヘレン・スティーヴンズ/絵 こみやゆう/訳 ほるぷ出版 2018/10/10

クリスマスのおかいもの
ルー ピーコック
ほるぷ出版
2018-10-15

原書はイギリスで2017年に出たOliver Elephant(Nosy Crow 2017)という絵本です。ルー・ピーコックさんの作品が日本に紹介されるのはこれが初めてで、こみやゆうさんが翻訳しました。クリスマスプレゼントを選ぶママのお供で、妹と一緒に買い物に出かけたノアくん。そのノアくんが連れているのがぬいぐるみのぞうのオリバーです。ママがプレゼントを選んでいる間オリバーと遊んで待っていたノアくん。いざ帰ろうとしたとき、オリバーが見当たりません。さっきまで一緒だったのに・・・ヘレン・スティーブンズの柔らかなタッチの絵も心地よく、幼い子どもの表情をよく捉えています。

 

 

『メリークリスマス―世界の子どものクリスマス―』R.B.ウィルソン/文 市川里美/画 さくまゆみこ/訳 BL出版 2018/10/20

メリークリスマス ―世界の子どものクリスマス
R・B・ウィルソン
ビーエル出版
2018-10-12

2000年前に中東の小さな町ベツレヘムで生まれたイエス・キリストの誕生を祝うクリスマスは、北欧に伝わる冬至祭りの風習と一緒になり、いつしかキリスト教国以外にも、楽しい冬のお祭りとして広がっていきました。クリスマスの起源となったイエスの誕生に関するおはなしに加えて、世界18か国のクリスマスの祝い方や、世界中で謳われているクリスマスキャロルなどを紹介するノンフィクション絵本です。そしてクリスマスはひとつの宗教を超えて、世界が平和になることを願い、すべての者が幸せになるように祈る日だという作者のメッセージが温かく伝わってきます。

 

 

【ノンフィクション】

『あずき』荒井真紀/作 福音館書店 2018/11/10

あずき (かがくのとも絵本)
荒井 真紀
福音館書店
2018-11-07
たんぽぽ』(金の星社 2017)でブラティスラヴァ世界絵本原画展金のりんご賞を受賞された荒井真紀さんが手がけた月刊かがくのとも2014年5月号『あずき』がハードカバーになりました。美味しそうなたいやきのあんこは何から出来ているんだろうと問いかけるところから始まって、あずき豆を土にまき、花が咲いて収穫し、それを使ってあんこを作るところまで丁寧に描いています。後半はあんこを使ったお菓子やお料理の紹介ページが続き、「むかしから、あずきのまめのあかいいろは おめでたいいろとされてきました。」という日本の食の文化にも触れています。子どもたちに伝えていきたい文化です。
 

 

『みずとはなんじゃ?』かこさとし/作 鈴木まもる/絵 小峰書店 2018/11/11

みずとは なんじゃ?
かこさとし
小峰書店
2018-11-08
 
今年5月2日に92歳で亡くなられた加古里子さんの最後の絵本です。(訃報を伝える記事→こちら)6月4日夜に放送されたNHK番組“プロフェッショナル仕事の流儀”「ただこどもたちのために かこさとし最後の記録」(→こちら)の中で、この作品を仕上げる過程で自力で絵が描けなくなり、絵本作家の鈴木まもるさんに依頼したこと、そのラフスケッチを見ながらかこさとしさんがご自身のこだわりの部分を伝えるシーンが映し出されていました。1962年に月刊誌「こどものとも」として作られた『かわ』から始まり、かがく絵本『』(1969)、『地球』(1975)で、地球上に豊かにある水がいかに不思議な存在であるか伝えてきたかこさん。1998年から構想していた「水のふしぎ」のテーマで、2016年に絵本制作に取り掛かり、2018年に3月に下絵が完成します。しかし完成させる体力が残ってないと覚悟され鈴木まもるさんに絵を依頼することになります。鈴木さんは急いでラフスケッチを描き、かこさんも死の直前の4月末まで構成を練られました。日々の生活に密着した「水」を幼い子どもたちにわかりやすく教えてくれる渾身の1冊、ぜひ子どもたちに手渡してあげてください。なお、初回特典としてこの本が出来るまでの経緯やかこさんの直筆原稿が盛り込まれた特性冊子がついています。(SLA発行の「学校図書館速報版11月15日号」にも「かこさとしさんの思いをつなぐ」と題して、この絵本の紹介記事が掲載されています)
 

 

