おすすめの幼年童話(2002年以降出版の作品より)

おすすめの幼年童話50『おめでたこぶた その1 四ひきのこぶたとアナグマのお話』アリソン・アトリー作
おすすめの幼年童話49『おしろのばん人とガレスピー』ベンジャミン・エルキン作
おすすめの幼年童話48 『はじめてのプ―さん プ―のはちみつとり』A.A.ミルン作
おすすめの幼年童話47『ミリー・モリ―・マンデーのおはなし』ジョイス・L・ブレスリー作
おすすめの幼年童話46『かさをかしてあげたあひるさん』村山壽子作
おすすめの幼年童話45『げんきなぬいぐるみ人形ガルドラ」モドウィナ・セジウィックさく
おすすめの幼年童話44『テディ・ロビンソンのたんじょう日』ジョーン・G・ロビンソン作・絵
おすすめの幼年童話43『空想動物ものがたり』マーグリット・メイヨー再話
おすすめの幼年童話42『アレハンドロの大旅行』きたむらえり作
おすすめの幼年童話41『マンホールからこんにちは』いとうひろし作
おすすめの幼年童話40『きかんぼのちいちゃいいもうと』ドロシー・エドワーズ作
おすすめの幼年童話39『みにくいおひめさま』フィリス=マッギンリ―作
おすすめの幼年童話38『犬とおばあさんのちえくらべ』アニー・M・G・シュミット作
おすすめの幼年童話37『イップとヤネケ』アニー・M・G・シュミット文
おすすめの幼年童話36『おともださにナリマ小』たかどのほうこ文

おすすめの幼年童話50『おめでたこぶた その1 四ひきのこぶたとアナグマのお話』アリソン・アトリー作


今回は、数多くの幼年童話を残したイギリスの作家、アリソン・アトリーの作品を紹介します。アリソン・アトリーは、1884年生まれのイギリスの作家で、『チム・ラビットのぼうけん』(石井桃子訳 中川宗弥画 童心社 1967)など数多くの物語を残しています。その作品の中には、自然豊かな農場で過ごした子ども時代が生きていて、自然のもつ美しさや不思議さがあふれ、独特の魅力をはなっています。今回紹介するのは、20年にわたって113編執筆された、こぶたのサムのお話です。

『おめでたこぶた その1 四ひきのこぶたとアナグマのお話』(アリソン・アトリー作 すがはらひろくに訳 やまわきゆりこ画 福音館書店 2012)

木かげの小道のほとりに、トム、ビル、アン、サムという四ひきのこぶたと、かしこいアナグマのブロックさんが住んでいました。こぶたたちは、料理を作り、庭を整え、幸せに暮らしていました。家族のなかでも末っ子のサムは、とびきり元気で、好奇心いっぱい。じっとなんかしていません。悪い人間にさらわれてしまったり、「幸運」を探しにいって金のかたまりを見つけたり、と毎日が冒険のようです。雨の日に見知らぬ人がたずねてきたりと、不思議なこともおこります。

また、それぞれのお話のなかに、古くから伝えられてきた昔話や童謡が登場したり、隠れていたりします。例えば、遠くの黒森からオオカミがやってくるお話は、「三びきのコブタ」を思い出しますし、虹の足元には宝物があるというお話も、どこかで聞いたなという気持ちになります。イギリスの子どもほどではなくても、幼いころから触れてきたものが、ひょいひょい顔を出すのはとても面白く、愉快な気持ちになれます。

おめでたこぶたのシリーズは、現在4冊出版されています。(福音館書店Webページ→こちら)。また挿絵は、絵本「ぐりとぐら」シリーズの絵を描いている山脇百合子氏によるもので、のびやかで親しみやすいものとなっています。子どもたちは、元気なサムと一緒に、家族で食卓を囲んで美味しいものを食べたり、木々のささやきや風の匂いを感じたり、そして時には危険な目にあったりしながら、日々の小さな冒険を楽しんでくれることでしょう。

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「おすすめの幼年童話」は2017年4月から連載してきましたが、第50回をもって最終回となります。
(第2回から第18回は、H28年度児童部会員が執筆し、冊子「ひとりでよみはじめた子たちへ」(→こちら)も作成しました。)

絵本から読み物へ移行する子たちに向けて選んだ50冊の本は、日常から不思議な世界に入りこめる本、主人公と一緒に冒険を味わえる本、自分のことのように共感できる本など、様々なものがありますが、子どもたちが物語に入りこみ、夢中になって読んでくれることを願って選びました。一人で読み始めたばかりの子どもたちにとって、負担なく読める文字の大きさやお話の長さも配慮しなければなりませんが、何より読み終えたとき、本の世界の魅力を感じてもらえることが大切だと思います。

