2020年2月、3月の新刊から(1)グレタ・トゥーンベリさんの本


暖冬で終わりそうな今シーズン。中国や韓国、そして日本やイタリアをはじめ多くの国では新型コロナウィルスの感染が広がっています。一方で東アフリカから中央アジアにかけてバッタが大量発生して数千万人の食糧供給が脅かされる状況になっています。これらは、インド洋ダイボールモード現象(インド洋の東部と西部で海水温の差が生じる現象)の影響だそうで、オーストリア東部に大きな被害をもたらした森林火災とも関連するということです。(参考記事→こちら)そしてこの現象も地球温暖化のひとつということです。

スウェーデンの少女グレタ・トゥーンベリさんが2018年から始めた《#気候のための学校ストライキ #SchoolStrukeForClimate》は、世界中に広がり2019年3月には《#未来のための金曜日 #FridayForFuture》として全世界に広がりました。2019年9月23日に行われた国連気候行動サミットでの彼女の演説は、利権を守るために行動に移さない大人たちへの痛烈な批判を、まっすぐな言葉で突きつけるものでした。

それをうけて、日本でもグレタ・トゥーンベリさんに関する本が年明けに相次いで翻訳、出版されました。他の新刊情報と分けて、3冊を紹介します。

その他の絵本、読み物などは何度かにわけて紹介していきます。お楽しみに!

(なお、画像は、各出版社の著作権許諾方針にしたがい、書影を利用しています。また、それぞれ出版社のサイトへのリンクを貼っています。値段などはそちらで確認ください。)

 

*******************************

【絵本】

『わたしたちの家が火事です 地球を救おうとよびかけるグレタ・トゥーンベリ』ジャネット・ウィンター/作 福本友美子/訳 すずき出版 2020/2/5 (出版社サイト⇒こちら

昨年9月にアメリカで出版された絵本です。翻訳者の福本友美子さんは、昨年11月に作者のジャネット・ウィンターさんとニューヨークで会ってこられました。ジャネットさんは80歳。これまでも『バスラの図書館員』(晶文社 2006)、『ワンガリの平和の木』(BL出版 2010)、『マララとイクバル パキスタンのゆうかんな子どもたち』(岩崎書店 2015)、『この計画はひみつです』(すずき出版 2018)などの作品が翻訳出版されています。福本さん曰く、ジャネットさんは小柄で物静かな方ですが、内なるパワーを秘めている方で「強い意志をもって何かを成し遂げた人を描きたい」と考えていらっしゃるとのこと。グレタさんが温暖化による森林火災を見て「Our House is on Fire!」(わたしたちの家が火事です!)と危惧し、そこから行動に移していったことをわかりやすく伝えてくれています。彼女がなぜ学校を休んでまで国会の前で座り込んだのか。彼女の小さな抗議が、どのように全世界に広がっていったのかが、わかりやすく描かれています。巻末には参考ウェブサイトも掲載されています。

 

 

 

『グレタとよくばりきょじん たったひとりで立ちあがった女の子』ゾーイ・タッカー/作 ゾーイ・パーシコ/絵 さくまゆみこ/訳 フレーベル館 2020年2月 (出版社サイト⇒こちら

こちらは昨年11月にイギリスで出版された絵本です。この絵本の売り上げの3%は国際的な環境保護団体GREENPEACEに寄付される仕組みになっています。こちらの絵本では、資本主義の名のもと、地球の資源を取りつくし、人類以外の生物の生存権には目もくれないおとなたち(資本家だけではなく、それを良しとしてきた私たち無自覚な大人も)を「よくばりきょじん」として表現しています。『わたしたちの家が火事です』がグレタさんがどのようにこの運動を始めたのかを描くノンフィクションであるのとは対照的で、グレタさんが森の動物たちの訴えに応えて立ち上がり「よくばりきょじん」に抗議するというフィクションの手法が用いられており、小さな子どもたちに理解しやすい内容になっています。このお話では、最後に「よくばりきょじん」が膝を折って子ども達に謝り、環境に配慮していくことを誓います。現実にはまだそこに至っていませんが、一日も早く世界中が足並みを揃えて、環境に配慮し、すべての生物が共存できる世界を実現できることを願います。そのためには「いつか」ではなく「今」行動に移すことが大事でしょう。

 

 

 

 

【読み物】

『グレタと立ち上がろう 気候変動の世界を救うための18章』ヴァレンティナ・ジャンネッラ/著 マヌエラ・マラッツィ/イラスト 川野太郎/訳 岩崎書店 2020/2/28 (出版社サイト⇒こちら

 

こちらは香港を拠点に活動をするイタリア出身のジャーナリスト、ヴァレンティナ・ジャンネッラが書き、イタリアで出版されたYA世代向けの読み物です。ジャンネッラの娘さんが2019年3月15日(金)に、グレタさんの呼びかけで学校の友達と一緒に《#未来のための金曜日 #FridayForFuture》に参加したこと、それに向けて中高生たちがインターネットで検索し、科学記事を読み、懸命に学んでいったことが、執筆のきっかけになっています。「気候変動の世界を救うための18章」として、さまざまな切り口から現状起きている問題を示し、それに対して有効だと思われる解決策が書いてあります。いずれにしても残されている時間は少なく、おとなたちがこのまま右肩上がりの成長という幻影を見ているうちに破滅が来てしまうことを訴えています。巻末には同じく参考になるウェブサイトなどが記載されています。また2019年9月23日に行われた国連気候行動サミットでのグレタさんの演説全文も掲載されています。

 

 

(作成K・J)