【その他】

『絵本は心のへその緒―赤ちゃんに語りかけるということ』松居直/作 NPOブックスタート 2018/10/5

こんとあき』に使われた林明子の絵が表紙にあしらわれた薄手の本書は、日本でのブックスタートの理念を構築する際に大きな役割を果たした松居直氏のこれまでの講演や発言の記録の中から「赤ちゃんと絵本」、「ブックスタート」についての部分をまとめたものです。「言葉とは何か」、「共に居るということ」、「ブックスタートについて」の3章にまとめられた記録を読んでいると、福音館書店を子どもの本の専門出版社として大きく育てた松居氏ならではの子どもへの深い愛のまなざしを感じられて胸が熱くなりました。

 

 

『子ども文庫の100年 子どもと本をつなぐ人びと』高橋樹一郎/作 みすず書房 2018/11/1

この本は、子ども読書年の翌年の2001年から2004年にかけて公益財団法人伊藤忠記念財団と、公益財団法人法人東京子ども図書館が共同で行った「子どもBUNKOプロジェクト」がもとになっています。1974年から会社の社会貢献事業として文庫活動などに助成を続けている伊藤忠記念財団と、都内で活動を続けていた4つの子ども文庫を母体として1974年に生まれた東京子ども図書館が、設立30周年を記念して、文庫の実態を活動の意義を再確認するための事業でした。その調査をもとに、全国各地で一時期は公共図書館の3倍以上の数があった民間による小さな子どものための図書室の歴史と意義、文庫活動から図書館設立運動へとうねりが広がった経過など、時代を追って日本独特の文化と呼ばれる文庫活動に光を当て、子どもたちに本を手渡してきた人々の軌跡を記しています。ずっしりと重い10章にわたる論考は、日本の子どもたちの読書活動の一翼を担った文庫の貴重な記録です。

 

 

(作成K・J)

平成30年度第4回児童部会報告


11月16日(金)に平成30年度第4回児童部会を開催しました。14名が出席しました。(部員11名、事務局3名)

 今年度の「学びの時間」では、「児童サービスの現状と課題を分析し、地域の読書支援拠点としてのアウトリーチサービスについて考え、それを実践し、検証する」を目標に、児童サービスの現状を把握し、どのような課題があるのか考えてきました。第4回では、いよいよ各自がアウトリーチサービスに関して取り組みたいテーマを決定し、実施に向けて活動を開始しました。

部会の様子

 出されているテーマとして、子ども食堂でお話会を実施する、開催されているイベントについて調査する、学校向けのお便りを作成する、などがあります。各自が取り組むテーマによって「イベント実施グループ」「調査グループ」「広報グループ」に分かれ、お互いにアイデアを出したり、相談したりしながら取り組んでいく予定です。

 

「情報共有の時間」では、3名が発表しました。以下、発表された取り組みです。

・「近所の生きものを見つけよう!調べよう!」杉並区立永福図書館

・ 企画事業「きず菜ちゃんを育てよう」中野区立江古田図書館

・「図書館クイズ!」文京区学校支援 

 

「語りの時間」では、3名がお話を語りました。以下、語られたお話です。

・「こんにゃくえんま」(『日本のおばけ話』川崎大治作 童心社 1981)

  ※源覚寺(文京区小石川)で言い伝えられている話

・「ならずもの」(『おはなしのろうそく17』 東京子ども図書館編 東京子ども図書館 1989)

・「かん太さまのいびき」(『くしゃみ くしゃみ 天のめぐみ』松岡享子著 福音館書店 1968)

(作成T.I)

2019年1月(その1)おめでとう(小さい子)


職場では、一枚に2か月分が表示されている壁掛けカレンダーを使っていますが、11月に入ると残り1枚になり、翌年のカレンダーを購入しています。(ちひろ美術館のカレンダーです)

そうすると気分は新しい年へと向かいます。2019年の干支は亥です。

いのししの子はうりぼうと呼ばれて、とても愛らしいのです。2019年のおはなし会プランは、動物や鳥を描かせたら右に出るものはいないと思われる薮内正幸さんの絵本から始めたいと思います。

 

(なお、このおはなし会プランに掲載しているわらべうたの楽譜は、中国地方で育ったK・Jが覚えているわらべうたを採譜したものです。市販のわらべうたの楽譜とは音程や、速度が違う場合があります。予め、ご了承ください。)

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【おめでとう】

導入 わらべうた てんやのおもち

 

 

 

大きい子の場合は、お手玉やみかんを片手に持って向かい合わせに座って、自分のてのひらと相手のてのひらを交互にたたいて遊びます。「あんこちょっと」のところだけ、2度自分の手をたたきます。
小さな赤ちゃんをお膝にのせて遊ぶときは、大人が赤ちゃんの両手をとって交互にたたいてあげます。

 