子どもたちの本離れが指摘されていますが、読み聞かせから自分で読むようになる時期に、心に残る本に出会えるかどうかは、本への信頼感、その後の本とのつきあい方に大きく関わってくると思います。どうぞこの時期にいる子どもたちが、何度も読みたいと思える大切な1冊に出会えるよう、「おすすめの幼年童話」で紹介した50冊も参考にしていただければ幸いです。

(作成T.I)

 

おすすめの幼年童話49『おしろのばん人とガレスピー』ベンジャミン・エルキン作


今回は、楽しいお話と迫力ある挿絵が魅力的な作品を紹介します。

『おしろのばん人とガレスピー』ベンジャミン・エルキンぶん ジェームズ・ドーハーティ/え 小宮由/やく

ある国に、世界中のだれよりも目がいい兄弟がいました。うわさを聞きつけた王様は、3人をお城の番人にし、番人をだませたものには金のメダルを贈ると発表します。何百、何千という人たちが挑戦しますが、番人たちは、どんな変装でも見ぬいてしまいます。有名になり、えらそうな顔をするようになった番人たちに、毎日王子さまと遊ぶためにお城にきていた男の子ガレスピーは、だましてやろうと挑むことにします。

昔話風のユーモアあふれる愉快なお話です。複雑な筋ではないので、無理なく物語を追うことができますし、どのようにガレスピーが番人たちをだますのか謎解きのように楽しむことができます。

作者ベンジャミン・エルキンは、アメリカの作家で、日本では『世界でいちばんやかましい音』(ベンジャミン・エルキン作 太田大八絵  松岡享子訳 こぐま社 1999)が有名で、広く親しまれています。

画家ジェームズ・ドーハ―ティは、本作品と『アンディとらいおん』(ジェームズ・ドーハーティ 文・絵  むらおか はなこ訳 福音館書店 1961)でコールデコット・オナー賞を受賞しています。黒と茶色で描かれた躍動感のある絵は迫力があり、絵からも物語の愉快さが伝わってきます。

本作品は、大日本図書が刊行している「こころのほんばこ」シリーズ(大日本図書Webページ→こちら)の1冊です。このシリーズは現時点で11冊出版されており、本のこまどの新刊情報でも複数点紹介してきました。「ハリーとうたうおとなりさん」( ジーン・ジオン文 マーガレット・ブロイ・グレアム絵 小宮由訳 2015)をはじめ、日本でも広く読み継がれている絵本作家の作品が翻訳されていて、親しみやすいと思います。

翻訳を手がけている小宮由さんは、シリーズに次のような言葉を寄せています。
「子どもたちがワクワクしながら、主人公や登場人物と心を重ね、うれしいこと、悲しいこと、楽しいこと、苦しいことを我がことのように体験し、その体験を「こころのほんばこ」にたくさん蓄えてほしい。その積み重ねこそが、友だちの気持ちを想像したり、喜びをわかちあったり、つらいことがあってもそれを乗り越える力になる、そう信じています。」

ぜひ、その子の「こころのほんばこ」に蓄えられる1冊を紹介してみてください!

(作成T.I)

おすすめの幼年童話48 『はじめてのプ―さん プ―のはちみつとり』A.A.ミルン作


今回は、世界中で一番有名かもしれないクマのお話を紹介します。

『はじめてのプーさん プーのはちみつとり』 A.A.ミルン 文  E.H.シェパード 絵   石井桃子 訳 岩波書店 2016

クマのプーさんは、詩人で劇作家のA.A.ミルンが、小さい息子クリストファー・ロビンのぬいぐるみのおもちゃを登場させたお話で、イギリスで1926年と1928年に2冊の本『クマのプーさん』『ㇷ゚―横丁にたった家』が出版されました。日本でも、石井桃子氏の名訳で、1940年代に紹介され、多くの人に愛されてきました。

15話あるお話は、父親が息子に語ってきかせる形式をとっています。舞台は百町森で、小さな男の子クリストファー・ロビン、ちょっと頭が弱いけど愛らしいクマのプーさん、ㇷ゚ーさんの親友で優しくて少し気が弱い子ブタ、じめじめ愚痴っぽいロバのイーヨーなど、個性的で愉快な仲間たちが登場し、平和な毎日にちょっとした事件が起こります。
 例えば、「ㇷ゚―のはちみつとり」のお話では、プーさんが木の上のハチの巣からハチミツをとろうと、木に登って落っこちたり、風船で飛んだりと奮闘します。青い風船にぶらさがったプーさんが、青空にでている小さい黒雲に見えるか見えないかなど、大まじめにやりとりしている場面などは本当に愉快です。またプーが作る詩も、「青空にうかぶ 雲はたのし! ちいさい雲は いつも うたう・・・」といった具合で、なかなかのけっさくで楽しいです。

