Yearly Archives: 2019

2019年11月、12月の新刊から(その2)読み物ほか
2020年2月(その2)北風に負けるな(幼児~小学生)
2020年2月(その1)つめたいね!(小さい子)
おすすめの幼年童話33『でっかいねずみとちっちゃなライオン』イブ・タイタスぶん
2019年11月、12月の新刊から(その1)絵本
基本図書を読む21『たのしいムーミン一家』トーベ・ヤンソン(再掲載)
2月のおはなし会☆おすすめ本リスト
おすすめの幼年童話32『クリスマスの女の子』ルーマー・ゴッテン
2020年1月(その2)晴れ着をきて(幼児~小学生)
基本図書を読む20『がんばれヘンリーくん』ベバリイ・クリアリー(再掲載)
「JBBY希望プロジェクト」学びの会2019 ・第3回 のご案内
2020年1月(その1)ねーずみねーずみ(小さい子)
2019年度第4回児童部会報告
2019年9月、10月の新刊から
1月のおはなし会☆おすすめ本リスト

2019年11月、12月の新刊から(その2)読み物ほか


2019年11月、12月に出版された児童サービス向け出版物(絵本、児童書、ノンフィクション、YA向け、教育者・研究者向けなど)の中から、読み物など絵本以外の新刊作品を紹介します。

 

ここに紹介している本は、実際に手にして読み終えた中から選んでいます。出版されたすべての新刊本を購入して読むことはできませんが、毎月、教文館ナルニア国の新刊本コーナー、クレヨンハウス新刊本コーナー、横浜日吉にあるともだち書店など、信頼できる児童書の目利きのいる書店にある本から選書し、購入し、読んで記事にしています。今回は一部寄贈された作品も含まれています。

 

(なお、これまで画像はブログ用Amazonアフィリエイトを使用してきましたが、各出版社の著作権許諾方針にしたがい、書影を利用することにしました。許諾許可が出ないものについては、書誌事項のみ記載し、出版社のサイトへのリンクを貼っています。そちらでご確認ください。)

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【詩集】

『改訂版 ある子どもの詩の庭で』ロバート・ルイス・スティーヴンソン/詩 イーヴ・ガーネット/絵 間崎ルリ子/訳 瑞雲舎  2019/12/1 (出版社のサイト→こちら

『宝島』を書いたスティーヴンソンによる子どものための詩集です。子どもたちが、日常の中で出会うセンスオブワンダーがちりばめられた素敵な詩がたくさんおさめられています。翻訳者の間崎ルリ子さんが「訳者あとがき」に、若いころにニューヨーク公共図書館で働いていた時に同僚が読んでくれた詩の中にスティーヴンソンの詩もあったこと、そして「そのリズムと脚韻による韻律の響きの楽しさ、そこから湧き上がるイメージの心躍る思いに」気がつき、詩を楽しむようになったと綴っています。欧米の子どもたちは幼い時にたくさん詩を聞き、暗誦していきます。そういう積み重ねがことばへの感性を育てていくのです。スマホの普及によって、私たちのコミュニケーションで使うことばはどんどん短くなってきて、それだけで意志疎通が出来ている気になっていますが、実は大切なことを伝え忘れているのではと思うこともあります。この詩集は、2010年に出版されましたが、この1年品切れになっていたそうです。子どもに本を手渡す活動をされている方からの要望に応じて、この度改訂版を出版するにあたり、間崎ルリ子さんも翻訳を丁寧に見直され、単語の入れ替えや句読点の付け替えなどをされたとのことです。「2月のおはなし会プラン(幼児~小学生)」(→こちら)の導入でも、この詩集から「冬の絵本」を使っています。詩の楽しさを伝えるために、図書館のおはなし会で積極的に詩を読んであげてほしいと思っています。

 

 

『谷川俊太郎詩集 たったいま』谷川俊太郎/詩 広瀬弦/絵 講談社青い鳥文庫 講談社 2019/12/15 (出版社サイト→こちら

子どもたちに詩の楽しみを伝えたいと、上記のスティーヴンソンの詩集のところでも書いていますが、子どもたちが自分で手に取って楽しめる谷川俊太郎さんの詩集が青い鳥文庫から出版されました。『そのひとがうたうとき』、『春に』から始まり、ことば遊びなどを盛り込みながら、後半では『信じる』、『こころの色』、『愛が消える』、『ひとり』など思春期の迷いに寄り添い、またそれを支えてくれる詩が紹介されています。最後の方には『卒業式』、『交響曲』、『終わりと始まり』など新しい旅立ちに贈りたい詩が収録されています。一緒に声に出して読んでもいいし、折に触れて自分でそっと開いて読んでもいい。そんな38篇の詩が、広瀬弦さん(佐野洋子さんのご子息)のイラストとともに収められた青い鳥文庫です。おはなし会やブックトークなどで、ぜひ子どもたちに紹介してください。

 

 

 

【児童書】

『あたまをつかった小さなおばあさん がんばる』ホープ・ニューウェル/作 松岡享子/訳 降矢なな/絵 福音館書店 2019/11/15 (出版社サイト→こちら

1970年に出版されて多くの子どもたちに愛されてきた『あたまをつかった小さなおばあさん』(→こちら)の続きのおはなしが2冊、この秋に出版されました。前作は『ぐりとぐら』の山脇百合子さんの挿画でしたが、今回は降矢ななさんが挿画を担当されました。長く愛されてきたちょっととんちんかんで憎めないおばあさんの雰囲気をそのままに降矢さんが描いていらっしゃいます。おばあさんは、なにか困ったことにぶつかると、頭にぬれタオルをまいて椅子に座り、人差し指を鼻の横にあてて目を閉じて考えます。その思いつくことの、面白いこと!たとえばクリスマスに大きなモミの木を切ってきて、家の中に入らないとわかると床と屋根に穴をあけて、モミの木を立てたり、クリスマスイブにはモミの木のてっぺんの星を見るためにわざわざ屋根に登って世界中の人々の幸せを祈ったり。ひとつひとつのおはなしは短くて独立しているので、おはなし会で分けて読んであげるのもよいでしょう。また、漢字も少なくルビもふってあるので、自分で読めるようになった子どもたちにおすすめできる1冊です。

 

 

 

『あたまをつかった小さなおばあさん のんびりする』ホープ・ニューウェル/作 松岡享子/訳 降矢なな/絵 福音館書店 2019/11/15 (出版社サイト→こちら

小さなおばあさんは、自分の住む小さな家に誰も訪ねて来てくれないのは、通りから玄関のドアが見えないからだと思い当たります。そこでおばあさんがやったのは、ドアを外して通りの近くまで持っていくことでした。でもドアはそれだけでは立ってくれません。そこでおばあさんは蝶番とドアの枠を外してきますが、それでもだめ。となると、おばあさんはまたぬれタオルを頭に巻いて椅子に座り、人差し指を鼻のわきにあてて目を閉じて考えます。さて、思いついたことってなんだったのでしょう。こちらの巻では、おばあさんが手相を見てもらった後、旅行に出かけたり、スキーをしたり、なんともとんちんかんで楽しいおはなしがたくさんです。

 

 

 

 

 

『明日をさがす旅 故郷を追われた子どもたち』アラン・グラッツ/作 さくまゆみこ/訳 福音館書店 2019/11/15 (出版社サイト→こちら

1939年、ナチスの侵攻から逃れるためにベルリンからハンブルクの港を経由してキューバへと向かう船に乗り込んだユダヤ人の少年ヨーゼフの家族。1994年、キューバの食糧難から逃れるために自由を求めてカリブ海を小さなボートで亡命の旅に出たイザベルの一家。2015年、シリアの内戦によって、アレッポの自宅が爆撃されたマフムードの家族は、トルコ国境を越え、地中海を渡ってヨーロッパへと逃避行を始めます。違う時代に、それぞれの家族が国を追われ難民となって困難な旅を続けていく様子が、同時進行で3人の子どもの視点から描かれます。やがて彼らの運命は、思わぬところで結びついていくのです。あとがきには難民に待ち受ける三つの試練を次のように挙げています。1)故郷での恐怖体験から逃れる試練、2)危険に満ちた難民の旅、住まいや食べ物を求め続ける旅の試練、3)新たな国で人生を一からやり直す試練。この本の作者は、印税の一部を世界の難民を救援する活動を支援するためにユニセフに寄付することも明記しています。読み進めていくにつれ、厳しい現実を突きつけられました。それでも現実を知ることはとても大事なことです。国連難民高等弁務官事務所の報告によると、2018年の難民は2590万人に上っており、そのうちの半数以上は子どもたちです。少しでも若い世代に関心を持ってもらえるといいなと思います。

 

 

 

 

『レディオワン』斉藤倫/作 クリハラタカシ/画 光村図書出版 2019/11/15 (出版社サイト→こちら

詩人の斉藤倫さんはこれまでも『どろぼうのどろぼん』や『せなか町から、ずっと』など優しくてどこか切ない作品を発表してこられました。その新作は、なんと犬が主人公。「みなさん、こんばんわん。月曜夜九時。レディオワンの時間です。」と快活にトークをするDJジョン。「DJジョンさんは、どうしてそんなに犬の気持ちがわかるのですか」と質問をされるのですが、DJジョンが犬だからなのです。動物言語翻訳機コピンジャー・マシンを通すと・・・ちょっと不思議で、ほろりとするお話です。
雑誌「飛ぶ教室」に連載された作品の単行本化です。単行本になるにあたり、書下ろしで追加された部分は、水色の用紙で印刷されています。

 

 

 

 

『うちの弟、どうしたらいい?』エリナー・クライマー/作 小宮由/訳 岩波書店 2019/11/26 (出版社サイト→こちら

アニーは12歳。お母さんは8歳の弟スティーヴィーのことを「たのむわね」とだけ言い残して出ていってしまいます。育児放棄された姉弟と祖母の3人の生活は、スティーヴィーの心を荒ませます。彼は問題ばかり起こし、祖母はそんな弟を有無を言わさず暴力でねじ伏せようとして、事態は悪くなるばかりです。そんな時、アニーは新しく着任したストーバー先生は、弟をそのまま受容してくれていることに気づき、先生に相談することにします。弟は落ち着き始めるものの、家庭の事情でストーバー先生が実家に帰ってしまいます。
ある日、一大決心をして先生を訪ねていった二人は、先生は親を亡くしたあと里親に育てられていたことを知ります。家庭が機能しなくなって、精神的に不安定な子どもたちを支えていくために、必要なことは何か、それを物語を通して語りかけてくれる作品です。

 

 

 

 

