おすすめの幼年童話26『こうさぎのあいうえお』森山京


 今回は文字を覚えはじめた子にぴったりの『こうさぎのあいうえお』(森山京作 大社玲子絵 小峰書店 2009)を紹介します。

 

 

 こうさぎはお母さんに丁寧に教えてもらいながら、文字を覚えているところです。友達のきつねくん、りすくんも一緒に、「き」は「よこに二ほんひいて、つぎに うえから ななめに すっとおろして…」など、一文字ひともじ練習して、まずは自分の名前、そして友達の名前がわかるようになってきます。そして、「きつね」が書けるなら「つき」も書ける!と気がついたとき、3匹は月の下でとびはねて、文字にできることを喜びます。お話の最後には3びきは、お手紙を書いて、文字で自分の気持ちを伝えられるまでになります。どんどん文字の世界が広がっていく喜びや楽しさを、3びきと一緒になって味わうことができるお話です。

 主な登場人物は、こうさぎ、こうさぎのおかあさん、きつねくん、りすくんです。こうさぎのおかあさんはいつも3びきを優しく賢く見守っています。3びきのやりとりも楽しく、何をして遊ぶかでもめたりする様子は、今の子どもたちにそっくりです。子どもたちは、そんな3びきに親しみを感じながら、楽しんで読んでくれることでしょう。

 続編に『こうさぎのかるたつくり』があります。ずいぶん文字を覚えた3びきが、44文字のかるたの文と絵を自分たちで考えて作るのです。「あめふり まってる あたらしい かさ」、「すうすう ぐうぐう むにゃむにゃ ひるね」など、3びきの毎日から作られるかるたはとても楽しく、ほほえましいです。

 



 作者の森山京さんは『きいろいばけつ』『つりばしゆらゆら』などの「きつねのこシリーズ」で有名な日本の児童文学作家です。昨年お亡くなりになりましたが、子どもの気持ちによりそったやさしい物語はこれからも親しまれていくでしょう。(本のこまどの記事→こちら
 

(作成 T.I)