今回紹介するはじめてのプ―さんシリーズは、15話のうち3話「ㇷ゚―のはちみつとり」「ㇷ゚―あそびをはつめいする」「イーヨーのあたらしいうち」を、文字と絵を大きくし、すべてにルビをつけて、出版したものです。「クマのプーさんえほん」(→こちら)も出版されていますが、絵本版より小さい子でも楽しめる造りとなっています。このシリーズから読み始めて、絵本版、そして岩波少年文庫『クマのプーさん』(2000年)『ㇷ゚―横丁にたった家』(2000年)に進む子もいるかもしれません。本当に幼いころから、小学生、そして大人になってもプーさんの世界がそばにあるのは、とても幸せなことだと思います。

挿絵は、イギリス生まれのE.H.シェパードで、それぞれの仲間たちの愉快な個性がじんわりと伝わってきます。訳者あとがきでは、「ことに動物をユーモラスにかくことが得意で、ㇷ゚―を主題にした挿絵は、シェパード以外の絵が想像できないほど、その内容にくいこんで、子どもの本の挿絵に新しい境地をひらきました」と記されています。(『ㇷ゚―横丁にたった家』A.A.ミルン 文  E.H.シェパード絵   石井桃子訳 岩波書店 岩波少年文庫)

もともと語りかける形式のお話ですので、読み聞かせにもぴったりです。ぜひその子にあったシリーズの本を紹介してあげてください。

(作成 T.I)

おすすめの幼年童話47『ミリー・モリ―・マンデーのおはなし』ジョイス・L・ブレスリー作


今回は、小さな女の子の楽しい毎日を描いた作品を紹介します。

『ミリー・モリ―・マンデーのおはなし』ジョイス・L・ブレスリー作 上條由美子やく 菊池恭子え 福音館書店 1991

主人公の女の子の名前は、ミリセント・マーガレット・アマンダと言いましたが、とても長かったので、みんなはミリー・モリ―・マンデーと短く縮めて呼んでいました。ミリー・モリ―・マンデーは、おとうさんと、おかあさんと、おじいちゃんと、おばあちゃんと、おじさんと、おばさんといっしょに、草ぶき屋根の白いきれいな家にすんでいました。この本には、そんなミリー・モリ―・マンデーのささやかな毎日のお話が、12話おさめられています。

おつかいを頼まれたり、おままごとをしたりといった日常のお話や、パーティーやキャンプなどちょっとしたイベントのお話もあります。ミリー・モリ―・マンデーの家の人たちは、人を喜ばせるのが大好きで、本人には内緒で屋根裏の物置をミリー・モリ―・マンデーの部屋に整えるなど、嬉しいことを創り出します。一話ずつ読んでいくと、そんな人たちに囲まれたミリー・モリ―・マンデーの毎日を一緒に楽しむことができます。また読み進めていくと、村の人たちのこともわかるようになってきて、より親しみがわくでしょう。

冒頭に舞台となる村の地図があったり、各話のはじめには大きな扉絵があったりと、わくわくしながら読み進められる本の造りになっています。挿絵も豊富にあり、ミリー・モリ―・マンデーたちの生活の様子が伝わってきます。

作者ジョイス・L・ブレスリーは1896年生まれのイギリスの作家です。『ミリー・モリ―・マンデーのおはなし』は、90年余り前に作られたお話ですが、読み継がれ、また、ストーリーテリングでも語りつがれています。姉妹編に『ミリーモリ―マンデーとともだち』(2014)があり、こちらには10話収められています。時が経っても変わらず、心を躍らせながら読むことができる物語、ぜひおすすめしてみてください。さて、次はどんな嬉しいことが起こるでしょうか!

(作成 T.I)

 

 

 

 

おすすめの幼年童話46『かさをかしてあげたあひるさん』村山壽子作


今回は、70年以上前に書かれながら、今でも変わらず子どもたちの心に寄り添ってくれる村山壽子氏のおはなし集を紹介します。

『かさをかしてあげたあひるさん 村山壽子おはなし集』 村山壽子作 山口マオ絵 福音館書店 2010

村山壽子氏は、1903年に生まれ、大正時代末期から当時発行されていた絵雑誌「子供之友」に、詩や童話を描いていました。その作品は、登場するものが人間ではなく、動物であったり野菜であったりすることが特徴で、子どもにとって身近なものや親しいものが擬人化されて、不思議だけれど共感できるお話が展開されています。