『図書館からの冒険』岡田淳/作・絵 偕成社 2019/12 (出版社サイト→こちら

6年生の渉は、両親が海外出張となったゴールデンウイークの間、大叔父さんの家で過ごすことになるのですが、渉はひとつ決心していることがありました。それは大叔父さんの家に隣接している廃校になった小学校の図書館に忍び込み、そこでひと晩泊まるということだったのです。それは大叔父から聞いていた図書館にあらわれる幽霊を確かめたいと思ったのでした。ところが図書館はパラレルワールドへの入り口だったのです。嵐と地震で荒れ果てた島に迷い込んだ渉は、その島を救うために動き始めるのでした。

 

 

 

 

 

『ほんとうの願いがかなうとき』バーバラ・オコーナー/作 中野怜奈/訳 偕成社 2019/12 (出版社サイト→こちら

5年生のチャーリーの家族は、父親が拘置所に収容され、母親は心を病んでしまって育児が出来なくなったことで、バラバラになってしまいます。姉は親友の家でホームステイすることになり、チャーリーは母親の姉一家へと引き取られていきます。そこは生まれ育った街とは違って、自然豊かな山地コルビー。チャーリーは、自分は一刻も早く母親のもとへ帰るんだと、いつも斜に構えています。ところが伯母夫婦のバーサとガスは、そんなチャーリーをそのまま受け止め、そっと寄り添います。チャーリーは、近所に住むハワードと少しずつ友情を深めながら、心の傷を癒し、成長していきます。子どもが安心して成長できる居場所について、深く考えさせられました。子ども同士の友情を軸におはなしはテンポよくすすみ、野良犬から飼い犬になったウィッシュボーンの存在も絡まって、とても読みやすい本です。

 

 

 

 

『ねこと王さま』ニック・シャラット/作・絵 市田泉/訳 徳間書店 2019/12/31 (出版社サイト→こちら

 

お城を竜に壊されて、ねこと二人だけで町の三十七番地の小さな家で暮らすことになった王さまの、ちょっと不思議で楽しいおはなしです。
昔話の「長靴をはいた猫」のように利発で気の利くねこと、この世離れした王さまとのやりとりが、どこかとぼけていて、面白いです。ちょっとした息抜きに読んでみるのもいいですね。

 

 

 

 

【その他】

『はじめよう!ブックコミュニケーション 響きあう教室へ』村中李衣・伊木洋/著 金子書房 2019/11/27 (出版社サイト→こちら

 

「ブックコミュニケーション」と聞いて、「ブックトーク」とはどう違うんだろう?と思う方は多いと思います。小さな子から老人と、あるいは刑務所の受刑者と共に「本を読み合う」という活動をしてきた村中李衣さんが、教師から子どもへ、おとなから子どもへという一方通行の本の紹介ではなく、1冊の本を通しておとなと子どもが自由に感じたことを共有できるような、本を仲立ちにして会話を生み出す、そんな実践を記録したものです。もっと自由に、「こんな本を読んだよ」、「この本、おすすめだよ」と子どもたちに語りかけ、人と人とのかかわり合いの中で新しい本との出合いをどんどん作っていかないと、子どもたちの読書離れはもっと進んでしまうのではないかという危惧が背景にあるのだろうと感じながら読みました。

 

(作成K・J)

2020年2月(その2)北風に負けるな(幼児~小学生)


冷たい北風が吹きつける時、マフラーにてぶくろがあるだけでも、ずいぶん体感が違ってきますね。幼児~小学生向けのプログラムは、このふたつのアイテムをテーマに作ってみました。

 

(なお、これまで画像はブログ用Amazonアフィリエイトを使用してきましたが、各出版社の著作権許諾方針にしたがい、書影を利用することにしました。許諾許可が出ないものについては、書誌事項のみ記載し、出版社のサイトへのリンクを貼っています。そちらでご確認ください。)

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【北風に負けるな】

導入 詩「冬の絵本」ロバート・ルイス・スティーブンソン/作 『改訂版 ある子どもの詩の庭で』瑞雲舎 2019 1分20秒 (出版社サイト→こちら

寒い冬の日々、戸外で自由に遊ぶことは出来なくても、絵本を広げればどこに広がっていく世界の豊かさを詠んだ詩です。詩の締めくくりは次のようになっています。
「ああ、なんてすてきな日々だろう。
あたたかい暖炉のそばで、
絵本をよんでもらうのは
子ども部屋での、しあわせな時間!」
そんな時間を、多くの子どもたちに味わってほしいですね。

 

 

 

絵本『じまんのマフラー』マーシャ・ダイアン・アーノルド/文 マシュー・コーデル/絵 椎名かおる/訳 あすなろ書房 2016 1分50秒 (出版社サイト→こちら

 

 

くまくんの自慢のマフラーが風に飛ばされてしまいます。それをみつけた森の仲間達は・・・マフラーをどんなふうに扱っているかを描いた部分は絵が小さい個所もありますが、リズミカルに読んであげましょう。結末はとても心が和むもの。そのあたりはゆっくりページをめくってください。

 

 

素話「北風をたずねていった男の子」ノルウェーの昔話『子どもに語る北欧の昔話』(福井信子、湯沢朱実/編・訳 こぐま社)より 10分 (出版社サイト→こちら

 

北風にわずかに残った大切な粉を取られてしまった男の子は、取り返すために北風のところへ出かけていきます。北風は粉ではなく、ごちそうを出す魔法のテーブルかけをくれるのですが、途中の宿屋ですり替えられてしまいます。もう一度出かけていって手にした金貨を出すヤギも途中の宿屋ですり替えられてしまいます。さあ、三度目に北風に会いに行った男の子は、いったいどうするのか、繰り返しも面白く、テンポよく語りましょう。

 

 

手遊び いとまき
みんなのよく知っている手遊びです。「でーきたできた こびとさんの〇〇が」をマフラーやてぶくろなど、今回のテーマに合うように置き換えて歌ってみましょう。

 

 

絵本『てぶくろ』ウクライナ民話 エウゲーニ―・M・ラチョフ/絵 内田莉莎子/訳 福音館書店 1964 4分 (出版社サイト→こちら

 

 

ロングセラーの絵本で、何度読んでもらっても、不思議な魅力にあふれています。ゆっくり丁寧に読んであげましょう。

 

 

 

 

【絵本の紹介】(差し替え可)

『こうさぎと4ほんのマフラー』わたりむつこ/作 でくねいく/絵 のら書店 2013 6分(出版社サイト→こちら

 

読むと6分かかりますが、参加している子どもたちの年齢に応じて、あるいは聞く力に応じて追加したり、『じまんのマフラー』と差し替えてもよいでしょう。4ひきのこうさぎの兄弟が、おばあちゃんから届いた手編みのマフラーをして元気にそり遊びに出かけます。そして雪の積もる森へ入っていきます。そこには『もりのおとぶくろ』(→こちら)で出会った大きなぶなの木「ぶなじい」がいるのです。
おはなし会で読まない場合でも、「マフラーをテーマにしたこんな絵本もあるよ」と紹介してあげてもよいでしょう。

 

 

(作成K・J)

2020年2月(その1)つめたいね!(小さい子)


昨シーズンは都内にまとまった積雪がありませんでしたが、暖冬が予想されている今シーズンはどうなるでしょう。東京は暖冬の時の方が、南岸低気圧による積雪が起こりやすいとのこと。(都内では2018年1月22日は23㎝、2014年2月7日と14日にそれぞれ27㎝の積雪を記録しています)

幼い子どもにとって、雪の記憶はとても印象深く残ります。スキー場などではなく、いつもの生活の場所が真っ白に塗り替えられる非日常の感覚があるからでしょう。

というわけで2月のおはなし会プランは「雪」をテーマに作ってみました。

(なお、このおはなし会プランに掲載しているわらべうたの楽譜は、中国地方で育ったK・Jが覚えているわらべうたを採譜したものです。市販のわらべうたの楽譜とは音程や、速度が違う場合があります。予め、ご了承ください。
また、これまで画像はブログ用Amazonアフィリエイトを使用してきましたが、各出版社の著作権許諾方針にしたがい、書影を利用することにしました。許諾許可が出ないものについては、書誌事項のみ記載し、出版社のサイトへのリンクを貼っています。そちらでご確認ください。)

 

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【つめたいね!】

導入  わらべうたメドレー(おおさむこさむ → おしくらまんじゅう → こどもかぜのこ) 

 最初に、わらべうたメドレーで体をほぐしていきましょう。
 (遊び方は、社員の方はeラーニングサイトで見ることができます)
おおさむこさむ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「おおさむこさむ」で両腕をかかえてこする真似。寒そうにします。「やまからこぞうがとんできた」で遠くを指さす動作、「なんといってとんできた」で耳に手をあてる動作をします。「さむいといってとんできた」でもう一度両腕をかかえてこすります。
 
 
おしくらまんじゅう
 
 
 
 
 
 
 
「そんな寒さは、おしくらまんじゅうで吹き飛ばすよ~」と掛け声をかけて、おうちの人やお友達と身体を摺り寄せてぶつけっこします。何度か繰り返して歌いましょう。
 
 
こどもかぜのこ

 

 

 

「こどもかぜのこ」では、握りこぶしを作って、両腕を交互に元気に前に突き出します。「じじばばひのこ」は、両腕をかかえて寒そうに縮まります。緩急つけて身体を動かすのがコツです。こちらも何度か繰り返して歌いましょう。

 

絵本『ゆきふふふ』ひがしなおこ/作 きうちたつろう/絵 くもん出版 2010 1分半

 

 

 

 

 

つめたい雪が「おでこのしゅわん ほっぺたにしゅわん」って降ってきます。雪の情景を詩人のやさしい言葉で綴っています。ゆっくり丁寧に読んであげましょう。

 

わらべうた あめこんこん

 

 

 

 

 

雪が降っているところを想像しながら歌に合わせて手をひらひらさせて上下に動かします。小さな赤ちゃんの場合は、お膝の上で歌に合わせて左右に揺れるだけでもよいでしょう。

 

絵本『きらきら』谷川俊太郎/文 吉田六郎/写真 アリス館 2008 1分半

 

 

 

 

 

 

雪の結晶をクローズアップした絵本です。大きな子どもには科学的な視点から導入のことばをかけるとよいのですが、小さな赤ちゃんには説明は不要でしょう。ことばのリズムを味わいながら読んであげましょう。

 

わらべうた このこどこのこ

 

 

 

 

最後の「〇〇ちゃん」のところには、それぞれのお子さんの名前を入れて歌ってもらい、ぎゅーっと抱きしめてあげてね!と声をかけます。繰り返し歌って、何度でもおうちの人にぎゅーっと抱きしめられると子どもたちも大喜びです。

 

絵本『だっこだっこだーいすき』かみじょうゆみこ/文  100%ORANGE/絵 0.1.2えほん 福音館書店 1分

 

 

 

 

 

 

風の冷たい冬の日は、余計に身体を寄せ合って温め合いたくなりますね。最後に読むのはだっこの絵本。寒くても心はほっかほっかあったまることでしょう。

 