絵本『おめでとう』もたいたけし/絵 ひろまつゆきこ/文 講談社 2009 1分

おめでとう
広松 由希子
講談社
2009-03-19

 

 

昨年もオープニングに使用した絵本です。いろんな民族衣装を着た子どもたちが、どうぶつ同士が、つぎつぎに「おめでとう」と声をかけあう絵本です。もとは一枚の絵だったものを、ひとつひとつのシーンを見開きで大きく紹介しています。
新しい年を元気に迎えられてよかったね、という気持ちをこめて「おめでとう」とあいさつを交わすんだよと、教えてあげたいですね。

 

おもちのかぞえうた

 

 

 

 

ひとつ ひばしで やいたもち
ふたつ ふくふく ふくれもち
みっつ みごとな かざりもち
よっつ よごれた あんこもち
いつつ いんきょの かぶれもち
むっつ むこさま みやげもち
ななつ ななくさ ぞうにもち
やっつ やろこの てっぽもち
ここのつ こぞうの まるめもち
とうで とっつぁん たっぽもち

 

このわらべうたは福島に伝わるものだそうです。「やろこ」は男の子のこと、「たっぽ」はゲンコツのことだそうです。お手玉を袋から一つずつ出して叩いたり、丸めたりしながら並べていって遊ぶそうです。お膝に赤ちゃんをのせて遊ぶときは、体のあちこちを順番にさわりながら遊んでもよいでしょう。(やいたもち→てのひらさわる ふくれもち→ほっぺたをさわる かざりもち→鼻をさわる など)

 

絵本『どうぶつのおかあさん』小森厚/文 薮内正幸/絵 福音館書店 1981 1分 

 
いのししのあかちゃん、うりぼうが登場するのは最後の方です。「いのししのこどもたちは おかあさんの あとから かたまって ついてゆきます。」
なんとも可愛らしいうりぼうの姿です。
 
新しい年は「いのしし年」なんだよと、教えてあげましょう。そのうえで、もう一冊読みます。
 
 
絵本『どうぶつのこどもたち』小森厚/文 薮内正幸/絵 福音館書店 1989 1分

どうぶつのこどもたち (幼児絵本シリーズ)
小森 厚
福音館書店
1989-04-15

こちらでも、最後から2つめがいのししの子どもたちです。「いのししのこどもたちは、はなだみずたまりを ほりかえし、つちをこねてあそびます。」2冊、読んでもらうといのししのこどもの様子が、とても身近に感じられそうですね。

 
 
 
わらべうた おせんべやけたかな
 
 
 
 
 
 
 
 
 
おもちをやく遊びをふたつ紹介しましたが、今度はおせんべを焼きます。おせんべに見立てたあかちゃんの手のひらをつつきながら歌って、「やけた!」と言ってあかちゃんの手を食べるまねっこをします。
 
 
 
絵本『おせんべ やけたかな』こがようこ/構成・文 降矢なな/絵 童心社 2018 1分

 
 
火鉢にのった七つのおせんべ、どれがやけるかな?ひとつひとつ焼けるたびに絵がかわります。
絵本の裏見返しに、わらべうたの楽譜が載っています。こちらは上の私が覚えて採譜したわらべうたと、ほんの少し(一音だけ)違っています。みなさんが覚えてきたわらべうたで歌ってあげてください。
 
 
わらべうた さよならあんころもち
 
(作成K・J)
 

基本図書を読む8『太陽の戦士』 ローズマリ・サトクリフ(再掲)


2014年11月に公開された記事の再掲載です。

10月はネット上で児童書の「萌え絵の表紙」論争が起きました。その中から見えてきたのは、長く読み継がれてきた児童書が子どもたちに手に取られなくなっている現実でした。

参考サイト 1)絵本・児童書の“萌え絵”論争ー「子どもに悪影響」の声に、児童文学評論家が反論(サイゾーウーマン)→こちら 

      2)児童書の萌え絵化論争について、いまさらだけど現役学校司書の視点で考えてみた(本棚のすき間)→こちら

時代とともに子どもたちの好みも、また読まれる本も変化していくことは否めない事実です。

それでも発達心理学的に捉えると、親の保護下を抜けて自立へと向かう思春期に、自分の内面をみつめ、さまざまな困難(物理的なものだけではなく心理的な)に立ち向かっていくだけの力を得るためにも、骨のある本に出合うことはとても大切な体験だと思っています。

もちろんいきなり骨太の本を読む力は育たないので、どのように子どもたちに本との出合いの場を作るのか、考えていく必要があります。多くの子どもたちが、本に親しみを持つためにハードルを下げることは大事ですが、その先をどうするか、言葉の育ち、心の育っていく先を見据えて考えていきたいと思います。

