2020年9月、10月の新刊から(その1・絵本)


9月,10月に出版された絵本、児童書のうち、お薦めしたい作品を紹介いたします。(その1で絵本を、その2で児童書・その他を紹介します)

先月、久しぶりに銀座・教文館ナルニア国へ行き、新刊チェックをすることができました。それに加えて横浜日吉のともだち書店に注文し送付いただいたもの、出版社を通して著者、翻訳者から献本していただいたものを、読んで記事にしています。なお、一部9月以前に出版された本もあります。

その他の書籍に関しては銀座教文館ナルニア国の「きになる新刊」コーナーをぜひご活用ください。(「本のこまど」紹介記事→こちら

なお、書影は各出版社の許諾要件に従って使用しています。

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【絵本】

『いのち』シンシア・ライラント/文 ブレンダン・ウェンツェル/絵 田中一明/訳 カクイチ研究所ぷねうま舎 2020/8/21(出版社サイト→こちら

この地球上に溢れている「いのち」。どんな大きな動物も最初は小さなはじまりがありました。そして「いのち」が大きく育っていくためには、大切な必要なものがあるということを、語りかけてくれます。答えはひとつではないかもしれません。環境問題なのか、命の連鎖のことなのか、答えは明確には示されません。おとなが読むと哲学的な問いかけのようにも聞こえます。おとなと子どもが一緒に読みながら、「いのち」について考えるきっかけにするとよいでしょう。絵はとても美しく希望を感じることができます。

 

 

 

 

 

『ぼうしかぶって』三浦太郎/作 童心社 2020/9/1 (出版社サイト→こちら

「あかちゃん ととととと」シリーズの1冊です。「ぼうし」だけど、登場人物はみんな野菜や果物です。「へた」をぼうしに見立てています。
「なすのとうさん たたたたた ぼうしかぶって いってきまーす」
「パイナップルのにいさん どどどどど ぼうしかぶって いってきまーす」
繰り返しが楽しい絵本です。

 

 

 

 

『おふろにはいろ』三浦太郎/作 童心社 2020/9/1 (出版社サイト→こちら

こちらも野菜や果物が主人公。
こちらでは、皮を服に見立てて、それを脱いでお風呂に入ります。
「すすすすす たまねぎのばあさん ふくぬいで おふろにはいろ あ~ いいゆだな」
「ららららら とうもろこしのかあさん ふくぬいで おふろにはいろ あ~ おはだつるつる」
こちらも繰り返しが楽しい絵本です。

 

 

 

 

『サディがいるよ』サラ・オレアリー/文 ジュリー・モースタッド/絵 横山和江/訳 福音館書店 2020/9/5 (出版社サイト→こちら

サディは想像力豊かな女の子。ダンボール箱に入ればたちまち大海原を航海する船で旅する気分になれます。ある時は人魚になったり、ある時はオオカミ少年になったり、空を飛ぶことだってできる。想像することの楽しさ、豊かさを伝えてくれる絵本です。

 

 

 

 

 

 

 

『子どもの本の世界を変えたニューベリーの物語』ミシェル・マーケル/文 ナンシー・カーペンター/絵 金原瑞人/訳 西村書店 2020/9/10 (出版社サイト→こちら

世界初の児童文学賞といえば米国図書館協会児童サービス協会が選定するニューベリー賞です。(国際子ども図書館のサイト→こちら)国際子ども図書館の説明文には「18世紀の英国で児童図書の出版に携わったジョン・ニューベリーの名を冠して創設されました、世界で最初の児童文学賞。最も優れた米国の児童図書を書いた作家に贈られます」と書かれています。
この絵本は、そのジョン・ニューベリーがどんな子どもだったのか、そしてどうして子どもの本を出版しようとしたのかを教えてくれる伝記絵本です。その当時、おとなが子どもを躾・教育しようとする本ばかりの中で、ジョンは「子どもの本の主役は、「子ども」」と位置づけ、子どもたちが自由に想像し、楽しめる作品を出版しました。読書週間を迎えて、ジョン・ニューベリーの願いに想いを馳せたいですね。

 

 

 