終わりのわらべうた さよならあんころもち

 

 

 

 

 

小さいあんころもち、中くらいのあんころもち、最後は大きなあんころもちを作って、おはなし会を閉めましょう。

 

(作成K・J)

おすすめの幼年童話33『でっかいねずみとちっちゃなライオン』イブ・タイタスぶん


 2020年の干支はねずみということで、今回はねずみが出てくるゆかいなお話を紹介します。

 新装版ゆかいなゆかいなおはなし『でっかいねずみとちっちゃなライオン』イブ・タイタス文 レオナード・ワイズガード絵 光吉夏弥訳 大日本図書 2011

 

 

 

 

 

 

 あるところに人間の世界を見にいきたいねずみとライオンがいました。
 2匹は妖精に魔法をかけられて、人間の目には、世界一大きなライオンよりでっかいねずみと、世界一小さなねずみよりちっちゃなライオンにみえるようになります。さて2匹は町に出ると、でっかくみえるねずみは人間たちにくしゃみをしただけで驚かれるし、ちっちゃくみえるライオンは「かわいい!」とからかわれるしで、あべこべになり大騒ぎです。単純で短いお話ですが、次に何が起こるか、楽しみに読めます。最後は、きちんと自分たちの居場所に落ち着くところもホッとします。シリーズ名「ゆかいなゆかいなおはなし」のとおり、愉快で楽しいお話です。

 文字は大きく、読みやすい文です。挿絵は、コールデコット賞受賞作家レオナード・ワイズガードによるものです。茶を基調とした一見地味な絵ですが、困ったライオンの表情などがおかしく、お話の愉快さが伝ってきます。

 作者のイブ・タイタスは、1922年ニューヨーク市生まれで、詩人、ピアニストとしても知られています。パリのチーズねずみ『アナトール』シリーズや、シャーロックホームズの地下室に住んでいた探偵ねずみ『ベイカー街のバジル』のシリーズで子どもたちの人気作家になりました。『ねずみのとうさん アナトール』(イブ・タイタス作 ポール・ガルドン絵 晴海耕平訳 1995)もとても楽しいお話ですので、ぜひ紹介してみてください。

 ねずみが登場する幼年童話は、他にも『番ねずみヤカちゃん』(リチャード・ウィルバー作 松岡享子訳 大社玲子絵 福音館書店 1992)や『もりのたいしょうはりねずみ』(モーラ・フェレンツさく レイク・カーロイえ うちかわかずみやく 偕成社 2010)、少し長めですが『歌うねずみウルフ』(ディック・キング・スミス作 三原泉訳 杉田比呂美絵 2002)など楽しい作品がたくさんあります。体は小さくても頑張りで知恵のあるねずみは、子どもたちの共感を得やすいのかもしれませんね。

(作成 T.I)

2019年11月、12月の新刊から(その1)絵本


2019年10月、11月に出版された児童サービス向け出版物(絵本、児童書、ノンフィクション、YA向け、教育者・研究者向けなど)の中から、絵本の新刊作品を紹介します。(一部、11月以前のものも含まれます)

読み物については来週公開予定です。

ここに紹介している本は、実際に手にして読み終えた中から選んでいます。出版されたすべての新刊本を購入して読むことはできませんが、毎月、教文館ナルニア国の新刊本コーナー、クレヨンハウス新刊本コーナー、横浜日吉にあるともだち書店など、信頼できる児童書の目利きのいる書店にある本から選書し、購入し、読んで記事にしています。今回は一部寄贈された作品も含まれています。

 

(なお、これまで画像はブログ用Amazonアフィリエイトを使用してきましたが、各出版社の著作権許諾方針にしたがい、書影を利用することにしました。許諾許可が出ないものについては、書誌事項のみ記載し、出版社のサイトへのリンクを貼っています。そちらでご確認ください。)

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【絵本】

 

『「へてかへねかめ」おふろでね』宮川ひろ/作 ましませつこ/絵 童心社 2019/10/20(出版社サイト→こちら

昨年12月29日に95歳で亡くなられた児童文学作家の宮川ひろさんの遺作です。宮川さんのご近所にお住いの村松和子さんのお宅で親子三代にわたって口伝えで伝わってきた入浴時の唱え歌が「へてか へねかめ かめかめ かめか かめの おのたま おちょりこ ちょりこ すっぽんかいの てきてきとんぼ こうとんぼ はりまの べっとう ちょうざえもん」だそうです。村松さんは長野県出身、その地域で伝わってきたわらべうたなのか、おかあさんのご実家だけで伝わってきたのか、節回しも今では詳細がわからないとのことです。お風呂に温まってこれを3回唱えるという習慣が、村松家で長く続いてきたことに宮川さんは「子どものときに毎日となえて、もらいこんできたことばは、あしたをいい日にする力をわきたたせてくれるのではないでしょうか。」と思ったと、あとがき(2018年秋)に書いてあります。ましませつこさんの明るく柔らかな絵が、祖母と孫の優しい時間を包み込んでくれているようです。

 

 

『おうさまのこどもたち』三浦太郎/作 偕成社 2019/11(出版社サイト→こちら

ある国の王様には10人のこどもがいました。ある日王様は自分を継ぐ者を決めるため、こども達に町へ出て人々の暮らしをよく見てくるようにと伝えます。それぞれのこどもは、自分が好きなことをして生きていくことを決めます。例えば花が好きな子は花屋に、乗り物が好きな子はメカニックに、歌が好きな子はアイドル歌手にというように。10番目の末っ子だけはなりたいものが見つからず「みんなが安心して暮らしていけたらいいな」と願っていました。王様は10番目の子に王位を譲り、兄弟姉妹が得意なことを活かしてこの国を豊かにしていくというお話です。昔話のテーマのようですが、今のこどもたちに共感できる職業が出てくるので、小さな子でも理解できるでしょう。三浦太郎さんらしい明るくポップにデザインされた絵も、楽しい絵本です。

 

 

『おばけのジョージー こまどりをたすける』ロバート・ブライト/作 こみやゆう/訳 好学社  2019/11/22 (出版社サイト→こちら

ちいさなおばけのジョージーはホイッティカーさんちのやねうらに住んでいます。優しい心の持ち主のジョージーは、庭の木の枝先にこまどりが巣を作ったのを見て、卵が落ちてしまわないか心配をします。風の強いある夜のこと、ジョージーはホイッティカーさんの帽子で落ちてきた卵を受け止めて、やねうらで保護をします。ホイッティカーさんは、お気に入りの帽子が無くなりこまってしまうのですが、帽子の中でこまどりの赤ちゃんが孵っているのを知って驚きます。ジョージーのともだちのねこやねずみも愛らしい小さな子も楽しめる絵本です。

 

 

 

 

『ちいさなタグボートのバラード』ヨシフ・ブロツキー/詩 イーゴリ・オレイニコフ/絵 沼野恭子/訳 東京外語語大学出版会 2019/11/29(出版社サイト→こちら

2018年に国際アンデルセン賞画家賞を受賞したロシアのイーゴリ・オレイニコフさんの絵本が、翻訳出版されました。1987年にノーベル文学賞を受賞した詩人ヨシフ・ブロツキーが子どもたちのために書いたちいさなタグボートを主人公にした物語に、オレイニコフが美しい絵を描いています。小さなタグボートは、港の中で外国航路の大型船を曳航しながら、まだ行ったことのない異国へ思いを馳せます。それでも自分の持ち場はここであると言い聞かせ、愚直に同じことを繰り返していく。この詩はブロツキーが1962年にソ連の児童向け雑誌『Костер(たき火)』に発表した詩人としてのデビュー作で、イデオロギーの締め付けの厳しかったソ連時代の作品だそうです。そうした背景を知って読むと、さらにこの物語には深い意味があることがわかってきます。おとなはこの物語を深く味わい、こどもは小さなタグボートがいつも同じように活躍することに安心感を抱く。そんなさまざまな読み方が出来る作品です。

 

 

 

『うるさく、しずかに、ひそひそと』ロマナ・ロマニーシン、アンドリー・レシヴ/作 広松由希子/訳 河出書房新社 2019/10/30(出版社サイト→こちら

ウクライナの作家夫妻が手がけたこちらの絵本は、ブラティスラヴァ世界絵本原画展で2017年に金牌を受賞、2018年には下に紹介する『目で見てかんじて世界がみえてくる絵本』とともにボローニャ・ラガッツィ賞ノンフィクション部門の最優秀賞を受賞しました。この作品では、「聞こえる」ということがどういうことなのかを、多面的に分析し、それを視覚的に表しています。また、聞こえない人とのコミュニケーションについても手話についてページを割いて説明しています。(しかも日本語版では五十音の指文字になるなど細やかな配慮がなされています)
音や「聞く」ということをグラフィカルに表現しているその手法もとても面白く、小学生からYA世代、おとなまで広く楽しめると思います。翻訳者の広松由希子さんご自身が、ブラティスラヴァやボローニャでこのご夫妻の作品に目をとめてこられ、初邦訳に至ったことをカバー見返しに記していらっしゃいます。

 

 

 

『目で見てかんじて 世界がみえてくる絵本』ロマナ・ロマニーシン、アンドリー・レシヴ/作 広松由希子/訳 河出書房新社 2019/11/30(出版社サイト→こちら

上記の絵本と共にボローニャ・ラガッツィ賞ノンフィクション部門最優秀賞受賞したこちらの絵本は、目で見ること、視覚について、色の認識についてなど「見る」ということを、詳細に、しかし子どもでも理解できるようにグラフィカルに表現しています。編集者の方によると、「パントーンインク4色では足りず、色の三原色を表すために4色CMYKを足して8色を通したページがあります」とのこと。色について伝えるための贅沢な印刷であるということは、絵本を手に取ればわかると思います。色や、視覚についての科学的な知識から、目に見えないものをどう捉えるかという思索的なことまで、また目が見えない人のために点字についてもきちんと説明されており、小学生からYA世代、そしておとなまで一緒に楽しむことができるでしょう。

 

 

 

『せかいのくにでおめでとう!』野村たかあき/作 澤田治美(関西外国語大学教授)/監修 講談社 2019/11/26(出版社サイト→こちら

新しい年を迎えての挨拶のことば「しんねんあけましておめでとう」は、アメリカでは「Happy New Year!」、それではルーマニアでは?スペインでは?どこの国でも新しい年を喜び祝うことばがあります。ひとつの国につき見開き2ページを使って、世界14か国のお正月の様子と新年の挨拶を、版画で鮮やかに描いています。こうした作品を通して、子どもたちと一緒に世界へ目を向ける機会ができるとよいですね。

 

 

 

 

 