サトクリフの作品も、思春期に出合ってほしい1冊です。

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  ローズマリ・サトクリフは、幼いころに関節炎をわずらい不自由な体でしたが、ローマ時代のブリテンをあつかった作品群を執筆し、イギリスの歴史小説の書き手として定評のある作家です。1959年には『ともしびをかかげて』でカーネギー賞を受賞しています。今回紹介する『太陽の戦士』は、青銅器時代のブリテンを舞台にしています。

ローズマリ・サトクリフ 岩波書店 2005-06-16
ローズマサトクリフ 岩波書店 1968-12-20
 
 
 主人公のドレムは片腕が不自由でしたが、1対1でオオカミと命をかけて勝負をする試練を得て、緋色を身につけることができる部族の戦士になるのが夢でした。9歳のとき、ドレムは決して戦士にはなれないと言われているのを聞いてしまいますが、勇敢な戦士タロアの励ましをえて、片腕でも狩りができる槍を、誰よりもうまく扱えるようになることを決意します。12歳になると、部族の少年たちが共に生活し、戦士になるために必要なことを学ぶ”わかものの家”に入ります。そこで、ドレムは自分の片腕を馬鹿にするものとは一歩もひかずやりあって、自分の場所を見い出し、ボトリックスという親友もえて、成長してきます。そして15歳の冬、オオカミ殺しの試練に向かうのですが・・・・・・。
 
 ドレムは、戦士になるという決意のかたさ、槍の訓練をする忍耐強さ、勝負にかける激しさ、そして、傷ついていることを気づかれまいとする弱さ、生きものを気遣わずにはいられない優しさをもっている少年です。そんな複雑な内面を抱えながらも、しっかりした芯をもち、挫折を乗り越えていく姿は、力強く尊くもあり、生きるということを考えさせられます。
 
 また、この作品の特徴として、青銅器時代を舞台とした歴史小説だということがあげられます。『ジャンル・テーマ別 英米児童文学』では、歴史小説について、次のように述べられています。
「作家は、ある時代の生活の細部を、史実をふまえ、想像力を駆使することによって、目に見えるように描写しなければならないのである。そのとき歴史は単なる背景であることをやめ、物語の内在的要素となる。」(p278)
 サトクリフは、狩りをして日々の糧を得る生活、新王をむかえる盛大な儀式、決して変えられない部族の掟など、青銅器時代のくらしや価値観を丁寧に描いています。また、誇り高く気難しい祖父、しっかりものの愛情深い母親、親に捨てられ孤独をかかえる少女ブライなど、ドレムを囲む人たちも存在感があり、その中で成長するドレムの姿が浮かび上がってきます。読み手は、青銅期時代に入り込み、ドレムとともに、時代の空気を吸い、生き抜くことで、人類の長い歴史の中における人の生き方に触れることができるのです。 
 
「もし、事が戦うのにふさわしいことなら、戦え。そしてじいさんのいうことなんかききながしておきな。道はある――まわり道もあれば、ぬける道もあるし、こえていく道もな。弓を射るのに二本の手がなければ、投げ槍を練習しろ。おまえがしかたなしにそれをえらんだってことを、敵のやつらや、兄きたちが忘れちまうほどうまくなるんだ。」(岩波少年文庫 P56)
 
 ドレムの支えとなった、部族の戦士タロアの言葉は、現代の若い人たちにも勇気を与えてくれるでしょう。骨太の作品で手に取られにくいのですが、ぜひ伝えていきたい1冊です。
 
<参考文献>
 
『ジャンル・テーマ別 英米児童文学』 吉田新一編著 中教出版 1987
 英米児童文学を中心に、伝承文芸、絵本、幼年童話と少年少女小説といったジャンルや、動物物語、冒険物語、歴史小説といったテーマに分けて、そのジャンルおよびテーマの概要が詳しく解説されている本です。代表的な作家、作品の基本的な知識を得られるだけではなく、特定の分野について俯瞰してみることができるようになっています。
 
『世界児童・青少年文学情報大事典(第1~16巻) 藤野幸雄編 勉誠出版 2000-2004
 アメリカのゲール・リサーチ出版の児童文学に関する事典『作者についての情報』(Something about the Author,1976- )、および『児童ヤングアダルト主要作家=挿絵画家事典』(Major Authors and Illustrators for Children and Young Adults:A Selection of Sketches from Something about the Author,compiled by Laurie Collier and Joyce Nakamura,1993,6vols.)などから、日本の読者に知られている作家および挿絵画家を選んで、翻訳・編集されたものです。
 各項目には、作家・画家の略歴、職歴、受賞、日本語約、著作の全リストならびに作者についての情報提供の事項が書かれていて、作家・画家について詳しく知る手がかりとなります。
 