例えば、表題作の「かさをかしてあげたあひるさん」に登場するのは、あひるさんとにわとりさんです。ある雨の日、お友だちのにわとりさんに傘をかしてと頼まれたあひるさんですが、家には一本しかありません。傘を貸してあげられないと涙をこぼすあひるさんをみて、お母さんは、一本しかない傘を貸してもよいと言ってくれるのです。あひるさんが大喜びで傘を貸すと、後日にわとりさんはお礼に卵をもってきてくれ、お母さんはその卵でおいしいオムレツを焼いてくれるのです。
他愛のないお話ですが、貸してあげられなくて悲しい気持ちや、わかってもらえて嬉しい気持ち、そして最後は美味しそうなオムレツの登場と、子どもの気持ちにぴったりと寄り添い、喜ばせてくれるお話です。

この本には全部で17の童話が紹介されていますが、子どもの心をよく知っている作者だからこそ描ける、明るくユーモアのある作品ばかりです。リズム感のある、声に出してよみたくなる文章です。幼い子でも無理なく読めますし、読み聞かせにも向いています。(仮名遣いは著作権承継者の了承を得て、現代仮名遣いにし、表記の一部も改められています。)

挿絵は、山口マオ氏によるも版画による元気な絵です。村山壽子さんの作品の挿絵は、夫であり、童話作家、前衛美術家として活躍していた村山知義氏によるものが有名ですが、山口マオ氏の挿絵も、カラリと明るいお話の雰囲気が伝わってきて、現代の子どもたちにも親しみやすいものとなっています。JULA出版局からは、村山知義氏の挿絵で読める『村山壽子氏作品集 全3巻』(村山壽子作 村山知義絵 村山壽子作品集編集委員会編 JULA出版局)が出版されています。こちらの作品集では、童話だけでなく、童謡や絵ばなしも紹介されています。どんどんお話を読みたい!という子であれば、ぜひこちらをおすすめしてみてください。

(作成 T.I)

おすすめの幼年童話45『げんきなぬいぐるみ人形ガルドラ」モドウィナ・セジウィックさく


今回は、いつも前向きな主人公に元気がもらえるお話を紹介します。

『げんきなぬいぐるみ人形ガルドラ』モドウィナ・セジウィックさく 多賀京子やく 大社玲子え 福音館書店 2014


 主人公のガルドラは、小さな女の子メリーベルのぬいぐるみ人形です。目は黒いボタン、髪の毛は黒い毛糸の手作り人形でしたが、ほかの人形にまけないくらい、人形らしいやりかたで、笑ったり、うたったり、泣いたりしました。この本にはそんなガルドラのお話が4話入っています。

 1話目の「星のブローチ」というお話では、ガルドラは、小川に落ちて、どんどん流されてしまいます。そんなときでもガルドラは、(牛がぶつかってきてくれて、よかった。乳母車がたおれて、おかげで外へでられたよ・・・川を流れていくのは、ゆかいだな)なんて考えて、いつでも前向きです。このときは、親切なおじさんに拾われて、きちんと乾くように、橋の手すりにかけてもらいます。すると、ガルドラの組んだ腕の上に、コマドリが巣をかけたのです! その後、ちゃんとメリーベルに見つけてもらい、ヒナが巣立っていくと無事に家にもどります。そして、ガルドラを自慢に思ったメリーベルから、ぴかぴか光る星のブローチをもらうのです。

 他のお話でも、屋根の上にのせられてしまったり、ピクニックへ連れて行ってもらえなかったりと、ガルドラは災難ばかりにあいます。けれども、いつもよいほうに考えて元気いっぱい、最後はちゃんとメリーベルのもとに戻ります。これからどうなるのかハラハラしながらも、平気の平左で乗り越えていく主人公に、勇気をもらえ、明るい気持ちで読み進めていくことができるでしょう。また4話目の「森のおく」は、ブルーベルの青くかがやく光にみちた、魔法のような光景が広がる、また一味違った魅力のあるお話になっています。
 
作者はインドに生まれ、イギリスで執筆活動をつづけた作家で、ガルドラのお話は英国放送協会(BBC)の子ども向けラジオ番組で放送されたものが基となっています。可愛らしい装丁になっており、大社玲子氏によるあたたかく柔らかな挿絵も親しみやすいです。元気なガルドラのお話、ぜびおすすめしてみてください!