『ちいさいおうち』バージニア・リー・バートン/文と絵 石井桃子/訳 岩波書店 2019/11/27改版 (出版社サイト→こちら

ロングセラーの『ちいさいおうち』が、2001年の改版されて以来のリニューアルで、出版されました。原書の表紙のちいさいおうちの玄関の前に記されていた「HER-STORY」という文字が、これまでの日本語版では消されていましたが、今回はきちんと記されています。2017年に開催されたGalleryA4でのヴァージニア・リー・バートン展では、「HISTORYという歴史の概念は、男性だけが歴史を作る「His-story」ではなく、女性もまた歴史の主人公であるという彼女からのメッセージが記されている」(→こちら)とありましたが、日本語版にようやくそのことが反映されたと嬉しく思いました。またアメリカで出版された70th Anniversary Editionに掲載されたヴァージニアの息子Aris Demetrisの「母の思い出」の一文が松岡享子さんの翻訳で掲載されています。フォントも大きくなって読みやすくなっています。ロングセラーとして所蔵している館も、新版を入れて読み比べて見てほしいと思います。

 

 

『みずたまり』アデレイド・ホール/作 ロジャー・デュボアザン/絵 こみやゆう/訳 好学社 2019/12/3(出版社サイト→こちら

ある日、めんどりが大きなみずたまりをのぞき込んでびっくり。「コケ―ッ!まあ、たいへん!かわいいめんどりがみずのなかにおっこちてるわ!」そこであわてて七面鳥を呼んできますが、「ちがう!おっこちてるのは、りっぱな七面鳥だ」という具合で、次々に動物たちを呼んでくるのですが、そのたびに大騒ぎになります。でも、太陽の陽射しでみずたまりはいつのまにか乾いてしまい、みんなホッと一安心という、なんともユーモラスなおはなしです。デュボアザンの描く動物たちの表情もまた愉快です。『おばけのジョージー こまどりをたすける』と同様にこみやゆうさんの訳も、とても読みやすいです。

 

 

『父さんがかえる日まで』モーリス・センダック/作 アーサー・ビナード/訳 偕成社 2019/12 (出版社サイト→こちら

この作品はモーリス・センダックが1981年に発表した「OUTSIDE OVER THERE」を、1983年に福音館書店から脇明子さんの翻訳で出版された『まどのそとのそのまたむこう』(品切れ)の改訳新版で、偕成社から出版されました。『まどのそとのそのまたむこう』については福音館書店のサイト「ふくふく本棚」に小風さちさんがエッセイを書いていらっしゃいます。(「命がけのお話」→こちら)福音館書店版が出た時も、この作品が描かんとすることを、どう理解すればいいのか、話題になったものです。アーサー・ビナードさんの翻訳は、脇明子さんの翻訳と比べると、脇さんが原書に忠実に翻訳しているのに対して(56行)、今の子どもたちが物語を読み解けるように、原書には無いことばが、かなり足されています(78行)。タイトルも脇さんが原書に忠実なのに対して、物語の最後に登場する父親からの手紙の一節から『父さんがかえる日まで』と付けられており、ここにも翻訳者の意図するものが見えてくるようです。詩人であるアーサー・ビナードさんが、この作品から何を汲み取ろうとされていたのか、残念ながら出版記念トークに参加できず伺えないままですが、機会があれば確かめてみたいと思います。原書「OUTSIDE OVER THERE」と、ぜひ読み比べてしてみてください。翻訳とは何かを考えることができて、面白いです。

 

 

(作成K・J)

基本図書を読む21『たのしいムーミン一家』トーベ・ヤンソン(再掲載)


この記事は2015年12月28日に公開したものを再掲載しています。

2015年時点では、まだオープンしていなかった飯能市のムーミンのテーマパーク「ムーミンバレーパーク」がmetsa villageの中に2019年3月にオープンしました。(詳しい情報は⇒こちらたびこふれ)ムーミン好きな人にはたまらないようです。

 

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テレビのアニメ番組も放映され多くの人に親しみを持たれているフィンランドの作家、トーベ・ヤンソンの「ムーミン」シリーズ。(日本では講談社より出版)2014年はトーベ・ヤンソン生誕100周年にあたり、今年は「ムーミン」シリーズの第1作『小さなトロールと大きな洪水』(冨原眞弓/訳 講談社 1992年)が1945年に書かれて70周年ということで、2014年~2015年にかけて全国各地で「ムーミン展」が行われました。

今回は、一連の作品の中で初めて英訳され、フィンランド以外の国で人気を博した作品、『たのしいムーミン一家』(原作1948年/ 日本版 山室静/訳 講談社 1968年)を紹介します。

新装版 たのしいムーミン一家 (講談社文庫)
トーベ・ヤンソン
講談社
2011-04-15
 
 
 
 
たのしいムーミン一家 (1978年) (講談社文庫)
トーベ ヤンソン
講談社
1978-04
 
 
 
 
たのしいムーミン一家 復刻版
トーベ・ヤンソン
講談社
2015-07-30

 

プロローグはムーミン谷に初雪が降ってくるところ。寒い北国にあるムーミン谷では11月にはみんな冬眠に入ってしまうのです。そしてある春の朝、早くにムーミントロールは長い眠りから目を覚まします。そして、隣に寝ていたはずのスナフキンが居ないことに気がついて、飛び起きるのでした。

冬眠から目覚めたムーミントロールとスナフキンは、友達のスニフを誘って山の方へ散歩に出かけます。そこで見つけたのは真っ黒なシルクハット。3人はこの帽子がどんな騒動を起こすかも知らずに家に持ち帰りました。それは、飛行おに(世界のはての高い山に住む魔物、第5章でスナフキンが語っている)が落とした不思議な力を持った帽子で、帽子の中に何かが入るとたちまち別のものに変身させてしまうのです。その帽子をめぐって、ムーミン谷では夏の間中、不思議なことが次々起こっていきます。個性豊かな登場人物たちが繰り広げるエピソードは、ユーモアがあって、ドキドキすることがあって、ぐいぐいと引き込まれてあっという間に読んでしまうことでしょう。

トーベ・ヤンソンは、この作品の前2作、『小さなトロールと大きな洪水』(原作1945年/  冨原眞弓/訳 1992年)、『ムーミン谷の彗星』(原作1946年/ 下村隆一/訳 1969年)では、戦争の暗い体験をベースに襲い来る自然の恐怖を描き、その中で家族の結びつきの大切さをテーマに書いていました。第3作めにあたる『たのしいムーミン一家』では、ムーミン谷の美しい自然の中で仲間たちがお互いを許容しあい、助け合う姿を描き、子どもたちにとって身近に感じられる作品として仕上げました。

この作品は英訳されイギリスを始め、多くの国で人気を博します。その後、「ムーミン」シリーズは、『ムーミンパパの思い出』(原作1950年/  小野寺百合子/訳 1969年)、『ムーミン谷の夏まつり』(原作1954年/ 下村隆一/訳 1968年)、『ムーミン谷の冬』(原作1957年/  山室静/訳 1969年)、『ムーミン谷の仲間たち』(原作1962年/ 山室静/訳 1969年)、『ムーミンパパ海へいく』(原作1965年/ 小野寺百合子/訳 1968年)、『ムーミン谷の十一月』(原作1970年/ 鈴木徹郎/訳 1977年)(注・日本での出版年は講談社トーベ・ヤンソン全集の初出版年にしています)と続きます。フィンランドの豊かな自然を背景に、ムーミン谷に生きる仲間たちを愛情たっぷりに描いたシリーズは全世界で愛され、1966年には児童文学界のノーベル賞といわれる国際アンデルセン賞作家賞をIBBY(国際児童図書評議会)より授与されています。また人生哲学のようなことばが作品の中に散りばめられており、大人たちの間にも根強いファンが多いのも特徴です。

ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソン
トゥーラ カルヤライネン
河出書房新社
2014-09-25

 

昨年、出版されたトーベ・ヤンソンの評伝『ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソン』(トゥーラ・カルヤライネン/著 セルボ貴子・五十嵐淳/訳 河出書房新社)には、トーベ・ヤンソンの両親の出会いから始まり、幼少期から彼女の創作に影響を与えたさまざまな出会いや別れ、出来事などが整理しつつ詳述されており、トーベ・ヤンソンその人の残した作品について深く知ることができます。

もう1冊、『小さいトロールと大きな洪水』を翻訳した冨原眞弓氏が実際に交流のあったトーベ・ヤンソンの実像に迫った『ムーミンを生んだ芸術家トーヴェ・ヤンソン』(芸術新潮編集部 新潮社)も昨年出版されました。こちらも合わせてぜひ読んでみてください。

ムーミンを生んだ芸術家 トーヴェ・ヤンソン
冨原 眞弓
新潮社
2014-04-16
 
 
 

ところで今年6月に飯能市にムーミンのテーマパークが2017年に出来るというニュースが流れたことを記憶されている方もいるでしょう。飯能市にある宮沢湖畔に民間会社がオープンさせる「Metsa」(メッツァ フィンランド語で森を意味する)というテーマパークです。

あけぼの子どもの森公園実は、飯能市にはもうひとつ市が運営する「ムーミン公園」として親しまれている「トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園」があります。こちらは横浜市にある村山建築設計事務所が園内のムーミン屋敷や森の家などを設計しました。1997年のオープン当時、この事務所に勤めていた大学の先輩に、フィンランドのトーベ・ヤンソンさんと公園や建物のコンセプトについてやり取りをしていたことを聞かされていました。訪れる人の想像力をかきたててくれる公園です。また園内の森あけぼの子どもの森公園2の家の2階は小さな図書室になっています。機会があればぜひ訪れてみてほしい場所です。(画像は2011年秋にあけぼの子どもの森公園に訪れた時に撮影したものです。)
(作成K・J)

2月のおはなし会☆おすすめ本リスト


2月のおはなし会やブックトーク、特集展示などで使える本のリストを更新しました。

この1年間に出た新刊や、見落としていた本も追加しています。

 

雪、節分、鬼、バレンタインデーなどのテーマでのリストアップ。ぜひ業務に役立ててください。

 

 

 

2月のおはなし会おすすめ本リスト2020

 

(作成K・J)

おすすめの幼年童話32『クリスマスの女の子』ルーマー・ゴッテン


 今回は、クリスマスの季節に読んでもらいたい『クリスマスの女の子』(ルーマー・ゴッテン作 久滋美貴訳 たかおかゆうこ絵 徳間書店)を紹介します。
(1989年に福武書店から刊行された『四つの人形のお話1 クリスマスの女の子』の訳に、多少の見直しを加え、絵を新たに復刊したものです。)

 

 

 ホリー(ヒイラギのこと)という名のお人形と、アイビー(ツタのこと)という名の6歳の女の子のお話です。実はこの名前は、有名な讃美歌”The Holly and the Ivy”(ヒイラギとツタ)からとられたものです。

