2018年6月、7月の新刊から(その1)絵本・児童書


2018年6月、7月に出版された児童サービス向け出版物(絵本、児童書、ノンフィクション、YA向け、教育者・研究者向けなど)の中から、おすすめの本を紹介します。なお、ノンフィクションとYA向けは(その2)として来週公開する予定です。

ここに紹介している本は、実際に手にして読み終えた中から選んでいます。出版されたすべての新刊本を購入して読むことはできませんが、毎月、教文館ナルニア国の新刊本コーナー、クレヨンハウス新刊本コーナー、横浜日吉にあるともだち書店、代官山蔦屋書店児童書売り場など、信頼できる児童書の目利きのいる書店にある本から選書し、購入し、読んで記事にしています。

 (なお、画像はブログ用Amazonアフィリエイトを使用しています。書誌事項は奥付の出版年月日にしており、Amazon入荷日とちがって表示されることがあります。ご了承ください。)

 

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【絵本】

『おばあちゃんのはこぶね』M.B.ゴフスタイン/作 谷川俊太郎/訳 現代企画室 2018/6/30

おばあちゃんのはこぶね (末盛千枝子ブックス)
M・B・ゴフスタイン
現代企画室
2018-07-02
 
2017年12月20日、77歳の誕生日に亡くなったアメリカの絵本作家ゴフスタインの絵本の復刊です。以前は1996年にすえもりブックスから出版されていました。90歳になるおばあちゃんは、子ども時代に父親が木工で作ってくれた’ノアの方舟’と木の人形たちをずっと大切にしてきました。人生のいろいろな節目で、それは大事な支えになっていたのです。幼い時の思い出が、人の人生をずっと温め続けてくれるのだというゴフスタインからの静かでいて力強いメッセージです。巻末にゴフスタインが亡くなる直前にホスピスにお見舞いに来た知人に語った最期のことばが収められています。

 

『すいかのプール』アンニョン・タル/作 斎藤真理子/訳 岩波書店 2018/7/19

すいかのプール
アンニョン・タル
岩波書店
2018-07-20

タイトル通り、真っ赤に熟れたすいかがプールになる、韓国のなんとも甘やかなファンタジー絵本です。でもほんとうにこんなプールがあるように思えてきます。今年は日本だけでなく、お隣韓国も猛暑に襲われたそうです。そんな暑い昼下がりに読むと、気持ちがすっとする、そんな気がします。

 

『シカの童女』岡野薫子/作 赤羽末吉/絵 復刊ドットコム 2018/7/25

シカの童女
岡野 薫子
復刊ドットコム
2018-07-21
 

1973年にあかね書房から出ていた絵本が復刊されました。北の山の仙人が谷川のそばで見つけた女の赤ちゃん。口はきけないけれど、可愛らしい少女に育ちます。不思議なことに、女の子が傷ついた足で歩くと、そのあとに美しいハスの花が咲くのです。ひとめぼれした若殿様は女の子を館に連れ帰ります。ところが若殿様がシカ狩りに行ってシカを仕留めると、女の子は館から姿を消してしまうのです。赤羽末吉の描く童女の姿がとても印象的です。

 

『こちらムシムシ新聞社~カタツムリはどこにいる?~』三輪一雄/作・絵 偕成社 2018/8

 
ムシムシ新聞社に持ち込まれた「カタツムリ」を見かけなくなったという投書をもとに、テントウムシの七星記者が調査を始めます。そうするとアスファルトやコンクリートで固められた都会はカタツムリにとっては棲みにくいところだとわかります。そこで田舎の方へ取材に出かけます。カタツムリの生態や、カタツムリが多くの生き物の餌になったり、殻が他の生き物の住処になっていることなどが、子ども達にもわかりやすく伝えてくれる科学絵本です。
 
【児童書】
 
『赤毛のアン』ルーシイ=モード=モンゴメリ/作 岸田衿子/訳 安野光雅/絵 朝日出版社 2018/6/20

赤毛のアン
ルーシイ=モード=モンゴメリ
朝日出版社
2018-06-20
 
岸田衿子さんが亡くなる前に翻訳していた『赤毛のアン』に安野光雅さんが絵をつけた作品。『赤毛のアン』といえば朝の連続テレビ小説でも取り上げられた村岡花子さんの翻訳で読んできた人が大半でしょう。岸田さんの文章は、村岡訳で親しんだものには、また違った印象を与えますが、とても読みやすく、安野さんの絵もまたふんわりと柔らかく好ましく仕上がっています。
 
 
『けんこうだいいち』マンロー・リーフ/作 渡辺茂男/訳 復刊ドットコム 2018/6/29

けんこうだいいち
マンロー・リーフ
復刊ドットコム
2018-06-29
 
1969年に学研から出版され、その後フェリシモから2003年に復刊されたマンロー・リーフの『けんこうだいいち』が、復刊ドットコムから再度復刊されました。「げんきなときにはけんこうのことなんか、あまりかんがえません」と始まるこの作品、どうしたら病気になることを予防できるか、ユーモアを交えて教えてくれるこの作品は、昔夢中になって読んだ記憶があります。新しい装丁で復刊されたので、子ども達にもすすめやすいでしょう。
 
 
『タイコたたきの夢』ライナー・チムニク/作・絵 矢川澄子/訳 徳間書店 2018/7/31

タイコたたきの夢 (児童書)
ライナー チムニク
徳間書店
2018-07-12
 
今年1月に復刊された上田真而子訳『熊とにんげん』に続いて、2000年にパロル舎から出ていた『タイコたたきの夢』が徳間書店から復刊されました。「ゆこう どこかにあるはずだ もっとよいくに よいくらし!」タイコをたたきながら人々を旅に誘い出すタイコたたきたち。こここそが新天地と思って腰を落ち着けても、すぐにもっとよいところがあるだろうと、タイコたたきたちはさらに旅を続けていきます。欲望に駆られて戦いに挑んだり、黄金に目がくらんで労働を放棄したり。おはなしはリズムよくすすんでいきますが、ところどころで手をとめて深く考えさせられます。シンプルな絵もまたこの本の魅力です。
 
 
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この夏は、児童向けのノンフィクションもたくさん出ていて、ただいま読み込んでいるところです。来週(その2)で紹介する予定です。どうぞお楽しみに!



(作成K・J)