(作成 T.I)

おすすめの幼年童話44『テディ・ロビンソンのたんじょう日』ジョーン・G・ロビンソン作・絵


今回は、ほのぼのと楽しく読めるくまのぬいぐるみのお話を紹介します。

『テディ・ロビンソンのたんじょう日』ジョーン・G・ロビンソンさく・え 小宮由訳 岩波書店 2012

テディ・ロビンソンは、小さな女の子デボラのくまのぬいぐるみです。大きくて、だきごこちのいい、ひとなつっこいくまで、毛はうす茶色、目もやさしい茶色です。この本には、そんなテディ・ロビンソンのお話が6つ入っています。

赤ちゃんのベビーシッターになったり(赤ちゃんが起きないようにちゃんとそばに座っていたのです!)、たんじょう日を祝ってもらったり、うでが落ちてお人形病院に行ったりと、ささやかだけれど楽しい、テディ・ロビンソンの毎日が描かれています。テディ・ロビンソンは想像力豊かでユーモアいっぱい、ときどき作る歌もとても愉快です。例えば、たんじょう日パーティーの日に作ったのは、こんな歌です。

ばんざーい、ばんざーい、ばんざーい!
きょうは ぼくのたんじょう日
三じはんに なったらば
お茶を のみに いらっしゃい
あなたに ようじが ないのなら
かえれ というまで いていいよ

さてさて、どんなたんじょう日パーティになったのでしょうか?

挿絵は、ほのぼのとしたお話によく合う線画で、そえられた描き文字も楽しいです。少し分量はありますが、振り仮名もあり、丁寧でわかりやすい文章ですので、読み始めたばかりの子でもすんなりと読めると思います。

同シリーズに「テディ・ロビンソンとサンタクロース」(2012)、「ゆうかんなテディ・ロビンソン」(2012)があり、他出版社からは『くまのテディ・ロビンソン』『テディ・ロビンソンまほうをつかう』(坪井郁美訳 福音館書店 1992)もあります。読むと幸せな気もちになれるテディ・ロビンソンのシリーズ、ぜひ紹介してみてください。

著書のジョーン・G・ロビンソン氏はイギリスの作家で、クリスマスカードや挿絵の仕事をしていましたが、自分でもお話を書くようになったそうです。映画化もされた『思い出のマーニー 上・下』(松野正子訳 岩波少年文庫 2003)や、以前「本のこまど」で紹介した『おはようスーちゃん』(中川李枝子訳 アリス館  2007)などの作品もあります。(→こちら
また、この時期にぴったりの絵本『クリスマスってなあに?』(こみやゆう訳 岩波書店 2012 )もおすすめです。

(作成 T.I)

おすすめの幼年童話43『空想動物ものがたり』マーグリット・メイヨー再話


今回は、世界各地で語りつがれてきた空想上の動物たちの物語10話を華やかに描いた『空想動物ものがたり』を紹介します。

『空想動物ものがたり』 マーグリット・メイヨー再話 ジェイン・レイ絵 百々佑利子訳 岩波書店 2005


ペガサス、人魚、ユニコーン、サンダーバード、竜、ミノタウロス、フェニックス、など空想上の動物にまつわる物語を紹介しています。ギリシャ神話、北アメリカ先住民の話、中国で語られる物語など、世界各地の神話や伝承から再話していて、色とりどりの不思議なお話を味わうことができます。

空想上の動物は、体の前のほうはライオンの頭、まん中はヤギの頭、尾は長い蛇だったり、蛇につやつやした羽毛が生えていたり不思議な姿で、子どもたちをひきつけるでしょう。太古から語り継がれてきた物語は、洪水や嵐などの不思議な現象、どうして島や大河ができたのか、どうして大地に音楽があるのかなど、この世の起こりを人々がどのようにとらえ、どのように向き合ってきたのかを、伝えてくれます。また、登場する神々や英雄は、人間と同じように、愛や怒り、かなしみといった深い感情をもち、時には我が身を滅ぼします。子どもたちは、これらの物語から、目にみえる世界の表面だけでなく、もっと深くて広い世界があることを知ることができると思います。

大型の本で、神話の世界が美しく豪華な絵であらわされています。再話者マーグリット・メイヨーは、イギリスで学校の先生をしながら、世界各地の神話や民話を子どもたちに語りきかせてきたとのことで、この本での語り口も優しく親しみやすくなっており、初めて神話に触れる子も抵抗なく入ることができるでしょう。また巻末には「ものがたりについて」という解説があり、物語の背景や出典が記されています。

訳者の百々佑利子氏は次のような言葉をよせています。
「人間はペガサスのようにつばさをもっています。空想の力というつばさです、そして物語をつむぎだすことばをもっています。物語はいつまでもかたりつがれていきます。「物語」とは、永遠のいのちをもつ不死鳥フェニックスではないでしょうか。」(表紙カバーより)

しっかりとした物語ですので、少し読み慣れてきた子へのおすすめがよいかと思います。また1話ずつ読んであげてもよいでしょう。豊かな神話や物語の入口となってくれる1冊として、ぜひご紹介ください。

(作成 T.I)