 ホリーは、ヒイラギの実のような赤いふくをきて、赤いくつをはいているクリスマス人形です。おもちゃやさんのショーウィンドウで、クリスマスに男の子か女の子がもらえるのを待っていました。(人形の側からみると、そういうことになります。人形は、子どもたちが遊んでくれるまでは、本当の命がないので、とても大切なことなのです。)
 一方アイビーは、みなし子で自分の家がありませんでした。さみしい気持ちを抱えていましたが、自分の運命を嘆いたり、めそめそしたりしない頼もしい子です。クリスマスに乳児院に行かされるのが嫌で、いるはずのないおばあさんを探して、知らない町に降り立ちます。そして、おもちゃやさんのショーウィンドウに飾られていたホリーを見つけるのです。ホリーとアイビーが出会ったとき、お互いは魅かれあいます。「あたしのクリスマスのお人形だわ!」「あたしの、クリスマスの女の子だわ!」
 二人の間はガラスでしきられていますし、アイビーにはホリーを買うお金はありません。けれども二人は、願いがかなうと信じて強く祈ります。ひたすら祈ります。そして、クリスマスの奇跡は起こるのです。

 無力なようで、しっかりとした意志をもち、信じて祈りつづける二人の姿に、読み手も願いがかなうよう祈らずにいられなくなります。また、仕事を任せてもらえて嬉しかったのに鍵を失くしてしまうピーターや、子どもはいないけれどもクリスマスツリーをかざらすにはいられないジョーンズさんのおくさんなど、ホリーとアイビーの奇跡にかかわる人たちの気持ちも丁寧に描かれています。

 主人公だけではなく、それぞれの登場人物の状況が描かれているので、読みはじめたばかりの子は少し難しいかもしれません。けれども、それぞれの物語がつながって小さな奇跡が起こったとき、醍醐味を味わえると思います。

 この作品は「四つの人形のお話」というシリーズになっていて、他に『ポケットのなかのジェーン』(フルーデンス・ソワードさし絵)『ゆうえんちのわたあめちゃん』(フルーデンス・ソワードさし絵)『ふしぎなようせい人形』(たかおゆうこさし絵)があります。いずれも人形と子どもたちをあたたかく描いたもので、親しみやすい内容となっています。

 著者のルーマー・ゴッテンは、1907年イギリス生まれで、子ども時代の大半をインドで過ごしています。大人向け、子ども向けに、長編小説、短編小説、戯曲、詩など多岐にわたって、作品を描いています。

 また「クリスマスの女の子」は、『クリスマス人形のねがい』(ルーマー・ゴッテン文 バーバラ・クーニー絵 掛川恭子訳 岩波書店 2001)という絵本にもなっています。画家は、2度コールデコット賞を受賞したバーバラ・クーニーで、クリスマスカラーが美しい、優しい絵になっています。物語は変わりませんので、絵本からおすすめしてもよいでしょう。

クリスマス人形のねがい (大型絵本)
ルーマー ゴッデン
岩波書店
2001-11-12

 

 

優しい気持ちになれるクリスマスの物語、ぜひ手渡してあげてください。

(作成 T.I)

 

2020年1月(その2)晴れ着をきて(幼児~小学生)


新年には、下着からすべて新調し晴れ着をきて家族でお祝いをするという習慣は、日本だけでなく韓国でも同じなのだそうです。
今でも丁寧にその習慣を守っている家庭もあれば、厳密にそこまでやってないというところも多いでしょう。(ちなみに私の家では、海外での生活が長くなるにつれ簡略化していきました。)

今回、紹介する絵本は韓国の絵本『ソルビム』です。新年に美しい晴れ着を着る子どもの表情のなんと嬉しそうなことか。絵本を通してお互いの国を理解し合うきっかけになれればとも思います。

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【晴れ着をきて】

導入 「ありがたいなぁ おしょうがつ」矢崎節夫(『矢崎節夫童謡集 きらり きーん』JULA出版局 より) 1分

きらり きーん―矢崎節夫童謡集 (JULAの童謡集シリーズ)
矢崎 節夫
JULA出版局
2016-03-01
 
 

 

「いちねんかけて ぐるーん
 たいようの まわりを
 まわって きたんだ
 たいへんだったね おしょうがつ
 おめでとうございます」  (一部引用)

 

絵本『ソルビム』ペ・ヒョンジュ/作・絵 ピョン・キジャ/訳 らんか社 2007 4分半

ソルビム―お正月の晴れ着
ペ ヒョンジュ
セーラー出版(*2013年にセーラー出版はらんか社に商号変更)
2007-01
 
 
 
 
お正月に新調するチマ・チョゴリや、その上に着る外套や装飾品などを合わせて「ソルビム」と呼びます。この晴れ着は母親が我が子への愛情を込めてひと針ひと針刺繍を施してあるそうです。それをひとつひとつ身に付けていく様子が描かれている絵本ですが、新しい年を迎えた子どもの喜びが隅々に溢れています。2019年は政治の世界ではお隣の国との難しい問題が表面化しましたが、国民同士は隣人として理解し合えると思います。巻末に詳しい解説が載っていますが、韓国でもお正月にはお雑煮を食べてお祝いするなど、風習も似ています。そんなことをかいつまんで教えてあげてください。また男の子の着る晴れ着について描いた『ソルビム2』も合わせて紹介するとよいでしょう。
 
 
素話「ねずみじょうど」『子どもに語る日本の昔話3』(稲田和子・筒井頼子/再話 こぐま社 1996)より 7分

子どもに語る 日本の昔話〈3〉
稲田 和子
こぐま社
1996-07-01
 
 
 
 
干支の子年にちなんでねずみが出てくる素話をひとつ選びました。『おはなしのろうそく3』にも、同じ昔話が収録されています。それぞれの再話に違いがあります。こぐま社の再話では、おじいさんが黒豆、白豆、おむすびの順でねずみの穴に落とします。その度「黒豆つんばい ちゃかつんばい ぽーつぽつ」と穴から歌が聞こえてきます。『おはなしのろうそく3』にはないやりとりです。またねずみの国でのうたも、それぞれ違っています。覚えやすいほうで覚えるとよいでしょう。
こぐま社「ここはよいとこ ねずみの浄土 ねこさえいなけりゃ この世は極楽 スットカン スットカン 百になっても 二百になっても ニャンコの声は聞きたくねえ 孫ひこやしゃご 末の末まで ニャンコの声は聞きたくねえ」
おはなしのろうそく「ねずみのじょうど ねこさえいなけりゃ このよはごくらく とんとん まごひこやさご すえのすえまで ねこのこえ きくめえ とんとん」
 
 
 
絵本『はつてんじん』川端誠/作 クレヨンハウス 1996 5分半

落語絵本 三 はつてんじん (落語絵本 (3))
川端 誠
クレヨンハウス
1996-12-01
 
 
 
 
落語絵本です。新年はじめて天満宮にお参りにいくことを「初天神」というそうです。そこへ連れ立って出かけた親子の会話が、軽妙で愉快です。昔はお正月と言えば凧揚げでしたが、今は凧揚げも町中では見かけなくなりましたね。面白くテンポよく読みましょう。
 
 
絵本『どんぶらどんぶら七福神』みきつきみ/作 こぐま社 2011 2分半

みき つきみ
こぐま社
2011-11
 
 
 
新しい年のみなさんの幸せを寿ぐ七福神。数え歌になっていて、リズミカルに読むことができます。 
 
 
わらべうた さよならあんころもち
 
(作成K・J)
 

基本図書を読む20『がんばれヘンリーくん』ベバリイ・クリアリー(再掲載)


 
2015年11月30日に公開された記事の再掲載です。
 
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 「ゆかいなヘンリーくん」シリーズは、1950年に第1作『がんばれヘンリーくん』が出版されて以来、60年以上子どもたちが親しんでいる全14巻のシリーズです。作者ベバリイ・クリアリーは、アメリカのオレゴン州で生まれ、大学で図書館学を勉強したあと、児童図書館員として働きました。そして長年子どもたちに本を手渡すなかで、ふつうの子どもたちの生活をえがいたゆかいな物語が少ないと感じていたクリアリーは、普段子どもたちに接してきた豊富な経験を生かして、『がんばれヘンリーくん』を書きあげます。この作品はたちまち子どもたちの人気を集め、主人公はヘンリーくんの友達ビーザスの妹ラモーナへとバトンタッチしていきますが、約半世紀にわたってこの一連のシリーズは書き続けられることになります。
 
 第1作目『がんばれヘンリーくん』は、オレゴン州クリッキタット通りに住む小学校3年生のヘンリー・ハギンズの毎日が書かれています。街角でやせこけた犬を見つけたので、バスに乗せて家まで連れて帰ろうとしたら大騒ぎになったこと、ペットショップでグッピーをひとつがい買ったら、何百匹にも増えてしまい世話が大変になったこと、友達の大切なボールを失くしてしまい弁償するために、釣りの餌に使うミミズを1319匹つかまえたことなど、ヘンリーくんの周りでおこるちょっとした事件をユーモラスに描いています。この本を手にとる子どもたちも、自分と同じ年ごろのヘンリーくんのゆかいな事件を読んでいくうちに、クリキタット通りで起こることが身近に感じるようで、笑いながら読んでいました。
 
がんばれヘンリーくん (ゆかいなヘンリーくん 1)
ベバリイ クリアリー
学習研究社
2007-06-15

 

 

 シリーズ後半の主人公ラモーナは、初登場は3歳くらいで、好奇心いっぱいのやんちゃな女の子でしたが、最後の巻では親友に出会ったり気になる男の子ができたりと、思春期の入り口にさしかかります。何をするかわからないラモーナが起こす事件もおもしろく愉快ですが、シリーズを通して成長していく様子がみられるのも魅力的です。10歳の誕生日を迎えたラモーナは、こう叫びます。

「あたし、おとなになる可能性をもってるんだからねーっ!」 (『ラモーナ、明日へ』P284)

 泣いたり笑ったり、存分に子ども時代を生きて、明日へ向かっていく姿は力強く、読んでいるこちらも励まされます。

ラモーナ、明日へ
ベバリイ クリアリー
学習研究社
2006-01

 

 

 訳者である松岡享子氏は、アメリカで児童図書館員として働きはじめたときにヘンリーくんに出会ったそうですが、『がんばれヘンリーくん』のあとがきで次のように書いています。