『わにのなみだはうそなきなみだ』アンドレ・フランソワ/作 ふしみみさを/訳 ロクリン社 2020/9/15 (出版社サイト→こちら

12.6×26.2㎝の横長の判型の絵本です。表紙カバーを全部開くとわにの全長がちょうど入り込みます。
この絵本は1979年にほるぷ出版から出ていた『わにのなみだ』の新装新訳版です。
おはなしは、「うそなきのことを、わにのなみだっていうんだよ」という問いかけから始まります。そしてそれを確かめるためにエジプトへ行って・・・読んでいくうちに、それがなんとも面白いナンセンスなおはなしになっていきます。

 

 

『パパとすうすう』ケイト・メイズ/原作 サラ・アクトン/絵 古藤ゆず/翻案 学研プラス 2020/9/29 (出版社サイト→こちら

小さな子は、おとなたちが休日の朝くらいゆっくり眠っていたいと思っても、早起きして容赦なく起こしにきます。
まだ寝ていたいパパと、「はやくおきて!」とあの手この手で起こしにかかります。観念したパパが、「おいで。えほんをよもうよ」と言ってくれた時の、うさぎちゃんの幸せな表情。読んでいてほほえましくなってきます。

 

 

 

 

 

『ママとすうすう』ケイト・メイズ/原作 サラ・アクトン/絵 古藤ゆず/翻案 学研プラス 2020/9/29 (出版社サイト→こちら

『パパとすうすう』と一緒に出版されたこちらの絵本は、今度は夜、小さな子を寝かしつける様子が描かれています。
「もうねるじかんだよ」と言っても、すぐに起きてきて、「あれしよう!」「これしよう!」と誘ってきます。
ママと小さなうさぎちゃんとのお休み前のひとときはかけがえのない時間です。最後はママの腕の中ですやすや。安らぎと幸せを感じられる絵本です。

 

 

 

 

 

『はたらくくるまたちのかいたいこうじ』シェリー・ダスキー・リンカー/文 AG・フォード/絵 福本友美子/訳 ひさかたチャイルド (出版社サイト→こちら

「2020年3月、4月の新刊から」(→こちら)で紹介した『はたらくくるまたちとちいさなステアちゃん』の続編です。
今度はビルの解体工事に力を合わせます。お話を読んでもらっているうちに、ブルドーザー、クレーン車、ショベルカー、フロントエンドローダーなど、はたらくくるまの役割分担というのもわかって面白いです。今回もスキッドステアローダーのステアちゃんも、大活躍します。

 

 

 

 

『おおかみのはなし』はやかわじゅんこ/作 瑞雲舎 2020/10/1 (出版社サイト→こちら

ことば遊び絵本『はやくちこぶた』(→こちら)に出てきたおおかみとこぶたが登場する絵本です。
このおおかみ、ちょっとドジでおかしいのです。大切な牙を転んで折ってしまい肉を食べることはもちろん冷たいアイスクリームさえも沁みていたいのです。そこで3びきのこぶたたちは歯医者さんに行くように勧めるのですが、歯医者が怖いおおかみは逃げ出してしまいます。ナンセンスだけれど、なんだかホッとする、そんな味わい深い絵本です。

 

 

 

『はんぶんこ』多田ヒロシ/作 こぐま社 2020/10/15 (出版社サイト→こちら

いろんな動物たちが、たったひとつしかない食べ物を、「はんぶんこ」といって分け合います。分け合って食べるのって、子どもたちにとってはうれしい成長です。ちゃんと半分に切って分けられるものはいいのですが、あれあれ、ごりらくんたちは、「はんぶんこ」といってバナナを食べ始めたけれど、早く食べた方がいっぱい。「はんぶんこじゃない」と言って泣くのも当然だよね。そのあとどうしたかな?「はんぶんこ」で分けることができるようになった2歳前後くらいの子どもたちに読んであげたい1冊です。

 

 

 

 

 