おすすめの幼年童話42『アレハンドロの大旅行』きたむらえり作


今回は、小さなアレハンドロの頑張りに励まされる『アレハンドロの大旅行』を紹介します。

『アレハンドロの大旅行』 きたむらえり作 福音館書店 2015

 イノシシのアレハンドロは、にぎやかな大家族で暮らしていましたが、とてもおとなしい子で一言も話しません。心配した両親は、アレハンドロを遠くの丘まで、一人で行かせることにしました。旅の途中、アレハンドロは、勇気を出して、こんにちは、ありがとう、さようなら、を言おうとするのですが、いつもタイミングを逃してしまいます。誰とも話せないまま、ようやく丘の頂上にたどり着いたとき、アレハンドロの前には、見たこともない高い山がそびえたっていました。初めてみるながめに、アレハンドロが思わず、「こんにちはー」と叫ぶと、山は「こんにちはー」と返事をしてくれました。アレハンドロは嬉しくなって、山に「ありがとう」と言うと、「ありがとう」と返してくれました。アレハンドロは喜んで、とんだり、はねたり、おどったりしました。帰り道、アレハンドロは自分の名前も大きな声で言えるようになっていて、「ただいまー」と元気に家に帰っていくのです。

 大きな危険に見舞われる大冒険ではありませんが、見事に使命を果たす行きて帰りし物語になっています。子どもたちもアレハンドロの頑張りに共感するところが多いでしょう。初めてのこと、苦手なことを、ドキドキしながら乗り越え成長していく子どもたちに、優しく寄り添ってくれる作品です。

 著者がアルゼンチンに住んでいたときの思い出をもとに描いた作品とのことで、グアナコ、アルマジロ、コンドルなど登場する動物は、独特で愉快です。力のぬけたほのぼのした絵は、豊かに広がる草原の空気が伝わってきますし、アレハンドロのおっとりした雰囲気にもよく合っています。

 一文一文が短いので、自分で読み始めたばかりの子でも読みやすいでしょう。また落ち着いた装丁と挿絵のため、小学校の中学年くらいの子も手に取りやすいと思います。長いお話は難しそうだけれど、小さい子の本は読みたくないなという子にも、さりげなくおすすめしてはいかがでしょうか。

(作成 T.I)

 

 

おすすめの幼年童話41『マンホールからこんにちは』いとうひろし作


今回は、気軽に読めて愉快なお話『マンホールからこんにちは』を紹介します。

『マンホールからこんにちは』いとうひろし作 徳間書店 2002

 ぼくはおつかいの帰り道に角を曲がると、道のまんなかに、電信柱が立っているのが見えました。近づいてみてみると、それはマンホールから首を出したきりんでした。きりんは、アフリカの草原に住んでいましたが、水あそびをしているうちに、下水のなかに迷いこみ、やっと見つけた出口がマンホールだというのです。
 こんな具合にぼくは、次のマンホールではマンモス、次にはかっぱと、マンホールから出てきた不思議なものに出くわし、そのいきさつを聞きます。

 子どもたちは、マンホールの上で跳んだり、マンホールを踏んで歩いたりしますが、そこから不思議なものがでてきたらと考えると、とても楽しいですね。しかもそれが、大昔からきたマンモス、おばけの世界からきたカッパだったら、なおさらです。身近なところから、とんでもない世界に広がってるかもしれないと想像力をふくらませてくれるお話です。

 おかしみのある漫画風の絵は作品にぴったりです。迫力のある表紙は「なんだろう?」と思わせてくれ、紹介しやすいでしょう。文章を簡潔で、読み始めたばかりので子でも無理なく読めると思います。

 いとうひろしさんは、他にも「おさるのまいにち」シリーズ(講談社)「ごきげんなすてご」シリーズ(徳間書店)などの作品があります。愉快で親しみやすいと同時に、子どもたちの感じていることや考えていることに寄りそって書かれているので、子どもたちは楽しく共感しながら読めると思います。ぜひ、物語の本は苦手だなという子にもおすすめしてみてください。

(作成T.I)

おすすめの幼年童話40『きかんぼのちいちゃいいもうと』ドロシー・エドワーズ作


今回は、愉快に読むことができるイギリスの幼年童話を紹介します。

『きかんぼのちいちゃいいもうと その1ぐらぐらの歯』(ドロシー・エドワーズさく 渡辺茂男やく 酒井駒子え 福音館書店 2005)


 勝気で言うことをきかない「きかんぼ」の妹がまきおこす様々な騒動を、姉の回想で語ったお話が10篇おさめられています。
妹は、水に入ってびしょぬれになったり、姉の大切にしていた妖精のお人形を外へほおり投げたり、サンタクロースが嫌いでかみついたりと、まさか!ということをやってのけます。容赦ないので、読んでいて痛快で、次は何をするのかドキドキします。
つい意地をはってしまう、いたずらしてしまう妹に共感しながら読む子も多いでしょう。