「図書館では、よく読まれる本は、複本といって、同じ本を何冊もそろえるのですが、ヘンリーくんのシリーズの本は、複本がたくさん用意されていました。のちにわたしが配属された小さな街中の分館にも、ヘンリーくんの本は複本でそろえてありました。そして、それらの本は、棚の上でゆっくり休んでいる暇はありませんでした。つぎからつぎへと借り出されていったからです。子どもたちに負けずに、私もつぎつぎにこのシリーズを読みました。夜、アパートの古い安楽いすにからだを沈めてページをくりながら、何度声をたてて笑ったことでしょう!  図書館へやってくる子どもたちと少しも違わない、元気で、くったくのない子どもたちが、本のなかからもわたしに話かけ、わたしをクリッキタット通りの住民にしてくれました。」(『がんばれヘンリーくん』 P226 )

 劇で変な役をしたくなかったり、お姉さんと比べられて嫌だったり、誕生日が楽しみだったり、ごく当たり前の生活の中で、ヘンリーくん、ビーザス、ラモーナがしていることは、今の子どもたちも同じように嬉しかったり悩んだりしていることでしょう。そんな自分と同じような気持ちになる物語を読んで大笑いすることは、スカッとしますし元気になれると思います。読んで愉快、親しみがわいてあたたかい、めいっぱい味わってほしいシリーズです。改訂新版は、版型は小さくなっていますが活字は大きく読みやすくなっています。ぜひ、シリーズの中に出てくるおもしろい事件を紹介して、ヘンリーくんたちに出会うきっかけを作ってあげてください。

≪ゆかいなヘンリーくんシリーズ≫ ベバリィー・クリアリー作 松岡享子訳

第1巻『がんばれヘンリーくん』 改訂新版 2007, 第2巻『ヘンリーくんとアバラー』 改訂新版 2007, 第3巻『ヘンリーくんとビーザス』 改訂新版 2009, 第4巻『ビーザスといたずらラモーナ』 改訂新版 2009, 第5巻『ヘンリーくんと新聞配達』 改訂新版 2013, 第6巻『ヘンリーくんと秘密クラブ』 改訂新版 2013, 第7巻『アバラーのぼうけん』 改訂新版 改訂新版 2008, 第8巻『ラモーナは豆台風』 改訂新版 2012, 第9巻『ゆうかんな女の子ラモーナ』 改訂新版 2013, 第10巻『ラモーナとおとうさん』 改訂新版 2001, 第11巻『ラモーナとおかあさん』 改訂新版 2001, 第12巻『ラモーナ、八歳になる』 2001, 第13巻『ラモーナとあたらしい家族』 2002, 第14巻『ラモーナ、明日へ』 2006

(作成 T.S)

 

「JBBY希望プロジェクト」学びの会2019 ・第3回 のご案内


「JBBY希望プロジェクト」学びの会2019 ・第3回 についてご案内します。

(自己啓発(自己研鑽)のための研修としてご案内しています)

「JBBY希望プロジェクト」とは、日本中でさまざまな困難に直面している子どもたちに目を向け、本の力で希望ある未来を届けようというプロジェクトです。支援が必要な子どもたちのいる場所に本を贈ったり、ワークショップを行ったりしています。学びの会は、子どもたちを支える現場で活動している専門家の方々のお話を伺い、どのような活動ができるのか考えていくための勉強会として開催されています。

 2019年第3回は、NPO法人こどもソーシャルワークセンター代表の幸重忠孝(ゆきしげただたか)さんが、「今、必要とされるまちの子どもソーシャルワーク―貧困・虐待・いじめ、居場所を求める子どもたち―」という演題でお話されます。困難を抱える子どもたちを支えるために、何ができるのか考える貴重な機会です。関心のある方はぜひご参加ください。

(申込方法など詳細はJBBYのWebサイト→こちらをご覧ください)

 

 

 

<日時> 2019年12月14日(土)14:00-16:00(13:30開場)

<会場> 出版クラブビル 3階ホール(東京都千代田区神田神保町1-32)

<講師> 幸重忠孝さん(NPO法人こどもソーシャルワークセンター代表)

<対象> 大人(中学生以上可)

<参加費> 1.000円(中高生無料)

(作成 T.I)

2020年1月(その1)ねーずみねーずみ(小さい子)


秋も深まり、オフィス近くの東大キャンパスもようやく銀杏が色づいてきました。季節は晩秋へと移ろっています。

さて、2020年の干支はねずみです。家ねずみはきらわれてしまっていますが、同じねずみ目のハムスターやモルモットなどは可愛らしいとしてペットになっています。その差はなんなんでしょう。

それはともかく2020年1がつのおはなし会プランは、ねずみの絵本をいれて組み立ててみました。

(なお、このおはなし会プランに掲載しているわらべうたの楽譜は、中国地方で育ったK・Jが覚えているわらべうたを採譜したものです。市販のわらべうたの楽譜とは音程や、速度、ことば使いが違う場合があります。予め、ご了承ください。)

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【ねーずみねーずみ】

導入 わらべうた このこどこのこ

 

 

 

 

お子さんを愛おしむようにそっと抱いて、おとうさん、おかあさんが左右にそっと揺れます。「〇〇ちゃん」というところで、わが子の名前を読んでぎゅーっと抱きしめます。繰り返し2~3回やるとよいでしょう。

 

わらべうた てってのねずみ

 

 

 

 

こどもの手をとって、人差し指と中指を交互に動かしながら腕を少しずつ登っていきます。最後はわきの下をこちょこちょして遊びます。

 

絵本『ねーずみねーずみどーこいきゃ』こがようこ/構成・文 降矢なな/絵 童心社 2018 1分

 

 

わらべうた「ねーずみねずみ」を題材にした絵本です。ねずみだけでなく、うさぎやこぐまもおかあさんが待つ巣へ一直線。そして女の子もおかあさんのもとへ飛び込みます。やっぱりおかあさんのそばは安心できますね。

 

 

わらべうた  ねーずみねずみ

 

 

 

 

 

「ねーずみねーずみどーこいきゃ」と歌いながら、指で体のあちこちをつついていきます。「わがすにとびこんだ」というところで、首元をこちょこちょします。
 
 

いっぴきちゅー

 

 

 

 

このわらべうたには、2番、3番があります。
2番 にひきちゅー もとにもどって さんびきちゅー
3番 さんびきちゅー もとにもどって いっぴきちゅー
ねずみの指人形を使って、一匹、二匹、三匹と出して遊ぶこともありますが、赤ちゃんと遊ぶときは、「いっぴき」では一本の指で、「にひき」では日本の指で、「さんびき」では三本の指で、赤ちゃんの身体をつついて遊ぶとよいでしょう。

 

 

絵本『だれのあしあと』ふくだとしお/作 大日本図書 2008 1分20秒

だれのあしあと
accototo
大日本図書
2008-10-01
 
 
一面の雪の原をねずみの子があしあとをつけながら歩いていると・・・次々違う足跡が。きつね、にわとり、ぶた、そしてうさぎ。みんなあしあとが違うんですね。最後はみんなであったかいスープを召し上がれ!シンプルですが、楽しい絵本です。
 
 
 
わらべうた あめこんこん
 
 
 
 
 
 
 
 
子どもをお膝にのせてすっぽり腕で抱きしめます。そしてそおっと揺れながら、ゆっくり「あめこんこん」を歌いましょう。
 
 
 
絵本『ぐるぐるちゃんとふわふわちゃん』長江青/文・絵 福音館書店 2013 1分10秒

 

こちらの絵本は、ねずみではなくりすとうさぎが登場します。森に雪が積もりました。りすのぐるぐるちゃんにとって初めての雪です。うさぎのふわふわちゃんに出会うと、一緒に雪遊びを楽しみました。小さな子どもたちにぴったりの絵本です。

 

わらべうた さよならあんころもち

 

(作成K・J)

2019年度第4回児童部会報告


11月15 日(金)に2019 年度第4 回児童部会を開催しました。11名が出席しました。(部員8名、事務局3名)

今回は「学びの時間」「情報共有の時間」「語りの時間」の3つの活動と、ヴィアックスのICT研究部会によるプログラミング体験会が行われました。

 

「学びの時間」では、「取り組みをふりかえって」をテーマに、座談会を行いました。それぞれの取り組みの概要を紹介しながら、工夫した点や良かった点、反省点などを話し合いました。

 

「情報共有の時間」では、2名が発表しました。以下、発表された取り組みです。

・「わくわくえほんタイム」中野区立江古田図書館

・「定期おはなし会プログラムと好評だったわらべうた・手遊び」所沢図書館所沢分館

 

「語りの時間」では、2名がお話を語りました。以下、語られたお話です。

・「ひとり、ふたり、さんにんのこども」(『おはなしのろうそく26』 東京子ども図書館編 東京子ども図書館 2006)

・「いぬとにわとり」(『おはなしのろうそく31』 東京子ども図書館編 東京子ども図書館 2016)

 

 ICT研究部会によるプログラミング体験会では、子ども向けのプログラミング講座を体験しました。体験会を楽しむと同時に、来年度から小学校で必修化されるプログラミングについて考えるよい機会となりました。ICT研究部会のみなさまと交流することもでき、図書館サービスについて考える仲間のつながりができました。

 

 

 

(作成T.I)

2019年9月、10月の新刊から


2019年9月、10月に出版された児童サービス向け出版物(絵本、児童書、ノンフィクション、YA向け、教育者・研究者向けなど)の中から、新刊作品を紹介します。(一部、見落としていた8月以前の新刊も含まれます)

 

ここに紹介している本は、実際に手にして読み終えた中から選んでいます。出版されたすべての新刊本を購入して読むことはできませんが、毎月、教文館ナルニア国の新刊本コーナー、クレヨンハウス新刊本コーナー、横浜日吉にあるともだち書店など、信頼できる児童書の目利きのいる書店にある本から選書し、購入し、読んで記事にしています。

 

(なお、画像はブログ用Amazonアフィリエイトを使用しています。書誌事項は奥付の出版年月日にしており、Amazon入荷日とちがって表示されることがあります。ご了承ください。)

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【絵本】

『めをとじてみえるのは』マック・バーネット/文 イザベル・アルスノー/絵 まつかわまゆみ/訳 評論社 2019/7/20

めを とじて みえるのは (評論社の児童図書館・絵本の部屋)
マック・バーネット
評論社
2019-07-10
 
もう寝る時間なのに、女の子は「どうしてうみはあおいの?」、「どうしてはっぱはいろがかわるの?」、「ふゆにむかうと、どうしてトリはみなみにとんでいっちゃうの?」と次々にパパに質問します。それにユーモアをもって答えていくパパ。「どうして、ねなくちゃいけないの?」という質問には、目を閉じてはじめて見える世界があることを、そっと伝えます。親子のおやすみ前の大切な時間、こんな風に過ごせるといいですね。
 
 
 