(T.S)

訃報 もりひさしさん


2018年11月9日(金)に『はらぺこあおむし』(エリック・カール/作 偕成社)ほかエリック・カールの絵本の翻訳、「くまのアーネストおじさん」シリーズの翻訳や、こぐま社のロングセラー「こぐまちゃん」シリーズの生みの親でもある翻訳者で詩人、教育者だったもりひさしさんが亡くなられました。101歳でした。(ニュース記事→こちら

 

こぐま社の公式サイトには、もりひさしさんを追悼する記事が掲載されています。(→こちら「こぐまちゃん」シリーズの表紙には、画家のわかやまけんさんのお名前しか出ていませんが、奥付にはもりひさしさんのお名前も記載されています。こぐま社の記事には、このシリーズがもりひさしさんと、劇作家和田義臣さん、こぐま社創立者佐藤英和さんとわかやまけんさんの4人グループで制作したことも記されています。

『しろくまちゃんのほっとけーき』(わかやまけん/絵 こぐま社 1972)

 

 

 

『こぐまちゃんおはよう』(わかやまけん/絵 こぐま社 1970)

 
 
 

誰でもが知っているエリック・カールの『はらぺこあおむし』(偕成社)をはじめとするエリック・カールの絵本の翻訳もほとんどもりひさしさんが手がけられました。(偕成社のもりひさしさんの訃報を伝えるページ→こちら

『はらぺこあおむし』(エリック・カール/作 もりひさし/訳 偕成社 1976)

 
 
偕成社からは、エリック・カールの絵本の他に『チックタックじかんってなあに?』なども出版されています。
 
『チックタックじかんってなあに?』(ベス・ユーマングレイク/作 もりひさし/訳 偕成社 1970)
チックタックじかんってなあに? (世界の絵本)
ベス・ユーマン グレイク
偕成社
2006-10-01
 
 
 
 
 
金の星社から出版された絵本で、西巻茅子さんと組んだ『ちいさなきいろいかさ』『みずいろのながぐつ』も幼い子どもたちの心を捉えてきました。
『ちいさなきいろいかさ』(もりひさし/作 西巻茅子/絵 金の星社 1971)
 
 
 
 
『みずいろのながぐつ』(もりひさし/作 西巻茅子/絵 金の星社 1977)

 
 
 
 
 
BL出版のガブリエル・バンサン「くまのアーネストおじさん」シリーズ(→こちら)も、もりひさしさんの翻訳として有名です。
 
『あめのひのピクニック』(ガブリエル・バンサン/作 もりひさし/訳 ブックローン出版 現・BL出版 1983)
あめの ひの ピクニック くまのアーネストおじさん
ガブリエル・バンサン
ブック・ローン出版
1983-05
 

 

『セレスティーヌ』(ガブリエル・バンサン/作 もりひさし/訳 BL出版 1988)

セレスティーヌ
カブリエル バンサン
BL出版
1998-12-10
 
 
 
ペンギン社の『はちうえはぼくにまかせて』や、『ハリーのだいかつやく』も、もりひさしさんの翻訳です。
 
『はちうえはぼくにまかせて』(ジーン・ジオン/作 マーガレット・ブロイ・グレアム/絵 ペンギン社 1981)
はちうえはぼくにまかせて (世界こども図書館A)
ジーン・ジオン
ペンギン社
2018-08-01
 
 
 
 
『ハリーのだいかつやく』(ジーン・ジオン/作 マーガレット・ブロイ・グレアム/絵 ペンギン社 1982)

 
 
 
 
もりひさしさんの、ことばのリズムや語感を大切にした翻訳や創作は、読んでもらう子どもの気持ちに寄り添ったものであったと感じます。こうやってもりひさしさんが手がけてこられた作品を振り返ると、何度も何度も読んでもらった文章なんだなと感慨深いものがあります。
 
心より哀悼の誠を捧げます。
 
(作成K・J)

1月のおはなし会☆おすすめ本リスト


1月のおはなし会や展示に使える本のリストを、この1年に新しく出た本も入れて更新しました。

2019年の干支のいのししの本をリストのトップにもってきています。

また、どんな人も文字を見やすいように、リストのフォントをユニバーサルデザインのフォントに変更しました。プリントアウトした時に、使いやすくなったと思います。

1月のおはなし会おすすめ本リスト2019

図書館での本のご案内に、またおはなし会のプログラム作成などにぜひお役立てください。

(作成K・J)

 

 

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