『ねむねむさんがやってくる 眠りが訪れる話』ユ・ヒジン/作・絵 中井はるの/訳 世界文化社 2020/10/20(出版社サイト→こちら

ベッドに入ってもなかなか寝付けない我が子に、眠気を「ねむねむさん」と名付けて、ねむねむさんは「ゆっくりくるのよ。ゆったりと。のんびり のんびりやってくる。」と伝えるおかあさん。「早く寝なさい」なんて言わないで、「だから ゆっくり めをとじて、しずかにそっと おまじない」「ねむねむさん ねむねむさん わたしのゆめを もってきて」と、安らかな眠りが訪れるのを待っていてくれます。子どもを寝かしつけるときは、ゆったり、ゆっくり構えることが何より大切。そのうちこちらも気持ちが落ち着いて、眠くなってきますよ。

 

 

 

『クリスマスツリーをかざろうよ』トミー・デ・パオラ/作 福本友美子/訳 光村教育図書 2020/10/30 (出版社サイト→こちら)(10/29現在未掲載・サイト確認でき次第リンクします)

おはなし会プラン「2020年12月(その2)クリスマスはおうちでね」(→こちら)でも紹介した作品です。12月になるとあちこちにクリスマスツリーが飾られますが、なぜクリスマスツリーを飾るようになったのか、ご存知ですか?それを親子の会話を通してわかりやすく教えてくれる絵本です。ヨーロッパやアメリカの歴史上の人物が出てくるのですが、大きくなった時に世界史で必ず聞く人名です。キリスト教に深く結びついていたものが日本でも宗教に関係なく飾られるようになった背景には、日本にも常緑樹を大切にする文化があったからでしょう。この絵本はアメリカでは1980年に出版されていますが、日本では今回が初めて。今年3月に亡くなられたトミー・デ・パオラさんの(→こちら)日本での最新刊です。

 

 

 

 

『おしゃべりくらげ』あまんきみこ/作 みずうちさとみ/絵 JULA出版局 2020/10 (出版社サイト→こちら

あまんきみこさんの、のんびりとしながらも、毅然とした意志を感じるお話です。くらげの子は「ほねなし」と言われるのが悔しくてたまりません。でも、それは周りから「ほねなし」とからかわれるからなのです。くらげのかあちゃんは、「おまえは、いつのまにか、あたりをうかがいながら、自分をきめるようになったんだい?」と、諭します。ガーゼ生地に刺繍で描いた絵も優しくて素敵です。夏に出版する予定が、春先はガーゼ生地が品切れとなり(布マスクの材料になるため)出版が秋にずれ込んだということです。「忖度」という言葉が、一般的になって久しいのですが、「忖度しない」毅然とした態度を取ることの大切さも物語から感じ取ることができます。

 

 

【ノンフィクション絵本】

『集めてわかるぬけがらのなぞ ゲッチョ先生のぬけがらコレクション』盛口満/文・絵 少年写真新聞社 2020/7/20 (出版社サイト→こちら

夏休み前に出版されたので、すでに多くの図書館には入っていることでしょう。今年の夏もたくさんのせみのぬけがらを見かけました。短い夏休みでしたが、図書館には「何のぬけがら?」と聞きにくる子もいたことでしょう。
こちらの本にはセミだけでなく、いろいろな昆虫のぬけがらを集めてあります。昆虫が苦手な人も、この本を手に取ると、小さな昆虫の精巧な造り、自然のもつ不思議さを感じることができるのではないかと思います。児童のレファレンス用にもぜひ揃えてほしい1冊です。

 

 

 

 

 

『どうなってるの?ウイルスと細菌』サラ・ハル/文 ピーター・アレン/絵 福本友美子/訳 堀川晃菜/監修 ひさかたチャイルド 2020/10 (出版社サイト→こちら

2020年を振り返る時に、世界中に猛威を振るった新型コロナウィルスCOVID-19によるパンデミックのことは必ず語られることでしょう。
子どもたちの日々の生活の中にも「ウイルス」ということばが定着しました。その「ウイルス」とはいったい何なのか、「細菌」とはなにか、そして私たちの身体に備わっている防御システムについて小学校低学年の子にもわかりやすく、めくるとさらに詳しい説明が書いてある111のしかけとともに、理解を助けてくれることでしょう。

 

 

 

(作成K・J)