『レナレナ』ハリエット・ヴァン・レーク/作 野坂悦子/訳 朔北社 2019/7/20

レナレナ
ハリエット・ヴァン・レーク
朔北社
2019-07-01

オランダで最も権威のある子どもの本の賞であるGouden Griffel(金の石筆賞)を1987年に受賞した『レナレナ』という絵本が復刊されました。作者であるハリエット・ヴァン・レークのデビュー作でもあり、またオランダ語の児童文学や絵本の翻訳者である野坂悦子さんにとっても翻訳作品のデビュー作品です。見開き左ページにはコマ割りの絵、右ページには手書き文字でレナレナの不思議で面白い行動を淡々と記しています。華奢な線で描かれるレナレナのやることなすこと、奇妙に感じますが、思ったまま行動する幼子のようでもあり、ふっと肩の力が抜けてきます。YA世代におすすめです。

 

 

『ぼくはレモネードやさん』えいしましろう/作・絵 生活の医療社 2019/8/30

ぼくはレモネードやさん
えいしましろう
生活の医療
2019-08-3

この絵本の作者は2007年生まれの12歳の男の子です。3歳の時に脳腫瘍を発症、2度の手術、放射線治療、化学療法を受け、5歳で退院しています。その後もずっと通院を続けています。小学3年生の時に小児がんについて知ってもらうための活動(レモネードスタンドや、患児やきょうだい児、家族の交流会など)を始めます。この絵本も、小児がんになって入院生活を送る子どもたちのこと、退院して学校に通うようになっても、後遺症に悩まされている子どもたちがいることを知ってほしいと願って作られています。大変な治療が続く中でも友達と支え合いながら、ポジティブにそれを捉えている姿に、ほんとうの強さ、優しさとはなんだろうと考えさせられます。

 

 

『ぽっとんころころ どんぐり』いわさゆうこ/作 童心社 2019/8/30

ぽっとん ころころ どんぐり
いわさ ゆうこ
童心社
2019-09-03

前半ではくぬぎの木が春から秋への変化していく様子を描き、中盤ではさまざまな種類のどんぐりがあることを伝え、後半ではどんぐりが多くの野生動物の栄養源になっていることを、幼い子ども達にもわかりやすく教えてくれる絵本です。『きゃっきゃっキャベツ』、『つやっつやっなす』など、「どーんとやさい」シリーズと同じいわささんの新刊です。

 

 

『とんでいったふうせんは』ジェシー・オリベロス/文 ダナ・ウルエコッテ/絵 落合恵子/訳 絵本塾出版 2019/9

とんでいった ふうせんは
ジェシー・オリベロス
絵本塾出版
2019-09-24
 
おじいちゃんの記憶を風船にたとえて、老いについて考えさせてくれる絵本です。アメリカで2019年ゴールデン・カイト賞シュナイダー・ファミリーブック賞を受賞しています。孫の男の子は、おじいちゃんの昔の思い出話を聞くことが大好きでした。おじいちゃんは、その生きてきた時間を示すようにたくさんの風船を持っているのです。ところがある時から、その風船がその手を離れていってしまうことすら気づかず、しまいには何も残ってない。おじいちゃんが、記憶を無くすことに戸惑う息子に、両親はおじいちゃんの記憶はあなたが引き継いでいるのよと優しく諭すのです。人は必ず老いていきます。家族がそれを引き継ぐことで記憶が伝承されていく。そこに救いを感じました。
 
 

『くるまがいっぱい!』リチャード・スキャリー/作 木坂涼/訳 好学社 2019/9/2

くるまが いっぱい!
リチャード・スキャリー
好学社
2019-09-03

アメリカで初版1951年、1987年に改訂版が出版された作品の翻訳絵本です。「スキャリーおじさん」シリーズ(BL出版)で親しまれているスキャリーの絵本の特徴は、その鮮やかな色彩にあるといえます。描かれている車はどれも今ではクラッシックカーとなっていますが、乗っている人物の表情も豊かで、小さな子どもたちにとっては、車の絵本として楽しめるでしょう。

 

 

『おつきさまひとつずつ』長野ヒデ子/作 童心社 2019/9/5

 
実際にあった娘さんとのエピソードが絵本になりました。長野ヒデ子さんのお嬢さんと満月の夜に歩いていると、「お月さまがついてくる」と言ったお嬢さん。地球上のあちこちからお月さまが見えることを伝えると、それぞれの国にひとつずつお月さまがあると思い込んでいたそうです。そんな子どもらしい勘違いが可愛らしい作品です。(長野麻子さんは音楽学研究者。長野ヒデ子さんが絵を描いた絵本『すっすっはっはっ こ・きゅ・う』(童心社 2010)、『まんまんぱっ』(童心社 2016)があります)

 

 

『きょうのぼくはどこまでだってはしれるよ』荒井良二/作 NHK出版 2019/9/5

きょうのぼくはどこまでだってはしれるよ
荒井 良二
NHK出版
2019-09-05
 
愛馬あさやけに乗って男の子が駆けていきます。それは新しく生まれてくる命に、あるいはなにか新しいことを始める人にお祝いのことばを届けるためです。どんなに暗い夜にも必ず夜明けがやってくるように、あさやけの中で見る光景は希望の象徴でもあります。現実の世界では自然災害や、子どもたちへの虐待など暗いニュースが続きます。だからこそ荒井良二さんはあえてまばゆい光の世界を描いたのではないかと思います。それは子どもたちの未来が、光り輝くものであってほしい、そのために大人が今、何をすべきなのかと問いかけてくるようにも感じました。3年ぶりのオリジナル絵本です。

 

『すてきってなんだろう?』アントネッラ・カペッティ/文 メリッサ・カストリヨン/絵 あべけんじろう・あべなお/訳 きじとら出版 2019/9/15

すてきって なんだろう?
アントネッラ・カペッティ
きじとら出版
2019-09-01

板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催「いたばし国際絵本翻訳大賞〈イタリア語部門〉」の2018年第25回(→こちら)で、最優秀翻訳大賞を受賞した絵本がきじとら出版から出ました。「すてき」と声をかけられたいもむしが、「すてきってなんだろう?」とその意味を探して回ります。聞く相手ごとに「すてき」の意味が違っていて混乱するいもむしくん。こんな風に考える前は気楽だったのになあと思います。幼児期の子どもたちは、新しいことばを覚え、そのことばの意味がなんであるかを理解する過程で、具体的思考から抽象的思考へと思考能力を身に付けていきます。まさにそんな年代の子どもたちと一緒に楽しみたい絵本です。

 

『きみののぞみはなんですか?』五味太郎/作 アノニマスタジオ 2019/9/14

きみののぞみはなんですか?
五味太郎
アノニマ・スタジオ
2019-09-24

絵本作家歴46周年を迎えた五味太郎さんが「アートと哲学とユーモア」をコンセプトにしてつくられた、「くるみドイツ装」と呼ばれる装丁の詩画集のような絵本です。「ぞう・きみののぞみはなんですか?」、「ワニ・すきなのだれ?」、「つくえ・なにがすき?」、「家・なりたいもの なんですか?」と、五味さんが問いかける相手は、命有るものいれば、無いものも。その答えも五味さんらしく、ちょっと捻ってあって、面白い。文字の配置も凝っていて、アート作品として見ても楽しい本です。

 

 

『しろとくろ』きくちちき/作 講談社 2019/9/17

しろとくろ (講談社の創作絵本)
きくち ちき
講談社
2019-09-19
はじめて出会うものすべてに「なんで なんで」となんでも知りたがる好奇心旺盛な猫のしろ。そんな中で犬のくろと出会います。「まってまって いっしょにあそぼう」二匹はたがいに大好きな存在に。小さな子どもたちが、友達に会うのを心待ちにする、そんな気持ちが、画面から溢れています。11月10日まで武蔵野市立吉祥寺美術館で、この絵本の原画展(しろとくろ きくちちき絵本展→こちら)が開催されましたが、その原画展の図録には、犬のくろの立場から、しろとの出会いを喜ぶ『くろ』という絵本もついていました。両方読むと、さらに『しろとくろ』の世界観がぐっと迫ってきます。(きくちちきさんがビラティスラヴァ世界絵本原画展で金牌を受賞した記事→こちら

 

『たいこ』樋勝朋巳/文・絵 福音館書店 2019/10/5

たいこ (幼児絵本シリーズ)
樋勝朋巳
福音館書店
2019-10-02

きょうはマラカスのひ―クネクネさんのいちにちー』のくねくねさんが戻ってきました。くねくねさんが「トン トン トトトン トン トン トトトン」とたいこを叩いていると、次々にフワフワさんなど「なかまにいれて」とともだちがやってきます。みんなで仲良くたたいていると「うるさいぞー ガオーガオー」とかいじゅう。でも、かいじゅうもたいこを叩くと「ゴン ゴン ガオー」どんどん楽しくなってきて、みんなも戻ってきて、一緒に「トン ポコ ペタ ボン ガオー ゴン」と叩き始めます。読んでいる方もリズムに合わせて、楽しくなってきます。(そのほかのクネクネさんシリーズは『フワフワさんはけいとやさん』(2014)、『クネクネさんのいちにち きょうはパーティーのひ』(2017)があります。)

 

『やぎのグッドウィン』ドン・フリーマン/作 こみやゆう/訳 福音館書店 2019/10/10

やぎのグッドウィン (世界傑作絵本シリーズ)
ドン・フリーマン
福音館書店
2019-10-09
 
くまのコールテンくん』などの作者ドン・フリーマンが生前に出版したいと願っていたにも関わらず、出版できずにいた作品です。最終段階のダミー本を息子が発掘し、2017年に60年ぶりに新作として出版されました。実際にフリーマン夫妻が若いころに、やぎに絵の具をくちゃくちゃ噛まれてという体験をもとに着想されたお話は、とても愉快で、また最後はほんとうに大切なものは何なのかを気づかせてくれます。翻訳はこみやゆうさんです。
 

 

『おたんじょうびのおくりもの』むらやまけいこ/作 やまわきゆりこ/絵 教育画劇  2019/10/19(第2版)

おたんじょうびのおくりもの
村山桂子
教育画劇
2019-10-15

1984年に出版された絵本の第2版です。第1版は264mm×188mmでしたが、200mm×200mmと版型が変わっています。正方形になったことで、小さな子ども達には手になじみやすい形になっています。うさぎのぴょんぴょんは、ともだちのみみーに会いに行こうとして、今日がみみーの誕生日だったと思いだします。みみーへの贈り物にりんごがあったと思い出しますが、隠しておいたところを探してもみつかりません。やっとのことで、やぎのおじいさんが病気だと知ってあげてしまったことを思い出してがっかりするぴょんぴょん。そこへやぎのおばあさんがやってきて・・・ぴょんぴょんはりんごを雪の中に隠していました。冬に読んであげたい1冊です。

 