 著者ドロシー・エドワーズはイギリスのストーリーテラーの第一人者といわれ、「きかんぼのちいちゃいいもうと」は、BBC放送で語られたのち出版された代表作です。
妹のお話をする姉の語り口は、落ち着いていてあたたかみがあります。回想ですが、丁寧に書かれているので、読んでいると目の前で騒動が起こっている気持ちになります。
耳で聞いてもわかるような簡単な文章ですので、自分で読み始めた子にもおすすめですし、読んでもらうのもぴったりの本です。

 本書は、1978年に出版された『きかんぼのちいちゃいいもうと』(渡辺茂男訳 堀内誠一絵 福音館書店)に未訳のエピソードを加え、全3巻で改訂出版された1巻目です。
他、『きかんぼのちいちゃいいもうと その2 おとまり』『きかんぼのちいちゃいいもうと その3 いたずらハリー』があります。
 新装版は大人っぽい装丁ですが、旧版は明るい元気な挿絵ですので、旧版からおすすめしてもよいでしょう。

(作成 T.I)

おすすめの幼年童話39『みにくいおひめさま』フィリス=マッギンリ―作


今回は、お話も挿絵も美しい本『みにくいおひめさま』を紹介します。

『みにくいおひめさま』(フィリス=マッギンリーさく まさきるりこやく なかがわそうやえ 瑞雲舎 2009)


 ある王国の王女エスメラルダは、優しい王さまとお妃さま、素敵なドレスに美味しい食事と、不自由のない贅沢なくらしをしていましたが、ただ一つ幸せでないことがありました。鼻は上を向き、口はへの字にまがり、目にかがやきがなく、誰から見ても美しくなったのです。
 8歳の誕生日に事実をはっきり知ったエスメラルダは泣き止まなくなります。困った王さまは、美しいむすめに変えることができた者には賞金を、しくじった場合は首をはねるというおふれを出します。そこで現れたのが5人の美しい娘を育てているグッドウィッド夫人で、エスメラルダは9カ月の間、夫人とその娘たちと暮らすことになるのです。
 お城とは違って自分のことは自分でやらなければならない生活に、エスメラルダは初めは戸惑いますが、他の子たちの様子をみて、少しずつ自分でやるようになります。そして、自分が他の人より特別えらくないことを知ると鼻は下を向き、自分でものをつくる喜びを知ると口はほほえんで上をむき、そして人に喜んでもらう幸せを知ると目は星のようにかがやき、エスメラルダは美しくなるのです。

美しくなりたいという普遍的な願いをテーマにした、心あたたまる物語です。小学生の女の子で、「おひめさまなのに、みにくいなんてことがあるのか」と言って借りていく子がいましたが、満足してもらえたのではないかと思っています。明るく優しい色遣いの水彩の挿絵は物語にぴったりで、本自体が手に取りたくなるおしゃれな作りになっています。複雑な筋ではなく素直に読める物語ですが、少し長く、また心理描写なども入ってきているので、自分で読むことに少し慣れた子におすすめです。大人が読んでも味わい深い物語ですので、一緒に読んでも楽しいでしょう。

(作成 T.I)

おすすめの幼年童話38『犬とおばあさんのちえくらべ』アニー・M・G・シュミット作


今回は、前回(「おすすめの幼年童話37『イップとヤネケ』アニー・M・G・シュミット作→こちら)に引き続き、国際アンデルセン賞受賞作家シュミットの本を紹介します。

『犬とおばあさんのちえくらべ 動物たちの9つのお話』アニー・M・G・シュミット作 西村由美訳 たちもとみちこ絵 徳間書店 2017

 「オランダの子どもの本の女王」として知られるシュミットは、おとぎ話風の短いお話をたくさん書いています。この本には、もともとは1冊のおとぎ話集だったものから訳者が選んだ、動物が登場するお話が9話おさめられています。表題作の「犬とおばあさんのちえくらべ」は、犬とおばあさんが、お気に入りのいすに自分が座ろうと、かけひきをする愉快なお話です。
 他の作品には、ウサギ、ゾウ、ネズミなど子どもたちが親しんでいる動物のほか、しっぽが二本ある動物や恐ろしい姿の怪物も登場します。教会のへいにドアがついていて、奇妙な部屋につながったり(「チェスをするネズミとなくした名前」)、市長さんがネズミになって小さな冒険をしたり(「ねずみになった市長さん」)と不思議なお話が多いのですが、人々の生活を感じる親しみやすいお話ばかりです。
 ヤン・ヤサイスキダーさん、コマヤカちゃん、ガンコーナおばさんなど、オランダ語の名前をそのまま表記するのではなく、名前の雰囲気が伝わるように訳された名前も面白いです。子どもたちは、一つ一つのお話を気負うことなく、愉快に読むことができると思います。

この他にも、『パン屋のこびととハリネズミ ふしぎな11のおとぎ話』『カエルになったお姫さま お姫さまたちの12のお話』(アニー・M・G・シュミット 西村由美訳 たちもとみちこ絵 徳間書店)も出版されていますので、合わせて子どもたちにご紹介ください!