『図書館のふしぎな時間』福本友美子/作 たしろちさと/絵 玉川大学出版部 2019/10/20

図書館のふしぎな時間 (未来への記憶)
福本 友美子
玉川大学出版部
2019-10-12

上野にある国立国会図書館国際子ども図書館を訪れたことはありますか?この絵本は、長く公立図書館で司書をされ、その後児童書の翻訳(『としょかんライオン』(岩崎書店)、『ないしょのおともだち』(ほるぷ出版)など)をされている福本友美子さんのオリジナル作品です。2000年の国際子ども図書館オープンから8年間、非常勤調査員として展示会などに関わった経験をもとに書かれています。図書館で調べ物をするお母さんについてきた女の子が「子どものへや」で本を読んでいると、書架の間に本の妖精が現れて、図書館のなかを案内してくれることになります。女の子は、本の世界のひろがり、物語の力、図書館の役割を妖精との会話で改めて知っていきます。たしろちさとさんの絵も柔らかく、素敵です。

 

『くろはおうさま』メネナ・コティン/文 ロサナ・ファリア/絵 宇野和美/訳 THOUSANDS BOOKS  2019/10/25

くろは おうさま
メネナ・コティン
サウザンブックス社
2019-11-16
 
真っ黒な紙に絵とスペイン語の点字が浮き出るようにエンボス加工がされている絵本です。そこに広がっているのは、目の見えないトマスが感じている色の世界です。視覚に障害を持つ人が色をどのように捉えているのか、一緒に感じてほしいと思います。ベネズエラの作家と画家による作品で、メキシコで出版されました。2007年のボローニャ国際児童図書展ラガッツィ賞(ニューホライズン部門)と、2008年のニューヨークタイムズ・ベスト・イラスト賞を受賞しています。THOUSANDS BOOKSのクラウドファンディングで日本語に翻訳されました。日本語版が出る時に、別冊で日本語の点字シートもついています。
 
『ねこのオーランド― よるのおでかけ』キャスリーン・ヘイル/作 こみやゆう/訳 好学社 2019/10/25

ねこのオーランドー よるのおでかけ
キャスリーン・ヘイル
好学社
2019-10-23
ねこのオーランド―は、ご主人が読んでいる新聞記事に「サーカス‼世界で一番すばらしいライオンとトラの芸!!!」と書いてあるのを見て、こねこたちを連れてサーカスへ出かけていきます。ところがひょんなことから、オーランド―はサーカスの舞台の上に落っこちて、そのまま一緒になって芸をすることになってしまいます。つぎつぎに起こるドタバタ劇にお客さんはオーランドーをサーカスの一員だと思って大喝采。最後は同じ猫族として、ライオンやトラを一喝するオーランドーの姿も滑稽です。原作は1941年にイギリスで出版されています。この絵本も翻訳はこみやゆうさんです。
 
 
 

【児童書】

『貸出禁止の本をすくえ!』アラン・グラッツ/作 ないとうふみこ/訳 ほるぷ出版 2019/7/25

貸出禁止の本をすくえ!
アラン グラッツ
ほるぷ出版
2019-07-25

エイミー・アンは9歳。家は、2人の妹がいて、両親は長女の自分にばかり我慢を強いています。そんなエイミー・アンの居場所は学校の図書室だけです。ところがある日、大好きな『クローディアの秘密』が書架から消えているのです。司書のジョーンズさんは、ある保護者が小学校の図書室にふさわしくないという結論を出して、教育委員会もそれに同意したために貸出禁止になったというのです。そしてエイミー・アンに、教育委員会の会議で一緒に意見を言ってほしいと頼むのですが・・・人前でしゃべるのが苦手で、内気なエイミー・アンは本を救うために、自分の弱さに向き合い、なんとかそれを乗り越えていこうとします。クラスの中にひとり、またひとりと協力者が現れていき、エイミー・アンは自分の殻を打ち破っていきます。ひとつの価値観で子どもたちを縛り付けようとするおとなに、きちんと自分の想いを伝えることが出来た時、事態は大きく動いていきます。小学校中学年の子どもたちにぜひ読んでほしいなと思います。

 

『ヤナギ通りのおばけやしき』ルイス・スロボドキン/作 小宮由/訳 瑞雲舎 2019/9/1

ヤナギ通りのおばけやしき
ルイス スロボドキン
瑞雲舎
2019-08-14
 
原題は「TRICK OR TREAT」、ハロウィンがテーマの幼年童話です。(もっと早くに紹介できればよかった)ハロウィンの夜、ヤナギ通りに住む子どもたちは変装して通りの家々を「いたずらか、おかしか」と言ってまわり、お菓子をもらってきます。ところがその年のハロウィンの夜、通りの真ん中にある、みんながおばけやしきと呼んでいる、誰も住んでいないはずの家に明かりが灯っていました。リリーとビリーの姉弟がその家のドアをノックして「いたずらか、おかしか」と伝えると、出てきたおじいさんは「いたずらをあげる」と言うのです。ヤナギ通りの子どもたちが次々にやってきて・・・お菓子ではなく「いたずら」をくれるそのおじいさんの正体は?と、気になって一気に読めてしまう幼年童話です。ひとりで読み始めた子にぴったりの1冊です。
 

 

『菜の子ちゃんとマジムンの森』日本全国ふしぎ案内4 富安陽子/作 蒲原元/画 福音館書店 2019/10/10

ある日ふっと現れて、学校を不思議な空間に変えてまた去っていく「菜の子先生」の小学生の時のエピソードを集めた「日本全国ふしぎ案内」の4冊目です。今度の舞台は沖縄で、菜の子ちゃんは沖縄本島北部に広がる山原(やんばる)を舞台に、不思議なことが起こります。妖怪ブナガヤの落とし物をひろったユージと菜の子ちゃんは、それを届けに行って不思議な体験をします。赤と青のシーサーにのって山原の奥深くへ分け入り、今度はブナガヤに引っ張られて海の底へ。百年に一度のマジムン月の満月の夜に起きるキーヌーシー(樹齢百年の樹の精霊)の子どもたちの誕生をユージと菜の子ちゃんは目撃するのです。テンポよくお話が進んでいくので、読書が苦手な子でも楽しめる1冊となるでしょう。

 

 

『シノダ! 夢の森のティーパーティー』富安陽子/作 大庭賢哉/絵 偕成社 2019/10

夢の森のティーパーティー (シノダ!)
大庭 賢哉
偕成社
2019-09-18
 
 
 
人間のパパとキツネ族のママから生まれたユイ、タクミ、モエの5人家族の信田家の不思議な物語「シノダ!」の最新刊です。これでシリーズ11作目になります。ある日、ユイは不思議な夢を見ました。おばあちゃんと梅もぎをするのですが、熟した実を取っても、取っても手にした途端に萎んで黒くなってしまうのです。夢の中で転がった梅の実を追いかけてお菓子の家の手前の橋まで行ったところで目覚めました。また、次の日も同じ夢の続きを見てしまいます。今度は夢の中にタクミも出てくるのです。実はママの弟の夜叉丸おじさんの夢の中にふたりは引き込まれたのでした。夜叉丸おじさんとタクミは夢の中に閉じ込めようとする夢魔の策略に引っかかって動物の姿にされ、このままだと夢から覚めることが出来ないという大ピンチに、ユイが手にしたものは・・・現実の世界で無意識に目にしたものが夢に現れたり、さまざまな出来事が脈絡もなく繋がっていたりしますが、そんな不思議な夢の世界を冒険の舞台にし、読む者を引き込んでいきます。

 

『魔法のカクテル』ミヒャエル・エンデ/作 川西芙沙/訳 岩波少年文庫 岩波書店 2019/10/16

魔法のカクテル (岩波少年文庫 249)
ミヒャエル・エンデ
岩波書店
2019-10-17
 
1992年にハードカバーで出版(→こちら)されたエンデの作品の少年文庫版です。大晦日の夜、魔術師とその伯母である魔女は、「地の果ての闇」の大臣と契約した自然破壊、生物の絶滅を実行するために、どんな願いも叶うという「魔法のカクテル」作りに挑みます。動物最高評議会からスパイとして送り込まれた猫のマウリツィオとカラスのヤーコブは、ふたりの悪事を止めようと奮闘します。大晦日の夕方5時から始まって真夜中の12時まで、時計の針の動きに合わせて物語が進んでいきます。少年文庫版の解説はあさのあつこさん。「ユーモア、風刺、皮肉、高揚、冒険、窮地、魔法、悪魔、信頼、希望、未来への危惧、悲哀、笑い、どんでん返しにハッピーエンド。ともかく、あらゆるものが混ざり合っている。なのに、濁りもせず黒く固まりもせず、この世のどこにもない色を持つ物語のカクテル」と評しているように、『モモ』や『はてしない物語』を書いたエンデの、読み人を酔わせる力を持つ作品です。
 

【ノンフィクション】

『こども六法』山崎聡一郎/著 伊藤ハムスター/絵 弘文堂 2019/8/30

こども六法
山崎 聡一郎
弘文堂
2019-08-20

帯には「きみを強くする法律の本 いじめ、虐待に悩んでいるきみへ」と書かれています。法律は人々の行動を縛るものではなく、実は私たちの自由で安心な生活を守るものであるということを、法律になじみのない子どもたちにもわかりやすく説く解説書です。法律を学ぶことは、私たちの生活を守り、弱い立場にあるものを支えてくれる杖になるという明確なメッセージが伝わります。刑法、刑事訴訟法、少年法、民法、民事訴訟法、日本国憲法、そしていじめ防止対策推進法の7章からなり、イラスト入りの事例は子どもたちの生活に即したものになっています。

 

【その他】

『 翻訳者による海外文学ブックガイド BOOK  MARK』金原瑞人・三辺律子/編 CCCメディアハウス 2019/10/7

翻訳者による海外文学ブックガイド BOOKMARK
金原 瑞人
CCCメディアハウス
2019-09-28

 

「もっと海外文学を若い世代に読んでほしい」そのためには、海外文学のブックガイドが必要。そんな思いから「BOOK MARK」はフリーペーパーとして2015年秋に書店での配布が始まりました。(金原瑞人さんのオフィシャルサイト→こちら)そしてこの度、3年分のフリーペーパーが1冊のブックガイドとして出版されました。12のテーマで17冊ずつ、204作品が紹介されています。フリーペーパーのファンの人にも、嬉しい書籍化です。

(作成K・J)

1月のおはなし会☆おすすめ本リスト


1月のおはなし会や展示に使える本のリストを、この1年に新しく出た本も入れて更新しました。

2020年の干支のねずみの本をリストのトップにもってきています。東京子ども図書館刊の『絵本の庭へ』掲載本を中心に、それ以外にもおはなし会で使えるもの(うち2冊はひとりで読み始めた子向きの幼年童話)を36冊ピックアップしています。

新年に向けて干支の特集をする時に参考にしてください。

【改訂】1月のおはなし会おすすめ本リスト2020

 

(2019/11/19に改訂しました)

(作成K・J)

 

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