(作成 T.I)

 

 

 

おすすめの幼年童話37『イップとヤネケ』アニー・M・G・シュミット文


今回は、幼い男の子と女の子の何気ないけれど楽しい日常を描いた作品を紹介します。

『イップとヤネケ』 アニー・M.G.シュミット 著  フィープ・ヴェステンドルプ 絵 西村由美 訳 岩波書店 2014

 
 イップとヤヌケは、お隣どうしで、庭の垣根の穴から行き来して、いつも一緒に遊びます。2人は毎日、鬼ごっこ、おままごと、人形ごっこ、シーソーとをいろいろな遊びをします。お手伝いやおつかいをすることもあります。時には、けんかをしてしまったり、おたふくかぜになって遊べなくなったり…。この本には、そんな2人のお話が42話入っています。
 ヤヌケのかっているねこのシーピーやひろってきた子犬のタッキーも登場します。ママはよくお話をきいてくれるし、パパは一緒に遊んでくれるし、大人も明るく穏やかに2人を見守っていて、魅力的です。 
 子どもがやりそうなこと、考えそうなことが、ユーモアをもって描かれていて、ふふっと笑ってしまう場面がたくさんあります。次はどんなお話だろう?と、楽しみながら読みすすめることができる1冊です。

 この作品は、1952年に新聞連載としてはじまり、「オランダの家庭で、この本のない子ども部屋はない」と言われている程、オランダでは親しまれてきたそうです。作者シュミットは、国際アンデルセン賞を受賞しています。影絵のようなモノクロの挿絵は、モダンでおしゃれです。訳者あとがきに「影絵で描かれた二人の姿は、どこにでもいる子、誰でもありうる可能性を感じさせてくれます」(P187)とあるように、自分と重ね合わせて味わうことができます。

 一人で読み始めた子には文字が小さめで分厚い本に見えますが、一つひとつのお話は800字程度と短く、小学校入学前の子でも楽しめる内容です。ぜひ一緒に読んで、紹介してみてください。

(作成 T.I)

おすすめの幼年童話36『おともださにナリマ小』たかどのほうこ文


新型コロナウィルス感染拡大で落ち着かない毎日が続きます。学校に行くのを楽しみにしている子も多いでしょう。

今回紹介するのは、『おともださにナリマ小』というふしぎなタイトルの、学校でこんなことが起こったらゆかいだな!という本を紹介します。

『おともださにナリマ小』たかどのほうこ作 にしむらあつこ絵 フレーベル館 2005

主人公のハルオくんは、小学校に入学したばかりの男の子です。いつもは、ケンタとリョウくんと学校に行っていますが、置いていかれてしまい、あわてておいかけます。無事に学校についたのですが、友達や先生の様子が、何か違います。なんとハルオがいたのはキツネ小学校で、キツネたちがハルオの小学校の子どもたちに化けていたのです。そしてハルオは、ハルオに化けて人間の小学校に行ってしまったキツネと友達になります。

数日後、ハルオの小学校に「おともださにナリマ小」と書いてある不思議な手紙が届きます。キツネ小学校のキツネが、人間の子どもと友達になりたいと思って、送ってきたのです。学校のみんなはヘンテコな手紙だと大騒ぎ。さて、どうなるのでしょうか。

自分たちにも本当に起こるのではないかと思わせてくれる楽しいファンタジーです。版画のような挿絵からは、場面の雰囲気が伝わってきます。表表紙と裏表紙が鏡絵になっているのも愉快です。

文字は少し小さめですが、すべて振り仮名がふってあるので、自分で読み始めたばかりの子でも読むことができます。また落ち着いた装丁なので、小学校の高学年くらいだけれど、読みやすい本がよいという子にもおすすめしやすいと思います。

たかどのほうこさんは、他にも『みどりいろのたね』(高楼方子作 太田大八絵 福音館書店)や「へんてこもりのはなし」シリーズ(たかどのほうこ作絵 偕成社)など、読み始めたばかりの子たちでも楽しめる、不思議で愉快な話を書かれています。ぜひ、楽しいお話が読みたい!という子に紹介してみてください。

(作成 T.I)

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